(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施の形態に係る光通信システムについて説明する。本発明の第1の実施形態に係る光通信システム1は、
図1に示すように、送信装置100と受信装置200とを含んで構成されている。
【0010】
光通信システム1では、送信装置100と受信装置200とは、光を通信媒体として送信装置100から受信装置200への通信を行うことができる。
【0011】
送信装置100は、受信装置200への通信対象の情報を、変調により可視光である赤(R)、緑(G)、青(B)の時系列で変化する光信号に変換して出力する。
【0012】
受信装置200は、例えばスマートフォンであり、撮像範囲に含む送信装置100を撮像することにより、送信装置100からの光信号を受光する。また、受信装置200は、撮像により得られた画像を表示する。また、受信装置200は、受光した光信号から通信対象の情報を復号し、表示する。
【0013】
次に、送信装置100について説明する。送信装置100は、
図2に示すように、制御部102、メモリ104、送信部114を含んで構成される。
【0014】
制御部102は、CPU(Central Processing Unit)を備え、メモリ104に格納されているプログラムに従ってソフトウェア処理を実行し、送信装置100が具備する各種機能を実現するために機能する。
【0015】
メモリ104は、例えばワークエリアとなるRAM(Random Access Memory)、基本動作プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)である。メモリ104は、送信装置100における制御等に用いられる各種情報(プログラム等)を記憶する。
【0016】
制御部102内の符号化・変調部110は、通信対象である情報をビットデータ列に符号化する。更に、符号化・変調部110は、ビットデータ列に基づくデジタル変調を行う。変調方式として例えば周波数を28.8(kHz)とする搬送波を用いた4PPM(Pulse Position Modulation)が採用される。制御部102内の駆動部112は、符号化・変調部110が生成した信号に基づいて、送信部114に対して、波長の異なる可視光である赤(R)、緑(G)、青(B)の光を変化周期t1で時間的に変化させる制御を行う。
【0017】
送信部114は、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)であり、駆動部112の制御により、赤(R)、緑(G)、青(B)の各波長の光を変化周期t1で時間的に変化させながら出力する。
【0018】
次に、受信装置200について説明する。受信装置200は、撮像画像を表示するとともに、送信装置100と情報を受信するための通信装置として機能する。受信装置200は、
図3に示すように、制御部202、メモリ204、操作部206、表示部207、無線通信部208、アンテナ210、撮像部214を含んで構成される。
【0019】
制御部202は、CPUによって構成される。制御部202は、メモリ204に記憶されたプログラムに従ってソフトウェア処理を実行することにより、受信装置200が具備する各種機能を実現するために機能する。
【0020】
メモリ204は、例えばRAMやROMである。メモリ204は、受信装置200における制御等に用いられる各種情報(プログラム等)を記憶する。
【0021】
操作部206は、表示部207の表示領域の上面に配置されるタッチパネルであり、ユーザの操作内容を入力するために用いられるインタフェースである。表示部207は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって構成され、画像を表示する。
【0022】
無線通信部208は、例えば無線周波数(RF:Radio Frequency)回路やベースバンド(BB:Base Band)回路等を用いて構成される。無線通信部208は、アンテナ210を介して、無線信号の送信及び受信を行う。また、無線通信部208は、送信信号の変調と、受信信号の復調とを行う。
【0023】
撮像部214は、受信装置200の筐体において、表示部207が設置された面とは反対側の面に配置される。撮像部214は、レンズと受光素子により構成される。レンズは、ズームレンズ等により構成され、制御部202によるズーム制御及び合焦制御により移動する。撮像部214の撮像画角、光学像は、レンズの移動によって制御される。受光素子は、受光面に規則的に二次元配列された複数の受光素子により構成される。受光素子は、例えば、フォトダイオード、ベイヤー配列のカラーフィルターを実装し、また若しくは三板式のCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像デバイスである。撮像部214は、送信装置100内の送信部114における光の変化周期t1と同一の撮像周期t2で、且つ、一度の撮像に要する期間(露光期間)t3で撮像を行う。撮像部214は、入光された光学像を、制御部202からの制御信号に基づいて所定範囲の撮像画角で撮像(受光)し、その撮像画角内の画像信号を逐次、制御部202へ出力する。
【0024】
制御部202内の画像生成部232は、撮像部214からの画像信号が入力される毎に、当該画像信号をデジタルデータに変換してフレームを生成する。
【0025】
制御部202内の復号部234は、時系列的に連続して入力されるフレームにおける波長の変化による色相変化が生じる箇所(変化領域)の探索を行う。具体的には、復号部234は、フレームの画像データ内の各画素の明度を判別する。更に、復号部234は、明度が所定値以上である画素を、送信装置100内の送信部114からの発光色に相当する波長光を受光することにより色相変化が生じる箇所(変化領域)の候補(候補領域)であると見なす。更に、復号部234は、直近に取得された所定数のフレームのそれぞれにおける候補領域内の同一座標において色相を判別する。判別の結果、候補領域内の座標における色相値があるフレームでは第1の所定値であり、他のフレームでは第2の所定値である場合というように、所定のパターンで大きく変化する場合には、復号部234は、当該候補領域を変化領域であると見なす。
【0026】
変化領域が存在する場合には、復号部234内の判別部238は、その後、撮像毎にフレーム内の変化領域の色相値(波長の種類)を取得し、その色相値に対応する変化領域の色を判別する。復号部234内の色推定部240は、判別部238によって判別された変化領域の色が赤(R)、緑(G)、青(B)の何れでもない場合に、これら赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかに推定する。判別部238及び色推定部240の処理の詳細については後述する。判別部238により変化領域の色が赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかに判別された場合、又は、色推定部240により変化領域の色が赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかに推定された場合、復号部234は、色に対応するビットデータ列を復号し、通信対象の情報を取得する。
【0027】
画像生成部232は、復号部234によって取得された通信対象の情報の画像を生成する。制御部202内の表示制御部236は、通信対象の情報の画像を表示部207に表示させる制御を行う。
【0028】
次に、光通信システム1の動作を説明する。光通信システム1においては、送信装置100による送信処理、受信装置200による受信処理が行われる。
【0029】
送信装置100の制御部102内の符号化・変調部110は、通信対象の情報をビットデータ列に符号化し、更に、ビットデータ列に基づくデジタル変調を行う。
【0030】
次に、制御部102内の駆動部112は、符号化・変調部110が生成した信号に基づいて、送信部114に対して、赤(R)、緑(G)、青(B)の光を発光周期t1で時間的に変化させる制御を行う。これにより、送信部114は、駆動部112の制御により、変調された通信対象の情報に基づいて、赤(R)、緑(G)、青(B)の光を発光周期t1で出力する。なお、本実施形態では、駆動部112は、所定の周期で送信部114に対して、情報の先頭位置を示す同期用消灯を変化周期t1の2倍の期間行わせる制御を行っており、送信部114は、赤(R)、緑(G)、青(B)の光を変化周期t1で出力するとともに、所定の周期で、同期用の消灯を変化周期t1の2倍の期間行う。
【0031】
図4及び
図5は、受信装置200による受信処理の動作を示すフローチャートである。受信装置200のユーザは、送信装置100内の送信部114の光の色相が変化している状態を認識すると、通信対象の情報を取得するためのアプリケーションプログラムを起動させ、撮像を行うための操作を行う。受信装置200内の撮像部214は、ユーザの操作に応じて、撮像周期t2、露光期間t3で送信装置100の送信部114を含む撮像範囲を撮像(受光)する(ステップS101)。
【0032】
次に、画像生成部232は、撮像部214からの画像信号が入力される毎に、当該画像信号をデジタルデータに変換してフレームを生成する。更に、制御部202内の復号部234は、時系列的に連続して入力されるフレームにおける変化領域の探索を行い、変化領域があるか否かを判定する(ステップS102)。変化領域がない場合(ステップS102;NO)、撮像部214による撮像(ステップS101)以降の動作が繰り返される。
【0033】
一方、変化領域がある場合(ステップS102;YES)、復号部234内の判別部238は、その後、撮像毎にフレーム内の変化領域の色相値を取得し、メモリ204に記憶する(ステップS103)。
【0034】
図6は、色相値に基づく色判定チャートの一例を示す図である。
図6に示すように、赤(R)と判定される色相値の範囲(赤判定領域)は、0°〜45°、及び、315°〜360°である。また、緑(G)と判定される色相値の範囲(緑判定領域)は、75°〜165°である。また、青(B)と判定される色相値の範囲(青判定領域)は、195°〜285°である。
【0035】
本実施形態では、送信装置100内の送信部114は、通信対象の情報に対応する赤(R)、緑(G)、青(B)の光を出力する。このため、赤判定領域、緑判定領域、青判定領域以外の色相値の範囲は、直接に通信対象の情報取得のために用いることのできない色相値の範囲(無効領域)となる。具体的には、赤判定領域と緑判定領域との間の色相値45°〜75°の範囲(黄色(Y)、以下、黄と省略する)、緑判定領域と青判定領域との間の色相値165°〜195°の範囲(シアン色(C)、以下、シアンと省略する)、青判定領域と赤判定領域との間の色相値285°〜315°の範囲(マゼンダ色(M)、以下、マゼンダと省略する)は無効領域となる。色判定チャートに対応する情報は、例えばメモリ204に記憶されている。
【0036】
なお、送信装置100内の送信部114が同期用の消灯を行う場合には、判別部238は、変化領域の色にある「黒」に対応する色相値−1を取得する。
【0037】
再び、
図4に戻って説明する。次に、判別部238は、撮像毎に取得し、メモリ204に記憶した色相値の中に、色相値−1(黒)があるか否かを判定する(ステップS104)。色相値−1がない場合(ステップS104;NO)、撮像部214による撮像(ステップS101)以降の動作が繰り返される。
【0038】
一方、色相値−1がある場合(ステップS104;YES)、判別部238は、色相値−1の取得及び記憶後に、取得及び記憶された色相値(色相値−1以降の色相値)を古いものから1つずつ選択する。更に、判別部238は、
図6に示す色判定チャートを参照することにより、選択した色相値に対応する色を判別する(ステップS105)。具体的には、判別部238は、色相値が0°〜45°、及び、315°〜360°であれば赤、色相値が75°〜165°であれば緑、色相値が195°〜285°であれば青であると判別する。また、判別部238は、色相値が45°〜75°であれば黄、色相値が165°〜195°であればシアン、色相値が285°〜315°であればマゼンダであると判別する。
【0039】
次に、判別部238は、ステップS105における判別色が赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかであるか否かを判定する(ステップS106)。判別色が赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかである場合(ステップS106;YES)、判別部238は、判別色の情報を確定色の情報として、メモリ204内に構成される確定色バッファへ格納する(ステップS107)。
【0040】
一方、判別色が赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかでもない場合(ステップS106;NO)、復号部234内の色推定部240は、確定色バッファに格納された確定色の情報のうち、最新の確定色(前回確定色)の情報を参照し、ステップS105において選択した色相値に対応する色を赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかに推定する(ステップS108)。
【0041】
図7は、色判別の一例を示す図であり、
図8は、色判別及び色推定の一例を示す図である。
【0042】
図7の場合、
図7(b)に示す受信装置200内の撮像部214の露光期間t3は、
図7(a)に示す送信装置100内の送信部114による1つの色(赤(R)、緑(G)、青(B)の何れか)の発光期間(変化周期)t1内に収まっている。この場合には、ステップS105において、判別部238は、今回選択した色相値に対応する色(今回判別色)を、
図7(c)に示すように赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかに判別することになる。
【0043】
一方、
図8の場合、
図8(b)に示す受信装置200内の撮像部214の露光期間t3は、
図8(a)に示す送信装置100内の送信部114による2つの色(赤(R)、緑(G)、青(B)の何れか)の変化のタイミングに跨っている。この場合には受光タイミングにより(赤(R)、緑(G)、青(B)の何れか2色が混合したような色で判定されるため、ステップS105において、判別部238は、今回選択した色相値に対応する色(今回判別色)を、
図8(c)に示すように、赤(R)、緑(G)、青(B)以外の色である黄、シアン、マゼンダの何れかに判別することになる。このため、ステップS108において、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかに推定する処理が行われることになる。
【0044】
なお、
図8(c)に示すように、撮像部214の露光期間t3が、送信装置100内の送信部114の消灯に対応する黒と、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかとの変化のタイミングに跨っている場合には、明度は低下するものの、判別部238は、今回選択した色相値に対応する色(今回判別色)を、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかに判別することができる。このため、ステップS108の処理が行われることはない。
【0045】
ステップS108における色推定では、以下の処理が行われる。
図6の色判定チャートを参照すると、黄は、赤(R)と緑(G)が混合したものである。すなわち、ステップS105における今回判別色が黄である場合、ステップS108では、色推定部240は、前回確定色が赤(R)であれば、今回選択した色相値に対応する色(推定色)は緑(G)であり、前回確定色が緑(G)であれば、今回選択した色相値に対応する色(推定色)は赤(R)であると推定することができる。
【0046】
また、
図6の色判定チャートを参照すると、シアンは、緑(G)と青(B)が混合したものである。すなわち、ステップS105における今回判別色がシアンである場合、ステップS108では、色推定部240は、前回確定色が緑(G)であれば、今回選択した色相値に対応する色(推定色)は青(B)であり、前回確定色が青(B)であれば、今回選択した色相値に対応する色(推定色)は緑(G)であると推定することができる。
【0047】
また、
図6の色判定チャートを参照すると、マゼンダは、青(B)と赤(R)が混合したものである。すなわち、ステップS105における今回判別色がマゼンダである場合、ステップS108では、色推定部240は、前回確定色が青(B)であれば、今回選択した色相値に対応する色(推定色)は赤(R)であり、前回確定色が赤(R)であれば、今回選択した色相値に対応する色(推定色)は青(B)であると推定することができる。
【0048】
図9は、上述した前回確定色及び今回判別色に基づいてステップS108において色推定を行う際に用いられる色推定テーブルの一例を示す図である。
図9に示すように、今回判別色が黄である場合、前回確定色が赤(R)であれば、推定色は赤(R)と混合して黄になる緑(G)であり、前回確定色が緑(G)であれば、推定色は緑(G)と混合して黄になる赤(R)である。一方、前回確定色が青(B)の場合には、
図6の色判定チャートを参照すると、青(B)と赤(R)を混合した場合も、青(B)と緑(G)を混合した場合も、黄にならない。このため、推定不能となる。
【0049】
また、今回判別色がマゼンダである場合、前回確定色が赤(R)であれば、推定色は赤(R)と混合してマゼンダになる青(B)であり、前回確定色が青(B)であれば、推定色は青(B)と混合してマゼンダになる赤(R)である。一方、前回確定色が緑(G)の場合には、
図6の色判定チャートを参照すると、緑(G)と赤(R)を混合した場合も、緑(G)と青(B)を混合した場合も、マゼンダにならない。このため、推定不能となる。
【0050】
また、今回判別色がシアンである場合、前回確定色が緑(G)であれば、推定色は緑(G)と混合してシアンになる青(B)であり、前回確定色が青(B)であれば、推定色は青(B)と混合してシアンになる緑(G)である。一方、前回確定色が赤(R)の場合には、
図6の色判定チャートを参照すると、赤(R)と緑(G)を混合した場合も、赤(R)と青(B)を混合した場合も、シアンにならない。このため、推定不能となる。
【0051】
また、前回確定色が赤(R)、緑(G)、青(B)の何れでもない場合には、今回判別色が黄、マゼンダ、シアンの何れであっても推定不能である。
【0052】
図9に示す色推定テーブルの情報は、メモリ204に記憶されている。ステップS108において、色推定部240は、色推定テーブルを参照することにより、前回確定色及び今回判別色に基づいて色推定を行う。
【0053】
再び、
図4に戻って説明する。ステップS108の後、色推定部240は、色推定が成功したか否か、具体的には、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかに推定することができたか否かを判定する(ステップS109)。色推定が成功したと判定した場合(ステップS109;YES)、色推定部240は、ステップS108における推定色の情報を確定色の情報として、メモリ204内に構成される確定色バッファへ格納する(ステップS110)。
【0054】
ステップS107及びステップS110の後、判別部238は、色相値−1の取得及び記憶後に、取得及び記憶された色相値(色相値−1以降の色相値)を全て選択済みであるか否かを判定する。全て選択済みでない場合(ステップS111;NO)には、色相値の選択と、選択した色相値に対応する色の判別(ステップS105)以降の動作が繰り返される。
【0055】
一方、全て選択済みである場合(ステップS111;YES)には、
図5の動作に移行し、復号部234は、確定色バッファに格納された確定色の系列を示すビットデータ列を通信対象の情報に復号する(ステップS112)。
【0056】
次に、復号部234は、ステップS112における復号が成功したか否かを判定する(ステップS113)。復号が成功したと判定した場合(ステップS113;YES)、制御部202は、復号された通信対象の情報を用いた後段処理(例えば、通信対象の情報の表示制御等)を行う(ステップS114)。
【0057】
一方、復号が失敗したと判定した場合(ステップS113;NO)、制御部202は、復号エラーに関する処理を行う(ステップS115)。また、
図4のステップS109において色推定が失敗したと判定された場合(ステップS109;NO)も、制御部202は、復号エラーに関する処理を行う(ステップS115)。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る光通信システム1では、送信装置100内の送信部114は、通信態様の情報に対応して赤(R)、緑(G)、青(B)の光を発光周期t1で時間的に変化させて出力する。
【0059】
一方、受信装置200内の撮像部214は、送信装置100内の送信部114の光の変化周期t1と同一の撮像周期t2で、露光期間t3の撮像を行う。更に、制御部202の復号部234内の判別部238は、撮像毎にフレーム内の変化領域の色相値を取得し、その色相値に対応する変化領域の色を判別する。また、復号部234内の色推定部240は、判別部238によって判別された変化領域の色(今回判別色)が赤(R)、緑(G)、青(B)の何れでもない場合に、今回判別色と前回確定色との対応関係に基づいて、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかに推定する。
【0060】
このように、今回判別色が赤(R)、緑(G)、青(B)の何れでもない場合であっても、これらの色の何れかに推定する処理が行われる。これにより、
図8に示すように受信装置200内の撮像部214における撮像周期t2毎に到来する露光期間t3が、送信装置100内の送信部114による2つの色(赤(R)、緑(G)、青(B)の何れか)の変化のタイミングに跨っている場合、換言すれば、送信装置100の発光期間と受信装置200の撮像周期が非同期である場合でも、色推定により受信装置200において赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかに確定することができる。
【0061】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る光通信システムについて説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態に係る光通信システム1と同じ構成を有したものであり、その説明は省略する。
【0062】
図10は、受信装置200による受信処理の動作を示すフローチャートであり、ステップS104までの処理、及び、色相値を用いた色判別処理については、上記第1の実施形態と同じである。すなわち第2の実施形態においては、信号の色を1つずつ判別するのではなく、有意な情報に復号可能な最低単位の信号群(この信号群には多くて3種類の色が含まれる)を判別する。先ず、受信装置200の判別部238は、変化領域の色にある「黒」に対応する色相値−1を含む3つの信号からなる信号群1ブロック単位で取得する(ステップS201)。
そして、これらに信号群に含まれる全ての色が、緑、シアン、青の波長帯域に対応する色相値90°〜270°の範囲に全て存在する否かを判定する(ステップS202)。
【0063】
ステップS202において3色全てが存在すると判断した場合(ステップS202;YES)、これらの信号の色は、夫々青、シアン、緑と判定し、ステップS210へ進む(ステップS203)。また、ステップS202において3色全てが存在しないと判断した場合(ステップS202;NO)、2色が存在するか否か判定し(ステップS204)、2色が存在すると判定すると(ステップS204;YES)色相値においてこの2色の存在範囲を判定する(ステップS205)。2色が色相値において夫々90°〜150°と210°〜270°に存在すると判断すると(ステップS205;90°〜150°と210°〜270°)、夫々を青、緑と判定する(ステップS206)。一方、2色が色相値において共に150°〜210°に存在すると判断すると(ステップS205;共に150°〜210°)、これらの2色の何れかにはシアンが含まれると判断し、結果的に青とシアン、又は緑とシアンと判定する(ステップS207)。
【0064】
また、ステップS204において、2色が存在しないと判定した場合(ステップS204;NO)、1色のみが存在するか否かを判断する(ステップS208)。1色のみ存在すると判断した場合(ステップS208;YES)、それはその色相値範囲の中間値、シアンであると推定する(ステップS209)。また、1色もないケース(ステップS208;NO)はエラーと判断し、
図5のステップS115へ移行する。色相値において90°〜270°(緑、シアン、青)の範囲の判定処理を終えると、次いで、赤、黄、緑、シアンの波長帯域に対応する色相値0°〜210°の範囲に全て存在する否かを判定する(ステップS210)。
【0065】
尚、上記色相値の範囲はシアンが含まれるが、シアンの領域については上記の処理にて判断処理は終えているので、実質的に赤、黄、緑の3色を判断する。また、この処理においては、青、シアン、緑の存在の有無は既に判断を終えているので、赤と黄が含まれるか否かの判定処理となる。よってステップ210では、0°〜210°の範囲で緑以外に2色が含まれるか否かを判定する。ステップS210にて、0°〜210°の範囲で緑以外に2色が存在すると判定した場合(ステップS210;YES)、これらの信号の色は、夫々黄、赤と判定し、ステップS216へ進む(ステップS211)。また、ステップS210において2色が存在しないと判断した場合(ステップS210;NO)、1色が存在するか否か判定し(ステップS212)、1色が存在すると判定すると(ステップS212;YES)、この1色の色を判定する(ステップS213)。また、1色もないケース(ステップS212;NO)はエラーと判断し、
図5のステップS115へ移行する。
【0066】
ステップS213の判定処理において、その1色が赤であれば(ステップS213;赤)、赤と判定し(ステップS214)、黄であれば(ステップS213;黄)、黄と判定する(ステップS215)。更に、色相値において0°〜210°(赤、黄、青、シアン)の範囲の判定処理を終えると、次いで、青、マゼンダ、赤の波長帯域に対応する色相値210°〜359°の範囲に全て存在する否かを判定する(ステップS216)。ただし、上記の判定処理にて、青、赤の存在有無については処理が終わっているので実質的に青と赤以外の色、すなわちマゼンダが存在するか否かの判断になる。そして、青と赤以外の色が存在すると判定した場合(ステップS216;YES)、それはマゼンダであると判定する(ステップS217)、存在しない場合(ステップS216;NO)は、判定対象となる色は無いと判断し、
図5のステップS115へ移行する。このように、信号群の色において、赤、緑、青、黄、シアン、マゼンダの各色の存在の有無を判断した結果、赤、緑、青についてはステップS112に移行し、黄、シアン、マゼンダについてはステップS108の処理に移行する。
【0067】
このように第2の実施形態においては、先ず、シアンの存在判定を優先し、黄、マゼンダの順に判定する。これは、送信装置100の発光輝度の明るさが飽和状態近くになると、判定が難しくなる色(波長)から優先しているためであり、換言すれば対応する波長域の短い色から優先して判定処理を行っているとも言える。尚、上記のごとく飽和状態における色判定の困難性を考慮せずに済む場合は、シアン、黄、マゼンダの判定処理を同時並行的に行っても良い。
【0068】
また、従来は、送信装置100の発光期間と受信装置200の撮像周期が非同期である場合には、
図11に示すように、送信装置100における光の変化周期(t1×2)(
図11(a))を、受信装置200内の撮像部214における撮像周期t2(
図11(b))の2倍にしていた。更に、露光期間t3が送信装置100内の送信部114による2つの色(赤(R)、緑(G)、青(B)の何れか)の変化のタイミングに跨っている場合には、その跨る露光期間t3に対応する色判別を不定として、他の露光期間t3に対応する色判別のみを行うことで、通信対象の情報取得を可能としていた。このため、通信速度の高速化の制約となっていた。
【0069】
一方、本実施形態では、送信装置100内の送信部114による1つの色(赤(R)、緑(G)、青(B)の何れか)の光の変化周期t1と受信装置200内の撮像部214における撮像周期t2とを同一にしているが、上述したように、露光期間t3が、送信装置100内の送信部114による2つの色(赤(R)、緑(G)、青(B)の何れか)の変化のタイミングに跨っていても、その跨る露光期間t3に対応する色推定が可能である。このため、通信速度を高速化させることができる。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。例えば、上述した実施形態では、可視光である赤(R)、緑(G)、青(B)の光を通信に用いる場合について説明したが、他の色の可視光を用いてもよく、更には、赤外線等の可視光以外の光を用いてもよい。
【0071】
また、送信装置100内の送信部114は、例えば、表示部の一部に構成されていてもよい。
【0072】
また、受信装置200は、撮像及び通信が可能であれば、どのような通信装置でもよい。例えば、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistant又はPersonal Data Assistance)、タブレットPC(Personal Computer)、ゲーム機器、携帯型音楽再生装置等であってもよい。
【0073】
また、受信装置200の機能と送信装置100の機能とを両方備える装置を用意し、場面に応じて、両機能を使い分けることができるようにしてもよい。
【0074】
また、上記各実施形態において、実行されるプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto-Optical disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行するシステムを構成することとしてもよい。
【0075】
また、プログラムをインターネット等のネットワークNW上の所定のサーバが有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、ダウンロード等するようにしてもよい。
【0076】
なお、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、ダウンロード等してもよい。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0078】
(付記1)
通信対象の情報に応じて所定周期で所定種類の波長に変化する光を所定の受光期間で受ける受光手段と、
前記受光手段により受けた光の波長を判別する波長判別手段と、
前記波長判別手段により判別された波長が前記所定種類の波長でない場合に、前記受光手段が受けた光の波長を前記所定種類の波長の何れかに推定する推定手段と、
を備えることを特徴とする光通信装置。
【0079】
(付記2)
前記推定手段は、最新に前記波長判別手段により判別された第1の波長と、1つ前に前記波長判別手段により判別された又は前記推定手段により推定された前記所定種類の波長の何れかである第2の波長との関連性に基づいて、前記受光手段が受けた光の波長を前記所定種類の波長の何れかに推定することを特徴とする付記1に記載の光通信装置。
【0080】
(付記3)
前記推定手段は、最新に前記波長判別手段により判別された第1の波長が、前記第2の波長と、前記所定種類の波長である第3の波長との間である場合に、前記受光手段が受けた光の波長を前記第3の波長に推定することを特徴とする付記2に記載の光通信装置。
【0081】
(付記4)
前記推定手段は、波長帯域毎に前記受光手段が受けた光の波長を前記所定種類の波長の何れかに推定することを特徴とする付記2に記載の光通信装置。
【0082】
(付記5)
所定の受光期間に受けた光の波長を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別された波長が所定種類の波長でない場合に、受けた光の波長を前記所定種類の波長の何れかに推定する推定手段と、
を備えることを特徴とする光推定装置。
【0083】
(付記6)
通信対象の情報に応じて所定周期で所定種類の波長に変化する光を所定の受光期間で受ける受光ステップと、
前記受光ステップにおいて受けた光の波長を判別する波長判別ステップと、
前記波長判別ステップにおいて判別された波長が前記所定種類の波長でない場合に、前記受光ステップにおいて受けた光の波長を前記所定種類の波長の何れかに推定する推定ステップと、
を含むことを特徴とする光通信方法。
【0084】
(付記7)
コンピュータを、
通信対象の情報に応じて所定周期で所定種類の波長に変化する光を所定の受光期間で受ける受光手段、
前記受光手段により受けた光の波長を判別する波長判別手段、
前記波長判別手段により判別された波長が前記所定種類の波長でない場合に、前記受光手段が受けた光の波長を前記所定種類の波長の何れかに推定する推定手段、
として機能させるプログラム。