(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車体と、前記車体に対して開閉可能な開閉体との間に設けられ、前記開閉体を前記車体に係止するラッチ状態と、前記開閉体を前記車体に係止しないアンラッチ状態とに切替可能なロック装置と、
前記開閉体に設けられ、前記開閉体の開操作によって変位可能なハンドルと、
前記開閉体に設けられ、前記ハンドルの前記開操作を無効化する操作によって変位可能なロックレバーと、
前記開閉体に設けられ、第1起点と、前記第1起点と断接可能な第1接点の一つであるハンドル開接点と、前記第1起点が前記ハンドル開接点に接続されていない場合に前記第1起点と断接可能な前記第1接点の他の一つであるハンドル閉接点とを有して前記ハンドルの変位を検出可能な第1スイッチと、
前記開閉体に設けられ、第2起点と、前記第2起点と断接可能な第2接点の一つであるロック接点と、前記第2起点が前記ロック接点に接続されていない場合に前記第2起点と断接可能な前記第2接点の他の一つであるアンロック接点とを有して前記ロックレバーの変位を検出可能な第2スイッチとを備え、
前記第1スイッチと前記第2スイッチとは、前記第1接点の前記ハンドル開接点と前記第2起点とが直列に接続されていることを特徴とする車両用開閉体のロックシステム。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を具体化した実施例1〜3を図面を参照しつつ説明する。
【0037】
(実施例1)
<構成>
図1及び
図2に示すように、実際例1のロックシステム1は、車両のスライドドア2に備えられている。スライドドア2が本発明の開閉体に相当する。
【0038】
より詳しくは、
図1に示すように、車両の車体9の左側面には、開口9Hとスライドドア2とが設けられている。搭乗者は、開口9Hを介して車室内の後席に乗り降りする。スライドドア2は、
図1に示す位置では開口9Hを閉鎖している。そして、スライドドア2は、
図1に示す位置から後方にスライドすることにより、開口9Hを開放する。
【0039】
実施例1では、スライドドア2は電動式の自動スライドドアである。後述するように、搭乗者がスライドドア2の開閉操作を行うと、図示しない電動式スライド機構が作動してスライドドア2をスライドさせ、開口9Hを自動的に開閉する。
【0040】
図2〜8、
図13〜17の各図に示す前後方向及び上下方向は、すべて
図1に対応させて表示している。また、
図5〜7の各図に示す内外方向は、スライドドア2の外面側を車両外側と規定し、スライドドア2の車室内に露出する内面側を車両内側と規定して表示している。実施例1では、左側のスライドドア2に設けられるロックシステム1を例示するが、右側ドアの場合は勝手違いになるだけである。また、ロックシステム1は、揺動式に開閉する車両用ドアやテールゲート等にも設けられ得る。
【0041】
図1及び
図2に示すように、ロックシステム1は、3個のロック装置5、6、7を備えている。ロック装置5は、スライドドア2内の後端側に配設されている。ロック装置6は、スライドドア2内の前端側に配設されている。ロック装置7は、スライドドア2内の下端側に配設されている。
【0042】
スライドドア2が
図1に示すように閉じた状態では、
図2に示すように、ロック装置5が開口9Hの後縁に固定されたストライカ5Sに係合し、かつロック装置6が開口9の前縁に固定されたストライカ6Sに係合することにより、スライドドア2の閉じた状態が維持される。この場合、ロック装置5、6は、スライドドア2を車体9に係止するラッチ状態となっている。一方、ロック装置7は、開口9Hの下縁側かつ後縁側の角部に固定されたストライカ7Sから離間し、スライドドア2を車体9に係止しないアンラッチ状態となっている。
【0043】
スライドドア2が
図1に示す位置から後方にスライドして開口9Hを全開にした状態では、ロック装置7がストライカ7Sに係合することにより、スライドドア2の全開状態が維持される。この場合、ロック装置7は、スライドドア2を車体9に係止するラッチ状態となっている。一方、ロック装置5、6は、スライドドア2を車体9に係止しないアンラッチ状態となっている。
【0044】
ロック装置5、6、7は、後述するように、ロックシステム1が動作することにより、ラッチ状態とアンラッチ状態とに切り替わる。
【0045】
また、ロックシステム1は、
図3に示すように、ベースプレート90と、
図2に示すように、インサイドハンドル11と、チャイルドロックレバー12と、アウトサイドハンドル13と、ドアロックレバー14と、リンク機構3とを備えている。インサイドハンドル11が本発明の第1操作部に相当する。チャイルドロックレバー12が本発明の第2操作部に相当する。アウトサイドハンドル13が本発明の第3操作部に相当する。インサイドハンドル11とアウトサイドハンドル13とが本発明のハンドルに相当する。チャイルドロックレバー12とドアロックレバー14とが本発明のロックレバーに相当する。
【0046】
図3〜6に示すように、ベースプレート90は、鋼板がプレス加工及び折り曲げ加工されてなる。ベースプレート90には、複数の取付穴、支持穴、リブ等が形成されている。ベースプレート90が前後方向及び上下方向に延在する状態でスライドドア2の内部に組み付けられることにより、ロックシステム1がスライドドア2に固定される。
【0047】
図2〜6に示すように、インサイドハンドル11とチャイルドロックレバー12とドアロックレバー14とは、それぞれの一部が車室内に露出する状態で、スライドドア2の内面側に設けられている。
【0048】
インサイドハンドル11は、スライドドア2を車両内側から開閉操作して、図示しない電動式スライド機構にスライドドア2を自動開閉させるものである。
図3〜6に示すように、ベースプレート90の前端側かつ上端側の角部には、インサイドハンドル支持軸11Sが回動可能に支持されている。インサイドハンドル支持軸11Sは、車両内外方向に延びて、ベースプレート90の内面90A側と外面90B側とに突出している。
【0049】
図3及び
図4に示すように、インサイドハンドル11は、ベースプレート90の内面90A側に位置し、上下方向に延びている。インサイドハンドル11の下端部は、インサイドハンドル支持軸11Sの車両内側の端部に固定されている。これにより、インサイドハンドル11は、インサイドハンドル支持軸11S周りに揺動可能にベースプレート90に支持されている。インサイドハンドル11の少なくとも上端部は、車室内に露出している。
【0050】
図3〜6に示すように、インサイドハンドル支持軸11Sの車両外側の端部には、レバー11Lが固定されている。レバー11Lは、
図6に示すように、インサイドハンドル支持軸11Sから後側と下側とに向けて突出している。レバー11Lとベースプレート90との間には、捩じりコイルバネ11Tがインサイドハンドル支持軸11Sに挿通された状態で配設されている。捩じりコイルバネ11Tにより、インサイドハンドル11が上下方向に延びるように保持されている。
【0051】
図14及び
図15に示すように、インサイドハンドル11は、その上端部を搭乗者が車両内側から後側に引く操作と、前側に押す操作とである第1操作によって、前後方向に揺動する。それに伴ってレバー11Lもインサイドハンドル11と一体で揺動する。
【0052】
図3〜6に示すように、チャイルドロックレバー12は、インサイドハンドル11の開操作を無効化するものである。チャイルドロックレバー12は、
図6に示すように、ベースプレート90の内面90A側に位置し、前後方向に延びている。チャイルドロックレバー12の中間部12Sは、ベースプレート90の前端側かつインサイドハンドル支持軸11Sより下側に揺動可能に支持されている。チャイルドロックレバー12の前端部は、車室内に露出している。
【0053】
チャイルドロックレバー12は、
図3等に示す位置にある前端部を搭乗者が車両内側から
図16に示す位置まで押し上げる操作と、それとは逆の操作とである第2操作とによって上下方向に揺動する。
【0054】
図1及び
図2に示すように、アウトサイドハンドル13は、スライドドア2を車両外側から開閉操作して、図示しない電動式スライド機構にスライドドア2を自動開閉させるものである。アウトサイドハンドル13は、その一部が車外に露出する状態で、スライドドア2の外面側に設けられている。アウトサイドハンドル13は、スライドドア2に変位可能に支持されている。アウトサイドハンドル13は、搭乗者が車両外側から引く第3操作によって変位する。アウトサイドハンドル13には、
図2〜5に示すように、上下方向に延びるロッド13Rの上端が連結されている。ロッド13Rの下端は、後述するリンク機構3のレバー41に連結されている。アウトサイドハンドル13が第3操作によって変位すると、ロッド13Rが
図3に示す位置から
図13に示す位置まで押し下げられる。
【0055】
図2に示すように、ドアロックレバー14は、インサイドハンドル11及びアウトサイドハンドル13の開操作を無効化するものである。ドアロックレバー14は、
図3〜6に示すように、ベースプレート90の内面90A側に位置し、車両内外方向に扁平なブロック形状とされている。ドアロックレバー14は、ベースプレート90の上端側かつインサイドハンドル支持軸11Sより後側に上下方向にスライド可能に支持されている。
【0056】
ドアロックレバー14は、
図3等に示す位置にある状態から、搭乗者が車両内側から
図17に示す位置まで押し下げる操作と、それとは逆の操作とによって上下方向に変位する。
【0057】
図2〜6に示すように、リンク機構3は、インサイドハンドル11、チャイルドロックレバー12、アウトサイドハンドル13及びドアロックレバー14と、ロック装置5、6、7との間に設けられている。リンク機構3は、インサイドハンドル11、チャイルドロックレバー12、アウトサイドハンドル13及びドアロックレバー14の変位に伴って動作し、ラッチ状態とアンラッチ状態との切替を選択的にロック装置5、6、7に行わせるものである。
【0058】
より詳しくは、
図3〜6に示すように、リンク機構3は、ベースプレート90に凸設された2本の支持軸31S、32Sを有している。支持軸31Sは、ベースプレート90の前端側かつ下端側の角部に固定され、ベースプレート90の内面90Aから車両内側に向かって円柱状に突出している。支持軸32Sは、ベースプレート90の略中央に固定され、ベースプレート90の内面90Aから車両内側に向かって円柱状に突出している。
【0059】
また、リンク機構3は、
図6に示すように、支持軸31Sに揺動可能に支持されるレバー41、42、43、44と、支持軸32Sに揺動可能に支持されるレバー51、52、53、54とを有している。
【0060】
レバー41、42、43、44は、車両外側から車両内側に向かってこの順番で重なった状態で支持軸31Sに挿通されている。また、支持軸31Sには、捩じりコイルバネ31Tも挿通されている。捩じりコイルバネ31Tは、レバー44を直接、また、レバー44を介して、レバー41、42、43を
図3の紙面に向かって反時計方向に揺動させるように付勢している。
【0061】
図6に示すように、レバー51、52、53、54は、車両外側から車両内側に向かってこの順番で重なった状態で支持軸32Sに挿通されている。レバー53の支持軸32Sから前側に突出する端部とベースプレート90との間には、引っ張りコイルバネ32Tが設けられている。引っ張りコイルバネ32Tは、レバー53を直接、また、レバー53を介して、レバー51、52、54を
図3の紙面に向かって反時計方向に揺動させるように付勢している。
【0062】
また、リンク機構3は、
図6に示すように、レバー56、57とスライドピン58、59とロッド61、62とを有している。
【0063】
レバー56は、ベースプレート90の内面90A側に位置している。レバー56は、円柱状の軸部56Sから前側と下側とに向けて突出している。レバー56の軸部56Sは、
図3に示すように、ベースプレート90の前端側かつドアロックレバー14より後側に揺動可能に支持されている。レバー56の前側に突出する端部は、ドアロックレバー14の下端側に連結されている。
【0064】
図6に示すように、レバー57は、ベースプレート90の内面90A側に位置している。レバー57は、中央部57Sから上側と下側と後側とに向けて突出している。レバー57の中央部57Sは、
図3に示すように、ベースプレート90におけるレバー56より下側に揺動可能に支持されている。レバー57の上側に突出する端部は、レバー56の下側に突出する端部に連結されている。
【0065】
図3に示すように、スライドピン58は、レバー52の前側かつ下側に突出する端部に形成された長穴52Hと、チャイルドロックレバー12の後端部に形成された長穴12Hとに嵌合している。スライドピン58は、長穴52Hの一端側から他端側までスライド可能であるとともに、長穴12Hの一端側から他端側までスライド可能である。
【0066】
スライドピン59は、レバー51の後側に突出する端部に形成された長穴51Hと、レバー57の下側に突出する端部に形成された長穴57Hとに嵌合している。スライドピン59は、長穴51Hの一端側から他端側までスライド可能であるとともに、長穴57Hの一端側から他端側までスライド可能である。
【0067】
図4に示すように、ロッド61は、その上端がレバー11Lの後側に向けて突出する端部に連結され、その下端がレバー42の後側に向けて突出する端部に連結されている。
【0068】
図5に示すように、ロッド62は、その下端がレバー43の前側かつ上側に向けて突出する端部に連結され、その上端がレバー54の前側かつ上側に向けて突出する端部に連結されている。
【0069】
さらに、リンク機構3は、
図3に示すように、ケーブル71、72、73、74を有している。
【0070】
ケーブル71の一端とケーブル72の一端とは、レバー51の上側に突出する端部に連結されている。
図2に示すように、ケーブル71の他端は、ロック装置6に連結されている。ケーブル72の他端は、ロック装置5に連結されている。
【0071】
図3に示すように、ケーブル73の一端は、レバー53の上側に突出する端部に連結されている。
図2に示すように、ケーブル73の他端は、ロック装置5に連結されている。
【0072】
図3に示すように、ケーブル74の一端は、レバー44の後側に突出する端部に連結されている。
図2に示すように、ケーブル74の他端は、ロック装置7に連結されている。
【0073】
さらに、ロックシステム1は、
図3及び
図4に示すように、自動施錠機構40と自動オープン機構50とを備えている。自動施錠機構40は、ベースプレート90における後端側かつレバー57より後側に組み付けられている。自動オープン機構50は、ベースプレート90における後端側かつレバー54より後側に組み付けられている。
【0074】
自動施錠機構40は、搭乗者がリモコンキー等により
図2に示すスライドドア2の施錠操作を行うと、図示しないコントローラに制御されてリンク機構3に作用し、アウトサイドハンドル13及びインサイドハンドル11の開操作を無効化する。なお、コントローラは、車両に搭載された電子機器を制御するものであり、ロックシステム1に対しても、給電や制御信号の送受信を行うようになっている。
【0075】
一方、自動施錠機構40は、搭乗者がリモコンキー等によりスライドドア2の開錠操作を行うと、コントローラに制御されてリンク機構3に作用し、インサイドハンドル11及びアウトサイドハンドル13の開操作を有効化する。
図3及び
図4に示す自動施錠機構40は、図示しない電動モータを内蔵しているとともに、その電動モータに駆動されて揺動するアクチュエータ40Aを有している。アクチュエータ40Aの前側に向かって突出する端部は、レバー57の後側に向かって突出する端部に連結されている。
【0076】
自動オープン機構50は、搭乗者がリモコンキー等によりスライドドア2の開操作又は閉操作を行うと、コントローラに制御されてリンク機構3に作用し、
図2に示すロック装置5、6、7をラッチ状態からアンラッチ状態に切り替える。
図3に示すように、自動オープン機構50は、図示しない電動モータを内蔵しているとともに、その電動モータに駆動されて揺動するアクチュエータ50Aを有している。また、自動オープン機構50は、アクチュエータ50Aと同軸で揺動可能に支持されたレバー50Lと、ロッド50Rとを有している。ロッド50Rは、レバー50Lの前側に向かって突出する端部と、レバー54の下側に向かって突出する端部とを連結している。
【0077】
次に、スイッチモジュール100について詳しく説明する。
図7に示すように、スイッチモジュール100は、樹脂製のハウジング190を有している。ハウジング190は、ハウジング本体199と蓋体198とからなっている。ハウジング本体199は、車両内側が開放された略箱状体である。蓋体198によってハウジング本体199を車両内側から塞いだ状態で、ハウジング本体199の周縁と蓋体198の周縁とを超音波溶着することにより、ハウジング本体199と蓋体198とが一体化されている。これにより、ハウジング190には、収容室191が形成されている。
【0078】
ハウジング190は、ハウジング本体199と蓋体198との超音波溶着により収容室191内を防水している。ハウジング本体199には、均圧部191Kが形成されている。均圧部191Kは、
図8に示すように、細孔191Hによって収容室191内と外部との圧力差を解消するとともに、下側に向かって広がる形状により、外部から細孔191Hを介して収容室191内に水が進入することを抑制している。
【0079】
図7に示すように、ハウジング本体199の前側と後側とには、取付部191M、191Nが凸設されている。取付部191M、191Nには取付穴が貫設されている。ハウジング190は、
図3に示すように、ベースプレート90の前端側かつ上下方向においてインサイドハンドル11とレバー41、42、43、44との間に位置する状態で、取付部191M、191Nの取付穴に図示しないネジが挿通され、そのネジがベースプレート90に締結される。これにより、スイッチモジュール100がベースプレート90に組み付けられている。
【0080】
また、スイッチモジュール100は、
図8に示すように、インサイドハンドルスイッチ101とチャイルドスイッチ102とアウトサイドハンドルスイッチ103とコネクタ170とスイッチ配線180、181、182、183、184、185とを収納している。
【0081】
インサイドハンドルスイッチ101、チャイルドスイッチ102及びアウトサイドハンドルスイッチ103としては、既製品であるマイクロスイッチが採用されている。インサイドハンドルスイッチ101、チャイルドスイッチ102及びアウトサイドハンドルスイッチ103は、収容室191の内部の略中央に収容されている。
【0082】
インサイドハンドルスイッチ101が本発明の第1スイッチに相当する。インサイドハンドルスイッチ101は、
図9〜12に示すように、第1起点101Aと、ハンドル開接点101Bと、ハンドル閉接点101Cとが配設されている。第1起点101Aには、可動部101Mがハンドル開接点101B又はハンドル閉接点101Cに接続するように揺動可能に設けられている。可動部101Mは、第1起点101Aをハンドル開接点101B及びハンドル閉接点101Cと接続しない中立位置に位置させることが可能になっている。インサイドハンドルスイッチ101は、
図8に示すように、可動部101Mを上側かつ前側に突出させている。
【0083】
チャイルドスイッチ102が本発明の第2スイッチに相当する。チャイルドスイッチ102は、
図9〜12に示すように、第2起点102Aと、ロック接点102Cと、アンロック接点102Bとが配設されている。第2起点102Aには、可動部102Mがロック接点102C又はアンロック接点102Bに接続するように揺動可能に設けられている。チャイルドスイッチ102は、
図8に示すように、インサイドハンドルスイッチ101より後側に位置して可動部102Mを上側に突出させている。
【0084】
アウトサイドハンドルスイッチ103が本発明の第3スイッチに相当する。アウトサイドハンドルスイッチ103は、
図9〜12に示すように、第3起点103Aと、第3接点103Bとが配設されている。第3起点103Aには、可動部103Mが第3接点103Bに接続するように揺動可能に設けられている。アウトサイドハンドルスイッチ103は、
図8に示すように、可動部103Mを前側に突出させている。アウトサイドハンドルスイッチ103は、インサイドハンドルスイッチ101より後側かつ、インサイドハンドルスイッチ101及びチャイルドスイッチ102の下側に位置している。
【0085】
図7及び
図8に示すように、スイッチ配線180は、その一端から延び、他端180P及び他端180Qに2本に分岐している。スイッチ配線180の一端はコネクタ170内に位置している。スイッチ配線180の他端180Pは、
図9〜12に示すように、インサイドハンドルスイッチ101の第1起点101Aに接続されている。スイッチ配線180の他端180Qはアウトサイドハンドルスイッチ103の第3起点103Aに接続されている。
【0086】
図7及び
図8に示すように、スイッチ配線181の一端はコネクタ170内に位置している。スイッチ配線181の他端は、
図9〜12に示すように、インサイドハンドルスイッチ101のハンドル閉接点101Cに接続されている。
【0087】
図7〜12に示すように、スイッチ配線182の一端はインサイドハンドルスイッチ101のハンドル開接点101Bに接続され、スイッチ配線182の他端はチャイルドスイッチ102の第2起点102Aに接続されている。つまり、インサイドハンドルスイッチ101のハンドル開接点101Bとチャイルドスイッチ102の第2起点102Aとは直列に接続されている。スイッチ配線180の他端180P、スイッチ配線181及びスイッチ配線182が第1スイッチ配線に相当する。
【0088】
図7及び
図8に示すように、スイッチ配線183の一端はコネクタ170内に位置している。スイッチ配線183の他端は、
図9〜12に示すように、チャイルドスイッチ102のアンロック接点102Bに接続されている。
【0089】
図7及び
図8に示すように、スイッチ配線184の一端はコネクタ170内に位置している。スイッチ配線184の他端は、
図9〜12に示すように、チャイルドスイッチ102のロック接点102Cに接続されている。スイッチ配線182、スイッチ配線183及びスイッチ配線184が第2スイッチ配線に相当する。
【0090】
図7及び
図8に示すように、スイッチ配線185の一端はコネクタ170内に位置している。スイッチ配線185の他端は、
図9〜12に示すように、アウトサイドハンドルスイッチ103の第3接点103Bに接続されている。スイッチ配線180の他端180Q及びスイッチ配線185が第3スイッチ配線に相当する。
【0091】
コネクタ170は、ハウジング190の後側かつ下側の角部に設けられている。コネクタ170は、収容室
191内に配設されたスイッチ配線180、181、182、183、184、185のそれぞれの一端を集約している。コネクタ170は、ハウジング190外で
図2に示す相手コネクタ179に接続される。相手コネクタ179は、コントローラに接続されている。
【0092】
さらに、
図7及び
図8に示すように、スイッチモジュール100は、インサイドハンドルスイッチ101に対応する第1伝達部110と、チャイルドスイッチ102に対応する第2伝達部120と、アウトサイドハンドルスイッチ103に対応する第3伝達部130とを有している。
【0093】
図7に示すように、第1伝達部110は、第1作用部111と第1動作部115とをもっている。ハウジング本体199の前側かつ上側には、軸孔110Hが車両内外方向に貫設されている。第1動作部115は、収容室191内に設けられ、円柱状の軸部115Sを軸孔110Hに挿通させている。軸部115Sと軸孔110Hとの間は、Oリング110Rにより封止されている。第1作用部111は、ハウジング190外に設けられ、軸部115Sの車両外側の端部に固定されている。要するに、第1作用部111と第1動作部115とは、軸孔110Hに揺動可能に支持されている。
【0094】
図5及び
図13に示すように、第1作用部111において、軸部115Sより上側に突出する端部は、レバー11Lの下側に突出する端部に連結されている。
図8に示すように、第1動作部115の軸部115Sより後側かつ下側に突出する端部は、可動部101Mを挟んでいる。
【0095】
また、
図7に示すように、第2伝達部120は、第2作用部121と第2動作部125とを有している。ハウジング本体199の上側かつ軸孔110Hより後側には、軸孔120Hが車両内外方向に貫設されている。第2動作部125は、収容室191内に設けられ、円柱状の軸部125Sを軸孔120Hに挿通させている。軸部125Sと軸孔120Hとの間は、Oリング120Rにより封止されている。第2作用部121は、ハウジング190外に設けられ、軸部125Sの車両外側の端部に固定されている。要するに、第2作用部121と第
2動作部125とは、軸孔120Hに揺動可能に支持されている。
【0096】
図5及び
図13に示すように、第2作用部121は、軸部115Sより上側で扇状に形成された歯部である。第2作用部121は、チャイルドロックレバー12の中間部12Sより下側に形成された扇状の歯部12Gと噛み合っている。
図8に示すように、第2動作部125の軸部125Sより後側かつ下側に突出する端部は、可動部102Mを挟んでいる。
【0097】
図7に示すように、第3伝達部130は、第3作用部131と第3動作部135とをもっている。ハウジング本体199の前側かつ下側には、軸孔130Hが車両内外方向に貫設されている。第3動作部135は、収容室191内に設けられ、円柱状の軸部135Sを軸孔130Hに挿通させている。軸部135Sと軸孔130Hとの間は、Oリング130Rにより封止されている。第3作用部131は、ハウジング190外に設けられ、軸部135Sの車両外側の端部に固定されている。要するに、第3作用部131と第3動作部135とは、軸孔130Hに揺動可能に支持されている。
【0098】
図5及び
図13に示すように、第3作用部131の軸部135Sより下側かつ後側に突出する端部は、レバー41の上側に突出する端部に連結されている。
図8に示すように、第3動作部135の軸部135Sより後側かつ上側に突出する端部は、可動部103Mの直上に位置している。
【0099】
<作動1>
このロックシステム1では、
図14に示すように、搭乗者が車両内側からインサイドハンドル11の上端部を後側に引く操作を行えば、レバー11Lが紙面に向かって反時計方向に揺動する。ここで、インサイドハンドル11の上端部を後側に引く操作が本発明の第1操作に相当する。
【0100】
これにより、レバー11Lがレバー53の被当接部53Qに当接し、レバー53が紙面に向かって時計方向に揺動する。すると、レバー53の揺動は、レバー53の伝達部53J、スライドピン58及びレバー52の長穴52Hを介してレバー52に伝達される。そして、レバー52の揺動は、レバー52の伝達部52J、スライドピン59及びレバー51の長穴51Hに介してレバー51に伝達される。このため、レバー51、52も紙面に向かって時計方向に揺動する。このため、ケーブル71、72、73が引かれ、ロック装置5、6をラッチ状態からアンラッチ状態に切り替える。
【0101】
この際、レバー11Lに連結された第1作用部111が前側に揺動する。このため、
図8に示すように、第1動作部115が上側に揺動し、インサイドハンドルスイッチ101の可動部101Mが上側に揺動する。これにより、
図10又は
図11に示すように、インサイドハンドルスイッチ101では、可動部101Mが第1起点101Aとハンドル開接点101Bとを接続する。
【0102】
このため、コントローラは、インサイドハンドル11が後側に引かれたことを検出し、スライドドア2が開放される指示を検出する。このため、図示しない電動式スライド機構を作動させ、スライドドア2を自動的に開放する。
【0103】
<作動2>
一方、
図15に示すように、搭乗者が車両内側からインサイドハンドル11の上端部を前側に押す操作を行えば、レバー11Lが紙面に向かって時計方向に揺動する。ここで、インサイドハンドル11の上端部を前側に押す操作も本発明の第1操作に相当する。
【0104】
この際、レバー11Lに連結された第1作用部111が後側に揺動する。このため、
図8に示すように、第1動作部115が下側に揺動し、インサイドハンドルスイッチ101の可動部101Mが下側に揺動する。これにより、
図12に示すように、インサイドハンドルスイッチ101では、可動部101Mが第1起点101Aとハンドル閉接点101Cとを接続する。
【0105】
このため、コントローラは、インサイドハンドル11が前側に押されたことを検出し、スライドドア2が閉鎖される指示を検出する。このため、図示しない電動式スライド機構を作動させ、スライドドア2を自動的に閉鎖する。
【0106】
この間、このロックシステム1では、
図15に示すように、レバー11Lの揺動がロッド61を介してレバー42に伝達され、レバー42が紙面に向かって時計方向に揺動する。すると、レバー42の揺動がレバー44の被当接部44Qを介してレバー44に伝達される。このため、レバー44も紙面に向かって時計方向に揺動し、ケーブル74が引かれ、ロック装置7をラッチ状態からアンラッチ状態に切り替える。そして、スライドドア2の閉鎖に伴い、ロック装置5、6がアンラッチ状態からラッチ状態に切り替わる。
【0107】
<作動3>
搭乗者がインサイドハンドル11の操作を止めると、
図8に示すように、第1動作部115は可動部101Mを中立位置に復帰させる。これにより、
図9に示すように、インサイドハンドルスイッチ101の可動部101Mが第1起点101Aとハンドル開接点101B及びハンドル閉接点101Cとを遮断する。
【0108】
つまり、インサイドハンドルスイッチ101は、インサイドハンドル11とリンク機構3との間に設けられ、インサイドハンドル11の変位を二位置で検出可能である。このため、インサイドハンドルスイッチ101をOFF状態にすることが可能となり、このロックシステム1をより確実に操作可能となっている。
【0109】
<作動4>
さらに、このロックシステム1では、
図16に示すように、搭乗者がチャイルドロックレバー12の前端部を押し上げれば、チャイルドロックレバー12の後端部がスライドピン58をレバー53の伝達部53Jから離間させる。ここで、チャイルドロックレバー12の前端部を押し上げる操作が本発明の第2操作に相当する。
【0110】
これにより、レバー53の伝達部53Jがスライドピン58に対して空振りし、レバー53の揺動がレバー52に伝達されなくなる。こうして、チャイルドロックレバー12は、搭乗者がインサイドハンドル11の上端部を車両内側から後側に引く操作を無効化する。
【0111】
この際、チャイルドロックレバー12の歯部12Gを介し、その変位が第2作用部121に伝達される。このため、
図8に示すように、第2作用部121は前側に揺動する。これにより、第2動作部125は上側に揺動し、チャイルドスイッチ102の可動部102Mが上側に揺動する。このため、
図10に示すように、チャイルドスイッチ102の可動部102Mが第2起点102Aとアンロック接点102Bとを接続する。
【0112】
このため、コントローラは、チャイルドスイッチ102がOFFになったことにより、チャイルドロックレバー12の前端部を押し上げる操作が行われたことを検出し、スライドドア2の状態把握や自動開閉等の制御に利用する。
【0113】
<作動5>
さらに、このロックシステム1では、
図17に示すように、搭乗者がチャイルドロックレバー12の前端部を押し下げれば、チャイルドロックレバー12の後端部がスライドピン58をレバー53の伝達部53Jに当接させる。ここで、チャイルドロックレバー12の前端部を押し下げる操作も本発明の第2操作に相当する。
【0114】
これにより、レバー53の伝達部53Jがスライドピン58に対して干渉し、レバー53の揺動がレバー52に伝達される。こうして、チャイルドロックレバー12は、搭乗者がインサイドハンドル11の上端部を車両内側から後側に引く操作を有効化する。
【0115】
この際、チャイルドロックレバー12の歯部12Gを介し、その変位が第2作用部121に伝達される。このため、
図8に示すように、第2作用部121は後側に揺動する。これにより、第2動作部125は下側に揺動し、チャイルドスイッチ102の可動部102Mが下側に揺動する。このため、
図11及び
図12に示すように、チャイルドスイッチ102の可動部102Mが第2起点102Aとロック接点102Cとを接続する。
【0116】
このため、コントローラは、チャイルドスイッチ102がONになったことにより、チャイルドロックレバー12の前端部を押し下げる操作が行われたことを検出し、スライドドア2の状態把握や自動開閉等の制御に利用する。
【0117】
つまり、チャイルドスイッチ102によってチャイルドロックレバー12の変位を検出可能である。
【0118】
<作動6>
また、このロックシステム1では、
図2に示すように、搭乗者が車両外側からアウトサイドハンドル13を引けば、
図13に示すように、ロッド13Rが押し下げられる。ここで、アウトサイドハンドル13を引く操作は本発明の第3操作に相当する。
【0119】
これにより、レバー41が紙面に向かって時計方向に揺動する。その結果、第3作用部131が前側に揺動する。このため、
図8に示すように、第3動作部135は下側に揺動し、アウトサイドハンドルスイッチ103の可動部103Mが下側に揺動する。これにより、
図9〜12に示すように、アウトサイドハンドルスイッチ103の可動部103Mが第3起点103Aと第3接点103Bとを接続する。
【0120】
このため、コントローラは、アウトサイドハンドル13が引かれたことを検出し、スライドドア2が開放される指示を検出する。このため、図示しない電動式スライド機構を作動させ、スライドドア2を自動的に開放する。
【0121】
<作動7>
搭乗者がアウトサイドハンドル13を引く操作を止めると、
図14〜17に示すように、ロッド13Rが上がり、レバー41が紙面に向かって反時計方向に揺動する。その結果、
図8に示すように、第3作用部131は後側に揺動する。すると、第3動作部135は上側に揺動し、アウトサイドハンドルスイッチ103の可動部103Mが上側に揺動する。これにより、アウトサイドハンドルスイッチ103の可動部103Mが第3起点103Aと第3接点103Bとを遮断する。
【0122】
つまり、アウトサイドハンドルスイッチ103は、アウトサイドハンドル13の変位を検出可能である。
【0123】
<作動8>
さらに、このロックシステム1では、
図17に示すように、搭乗者が車両内側からドアロックレバー14を押し下げる操作を行うと、レバー57がスライドピン59をレバー52の伝達部52Jから離間させる。ここで、ドアロックレバー14を押し下げる操作が本発明の第4操作に相当する。
【0124】
これにより、搭乗者がアウトサイドハンドル13を車両外側から引く操作又はインサイドハンドル11の上端部を車両内側から後側に引く操作を行っても、レバー52の伝達部52Jがスライドピン59に対して空振りし、レバー52の揺動がレバー51に伝達されなくなる。こうして、ドアロックレバー14はそれらの操作を無効化する。
【0125】
なお、搭乗者がリモコンキー等によりスライドドア2の自動施錠操作を行うと、
図13に示すように、コントローラに制御されて自動施錠機構40が作動し、アクチュエータ40Aを紙面に向かって時計方向に揺動させる。すると、レバー57も揺動し、スライドピン59をレバー52の伝達部52Jから離間させる。また、レバー56を介し、ドアロックレバー14を引き下げる。その結果、スライドドア2が自動的に施錠される。また、自動施錠機構40が逆の動作を行うことにより、スライドドア2が自動的に開錠される。
【0126】
<作用効果>
実施例1のロックシステム1では、インサイドハンドルスイッチ101のハンドル開接点101Bとチャイルドスイッチ102の第2起点102Aとが直列に接続されているため、インサイドハンドル11の変位を検出するためにインサイドハンドルスイッチ101を採用し、かつチャイルドロックレバー12の変位を検出するためにチャイルドスイッチ102を採用していても、1本のスイッチ配線を省略することができる。
【0127】
また、このロックシステム1では、リンク機構3を採用しているため、インサイドハンドルスイッチ101、チャイルドスイッチ102及びアウトサイドハンドルスイッチ103の配置場所に自由度が得られている。
【0128】
また、このロックシステム1では、インサイドハンドルスイッチ101、チャイルドスイッチ102及びアウトサイドハンドルスイッチ103がハウジング190の収容室191に収容されている。
【0129】
そして、インサイドハンドルスイッチ101は、ハウジング190外に設けられた第1作用部111と収容室191内に設けられた第1動作部115とをもつ第1伝達部110によって断接され、インサイドハンドル11の変位を検出する。
【0130】
また、チャイルドスイッチ102は、ハウジング190外に設けられた第2作用部121と収容室191内に設けられた第2動作部125とをもつ第2伝達部120によって断接され、チャイルドロックレバー12の変位を検出する。
【0131】
さらに、アウトサイドハンドルスイッチ103は、ハウジング190外に設けられた第3作用部131と収容室191内に設けられた第3動作部135とをもつ第3伝達部130によって断接され、アウトサイドハンドル13の変位を検出する。
【0132】
また、インサイドハンドルスイッチ101にスイッチ配線180の他端180P、スイッチ配線181及びスイッチ配線182が接続されている。また、チャイルドスイッチ102にスイッチ配線182、スイッチ配線183及びスイッチ配線184が接続されている。さらに、アウトサイドハンドルスイッチ103にスイッチ配線180の他端180Q及びスイッチ配線185が接続されている。そして、スイッチ配線180、スイッチ配線181、スイッチ配線183、スイッチ配線184及びスイッチ配線185がコネクタ170により収容室191内で集約されている。そして、そのコネクタ170がハウジング190外で相手コネクタ179に接続されることにより、インサイドハンドルスイッチ101、チャイルドスイッチ102及びアウトサイドハンドルスイッチ103と外部との電気的接続が行われる。
【0133】
このため、インサイドハンドルスイッチ101、チャイルドスイッチ102、アウトサイドハンドル103及びハウジング190がスイッチモジュール100を構成する。このため、このスイッチモジュール100のハウジング190をロックシステム1に組み付け、コネクタ170に相手コネクタ179を接続するだけで組み付け作業が完了する。このため、ロックシステム1に対するインサイドハンドルスイッチ101、チャイルドスイッチ102、アウトサイドハンドル103及びスイッチ配線180〜185の組み付け作業を簡素化できる。また、ロックシステム1を車両に組み付ける際、収容室191内のインサイドハンドルスイッチ101、チャイルドスイッチ102、アウトサイドハンドル103及びスイッチ配線180〜185が他の部材と接触しないため、インサイドハンドルスイッチ101、チャイルドスイッチ102及びアウトサイドハンドル103が破損し難く、また、これらが断線し難い。
【0134】
特に、ハウジング190が収容室191内を防水しているため、インサイドハンドルスイッチ101、チャイルドスイッチ102及びアウトサイドハンドル103として防水仕様でない安価なスイッチを採用できるので、製造コストの低廉化を実現できる。
【0135】
したがって、このロックシステム1によれば、組み付け作業の簡素化と、製造コストの低廉化とを実現できる。
【0136】
(実施例2)
<構成>
図18に示すように、実施例2のロックシステム200は、開閉体の一例としての車両のテールゲート201に適用されている。テールゲート201は、上端に位置する図示しない枢軸を揺動軸心とし、図示しない電動式揺動機構により自動的に揺動するようになっている。後述するように、搭乗者がテールゲート201の開閉操作を行うと、電動式揺動機構が作動してテールゲート201を揺動させ、車両の後方の開口を自動的に開閉する。
【0137】
ロックシステム200は、テールゲート201の下方の車内側に配設されている。そして、このロックシステム200は、後述する通り、フォーク203がストライカ205を係止したり、係止を解除することにより、テールゲート201を閉じたまま保持するラッチ状態と、テールゲート201を開くことができるアンラッチ状態とに切り替えることができるようになっている。
【0138】
ロックシステム200は、ロックシステム本体207と、第1ケース209と、第2ケース211と、コネクタ213とを備えている。
【0139】
図19に示すように、ロックシステム本体207は、鋼板が折り曲げ加工されてなるベースプレート207aを有している。ベースプレート207aはテールゲート201の下側端面に締結固定される。このベースプレート207aには、下端縁中央から上方に向けて溝状に切り欠かれた進入口207bが形成されている。進入口207bには、
図18に示すように、テールゲート201の開閉に伴ってロックシステム200が移動する際、車体9に固定されたストライカ205が相対的に進入するようになっている。
【0140】
また、ベースプレート207aには、
図19に示すように、フォーク軸203a回りで揺動可能なフォーク203と、ポール軸215a回りで揺動可能なポール215とが設けられている。これらフォーク203及びポール215はロックシステム本体207内に位置している。フォーク203及びポール215は周知の構造を有している。
【0141】
第1、2ケース209、211は樹脂からなる略箱形状のものである。第1、2ケース209、211は、本発明の「ハウジング」の一例である。第1、2ケース209、211は、ベースプレート207aに固定されている。第1、2ケース209、211により
図19に示す収容室206が形成されている。収容室206は防水されている。収容室206内には、切替レバー217と、ギヤ機構219と、電動モータ221とが収容されている。
【0142】
切替レバー217は、上端に扇状の歯車が形成された扇型歯車217aと、下方に延びる細長い板形状の当接部217bとを有している。切替レバー217は、揺動軸217cに揺動可能に軸支されている。当接部217bは、第1、2ケース209、211から下方に突出し、ポール215に当接できるようになっている。
【0143】
ギヤ機構219は、ウォーム223と、同軸ギヤ225とからなる。ウォーム223は電動モータ221の回転軸に固定されている。同軸ギヤ225はギヤ軸225c回りで回動可能になっている。同軸ギヤ225には、ウォームホイール225aと小径ギヤ225bとがギヤ軸225cと同軸にかつ一体に形成されている。ウォームホイール225aはウォーム223と噛み合っている。
【0144】
ウォームホイール225aの後面側には、リターンスプリング233が配設されている。リターンスプリング233の一端は、第1ケース209からウォームホイール225aの後面側に向けて凸設された第1ケース側係止部235aに係止されている。他方、リターンスプリング233の他端は、ウォームホイール225aの後面側から第1ケース209に向けて凸設されたウォームホイール側係止部235bに係止されている。ウォームホイール225aは、リターンスプリング233により時計方向に回転するように付勢されている。
【0145】
また、小径ギヤ225bは、切替レバー217の扇型歯車217aと噛み合っている。
【0146】
電動モータ221には、収容室206内に配設されたスイッチ配線227、229の一端側が電気的に接続されている。また、スイッチ配線227、229の他端側は、コネクタ213内に突出している。コネクタ213内に突出したスイッチ配線227、229は、
図18に示すワイヤーハーネス231と接続されている。
【0147】
図19に示すように、コネクタ213は、第1、2ケース209、211の左側面に一体に設けられている。コネクタ213は、ワイヤハーネス231を介して、
図18に示す車両内に設けられたコントローラ237に接続されている。コントローラ237は、ワイヤハーネス231及びコネクタ213を介して、
図19に示す電動モータ221に給電している。
【0148】
図18に示すように、テールゲート201には、ロックシステム200、コントローラ237及びワイヤハーネス231の他に、オープンスイッチ239と、キーシリンダ241と、シリンダスイッチ243と、スイッチ配線245、246、247、248とが配設されている。
【0149】
オープンスイッチ239は、ロックシステム200の上方に位置し、テールゲート201を開操作するためのスイッチである。オープンスイッチ239は、テールゲート201の内側に収容されており、テールゲート201の内側に設けられた図示しない支持部材に支持されている。オープンスイッチ239が本発明の第1スイッチ及び開操作部材に相当する。
【0150】
図20に示すように、オープンスイッチ239には、第1起点239aと、開接点239bと、閉接点239cとが配設されている。開接点239bは、第1起点239aと断接可能である。また、閉接点239cは、第1起点239aが開接点239bに接続されていない場合に第1起点239aと断接可能である。オープンスイッチ239は、
図19に示す可動部239m
を突出させている。
【0151】
図18に示すように、キーシリンダ241は、テールゲート201を施錠及び解錠操作を行うことが可能である。キーシリンダ241は、ロックシステム200とオープンスイッチ239との間に位置している。キーシリンダ241は、テールゲート201から外部に露出している。キーシリンダ241は、テールゲート201の内側に収容されており、テールゲート201の内側に設けられた図示しない支持部材に支持されている。キーシリンダ
241が本発明のロック操作部材に相当する。
【0152】
シリンダスイッチ243は、キーシリンダ241の下方に位置し、
図19に示すように、上方に向けて可動部243mを突出させている。シリンダスイッチ243は、テールゲート201の内側に設けられた図示しない支持部材に支持されている。キーシリンダ241から下側に突出するシリンダ動作部241aは、可動部243mを挟んでいる。シリンダスイッチ243が本発明の第2スイッチに相当する。
【0153】
図20に示すように、シリンダスイッチ243は、第2起点243aと、ロック接点243bと、アンロック接点243cとが配設されている。第2起点243aは、オープンスイッチ239の閉接点239cと直列接続されている。第2起点243aには、可動部243mがロック接点243b又はアンロック接点243cに断接するように揺動可能に設けられている。ロック接点243bは、第2起点243aと断接可能である。アンロック接点243cは、第2起点243aがロック接点243bに接続されていない場合に第2起点243aと断接可能である。
【0154】
スイッチ配線245の一端は、オープンスイッチ239の第1起点239aに接続されている。スイッチ配線245の他端は、
図18に示すコントローラ237に接続されている。スイッチ配線246の一端は、
図20に示すように、オープンスイッチ239の閉接点239cに接続されている。スイッチ配線246の他端は、シリンダスイッチ243の第2起点243aに接続されている。スイッチ配線245、246が第1スイッチ配線に相当する。
【0155】
スイッチ配線247の一端は、シリンダスイッチ243のロック接点243bに接続されている。スイッチ配線247の他端は、コントローラ237に接続されている。スイッチ配線248の一端は、シリンダスイッチ243のアンロック接点243cに接続されている。スイッチ配線248の他端は、コントローラ237に接続されている。スイッチ配線246、247、248が第2スイッチ配線に相当する。
【0156】
電動モータ221がオープンスイッチ239及びシリンダスイッチ243と並列に接続されている。すなわち、第1起点239a、開接点239b、閉接点239c、第2起点243a、ロック接点243b及びアンロック接点243cは、電動モータ221と並列に接続されている。他の構成は実施例1と同様である。
【0157】
<作動>
図18に示すように、このロックシステム1では、車両のテールゲート201が後方の開口を閉じている場合、ストライカ205が進入口207bに侵入し、
図19に示すフォーク203及びポール215が進入口207bを左右から挟む。この時、フォーク203がポール215を揺動しないように固定し、ラッチ状態となっている。
【0158】
このロックシステム1では、搭乗者がキーシリン
ダ241を反時計周りに回動させれば、シリンダ動作部241aが反時計回りに回動するとともに可動部243mが
左方に移動する。このとき、
図20に示すように、シリンダスイッチ243において、第2起点243aがアンロック接点243cに接続される。そして、搭乗者が車両外側からオープンスイッチ239を押せば、オープンスイッチ239の可動部239mが開接点239bから閉接点239cに揺動し、第1起点239aが閉接点239cと接続される。
【0159】
こうして、
図18に示すように、コントローラ237は、
図19に示す電動モータ221を駆動させる。そして、ウォーム223が回動し、同軸ギヤ225の反時計回りに回転する。このため、小径ギヤ225bが反時計回りに回動し、扇型歯車217aが時計回りに回動する。このとき、切替レバー217の当接部217bがポール215を反時計回りに揺動する。このため、フォーク203は、ポール215による係止が外れ、反時計回りに回動する。その結果、ストライカ205がアンラッチ状態となる。こうして、車両の後方のテールゲート201は、電動式揺動機構によって自動的に開かれる。
【0160】
また、このロックシステム1では、搭乗者がキーシリン
ダ241を開操作しなければ、
図20に示すように、シリンダスイッチ243がロック接点243bに接続されている状態、すなわちストライカ205がラッチ状態のままである。このため、車両の外側からオープンスイッチ239を押したとしても、キーシリン
ダ241が開操作されない限り、テールゲート201が開かれることはない。
【0161】
<作用効果>
このロックシステム200では、オープンスイッチ239が第1起点239aに対して断接可能な開接点239bと閉接点239cとを有し、シリンダスイッチ243が第2起点243aに対して断接可能なロック接点243bとアンロック閉接点243cとを有している。このため、1本のスイッチ配線を省略することができる。他の作用効果は実施例1と同様である。
【0162】
(実施例3)
<構成>
実施例3のロックシステム202では、
図21に示すように、テールゲート201にコントローラ237、ワイヤハーネス231、オープンスイッチ239、キーシリンダ241及びシリンダスイッチ243が配設されている他、スイッチ配線246、249、250、251が配設されている。
【0163】
図22に示すように、スイッチ配線249の一端は、オープンスイッチ239の第1起点239aに接続されている。スイッチ配線249の他端は、
図21に示す第1、2ケース209、211に形成された収容室206を通過し、コネクタ213内に突出している。スイッチ配線246、249が第1スイッチ配線に相当する。
【0164】
図22に示すように、スイッチ配線250の一端は、シリンダスイッチ243のロック接点243bに接続されている。スイッチ配線250の他端は、
図21に示す第1、2ケース209、211に形成された収容室206を通過し、コネクタ213内に突出している。
図22に示すように、スイッチ配線251の一端は、シリンダスイッチ243のアンロック接点243cに接続されている。スイッチ配線251の他端は、収容室206内の電動モータ221に接続されている。シリンダスイッチ243のアンロック接点243cは、モータ221と直列に接続されている。スイッチ配線250、251が第2スイッチ配線に相当する。他の構成は実施例2と同様である。
【0165】
<作動>
このロックシステム202においても、実施例2のロックシステム200と同様に作動する。
【0166】
<作用効果>
このロックシステム202では、電動モータ221がシリンダスイッチ243のアンロック接点243cに直列に接続されているため、テールゲート201をより確実に操作可能になる。また、電動モータ221がアンロック接点243cに直列に接続されれば、少なくとも1本のスイッチ配線を省略することが可能となり、スイッチ配線をより簡素化することができる。
【0167】
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。