(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平板状の金属顔料を含有し、平均長軸長さが7μm以上20μm以下であり平均厚みが1μm以上3μm以下である扁平形状のトナー粒子を含む現像剤により像保持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体上に形成された前記トナー像が転写手段によって転写される中間転写体と、
前記転写手段に対し前記中間転写体の進行方向下流側で前記中間転写体を支持する支持部と、
前記支持部に隣接して設けられるとともに、前記中間転写体に転写された前記トナー像から飛散したトナー粒子が、前記中間転写体の前記トナー像が転写された領域以外に飛翔しないように制限する壁状の空気流を前記中間転写体上に向けて発生させる送風装置と、 を備えた画像形成装置。
前記金属顔料の平均長軸長さが5μm以上12μm以下であり平均厚みが0.01μm以上0.5μm以下であり、かつ扁平形状のトナー粒子の平均円形度が0.5以上0.9以下である
請求項1に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について説明する。
【0016】
[第1の実施の形態]
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置101を示す概略構成図である。
本実施の形態に係る画像形成装置101は、
図1に示すように、たとえば、矢印aで示す時計回り方向に回転する像保持体10と、像保持体10の上方に像保持体10に相対して設けられ、像保持体10の表面を帯電させる帯電装置20と、帯電装置20により帯電した像保持体10の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置30と、露光装置30により形成された静電潜像に、接触現像方式により現像剤に含まれるトナーを付着させて像保持体10の表面にトナー像を形成する現像装置40と、像保持体10に接触しつつ矢印bで示す方向に走行するとともに、像保持体10の表面に形成されたトナー像を転写するベルト状の中間転写体50と、像保持体10の表面をクリーニングするクリーニング装置70と、を備える。
【0017】
帯電装置20、露光装置30、現像装置40、中間転写体50、およびクリーニング装置70は、像保持体10を囲む円周上に、時計周り方向にこの順序で配置されている。
【0018】
中間転写体50は、支持ローラ50A、50B、背面ローラ50C、および駆動ローラ50Dによって、内側から張力を付与されつつ保持されるとともに、駆動ローラ50Dの回転に伴い矢印bの方向に駆動される。中間転写体50の内側における像保持体10に相対する位置には、中間転写体50をトナーの帯電極性とは異なる極性に帯電させて中間転写体50の外側の面に像保持体10上のトナーを吸着させる一次転写装置51が設けられている。中間転写体50の下方における外側には、記録媒体としての記録紙Pをトナーの帯電極性とは異なる極性に帯電させて、中間転写体50に形成されたトナー像を記録紙P上に転写する二次転写装置52が背面ローラ50Cに対向して設けられている。
【0019】
中間転写体50の下方には、さらに、二次転写装置52に記録紙Pを供給する記録紙供給装置53と、二次転写装置52においてトナー像が形成された記録紙Pを搬送しつつ、
トナー像を定着させる定着装置80と、が設けられている。
【0020】
記録紙供給装置53は、1対の搬送ローラ53Aと、搬送ローラ53Aで搬送される記録紙Pを二次転写装置52に向かって誘導する誘導板53Bと、を備える。一方、定着装置80は、二次転写装置52によってトナー像が転写された記録紙Pを加熱・押圧することにより、トナー像の定着を行う1対の熱ローラである定着ローラ81と、定着ローラ81に向かって記録紙Pを搬送する搬送体82とを有する。
【0021】
記録紙Pは、記録紙供給装置53と二次転写装置52と定着装置80とにより、矢印cで示す方向に搬送される。
【0022】
中間転写体50には、さらに、二次転写装置52において記録紙Pにトナー像を転写した後に中間転写体50に残ったトナーを除去するクリーニングブレード(図示省略)を有する中間転写体クリーニング装置54が設けられている。
【0023】
−像保持体−
像保持体10としては、たとえば、導電性基体上に設けられる感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などが挙げられる。有機感光体としては、導電性基体上に、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層とを積層する機能分離型の感光体が挙げられる。また、導電性基体上に、
電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能とを同一の層が果たす単層型感光層を設けた感光体が挙げられる。さらに、無機感光体としては、導電性基体上に、アモルファスシリコンにより構成された感光層を設けた感光体が挙げられる。なお、本実施の形態に係る像保持体10の形状は円筒状とされているが、これに限られず、たとえば、シート状、プレート状等他の形状を採用してもよい。
【0024】
−帯電装置−
帯電装置20としては、たとえば、導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、
帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が挙げられる。また、帯電装置20としては、たとえば、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等の他の例も挙げられる。本実施の形態では、一例として、
コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器を用いている。なお、帯電装置20による像保持体10表面上の帯電の極性に制限はないが、本実施の形態では負極性とされている。
【0025】
−露光装置−
露光装置30としては、たとえば、像保持体10表面に、半導体レーザ光、LED光、
液晶シャッタ光等の光を、像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は像保持体10の分光感度領域にあるものがよい。半導体レーザの波長としては、たとえば、780nm前後に発振波長を有する近赤外がよい。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザを採用してもよい。また、露光装置30としては、たとえばカラー画像形成のためにはマルチビーム出力するタイプの面発光型のレーザ光源を採用してもよい。
【0026】
−現像装置−
現像装置40は、たとえば、現像領域で像保持体10に対向して配置されており、たとえば、トナーおよびキャリアを含む現像剤(二成分現像剤)を収容する現像容器41(現像装置本体)と、補給用現像剤収納容器(トナーカートリッジ)47と、を有している。
現像容器41は、現像容器本体41Aとその上端を塞ぐ現像容器カバー41Bとを有している。なお、本実施の形態において、「現像領域」とは、像保持体10上に形成された静電潜像について現像装置40により現像する領域をいう。なお、本実施の形態では、現像容器41および補給用現像剤収納容器47には、後述する光輝性トナーを含む現像剤が収容される場合がある。
【0027】
現像容器本体41Aは、たとえば、その内側に、現像ロール42を収容する現像ロール室42Aを有しており、現像ロール室42Aに隣接して、第1攪拌室43Aと第1攪拌室43Aに隣接する第2攪拌室44Aとを有している。また、現像ロール室42A内には、
たとえば、現像容器カバー41Bが現像容器本体41Aに装着された時に現像ロール42表面の現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材45が設けられている。
【0028】
第1攪拌室43Aと第2攪拌室44Aとの間はたとえば仕切り壁41Cにより仕切られている。図示しないが、第1攪拌室43Aおよび第2攪拌室44Aは仕切り壁41Cの長手方向(現像装置長手方向)両端部に開口部が設けられて通じており、第1攪拌室43Aおよび第2攪拌室44Aによって循環攪拌室が構成されている。
【0029】
そして、現像ロール室42Aには、像保持体10と対向するように現像ロール42が配置されている。現像ロール42は、図示しないが磁性を有する磁性ロール(固定磁石)の外側にスリーブを設けたものである。第1攪拌室43Aの現像剤は磁性ロールの磁力によって現像ロール42の表面上に吸着されて、現像領域に搬送される。また、現像ロール42はそのロール軸が現像容器本体41Aに回転自由に支持されている。ここで、現像ロール42と像保持体10とは、逆方向に回転し、対向部において、現像ロール42の表面上に吸着された現像剤は、像保持体10の進行方向と同方向から現像領域に搬送されるようになっている。
【0030】
また、現像ロール42のスリーブには、不図示のバイアス電源が接続され、現像領域に現像バイアスが印加されるようになっている。本実施の形態に係る現像バイアスは、交番電界が印加されるように、直流電源による直流成分(AC)に交流電源による交流成分(DC)が重畳されたバイアスとされている。なお、現像ロール42に印加される直流バイアス電圧の極性はトナーの帯電極性とは逆極性とされるが、本実施の形態では正極性とされている。
【0031】
第1攪拌室43Aおよび第2攪拌室44Aには現像剤を攪拌しながら搬送する第1攪拌部材43および第2攪拌部材44が各々配置されている。第1攪拌部材43は、現像ロール42の軸方向に伸びる第1回転軸と、回転軸の外周に螺旋状に固定された攪拌搬送羽根(突起部)とで構成されている。また、第2攪拌部材44も、同様に、第2回転軸および攪拌搬送羽根(突起部)とで構成されている。第1攪拌部材43および第2攪拌部材44は、現像容器本体41Aに回転自由に支持されている。また、第1攪拌部材43および第2攪拌部材44は、その回転によって、第1攪拌室43Aおよび第2攪拌室44Aの中の現像剤が互いに逆方向に搬送されるように配設されている。そして、本実施の形態では、
現像容器41内の現像剤は、第1攪拌部材43および第2攪拌部材44によって攪拌・搬送されるとともに帯電される。現像剤の帯電極性に制限はないが、本実施の形態では負極性とされている。
【0032】
そして、第2攪拌室44Aの長手方向一端側には、補給用トナーおよび補給用キャリアを含む補給用現像剤を第2攪拌室44Aへ供給するための補給搬送路46の一端が連結されており、補給搬送路46の他端には、補給用現像剤を収容している補給用現像剤収納容器47が連結されている。
【0033】
このように本実施の形態に係る現像装置40では、補給用現像剤が、補給用現像剤収納容器(トナーカートリッジ)47から補給搬送路46を経て現像装置40(第2攪拌室44A)に供給される構成となっている。
【0034】
−転写装置−
一次転写装置51、および二次転写装置52としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。像保持体10に付着したトナー粒子を中間転写体50に移動させるために、一次転写装置51に転写バイアスが印加される(
図3参照)。また、中間転写体50に付着したトナー粒子を記録紙Pに移動させるために、図示しない電源から二次転写装置52に転写バイアスが印加される。
【0035】
中間転写体50としては、導電剤を含んだポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外に円筒状のものも用いられる。
【0036】
−クリーニング装置−
クリーニング装置70は、筐体71と、筐体71から突出するように配設されるクリーニングブレード72と、を含んで構成されている。
なお、クリーニングブレード72は、筐体71の端部で支持された形態であってもよいし、別途、支持部材(ホルダー)により支持される形態であってもよいが、本実施の形態では、筐体71の端部で支持された形態を採用している。
【0037】
画像形成装置101は、さらに、飛散したトナーを吸引する吸引装置90を備えているが、吸引装置90については後述する。
【0038】
つぎに、本実施の形態に係る画像形成装置101の画像形成プロセス(画像形成方法)について説明する。
【0039】
本実施の形態に係る画像形成装置101では、まず、像保持体10が矢印aで示される方向に沿って回転すると、帯電装置20による帯電が開始される。
【0040】
帯電装置20によって表面が帯電した像保持体10は、露光装置30により露光され、
表面に静電潜像が形成される。
【0041】
像保持体10における静電潜像の形成された部分が現像装置40に近づくと、現像装置40において、現像ロール42の表面に形成された現像剤による磁気ブラシが像保持体10に接触することで、静電潜像にトナーが付着し、トナー像が形成される。
【0042】
トナー像が形成された像保持体10が矢印aに方向にさらに回転すると、トナー像は中間転写体50の外側の面に転写される。
【0043】
トナー像が中間転写体50に転写された後、記録紙供給装置53から二次転写装置52に記録紙Pが供給され、中間転写体50に転写されたトナー像が、二次転写装置52によって記録紙P上に転写される。これにより、記録紙Pにトナー像が形成される。
【0044】
記録紙Pに形成されたトナー像は、定着装置80で定着される。
【0045】
像保持体10上のトナー像が中間転写体50に転写された後、像保持体10の表面に残ったトナーや放電生成物が、クリーニング装置70のクリーニングブレード72により除去される。そして、クリーニング装置70において転写残のトナーや放電生成物が除去された像保持体10は、帯電装置20により再び帯電が施され、露光装置30において露光されて静電潜像が形成される。
【0046】
なお、本実施の形態に係る画像形成装置101は、上記構成に限られない。たとえば、
像保持体10の周囲であって、一次転写装置51よりも像保持体10の回転方向下流側でクリーニング装置70よりも像保持体の回転方向上流側に、残留したトナーの極性を揃え、クリーニングブラシ等で除去しやすくするための第1除電装置を設けた形態であってもよい。また、クリーニング装置70よりも像保持体10の回転方向下流側で帯電装置20よりも像保持体10の回転方向上流側に、像保持体10の表面を除電する第2除電装置をさらに設けた形態であってもよい。
【0047】
また、たとえば、像保持体10に形成したトナー像を直接、記録紙Pに転写する方式を採用してもよいし、タンデム方式の画像形成装置を採用してもよい。
【0048】
ところで、本実施の形態に係る画像形成装置101では、静電潜像を現像するトナーとして光輝性顔料を含むトナー(以下、「光輝性トナー」という場合がある)が用いられる場合がある。光輝性トナーを用いることにより、金属光沢のごとき輝きを有する画像が形成される。
図2に、上記光輝性トナーの粒子の一例の厚さ方向の断面図を示す。本実施の形態に係る光輝性トナー粒子MTは、着色剤としての光輝性顔料4および光輝性顔料4を被覆する結着樹脂2を含んで構成されている。
【0049】
光輝性顔料4は形状が扁平で平板状のものが多く、このような光輝性顔料4を含む光輝性トナー粒子自体の形状も、光輝性顔料4の形状に由来して扁平状となる場合がある。本実施の形態に係る光輝性トナー粒子MTも、
図2に示すように、平均厚みDよりも平均長軸長さLの方が長くなっている。以下、本実施の形態に係る光輝性トナーについて、より詳細に説明する。
【0050】
(光輝性トナーの概要)
上記のように、本実施の形態に係る光輝性トナーは、金属を用いた光輝性顔料4(以下、「金属顔料」という場合がある)を含有する光輝性のトナー粒子を含む。金属顔料は、
粒径が大きく形状が平板状(短冊状)である。このため、金属顔料を含有するトナー粒子も、扁平形状となる。光輝性トナーは、金属顔料を含有するトナー粒子を含むことにより、光を反射して光輝性を呈する。ここで「光輝性」とは、本実施の形態に係る光輝性トナーにより形成された画像を視認した際に、金属光沢のごとき輝きを有することを表す。
【0051】
本実施の形態では、金属顔料を含有するトナー粒子は、平板状の金属顔料を含有し、平均長軸長さLが7μm以上20μm以下であり平均厚みDが1μm以上3μm以下である。金属顔料、及び金属顔料を含有するトナー粒子の形状については、後で詳細に説明する。
【0052】
(トナー組成)
次に、光輝性トナーの組成について説明する。
上述のように、光輝性トナーは、金属顔料を含有するトナー粒子を含んでいる。また、
光輝性トナーは、必要に応じて、外添剤を含んでいてもよい。金属顔料を含有するトナー粒子は、金属顔料と結着樹脂とを含んでいる。金属顔料を含有するトナー粒子は、必要に応じて、離型剤やその他添加剤を含んでいてもよい。以下、金属顔料、結着樹脂、離型剤及びその他添加剤について説明する。
【0053】
−金属顔料−
本実施の形態に用いられる金属顔料としては、例えば、アルミニウム、黄銅、青銅、ニッケル、亜鉛などの金属粉末等が挙げられる。また、金属顔料の表面をシリカ、アルミナ及びチタニアからなる群より選択される少なくとも一種の金属酸化物により被覆された被覆顔料を用いてもよい。
【0054】
これらの中でも、金属顔料としては、入手容易で平板状にしやすい等の観点からアルミニウム(Al)を含む顔料であることが好ましい。金属顔料としてAlを含む顔料を用いる場合、当該金属顔料におけるAlの含有量は40質量%以上100質量%以下が好ましく、60質量%以上98質量%以下が更に好ましい。
【0055】
金属顔料の平均長軸長さ及び平均厚みは、各々、5μm以上12μm以下及び0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましい。ここで、金属顔料の長軸長さとは、金属顔料の厚み方向から該金属顔料を観察したときに、最も長い部分をいう。
【0056】
金属顔料の平均長軸長さが5μm未満であると、光輝性トナーが光輝性を呈し難くなることがある。金属顔料の平均長軸長さが12μmを超えると、トナーを製造することが困難になることがある。金属顔料の平均長軸長さは、5μm以上12μm以下が好ましく、
5μm以上9μm以下がより好ましい。
【0057】
また、金属顔料の平均厚みが0.01μm未満であると、金属顔料の変形・収縮による光輝性低下を生ずることがある。金属顔料の平均厚みが0.5μmを超えると、光輝性トナーが光輝性を呈し難くなることがある。金属顔料の平均厚みは、0.01μm以上0.5μm以下が好ましく、0.01μm以上0.3μm以下がより好ましい。
【0058】
本実施の形態において、金属顔料の平均長軸長さ及び平均厚みは、50個の顔料の拡大写真を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)にて撮影したのち、得られた画像から測定/算出された値をいう。
【0059】
光輝性トナーにおける、前記金属顔料の含有量としては、後述の結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上70質量部以下が望ましく、5質量部以上50質量部以下がより望ましい。
【0060】
−結着樹脂−
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
【0061】
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0062】
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適である。ポリエステル樹脂としては、例えば、公知のポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
【0063】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、
例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
【0064】
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0065】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、
ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
【0066】
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。多価アルコールは、
1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0067】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0068】
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下より好ましい。ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
【0069】
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120を用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0070】
ポリエステル樹脂の製造は、周知の製造方法が挙げられる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法が挙げられる。
【0071】
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
【0072】
結着樹脂の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
【0073】
−離型剤−
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、
キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0074】
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」として求める。
【0075】
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0076】
−その他の添加剤−
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
【0077】
(トナー粒子形状)
次に、トナー粒子の形状について説明する。上記の通り、金属顔料を含有するトナー粒子は、金属顔料の形状に依拠して「扁平形状」である。
【0078】
金属顔料を含有するトナー粒子(以下、トナー形状の説明においては「光輝性トナー粒子」という。)は、平均長軸長さが7μm以上20μm以下であり平均厚みが1μm以上3μm以下である。
【0079】
光輝性トナー粒子の平均長軸長さ及び平均厚みは、各々、7μm以上20μm以下及び1μm以上3μm以下とされる。光輝性トナー粒子の長軸長さとは、光輝性トナー粒子の厚み方向から該光輝性トナー粒子を観察したときに、最も長い部分をいう。
【0080】
光輝性トナー粒子の平均長軸長さが7μm未満であると、光輝性を損なうことがある。
光輝性トナー粒子の平均長軸長さが20μmを超えると、画像ザラツキ・粒状性悪化を生ずることがある。光輝性トナー粒子の平均長軸長さは、7μm以上20μm以下が好ましく、8μm以上15μm以下がより好ましい。
【0081】
また、光輝性トナー粒子の平均厚みが1μm未満であると、光輝性トナー粒子の流動低下を生ずることがある。光輝性トナー粒子の平均厚みが3μmを超えると、配列バラツキによる光輝性低下を生ずることがある。光輝性トナー粒子の平均厚みは、1μm以上3μm以下が好ましい。
【0082】
本実施の形態において、光輝性トナー粒子の平均長軸長さ及び平均厚みは、100個の光輝性トナー粒子の拡大写真をSEMにて撮影したのち、得られた画像から測定/算出した値をいう。
【0083】
光輝性トナー粒子の平均円形度は、0.5以上0.9以下であることが好ましい。光輝性トナー粒子の平均円形度が0.5未満であると、画像粒状性悪化・ザラツキを生ずることがある。光輝性トナー粒子の平均円形度が0.9を超えると、光輝性トナー粒子の転がり性によるクリーニング不良を生ずることがある。光輝性トナー粒子の平均円形度は、0.5以上0.9以下がより好ましく、0.5以上0.8以下が更に好ましい。
【0084】
本実施の形態において、光輝性トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置として、FPIA−3000(シスメックス社製)を用いることにより計測した。具体的な測定方法としては、予め不純固形物を除去した水100ml以上150ml以下の中に、
分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1ml以上0.5ml以下加え、更に測定試料を0.1g以上0.5g以下加えた。測定試料を分散した懸濁液は超音波分散器で1分以上3分以下分散処理を行ない、分散液濃度を3000個/μl以上1万個/μl以下として前記装置により光輝性トナー粒子の円形度を測定した。ここで円形度は下式によって求められる。
円形度=円相当径周囲長/周囲長=[2×(Aπ)
1/2]/PM
(上式においてAは投影面積、PMは周囲長を表す。)
上記式により円形度を求め、それらを平均した値を平均円形度とした。
【0085】
光輝性トナー粒子の体積平均粒子径は1μm以上30μm以下であることが望ましく、
より望ましくは3μm以上20μm以下である。
【0086】
なお、上記体積平均粒子径D
50vは、マルチサイザーII(コールター社製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒子径を体積D
16v、数D
16p、累積50%となる粒子径を体積D
50v、数D
50p、累積84%となる粒子径を体積D
84v、数D
84pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D
84v/D
16v)
1/2として算出される。
【0087】
(トナー製造方法)
光輝性トナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して外添剤を添加することで作製してもよい。トナー粒子の製造方法は特に限定されず、公知である混練・粉砕法等の乾式法や、乳化凝集法や溶解懸濁法等の湿式法等によって作製される。
【0088】
(現像剤)
本実施の形態に係る現像剤は、上記の光輝性トナーを少なくとも含む。現像剤は、光輝性トナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、光輝性トナーとキャリアとを混合した二成分現像剤であってもよい。
【0089】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。なお、磁性粉分散型キャリア、及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
【0090】
磁性粉としては、例えば、酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、
カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
【0091】
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、
ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、
フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電材料等、その他添加剤を含ませてもよい。
【0092】
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
【0093】
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0094】
二成分現像剤における、光輝性トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【0095】
(光輝性トナーの飛翔の制御)
ここで、中間転写体50上に一次転写された画像部分の光輝性トナーは、一次転写装置51から支持ローラ50Aにかけての光輝性トナー粒子MTの挙動に起因して、支持ローラ50A近くで飛散することがある。一次転写における分極、支持ローラ50Aに対する負電荷のリークにより正に帯電するとともに静電気的付着力の低下した光輝性トナー粒子MTが、支持ローラ50A近くで発現する中間転写体50上の負電荷の移動に伴って飛散するからである。
【0096】
図3を参照して、上記光輝性トナーの飛散について、より詳細に説明する。
図3は、一次転写装置51によって像保持体10から中間転写体50に一次転写された光輝性トナー粒子MTが、支持ローラ50A近くまで搬送されていく様子を示している。本実施の形態では、一次転写装置51には正極性の転写バイアス電圧Vtが印加され、支持ローラ50Aは接地されている。
【0097】
中間転写体50に転写バイアス電圧Vtが印加されると、中間転写体50の裏面(一次転写装置51側)には正電荷が誘起され、表面(像保持体10側)には負電荷が誘起される。また、本実施の形態に係る画像形成装置101では像保持体10が負に帯電しているので、転写バイアス電圧Vtが印加されることにより、
図3(a)に示すように、中間転写体50から像保持体10に向かう方向の電界Eが発生する。
【0098】
上記電界Eにより、転写ニップ部(像保持体10と中間転写体50とが接触する部位)において、負に帯電している光輝性トナー粒子MTは、中間転写体50上に立って存在する。
【0099】
そのため、
図3(b)に示すように、中間転写体50上で立った光輝性トナー粒子MTの内部では静電誘導が発生し、電荷が分極する。すなわち、光輝性トナー粒子MTの内部において、正の電荷が像保持体10側に誘起され、負の電荷が中間転写体50側に誘起される。
【0100】
すると、
図3(c)に示すように、分極した電荷のうち中間転写体50に接した側の負電荷の少なくとも一部が、中間転写体50に注入される(リークする)。電荷の注入が発生した光輝性トナー粒子MTは、低帯電化あるいは逆極化(正に帯電)するため、当該光輝性トナー粒子MTの中間転写体50との間の静電気的付着力が低下する。
【0101】
一方、中間転写体50を支持している支持ローラ50Aにおいて中間転写体50の裏面側の正電荷が除電されると、中間転写体50の表面側に負電荷が残留した状態となるとともに、この負電荷が移動する。この際、電荷注入され正に帯電した光輝性トナー粒子MTは静電気的付着力が弱いので、中間転写体50上に残った負電荷に引き寄せられ、
図3(a)の矢印dで示すように飛散する。飛散した光輝性トナー粒子MTは、中間転写体50に形成された画像の先頭部の非画像部等に付着し、二次転写装置52で記録紙Pに転写されたときに記録紙P上にトナー汚れを発生させる、つまり、画質を劣化させる。
【0102】
図4を参照して、上記画質劣化についてより具体的に説明する。
図4は、中間転写体50を上方から見た場合(
図1において紙面の上方から下方に向かう方向に見た場合)の平面図である。また、
図4において矢印Xで示された位置が支持ローラ50Aの中心軸の位置である。
【0103】
図4(a)に示すように、中間転写体50上に画像が形成された領域である画像部Pgと、画像が形成されていない領域である非画像部Pngが存在し、白抜きの矢印で示した搬送方向に搬送されている場合を考える。このとき、上記の原因により光輝性トナーが飛散すると、
図4(b)に示すように、飛散した光輝性トナーが画像部Pgの先頭近く(
図4では、非画像部Pngの領域となっている)に落下する。落下した光輝性トナーは中間転写体50に付着して、トナー汚れTYを発生させる。トナー汚れTYは、光輝性トナーの大きさに起因して細かい点状に発生し、このトナー汚れTYが画質劣化の原因となる。
【0104】
そこで本発明では、画像形成装置101に吸引装置を設け、中間転写体50から飛散した光輝性トナーが再び中間転写体50上に落下する前に吸引して飛翔を制御しつつ、回収する。
【0105】
図1に示すよう、本実施の形態に係る画像形成装置101の吸引装置90は、支持ローラ50A近くで中間転写体50の上部に設けられている。吸引装置90は、吸引ファン92および吸引ダクト94を備えて構成されている。吸引ファン92は、吸引ファン92の両側に図示された矢印の方向に空気を吸引し吐き出す。また、吸引ダクト94は、筒状に構成され、搬送方向と交差する方向の長さは、中間転写体50の幅より長くされている。
吸引装置90に、図示しない吸引トナー収容器を設け、吸引した光輝性トナーを回収するようにしてもよい。
【0106】
図1に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置101によれば、一旦中間転写体50から飛散した光輝性トナー粒子MTは吸引装置90で吸引され回収される。したがって、光輝性トナー粒子MTが再度中間転写体50に付着してトナー汚れTYを発生させることが抑制されるので、記録紙Pに印刷された画像の画質劣化が抑制される。
【0107】
なお、吸引装置90を稼働させるタイミングは、たとえば、画像形成装置101で印刷を開始した時点で稼働を開始し、印刷の終了とともに稼働を停止させてもよい。
【0108】
以上のように、本実施の形態に係る画像形成装置101によれば、光輝性顔料を含む現像剤を用いて画像を形成する場合でも、形成された画像の品質の劣化が抑制される。
【0109】
[第2の実施の形態]
図5を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置201について説明する。画像形成装置201は、第1の実施の形態に係る画像形成装置101の吸引装置90を送風装置95に置き換えたものである。
【0110】
送風装置95は、送風ファン96と送風ダクト98を含んで構成されており、送風ファン96の両側に図示された矢印の方向に空気を吸い込み、送風ダクト98を通して噴出する。画像形成装置201では、送風装置95から支持ローラ50A近くの中間転写体50上に向けて空気を噴射し、中間転写体50の上部に空気の壁(エアーカーテン)を形成する。そして、このエアーカーテンによって、一旦飛散した光輝性トナーの飛翔方向を制御する。なお、送風装置95を稼働させるタイミングは、たとえば、画像形成装置201で印刷を開始した時点で稼働を開始し、印刷の終了とともに稼働を停止させてもよい。
【0111】
図6(a)に、このようなエアーカーテンAC1の一例を示す。
図6(a)は、中間転写体50を上方から見た(
図5において紙面の上方から下方を見た)平面図であり、エアーカーテンAC1は、送風装置95から噴出した空気が中間転写体50に当る位置を示している。図中Xで示された矢印は、支持ローラ50Aの中心軸の位置を示しており、本実施の形態に係る画像形成装置201では、送風装置95から噴出した空気を支持ローラ50A近くに当てている。つまり、エアーカーテンAC1は、中間転写体50の搬送方向前方を遮るように形成されている。
【0112】
本実施の形態に係る画像形成装置201では、エアーカーテンAC1によって中間転写体50から飛散した光輝性トナーの飛翔方向を制御し、中間転写体50の画像形成領域以外に、すなわち中間転写体50の周辺に飛び散らないようにしている。このことにより、
たとえば、像保持体10を中心とする画像を形成する部位等が飛散した光輝性トナーで汚れることが抑制される。
【0113】
ここで、送風装置95によって形成するエアーカーテンの噴出形状は、
図6(a)に示す直線状に限られない。たとえば、
図6(b)に示すように、U字型としてもよい。U字型にすることにより、中間転写体50から飛散した光輝性トナーの飛翔方向の制御がより確実に行える。したがって、光輝性トナーが、中間転写体50の画像形成領域以外の周辺により飛び散ちりにくくなるので、像保持体10を中心とする画像を形成する部位等が飛散した光輝性トナーで汚れることがさらに抑制される。
【0114】
以上のように、本本実施の形態に係る画像形成装置201によっても、光輝性顔料を含む現像剤を用いて画像を形成する場合でも、形成された画像の品質の劣化が抑制される。
【実施例】
【0115】
以下、本実施の形態の画像形成装置を実施例によって具体的に説明するが、これらの実施例によって限定されるものではない。また、以下において特に指定のない場合「部」は「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表す。
【0116】
<結着樹脂の合成>
・アジピン酸ジメチル:74部
・テレフタル酸ジメチル:192部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物:216部
・エチレングリコール:38部
・テトラブトキシチタネート(触媒):0.037部、
【0117】
上記成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち撹拌しながら昇温した後、160℃で7時間共縮重合反応させ、その後、10Torrまで徐々に減圧しながら220℃まで昇温し4時間保持した。一旦常圧に戻し、無水トリメリット酸9部を加え、再度10Torrまで徐々に減圧し220℃で1時間保持することにより結着樹脂を合成した。
【0118】
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、ASTMD3418−8に準拠して、示差走査熱量計(島津社製:DSC−50)を用い、室温(25℃)から150℃まで昇温速度10℃/分の条件下で測定することにより求めた。なお、ガラス転移温度は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とした。結着樹脂のガラス転移温度は63.5℃であった。
【0119】
<樹脂粒子分散液の調製>
・結着樹脂:160部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
【0120】
上記成分を1000mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに90rpmで撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより樹脂粒子分散液(固形分濃度:30%)を得た。樹脂粒子分散液の体積平均粒子径は、162nmであった。
【0121】
<離型剤分散液の調製>
・カルナバワックス(東亜化成(株)製、RC−160 ):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1.0部
・イオン交換水:200部
【0122】
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で360分間の分散処理をして、体積平均粒子径が0.23μmである離型剤粒子を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。
【0123】
<金属顔料粒子分散液の調製>
・アルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、2173EA):100部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:900部
【0124】
アルミニウム顔料のペーストから溶剤を除去した後、以上を混合し、溶解し、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間ほど分散して、金属顔料粒子(アルミニウム顔料)を分散させてなる金属顔料粒子分散液(固形分濃度:10%)を調製した。アルミニウム顔料(金属顔料)の平均長軸長さは8μmであり平均厚みは0.1μmであった。
【0125】
<トナーの作製>
・樹脂粒子分散液: 380部
・離型剤分散液: 72部
・金属顔料粒子分散液: 140部
【0126】
上述の金属顔料粒子分散液と樹脂粒子分散液と離型剤分散液とを2Lの円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)により4000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
【0127】
その後、2枚パドルの撹拌翼を用いた撹拌装置、および温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、撹拌回転数を810rpmにしてマントルヒーターにて加熱し始め、54℃にて凝集粒子を成長させた。またこの際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液で原料分散液のpHを2.2乃至3.5の範囲に制御した。上記pH範囲で2時間ほど保持し、凝集粒子を形成した。
【0128】
次に、樹脂粒子分散液を追添加し、前記凝集粒子の表面に結着樹脂の樹脂粒子を付着させた。さらに56℃に昇温し、光学顕微鏡及びマルチサイザーIIで粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるためにpHを8.0に上げた後、67.5℃まで昇温させた。光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、67.5℃で保持したままpHを6.0まで下げ、1時間後に加熱を止め、0.1℃/分の降温速度で冷却した。その後20μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥してトナー粒子を得た。
【0129】
更に、温風乾燥機で45℃、1時間トナー粒子を加熱処理した。
加熱処理後のトナー粒子100部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)を1.5部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805)を1.0部とを、
サンプルミルを用いて10000rpmで30秒間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナーを作製した。
【0130】
トナーの体積平均粒子径は12.2μm、トナーの平均長軸長さは15μm、トナーの平均厚みは1.5μm、トナーの平均円形度は0.6であった。
【0131】
<キャリアの作製>
・フェライト粒子(体積平均粒子径:35μm):100部
・トルエン:14部
・パーフルオロオクチルエチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体:1.6部・カーボンブラック(商品名:VXC−72、キャボット社製):0.12部
・架橋メラミン樹脂粒子(平均粒子径:0.3μm、トルエン不溶):0.3部
【0132】
まず、パーフルオロアクリレート共重合体に、カーボンブラックをトルエンに希釈して加えサンドミルで分散した。次いで、これにフェライト粒子以外の上記各成分を10分間スターラーで分散し、被覆層形成用溶液を調合した。次いでこの被覆層形成用溶液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において30分間撹拌した後、減圧してトルエンを留去して、樹脂被覆層を形成してキャリアを得た。
【0133】
<現像剤の作製>
前記トナー:36部と前記キャリア:414部とを、2リットルのVブレンダーに入れ、20分間撹拌し、その後212μmの篩で篩分して現像剤を作製した。
<画質の評価>
画像形成装置として、吸引装置を搭載した、富士ゼロックス(株)社製のDocuPrint700の改造機(装置)を用い、吸引のあり、なしで各々記録紙1000枚に試験画像を形成した。吸引を行う場合は、試験画像の形成開始から終了まで吸引装置を稼働させた。環境条件は、温度28℃、湿度85%とした。
形成した試験画像の画質を目視で評価した。画質の評価基準は以下のとおりである。
○:光輝性トナーの飛散が確認されなかった
×:光輝性トナーの飛散が確認された
結果を表1に示す。
【表1】
【0134】
表1に示すように、吸引を実行した場合と実行しなかった場合で記録紙に形成した画像の画質に明確な差異が認められ、本実施の形態に係る吸引処理によって、光輝性トナーの飛散による画像の品質の劣化が抑制されている。