(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のノードを複数のリンク介して相互に接続された通信網内において、故障した、または障害を有する前記ノードを除去し、前記通信網の再接続を行う通信網制御システムであって、
前記複数のノードのうちの少なくとも1つのノードは、
隣接ノードに障害が生じたときの前記通信網における経路情報を算出する経路情報算出手段と、
前記再接続する相手先候補ノード集合について、前記経路情報算出手段により算出された経路情報上のノード間距離順に順位付けした順位情報を算出する順位情報算出手段と、
前記順位情報算出手段により算出された順位情報に基づいて、前記再接続後の通信網全体における経路情報上のノード間距離が大きくなるような組み合わせを算出し、該算出した組合せを自ノードの再接続先ノードとして決定する決定情報算出手段と、
を備える、ことを特徴とする通信網制御システム。
複数のノードを複数のリンク介して相互に接続された通信網内において、故障した、または障害を有する前記ノードを除去し、前記通信網の再接続を行う通信網制御システムの制御方法であって、
隣接ノードに障害が生じたときの前記通信網における経路情報を算出するステップと、
前記再接続する相手先候補ノードについて、前記算出された経路情報上の距離順に順位付けした順位情報を算出するステップと、
前記算出された順位情報に基づいて、前記再接続後の通信網全体における経路情報の距離が大きくなるような組み合わせを算出し、該算出した組合せを自ノードの再接続先ノードとして決定するステップと、
を含む、ことを特徴とする通信網制御システムの制御方法。
複数のノードを複数のリンク介して相互に接続された通信網内において、故障した、または障害を有する前記ノードを除去し、前記通信網の再接続を行う通信網制御システムの制御プログラムであって、
隣接ノードに障害が生じたときの前記通信網における経路情報を算出する処理と、
前記再接続する相手先候補ノードについて、前記算出された経路情報上のノード間距離順に順位付けした順位情報を算出する処理と、
前記算出された順位情報に基づいて、前記再接続後の通信網全体における経路情報のノード間距離が大きくなるような組み合わせを算出し、該算出した組み合わせを自ノードの再接続先ノードとして決定する処理と、
をコンピュータに実行させる、ことを特徴とする通信網制御システムの制御プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る通信網制御システムの機能ブロック図である。
【0010】
本実施の形態に係る通信網制御システム1は、複数のノードN
i(i=0〜n−1)を複数のリンク2介して相互に接続された通信網G内において、障害を有するノードN
iを除去し、通信網Gの再接続を行うものである。通信網制御システム1の複数のノードN
iのうちの少なくとも1つのノードN
iは、通信網Gにおける経路情報を算出する経路情報算出手段3と、再接続する相手先候補ノードN
iについての順位情報を算出する順位情報算出手段4と、自ノードN
iの再接続先ノードN
iを決定する決定情報算出手段5と、を備える。経路情報算出手段3は、隣接ノードN
iに障害が生じたときの通信網Gにおける経路情報を算出する。順位情報算出手段4は、再接続する相手先候補ノード集合について、経路情報算出手段3により算出された経路情報上の距離順に順位付けした順位情報を算出する。決定情報算出手段5は、順位情報算出手段4により算出された順位情報に基づいて、再接続後の通信網G全体における経路情報上のノード間距離が大きくなるような組み合わせを算出し、算出した組合せを自ノードN
iの再接続先候補ノードN
j(ただし,j≠iかつj=0〜n−1)として決定する。これにより、通信網G内のノードやリンクに障害が生じた場合でも、元のグラフの特徴を維持して通信網Gを最適に再構築できる。
【0011】
実施の形態1.
図2は、本発明の実施の形態1に係る通信網の一例を示す図である。
図2に示すように、本実施の形態1に係る通信網Gにおいては、複数のノードN
iがリンク2を介して相互に接続されている。ここで、例えば、ノードN
iはルータであり、リンク2は通信用媒体である光ファイバや同軸ケーブルである。また、通信網G内は、例えばn個のノードN
i(i=0〜n−1)で構成されている。
【0012】
なお、本実施の形態1において、例えば、ラマヌジャングラフを通信網Gの物理的/論理的トポロジとして適用している。このラマヌジャングラフは、(1)任意の2ノードN
i,N
j間の通信時間が短いこと、(2)任意の2ノードN
i,N
j間に複数の経路があること、(3)ノードN
i間のリンク数が通信網サイズ(=ノード数)増加に対し線形オーダ以下でしか増加しない、という要求を満たすグラフとして、Expanderと呼ばれるクラスのグラフに属している。本実施の形態1において、ラマヌジャングラフのノード次数は、例えば4の自然数倍となっているが、これに限らず、任意の次数であってよい。
【0013】
さらに、上記ラマヌジャングラフの定義に以下に詳細に説明する。
通信網Gをノード数n個のk−正則グラフとし、通信網Gの隣接行列Aの固有値を大きい方から順に並べると下記式(1−1)が成立する(例えば、Alexander Lubotzky; R. Phillips, Peter Sarnak (1988). "Ramanujan graphs," Combinatorica 8: 261-277参照)。
【数1】
λ
1以外の自明でない固有値のうち、絶対値が最大のものをλ(G)とする。
【数2】
【0014】
このとき、下記式(1−3)の不等式を満たす固有値を持つグラフをラマヌジャングラフという。
【数3】
【0015】
次に、ラマヌジャングラフの特徴について述べる。
第1特徴として、k−正則グラフである。つまり、全てのノードN
iの次数がkである。第2特徴として、拡大定数が大きい。ここで,拡大定数は下記式(1−4)で定義される。さらに、λ
2(L(G))はグラフGのラプラシアン行列の第2最小固有値である。
【数4】
【0016】
第3特徴として内周が大きい。ここで、内周とはグラフ内同じリンクを通らないループ(閉路)のうち、最短のものの長さを言う(例えば、平松豊一、知念宏司 共著."有限数学入門 有限上半平面とラマヌジャングラフ"牧野書店,2003.ISBN4-434-03407-3参照)。第4特徴として直径が小さい。ここで、直径とはグラフ内の任意の2点間の最小距離のうち、最大のものを言う。
【0017】
本実施の形態1に係る通信網制御システム1によれば、通信網Gを構成するノードN
iの一部を除去した際に、除去したノードN
iに接続していたリンク2を他のノードN
iに再接続するだけで、上述したラマヌジャングラフまたはラマヌジャングラフに順ずるグラフを維持可能となる。すなわち、任意の2ノードN
i間の通信時間が短く、任意の2ノードN
i間に複数の経路が存在し、ノードN
i間のリンク数が通信網サイズの増加に対し線形オーダ以下でしか増加しない、というラマヌジャングラフの有利な特徴を維持できる。
【0018】
本実施の形態1に係る通信網制御システム1においては、通信網G内のノード/リンク障害などによってノード/リンクがそのような元のラマヌジャングラフから削除されても、元のラマヌジャングラフと同程度の効率性とロバスト(robust)性を維持できる。
【0019】
換言すると、「サイズがnのラマヌジャングラフから、障害ノード(故障ノード)N
iを除き、かつその障害ノードN
iに接続していたリンク2の接続を替えるだけで、サイズnのラマヌジャングラフと略同一特徴を有するサイズ(n−1)のラマヌジャングラフを再構成できる。
【0020】
次に、本実施の形態1に係る通信網システムの構成について詳細に説明する。本実施の形態1に係る通信網制御システム1においては、通信網G内において任意の障害ノードN
iを除去したときに、残りの各ノードN
iが自律分散的に再接続を行う。ここでは,ノード次数k=4の場合について示す。
【0021】
図3は、本実施の形態1に係る通信網制御システムにおける各ノードの概略的なシステム構成を示すブロック図である。
【0022】
通信網制御システム1における各ノードN
iは、通信機能部11と、経路情報計算部12と、順位情報計算部13と、決定情報計算部14と、決定情報比較部15と、記憶部16と、を備えている。
【0023】
なお、各ノードN
iは、例えば、制御処理、演算処理等と行うCPU(Central Processing Unit)、CPUによって実行される制御プログラム、演算プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)、処理データ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等からなるマイクロコンピュータを、中心にしてハードウェア構成されている。CPU、ROM、及びRAMは、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0024】
各ノードN
iの通信機能部11は、他のノード(以下、他ノードと称す)N
iとの通信情報の授受を行う通信インターフェイスとしての機能を有している。
【0025】
各ノードN
iの経路情報計算部12は、経路情報算出手段の一具体例であり、通信網Gにおいて経路制御が完了した時点で、経路制御プロトコルなどに基づいて自身のノード(以下、自ノードと称す)N
iから2ホップ(hop)の距離)にある全ノードN
iへの最短経路情報M
i(i=0〜n−1)を算出する。
【0026】
さらに、各ノードN
iの経路情報計算部12は、通信網G内の各ノードN
iのうち、自ノードN
iに直接接続されているノード(以下、隣接ノードと称す)N
xが故障した場合、自ノードN
iを起点とする最短経路情報M
iを算出する。経路情報計算部12は、算出した最短経路情報M
iを記憶部16に記憶させる。
【0027】
各ノードN
iの順位情報計算部13は、順位情報算出手段の一具体例であり、再接続する相手先候補ノード候補N
iを経路情報計算部12により算出された最短経路情報M
i上のノード間距離が遠い順に順位付けした順位情報L
i(i=0〜n−1)を算出する。
【0028】
各ノードN
iの順位情報計算部13は、再接続(故障した隣接ノードN
xに接続していたリンク2を再接続)する各相手先候補ノード候補N
j,N
k,N
l(ただし,j≠k≠l≠i≠xかつj,k,l=0〜n−1)を、最短経路情報M
i上のノード間距離が遠い順に順位付けした順位情報L
iを算出する。順位情報計算部13は、算出した順位情報L
iを最短経路情報M
iの距離情報と共に記憶部16に記憶させる(
図4)。
【0029】
各ノードN
iの順位情報計算部13は、故障した隣接ノードN
xが存在する場合に、再接続する全相手先ノード候補N
j,N
k,N
lと、算出した順位情報L
iを通信機能部11を介して相互に交換する。
【0030】
各ノードN
iの決定情報計算部14は、決定情報算出手段の一具体例であり、順位情報計算部13により算出された順位情報L
iに基づいて、自ノードN
iの再接続先を決定する。各ノードN
iの決定情報計算部14は、順位情報計算部13により算出された順位情報L
iに基づいて、再接続後の通信網G全体における最短経路情報M
iのノード間距離の平均値が最大となる接続の組合せを算出する。そして、決定情報計算部14は、算出した接続の組合せを自ノードN
iの再接続先ノードとして決定し、その決定情報D
i(i=0〜n−1)を記憶部16に記憶させる。
【0031】
各ノードN
iの決定情報計算部14は、決定した決定情報D
iを、再接続する相手先ノード候補N
j,N
k,N
lに対して通信機能部11を介して送信する。
【0032】
各ノードN
iの決定情報比較部15は、決定情報比較手段の一具体例であり、再接続先ノードN
kから通信機能部11を介して決定情報D
iを受信し、かつ、経路情報計算部12により算出された最短経路情報M
i上におけるその他ノードN
j,N
lから決定情報D
iを受信しない場合、その決定した再接続先ノードN
kを再接続先として確定する。各ノードN
iの決定情報比較部15は、確定した再接続先ノードN
kを確定情報F
i(i=0〜n−1)として記憶部16に記憶させる。
【0033】
各ノードN
iの決定情報比較部15は、ノードN
xが故障や障害などで通信不可能となった場合に、その次ホップのノードN
iを確定情報F
iの再接続先ノードN
iとして再設定し、通信網Gの経路制御を行う。
【0034】
各ノードN
iの記憶部16は、記憶手段の一具体例であり、例えば、上記ROMやRAMで構成されている。
【0035】
図5は、本実施の形態1に係る通信網制御方法のフローを示すフローチャートである。
各ノードN
iの経路情報計算部12は、通信網Gにおいて経路制御が完了した時点で、経路制御プロトコルなどに基づいて自ノードN
iから2ホップの距離にある全ノードN
j,N
k,N
lへの最短経路情報M
iを算出する。さらに、経路情報計算部12は、通信網G内の各ノードN
iのうち、自ノードN
iに直接接続されている隣接ノードN
xが故障した場合、自ノードN
iを起点とする最短経路情報M
iを算出し、算出した最短経路情報M
iを記憶部16に記憶させる(ステップS101)。
【0036】
各ノードN
iの順位情報計算部13は、再接続する相手先候補ノードN
j,N
k,N
lを経路情報計算部12により算出された最短経路情報M
i上の距離が遠い順に順位付けした順位情報L
iを算出する(ステップS102)。
【0037】
各ノードN
iの順位情報計算部13は、故障した隣接ノードN
iが存在する場合に、再接続する全相手先候補ノードN
j,N
k,N
lと、算出した順位情報L
iを通信機能部11を介して相互に交換する(ステップS103)。
【0038】
各ノードN
iの決定情報計算部14は、順位情報計算部13により算出された順位情報L
iに基づいて、再接続後の通信網G全体における最短経路情報M
iの距離の平均値が最大となる接続の組合せを算出する。決定情報計算部14は、算出した再接続の組合せを自ノードN
iの再接続先ノードとして決定し、その決定情報D
iを記憶部16に記憶させる(ステップS104)。
【0039】
各ノードN
iの決定情報計算部14は、決定した決定情報D
iを、再接続する相手先ノードに対して通信機能部11を介して送信する(ステップS105)。
【0040】
各ノードN
iの決定情報比較部15は、再接続先ノードN
kから通信機能部11を介して決定情報D
iを受信し、かつ、最短経路情報M
i上におけるその他の再接続先候補ノードN
j,N
lから決定情報D
iを受信しない場合(ステップS106のNO)、その決定した再接続先ノードN
kを再接続先として確定する(ステップS107)。決定情報比較部15は、確定した再接続先ノードN
kを確定情報F
iとして記憶部16に記憶させる。
【0041】
一方、各ノードN
iの決定情報比較部15は、再接続先候補ノードN
j,N
lから通信機能部11を介して決定情報D
iを受信した場合(ステップS106のYES)、上記(ステップS103)又は(ステップS104)の処理に戻る。
【0042】
各ノードN
iの決定情報比較部15は、隣接ノードN
xが障害などで通信不可能となった場合に、その次ホップのノードN
kを確定情報F
iの再接続先ノードとして再設定し、通信網Gの経路制御を行う(ステップS108)。
【0043】
以上、本実施の形態1に係る通信網制御システム1によれば、サイズがnのラマヌジャングラフから、障害ノードN
xを除き、かつその障害ノードN
xに接続していたリンク2の接続を替えるだけで、サイズnのラマヌジャングラフと略同一特徴を有するサイズ(n−1)のラマヌジャングラフを再構成できる。すなわち、通信網G内のノードやリンクに障害が生じた場合でも、元のグラフの特徴を維持して通信網Gを最適に再構築できる。
【0044】
実施の形態2.
上記実施の形態1においては、各ノードN
iが自律分散的に再接続を行っているが、本実施の形態2においては、代表ノードN
0が集中制御的に再接続を行うことを特徴としている。
図6は、本発明の実施の形態2に係る通信網の一例を示す図である。通信網G内において中心となる代表ノードN
0が予め設定され、代表ノードN
0にリンク2を介して複数のノードN
iが相互接続されている。
【0045】
図7は、本実施の形態2に係る通信網制御システムにおける代表ノードの概略的なシステム構成を示すブロック図である。通信網制御システム1における代表ノードN
0は、通信機能部11と、経路情報計算部12と、順位情報計算部13と、決定情報計算部14と、記憶部16と、を備えている。
【0046】
代表ノードN
0の経路情報計算部12は、通信網Gにおいて経路制御が完了した時点で、経路制御プロトコルなどに基づいて,通信網G内の全ノードN
iについて,それぞれ自身のノードから2ホップの距離にあるノードへの最短経路情報M
i(i=0〜n−1)を算出する。さらに、代表ノードN
0の経路情報計算部12は、通信網G内のノードN
iが故障した各ノード集合について、そのノード集合内の各ノードN
iを起点とする最短経路情報M
iを算出する。経路情報計算部12は、算出した最短経路情報M
iを記憶部16に記憶させる。
【0047】
代表ノードN
0の順位情報計算部13は、再接続する相手先候補ノードN
iについて、最短経路情報M
i上における順位情報L
i(i=0〜n−1)を算出する。より具体的には、通信網G内のノードN
xが故障した場合,代表ノードN
0の順位情報計算部13は、その故障ノードN
xの隣接ノードN
iに接続していたリンク2を再接続する相手先候補ノードN
j,N
k,N
lについて、経路情報計算部12により算出された最短経路情報M
i上における距離が遠い順に順位付けした順位情報L
iを算出する。そして、順位情報計算部13は、算出した順位情報L
iを最短経路情報M
iの距離情報と共に記憶部16に記憶させる(
図8)。
【0048】
代表ノードN
0の決定情報計算部14は、順位情報計算部13により算出された順位情報L
iに基づいて、各ノードN
iの再接続先を決定する。決定情報計算部14は、例えば、順位情報計算部13により算出された順位情報L
iに基づいて再接続後の通信網G全体の最短経路情報M
iの距離の平均値が最大となる接続の組み合わせを算出する。そして、決定情報計算部14は、算出した接続の組合せを各ノードN
iの再接続先ノードとして決定し、その確定情報F
i(i=0〜n−1)を記憶部16に記憶させる。
【0049】
代表ノードN
0の決定情報計算部14は、実際の通信網G内においてノードN
xが故障や障害などで通信不可能となった場合に、確定情報F
iに基づいて再経路制御を行う。
【0050】
図9は、本実施の形態2に係る通信網制御方法のフローを示すフローチャートである。
代表ノードN
0の経路情報計算部12は、通信網Gにおいて経路制御が完了した時点で、経路制御プロトコルなどに基づいて通信網G内の全ノードN
iへの最短経路情報M
i(i=0〜n−1)を算出する。さらに、代表ノードN
0の経路情報計算部12は、通信網G内のノードN
xが故障した場合,その故障ノードN
xの隣接ノード集合について、そのノード集合内の各ノードN
iを起点とする最短経路情報M
iを算出し、算出した最短経路情報M
iを記憶部16に記憶させる(ステップS201)。
【0051】
代表ノードN
0の順位情報計算部13は、その故障したノードN
xに接続していたリンク2を再接続する相手先ノード候補N
j,N
k,N
lについて、経路情報計算部12により算出された最短経路情報M
i上における距離が遠い順に順位付けした順位情報L
iを算出する。そして、順位情報計算部13は、算出した順位情報L
iを最短経路情報M
iのノード間距離情報と共に記憶部16に記憶させる(ステップS202)。
【0052】
ここで、例えば、通信網Gが大きくかつ階層的に構成されている場合、代表ノードN
0が管理できる範囲は限られ、下位階層のノードN
iについて管理ができない場合が存在する。この場合、その下位階層のノードN
iに障害が生じたときに、そのノードN
iから代表ノードN
0に順位情報L
iを送信するようにしてもよい。代表ノードN
0は、後述の確定情報F
iをその下位階層のノードN
iに送信する。これにより、通信網Gが大きい場合でも、通信網Gを最適に再構築できる。
【0053】
代表ノードN
0の決定情報計算部14は、順位情報計算部13により算出された順位情報L
iに基づいて再接続後の通信網G全体の最短経路情報M
iのノード間距離の平均値が最大となる接続の組合せを算出する。そして、決定情報計算部14は、算出した接続の組合せを各ノードN
iの再接続先ノードとして決定し、その確定情報F
i(i=0〜n−1)を記憶部16に記憶させる(ステップS203)。
【0054】
代表ノードN
0の決定情報計算部14は、実際の通信網G内においてノードN
iが故障や障害などで通信不可能となった場合に、確定情報F
iに基づいて再経路制御を行う(ステップS204)。
【0055】
以上、本実施の形態2に係る通信網制御システム1において、サイズがnのラマヌジャングラフから、故障・障害ノードN
xを除き、かつその故障・障害ノードN
xに接続していたリンク2の接続を替えるだけで、サイズnのラマヌジャングラフと略同一特徴を有するサイズ(n−1)のラマヌジャングラフを再構成できる。すなわち、通信網G内のノードやリンクに障害が生じた場合でも、元のグラフの特徴を維持して通信網Gを最適に再構築できる。
【0056】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0057】
例えば、上記実施の形態1及び2において、通信網Gに、ラマヌジャングラフが適用されているが、これに限らず、通信網Gに、例えば、Cayleyグラフ、Petersenグラフが適用されてもよく、Expanderに属する任意のグラフに適用されてもよい。
【0058】
上記実施の形態1及び2において、経路情報計算部12は、最短経路情報M
iを算出しているが、これに限らず、例えば、帯域、遅延、若しくは帯域と遅延両方に基づいた経路情報を算出してもよい。この場合、順位情報計算部13は、経路情報計算部12により算出された経路情報M
i上の距離が遠い順に順位付けした順位情報L
iを算出する。
【0059】
上記実施の形態1及び2において、決定情報計算部14は、順位情報計算部13により算出された順位情報L
iに基づいて、再接続後の通信網G全体における最短経路情報M
iのノード間距離の平均値が最大となる組み合わせを算出しているが、これに限らず、例えば、最短経路情報M
iのノード間距離の平均値が所定閾値以上となる組み合わせを算出してもよい。
【0060】
また、本発明は、
図5及び
図9に示す処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0061】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0062】
また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0063】
上記実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0064】
(付記1)
複数のノードを複数のリンクを介して相互に接続された通信網内において、故障または障害を有する前記ノードを除去し、前記通信網の再接続を行う通信網制御システムであって、
前記複数のノードのうちの少なくとも1つのノードは、
隣接ノードに障害が生じたときの前記通信網における経路情報を算出する経路情報算出手段と、
前記再接続する相手先候補ノードについて、前記経路情報算出手段により算出された経路情報上の距離順に順位付けした順位情報を算出する順位情報算出手段と、
前記順位情報算出手段により算出された順位情報に基づいて、前記再接続後の通信網全体における経路情報の距離が大きくなるような組み合わせを算出し、該算出した組合せを自ノードの再接続先ノードとして決定する決定情報算出手段と、
を備える、ことを特徴とする通信網制御システム。
(付記2)
(付記1)記載の通信網制御システムであって、
前記決定情報算出手段は、前記順位情報算出手段により算出された順位情報に基づいて、前記再接続後の通信網全体における経路情報のノード間距離の平均値が所定閾値以上となる組合せを算出する、ことを特徴とする通信網制御システム。
(付記3)
(付記1)又は(付記2)記載の通信網制御システムであって、
前記決定情報算出手段は、前記順位情報算出手段により算出された順位情報に基づいて、前記再接続後の通信網全体における経路情報のノード間距離の平均値が最大となる組み合わせを算出する、ことを特徴とする通信網制御システム。
(付記4)
(付記1)乃至(付記3)のうちいずれか記載の通信網制御システムであって、
前記複数のノードのうちの各ノードは、夫々、
前記経路情報算出手段、前記順位情報算出手段、及び前記決定情報算出手段を備え、
前記経路情報算出手段は、自ノードを起点とする最短経路情報を算出する、ことを特徴とする通信網制御システム。
(付記5)
(付記4)記載の通信網制御システムであって、
前記順位情報算出手段は、障害が生じた隣接ノードが存在する場合に、再接続する全相手先候補ノードと、前記算出した順位情報を相互に交換する、ことを特徴とする通信網制御システム。
(付記6)
(付記1)乃至(付記5)のうちいずれか記載の通信網制御システムであって、
前記再接続先ノードから前記決定の情報を取得し、かつ、前記経路情報上における他ノードから前記決定の情報を取得しない場合、前記自ノードの決定情報算出手段で決定した再接続先ノードを再接続先として確定する決定情報比較手段を更に備える、ことを特徴とする通信網制御システム。
(付記7)
(付記6)記載の通信網制御システムであって、
前記決定情報比較手段は、隣接するノードに障害が生じ通信不可能となった場合に、その次ホップのノードを再接続先として再設定し、経路制御を行う、ことを特徴とする通信網制御システム。
(付記8)
(付記1)乃至(付記7)のうちいずれか記載の通信網制御システムであって、
前記経路情報算出手段により算出された経路情報及び前記順位情報算出手段により算出された順位情報のうち少なくとも一方を記憶する記憶手段を更に備える、ことを特徴とする通信網制御システム。
(付記9)
(付記1)乃至(付記8)のうちいずれか記載の通信網制御システムであって、
前記ノードは自律分散的に前記再接続を行う、ことを特徴とする通信網制御システム。
(付記10)
(付記1)乃至(付記3)のうちいずれか記載の通信網制御システムであって、
前記複数のノードのうちの予め設定された代表ノードは、
前記経路情報算出手段、前記順位情報算出手段、及び前記決定情報算出手段を備え、
前記経路情報算出手段は、隣接ノードが故障した各ノード集合について、該ノード集合内の各ノードを起点とする最短経路情報を算出する、ことを特徴とする通信網制御システム。
(付記11)
(付記10)記載の通信網制御システムであって、
前記決定情報算出手段は、前記通信網内において前記ノードに障害が生じ通信不可能となった場合に、前記再接続先のノードとして決定した情報に基づいて再経路制御を行う、ことを特徴とする通信網制御システム。
(付記12)
(付記1)乃至(付記11)のうちいずれか記載の通信網制御システムであって、
前記通信網には、ラマヌジャングラフが適用されている、ことを特徴とする通信網制御システム。
(付記13)
複数のノードを複数のリンク介して相互に接続された通信網内において、障害を有する前記ノードを除去し、前記通信網の再接続を行う通信網制御システムの制御方法であって、
隣接ノードに障害が生じたときの前記通信網における経路情報を算出するステップと、
前記再接続する相手先候補ノードについて、前記算出された経路情報上の距離順に順位付けした順位情報を算出するステップと、
前記算出された順位情報に基づいて、前記再接続後の通信網全体における経路情報の距離が大きくなるような組み合わせを算出し、該算出した組合せを自ノードの再接続先ノードとして決定するステップと、
を含む、ことを特徴とする通信網制御システムの制御方法。
(付記14)
複数のノードを複数のリンク介して相互に接続された通信網内において、障害を有する前記ノードを除去し、前記通信網の再接続を行う通信網制御システムの制御プログラムであって、
隣接ノードに障害が生じたときの前記通信網における経路情報を算出する処理と、
前記再接続する相手先候補ノードについて、前記算出された経路情報上の距離順に順位付けした順位情報を算出する処理と、
前記算出された順位情報に基づいて、前記再接続後の通信網全体における経路情報の距離が大きくなるような組み合わせを算出し、該算出した組合せを自ノードの再接続先ノードとして決定する処理と、
をコンピュータに実行させる、ことを特徴とする通信網制御システムの制御プログラム。
【0065】
この出願は、2013年1月8日に出願された日本出願特願2013−001308を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。