特許第6183237号(P6183237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183237
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】読取装置用線状光源装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20170814BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20170814BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20170814BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20170814BHJP
   G03B 27/54 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H04N1/04 101
   H04N1/028 Z
   G06T1/00 430F
   F21S2/00 330
   G03B27/54 A
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-20168(P2014-20168)
(22)【出願日】2014年2月5日
(65)【公開番号】特開2015-149535(P2015-149535A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078754
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 正彦
(72)【発明者】
【氏名】至極 稔
【審査官】 橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−007539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/024− 1/207
G06T 1/00
G03B27/50 −27/70
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して長手方向に沿って形成された反射部および出射部を有する棒状の導光体と、当該導光体の長手方向における両端面の各々に対向して配置された第1の発光素子および第2の発光素子とを備えており、前記導光体における反射部が、外周面において複数の凹凸溝が形成されることにより隣接する凹凸溝間に形成された複数のプリズム要素により構成されてなる読取装置用線状光源装置において、
条件(A):前記第1の発光素子および前記第2の発光素子のいずれか一方のみを点灯させたときに得られる長手方向の配光分布曲線が両端部の各々に照度ピークを有し、
条件(B):前記第1の発光素子と第2の発光素子を光束比が1:1となる条件で点灯させたときに得られる前記長手方向における配光分布曲線において、当該導光体の両端部の2つの照度ピークの長手方向の位置をそれぞれxp、xp’、長手方向の中心位置の照度を100%とし、当該一方の照度ピークの位置xpにおける照度を(100+Axp)%、当該他方の照度ピークの位置xp’における照度を(100+Axp’)%としたとき、前記第1の発光素子および前記第2の発光素子のいずれか一方のみを点灯させたときに得られる長手方向の配光分布曲線における前記一方の照度ピークの位置xpの照度が、(100−2×Axp)%以上、(100+4×Axp)%以下の範囲内であり、前記他方の照度ピークの位置xp’の照度が、(100−2×Axp’)%以上、(100+4×Axp’)%以下の範囲内となる
状態が得られるよう、前記反射部を構成する個々のプリズム要素が形成されていることを特徴とする読取装置用線状光源装置。
【請求項2】
前記第1の発光素子および前記第2の発光素子のいずれか一方のみを点灯させたときに得られる長手方向の配光分布曲線における前記一方の照度ピークの位置xpの照度が、(100−Axp)%以上、(100+3×Axp)%以下の範囲内となり、前記他方の照度ピークの位置xp’の照度が、(100−Axp’)%以上、(100+3×Axp’)%以下の範囲内となる状態が得られる条件で、前記反射部を構成する個々のプリズム要素が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の読取装置用線状光源装置。
【請求項3】
個々のプリズム要素における近位側の発光素子に対向する一方の光学的平面の長手方向に対する傾斜角αが、遠位側の発光素子に対向する他方の光学的平面の長手方向に対する傾斜角βより大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の読取装置用線状光源装置。
【請求項4】
前記反射部を構成するプリズム要素のピッチが長手方向中央側に向かうに従って大きくなることを特徴とする請求項3に記載の読取装置用線状光源装置。
【請求項5】
前記凹凸溝の深さが長手方向中央側に向かうに従って小さくなることを特徴とする請求項3に記載の読取装置用線状光源装置。
【請求項6】
前記反射部を構成するプリズム要素は、近位側の発光素子に対向する一方の光学的平面の表面が光吸収面として機能する光吸収プリズム要素を含み、当該光吸収プリズム要素の配置密度が長手方向中央側に向かうに従って低くなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の読取装置用線状光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ファクシミリ、複写機、スキャナなどの機器に使用される原稿読取装置用線状光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、ファクシミリ、複写機、スキャナなどの機器においては、原稿面を照明する光源装置を備えた、原稿面からの反射光によって原稿面の文字情報および画像情報を読み取る原稿読取装置が搭載されている。
【0003】
原稿読取装置用の光源装置としては、例えば、透光性の樹脂等からなる棒状の導光体の少なくとも一端に、LED素子を備えたLED光源が配置されてなり、LED光源から放射された光を導光体の長手方向に伝播させて原稿面に照射する構成のものが主流となりつつある。この理由としては、このような、いわゆる「サイドライト型」の線状光源装置においては、副走査方向において幅の大きい高照度照明領域を形成することができるためである。ここに、「副走査方向」とは、光源装置を原稿載置面に対して平行かつ導光体の長手方向に垂直な方向に相対的に移動させるときの移動方向をいう。例えば、特許文献1には、棒状の導光体の両端の各々にLED光源が配置されてなる線状光源装置が開示されている。
【0004】
画像読み取り部では、原稿面からの反射光を受光する受光素子(例えばCCD素子)を、導光体の長手方向中央の位置にレンズを介して縮小光学系をなすように配置する。レンズはコサイン四乗則により、主走査方向(導光体の長手方向)の中央部の光量は明るいが、端部の光量が暗くなる特性を持つ。このようなレンズ特性を補うため、主走査方向端部の光量を多くすることで、受光素子上での光量分布が均一となるようにすることが望ましい。このことから、線状光源装置の主走査方向(導光体の長手方向)における配光分布は、両端部の照度が中央部の照度に比して高くなるようにすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−151440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の線状光源装置においては、導光体の長手方向の配光分布は、一方のLED光源からの光と、他方のLED光源からの光とが合成されて得られるものである。このため、LED光源からの光の明るさが均等で同等の性能を有している場合には、導光体の長手方向の配光分布が長手方向の中央位置に対して対称な分布となるように設計することが一般的である。
しかしながら、LED素子にはバラツキ(個体差)が存在するため、一方のLED素子と他方のLED素子とに明るさ(光量)の差がある場合には、配光分布のバランスが崩れてしまい、端部の中央部に対する光量比が所定範囲を逸脱してしまう。また、LED素子の寿命特性は均一ではなく、点灯時間を経るにしたがって光量に差が生じるため、これによっても、配光分布のバランスは崩れてしまう。このように配光分布の変化が生ずると、例えば原稿面に対する光の照度が部分的に不足したり、カラーバランスが欠如したりするといった問題が生ずる。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、発光素子自体に個体差がある場合や、発光素子の発光状態が経時的に変化した場合であっても、所期の配光分布特性を得ることができる読取装置用線状光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の読取装置用線状光源装置は、互いに対向して長手方向に沿って形成された反射部および出射部を有する棒状の導光体と、当該導光体の長手方向における両端面の各々に対向して配置された第1の発光素子および第2の発光素子とを備えており、前記導光体における反射部が、外周面において複数の凹凸溝が形成されることにより隣接する凹凸溝間に形成された複数のプリズム要素により構成されてなる読取装置用線状光源装置において、
下記条件(A)および条件(B)を満足する状態が得られるよう、前記反射部を構成する個々のプリズム要素が形成されていることを特徴とする。
【0009】
条件(A):前記第1の発光素子および前記第2の発光素子のいずれか一方のみを点灯させたときに得られる長手方向の配光分布曲線が両端部の各々に照度ピークを有すること。
条件(B):前記第1の発光素子と第2の発光素子を光束比が1:1となる条件で点灯させたときに得られる前記長手方向における配光分布曲線において、当該導光体の両端部の2つの照度ピークの長手方向の位置をそれぞれxp、xp’、長手方向の中心位置の照度を100%とし、当該一方の照度ピークの位置xpにおける照度を(100+Axp)%、当該他方の照度ピークの位置xp’における照度を(100+Axp’)%としたとき、前記第1の発光素子および前記第2の発光素子のいずれか一方のみを点灯させたときに得られる長手方向の配光分布曲線における前記一方の照度ピークの位置xpの照度が、(100−2×Axp)%以上、(100+4×Axp)%以下の範囲内であり、前記他方の照度ピークの位置xp’の照度が、(100−2×Axp’)%以上、(100+4×Axp’)%以下の範囲内となること。
【0010】
本発明の読取装置用線状光源装置においては、前記第1の発光素子および前記第2の発光素子のいずれか一方のみを点灯させたときに得られる長手方向の配光分布曲線における前記一方の照度ピークの位置xpの照度が、(100−Axp)%以上、(100+3×Axp)%以下の範囲内となり、前記他方の照度ピークの位置xp’の照度が、(100−Axp’)%以上、(100+3×Axp’)%以下の範囲内となる状態が得られる条件で、前記反射部を構成する個々のプリズム要素が形成された構成とされていることが好ましい。
【0011】
さらにまた、本発明の読取装置用線状光源装置においては、個々のプリズム要素における近位側の発光素子に対向する一方の光学的平面の長手方向に対する傾斜角αが、遠位側の発光素子に対向する他方の光学的平面の長手方向に対する傾斜角βより大きい構成とされていることが好ましい。
【0012】
さらにまた、本発明の読取装置用線状光源装置においては、前記反射部を構成するプリズム要素のピッチが長手方向中央側に向かうに従って大きくなる構成とすることができる。
また、前記凹凸溝の深さが長手方向中央側に向かうに従って小さくなる構成とすることができる。
さらにまた、前記反射部を構成するプリズム要素は、近位側の発光素子に対向する一方の光学的平面の表面が光吸収面として機能する光吸収プリズム要素を含み、当該光吸収プリズム要素の配置密度が長手方向中央側に向かうに従って低くなる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の読取装置用線状光源装置によれば、LED素子の明るさ(光量)に個体差がある場合や、経時的にLED素子の明るさ(光量)にバラツキが生じた場合であっても、導光体の長手方向両端部における照度のピーク変動の程度を小さく抑制することができるので、所期の配光分布特性を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る読取装置用線状光源装置の一例における構成の概略を示す断面図である。
図2図1に示す読取装置用線状光源装置の、導光体の長手方向に垂直な断面図である。
図3図1に示す読取装置用線状光源装置の導光体における反射部の構成を概略的に示す拡大断面図である。
図4】LED光源から放射される光の光線追跡線を示す観念図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る読取装置用線状光源装置の一例における構成の概略を示す断面図である。
図6】本発明の第3の実施形態に係る読取装置用線状光源装置の一例における構成の概略を示す断面図である。
図7】実施例1において作製した読取装置用線状光源装置の配光分布曲線を示す図である。
図8】実施例1において作製した読取装置用線状光源装置の、いずれか一方のLED光源のみを点灯させたときの配光分布曲線を示す図である。
図9】実施例2において作製した読取装置用線状光源装置の配光分布曲線を示す図である。
図10】実施例2において作製した読取装置用線状光源装置の、いずれか一方のLED光源のみを点灯させたときの配光分布曲線を示す図である。
図11】比較例1において作製した比較用の読取装置用線状光源装置の配光分布曲線を示す図である。
図12】比較例1において作製した比較用の読取装置用線状光源装置の、いずれか一方のLED光源のみを点灯させたときの配光分布曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る読取装置用線状光源装置の一例における構成の概略を示す断面図である。図2は、図1に示す読取装置用線状光源装置の、導光体の長手方向に垂直な断面図である。図3は、図1に示す読取装置用線状光源装置における反射部の構成を概略的に示す拡大断面図である。
この読取装置用線状光源装置は、長手方向における両端面10a,10bの各々が光取込面とされた棒状の導光体10と、この導光体10の一端面10aに対向して配置された一端側LED光源30aと、導光体10の他端面10bに対向して配置された他端側LED光源30bと、導光体10を支持するための導光体支持台40とを備えている。
【0017】
一端側LED光源30aは、導光体10の一端面10aと長手方向に離間して対向配置された平板状の基板31aと、この基板31aの一面上に実装された第1の発光素子としてのLED素子32aと、導光体10の一端面10aとLED素子32aとの間の空間を取り囲むよう設けられた反射体33aとにより構成されている。
他端側LED光源30bは、導光体10の他端面10bと長手方向に離間して配置された平板状の基板31bと、この基板31bの一面上に実装された第2の発光素子としてのLED素子32bと、導光体10の他端面10bとLED素子32bとの間の空間を取り囲むよう設けられた反射体33bとにより構成されている。
【0018】
導光体10は、略円柱状の棒状体であり、円弧状の光出射面を有する出射部11が長手方向に沿って形成されていると共に、光出射面に対向する周面に、反射部15が長手方向に沿って形成されている。導光体10は、当該導光体10に沿って延びるよう配設された導光体支持台40によって、光出射面が所定方向を向く状態で支持されて固定されている。
導光体10の反射部15は、導光体10の外周面において複数の凹凸溝が長手方向に互いに離間した位置に形成されることにより隣接する凹凸溝間に形成された複数のプリズム要素20により構成されている。この例においては、凹凸溝は、例えば断面形状が略V字状のV字溝16により構成されており、各々のプリズム要素20は、断面台形状とされている。また、V字溝16の深さDは均一な大きさとされている。
【0019】
導光体10を構成する材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)などの透光性樹脂が用いられる。
また、導光体支持台40を構成する材料としては、導光体10の出射部11以外の箇所から導光体10の外部に出射される光を吸収して遮蔽することができるものであることが好ましく、例えば、ポリカーボネート樹脂などを用いることができる。また、適宜の基材の表面に光吸収性を有する塗装が施されたものを用いることもできる。
【0020】
而して、上記の読取装置用線状光源装置においては、下記条件(A)および条件(B)を満足する状態が得られるよう、反射部15を構成する個々のプリズム要素20が形成されている。
【0021】
条件(A):
一端側LED光源30aにおけるLED素子32aおよび他端側LED光源30bにおけるLED素子32bのいずれか一方を単独で点灯させたときに得られる導光体10の長手方向における配光分布曲線が両端部の各々に照度ピークを有すること。
ただし、いずれか一方を単独で点灯させたときに得られる照度ピークは、一端側LED光源30aにおけるLED素子32aと他端側LED光源30bにおけるLED素子32bとを光束比が1:1となる条件で点灯させたときに得られる導光体10の長手方向における配光分布曲線においての両端部の2つの照度ピークと一致する必要はない。
また「照度ピーク」とは、長手方向における周辺の照度よりも照度が高く盛り上がっているためにピークとして視認されるものをいい、必ずしも長手方向中心位置における照度より高いことを意味しない。
例えば、図8を参照して説明すると、一端側LED光源30aにおけるLED素子32aを単独で点灯させたときに得られる実線で示す配光分布曲線(a)においては、例えば−140mm付近に一端側照度ピークを有し、例えば140mm付近に他端側照度ピークを有する。
【0022】
条件(B):
一端側LED光源30aにおけるLED素子32aと他端側LED光源30bにおけるLED素子32bとを光束比が1:1となる条件で点灯させたときに得られる導光体10の長手方向における配光分布曲線において、両端部の2つの照度ピークの長手方向位置をそれぞれ、xp、xp’と置く。
一方の照度ピークの長手方向位置xpにおける照度を(100+Axp)%とし、他方の照度ピークの長手方向位置xp’における照度を(100+Axp’)%とする。
このとき、一端側LED光源30aにおけるLED素子32aおよび他端側LED光源30bにおけるLED素子32bのいずれか一方を単独で点灯させたときに得られる長手方向の配光分布曲線は、長手方向の中心位置の照度を100%としたときに、前記長手方向位置xpにおける照度が、(100−2×Axp)%以上、(100+4×Axp)%以下の範囲内であり、前記長手方向位置xp’における照度が、(100−2×Axp’)%以上、(100+4×Axp’)%以下の範囲内となること。
例えば、図7を参照して説明すると、一端側LED光源30aにおけるLED素子32aと他端側LED光源30bにおけるLED素子32bとを光束比が1:1となる条件で点灯させた時に得られる実線で示す配光分布曲線(α)において、両端部の2つの照度ピークの長手方向の位置をそれぞれ、xp、xp’と置く(ここでは、それぞれ−140mm付近、+140mm付近の位置)。また、長手方向の中心位置の照度を100%とし、一方の照度ピークの長手方向位置xpにおける照度を(100+Axp)%とし、他方の照度ピークの長手方向位置xp’における照度を、(100+Axp’)%とする。
このとき、図8に示すように、一端側LED光源30aにおけるLED素子32aを単独で点灯したときに得られる長手方向の配光分布曲線(a)における長手方向位置xpの照度が、(100−2×Axp)%以上、100+4×Axp)%以下の範囲内であり、前記長手方向位置xp’における照度が、(100−2×Axp’)%以上、(100+4×Axp’)%以下の範囲内となっている。
また、他端側LED光源30bにおけるLED素子32bを単独で点灯したときに得られる長手方向の配光分布曲線(b)における長手方向位置xpの照度が、(100−2×Axp)%以上、100+4×Axp)%以下の範囲内であり、前記長手方向位置xp‘における照度が、(100−2×Axp’)%以上、(100+4×Axp’)%以下の範囲内となっている。
以上において、配光分布曲線は、いずれも、点灯初期時のLED素子によるものであって、例えば点灯初期時においてLED素子の明るさにバラツキがある場合には、図7に示す配光分布曲線(α)において、照度が高い照度ピーク位置の値が用いられる。
【0023】
さらには、上記の読取装置用線状光源装置においては、一端側LED光源30aにおけるLED素子32aおよび他端側LED光源30bにおけるLED素子32bのいずれか一方を単独で点灯させたときに得られる配光分布曲線は、長手方向の中心位置の照度を100%としたときに、前記長手方向位置xpにおける照度が、(100−Axp)%以上、(100+3×Axp)%以下の範囲内であり、前記長手方向位置xp’における照度が、(100−Axp’)%以上、(100+3×Axp’)%以下の範囲内となる状態が得られる条件で、反射部15を構成する個々のプリズム要素20が形成されていることが好ましい。
【0024】
反射部15の構造について具体的に説明すると、この第1の実施形態に係る読取装置用線状光源装置における導光体10の反射部15は、互いに同一の形状を有する複数のプリズム要素20が端部から長手方向中央側に向かうに従ってピッチ(V字溝16の形成ピッチ)が大きくなる状態で形成されて構成されている。そして、反射部15は、プリズム要素20が導光体10の中心位置に対してほぼ対称に形成されて構成されている。
【0025】
この例においては、例えば、導光体10の端面位置より中央位置までの領域を2つの領域L1,L2に分け、各領域L1,L2におけるプリズム要素20の形成ピッチ(V字溝21の形成ピッチ)が導光体10の端部から長手方向中央位置に向かって大きくなるよう(p1<p2)、設定されている。なお、端部領域L1と中央部領域L2との間に中間領域が設定されていてもよい。
端部領域L1におけるV字溝16の形成ピッチp1と、中央部領域L2におけるV字溝16の形成ピッチp2との比(p1/p2)は、例えば0.15〜0.85である。
また、導光体10の端部より数えてm(mは1以上の整数)番目のプリズム要素20と(m+1)番目のプリズム要素20との間隔を形成ピッチpm、(m+1)番目のプリズム要素と(m+2)番目のプリズム要素との間隔を形成ピッチp(m+1)とするとき、導光体10の長手方向中央位置に向かってpm<p(m+1)となるよう構成されていてもよい。
【0026】
各々のプリズム要素20は、近位側のLED光源に対向する一方の光学的平面21の長手方向に対する傾斜角αが、遠位側のLED光源に対向する他方の光学的平面22の長手方向に対する傾斜角βより大きい形状を有することが好ましい。なお、図3においては、導光体10の長手方向中心位置より一端側に形成されたプリズム要素20が示されている。このような構成とされていることにより、近位側のLED光源から一方の光学的平面21に入射される光の一部を透過させると共に遠位側のLED光源から他方の光学的平面22に入射される光の多くを反射させることができる。従って、いずれか一方のLED光源を単独で点灯させたときに、点灯させたLED光源側の端部とは反対側の端部の照度が局所的に高くなる配光分布曲線を得ることができ(例えば図8参照。)、2つのLED光源を共に点灯させたときに、全体として所期の配光分布曲線を確実に得ることができる。
第1の光学的平面21の長手方向に対する傾斜角αは、例えば80〜90°であることが好ましく、第2の光学的平面22の長手方向に対する傾斜角βは、例えば5〜15°であることが好ましい。
【0027】
上記の読取装置用線状光源装置においては、図4に示すように、例えば一端側LED光源30aからの光は、直接的に、あるいは、反射体33aによって反射されて導光体10の一端面10aに入射する。この導光体10の一端面10aに入射した光は、導光体10によって長手方向に導かれる。このとき、反射部15における中心位置より一端側に位置される各々のプリズム要素20における一方の光学的平面21に入射される光の一部は、当該一方の光学的平面21によって反射されてその反射光が導光体10の光出射面から出射される。また、当該一方の光学的平面21に入射される光の他の全部はプリズム要素20を透過して導光体10の外部に出射されて導光体支持台40によって拡散される。さらに、中心位置より他端側に位置されるプリズム要素20に入射される光の多くは、プリズム要素20の他方の光学的平面22によって反射されてその反射光が導光体10の光出射面から出射される。
【0028】
一方、他端側LED光源30bからの光は、直接的にあるいは反射体33bによって反射されて導光体10の他端面10bに入射する。この導光体10の他端面10bより入射した光は、導光体10によって長手方向に導かれる。このとき、中心位置より他端側に位置されるプリズム要素20の一方の光学的平面21に入射される光の一部は、当該一方の光学的平面21によって反射されてその反射光が導光体10の光出射面から出射される。また、当該一方の光学的平面21に入射される光の他の全部はプリズム要素20を透過して導光体10の外部に出射されて導光体支持台40によって拡散される。さらに、中心位置より一端側に位置されるプリズム要素20に入射される光の多くは、プリズム要素20の他方の光学的平面22によって反射されてその反射光が導光体10の光出射面から出射される。
【0029】
以上のように、この読取装置用線状光源装置においては、個々のプリズム要素20における近位側のLED光源に対向する一方の光学的平面21に入射される近位側のLED光源からの光は、プリズム要素20を透過することにより、本来は高くなる端部におけるピーク照度が小さく抑制されることとなる。そして、導光体10の端部においては、プリズム要素20の配置密度が高い構成とされていることから、このような効果を確実に得ることができる。一方、個々のプリズム要素20における遠位側のLED光源に対向する他方の光学的平面22に入射される遠位側のLED光源からの光は、当該他方の光学的平面22によって反射されて光出射面より出射されるが、導光体10の端部においては、プリズム要素20の配置密度が高い構成とされていることから、他方の光学的平面22によって反射されて導光体10の光出射面より出射される光量が多くなる。
【0030】
而して、上記構成の読取装置用装置によれば、いずれか一方のLED光源を単独で点灯させたときにおいても、点灯させたLED光源側の端部とは反対側の端部においても照度が局所的に高くなる(照度ピークを有する)配光分布曲線を得ることができる。このため、LED素子32a,32bの明るさ(光量)に個体差がある場合や、経時的にLED素子32a,32bの明るさ(光量)にバラツキが生じた場合であっても、導光体10の長手方向両端部における照度のピーク変動の程度を小さく抑制することができるので、所期の配光分布特性を確実に得ることができる。
【0031】
<第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態に係る読取装置用線状光源装置の一例における構成の概略を示す断面図である。
この読取装置用線状光源装置は、第1の実施の形態に係る読取装置用線状光源装置において、導光体の反射部の構造が異なることの他は、第1の実施の形態に係る読取装置用線状光源装置と同様の構成を有する。
【0032】
この例における導光体10の反射部15は、導光体10の外周面において複数の凹凸溝が長手方向に所定のピッチで形成されることにより隣接する凹凸溝間に形成された複数のプリズム要素20により構成されている。
凹凸溝は、例えば断面形状が略V字状のV字溝16により構成されており、V字溝16の深さは、長手方向中央側に向かうに従って小さくなる状態で形成されている。従って、隣接するV字溝16間には、例えば断面台形状のプリズム要素20が形成され、各々のプリズム要素20の高さは、端部から長手方向中央側に向かうに従って小さくなっている。
反射部15は、プリズム要素20が導光体10の中心位置に対してほぼ対称に形成されて構成されている。
【0033】
各々のプリズム要素20は、近位側のLED光源に対向する一方の光学的平面21の長手方向に対する傾斜角αが、遠位側のLED光源に対向する他方の光学的平面22の長手方向に対する傾斜角βより大きい形状を有することが好ましい。
一方の光学的平面21の長手方向に対する傾斜角αは、例えば80〜90°であることが好ましく、他方の光学的平面22の長手方向に対する傾斜角βは、例えば5〜15°であることが好ましい。
【0034】
この読取装置用線状光源装置においては、一端側LED光源30aからの光は、直接的に、あるいは、反射体33aによって反射されて導光体10の一端面10aに入射する。この導光体10の一端面10aに入射した光は、導光体10によって長手方向に導かれる。このとき、中心位置より一端側に位置される各々のプリズム要素20における一方の光学的平面21に入射される光の一部は、当該一方の光学的平面21によって反射されてその反射光が導光体10の光出射面から出射される。また、当該一方の光学的平面21に入射される光の他の全部はプリズム要素20を透過して導光体10の外部に出射されて導光体支持台40によって拡散される。さらに、中心位置より他端側に位置されるプリズム要素20に入射される光の多くは、プリズム要素20の他方の光学的平面22によって反射されてその反射光が導光体10の光出射面から出射される。
一方、他端側LED光源30bからの光は、直接的にあるいは反射体33bによって反射されて導光体10の他端面10bに入射する。この導光体10の他端面10bより入射した光は、導光体10によって長手方向に導かれる。このとき、中心位置より他端側に位置されるプリズム要素20の一方の光学的平面21に入射される光の一部は、当該一方の光学的平面21によって反射されてその反射光が導光体10の光出射面から出射される。また、当該一方の光学的平面21に入射される光の他の全部は、プリズム要素20を透過して導光体10の外部に出射されて導光体支持台40によって拡散される。さらに、中心位置より一端側に位置されるプリズム要素20に入射される光はプリズム要素20の他方の光学的平面22によって反射され、その反射光が導光体10の光出射面から出射される。
【0035】
以上のように、この読取装置用線状光源装置においては、個々のプリズム要素20における近位側のLED光源に対向する一方の光学的平面21に入射される近位側のLED光源からの光の一部は、プリズム要素20を透過することにより、本来は高くなる端部におけるピーク照度が小さく抑制されることとなる。そして、導光体10の端部においては、プリズム要素20の高さが大きい構成とされていることから、プリズム要素20を透過する光量が端部側ほど多くなり、このような効果を確実に得ることができる。一方、個々のプリズム要素20における遠位側のLED光源に対向する他方の光学的平面22に入射される遠位側のLED光源からの光の多くは、当該他方の光学的平面22によって反射されて光出射面より出射されるが、導光体10の端部においては、プリズム要素20の高さが大きい構成とされていることから、他方の光学的平面22によって反射されて導光体10の光出射面より出射される光量が多くなる。
従って、上記のような反射部15の構造によっても、上記条件(A)および条件(B)を満足する状態を得ることができる。
【0036】
而して、上記構成の読取装置用線状光源装置によれば、いずれか一方のLED光源を単独で点灯させたときに、点灯させたLED光源側の端部とは反対側の端部においても照度が局所的に高くなる(照度ピークを有する)配光分布曲線を得ることができる。このため、LED素子32a,32bの明るさ(光量)に個体差がある場合や、経時的にLED素子32a,32bの明るさ(光量)にバラツキが生じた場合であっても、導光体10の長手方向両端部における照度のピーク変動の程度を小さく抑制することができるので、所期の配光分布特性を確実に得ることができる。
【0037】
<第3の実施形態>
図6は、本発明の第3の実施形態に係る読取装置用線状光源装置の一例における構成の概略を示す断面図である。
この読取装置用線状光源装置は、第1の実施の形態に係る読取装置用線状光源装置において、導光体の反射部の構造が異なることの他は、第1の実施の形態に係る読取装置用線状光源装置と同様の構成を有する。
【0038】
この例における導光体10の反射部15は、導光体10の外周面において複数の凹凸溝が長手方向に所定のピッチで形成されることにより隣接する凹凸溝間に形成された複数のプリズム要素により構成されている。そして、反射部15は、プリズム要素が導光体10の中心位置に対してほぼ対称に形成されて構成されている。
【0039】
凹凸溝は、例えば断面形状がV字状のV字溝16により構成されており、V字溝16の深さは、均一な大きさとされている。
【0040】
各々のプリズム要素は、互いに同一の高さを有し、例えば、近位側のLED光源に対向する一方の光学的平面21の長手方向に対する傾斜角αと、遠位側のLED光源に対向する他方の光学的平面22の長手方向に対する傾斜角βとが同一の大きさとされた形状を有する。
この例におけるプリズム要素は、近位側のLED光源に対向する一方の光学的平面21の表面が光透過面としても機能するもの20と、近位側のLED光源に対向する一方の光学的平面21の表面が光吸収面として機能する光吸収プリズム要素20aとを含んでいる。そして、反射部15は、光吸収プリズム要素20aの配置密度が長手方向中央側に向かうに従って低くなる状態で、形成されている。
光吸収プリズム要素20aは、例えば近位側のLED光源に対向する一方の光学的平面21の表面に例えば黒色インクなどによる塗装が施されて構成されている。
【0041】
この読取装置用線状光源装置においては、一端側LED光源20aからの光は、直接的に、あるいは、反射体33aによって反射されて導光体10の一端面10aに入射する。この導光体10の一端面10aに入射した光は、導光体10によって長手方向に導かれる。このとき、中心位置より一端側に位置される光吸収プリズム要素20aの一方の光学的平面21に入射される光は、当該一方の光学的平面21によって吸収される。また、光吸収プリズム要素20a以外のプリズム要素20における一方の光学的平面21に入射される光の一部は、当該一方の光学的平面21によって反射されてその反射光が導光体10の光出射面から出射される。また、一方の光学的平面21に入射される光の他の全部がプリズム要素20を透過して導光体10の外部に出射されて導光体支持台40によって拡散される。さらに、中心位置より他端側に位置される光吸収プリズム要素20aを含むすべてのプリズム要素20における他方の光学的平面22に入射される光の多くは、当該他方の光学的平面22によって反射されてその反射光が導光体10の光出射面から出射される。
【0042】
一方、他端側LED光源30bからの光は、直接的にあるいは反射体によって反射されて導光体10の他端面10bに入射する。この導光体10の他端面10bより入射した光は、導光体10によって長手方向に導かれる。このとき、中心位置より他端側に位置される光吸収プリズム要素20aにおける一方の光学的平面21に入射される光は、当該一方の光学的平面21によって吸収される。また、光吸収プリズム要素20a以外のプリズム要素20における一方の光学的平面21に入射される光の一部は、当該一方の光学的平面21によって反射されてその反射光が導光体10の光出射面から出射される。また、一方の光学的平面21に入射される光の他の全部がプリズム要素20を透過して導光体10の外部に出射されて導光体支持台40によって拡散される。さらに、中心位置より一端側に位置される光吸収プリズム要素20aを含むすべてのプリズム要素20における他方の光学的平面22に入射される光の多くは、当該他方の光学的平面22によって反射されてその反射光が導光体10の光出射面から出射される。
【0043】
以上のように、この読取装置用線状光源装置においては、光吸収プリズム要素20aを含むすべてのプリズム要素20における近位側のLED光源に対向する一方の光学的平面21に入射される近位側のLED光源からの光の多くは、光吸収プリズム要素20aの一方の光学的平面21および導光体支持台40によって吸収されることにより、本来は高くなる端部におけるピーク照度が小さく抑制されることとなる。そして、導光体10の端部においては、光吸収プリズム要素20aの配置密度が高い構成とされていることから、このような効果を確実に得ることができる。一方、光吸収プリズム要素20aを含むすべてのプリズム要素20における遠位側のLED光源に対向する他方の光学的平面22に入射される遠位側のLED光源からの光の多くは、当該他方の光学的平面22によって反射されて光出射面より出射される。
従って、上記のような反射部15の構造によっても、上記条件(A)および条件(B)を満足する状態を得ることができる。
【0044】
而して、上記構成の読取装置用線状光源装置によれば、いずれか一方のLED光源を単独で点灯させたときにおいても、点灯させたLED光源側の端部とは反対側の端部においても照度が局所的に高くなる(照度ピークを有する)配光分布曲線を得ることができる。このため、LED素子32a,32bの明るさ(光量)に個体差がある場合や、経時的にLED素子32a,32bの明るさ(光量)にバラツキが生じた場合であっても、導光体10の長手方向両端部における照度のピーク変動の程度を小さく抑制することができるので、所期の配光分布特性を確実に得ることができる。
【実施例】
【0045】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
<実施例1>
図1乃至図3に示す構成を参照して、下記の仕様を有する本発明に係る読取装置用線状光源装置を作製した。
[導光体支持台(40)]
材質:アクリル樹脂
[LED光源(30a,30b)]
LED素子(32a,32b):白色光を出射するもの
[導光体(10)]
寸法:全長340mm、外径5mm、円柱状
材質:アクリル樹脂
凹凸溝:V字溝、深さ0.2mm、端部領域(L1)のピッチ(p1)2.5mm、中央領域(L2)のピッチ(p2)4mm
プリズム要素の断面形状:台形状、一方の光学的平面の傾斜角(α)80〜90°の範囲内、他方の光学的平面の傾斜角(β)5〜15°の範囲内
【0047】
この読取装置用線状光源装置について、一端側LED光源(30a)および他端側LED光源(30b)を光束比が1:1となる条件で点灯させ、導光体(10)の中心軸から垂直方向に6.2mm離間した位置における、導光体(10)の長手方向の配光分布を測定したところ、図7において実線で示す配光分布曲線(α)が得られた。この配光分布曲線(α)においては、中心位置に対して−140mm付近の長手方向位置(xp)に一端側ピークが存在すると共に中心位置に対して140mm付近の長手方向位置(xp’)に他端側ピークが存在し、ピーク照度は中心位置の照度を100%としたとき、約120%(Axp,Axp’≒20%)の大きさであった。
また、一端側LED光源(30a)を単独で点灯させたときの配光分布を、上記と同様の方法により、測定したところ、図8において実線で示す配光分布曲線(a)が得られた。さらに、他端側LED光源(30b)を単独で点灯させたときの配光分布を、上記と同様の方法により、測定したところ、図8において一点鎖線で示す配光分布曲線(b)が得られた。
このように、上記の読取装置用線状光源装置においては、一端側LED光源(30a)および他端側LED光源(30b)のいずれか一方を点灯したときに得られる配光分布曲線における一端側ピークの長手方向位置(xp)の照度が、(100−2×Axp)%以上、(100+4×Axp)%以下の範囲内であり、他端側ピークの長手方向位置(xp’)の照度が、(100−2×Axp’)%以上、(100+4×Axp’)%以下の範囲内であることが確認された。
【0048】
上記の読取装置用線状光源装置において、一端側LED光源(30a)および他端側LED光源(30b)を光束比が1:(1/2)となる条件で点灯させ、上記と同様の方法により、導光体(10)の長手方向の配光分布を測定したところ、図7において破線で示す配光分布曲線(β)が得られた。この時、両端部の各々のピークは中央照度(100%)より高くなっている。
【0049】
<実施例2>
実施例1において作製した読取装置用線状光源装置において、導光体の反射部の構造を次のように変更したことの他は、実施例1において作製したものと同一の構成を有する本発明に係る読取装置用線状光源装置を作製した。
〔反射部(15)〕
凹凸溝:V字溝、深さ0.2mm、端部領域(L1)のピッチ(p1)2.5mm、中央部領域(L2)のピッチ(p2)4mm
プリズム要素(20)の断面形状:台形状、一方の光学的平面の傾斜角(α)80〜90°、他方の光学的平面の傾斜角(β)5〜15°
【0050】
この読取装置用線状光源装置について、実施例1と同様の方法により、一端側LED光源および他端側LED光源を共に点灯させたときの配光分布を測定したところ、図9において実線で示す配光分布曲線(α)が得られた。この配光分布曲線(α)においては、中心位置に対して−140mmの位置に一端側ピークが存在すると共に中心位置に対して140mmの位置に他端側ピークが存在し、ピーク照度は中心位置の照度を100%としたとき、約120%(Axp,Axp’≒20%)の大きさであった。
また、一端側LED光源を単独で点灯させたときの配光分布を測定したところ、図10において実線で示す配光分布曲線(a)が得られた。さらに、他端側LED光源を単独で点灯させたときの配光分布を測定したところ、図10において一点鎖線で示す配光分布曲線(b)が得られた。
このように、上記の読取装置用線状光源装置においては、一端側LED光源および他端側LED光源のいずれか一方を点灯したときに得られる配光分布曲線における一端側ピークの長手方向位置(xp)の照度が、(100−Axp)%以上、(100+3×Axp)%以下の範囲内であり、他端側ピークの長手方向位置(xp’)の照度が、(100−Axp’)%以上、(100+3×Axp’)%以下の範囲内であることが確認された。
【0051】
上記の読取装置用線状光源装置において、一端側LED光源および他端側LED光源を光束比が1:(1/3)となる条件で点灯させ、上記と同様の方法により、導光体の長手方向の配光分布を測定したところ、図9において破線で示す配光分布曲線(β)が得られた。この時、両端部の各々のピークは中央照度(100%)より高くなっている。
【0052】
<実施例3>
実施例1において作製した読取装置用線状光源装置において、図6に示す構成を参照して、導光体の反射部の構造を次のように変更したことの他は、実施例1において作製したものと同一の構成を有する本発明に係る読取装置用線状光源装置を作製した。
〔反射部(15)〕
凹凸溝:V字溝、ピッチ4mm、深さ:0.05〜0.4mm(端部側0.3〜0.4mm、中央側0.05〜0.15mm)の範囲内、凹凸溝の深さが長手方向中央側に向かうに従って小さくなるよう形成
プリズム要素の断面形状:台形状、一方の光学的平面の傾斜角(α)80〜90°、他方の光学的平面の傾斜角(β)5〜15°
【0053】
この読取装置用線状光源装置についても、一端側LED光源(30a)および他端側LED光源(30b)のいずれか一方を点灯したときに得られる配光分布曲線における一端側ピークの長手方向位置(xp)の照度が、(100−2×Axp)%以上、(100+4×Axp)%以下の範囲内であり、他端側ピークの長手方向位置(xp’)の照度が、(100−2×Axp’)%以上、(100+4×Axp’)%以下の範囲内であることが確認された。
【0054】
<比較例1>
実施例1において作製した読取装置用線状光源装置において、導光体に反射部を形成せずに、導光体の光出射面の反対側に、導光体の長手方向に沿って延びる拡散シートを配置したことの他は、実施例1において作製したものと同一の構成を有する比較用の読取装置用線状光源装置を作製した。拡散シートとしては、PET樹脂よりなる基材の導光体と接する表面にTiOを用いた拡散反射面が設けられたものを用いた。
【0055】
この比較用の読取装置用線状光源装置について、実施例1と同様の方法により、一端側LED光源および他端側LED光源を共に点灯させたときの配光分布を測定したところ、
図11において実線で示す配光分布曲線(α)が得られた。この配光分布曲線(α)においては、中心位置に対して−140mmの位置に一端側ピークが存在すると共に中心位置に対して140mmの位置に他端側ピークが存在し、中心位置の照度を100%としたとき、ピーク照度が約120%(Axp,Axp’≒20%)の大きさであった。
また、一端側LED光源を単独で点灯させたときの配光分布を、上記と同様の方法により、測定したところ、図12において実線で示す配光分布曲線(a)が得られた。さらに、他端側LED光源を単独で点灯させたときの配光分布を、上記と同様の方法により、測定したところ、図12において一点鎖線で示す配光分布曲線(b)が得られた。
このように、上記の比較用の読取装置用線状光源装置においては、一端側LED光源および他端側LED光源のいずれか一方を点灯したときに得られる配光分布曲線は、点灯させたLED光源側の端部に照度ピークが存在し、反対側の端部に向かうに従って照度が徐々に低下する傾向を有するものであり、両端部の各々において、照度が(100−2×Axp)%以上、(100+4×Axp)%以下の範囲内、および、(100−2×Axp’)%以上、(100+4×Axp’)%以下の範囲内となる照度ピークが存在しないものであることが確認された。
【0056】
上記の比較用の読取装置用線状光源装置において、一端側LED光源および他端側LED光源を光束比が1:(1/2)となる条件で点灯させ、上記と同様の方法により、導光体の長手方向の配光分布を測定したところ、図11において破線で示す配光分布曲線(β)が得られた。この時、片側のピークは中央照度(100%)より低くなっている。
【0057】
以上の結果より明らかなように、本発明に係る読取装置用線状光源装置によれば、一端側LED光源および他端側LED光源の発光状態(明るさ)に差がある場合であっても、端部の中央部に対する光量比を所定の範囲内に維持することができ、所期の配光分布特性を得ることができることが確認された。
【符号の説明】
【0058】
10 導光体
10a 一端面
10b 他端面
11 出射部
15 反射部
16 V字溝
20 プリズム要素
20a 光吸収プリズム要素
21 一方の光学的平面
22 他方の光学的平面
30a 一端側LED光源
30b 他端側LED光源
31a,31b 基板
32a,32b LED素子
33a,33b 反射体
40 導光体支持台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12