(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本
自動変速機の制御装置の実施の形態を、図面に沿って説明する。まず、本
実施の形態の多段式自動変速機を適用し得る動力伝達装置1の概略構成について、
図1乃至
図3に沿って説明する。本実施の形態の動力伝達装置1は、後輪駆動車両の前部に縦置きに搭載される駆動源としての図示しないエンジン(内燃機関)のクランクシャフトあるいは電気モータのロータに接続されると共に、エンジン等からの動力(トルク)を図示しない左右の後輪(駆動輪)に伝達可能としている。動力伝達装置1は、発進装置(流体伝動装置)3と、オイルポンプ9と、エンジン等から入力軸
(第2連結部材)40に伝達された動力を変速して出力軸41に伝達する自動変速機4と、これらを収容するトランスミッションケース
(ケース)5とを備えている。
【0013】
発進装置3は、トルクコンバータ20と、エンジンのクランクシャフト等に連結されたフロントカバーと自動変速機4の入力軸40とを接続及び切断可能なロックアップクラッチ21と、フロントカバーと自動変速機4の入力軸40との間で振動を減衰するダンパ機構22とを備えている。トルクコンバータ20は、フロントカバーに連結される入力側のポンプインペラ23と、自動変速機4の入力軸40に連結される出力側のタービンランナ24と、ポンプインペラ23及びタービンランナ24の内側に配置されてタービンランナ24からポンプインペラ23への作動油の流れを整流するステータ25と、図示しないステータシャフトにより支持されると共にステータ25の回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ26とを備えている。尚、トルクコンバータ20は、ステータ25を有さない流体継手であってもよい。
【0014】
オイルポンプ9は、ポンプボディとポンプカバーとを含むポンプアッセンブリ、チェーンまたはギヤ列を介してトルクコンバータ20のポンプインペラ23に連結された外歯ギヤ(インナーロータ)、当該外歯ギヤに噛合する内歯ギヤ(アウターロータ)等を有するギヤポンプとして構成されている。オイルポンプ9は、エンジン等からの動力により駆動され、図示しないオイルパンに貯留されている作動油(ATF)を吸引して油圧制御装置51(
図4参照)へと圧送するようになっている。
【0015】
自動変速機4は、10段変速式の変速機として構成されており、入力軸40と、図示しないデファレンシャルギヤ及びドライブシャフトを介して左右の後輪に連結される出力軸41と、入力軸40及び出力軸41の軸方向に並べて配設されるシングルピニオン式の第1遊星歯車42及び第2遊星歯車43と、ダブルピニオン式遊星歯車とシングルピニオン式遊星歯車とを組み合わせて構成される複合遊星歯車機構としてのラビニヨ式遊星歯車機構
(複合遊星歯車機構)44とからなる変速ギヤ機構を備えている。また、自動変速機4は、入力軸40から出力軸41までの動力伝達経路を変更するための6個の摩擦係合要素
(係合要素)として、第1クラッチC1と、第2クラッチC2と、第3クラッチC3と、第4クラッチC4と、第1ブレーキB1と、第2ブレーキB2とを備えている。
【0016】
本実施の形態では、第1及び第2遊星歯車42,43、並びにラビニヨ式遊星歯車機構44は、発進装置3即ちエンジン側(
図1における左側)から、ラビニヨ式遊星歯車機構44、第2遊星歯車43、第1遊星歯車42という順番で並ぶようにトランスミッションケース5内に配置されている。これにより、ラビニヨ式遊星歯車機構44は、発進装置3に近接するように車両の前部側に配置され、第1遊星歯車42は、出力軸41に近接するように車両の後部側に配置され、第2遊星歯車43は、ラビニヨ式遊星歯車機構44と第1遊星歯車42との間に配置されている。
【0017】
第1遊星歯車42は、外歯歯車である第1サンギヤ
(第1回転要素)42sと、第1サンギヤ42sと同心円上に配置される内歯歯車である第1リングギヤ
(第3回転要素)42rと、それぞれ第1サンギヤ42s及び第1リングギヤ42rに噛合する複数の第1ピニオンギヤ42pと、複数の第1ピニオンギヤ42pを自転(回転)自在に保持する第1キャリヤ
(第2回転要素)42cとを備えている。本実施の形態では、第1遊星歯車42のギヤ比λ1(第1サンギヤ42sの歯数/第1リングギヤ42rの歯数)は、例えば、λ1=0.277と定められている。
【0018】
第1遊星歯車42の第1キャリヤ42cは、入力軸40に常時連結(固定)されている。これにより、エンジン等から入力軸40に動力が伝達されている際、第1キャリヤ42cには、エンジン等からの動力が入力軸40を介して常時伝達されることになる。第1キャリヤ42cは、第1遊星歯車42の入力要素として機能し、また第1リングギヤ42rは、第4クラッチC4の係合時に当該第1遊星歯車42の出力要素として機能する。
【0019】
第2遊星歯車43は、外歯歯車である第2サンギヤ
(第1回転要素)43sと、第2サンギヤ43sと同心円上に配置される内歯歯車である第2リングギヤ
(第3回転要素)43rと、それぞれ第2サンギヤ43s及び第2リングギヤ43rに噛合する複数の第2ピニオンギヤ43pと、複数の第2ピニオンギヤ43pを自転(回転)自在に保持する第2キャリヤ
(第2回転要素)43cとを備えている。本実施の形態では、第2遊星歯車43のギヤ比λ2(第2サンギヤ43sの歯数/第2リングギヤ43rの歯数)は、例えば、λ2=0.244と定められている。
【0020】
第2遊星歯車43の第2サンギヤ43sは、第1遊星歯車42の第1サンギヤ42s
に対して中間軸(第1連結部材)47を介して一体化(常時連結)されており、当該第1サンギヤ42sと常時一体(かつ同軸)に回転または停止するようになっている。但し、第1サンギヤ42sと第2サンギヤ43sとは、別体に構成されると共に図示しない連結部材を介して常時連結されてもよい。また、第2遊星歯車43の第2キャリヤ43cは、出力軸41に常時連結されており、当該出力軸41と常時一体(かつ同軸)に回転または停止するようになっている。これにより、第2キャリヤ43cは、第2遊星歯車43の出力要素として機能する。更に、第2遊星歯車43の第2リングギヤ43rは、第2ブレーキB2により
トランスミッションケース5に対して固定可能で当該第2遊星歯車43の固定可能要素として機能する。
【0021】
ラビニヨ式遊星歯車機構44は、ダブルピニオン式遊星歯車である第3遊星歯車45と、シングルピニオン式遊星歯車である第4遊星歯車46とを組み合わせて構成される複合遊星歯車機構である。尚、各遊星歯車は、エンジン側から、第4遊星歯車46、第3遊星歯車45、第2遊星歯車43、第1遊星歯車42という順番で並ぶようにトランスミッションケース5内に配置されている。
【0022】
ラビニヨ式遊星歯車機構44は、外歯歯車である第3サンギヤ
(第1回転要素)45s及び第4サンギヤ
(第1回転要素)46sと、第3及び第4サンギヤ45s,46sと同心円上に配置される内歯歯車である第3リングギヤ
(第3回転要素)45rと、第3サンギヤ45sに噛合する複数の第3ピニオンギヤ(ショートピニオンギヤ)45pと、第4サンギヤ46s及び複数の第3ピニオンギヤ45pに噛合すると共に第3リングギヤ45rに噛合する複数の第4ピニオンギヤ(ロングピニオンギヤ)46pと、複数の第3ピニオンギヤ45p及び複数の第4ピニオンギヤ46pを自転自在(回転自在)に保持する第3キャリヤ
(第2回転要素)45cとを備えている。
【0023】
第3遊星歯車45は、第3サンギヤ45sと、第3キャリヤ45cと、第3ピニオンギヤ45pと、第4ピニオンギヤ46pと、第3リングギヤ45rとにより構成されている。第4遊星歯車46は、第4サンギヤ46sと、第3キャリヤ45cと、第4ピニオンギヤ46pと、第3リングギヤ45rとにより構成されている。本実施の形態では、ラビニヨ式遊星歯車機構44は、第3遊星歯車45のギヤ比λ3(第3サンギヤ45sの歯数/第3リングギヤ45rの歯数)が、例えば、λ3=0.488となり、かつ第4遊星歯車46のギヤ比λ4(第4サンギヤ46sの歯数/第3リングギヤ45rの歯数)が、例えば、λ4=0.581となるように構成されている。
【0024】
また、ラビニヨ式遊星歯車機構44
は、第3サンギヤ45sと、第3キャリヤ45cと、第3リングギヤ45rと、第4サンギヤ46sとの4つの回転要素により構成されており、これら4つの回転要素のうち、第4サンギヤ46sは、第1ブレーキB1により固定可能でラビニヨ式遊星歯車機構44の固定可能要素として機能する。更に、第3キャリヤ45cは、入力軸40に常時連結(固定)されると共に、第1遊星歯車42の第1キャリヤ42cに常時連結される。これにより、エンジン等から入力軸40に動力が伝達されている際、第3キャリヤ45cには、エンジン等からの動力が入力軸40を介して常時伝達されることになる。従って、第3キャリヤ45cは、ラビニヨ式遊星歯車機構44の入力要素として機能する。また、第3リングギヤ45rは、第1クラッチC1及び中間軸47を介して第2遊星歯車43の
第2サンギヤ43s及び第1遊星歯車42の
第1サンギヤ42sに連結可能であると共に、第3クラッチC3を介して第2遊星歯車43の
第2リングギヤ43rに連結可能であり、当該ラビニヨ式遊星歯車機構44の第1出力要素として機能する。第3サンギヤ45sは、第2クラッチC2及び中間軸47を介して第2遊星歯車43の
第2サンギヤ43s及び第1遊星歯車42の
第1サンギヤ42sに連結可能であり、当該ラビニヨ式遊星歯車機構44の第2出力要素として機能する。
【0025】
第1クラッチC1は、常時連結された第1遊星歯車42の第1サンギヤ42s及び第2遊星歯車43の第2サンギヤ43sとラビニヨ式遊星歯車機構44の第3リングギヤ45rとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものである。第2クラッチC2は、常時連結された第1遊星歯車42の第1サンギヤ42s及び第2遊星歯車43の第2サンギヤ43sとラビニヨ式遊星歯車機構44の第3サンギヤ45sとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものである。第3クラッチC3は、第2遊星歯車43の第2リングギヤ43rとラビニヨ式遊星歯車機構44の第3リングギヤ45rとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものである。第4クラッチC4は、第1遊星歯車42の第1リングギヤ42rと出力軸41とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものである。
【0026】
第1ブレーキB1は、ラビニヨ式遊星歯車機構44の第4サンギヤ46sをトランスミッションケース5に対して回転不能に固定(接続)すると共に、当該第4サンギヤ46sをトランスミッションケースに対して回転自在に解放するものである。第2ブレーキB2は、第2遊星歯車43の第2リングギヤ43rをトランスミッションケース5に対して回転不能に固定(接続)すると共に、当該第2リングギヤ43rをトランスミッションケースに対して回転自在に解放するものである。
【0027】
本実施の形態では、第1クラッチC1〜第4クラッチC4として、ピストン、複数の摩擦係合プレート(例えば、環状部材の両面に摩擦材を貼着することにより構成された摩擦プレート及び両面が平滑に形成された環状部材であるセパレータプレート)、それぞれ
に作動油が供給される係合油室及び遠心油圧キャンセル室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧クラッチが採用されている。また、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2としては、ピストン、複数の摩擦係合プレート(摩擦プレート及びセパレータプレート)、作動油が供給される係合油室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧ブレーキが採用されている。
【0028】
図2は、自動変速機4の各変速段と第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2の作動状態との標準的な関係を示す基本係合表である。また、
図3は、自動変速機4における入力軸40の回転速度に対する各回転要素の回転速度の比を示す速度線図である(ただし、入力軸40、即ち第1キャリヤ42c及び第3キャリヤ45cの回転速度を値1とする)。
【0029】
図3に示すように、シングルピニオン式の第1遊星歯車42を構成する3つの回転要素、即ち第1サンギヤ42s、第1リングギヤ42r、第1キャリヤ42cは、当該第1遊星歯車42の速度線図(
図3における左側の速度線図)上でギヤ比λ1に応じた間隔をおいて図中左側から第1サンギヤ42s、第1キャリヤ42c、第1リングギヤ42rという順番で並んでいる。このような速度線図での並び順に従い、本実施の形態では、第1サンギヤ42sを自動変速機4の第1回転要素とし、第1キャリヤ42cを自動変速機4の第2回転要素とし、第1リングギヤ42rを自動変速機4の第3回転要素とする。従って、第1遊星歯車42は、速度線図上でギヤ比λ1に応じた間隔をおいて順番に並ぶ自動変速機4の第1回転要素、第2回転要素及び第3回転要素を有する。
【0030】
また、シングルピニオン式の第2遊星歯車43を構成する3つの回転要素、即ち第2サンギヤ43s、第2リングギヤ43r、第2キャリヤ43cは、当該第2遊星歯車43の速度線図(
図3における中央の速度線図)上でギヤ比λ2に応じた間隔をおいて図中左側から第2サンギヤ43s、第2キャリヤ43c、第2リングギヤ43rという順番で並ぶ。このような速度線図での並び順に従い、本実施の形態では、第2サンギヤ43sを自動変速機4の第4回転要素とし、第2キャリヤ43cを自動変速機4の第5回転要素とし、第2リングギヤ43rを自動変速機4の第6回転要素とする。従って、第2遊星歯車43は、速度線図上でギヤ比λ2に応じた間隔をおいて順番に並ぶ自動変速機4の第4回転要素、第5回転要素及び第6回転要素を有する。
【0031】
更に、ラビニヨ式遊星歯車機構44を構成する4つの回転要素、即ち第4サンギヤ46s、第3キャリヤ45c、第3リングギヤ45r、第3サンギヤ45sは、この順番で図中左側からシングル式の第3遊星歯車45のギヤ比λ3及びダブルピニオン式の第4遊星歯車46のギヤ比λ4に応じた間隔をおいて当該ラビニヨ式遊星歯車機構44の速度線図(
図3における右側の速度線図)上に並ぶ。このような速度線図での並び順に従い、本実施の形態では、第4サンギヤ46sを自動変速機4の第7回転要素とし、第3キャリヤ45cを自動変速機4の第8回転要素とし、第3リングギヤ45rを自動変速機4の第9回転要素とし、第3サンギヤ45sを自動変速機4の第10回転要素とする。従って、ラビニヨ式遊星歯車機構44は、速度線図上でギヤ比λ3,λ4に応じた間隔をおいて順番に並ぶ自動変速機4の第7回転要素、第8回転要素、第9回転要素、第10回転要素を有する。
【0032】
自動変速機4の制御装置Uは、
図4に示すように、運転者のレンジ操
作、車速及び運転者のトルク要求であるアクセル開度等の各
種信号を入力して、制御信号を出力する(電子)制御部(ECU)50と、多数のリニアソレノイドバルブ等のバルブを有する油圧制御装置51とを備える。制御部50は、上記各信号により変速段を判断し、油圧制御装置51の各リニアソレノイドバルブに各制御油圧信号を出力し、該油圧制御装置51は、各制御油圧信号により調圧された油圧を、自動変速機4の各クラッチC1,C2,C3,C4及びブレーキB1,B2の油圧サーボに出力する。
【0033】
以上のように構成された自動変速機4では、
図1のスケルトン図に示す各第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2が、
図2の基本係合表に示す組み合わせで係脱されることにより、
図3の速度線図のような回転
速度比で、前進1速段(1st)〜前進10速段(10th)、及び後進1速段(Rev)が達成される。
【0034】
ついで、本
実施の形態の要部となる所定変速段(4速段及び7速段)への変速に係る、自動変速機の制御装置の実施の形態について、
図5乃至
図10に沿って説明する。まず、
図5に沿って、基本的なフローについて説明する。
【0035】
制御部50は、現在、自動変速機4がどの変速段(変速前変速段)にあるかを認識する(
ステップS1)。制御部50が、車速及びアクセル開度により、係合する係合要素が複数の組合せを有する所定変速段(例えば4速段、7速段)への変速を判断すると(
ステップS2)、変速前変速段と所定変速段との組合せにより、変速前変速段の係合要素から上記所定変速段を達成するための係合要素へ切換える際、切換え係合要素の少ない係合要素の組合せを選択する(
ステップS3)。そして、該選択された係合要素により、上記所定変速段への変速作動が行われ(
ステップS4)、該所定変速段への変速が完了する(
ステップS5)。なお、上記ステップS2,S3が、係合する係合要素が複数の組合せを有する所定変速段への変速判断に基づき、変速前変速段に応じて上記所定変速段の係合要素の組合せを選択する判断手段を構成する。
【0036】
自動変速機4にあっては、
図6に示すように、前進4速段は、第4クラッチC4及び第2ブレーキB2
を係合することにより達成され、更にその他の第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第1ブレーキB1のいずれか1個を係合
するようにする(黒丸参照)。また、
入力軸40及び出力軸41が同一回転となる直結段である前進7速段は、4個のクラッチの内の少なくとも3個のクラッチが係合することにより達成される(2重丸参照)。即ち、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第4クラッチC4のいずれか3個を係合することにより、
第1遊星歯車42、第2遊星歯車43、ラビニヨ式遊星歯車機構44が一体回転することで入力軸40の回転速度と出力軸41の回転速度とが一致する7速段が達成される。なお、7速段は、第1〜第4クラッチC1,C2,C3,C4のすべてが係合しても達成される。従って、本自動変速機4では、4速段及び7速段が、係合する係合要素が複数の組合せを有する所定変速段となる。
【0037】
7速段は、基本的には
図2に示すように、第1クラッチC1、第3クラッチC3及び第4クラッチC4が係合し、外の係合要素C2,B1,B2は解放されている。これにより、隣接する変速段へのアップシフト及びダウンシフトは、2要素
間の掴み替えにより容易に行うことができる。即ち、7−6変速では、第3クラッチC3の解放と第1ブレーキB1の係合により、7−8変速は、第1クラッチC1の解放及び第1ブレーキB1の係合により容易に行い得る。
【0038】
図7は、本実施の形態による各変速段から7速段への変速の際の係合関係を示す。10−7変速では、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第1ブレーキB1が係合している10速段から、第4クラッチC4を係合すると共に第1ブレーキB1を解放することにより、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第4クラッチC4を係合した7速段が達成される。これにより、基本パターンに比して、第2クラッチC2を係合した状態に保持して、第1クラッチC1の係合が不要となり、変速作動が容易となる。
【0039】
9−7変速は、第4クラッチC4を係合すると共に、第1ブレーキB1を解放して行われる。該9−7変速は、2要素
間の掴み替えで基本パターンと同じである。8−7変速及び6−7変速も、上述したように、2要素
間の掴み替えからなる基本パターンと同じである。4−7変速は、基本パターンの4速段(第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2の係合)では2要素
間の掴み替えでは達成できず、後述する基本係合表と異なる係合関係の4速段を用いるので、
図9で説明する。また、3−7変速では、第2クラッチC2を共通に用いることは可能であっても、第3クラッチC3、第4クラッチC4の係合及び第1ブレーキB1の解放が必要となり、2要素
間の掴み替えではできない(成立せず)。2−7変速も同様に成立しない。
【0040】
5−7変速は、第2クラッチC2、第4クラッチC4及び第1ブレーキB1が係合されている5速段から、第1クラッチC1を係合すると共に第1ブレーキB1を解放することにより、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第4クラッチC4が係合した7速段が達成される。これにより、第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合保持したまま、基本パターンによる第2クラッチC2の解放及び第3クラッチC3の係合が不要となり、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能となる。
【0041】
1−7変速は、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第2ブレーキB2が係合している1速段から、第4クラッチC4を係合すると共に第2ブレーキB2を解放することにより、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第4クラッチC4が係合した7速段が達成される。これにより、第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合保持したまま、基本パターンによる第2クラッチC2の解放及び第3クラッチC3の係合が不要となり、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能となる。
【0042】
上記
図7に示すメインパターンは、第4クラッチC4を係合することを優先している。これは、4速段から8速段まで第4クラッチC4が係合状態に保持されるため、7速段から他の変速段への変速作動が容易となるためである。また、変速前変速段において第4クラッチC4が係合している場合には、油圧サーボのチャンバ面積が広い等のトルク感度の低いクラッチを優先している。トルク感度が低いことにより、制御性が優れ、変速ショックを抑えることが可能となる。
【0043】
図8は、同じく7速段への変速作動の係合表を示すが、
図7とは異なるサブパターンを示す。10−7変速は、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第1ブレーキB1が係合している10速段から、第1クラッチC1を係合すると共に第1ブレーキB1を解放して、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合した7速段を達成する。該10−7変速でも、第2クラッチC2を共通に保持して、2要素
間の掴み替えにより容易に変速が可能となる。9−7変速は、第1クラッチC1、第3クラッチC3及び第1ブレーキB1が係合している9速段から、第2クラッチC2を係合すると共に第1ブレーキB1を解放して、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3を係合した7速段を達成する。この場合でも、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。
【0044】
8−7変速は、第3クラッチC3、第4クラッチC4及び第1ブレーキB1が係合している8速段から、第2クラッチC2を係合すると共に第1ブレーキB1を解放して、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第4クラッチC4を係合した7速段を達成する。この場合も同様に、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。6−7変速は、第1クラッチC1、第4クラッチC4及び第1ブレーキB1が係合している6速段から、第2クラッチC2を係合すると共に第1ブレーキB1を解放して、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合した7速段を達成する。この場合も同様に、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。
【0045】
5−7変速は、第2クラッチC2、第4クラッチC4及び第1ブレーキB1が係合している5速段から、第3クラッチC3を係合すると共に第1ブレーキB1を解放して、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第4クラッチC4を係合した7速段を達成する。この場合も同様に2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。
【0046】
4−7変速は、4速段を基本パターンと異なる係合を用いるので、
図10に基づき後述する。3−7変速及び2−7変速は、
図7と同様に、2要素
間の掴み替えでは成立しない。1−7変速は、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第2ブレーキB2が係合した1速段から、第3クラッチC3を係合すると共に第2ブレーキB2を解放して、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合した7速段を達成する。この場合も同様に2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。
【0047】
所定変速段である前進4速段の基本パターンは、
図2に示すように、第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2が係合して、外の係合要素C1,C2,C3を解放している。
図9及び
図10に、
本実施の形態による各変速段から4速段への変速パターンを示す。
図9に、トルク感度の低いクラッチを優先したメインパターンを示し、
図10に、それ以外のサブパターンを示す。トルク感度が低いクラッチは、制御性に優れ、変速ショックを抑えることが可能となる。
【0048】
図9及び
図10において、10−4変速及び9−4変速は、2要素
間の掴み替えによる変速作動は不可であり、成立しない。まず、
図9に基づき、メインパターンについて説明する。8−4変速は、第3クラッチC3、第4クラッチC4及び第1ブレーキB1が係合した8速段から、第3クラッチC3を解放すると共に第2ブレーキB2を係合して、第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2を係合した4速段を達成する。該変速は、基本パターン(係合表)と同じであるが、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。
【0049】
7−4変速は、第1クラッチC1、第3クラッチC3及び第4クラッチC4が係合した7速段から、第3クラッチC3を解放すると共に第2ブレーキB2を係合して、第1クラッチC1、第4クラッチC4及び第2ブレーキB2が係合した4速段を達成する。これにより、第1クラッチC1を係合した状態及び第1ブレーキB1を解放した状態に保持したままで、これら係合要素の掴み替えを必要とする基本パターンに比して、2要素
間の掴み替えで足りる本変速パターンは、容易な変速作動が可能となる。反対に、4−7変速の場合も、4速段を第1クラッチC1、第4クラッチC4及び第2ブレーキB2を係合した状態として、第3クラッチC3を係合すると共に第2ブレーキB2を解放することにより、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能となる。
【0050】
6−4変速は、第1クラッチC1、第4クラッチC4及び第1ブレーキB1が係合した6速段から、第1クラッチC1を解放すると共に、第2ブレーキB2を係合して、第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2を係合した4速段を達成する。該変速パターンは、基本変速パターンと同じであるが、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。5−4変速は、第2クラッチC2、第4クラッチC4及び第ブレーキB1が係合した5速段から、第2クラッチC2を解放すると共に第2ブレーキB2を係合して、第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2が係合した4速段を達成する。この場合も基本パターンと同じであるが、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。3−4変速は、第2クラッチC2、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2が係合した3速段から、第2クラッチC2を解放すると共に第4クラッチC4を係合して、第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2が係合した4速段を達成する。該変速パターンも基本パターンと同じであるが、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。2−4変速は、第1クラッチC1、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2が係合した2速段から、第1クラッチC1を解放すると共に第4クラッチC4を係合して、第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2が係合した4速段を達成する。該変速パターンも基本パターンと同じであるが、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。
【0051】
1−4変速は、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第2ブレーキB2が係合した1速段から、第1クラッチC1を解放すると共に第4クラッチC4を係合して、第2クラッチC2、第4クラッチC4、第2ブレーキB2が係合した4速段を達成する。これにより、第2クラッチC2を係合したまま保持して、基本パターンでは必要となる第2クラッチC2の解放及び第1ブレーキB1の係合を必要とせず、2要素
間の掴み替えによる変速作動が可能となる。
【0052】
図10に沿って、サブパターンによる4速段への変速について説明する。8−4変速では、第3クラッチC3、第4クラッチC4及び第1ブレーキB1が係合した8速段から、第1ブレーキB1を解放すると共に第2ブレーキB2を係合して、第3クラッチC3、第4クラッチC4及び第2ブレーキB2が係合した4速段を達成する。この場合も、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。
【0053】
7−4変速は、第1クラッチC1、第3クラッチC3及び第4クラッチC4が係合した7速段から、第1クラッチC1を解放すると共に第2ブレーキB2を係合して、第3クラッチC3、第4クラッチC4及び第2ブレーキB2が係合した4速段を達成する。この場合も、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。4−7変速においても、4速段を第3クラッチC3、第4クラッチC4及び第2ブレーキB2を係合状態として、第1クラッチC1を係合すると共に第2ブレーキB2を解放して、第1クラッチC1、第3クラッチC3及び第4クラッチC4を係合した7速段を達成する。この場合も同様に、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。
【0054】
6−4変速は、第1クラッチC2、第4クラッチC4及び第1ブレーキB1が係合した6速段から、第1ブレーキB1を解放すると共に第2ブレーキB2を係合して、第1クラッチC1、第4クラッチC4及び第2ブレーキB2が係合した4速段を達成する。この場合も同様に、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。5−4変速は、第2クラッチC2、第4クラッチC4及び第1ブレーキB1が係合した5速段から、第1ブレーキB1を解放すると共に第2ブレーキB2を係合して、第2クラッチC2、第4クラッチC4及び第2ブレーキB2が係合した4速段を達成する。この場合も同様に、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。
【0055】
3−4変速は、第2クラッチC2、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2が係合した3速段から、第4クラッチC4を係合すると共に第1ブレーキB1を解放して、第2クラッチC2、第4クラッチC4及び第2ブレーキB2が係合した4速段を達成する。この場合も同様に、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。
【0056】
2−4変速は、第1クラッチC1、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2を係合した2速段から、第4クラッチC4を係合すると共に第1ブレーキB1を解放して、第1クラッチC1、第4クラッチC4及び第2ブレーキB2が係合した4速段を達成する。この場合も同様に、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。1−4変速は、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第2ブレーキB2を係合した1速段から、第2クラッチC2を解放すると共に第4クラッチC4を係合して、第1クラッチC1、第4クラッチC4及び第2ブレーキB2が係合した4速段を達成する。この場合も同様に、2要素
間の掴み替えにより容易に変速可能である。
【0057】
上述したように、本実施の形態に係る自動変速機4の制御装置Uによれば、第1〜第4クラッチC1〜C4、第1及び第2ブレーキB1,B2を有する複数の係合要素が複数の組合せで変速段を形成可能な所定変速段(4速段及び7速段)への変速に際して、変速前の変速段に応じて、所定変速段の係合要素を適宜選択し、2要素間の掴み替えにより該所定変速段への変速が達成されるようにしている。これにより、所定変速段への変速を、容易にかつ高い応答性で変速することができる。
【0058】
また、本実施の形態に係る自動変速機4の制御装置Uでは、変速ギヤ機構は、所定変速段以外の第1の変速段から所定変速段へ変速する場合に所定変速段を達成する第1の組合せと、所定変速段以外の第2の変速段から所定変速段へ変速する場合に所定変速段を達成すると共に、第1の組合せとは異なる組合せである第2の組合せと、を有している。即ち、変速ギヤ機構は、例えば、第1の変速段である8速段から7速段へ変速する場合に7速段を達成する第1の組合せである第1クラッチC1、第3及び第4クラッチC3,C4と、1速段から7速段へ変速する場合に7速段を達成すると共に、第1の組合せとは異なる組合せの第2の組合せである第1及び第2クラッチC1,C2、第4クラッチC4と、を有するようにしている。
【0059】
これにより、本自動変速機4の制御装置Uによれば、1つの所定変速段を形成するために係合要素の組合せが複数存在し、どの変速段から所定変速段に変速するかによって選択される組合せが異なるようにできる。
【0060】
また、本実施の形態に係る自動変速機4の制御装置Uでは、所定変速段を達成する係合要素の複数の組合せのうち、変速前の変速段で係合される係合要素から所定変速段への変速のために、1つの係合要素を解放し、他の1つの係合要素を係合する組合せが選択される。例えば、6速段で係合される係合要素(第1クラッチC1、第4クラッチC4、第1ブレーキB1)から7速段への変速のために、1つの係合要素である第1ブレーキB1を解放し、他の1つの係合要素である第3クラッチC3を係合する組合せが選択される。即ち、変速前の変速段で係合される係合要素から所定変速段への変速のために係合又は解放される係合要素が少ない組合せが選択されるようにしている。
【0061】
これにより、本自動変速機4の制御装置Uによれば、変速前の変速段から所定変速段への変速のために係合又は解放される係合要素が最小限となる組合せが選択されるので、所定変速段への変速を容易かつ高い応答性で行うことができる。
【0062】
また、本実施の形態に係る自動変速機4の制御装置Uでは、係合要素が4個のクラッチ及び2個のブレーキからなり、所定変速段(4速段)が、1個のクラッチと1個のブレーキとを係合する外、残りの3個のクラッチ及び1個のブレーキのいずれか1個を係合することにより達成されるようにしている。これにより、広い選択肢の中から適正な係合要素の組合せを選択することができる。
【0063】
また、本実施の形態に係る自動変速機4の制御装置Uでは、係合要素が4個のクラッチ及び2個のブレーキからなり、所定変速段(7速段)が、4個のクラッチの内の少なくともいずれか3個のクラッチを係合することにより達成されるようにしている。これにより、多くの変速段から少ない係合要素の掴み替えにより変速が可能となる。
【0064】
また、本実施の形態に係る自動変速機4の制御装置Uでは、変速ギヤ機構は、第1〜第4遊星歯車42,43,45,46と、入力軸40と、出力軸41とを備え、係合要素は、第1〜第4クラッチC1〜C4及び第1及び第2ブレーキB1,B2からなり、第1遊星歯車42は、第1サンギヤ42sと、入力軸40に連結可能な第1キャリヤ42cと、第1リングギヤ42rとを有し、第2遊星歯車43は、第2サンギヤ43sと、出力軸41に連結する第2キャリヤ43cと、第2リングギヤ43rとを有し、第4クラッチC4は、第1遊星歯車42に連結し、第2ブレーキB2は、第2リングギヤ43rに連結し、第1クラッチC1と第2クラッチC2と第3クラッチC3とは、第1遊星歯車42及び第2遊星歯車43と、第3遊星歯車45及び第4遊星歯車46と、の間で、動力伝達可能であり、第1ブレーキB1は、第4遊星歯車46に連結するようにしている。
【0065】
また、本実施の形態に係る自動変速機4の制御装置Uでは、変速ギヤ機構は、第1〜第4遊星歯車42,43,45,46と、入力軸40と、出力軸41とを備え、係合要素は、第1〜第4クラッチC1〜C4及び第1及び第2ブレーキB1,B2からなり、第1遊星歯車42は、第1サンギヤ42sと、入力軸40に連結する第1キャリヤ42cと、第1リングギヤ42rとを有し、第2遊星歯車43は、第2サンギヤ43sと、出力軸41に連結する第2キャリヤ43cと、第2リングギヤ43rとを有し、第4クラッチC4は、第1遊星歯車42と第2遊星歯車43とを連結可能であり、第2ブレーキB2は、第2リングギヤ43rに連結し、第1クラッチC1と第2クラッチC2と第3クラッチC3とは、第1遊星歯車42及び第2遊星歯車43と、第3遊星歯車45及び第4遊星歯車46と、の間で、動力伝達可能であり、第1ブレーキB1は、第4遊星歯車46に連結するようにしている。
【0066】
また、本実施の形態に係る自動変速機4の制御装置Uでは、変速ギヤ機構は、第1〜第4遊星歯車42,43,45,46と、入力軸40と、出力軸41とを備え、係合要素は、第1〜第4クラッチC1〜C4及び第1及び第2ブレーキB1,B2からなり、第1遊星歯車42は、第1サンギヤ42sと、入力軸40に連結する第1キャリヤ42cと、第1リングギヤ42rとを有し、第2遊星歯車43は、第1サンギヤ42sに連結する第2サンギヤ43sと、出力軸41に連結する第2キャリヤ43cと、第2リングギヤ43rとを有し、第4クラッチC4は、第1リングギヤ42rと第2キャリヤ43cとを連結可能であり、第2ブレーキB2は、第2リングギヤ43rに連結し、第1クラッチC1と第2クラッチC2と第3クラッチC3とは、第1遊星歯車42及び第2遊星歯車43と、第3遊星歯車45及び第4遊星歯車46と、の間で、動力伝達可能であり、第1ブレーキB1は、第4遊星歯車46に連結するようにしている。
【0067】
また、本実施の形態に係る自動変速機4の制御装置Uでは、変速ギヤ機構は、トランスミッションケース5と、入力軸40と、出力軸41と、それぞれ第1〜第3回転要素を有する第1及び第2遊星歯車42,43と、第3及び第4遊星歯車45,46を組み合わせてなる4つの回転要素を有するラビニヨ式遊星歯車機構44と、ラビニヨ式遊星歯車機構44の4つの回転要素のうちの1つの回転要素と、第1遊星歯車42の第1キャリヤ42cと、を連結する入力軸40と、第1遊星歯車42の第1サンギヤ42sと、第2遊星歯車43の第1サンギヤ43sと、を連結する中間軸47と、を備え、複数の係合要素は、第1〜第4遊星歯車42,43,45,46のうちの2つの遊星歯車間を連結可能な第1〜第4クラッチC1〜C4と、第1〜第4遊星歯車42,43,45,46のうちの1つの遊星歯車とトランスミッションケース5とを連結可能な第1及び第2ブレーキB1,B2と、からなるようにしている。
【0068】
また、本実施の形態に係る自動変速機4の制御装置Uでは、変速ギヤ機構は、シングルピニオン式の第1遊星歯車42及び第2遊星歯車43と、ダブルピニオン式遊星歯車45とシングルピニオン式遊星歯車46とを組合せたラビニヨ式遊星歯車機構44と、を備え、第1遊星歯車42の第1キャリヤ42c及びラビニヨ式遊星歯車機構44の第3キャリヤ45cが入力軸40に連結され、第2遊星歯車43の第2キャリヤ43cが出力軸41に連結され、第1遊星歯車42の第1サンギヤ42sと第2遊星歯車43の第2サンギヤ43sとが一体に連結され、一体に連結された第1サンギヤ42s及び第2サンギヤ43sとラビニヨ式遊星歯車機構44の第3リングギヤ45rとの間に第1クラッチC1を介在し、一体に連結された第1サンギヤ42s及び第2サンギヤ43sとラビニヨ式遊星歯車機構44のダブルピニオン式遊星歯車45の第3サンギヤ45sとの間に第2クラッチC2を介在し、第2遊星歯車43の第2リングギヤ43rとラビニヨ式遊星歯車機構44の第3リングギヤ45rとの間に第3クラッチC3を介在し、第1遊星歯車42の第1リングギヤ42rと出力軸41との間に第4クラッチC4を介在し、ラビニヨ式遊星歯車機構44のシングルピニオン式遊星歯車46の第4サンギヤ46sを第1ブレーキB1に連結し、第2リングギヤ43rを第2ブレーキB2に連結し、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2を適宜係合又は解放することにより前進10速段、後進1速段を達成してなるようにしている。
【0069】
これにより、本自動変速機4の制御装置Uによれば、前進10速段の多段式自動変速機において、所定変速段への変速を、係合する係合要素の複数の組合せから選択して確実にかつ素早く達成することができる。
【0070】
また、本実施の形態に係る自動変速機4の制御装置Uでは、所定変速段が、第4クラッチC4及び第2ブレーキB2を係合することにより達成され、他の、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第1ブレーキB1のいずれか1個を係合する変速段であるようにしている。これにより、例えば、4速段が形成され、多くの係合要素の組合せから選択して適正な変速を容易に行うことができる。
【0071】
また、本実施の形態に係る自動変速機4の制御装置Uでは、所定変速段が、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第4クラッチC4の少なくともいずれか3個を係合することにより達成され、第1〜第4遊星歯車42,43,45,46が一体回転することで入力軸40の回転速度と出力軸41の回転速度とが一致する変速段であるようにしている。これにより、例えば、7速段が形成され、4個のクラッチC1〜C4の内のいずれか3個のクラッチを選択して、適正な変速を容易に行うことができる。また、7速段は、直結段であり、4個のクラッチをすべて係合することにより、全ての遊星歯車を直結して、引き摺りトルクを低減することが可能となる。
【0072】
なお、本自動変速機
4に限らず、係合する係合要素が複数の組合せを有する所定変速段への変速に対して、同様に適用可能である。