(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
含水固形物、温水及び気体媒体が供給され、前記温水及び前記気体媒体を熱源として前記含水固形物を加熱し、前記含水固形物に含まれる水が蒸発を始めるまで予熱する予熱熱交換器と、
前記予熱熱交換器にて予熱された前記含水固形物、水蒸気及び圧縮後水蒸気が供給され、前記水蒸気にて前記含水固形物の流動層の流動化状態を形成するとともに前記圧縮後水蒸気を熱源として前記流動層にある前記含水固形物を加熱し、前記含水固形物に含まれる水を蒸発させて水蒸気とし、前記含水固形物から水を分離して乾燥した固形物とする流動層乾燥機と、
前記流動層乾燥機にて乾燥された前記固形物、及び気体媒体が供給され、前記気体媒体を冷熱源として前記固形物を冷却し、前記固形物から前記気体媒体に熱を回収する熱回収熱交換器と、
前記熱回収熱交換器にて熱を回収した前記気体媒体を圧縮により昇温するガス圧縮機と、
を含み、前記流動層乾燥機からは水蒸気が回収され、その一部が水蒸気として、その残りが圧縮により昇温された圧縮後水蒸気として、ともに前記流動層乾燥機に供給され、前記流動層乾燥機に供給された前記圧縮後水蒸気の少なくとも一部は凝縮して温水となり、前記ガス圧縮機にて昇温された前記気体媒体とともに前記予熱熱交換器に供給される含水固形物乾燥装置。
前記流動層乾燥機から回収された水蒸気の前記残りを圧縮により昇温した圧縮後水蒸気を前記流動層乾燥機に供給する蒸気圧縮機をさらに含む請求項1または2に記載の含水固形物乾燥装置。
前記流動層乾燥機は伝熱管をさらに含み、前記圧縮後水蒸気は前記伝熱管に供給され、前記伝熱管を介して放熱し、凝縮して温水になる請求項1〜3のいずれか一項に記載の含水固形物乾燥装置。
前記予熱熱交換器にて前記含水固形物を予熱した前記気体媒体が供給され、前記気体媒体の圧力によって駆動される圧力回収タービンをさらに含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の含水固形物乾燥装置。
含水固形物、温水及び気体媒体が供給され、前記温水及び前記気体媒体を熱源として前記含水固形物を加熱し、前記含水固形物に含まれる水が蒸発を始めるまで予熱する予熱熱交換器と、
前記予熱熱交換器にて予熱された前記含水固形物、水蒸気及び圧縮後水蒸気が供給され、前記水蒸気にて前記含水固形物の流動層の流動化状態を形成するとともに前記圧縮後水蒸気を熱源として前記流動層にある前記含水固形物を加熱し、前記含水固形物に含まれる自由水を蒸発させて水蒸気とし、前記含水固形物から自由水を分離する自由水乾燥流動層乾燥機と、
前記自由水乾燥流動層乾燥機にて自由水が分離された前記含水固形物、水蒸気及び圧縮後水蒸気が供給され、前記水蒸気にて前記含水固形物の流動層の流動化状態を形成するとともに前記圧縮後水蒸気を熱源として前記流動層にある前記含水固形物を加熱し、前記含水固形物に含まれる結合水を蒸発させて水蒸気とし、自由水及び結合水を分離して乾燥した固形物とする結合水乾燥流動層乾燥機と、
前記自由水乾燥流動層乾燥機及び前記結合水乾燥流動層乾燥機にて乾燥された前記固形物、及び気体媒体が供給され、前記気体媒体を冷熱源として前記固形物を冷却し、前記固形物から前記気体媒体に熱を回収する熱回収熱交換器と、
前記熱回収熱交換器にて熱を回収した前記気体媒体を圧縮により昇温するガス圧縮機と、
を含み、前記自由水乾燥流動層乾燥機及び前記結合水乾燥流動層乾燥機からはそれぞれ水蒸気が回収され、その一部が水蒸気として、その残りが圧縮により昇温された圧縮後水蒸気として、ともに各流動層乾燥機にそれぞれ供給され、各流動層乾燥機に供給された前記圧縮後水蒸気の少なくとも一部はそれぞれ凝縮して温水となり、前記ガス圧縮機にて昇温された前記気体媒体とともに前記予熱熱交換器に供給される含水固形物乾燥装置。
前記結合水乾燥流動層乾燥機は、複数段の流動層乾燥機を含み、各段の流動層乾燥機には前段からの前記含水固形物がそれぞれ供給され、各段の流動層乾燥機からはそれぞれ水蒸気が回収され、その一部が水蒸気として、その残りが圧縮により昇温された圧縮後水蒸気として、ともに各段の流動層乾燥機にそれぞれ供給され、各段の流動層乾燥機に供給された前記圧縮後水蒸気の少なくとも一部はそれぞれ凝縮して温水となり、各段の流動層乾燥機にて前記含水固形物から順次に結合水を分離する請求項8または9に記載の含水固形物乾燥装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明に係る含水固形物乾燥装置の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
この明細書においては、特に言及する場合を除いて、被乾燥体の含水固形物に含まれ、加熱して乾燥する対象になる水は、含水固形物において組織と結合をしていない自由水を指すものとする。含水固形物において組織と結合をしている結合水を乾燥する場合には、別途その旨を記載する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の乾燥装置の構成を示す図である。第1の実施の形態の乾燥装置は、含水固形物を乾燥物にするものであって、その過程において含水固形物に供給した潜熱と顕熱をともに回収して再利用することにより、エネルギー消費を低減するものである。
【0019】
この乾燥装置で処理する含水固形物には、汚泥、褐炭、バイオマスが含まれ、バイオマスには麦、ゴマ、米が含まれるが、これらに限定されない。また、以下の乾燥装置の説明において、構成要素等に関連して温度を例示するが、これらの温度は一例を示すものであって、これらに限定されない。
【0020】
この乾燥装置は、原料の被乾燥体として供給される含水固形物を予熱する予熱熱交換器11、予熱熱交換器11にて予熱された含水固形物に含まれる水を蒸発させて乾燥体の固形物とする流動層乾燥機12、流動層乾燥機12から供給された固形物から熱を回収する熱回収熱交換器15を有している。
【0021】
また、この乾燥装置は、流動層乾燥機12から回収された水蒸気の一部を流動層乾燥機12に供給して流動層の流動化状態を確保するブロワ14、回収された水蒸気の残りを断熱圧縮により圧縮後水蒸気として流動層乾燥機12に供給する蒸気圧縮機13を有している。
【0022】
さらに、この乾燥装置は、熱回収熱交換器15にて熱を回収した気体媒体を断熱圧縮により加熱して予熱熱交換器11に供給するガス圧縮機16、予熱熱交換器11から供給された気体媒体の圧力にて駆動される圧力回収タービン17、圧力回収タービン17にて回収された動力をガス圧縮機16に供給する動力回収機構18を有している。
【0023】
予熱熱交換器11には、室温の30℃の含水固形物が供給される。予熱熱交換器11において、30℃の含水固形物は、流動層乾燥機12から供給された110℃の温水、ガス圧縮機16から供給された110℃の気体熱媒を熱源として吸熱し、この含水固形物に含まれる水が蒸発を始める100℃まで昇温される。
【0024】
この予熱熱交換器11に供給された110℃の温水は放熱して45℃まで降温して排水として排出され、同じく供給された110℃の気体媒体も放熱して45℃まで降温されて圧力回収タービン17に送られる。
【0025】
この予熱熱交換器11には、胴体内において含水固形物を回転するスクリューフィーダーで搬送しつつ、スクリュー回転軸や胴体に配された伝熱管等を通じて熱交換させる熱交換器を使用することができる。この場合、熱交換器の胴体内を搬送される含水固形物は、伝熱管を流れる温水と胴体内を流れる気体媒体を熱源として熱交換することができる。
【0026】
この予熱熱交換器11はこのような熱交換器に限定されず、他の熱交換器を使用することができる。例えば、予熱熱交換器11に流動層熱交換器を使用する場合、容器に格納された含水固形物は、供給された気体媒体により流動化状態を形成され、流動化状態にある含水固形物はこの気体媒体と容器に配された伝熱管を流れる温水を熱源として熱交換することができる。
【0027】
予熱熱交換器11にて100℃まで昇温された含水固形物は、流動層乾燥機12に供給される。流動層乾燥機12には、この流動層乾燥機12から回収された100℃の水蒸気の一部が、ブロワ14によりこの流動層乾燥機12において含水固形物の流動層の流動化状態を形成するために供給されている。回収された水蒸気の残りは、蒸気圧縮機13により断熱圧縮された150℃の圧縮後水蒸気としてこの流動層乾燥機12に配された伝熱管に供給されている。
【0028】
流動層乾燥機12において、予熱熱交換器11から供給された100℃の含水固形物は、ブロワ14から供給された100℃の水蒸気によって流動層に形成され、流動化状態にある含水固形物は伝熱管を介して150℃の圧縮後水蒸気を熱源として加熱される。そして、この含水固形物に含まれる水が蒸発して水蒸気として分離され、含水固形物は100℃の乾燥体の固形物とされる。
【0029】
流動層乾燥機12にブロワ14から供給された100℃の水蒸気は、この流動層乾燥機12において含水固形物から蒸発した100℃の水蒸気とともに回収されて蒸気圧縮機13とブロワ14に送られる。流動層乾燥機12の伝熱管に蒸気圧縮機13から供給された150℃の水蒸気は、伝熱管において放熱し、凝縮して110℃の温水となり予熱熱交換器11に送られる。
【0030】
流動層乾燥機12にて乾燥された100℃の固形物は、熱回収熱交換器15に供給される。熱回収熱交換器15において、100℃の固形物は、室温の30℃の空気などの気体媒体を冷熱源として冷却されて放熱し、室温近くの40℃まで降温される。そして、最終的な乾燥体の固形物としてこの乾燥装置から提供される。
【0031】
この熱回収熱交換器15には、予熱熱交換器11と同様に、スクリューフィーダー、流動層熱交換器など種々の熱交換器を使用することができる。流動層熱交換器を使用する場合、容器に格納された固形物は、供給された気体媒体により流動化状態を形成され、流動化状態にある含水固形物はこの気体媒体を冷熱源として熱交換することができる。
【0032】
この熱回収熱交換器15に供給された30℃の気体媒体は、吸熱して90℃まで昇温され、ガス圧縮機16に送られる。ガス圧縮機16において、熱回収熱交換器15から供給された90℃の気体媒体は、断熱圧縮されて110℃まで昇温され、予熱熱交換器11に送られる。
【0033】
予熱熱交換器11に送られた110℃の気体媒体は、放熱して45℃まで降温され、圧力回収タービン17に送られる。圧力回収タービン17において、気体媒体は断熱膨張によりこの圧力回収タービン17を駆動し、35℃まで降温された排気として排出される。
【0034】
圧力回収タービン17は、動力回収機構18によってガス圧縮機16に連結されている。ガス圧縮機16は、この動力回収機構18を通じて、圧力回収タービン17にて回収された動力によって駆動されている。動力回収機構18は、圧力回収タービン17とガス圧縮機16の両者を同軸上に連結するものであってもよいが、これに限られない。動力回収機構18は、圧力回収タービン17で得られた回収された動力によって圧力回収タービン17を駆動することができる適当な機構であればよい。
【0035】
この乾燥装置においては、流動層乾燥機12を採用し、被乾燥体である含水固形物を流動層の流動化状態として熱交換を行うことにより、熱源の圧縮後水蒸気と含水固形物との間において高い熱交換の効率を確保している。したがって、流動層乾燥機12の小型化が可能であり、ひいては乾燥機全体の小型化を図ることができる。また、予熱熱交換器11と熱回収熱交換器15の少なくとも一方にも流動層乾燥機を採用することにより、乾燥装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0036】
この乾燥装置においては、流動層乾燥機12から排出された水蒸気を断熱圧縮した圧縮後水蒸気を流動層乾燥機12に熱源として供給することにより、この流動層乾燥機12において含水固形物に含まれる水が蒸発する際に吸収した潜熱を含水固形物の水分を蒸発させるために供給する潜熱に再利用している。流動層乾燥機12に熱源として供給する圧縮後水蒸気は空気などのガスと比べると熱容量が大きく、熱交換の効率を高め、ひいてはエネルギー消費を低減することができる。
【0037】
また、この乾燥装置においては、熱回収熱交換器15にて熱を回収した気体媒体を断熱圧縮して予熱熱交換器11の熱源として供給することにより、熱回収熱交換器15にて回収した含水固形物の顕熱を予熱熱交換器11にて含水固形物を予熱するために供給する顕熱に再利用している。さらに、予熱熱交換器11の熱源として流動層乾燥機12から供給された温水を使用し、予熱熱交換器11から供給された気体媒体を圧力回収タービン17にて動力として回収することによって熱の再利用を図っている。
【0038】
このように、この乾燥装置においては、蒸気再圧縮、温水熱回収、乾燥体熱回収及び気体媒体圧縮の各工程により熱を回収して再利用している。したがって、この乾燥装置においては、熱効率の向上とともに消費エネルギーの低減が達成されている。
【0039】
(第2の実施の形態)
図2は、第2の実施の形態の含水固形物乾燥装置の概略的な構成を示すブロック図である。第2の実施の形態の乾燥装置は、単一の流動層乾燥機12を有する第1の実施の形態とは異なり、自由水乾燥流動層乾燥機22と結合水乾燥流動層乾燥機32を備え、含水固形物に含まれる自由水のみならず結合水も乾燥させるものである。この第2の実施の形態の乾燥装置は、これら自由水乾燥流動層乾燥機22と結合水乾燥流動層乾燥機32、及びこれらの流動層乾燥機に付随する蒸気圧縮機とブロワを除くと、前述した第1の実施の形態の含水固形物乾燥装置と同様の構成を有している。
【0040】
この乾燥装置は、原料の被乾燥体として供給される含水固形物を予熱する予熱熱交換器21、予熱熱交換器21にて予熱された含水固形物に含まれる自由水を蒸発させる自由水乾燥流動層乾燥機22、自由水乾燥流動層乾燥機22から供給された含水固形物に含まれる結合水を蒸発させる結合水乾燥流動層乾燥機32、結合水乾燥流動層乾燥機32から供給された固形物から熱を回収する熱回収熱交換器15を有している。
【0041】
また、この乾燥装置は、自由水乾燥流動層乾燥機22から回収された水蒸気の一部を自由水乾燥流動層乾燥機22に供給して流動層の流動化状態を確保する第1のブロワ24、回収された水蒸気の残りを断熱圧縮により圧縮後水蒸気として自由水乾燥流動層乾燥機22に供給する第1の蒸気圧縮機23を有している。
【0042】
同様に、この乾燥装置は、結合水乾燥流動層乾燥機32から回収された水蒸気の一部を結合水乾燥流動層乾燥機32に供給して流動層の流動化状態を確保する第2のブロワ34、回収された水蒸気の残りを断熱圧縮により圧縮後水蒸気として結合水乾燥流動層乾燥機32に供給する第2の蒸気圧縮機33を有している。
【0043】
さらに、この乾燥装置は、熱回収熱交換器15にて熱を回収した気体媒体を断熱圧縮により加熱して予熱熱交換器21に供給するガス圧縮機16、予熱熱交換器21から供給された気体媒体の圧力にて駆動される圧力回収タービン17、圧力回収タービン17にて回収された動力をガス圧縮機16に供給する動力回収機構18を有している。
【0044】
予熱熱交換器21には、室温の30℃の含水固形物が供給される。予熱熱交換器21において、30℃の含水固形物は、自由水乾燥流動層乾燥機22と結合水乾燥流動層乾燥機32から供給された110℃の温水、ガス圧縮機16から供給された110℃の気体媒体を熱源として吸熱し、この含水固形物に含まれる水が蒸発を始める100℃まで昇温される。
【0045】
この予熱熱交換器21に供給された110℃の温水は放熱して45℃まで降温して排水として排出され、同じく供給された110℃の気体媒体も放熱して40℃まで降温されて圧力回収タービン17に送られる。
【0046】
この予熱熱交換器21には、スクリューフィーダー、流動層熱交換器など種々の熱交換器を使用することができる。流動層熱交換器を使用する場合、容器に格納された含水固形物は、供給された気体媒体により流動化状態を形成され、流動化状態にある含水固形物はこの気体媒体と伝熱管を流れる温水を熱源として熱交換することができる。
【0047】
予熱熱交換器21にて100℃まで昇温された含水固形物は、自由水乾燥流動層乾燥機22に供給される。自由水乾燥流動層乾燥機22には、この自由水乾燥流動層乾燥機22から回収された100℃の水蒸気の一部が、第1のブロワ24によりこの自由水乾燥流動層乾燥機22において含水固形物の流動層の流動化状態を形成するために供給されている。回収された水蒸気の残りは、第1の蒸気圧縮機23により断熱圧縮された150℃の圧縮後水蒸気としてこの自由水乾燥流動層乾燥機22に配された伝熱管に供給されている。
【0048】
自由水乾燥流動層乾燥機22において、予熱熱交換器21から供給された100℃の含水固形物は、第1のブロワ24から供給された100℃の水蒸気によって流動層に形成され、流動化状態にある含水固形物は伝熱管を介して150℃の圧縮後水蒸気を熱源として加熱される。そして、この含水固形物に含まれる自由水が蒸発して水蒸気として分離され、100℃の含水固形物とされる。
【0049】
自由水乾燥流動層乾燥機22に第1のブロワ24から供給された100℃の水蒸気は、この自由水乾燥流動層乾燥機22において含水固形物から蒸発した100℃の水蒸気とともに回収されて第1の蒸気圧縮機23と第1のブロワ24に送られる。自由水乾燥流動層乾燥機22の伝熱管に第1の蒸気圧縮機23から供給された150℃の水蒸気は、伝熱管において放熱し、凝縮して110℃の温水となり予熱熱交換器21に送られる。
【0050】
自由水乾燥流動層乾燥機22にて自由水が分離された100℃の含水固形物は、結合水乾燥流動層乾燥機32に供給される。結合水乾燥流動層乾燥機32には、この結合水乾燥流動層乾燥機32から回収された100℃の水蒸気の一部が、第2のブロワ34によりこの結合水乾燥流動層乾燥機32において含水固形物の流動層の流動化状態を形成するために供給されている。回収された水蒸気の残りは、第2の蒸気圧縮機33により断熱圧縮された150℃の圧縮後水蒸気としてこの結合水乾燥流動層乾燥機32に配された伝熱管に供給されている。
【0051】
この結合水乾燥流動層乾燥機32においては、含水固形物における結合水を蒸発させるため、第2のブロワ34から供給される水蒸気によって流動層における水蒸気の圧力を自由水乾燥流動層乾燥機22より高くしている。このように含水固形物の流動層を高圧の水蒸気に暴露することにより、含水固形物の組織と結合した結合水を水蒸気として分離することができる。
【0052】
結合水乾燥流動層乾燥機32において、自由水乾燥流動層乾燥機22から供給された100℃の含水固形物は、第2のブロワ34から供給された100℃の水蒸気によって流動層に形成され、流動化状態にある含水固形物は伝熱管を介して150℃の圧縮後水蒸気を熱源として加熱される。そして、この含水固形物に含まれる結合水が蒸発して水蒸気として分離され、100℃の含水固形物とされる。
【0053】
結合水乾燥流動層乾燥機32に第2のブロワ34から供給された100℃の水蒸気は、この結合水乾燥流動層乾燥機32において含水固形物から蒸発した100℃の水蒸気とともに回収されて第2の蒸気圧縮機33と第2のブロワ34に送られる。結合水乾燥流動層乾燥機32の伝熱管に第2の蒸気圧縮機33から供給された150℃の水蒸気は、伝熱管において放熱し、凝縮して110℃の温水となり予熱熱交換器21に送られる。
【0054】
含水固形物は、自由水乾燥流動層乾燥機22と結合水乾燥流動層乾燥機32で自由水と結合水が取り除かれ乾燥体の固形物となり、100℃の固形物として熱回収熱交換器15に供給される。熱回収熱交換器15において、100℃の固形物は、室温の30℃の空気などの気体媒体を冷熱源として冷却されて放熱し、室温近くの40℃まで降温される。そして、最終的な乾燥体の固形物としてこの乾燥装置から提供される。
【0055】
この熱回収熱交換器15には、予熱熱交換器21と同様に、スクリューフィーダー、流動層熱交換器など種々の熱交換器を使用することができる。流動層熱交換器を使用する場合、容器に格納された固形物は、供給された気体媒体により流動化状態を形成され、流動化状態にある含水固形物はこの気体媒体を冷熱源として熱交換することができる。
【0056】
この熱回収熱交換器15に供給された30℃の気体媒体は、吸熱して90℃まで昇温され、ガス圧縮機16に送られる。ガス圧縮機16において、熱回収熱交換器15から供給された90℃の気体媒体は、断熱圧縮されて110℃まで昇温され、予熱熱交換器21に送られる。
【0057】
予熱熱交換器21に送られた110℃の気体媒体は、放熱して45℃まで降温され、圧力回収タービン17に送られる。圧力回収タービン17において、気体媒体は断熱膨張によりこの圧力回収タービン17を駆動し、35℃まで降温された排気として排出される。
【0058】
圧力回収タービン17は動力回収機構18によってガス圧縮機16に連結されている。ガス圧縮機16は、この動力回収機構18を通じて、圧力回収タービン17にて回収された動力によって駆動されている。動力回収機構18は、圧力回収タービン17とガス圧縮機16の両者を同軸上に連結するものであってもよいが、これに限られない。動力回収機構18は、圧力回収タービン17で得られた回収された動力によって圧力回収タービン17を駆動することができる適当な機構であればよい。
【0059】
第2の実施の形態の乾燥装置においては、自由水乾燥流動層乾燥機22と結合水乾燥流動層乾燥機32という二段の流動層乾燥機を採用することにより、含水固形物から自由水のみならず結合水を分離することを実現している。したがって、この乾燥装置は、自由水のみならず結合水を除いた乾燥体の固形物を必要とする用途にも供することができる。
【0060】
結合水が含水固形物の組織に強く結合しており、結合水の分離が難しい場合には、結合水乾燥流動層乾燥機32の流動層における水蒸気の圧力や温度を高めることができる。また、結合水乾燥流動層乾燥機32を複数段の流動層乾燥機にて構成し、各段の流動層乾燥機にて結合水を段階的に蒸発させて分離することもできる。このように複数段で構成した結合水乾燥流動層乾燥機32は、含水固形物の組織に強く結合している結合水に実効がある。
【0061】
この乾燥装置においても、第1の実施の形態の乾燥装置と同様に、自由水乾燥流動層乾燥機22と結合水乾燥流動層乾燥機32を採用し、被乾燥体である含水固形物を流動層の流動化状態として熱交換を行うことにより、熱源の圧縮後水蒸気と含水固形物と間において高い熱交換の効率を確保している。したがって、自由水乾燥流動層乾燥機22と結合水乾燥流動層乾燥機32の小型化が可能であり、ひいては乾燥機全体の小型化を図ることができる。また、予熱熱交換器21と熱回収熱交換器15の少なくとも一方にも流動層乾燥機を採用することにより、乾燥装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0062】
この乾燥装置においては、自由水乾燥流動層乾燥機22と結合水乾燥流動層乾燥機32から排出された水蒸気を断熱圧縮した圧縮後水蒸気を自由水乾燥流動層乾燥機22と結合水乾燥流動層乾燥機32に熱源としてそれぞれ供給することにより、この自由水乾燥流動層乾燥機22と結合水乾燥流動層乾燥機32において含水固形物に含まれる自由水と結合水が蒸発する際に吸収した潜熱を含水固形物の自由水と結合水を蒸発させるために供給する潜熱にそれぞれ再利用している。自由水乾燥流動層乾燥機22と結合水乾燥流動層乾燥機32に熱源として供給する圧縮後水蒸気は空気などのガスと比べると熱容量が大きく、熱交換の効率を高め、ひいてはエネルギー消費を低減することができる。
【0063】
また、この乾燥装置においては、熱回収熱交換器15にて熱を回収した気体媒体を断熱圧縮して予熱熱交換器21の熱源として供給することにより、熱回収熱交換器15にて回収した含水固形物の顕熱を予熱熱交換器21にて含水固形物を予熱するために供給する顕熱に再利用している。さらに、予熱熱交換器21の熱源として自由水乾燥流動層乾燥機22及び結合水乾燥流動層乾燥機32から供給された温水を使用し、予熱熱交換器21から供給された気体媒体を圧力回収タービン17にて動力として回収することによって熱の再利用を図っている。
【0064】
このように、この乾燥装置においては、蒸気再圧縮、温水熱回収、乾燥体熱回収及び気体媒体圧縮の各工程により熱を回収して再利用している。したがって、この乾燥装置においては、熱効率の向上とともに消費エネルギーの低減が達成されている。
【0065】
(比較例1)
図3は、比較例1を示すブロック図である。この比較例1の乾燥装置は、流動層乾燥機102のみを含んでいる。流動層乾燥機102には、被乾燥体の含水固形物が供給されるとともに、含水固形物の流動層の流動化状態を形成し、含水固形物を加熱して乾燥させる水蒸気が熱源から供給されている。含水固形物は、加熱されてこの含水固形物に含まれる水が水蒸気として分離され、乾燥体の固形物として提供される。含水固形物を加熱した水蒸気は、含水固形物から発生した水蒸気とともに、流動層乾燥機102から排ガスとして排出される。
【0066】
この比較例1は、含水固形物を加熱することによって乾燥した固形物とするものである。換言すると、比較例1は、加熱のみを行うものである。含水固形物の加熱に用いた熱の回収は行っていない。
【0067】
(比較例2)
図4は、比較例2を示すブロック図である。この比較例2の乾燥装置は、熱交換器101及び流動層乾燥機102を含んでいる。熱交換器101には、被乾燥体の含水固形物が供給されるとともに、含水固形物を加熱する熱源となる水蒸気が供給されている。熱交換器101において、含水固形物は、この含水固形物に含まれる水が蒸発を始めるまで予熱され、流動層乾燥機102に送られる。含水固形物を加熱した水蒸気はその一部が凝縮し、排水と排ガスとして排出される。
【0068】
流動層乾燥機102には、含水固形物が供給されるとともに、含水固形物の流動層の流動化状態を形成し、含水固形物を加熱して乾燥させる水蒸気が熱源から供給されている。含水固形物は、加熱されてこの含水固形物に含まれる水が水蒸気として分離され、乾燥体の固形物として提供される。含水固形物を加熱した気体媒体は、含水固形物から発生した蒸気とともに流動層乾燥機102から回収され、熱交換器101に送られる。
【0069】
この比較例2は、含水固形物を加熱して含まれる水が蒸発する際に吸収した潜熱を温水により回収し、熱交換器101にて含水固形物を予熱する際の顕熱に供給することにより再利用している。換言すると、比較例2は、加熱及び温水熱回収を行うものである。したがって、この比較例2は、比較例1よりも熱効率が向上し、消費エネルギーが低減されている。
【0070】
(比較例3)
図5は、比較例3を示すブロック図である。この比較例3の乾燥装置は、熱交換器101、流動層乾燥機112、蒸気圧縮機113、及びブロワ114を含んでいる。
【0071】
熱交換器101には、被乾燥体の含水固形物が供給されるとともに、含水固形物を加熱する水蒸気などの熱媒が熱源から供給されている。熱交換器101において、含水固形物は、熱媒によってこの含水固形物に含まれる水が蒸発を始めるまで予熱され、流動層乾燥機112に送られる。含水固形物を予熱した熱媒は、廃熱として排出される。
【0072】
流動層乾燥機112には、含水固形物が供給されるとともに、断熱圧縮により水蒸気を昇温する蒸気圧縮機113から圧縮後水蒸気が熱源として伝熱管に供給され、ブロワ114から含水固形物の流動層の流動化状態を形成する水蒸気が供給されている。含水固形物は、伝熱管を通じて圧縮後水蒸気により加熱され、この含水固形物に含まれる水が水蒸気として分離されて乾燥体の固形物として提供される。伝熱管を通じて含水固形物を加熱した水蒸気は凝縮して排水として排出される。流動層乾燥機112から排出された水蒸気は回収されて蒸気圧縮機113とブロワ114に送られる。
【0073】
この比較例3は、流動層乾燥機112にて含水固形物に含まれる水が蒸発する際に吸収した潜熱を回収し、蒸気圧縮機113による蒸気再圧縮にて昇温した圧縮後水蒸気により含水固形物に含まれる水が蒸発させるために供給する潜熱に再利用している。換言すると、比較例3は、蒸気再圧縮を行うものである。したがって、この比較例3は、熱向上の向上と消費エネルギーの低減が図られている。
【0074】
(比較例4)
図6は、比較例4を示すブロック図である。この比較例4の乾燥装置は、熱交換器111、流動層乾燥機112、蒸気圧縮機113、及びブロワ114を含んでいる。
【0075】
熱交換器111には、被乾燥体の含水固形物が供給されるとともに、熱源から水蒸気などの熱媒、流動層乾燥機112から温水が供給されている。熱交換器111において、含水固形物は、熱媒と温水によってこの含水固形物に含まれる水が蒸発を始めるまで予熱され、流動層乾燥機112に送られる。含水固形物を予熱した熱媒は廃熱として排出され、温水は排水として排出される。
【0076】
流動層乾燥機112には、含水固形物が供給されるとともに、断熱圧縮により水蒸気を昇温する蒸気圧縮機113から圧縮後水蒸気が熱源として伝熱管に供給され、ブロワ114から含水固形物の流動層の流動化状態を形成する水蒸気が供給されている。含水固形物は、伝熱管を通じて圧縮後水蒸気により加熱され、この含水固形物に含まれる水が水蒸気として分離されて乾燥体の固形物として提供される。伝熱管を通じて含水固形物を加熱した水蒸気は凝縮して温水となり熱交換器101に送られ、流動層乾燥機102から排出された水蒸気は回収されて蒸気圧縮機113とブロワ114に送られる。
【0077】
この比較例4は、流動層乾燥機112にて含水固形物に含まれる水が蒸発する際に吸収した潜熱を回収し、蒸気圧縮機113による蒸気再圧縮にて昇温した圧縮後水蒸気により含水固形物に含まれる水が蒸発させるために供給する潜熱に再利用している。また、蒸気圧縮機113を駆動したエネルギーを温水として熱回収し、熱交換器111にて含水固形物を予熱する際の顕熱に供給することにより再利用している。換言すると、比較例4は、蒸気再圧縮、温水熱回収及び乾燥体熱回収を行うものである。したがって、この比較例4は、比較例3よりも熱効率が向上し、消費エネルギーが低減されている。
【0078】
(比較例5)
図7は、比較例5を示すブロック図である。この比較例5の乾燥装置は、第1の熱交換器121、流動層乾燥機112、蒸気圧縮機113、ブロワ114、及び第2の熱交換器115を含んでいる。
【0079】
第1の熱交換器121には、被乾燥体の含水固形物が供給されるとともに、熱源から水蒸気などの熱媒、流動層乾燥機112から温水、第2の熱交換器115から気体熱媒が供給されている。第1の熱交換器121において、含水固形物は、熱媒、温水及び気体媒体によってこの含水固形物に含まれる水が蒸発を始めるまで予熱され、流動層乾燥機112に送られる。含水固形物を加熱した熱媒は廃熱として、温水は排水として、気体媒体は排気として排出される。
【0080】
流動層乾燥機112には、含水固形物が供給されるとともに、断熱圧縮により水蒸気を昇温する蒸気圧縮機113から圧縮後水蒸気が熱源として伝熱管に供給され、ブロワ114から含水固形物の流動層の流動化状態を形成する水蒸気が供給されている。含水固形物は、伝熱管を通じて圧縮後水蒸気により加熱され、この含水固形物に含まれる水が水蒸気として分離されて乾燥体の固形物となり、第2の熱交換器115に送られる。伝熱管を通じて含水固形物を加熱した水蒸気は凝縮して温水となり第1の熱交換器121に送られ、流動層乾燥機112から排出された水蒸気は回収されて蒸気圧縮機113とブロワ114に送られる。
【0081】
第2の熱交換器115には、乾燥体の固形物が供給されるとともに、冷熱源として空気などの気体熱媒が供給されている。含水固形物は、気体媒体により熱を回収され冷却されて提供される。気体媒体は、固形物から熱を回収して第1の熱交換器121に送られる。
【0082】
この比較例5は、流動層乾燥機112にて含水固形物に含まれる水が蒸発する際に吸収した潜熱を回収し、蒸気圧縮機113による蒸気再圧縮にて昇温した圧縮後水蒸気により含水固形物に含まれる水が蒸発させるために供給する潜熱に再利用している。また、蒸気圧縮機113を駆動したエネルギーを温水として熱回収し、第1の熱交換器121にて含水固形物を予熱する際の顕熱に供給することにより再利用している。さらに、第2の熱交換器115にて固形物が冷却される際に回収した顕熱を第1の熱交換器121にて含水固形物を予熱する際の顕熱に供給することにより再利用している。換言すると、比較例5は、蒸気再圧縮、温水熱回収及び乾燥体熱回収を行うものです。したがって、この比較例5は、比較例4よりも熱効率が向上し、消費エネルギーが低減されている。
【0083】
(実施の形態と比較例の対比)
図8は、第1の実施の形態、比較例1〜5の消費エネルギーを対比する図である。図中の(a)〜(e)は比較例1〜5を示し、(f)は第1の実施の形態を示している。
【0084】
この図から明らかなように、(a)の加熱のみの比較例1、(b)の加熱及び温水熱回収を行う比較例2、(c)の蒸気再圧縮の比較例3、(d)の蒸気再圧縮及び温水熱回収を行う比較例4、(e)の蒸気再圧縮、温水熱回収及び乾燥体熱回収を行う比較例5の順序で、熱回収の工程が増えるにしたがい消費エネルギーが低下している。
【0085】
ここで、蒸気再圧縮の工程を含む(c)〜(e)に相当する比較例3〜5においては、蒸気再圧縮による圧縮後水蒸気を利用して含水固形物の潜熱の回収と再利用が達成されている。大きな熱容量を有する圧縮後水蒸気により熱交換の効率が向上し、消費エネルギーに顕著な低減が見られる。
【0086】
これに対して、第1の実施の形態においては、蒸気再圧縮、温水熱回収、乾燥体熱回収及び気体乾燥圧縮の工程を含んでいる。詳しくは、第1の実施の形態は、蒸気再圧縮、温水熱回収及び乾燥体熱回収を行っている(e)の比較例5に加えて、更に気体熱媒圧縮を含み、含水固形物から顕熱と潜熱の両方を回収して再利用している。したがって、(f)に相当する第1の実施の形態においては、エネルギー消費が(a)〜(e)に相当する比較例1〜4よりも低く、(a)に相当する加熱のみを行う比較例1と対比した消費エネルギー相対値は6%となり、顕著な低減が実現されている。
【0087】
第1の実施の形態においては、さらに圧力回収タービン17により気体熱媒圧縮の駆動エネルギーを回収し、気体熱媒圧縮の動力として再利用している。この圧力回収の工程を追加すると、この第1の実施の形態の消費エネルギー相対値は(f)の6%よりもさらに低減される。換言すると、この第1の実施の形態によると、(a)〜(e)に相当する比較例1〜4よりも例えば50〜95%ものエネルギー消費の低減が可能になる。
【0088】
なお、ここでは第1の実施の形態と比較例1〜5の消費エネルギーを対比したが、第2の実施の形態の乾燥機についても第1の実施の形態の乾燥機と同様に蒸気再圧縮、温水熱回収、乾燥体熱回収及び気体乾燥圧縮の工程を含んでいる。したがって、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の低い消費エネルギーを実現することができる。