(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のドアが設けてある車輌のドアの解錠に係る操作を受け付ける操作部、及び該操作部が操作を受け付けた場合に操作信号を無線で送信する送信部を有する通信機と、該通信機から送信された前記操作信号を無線で受信する無線受信部と、該無線受信部が前記操作信号を受信した場合に前記ドアを解錠するドア解錠装置とを備えるドア解錠システムにおいて、
前記ドアの1又は複数にそれぞれ対応付けられた検出領域のそれぞれに対して前記通信機の有無を検出する検出部を備え、
前記ドア解錠装置は、
前記検出部が前記通信機の存在を検出している場合に前記無線受信部が前記操作信号を受信したとき、前記通信機が存在する検出領域に対応付けられているドアを解錠し、前記検出部が前記通信機の存在を検出していない場合に前記無線受信部が前記操作信号を受信したとき、全てのドアを解錠するようにしてあること
を特徴とするドア解錠システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたシステムでは、ユーザが車輌のドアに設けられた操作部を操作した場合に特定のドア(ユーザが操作部を操作したドア)のみがアンロックされる。しかしながら、特許文献1では、ユーザが通信機の操作部(アンロックボタン)を操作した場合に特定のドアのみがアンロックされる構成については考慮されていない。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものである。そして、その目的とするところは、複雑な構成を備えることなく、ユーザが通信機の操作部を操作した場合にも特定のドアのみを解錠させることが可能となるドア解錠システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るドア解錠システムは、複数のドアが設けてある車輌のドアの解錠に係る操作を受け付ける操作部、及び該操作部が操作を受け付けた場合に操作信号を無線で送信する送信部を有する通信機と、該通信機から送信された前記操作信号を無線で受信する無線受信部と、該無線受信部が前記操作信号を受信した場合に前記ドアを解錠するドア解錠装置とを備えるドア解錠システムにおいて、前記ドアの1又は複数にそれぞれ対応付けられた検出領域のそれぞれに対して前記通信機の有無を検出する検出部を備え、前記ドア解錠装置は、前記検出部が前記通信機の存在を検出している場合に前記無線受信部が前記操作信号を受信したとき、前記通信機が存在する検出領域に対応付けられているドアを解錠
し、前記検出部が前記通信機の存在を検出していない場合に前記無線受信部が前記操作信号を受信したとき、全てのドアを解錠するようにしてあることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、通信機に設けられた操作部が操作された場合、通信機は操作信号を無線で送信する。また、車輌に設けられたドアの1又は複数にそれぞれ対応付けられた検出領域に対して通信機の有無を検出部が検出している。そして、通信機の存在が検出されている場合に車輌に搭載された無線受信部が通信機から送信された操作信号を受信したとき、通信機が存在する検出領域に対応するドアが解錠される。よって、通信機を所持するユーザは、いずれかのドアに対応付けられた検出領域内で通信機の操作部を操作することにより、具体的にはいずれかのドアに近づいた状態で通信機の操作部を操作することにより、特定のドア(ユーザが近づいたドア)のみを解錠させることができる。よって、ユーザが近づいたドアのみを解錠させることにより、車輌の反対側に潜んだ不審者が他のドアから車輌内に乗り込むことを防止できる。
また、通信機の存在が検出されていない場合に車輌に搭載された無線受信部が通信機から送信された操作信号を受信したとき、全てのドアが解錠される。よって、通信機を所持するユーザは、各ドアに対応付けられた各検出領域の外で通信機の操作部を操作することにより、具体的には各ドア(車輌)から離れた状態で通信機の操作部を操作することにより、全てのドアを解錠させることができる。よって、全てのドアを解錠させることにより、複数の同乗者が複数のドアから車輌内に乗り込む際に操作性がよい。
また通信機を所持するユーザは、車輌のドアに近づいた状態で通信機の操作部を操作するか、車輌から離れた状態で通信機の操作部を操作するかによって、解錠するドアを切り替えることができる。このように通信機の操作部を操作するタイミングを変更することにより、特定のドア(ユーザが近づいたドア)のみを解錠させるのか、全てのドアを解錠させるのかを使い分けることができる。
【0011】
本発明に係るドア解錠システムは、前記ドアの1又は複数にそれぞれ対応付けられており、信号を無線で送信する1又は複数の無線送信部を更に備え、前記検出部は、前記無線送信部のそれぞれにて確認信号を送信する確認信号送信部と、送信した各確認信号に対する応答信号を前記無線受信部にて受信したか否かに応じて、前記通信機の有無を判定するようにしてあり、前記通信機は、前記無線送信部から送信された確認信号を無線で受信する受信部と、該受信部が前記確認信号を受信した場合、受信した確認信号に対する応答信号を前記送信部にて送信する応答信号送信部とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、車輌のドアの1又は複数にそれぞれ対応付けられた無線送信部が確認信号を送信し、通信機は、この確認信号を受信した場合、受信した確認信号に対する応答信号を送信する。車輌に搭載された無線受信部が、各無線送信部が送信した確認信号に対する応答信号を受信したか否かに応じて、各ドアに対応付けられた検出領域内における通信機の有無が判定される。具体的には、応答信号を受信した場合、受信した応答信号に対応する確認信号を送信した無線送信部に対応付けられた検出領域内に通信機が有ると判定する。従って、受信した応答信号に対応する確認信号を送信した無線送信部に対応付けられたドアが解錠される。
【0013】
本発明に係るドア解錠システムは、前記通信機の送信部及び前記無線受信部は、UHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号を送受信するようにしてあり、前記無線送信部及び前記通信機の受信部は、LF(Low Frequency)帯の無線信号を送受信するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、無線送信部がLF帯の無線信号にて確認信号を通信機へ送信し、通信機は、受信した確認信号に対する応答信号をUHF帯の無線信号にて無線受信部へ送信する。車輌(無線送信部)から通信機へLF帯の無線信号が送信され、通信機から車輌(無線受信部)へUHF帯の無線信号が送信される構成は従来のドアロックシステムと同様である。よって、この従来の構成を利用して、通信機の有無を検出することにより、コストの増加を回避できる。
【0015】
本発明に係るドア解錠システムは、前記通信機は、前記無線送信部のいずれかが送信した確認信号を前記受信部にて受信した場合、報知する報知部を更に有することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、通信機は、いずれかの無線送信部が送信した確認信号を受信した場合、自身がいずれかの検出領域内に入ったこと、即ち、ユーザがいずれかのドアに近づいたことを報知する。例えば通信機にランプ又はブザー等の報知機能が設けられており、ランプの点灯又は点滅、ブザーの鳴動等によって報知する。よってユーザは、通信機の操作部を操作するタイミングを判断することができる。
【0017】
本発明に係るドア解錠システムは、前記ドア解錠装置がドアを解錠した場合、解錠したドアに応じて異なる態様で報知する報知部を更に備えることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、ドアが解錠された場合、車輌に搭載されている報知部は、解錠されたドアに応じて異なる態様で報知する。例えば全てのドアが解錠された場合には車輌のハザードランプを2回点滅させ、特定のドアのみが解錠された場合にはハザードランプを3回点滅させて報知する。よってユーザは、報知態様に応じて、解錠されたドアを把握することができる。
【0019】
本発明に係るドア解錠システムは、前記検出部は、少なくとも後席側のドアに対応付けられた検出領域に対して前記通信機の有無を検出するようにしてあることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、検出部は、少なくとも後席側のドアに対応付けられた検出領域に対して通信機の有無を検出する。よって、通信機を所持するユーザは、後席側のドアに近づいて通信機の操作部を操作することにより、後席側のドアのみを解錠させることができる。
【0021】
本発明に係るドア解錠システムは、前記車輌の外面に設けられ、前記車輌のドアの解錠に係る操作を受け付ける車輌側操作部を更に備え、前記ドア解錠装置は、前記検出部が前記通信機の存在を検出している場合に前記車輌側操作部が前記操作を受け付けたとき、全てのドアを解錠するようにしてあることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、車輌の外面に、車輌のドアの解錠に係る操作を受け付ける車輌側操作部が設けてあり、検出部が通信機の存在を検出している場合に車輌側操作部が操作されたとき、全てのドアが解錠される。よって、通信機を所持するユーザは、車輌に設けられた車輌側操作部を操作することにより、全てのドアを解錠させることができる。また通信機を所持するユーザは、車輌のドアに近づいた状態で通信機の操作部を操作するか、車輌の車輌側操作部を操作するかによって、解錠するドアを切り替えることができる。このように操作すべき操作部を変更することにより、特定のドア(ユーザが近づいたドア)のみを解錠させるのか、全てのドアを解錠させるのかを使い分けることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、ユーザが車輌のドアに近づいた状態で通信機の操作部を操作することにより、特定のドア(ユーザが近づいたドア)のみを解錠させることができる。よって、ユーザが近づいたドアのみを解錠させることにより、車輌の反対側に潜んだ不審者が他のドアから車輌内に乗り込むことを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係るドア解錠システムについて、ドアロックシステムに適用した実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0026】
(実施形態1)
以下に、実施形態1に係るドアロックシステムについて説明する。
図1は、実施形態1に係るドアロックシステムの構成を示すブロック図である。本実施形態1のドアロックシステムは、車輌Cに搭載されたドアロック装置15及びドアロック装置15の動作を制御する制御装置1等の各種車載装置と、通信機2とを備える。なお
図1には、車輌Cに搭載された車載装置の詳細を示している。
【0027】
車輌Cには、無線通信部12、ドアロック装置15、操作部16等が搭載されており、これらの各部は制御装置1に接続されている。
制御装置1は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processor Unit)等の制御部10、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)又はフラッシュメモリ等の記憶部11等を有する。記憶部11は、制御部10にて実行される制御プログラム、認証情報11a等の各種データ、制御部10による制御プログラムの実行時に発生するデータ等を記憶する。制御装置1は、記憶部11に記憶されている制御プログラムを制御部10にて読み出して実行することにより、上述したような各機器の動作を制御し、本発明に係るドア解錠システムとしての動作を実現する。認証情報11aは、車輌Cに対応付けられた固有の識別情報であり、記憶部11に予め記憶されている。
【0028】
ドアロック装置15は、車輌Cのドアのロック及びアンロックを行うための機構、この機構を動作させるためのモータ又はアクチュエータ等の動力源、及びこの動力源を駆動する駆動回路等を含む。ドアロック装置(ドア解錠装置)15は、制御装置1からの指示に従って駆動回路を動作させることにより、車輌Cのドアのロック(施錠)及びアンロック(解錠)を行う。なお、車輌Cには例えば運転席側、助手席側、運転席の後席側及び助手席の後席側の4箇所にそれぞれドア(図示せず)が設けてあり、後部側には後部ドア(図示せず)が設けてある。ドアロック装置15は各ドアに設けてあり、制御装置1が、各ドアロック装置15に対してドアをロック又はアンロックする指示を与えることにより、ドア毎にロック又はアンロックを行うことができる。なお、本実施形態1のドアロックシステムは、ドアをアンロックする場合には、いずれか1つのドア又は全てのドアを同時にアンロックし、ドアをロックする場合には、全てのドアを同時にロックするように構成されている。
【0029】
操作部16は、車輌Cに搭載された各種の機器に係る操作を受け付けるための各種の操作ボタンを有する。操作ボタンとしては例えば、車輌Cのドアの外面等に設けられ、車輌Cのドアのロック及びアンロックを指示するためのリクエストスイッチ(図示せず)がある。また操作ボタンは、押圧操作を受け付ける押圧式ボタン、又は接触操作を受け付けるセンサ等により構成されており、ユーザによって操作された場合、所定信号を制御装置1へ出力する。よって、制御装置1は、取得した出力信号に基づいて、いずれの操作ボタンに対して操作が行われたかを判断できる。
【0030】
無線通信部12は、制御装置1からの指示に従って通信機2との間で無線通信を行うものであり、UHF受信部13及びLF送信部14を有する。
UHF受信部13には、車輌Cの適宜箇所に設けられたUHF用アンテナ13aが接続されている。UHF受信部(無線受信部)13は、UHF帯(例えば315MHz)の無線信号の受信を行うものであり、UHF帯の無線信号にて送信された信号をUHF用アンテナ13aを介して受信する。UHF受信部13は、通信可能な範囲(例えばUHFアンテナ13aから数十mの範囲)内にある外部機器(例えば通信機2)から送信された信号を受信し、受信した信号を制御装置1へ送出する。
【0031】
LF送信部14には、車輌Cの適宜箇所にそれぞれ設けられた3つのLF用アンテナ14a〜14cがそれぞれ接続されている。LF用アンテナ14a〜14cは全て同一のアンテナである。LF送信部(無線送信部)14は、LF帯(例えば125kHz)の無線信号の送信を行うものであり、制御装置1から与えられた信号をLF帯の無線信号にてLF用アンテナ14a〜14cのいずれかを介して送信する。LF送信部14から送信された信号は、通信可能な範囲(例えば各LF用アンテナ14a〜14cから1m程度の範囲)内にある外部機器(例えば通信機2)によって受信される。
【0032】
図2は、LF用アンテナ14a〜14cの設置位置の例を示す模式図である。
図2には、車輌Cの前部が上側に位置するように車輌Cを図示しており、
図2に示す車輌Cは進行方向の右側に運転席(ハンドルH)を有する。
図2に示すように、本実施形態1では、車輌Cの進行方向の右側の2つのドアの間、例えばBピラーに1つのLF用アンテナが設けてあり、これを運転席側LF用アンテナ14aとする。また、車輌Cの進行方向の左側の2つのドアの間、例えばBピラーに1つのLF用アンテナが設けてあり、これを助手席側LF用アンテナ14bとする。更に車輌Cの後部側、例えば後部ドアの中央に1つのLF用アンテナが設けてあり、これを後部ドア側LF用アンテナ14cとする。
図2において、それぞれハッチングを付した領域Ra,Rb,Rcは、LF用アンテナ14a〜14cのそれぞれから送信された信号が届く範囲、即ち通信可能範囲である。従って、LF用アンテナ14a〜14cのそれぞれを介して送信された信号は、各領域Ra,Rb,Rc内の外部機器(例えば通信機2)によって受信される。なお、各領域Ra,Rb,Rcは重複しないように設定されている。
【0033】
本実施形態1のドアロックシステムは、無線通信部12が制御装置1に接続されている構成であるが、無線通信部12の機能が制御装置1に内蔵されている構成でもよい。
【0034】
図3は、実施形態1の通信機2の構成を示すブロック図である。本実施形態1のドアロックシステムにおける通信機2は、カード型又はキーホルダ型に構成された可搬型の無線通信装置である。通信機2は、制御部20、記憶部21、操作部22、無線通信部23、ランプ26等を備え、それぞれは相互に接続されている。
制御部20は、例えばCPU又はMPUである。制御部20は、記憶部21に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより、通信機2としての動作を行う。記憶部21は、例えばEEPROM又はフラッシュメモリ等である。記憶部21は、制御部20にて実行される制御プログラム、認証情報21a等の各種データ、制御部20による制御プログラムの実行時に発生するデータ等を記憶する。認証情報21aは、通信機2にて操作可能である車輌Cに対応付けられた固有の識別情報であり、記憶部21に予め記憶されている。
【0035】
操作部22は、車輌Cのドアのアンロックを指示するためのアンロックボタン22a、ロックを指示するためのロックボタン22b等、車輌Cに搭載された各種の機器に係る操作を受け付けるための操作ボタンを複数有する。操作部22は、いずれかの操作ボタンが操作された場合、操作された操作ボタンに対応した信号を制御部20へ出力する。制御部20は、操作部22からの出力信号に基づいて、いずれの操作ボタンが操作されたかを判断できる。
【0036】
無線通信部23は、制御部20からの指示に従って制御装置1(具体的には無線通信部12)との間で無線通信を行うものであり、UHF送信部24及びLF受信部25を有する。
UHF送信部24には通信機2の適宜箇所に設けられたUHF用アンテナ24aが接続されている。UHF送信部(送信部)24は、UHF帯の無線信号の送信を行うものであり、制御部20から与えられた信号をUHF帯の無線信号にてUHF用アンテナ24aを介して送信する。UHF送信部24から送信された信号は、通信可能な範囲(例えばUHF用アンテナ24aから数十mの範囲)内にある外部機器(例えば無線通信部12のUHF受信部13)によって受信される。
LF受信部25には通信機2の適宜箇所に設けられたLF用アンテナ25aが接続されている。LF受信部(受信部)25は、LF帯の無線信号の受信を行うものであり、LF帯の無線信号にて送信された信号をLF用アンテナ25aを介して受信する。LF受信部25は、通信可能な範囲(例えばLFアンテナ25aから1m程度の範囲)内にある外部機器(例えば無線通信部12のLF送信部14)から送信された信号を受信し、受信した信号を制御部20へ送出する。
【0037】
ランプ26は、例えばLED(Light Emitting Diode)等を用いて構成されるものであり、制御部20により点灯/消灯の制御が行われる。制御部20がランプ26の点灯/消灯を周期的に繰り返すことにより、ランプ26を点滅させることができる。制御部20がランプ26を点灯及び点滅させることによって、通信機2を所持するユーザに対する種々の通知を行うことができる。
【0038】
以下に、上述した構成の本実施形態1のドアロックシステムにおいて、制御装置1及び通信機2が行う処理について説明する。本実施形態1のドアロックシステムでは、ユーザが通信機2のアンロックボタン22aを操作(押圧操作)した場合、その時点でユーザ(通信機2)がいずれかの領域Ra,Rb,Rc内にいるか否かに応じてアンロックされるドアが異なる。具体的には、ユーザがアンロックボタン22aを操作した時点でいずれかの領域Ra,Rb,Rc内にいた場合、ユーザ(通信機2)がいる領域Ra(又はRb,Rc)に対応するドアのみが解錠される。なお本実施形態1では、ユーザが領域Ra内にいた場合、運転席側のドアのみが解錠され、ユーザが領域Rb内にいた場合、助手側のドアのみが解錠され、ユーザが領域Rc内にいた場合、後部ドアのみが解錠される。一方、ユーザがアンロックボタン22aを操作した時点でいずれの領域Ra,Rb,Rc内にもいなかった場合、全てのドアが解錠される。
【0039】
よって、制御装置1は、各領域Ra,Rb,Rcについて通信機2の有無の検出処理を定期的に行っている。以下に、制御装置1が行う通信機検出処理について説明する。
図4は、制御装置1が行う通信機検出処理の手順を示すフローチャートである。なお、制御装置1は、車輌Cのドアがロック状態である場合に以下の処理を行う。制御装置1は、所定のタイミングで(定期的に)LF用アンテナ14a〜14cを介して確認信号を送信しており、確認信号の送信タイミングを計時するタイマに基づいて所定時間が経過したか否かを判断している(S1)。所定時間が経過していないと判断した場合(S1:NO)、制御装置1は、所定時間が経過するまで待機する。
【0040】
所定時間が経過したと判断した場合(S1:YES)、制御装置(確認信号送信部)1は、無線通信部12のLF送信部14にてLF用アンテナ14a〜14cのそれぞれを介してLF帯の無線信号(確認信号)を送信する(S2)。なお、確認信号には、記憶部11に記憶してある認証情報11aと、各LF用アンテナ14a〜14cを示すアンテナ情報とが含まれている。LF用アンテナ14a〜14cのそれぞれから送信された各確認信号は、LF用アンテナ14a〜14cのそれぞれの通信可能範囲(領域Ra,Rb,Rc)内に通信機2が存在する場合に通信機2のLF受信部25にて受信される。
【0041】
確認信号の送信終了後、制御装置1は、通信機2から送信されてくる応答信号(UHF帯の無線信号)を無線通信部12のUHF受信部13にて受信したか否かを判断しており(S3)、受信していないと判断した場合(S3:NO)、受信するまで待機する。
UHF受信部13にて応答信号を受信したと判断した場合(S3:YES)、制御装置1は、受信した応答信号が適切な(車輌Cに対応付けられている)通信機2から送信された信号であるか否かを判定する認証処理を行う(S4)。なお、通信機2から送信されてくる応答信号には、通信機2の記憶部21に記憶してある認証情報21aが含まれており、制御装置1は、受信した応答信号に含まれる認証情報21aと、記憶部11に記憶してある認証情報11aとを比較する。そして制御装置1は、応答信号に含まれる認証情報21aが認証情報11aに一致する場合、応答信号に含まれる認証情報21aが適切であり、応答信号が適切な通信機2からの応答信号である(認証成功)と判定する。
【0042】
制御装置1は、認証処理に成功したか否かを判断し(S5)、成功したと判断した場合(S5:YES)、通信機2が存在する領域Ra,Rb,Rcを特定する(S6)。なお、通信機2から送信されてくる応答信号には、通信機2がLF受信部25にて受信した確認信号に含まれていたアンテナ情報も含まれており、制御装置1は、受信した応答信号に含まれるアンテナ情報に基づいて、通信機2が存在する領域Ra,Rb,Rcを特定する。具体的には、アンテナ情報がLF用アンテナ14aを示す情報であれば、通信機2の存在領域として領域Raを特定し、LF用アンテナ14bであれば領域Rbを特定し、LF用アンテナ14cであれば領域Rcを特定する。
【0043】
認証処理に成功していないと判断した場合(S5:NO)、制御装置1は、ステップS6の処理をスキップする。なお、認証に失敗した場合には、受信した応答信号に含まれる認証情報が適切でない場合のほかに、応答信号を受信しなかった場合、受信した応答信号に認証情報が含まれない場合等も含まれる。
制御装置1は、確認信号の送信タイミングを計時するタイマをリセットし(S7)、ステップS1の処理に戻る。
【0044】
上述した処理により、制御装置1は、通信機2がいずれの領域Ra,Rb,Rc内に存在するかを検出できる。また制御装置1は、上述した処理を定期的に繰り返すことにより、通信機2の存在領域をリアルタイムで検出できる。
なお、上述した処理では、制御装置1は、各LF用アンテナ14a〜14cを示すアンテナ情報を確認信号に含めて送信し、通信機2は、受信した確認信号に含まれていたアンテナ情報を応答信号に含めて送信(返信)していた。これにより、制御装置1は、通信機2にて受信された確認信号がいずれのLF用アンテナ14a〜14cから送信された信号であるかを判断でき、その結果、通信機2の存在領域を判定していた。このほかに例えば、確認信号にアンテナ情報を含めず、制御装置1は、認証情報11aを含む確認信号を時間をずらして各LF用アンテナ14a〜14cを介して送信し、送信した確認信号に対する応答信号を受信した場合に、この確認信号を送信したLF用アンテナ14a(又は14b,14c)に対応する領域Ra(又はRb,Rc)内に通信機2が存在すると判定する構成でもよい。
【0045】
次に、本実施形態1のドアロックシステムによるドアのアンロック処理について説明する。まず、通信機2が行う処理について説明する。
図5は、通信機2が行う処理の手順を示すフローチャートである。通信機2の制御部20は、外部装置(具体的には制御装置1)からLF帯の無線信号にて送信された確認信号を無線通信部23のLF受信部25にて受信したか否かを判断しており(S11)、受信していないと判断した場合(S11:NO)、ステップS16に処理を移行する。具体的には、制御部20は、
図4中のステップS2で制御装置1が送信した確認信号を受信したか否かを判断している。
【0046】
LF受信部25にて確認信号を受信したと判断した場合(S11:YES)、通信機2の制御部20は、受信した確認信号が適切な制御装置1から送信された信号であるか否かを判定する認証処理を行う(S12)。なお、制御装置1から送信されてくる確認信号には、制御装置1の記憶部11に記憶してある認証情報11aと、各LF用アンテナ14a〜14cを示すアンテナ情報とが含まれている。通信機2の制御部20は、受信した確認信号に含まれる認証情報11aと、記憶部21に記憶してある認証情報21aとを比較する。そして通信機の制御部20は、確認信号に含まれる認証情報11aが認証情報21aに一致する場合、確認信号に含まれる認証情報11aが適切であり、確認信号が適切な制御装置1からの確認信号である(認証成功)と判定する。
【0047】
通信機2の制御部20は、認証処理に成功したか否かを判断し(S13)、成功したと判断した場合(S13:YES)、記憶部21に記憶してある認証情報21aと、受信した確認信号に含まれるアンテナ情報とを含む応答信号を無線通信部23にて送信する(S14)。なお、制御部(応答信号送信部)20は、応答信号を無線通信部23のUHF送信部24によってUHF用アンテナ24aを介したUHF帯の無線信号にて送信する。ステップS14で送信された応答信号は、
図4中のステップS3で制御装置1にて受信される。制御部20は、ランプ(報知部)26を点灯又は点滅させ、通信機2(通信機2を所持するユーザ)がいずれかの領域Ra,Rb,Rc内に入っていることを報知する(S15)。認証処理に成功していないと判断した場合(S13:NO)、通信機2の制御部20は、ステップS16に処理を移行する。なお、認証に失敗した場合には、受信した確認信号に含まれる認証情報が適切でない場合のほかに、受信した確認信号に認証情報が含まれない場合等も含まれる。
【0048】
一方、通信機2の制御部20は、操作部22から所定信号を取得するか否かに応じて、アンロックボタン22aに対するユーザの操作が行われたか否かを判断している(S16)。アンロックボタン22aに対するユーザの操作が行われたと判断した場合(S16:YES)、通信機2の制御部20は、記憶部21に記憶してある認証情報21aと、アンロックボタン22aに対する操作が行われたことを示す操作情報とを含む操作信号を無線通信部23にて送信する(S17)。なお、制御部20は、操作信号を無線通信部23のUHF送信部24によってUHF用アンテナ24aを介したUHF帯の無線信号にて送信する。アンロックボタン22aに対するユーザの操作が行われていないと判断した場合(S16:NO)、制御装置1は、処理を終了する。
【0049】
通信機2の制御部20は、無線通信部23のLF受信部25にて確認信号を受信する都度、又は操作部22のアンロックボタン22aに対するユーザの操作が行われる都度、上述した処理を行う。これにより、通信機2は、制御装置1から定期的に送信されてくる確認信号に対して応答信号を返すことができ、アンロックボタン22aに対するユーザの操作を制御装置1へ通知できる。
【0050】
次に、制御装置1が行う処理について説明する。
図6は、制御装置1が行うドアのアンロック処理の手順を示すフローチャートである。なお、制御装置1は、車輌Cのドアがロック状態である場合に以下の処理を行う。制御装置(検出部)1は、
図4に示す通信機検出処理を行っており(S21)、通信機2がいずれかの領域Ra,Rb,Rc内に存在するか、又はいずれの領域Ra,Rb,Rc内にも存在しないかを判断している。また制御装置1は、通信機2からUHF帯の無線信号にて送信された操作信号を無線通信部12のUHF受信部13にて受信したか否かを判断している(S22)。具体的には、制御装置1は、
図5中のステップS17で通信機2が送信した操作信号を受信したか否かを判断している。操作信号を受信していないと判断した場合(S22:NO)、制御装置1は、ステップS21の処理に戻る。
【0051】
UHF受信部13にて操作信号を受信したと判断した場合(S22:YES)、制御装置1は、受信した操作信号が適切な(車輌Cに対応付けられている)通信機2から送信された信号であるか否かを判定する認証処理を行う(S23)。なお、通信機2から送信されてくる操作信号には、通信機2の記憶部21に記憶してある認証情報21aが含まれている。制御装置1は、操作信号に含まれる認証情報21aが、記憶部11に記憶してある認証情報11aに一致する場合、操作信号に含まれる認証情報21aが適切であり、操作信号が適切な通信機2からの信号である(認証成功)と判定する。
制御装置1は、認証処理に成功したか否かを判断し(S24)、成功していないと判断した場合(S24:NO)、処理を終了する。
【0052】
認証処理に成功したと判断した場合(S24:YES)、制御装置1は、ステップS21で行った通信機検出処理の処理結果に基づいて、通信機2がいずれかの領域Ra,Rb,Rc内に存在するか否かを判断する(S25)。具体的には、
図4中のステップS6で制御装置1が特定した存在領域が領域Ra,Rb,Rcのいずれかであるか否かを判断する。通信機2がいずれかの領域Ra,Rb,Rc内に存在すると判断した場合(S25:YES)、制御装置1は、ドアロック装置15を制御して、通信機2が存在する領域Ra(又はRb,Rc)に対応するドアをアンロックする(S26)。具体的には、通信機2が領域Ra内に存在する場合、運転席側のドアがアンロックされ、通信機2が領域Rb内に存在する場合、助手席側のドアがアンロックされ、通信機2が領域Rc内に存在する場合、後部ドアがアンロックされる。
【0053】
制御装置(報知部)1は、いずれかのドア(特定のドア)をアンロックした場合、例えばハザードランプ(図示せず)を第1態様で点滅させ、特定のドアがアンロックされたことを報知し(S27)、処理を終了する。一方、通信機2がいずれの領域Ra,Rb,Rc内にも存在しないと判断した場合(S25:NO)、制御装置1は、ドアロック装置15を制御して、車輌Cの全てのドアをアンロックする(S28)。そして制御装置1は、例えばハザードランプ(図示せず)を第2態様で点滅させ、全てのドアがアンロックされたことを報知し(S29)、処理を終了する。なお、第1態様として例えば所定時間(例えば2秒間)内に2回ハザードランプを点滅させ、第2態様として例えば所定時間(例えば1秒間)内に2回ハザードランプを点滅させればよいが、このような構成に限らない。例えば、第1態様及び第2態様において、ハザードランプの点滅回数を異ならせてもよい。
【0054】
上述した処理により、本実施形態1のドアロックシステムでは、通信機2(通信機2を所持するユーザ)が車輌Cから所定範囲内の領域、具体的には領域Ra,Rb,Rc内に存在する場合にアンロックボタン22aが操作されたときは、ユーザが存在する領域Ra(又はRb,Rc)に対応するドアのみがアンロックされる。また、通信機2(ユーザ)がいずれの領域Ra,Rb,Rc内にも存在しない場合にアンロックボタン22aが操作されたときは、全てのドアがアンロックされる。
よってユーザは、アンロックしたいドアの近傍(具体的にはいずれかの領域Ra,Rb,Rc内)で通信機2のアンロックボタン22aを操作することにより、特定のドアのみをアンロックできる。またユーザは、車輌Cから離れた場所で(具体的には領域Ra,Rb,Rcの外側で)通信機2のアンロックボタン22aを操作することにより、全てのドアをアンロックできる。
【0055】
特定のドア(ユーザが近づいたドア)のみをアンロックさせる場合、他のドアから不審者が車輌C内に侵入することを防止できるので安全性を確保できる。また全てのドアをアンロックさせる場合、複数の同乗者が複数のドアから車輌C内に乗り込む際に操作性がよい。従って、ユーザは、車輌Cの特定のドアに近づいた状態で通信機2のアンロックボタン22aを操作するか、車輌Cから離れた場所で通信機2のアンロックボタン22aを操作するかによって、アンロックするドアを切り替えることができる。このように通信機2のアンロックボタン22aを操作するタイミングを変更することにより、特定のドア(ユーザが近づいたドア)のみをアンロックさせるのか、全てのドアをアンロックさせるのかを使い分けることができる。なお、全てのドアをアンロックさせる場合、人が車輌Cに乗り込むためのドアの全てをアンロックすればよく、例えば、運転席側のドア、助手席側のドア、2つの後席側のドアの4つのドアのみをアンロックさせる構成としてもよい。即ち、後部ドア及び、トランクを備える車輌においては後部ドア及びトランクについては4つのドアと同時にアンロックしないように構成してもよい。
【0056】
本実施形態1のドアロックシステムでは、通信機2(ユーザ)が領域Ra内に存在する場合に運転席側のドアのみをアンロックして安全性を確保しているが、通信機2(ユーザ)が領域Ra内に存在する場合に運転席側のドアだけでなく運転席の後席側のドアもアンロックする構成でもよい。同様に、通信機2(ユーザ)が領域Rb内に存在する場合に助手席側のドアだけでなく助手席の後席側のドアもアンロックするように構成してもよい。このように、車輌Cにおいて、車輌Cの近傍で通信機2のアンロックボタン22aを操作するユーザの位置とは反対側のドア、即ち、死角となるドアをアンロックしないことにより安全性を確保できる。
【0057】
本実施形態1のドアロックシステムでは、制御装置1から通信機2への無線信号の送信はLF帯にて行われ、通信機2から制御装置1への無線信号の送信はUHF帯にて行われている。このような構成は従来のスマートエントリシステムと同様である。よって、本実施形態1のドアロックシステムは、従来の構成を利用して、通信機2がいずれの領域Ra,Rb,Rc内に存在するか否かを検出する構成であるので、本発明のドア解錠システムを低コストで実現できる。
【0058】
本実施形態1のドアロックシステムでは、通信機2は、車輌Cに搭載されたLF送信部14にて送信された確認信号を受信し、受信した確認信号が適切な信号である場合、ランプ26を点灯又は点滅させていた。これにより、ドアロックシステムは、通信機2を所持するユーザに、通信機2がいずれかの領域Ra,Rb,Rc内に入っていることを報知し、ユーザは、通信機2のアンロックボタン22aを操作するタイミングを判断できる構成である。なお、報知方法としては、ランプ26の点灯又は点滅のほかに、ブザー又はスピーカ等による音声出力、又は液晶パネルによるメッセージ表示等のその他の方法によって報知を行う構成であってもよい。
また、本実施形態1のドアロックシステムでは、制御装置1は、アンロックしたドアが特定のドアであるか全てのドアであるかに応じてハザードランプの点滅態様を異ならせていた。これにより、ユーザは、アンロックされたドアが特定のドア(ユーザに近いドア)であるのか全てのドアであるのかをハザードランプの点滅態様に応じて判断できる構成である。ここでの報知方法も、ハザードランプの点滅のほかに、車輌Cに搭載されたブザー又はスピーカ等による音声出力等によって報知を行う構成であってもよい。
【0059】
なお、本実施形態1のドアロックシステムにおいて、通信機2の操作部22のロックボタン22bが操作された場合、通信機2が領域Ra〜Rc内に存在するか否かにかかわらず、制御装置1は全てのドアをロックする。全てのドアをまとめてロックすることにより、一部のドアをロックし忘れることを防止できる。
【0060】
また本実施形態1のドアロックシステムにおいて、車輌Cの外面に設けられたリクエストスイッチ(車輌側操作部)を、通信機2を所持するユーザが操作した場合に、全てのドアをロック又はアンロックする従来のスマートエントリシステムの構成を更に備えてもよい。このような構成の場合、いずれかの領域Ra,Rb,Rc内に通信機2が存在する状態で車輌Cに設けられたリクエストスイッチが操作された場合、車輌Cのドアがアンロック状態であれば全てのドアがロックされ、車輌Cのドアがロック状態であれば全てのドアがアンロックされる。このような構成を備えることにより、ユーザは通信機2を操作することなく、車輌Cのリクエストスイッチを操作することによって車輌Cのドアのロック及びアンロックを行うことができる。またユーザは、車輌Cに近づいた場合に(いずれかの領域Ra,Rb,Rc内に通信機2が存在する場合に)、通信機2のアンロックボタン22aを操作するか、車輌Cのリクエストスイッチを操作するかによって、アンロックするドアを切り替えることができる。よって、ユーザは車輌Cに近づいた場合に操作するボタン(アンロックボタン22a又はリクエストスイッチ)を変更することにより、特定のドア(ユーザが近づいたドア)のみをアンロックさせるのか、全てのドアをアンロックさせるのかを使い分けることができる。
【0061】
(実施形態2)
以下に、実施形態2に係るドアロックシステムについて説明する。
図7は、実施形態2に係るドアロックシステムの構成を示すブロック図である。本実施形態2のドアロックシステムは、上述の実施形態1のドアロックシステムと同様の構成を備えるが、LF用アンテナとして5つのLF用アンテナ14a〜14eを有する。なお、LF送信部14は、制御装置1から与えられた信号をLF帯の無線信号にてLF用アンテナ14a〜14eのいずれかを介して送信する。本実施形態2のドアロックシステムのその他の構成は、上述の実施形態1のドアロックシステムの構成と同様であるため、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
図8は、LF用アンテナ14a〜14eの設置位置の例を示す模式図である。
図8には、車輌Cの前部が上側に位置するように車輌Cを図示しており、
図8に示す車輌Cは進行方向の右側に運転席(ハンドルH)を有する。
図8に示すように、本実施形態2では、運転席側のドアの中央に運転席側LF用アンテナ14aが設けてあり、助手席側のドアの中央に助手席側LF用アンテナ14bが設けてあり、後部ドアの中央に後部ドア側LF用アンテナ14cが設けてある。また、運転席の後席側のドアの中央に右後席側LF用アンテナ14dが設けてあり、助手席の後席側のドアの中央に左後席側LF用アンテナ14eが設けてある。
図8において、それぞれハッチングを付した領域Ra〜Reは、LF用アンテナ14a〜14eのそれぞれから送信された信号が届く範囲、即ち通信可能範囲である。従って、LF用アンテナ14a〜14eのそれぞれを介して送信された信号は、各領域Ra〜Re内の外部機器(例えば通信機2)によって受信される。また、各領域Ra〜Reは重複しないように設定されている。
【0063】
上述した構成の本実施形態2のドアロックシステムにおいても、上述した実施形態1のドアロックシステムと同様の処理を行う。なお、本実施形態2のドアロックシステムでは、通信機2がいずれかの領域Ra〜Re内に存在する場合に通信機2のアンロックボタン22aが操作されたとき、通信機2が存在する領域Ra(又はRb〜Re)に対応するドアがアンロックされる。具体的には、通信機2が領域Ra内に存在する場合、運転席側のドアがアンロックされ、通信機2が領域Rb内に存在する場合、助手席側のドアがアンロックされ、通信機2が領域Rc内に存在する場合、後部ドアがアンロックされる。また通信機2が領域Rd内に存在する場合、運転席の後席側のドアがアンロックされ、通信機2が領域Re内に存在する場合、助手席の後席側のドアがアンロックされる。
【0064】
本実施形態2のドアロックシステムにおいても、上述の実施形態1のドアロックシステムと同様の効果が得られる。また、上述の実施形態1で適宜説明した各構成の変更及び追加は、本実施形態2においても適用できる。
なお、本実施形態2のドアロックシステムでは、5つのLF用アンテナ14a〜14eが車輌Cに設けられる構成に限らず、少なくとも2つの後席側のドアに右後席側LF用アンテナ14d及び左後席側LF用アンテナ14eがそれぞれ設けられた構成でもよい。
【0065】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。