(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記消費電力算出部は、勾配当たりの前記電気自動車の消費電力の情報及び勾配当たりの前記電気自動車の回生エネルギー生成量の情報を更に用いて前記消費電力を算出する、請求項1に記載の経路案内装置。
前記消費電力算出部により算出された消費電力が前記二次電池の蓄電量より多い場合、目的地に到達するために必要な電力削減量を算出する電力削減量算出部をさらに備える、請求項1に記載の経路案内装置。
前記所定の目的地は複数であり、前記消費電力提示部は、該複数の目的地の内、前記電気自動車の消費電力が少ない目的地までの経路を提示する、請求項8に記載の経路案内装置。
前記消費電力算出部は、前記電気自動車に設けられる機器の消費電力量を考慮して、前記経路探索部が探索した経路を目的地まで走行する際の前記電気自動車の消費電力を算出する、請求項1に記載の経路案内装置。
前記消費電力算出部は、前記機器が消費する消費電力量の変化を検知した場合に、前記経路探索部が探索した経路を目的地まで走行する際の前記電気自動車の消費電力を再計算する、請求項11に記載の経路案内装置。
前記消費電力算出部は、前記電気自動車の積載量を考慮して、前記経路探索部が探索した経路を目的地まで走行する際の前記電気自動車の消費電力を算出する、請求項1に記載の経路案内装置。
前記消費電力算出部は、前記電気自動車の積載量を考慮する際に、前記電気自動車の乗車人数を考慮して前記経路探索部が探索した経路を目的地まで走行する際の前記電気自動車の消費電力を算出する、請求項13に記載の経路案内装置。
前記消費電力算出部は、前記電気自動車が走行する際の外部環境を考慮して、前記経路探索部が探索した経路を目的地まで走行する際の前記電気自動車の消費電力を算出する、請求項1に記載の経路案内装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存のカーナビゲーションシステムは、ガソリンを動力源として駆動する自動車のために設計・開発されたものが殆どである。今後、二酸化炭素の排出量削減を目的として、二次電池のみで駆動する電気自動車の普及が進むことが予想されており、カーナビゲーションシステムも電気自動車に適合するものが求められる。
【0005】
電気自動車には電力消費の少ない走行が求められており、バッテリの充電状況や、最寄りの充電ステーション等の位置によっては、ドライバーは、所要時間が短い経路より、消費電力が少ない経路での走行を選択したい場合が考えられる。しかし、従来のカーナビゲーションシステムでは、目的地まで走行する際の消費電力が少なく済む経路の探索という概念は取り入れられていない。
【0006】
そして、単位距離当たりの電気自動車の電力消費量は予め知ることができるが、消費電力が少ない経路の導出の際に、走行経路の勾配の有無や、走行時に電気自動車の走行以外に用いられる電力を考慮しなければならない。特に、目的地までの走行経路中に勾配がある場合に、上り坂であれば電力の消費が増加し、下り坂であれば回生エネルギーが得られるので、同じ距離を走行する場合であっても平坦な道を走行する場合とは異なる消費電力量となる。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、二次電池によって駆動される電気自動車によって目的地までの経路を走行する際にその電気自動車で消費される電力を算出し、算出結果をドライバーに提示することが可能な、新規かつ改良された経路案内装置、経路案内方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、車両の内部に備えられる二次電池に蓄えられた電力で推進する電気自動車によって所定の目的地へ向かう経路を1以上探索する経路探索部と、前記経路探索部が探索した経路を前記電気自動車によって目的地まで走行する際の該電気自動車の消費電力を、該電気自動車の走行の際の消費する電力の情報及び該経路に関する地理的情報に基づいて算出する消費電力算出部と、を備える、経路案内装置が提供される。
【0009】
上記経路案内装置は、道路の勾配情報が記録される記録部と、勾配当たりの前記電気自動車の消費電力の情報、及び勾配当たりの前記電気自動車の回生エネルギー取得量の情報を保持する電力情報保持部と、をさらに備え、前記消費電力算出部は、前記記録部に記録された前記勾配情報及び前記電力情報保持部に保持されている前記情報を用いて消費電力を算出するようにしてもよい。
【0010】
上記経路案内装置は、前記消費電力算出部が算出した消費電力と合わせて前記経路探索部が探索した経路が提示される消費電力提示部をさらに備えていてもよい。
【0011】
前記消費電力提示部は、前記経路探索部が探索した経路の内、目的地まで走行する際の前記電気自動車の消費電力が最も少ない経路を提示するようにしてもよい。
【0012】
前記所定の目的地は複数であり、前記消費電力提示部は、該複数の目的地の内、前記電気自動車の消費電力が少ない目的地までの経路を提示するようにしてもよい。
【0013】
前記消費電力算出部は、前記電気自動車に設けられる機器の消費電力量を考慮して、前記経路探索部が探索した経路を目的地まで走行する際の前記電気自動車の消費電力を算出してもよい。また、前記消費電力算出部は、前記機器が消費する消費電力量の変化を検知した場合に、前記経路探索部が探索した経路を目的地まで走行する際の前記電気自動車の消費電力を再計算するようにしてもよい。
【0014】
前記消費電力算出部は、前記電気自動車の積載量を考慮して、前記経路探索部が探索した経路を目的地まで走行する際の前記電気自動車の消費電力を算出するようにしてもよい。
【0015】
前記消費電力算出部は、前記電気自動車の積載量を考慮する際に、前記電気自動車の乗車人数を考慮して前記経路探索部が探索した経路を目的地まで走行する際の前記電気自動車の消費電力を算出するようにしてもよい。
【0016】
前記消費電力算出部は、前記電気自動車が走行する際の外部環境を考慮して、前記経路探索部が探索した経路を目的地まで走行する際の前記電気自動車の消費電力を算出するようにしてもよい。
【0017】
前記消費電力算出部は、前記二次電池の残量が所定量以下である場合に、前記電気自動車の消費電力が少なく済む経路を優先して探索するようにしてもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、車両の内部に備えられる二次電池に蓄えられた電力で推進する電気自動車によって所定の目的地へ向かう経路を1以上探索する経路探索ステップと、前記経路探索ステップが探索した経路を前記電気自動車によって目的地まで走行する際の該電気自動車の消費電力を、該電気自動車の走行の際の消費する電力の情報及び該経路に関する地理的情報に基づいて算出する消費電力算出ステップと、を備える、経路案内方法が提供される。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに、車両の内部に備えられる二次電池に蓄えられた電力で推進する電気自動車によって所定の目的地へ向かう経路を1以上探索する経路探索ステップと、前記経路探索ステップが探索した経路を前記電気自動車によって目的地まで走行する際の該電気自動車の消費電力を、該電気自動車の走行の際の消費する電力の情報及び該経路に関する地理的情報に基づいて算出する消費電力算出ステップと、を実行させる、コンピュータプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、二次電池によって駆動される電気自動車によって目的地までの経路を走行する際にその電気自動車で消費される電力を算出し、算出結果をドライバーに提示することが可能な、新規かつ改良された経路案内装置、経路案内方法及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.電気自動車の構成]
[1−2.ナビゲーションシステムの動作]
<2.まとめ>
【0024】
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.電気自動車の構成]
まず、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム100が搭載される電気自動車10の構成を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム100が搭載される電気自動車10の構成を示す説明図である。以下、
図1を用いて電気自動車10の構成について説明する。
【0025】
図1に示したように、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム100が搭載される電気自動車10は、制御部11と、充放電管理部12と、二次電池からなるバッテリ13と、モータやインバータ等からなる駆動処理部14と、エアーコンディショナー(エアコン)やカーオーディオ等からなる電力消費機器15と、車輪等からなる駆動部16と、ナビゲーションシステム100と、を含んで構成される。
【0026】
そして、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム100は、ナビゲーション制御部110と、メモリ120と、経路探索部130と、記録部140と、現在地取得部150と、表示部160と、入力部170と、通信部180と、を含んで構成される。
【0027】
制御部11は、電気自動車10の全体の動作を制御するものである。例えば、ドライバーがアクセルペダル(図示せず)を踏んだ場合には、充放電管理部12、駆動処理部14を介して駆動部16に加速指示を伝達し、ドライバーがブレーキペダル(図示せず)を踏んだ場合には、充放電管理部12、駆動処理部14を介して駆動部16に減速指示を伝達する。また、ドライバーがステアリング(図示せず)を切った場合には、そのステアリング操作に応じて駆動部16に対して車輪の向きを変化させる指示を伝達する。
【0028】
また、制御部11はナビゲーションシステム100の動作も制御する。例えば、ドライバーからナビゲーションシステム100の起動指示があれば、制御部11はナビゲーションシステム100を起動する。ナビゲーションシステム100が起動されると、その後は、ナビゲーションシステム100はナビゲーション制御部110の制御により動作する。
【0029】
充放電管理部12は、バッテリ13の充電・放電を管理するものである。バッテリ13を充電する際には、図示せぬ接続プラグを介して外部から電力が供給され、これを受電した充放電管理部12からバッテリ13に電力を供給し、バッテリ13は充放電管理部12からの電力の供給を受けることで充電される。バッテリ13に蓄えられた電力を用いて駆動部16を駆動させる際には、充放電管理部12は制御部11の制御によってバッテリ13の電力を駆動処理部14に供給し、電力の供給を受けた駆動処理部14は駆動部16を駆動させる。また、バッテリ13からは、必要に応じて上記接続プラグを介し、外部に電力を放出してもよい。
【0030】
バッテリ13は上述したように二次電池からなり、電気自動車10を所定の時間連続して駆動できる程度の十分な容量を有している。バッテリ13として用いることができる二次電池として、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池、NAS電池(ナトリウム・硫黄電池)などがあるが、現在使用可能な蓄電池だけでなく、将来電気自動車の動力源として利用可能になるであろういかなる畜電池であっても良い。
【0031】
駆動処理部14は、上述したようにモータやインバータ等からなり、駆動部16を駆動させるためのものである。駆動処理部14は、バッテリ13に蓄えられた電力を動力源とするものであり、電気自動車10の走行時にはバッテリ13から電力の供給を受けて駆動部16を駆動させる。また、下り坂を走行したり、踏み込んでいたアクセルペダルをリリースしたり、ブレーキを踏んだ時など、モータを利用して回生エネルギーを回収し、充放電管理部12を介してバッテリ13に充電するようにしても良い。
【0032】
電力消費機器15は、上述したようにエアーコンディショナーやカーオーディオ等からなり、制御部11の制御の下、バッテリ13に蓄えられた電力により動作するものである。従って、電力消費機器15が動作している間はバッテリ13に蓄えられた電力も徐々に減少していくことになる。
【0033】
駆動部16は、上述したように車輪等からなり、駆動処理部14によって駆動されることで電気自動車10を推進するものである。
【0034】
続いてナビゲーションシステム100の各部について説明する。ナビゲーション制御部110は、ナビゲーションシステム100の動作を制御するものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)からなるものである。ナビゲーション制御部110は、例えばメモリ120に格納されているコンピュータプログラムを読み出して順次実行することで、ナビゲーションシステム100の動作を制御してもよい。本実施形態では、ナビゲーション制御部110は、後述の経路探索部130が探索した経路を電気自動車10で走行する際の消費電力を算出する機能を有する。
【0035】
メモリ120は、ナビゲーションシステム100の動作に用いられるコンピュータプログラムや各種データを格納しておくものである。メモリ120には、各種データとして、例えば単位電力当たりの電気自動車10の走行距離の情報、勾配当たりの電気自動車10の消費電力の情報、勾配当たりの回生エネルギー生成量の情報等が格納される。これらの情報は、経路探索部130での経路探索処理に用いられる。なお、単位電力当たりの電気自動車10の走行距離の情報が、勾配が無かった場合の勾配当たりの電気自動車10の消費電力の情報と合致する場合、単位電力当たりの電気自動車10の走行距離の情報は特段格納しておかなくても良い。
【0036】
メモリ120に格納される勾配当たりの消費電力や回生エネルギー生成量の情報は、勾配角度ごとに全て予め求めていてもよく、代表的な角度についてのデータを求めていてもよい。代表的な角度についての消費電力や回生エネルギー生成量の情報をメモリ120に格納する場合には、それ以外の角度の情報についてはナビゲーション制御部110が補間により求めるようにしてもよい。
【0037】
経路探索部130は、ナビゲーション制御部110の制御のもと、メモリ120に格納された情報や、記録部140に記録されている地図情報・勾配情報を用いて、現在地から、電気自動車10のドライバーが指定した目的地までの経路を探索するものである。経路探索部130が探索した経路の情報は、地図情報と共に表示部160に表示される。電気自動車10のドライバーは、表示部160に表示された経路を参照して電気自動車10を目的地まで運転することができる。
【0038】
また、経路探索部130は、経路の探索処理の際に、通信部180により取得した渋滞情報を用いてもよい。通信部180により取得した渋滞情報を用いることで、経路探索部130は渋滞を回避する経路を探索して電気自動車10のドライバーに提示することができる。
【0039】
記録部140は、経路探索部130による経路探索処理に用いられる情報が格納されるものである。上述したように、記録部140には、地図情報や勾配情報が格納される。勾配情報は、例えば所定の2点間で何度上昇するか、または下降するかについての情報である。
【0040】
経路探索部130は、ナビゲーション制御部110の制御のもと、現在地から目的地までの経路を探索する際に、記録部140に格納されている経路の勾配情報を考慮に入れて探索処理を実行する。これにより経路探索部130は、現在地から目的地までの経路を探索する際に、単に距離が短い経路や、所要時間が短い経路だけでなく、電気自動車10の消費電力が少ない経路を探索して電気自動車10のドライバーに提示することができ、ドライバーの経路選択の幅を広げることが可能となる。
【0041】
現在地取得部150は、例えばGPS(Global Positioning System)衛星との通信によって現在地の緯度・経度を随時取得するものである。現在地取得部150が取得した現在地の情報は表示部160に表示される地図情報に重畳して表示される他、経路探索部130での経路探索処理に用いられる。
【0042】
表示部160は、ナビゲーションシステム100による経路探索処理に関する種々の情報が表示されるものである。表示部160は、例えば液晶ディスプレイであってもよく、有機ELディスプレイであってもよく、その他のディスプレイデバイスであってもよい。表示部160に表示される情報としては、例えば現在地取得部150により取得した現在地の周辺の地図、目的地周辺の地図、現在地から目的地までの経路及び当該経路によって目的地まで走行する際の予想消費電力、目的地の到着予定時刻等がある。
【0043】
入力部170は、電気自動車10のドライバーが入力操作を行うインプットデバイスである。電気自動車10のドライバーは、入力部170を操作することで、目的地の入力、経路探索部130が探索して表示部160に表示された経路の選択等を行うことができる。
【0044】
通信部180は、外部のサーバと無線による通信を実行するものである。通信部180は、外部のサーバから、経路探索部130による経路の探索処理に関する種々の情報を受信してナビゲーション制御部110に送る。経路の探索処理に関する種々の情報としては、例えば道路の渋滞情報や工事情報等の他、更新された新しい地図情報等がある。経路探索部130は、通信部180が受信した経路の探索処理に関する種々の情報を用いて経路の探索処理を実行することで、渋滞や道路工事の箇所を回避した経路を探索することができる。
【0045】
なお、ナビゲーションシステム100は、内蔵のバッテリ(図示せず)から電力の供給を受けて動作するようにしてもよく、バッテリ13から電力の供給を受けて動作するようにしてもよい。
【0046】
また、入力部170はタッチパネルであってもよく、その場合には、ナビゲーションシステム100は、表示部160の全面にタッチパネルデバイスを設け、表示部160と入力部170とが一体となった構成を備えていてもよい。
【0047】
図1に示した電気自動車10は、動力源としてバッテリ13のみを用いて推進するものである。従って、電気自動車10の運転時にはバッテリ13の容量を考慮する必要があり、なるべく消費電力が少なく済むような経路での走行が求められる。従って、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム100は、電気自動車10の消費電力が少なく済む経路を優先して探索し、探索した経路をドライバーに提示する。電気自動車10のドライバーは、ナビゲーションシステム100が提示した、消費電力が少なく済む経路を選択することで、電気自動車10を効率よく走行させることが出来る。
【0048】
以上、
図1を用いて、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム100が搭載される電気自動車10の構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム100の動作について説明する。
【0049】
[1−2.ナビゲーションシステムの動作]
本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム100は、目的地への経路を探索する際に、従来の距離を優先して探索する処理や所要時間を優先して探索する処理に加え、電気自動車10の消費電力が少なく済む経路を優先して探索する処理を実行する。そして、電気自動車10の消費電力が少なく済む経路を優先して探索する際には、ナビゲーションシステム100は、経路中の勾配の情報を考慮に入れる。
【0050】
上述したように、電気自動車10は、上り坂を走行する場合には、平坦な道を走行する場合に比べて、同じ距離を走行する際の消費電力が増加し、また下り坂を走行する場合には、惰性により消費電力が少なく済むだけでなく、ドライバーのブレーキ操作による回生エネルギーが得られるので、電気自動車10の走行距離を伸ばすことが出来る。
【0051】
図2〜
図4は、電気自動車10の電力消費と勾配との関係を模式的に示す説明図である。以下、
図2〜
図4は、電気自動車10の電力消費と勾配との関係について説明する。
【0052】
図2は、電気自動車10が下り坂を走行する場合の、電気自動車10の電力消費と勾配との関係を示している。このように、電気自動車10が下り坂を走行する場合には、惰性により消費電力が少なく済むだけでなく、ドライバーのブレーキ操作による回生エネルギーが得られ、結果的に電気自動車10の走行可能距離が伸びることになる。
【0053】
一方、
図3は、電気自動車10が上り坂を走行する場合の、電気自動車10の電力消費と勾配との関係を示している。このように、電気自動車10が上り坂を走行する場合には、平坦な道を走行する場合に比べて、同じ距離を走行する際の消費電力が増加し、結果的に電気自動車10の走行可能距離が短くなってしまう。
【0054】
また、上り坂の勾配によっても電気自動車10の電力消費に与える影響が変化する。
図4は、電気自動車10が上り坂を走行する場合の、電気自動車10の電力消費と勾配との関係を示している。
図4に示したように、上り坂の勾配が急であればある程、上り坂を走行するために多くの電力を要することになり、電気自動車10の走行可能距離がさらに短くなってしまう。
【0055】
従って、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム100は、電気自動車10の消費電力が少なく済む経路を優先して探索する際に、メモリ120に記録されている、勾配当たりの電気自動車10の電力消費量の情報と、記録部140に記録されている勾配情報とを用いる。これにより、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム100は、目的地まで走行する際の消費電力が最も少ない経路を探索してドライバーに提示することが出来る。
【0056】
図5は、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム100の動作を示す流れ図である。以下、
図5を用いて本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム100の動作について説明する。
【0057】
電気自動車10のドライバーがナビゲーションシステム100に対して、入力部170を用いて任意の目的地までの経路の探索指示を与えると、ナビゲーション制御部110は、現在地取得部150が取得した現在地から、入力部170によって指定された目的地までの経路の探索を経路探索部130に対して指示する。
【0058】
ナビゲーション制御部110から経路探索指示を受けた経路探索部130は、現在地から目的地までの経路を、記録部140に記録されている地図情報の中から探索する(ステップS101)。現在地から目的地までの経路は、1つの場合もあるが、通常は現在地から目的地までの間に1以上の分岐点が存在するので、経路探索部130は可能な限り多くの経路を記録部140に記録されている地図情報の中から探索する。
【0059】
なお、現在地から目的地までの経路を探索する際には、経路探索部130は、あまりに遠回りとなる経路や、道幅が狭い道路が含まれる経路は除外するようにしてもよい。また経路探索部130が探索する経路の数は予め決められていてもよい。この現在地から目的地までの経路自体の探索処理については、既存の経路探索処理についての技術を用いてもよい。
【0060】
経路探索部130が現在地から目的地までの経路を探索すると、続いて探索した目的地までの経路の勾配情報を、記録部140に記録されている分岐点間の勾配情報を用いて取得する(ステップS102)。このステップS102の処理により、経路探索部130は、上記ステップS101で探索した各経路における勾配情報を得ることができる。
【0061】
経路探索部130が、現在地から目的地までの経路及び各経路における勾配情報を取得すると、続いて、ナビゲーション制御部110は、経路探索部130が記録部140から取得した経路及び勾配の情報から、それぞれの経路の走行に必要な電力消費量を概算する(ステップS103)。ナビゲーション制御部110が概算した、それぞれの経路の走行に必要な電力消費量の情報は経路探索部130に送られる。
【0062】
このステップS103で、ナビゲーション制御部110が各経路の走行に必要な電力消費量を算出する際には、メモリ120に格納されている、単位電力当たりの走行量、勾配当たりの電力消費量または回生エネルギー生成量を用いる。ナビゲーション制御部110は、メモリ120に格納されているこれらの情報を参照することで、経路探索部130が探索した各経路を走行する際の電力消費量を概算することができる。
【0063】
なお、上述したように、現在地から目的地までの経路を探索する際には、経路探索部130は、あまりに遠回りとなる経路や、道幅が狭い道路が含まれる経路は除外するようにしてもよい。従って、上記ステップS103で電力消費量を概算した結果、必ずしも電力消費量が最も少なくならない経路が上記ステップS101で選択される場合もある。
【0064】
このナビゲーション制御部110での電力消費量の概算に際しては、経路中の道路の法定速度、電気自動車10の走行速度、渋滞情報その他の外部からの情報等を用いて、現在地から目的地まで走行する際の走行時間を概算で求め、走行中に電力消費機器15が消費する電力量を計算し、その電力量を、目的地まで走行する際に必要な電力消費量に反映してもよい。これにより経路探索部130は、例えば、経路中の勾配が緩く、少ない消費電力で走行することが出来る経路であっても、走行時間が長いために電力消費機器15の消費電力が増加し、全体として電力消費量が他の経路に比べて多くなるような経路を求めることができる。
【0065】
目的地までの走行前に、または目的地への走行途中で、バッテリ13の蓄電量が不足することが想定される場合、ナビゲーション制御部110は、表示部160に警告を出すようにしてもよく、または、ナビゲーション制御部110は、目的地に到達するために必要な削減電力量を計算し、電力の削減を達成するのに必要な処置を表示部160に提示したり、電力消費機器15の動作を自動調整したりしてもよい。電力の削減を達成するのに必要な処置としては、例えば電力消費機器15の動作制御、すなわちエアコンのオフ、エアコンの温度調整、AV機器のオフなどであってもよい。
【0066】
走行中に電力消費機器15が消費する電力量を目的地まで走行する際に必要な電力消費量に反映する場合には、ナビゲーション制御部110は、何をすれば電気自動車10の消費電力量を削減出来るかについての情報を表示部160に表示するようにしてもよい。そのような情報には、例えば、エアコンの温度の変化またはエアコンの使用停止、カーオーディオの使用停止等がある。
【0067】
ナビゲーション制御部110は、走行中に電力消費機器15が消費する電力量が変化した場合、その結果を反映して再度経路探索をやり直すようにしても良い。電力量が変化する場合とは、エアコンのオン、オフ、温度調整、カーオーディオの使用・停止、乗車人数の変化、積載重量の変化などである。乗車人数の変化は座席に設けられたセンサ等で検出するようにしても良い。積載重量の変化は、車載重量を計測するセンサを利用して検出しても良い。
【0068】
上記ステップS103で、ナビゲーション制御部110が、探索したそれぞれの経路の走行に必要な電力消費量を概算すると、経路探索部130が探索した経路、それぞれの経路の走行距離、及びナビゲーション制御部110が概算したそれぞれの経路の走行に必要な電力消費量の情報を表示部160に送り、表示部160に表示する(ステップS104)。
【0069】
ここで、表示部160への表示に際しては、ナビゲーション制御部110は、上記ステップS101で探索したすべての経路及びその経路に関する情報を表示してもよく、条件に最も適する、すなわち消費電力が最も少なく済む経路及びその経路に関する情報のみを表示してもよい。
【0070】
図6は、ナビゲーションシステム100の表示部160に表示される画面の一例を示す説明図である。
図6に示した画面は、ドライバーが入力部170を操作して目的地を入力した状態を示したものである。
【0071】
図6には、表示部160に、電気自動車10の現在地を示す現在地アイコン161と、ドライバーが入力部170を操作して入力した目的地を示す目的地アイコン163と、が表示された状態が示されている。もちろんそれぞれのアイコンの形状は
図6に示したものに限られないことは言うまでもない。
【0072】
ドライバーの入力部170の操作によって目的地が指定されると、上述したような処理によって、ナビゲーションシステム100は現在地から目的地までの経路を探索して表示部160に表示する。
【0073】
図7は、ナビゲーションシステム100の表示部160に表示される画面の一例を示す説明図である。
図7に示した画面は、経路探索部130によって、現在地から目的地までの経路が探索され、表示部160に表示された状態を示している。そして
図7には、現在地アイコン161から目的地アイコン163までの経路を表す経路情報162a、162bが示されている。
【0074】
図7を参照すれば、現在地から目的地までの距離が短いのは、経路情報162aで示された経路である。しかし、
図7に示したA点とB点との間の勾配がきついので、経路情報162aで示された経路によって現在地から目的地まで走行すると、経路情報162bで示された経路によって現在地から目的地まで走行した場合に比べて消費電力が多くなる場合には、電気自動車10のドライバーは経路情報162bで示された経路を選択した方が効率よく走行出来る。また、通信部180を介して入手した道路渋滞情報により、経路162aを走行するより、経路162bを走行する方が早く到達する場合で、電力消費機器15の電力消費量を加味すると、経路162aを走行するより、経路162bを走行した方が、バッテリ13の消費電力が少なくなる場合には、電気自動車10のドライバーは経路情報162bで示された経路を選択した方が効率よく走行出来る。
【0075】
そのためナビゲーション制御部110は、例えば
図7に示したように、現在地から目的地まで走行する場合の距離や消費電力等の走行情報を表示するための走行情報表示部166を、表示部160に表示してもよい。
図7に示した例では、それぞれの経路を走行する際の現在地から目的地までの距離、及び目的地まで走行する際の消費電力量が走行情報表示部166に表示されている。
【0076】
このように、走行情報表示部166に各種走行情報を表示することで、ナビゲーションシステム100は、電気自動車10のドライバーに対して、どの経路を走行すれば目的地に早く到着出来るかだけではなく、どの経路を走行すれば電力消費量が最も少なく済むかについての情報を提示することができる。
【0077】
なお、電気自動車10のドライバーが電気自動車10を運転している間は、時々刻々とバッテリ13に蓄えられている電力が消費される。従って、走行中は所定の間隔でバッテリ13が消費した電力を、上記ステップS103で概算した消費電力量に反映させるようにしても良い。
【0078】
以上、
図5を用いて本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム100の動作について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム100の別の動作例について説明する。
【0079】
上述した説明では、電気自動車10のドライバーは、予め決めた目的地をナビゲーションシステム100に入力することでナビゲーションシステム100に目的地までの経路を探索させる場合について示した。しかし、電気自動車10のドライバーは、ある条件に合致する目的地及びその目的地までの経路をナビゲーションシステム100に探し出させたい場合もある。例えば、電気自動車10のドライバーが、現在地の近くにある充電施設(充電ステーション)を探したいような場合である。特に、バッテリ13の残量が少ない場合には、なるべく電力を消費せずに充電ステーションに辿り着けることが望ましい。
【0080】
このような場合、ナビゲーションシステム100は入力された条件に合致する目的地を、記録部140に記録されている地図情報の中から抽出すると共に、その目的地までの経路を探索して表示部160に表示してもよい。そしてナビゲーションシステム100は、表示部160へそれぞれの目的地まで走行する際の走行距離、電力消費量等の情報を表示してもよい。
【0081】
図8は、ナビゲーションシステム100の表示部160に表示される画面の一例を示す説明図である。
図8に示した画面は、経路探索部130によって、現在地から、電気自動車10のドライバーが指定した条件に合致する目的地までの経路が探索され、表示部160に表示された状態を示している。
【0082】
図8には、現在地を示す現在地アイコン161と、経路探索部130が探索した目的地を示す目的地アイコン164、165と、現在値から目的地までの経路を示す経路情報162c、162dと、が表示部160に表示されている状態を示したものである。ここで、目的地アイコン164、165が指し示す目的地は、いずれも電気自動車10のバッテリ13を充電することができる充電ステーションであるとして説明する。
【0083】
図8から分かるように、現在値から目的地までの道程は、目的地アイコン164が示す目的地の方が短い。しかし、目的地まで走行する際の消費電力量は、目的地アイコン165が示す目的地の方が少ない場合がある。それは、経路情報162cで示されている経路には途中上り坂があり、経路情報162dで示されている経路には途中下り坂があるような場合である。電気自動車10のバッテリ13の容量が少なくなり、なるべく消費電力を少なくして走行したいとドライバーが考えた場合には、経路情報162dで示されている経路に従って、目的地アイコン165が示す目的地に向かった方が良いときがある。このようにナビゲーションシステム100は、ドライバーに対して消費電力が少なく済む目的地を探索して提示することで、電気自動車10のドライバーに対して様々な経路の選択肢を与えることができる。
【0084】
<2.まとめ>
以上説明したように本発明の一実施形態に係るナビゲーションシステム100によれば、現在値から目的地までの経路を探索する場合に、従来の時間を優先した経路探索、距離を優先した経路探索に加え、電力消費量の少ないものを優先した経路探索を実行することが出来る。
【0085】
本発明の一実施形態に係るナビゲーションシステム100には、道路情報に加えて道路の勾配情報が保持される。勾配の角度により、電気自動車10がどの程度電力を消費するか、またはどの程度の回生エネルギーを得られるかを予め測定しておき、測定結果をメモリ120に保持しておく。
【0086】
電気自動車10のドライバーがナビゲーションシステム100へ目的地を指示すると、経路探索部130は指示された目的地までの経路を探索するが、経路を探索する際には、従来の時間を優先した探索や走行距離を優先した探索に加え、目的地まで走行する際の電力消費量が少ない経路を優先した探索も実行する。目的地まで走行する際の電力消費量はナビゲーション制御部110が算出する。ナビゲーション制御部110は、この際に勾配当たりの電力消費量または回生エネルギー生成量の情報を用いた消費電力量の算出処理を実行する。このように目的地までの経路を探索することで、ドライバーに対して、電気自動車10の電力消費量が少なく済む経路を提示することができる。
【0087】
そしてナビゲーション制御部110は、目的地まで走行する際の電力消費量に、到達予想時間と現在使用している車内機器の単位時間当たりの消費電力量とから計算される、電気自動車10の車内の電力消費機器15の消費電力量を加算する。電力消費機器15の消費電力量を加算することで、ナビゲーション制御部110は目的地まで走行する際の、より正確な電力消費量を求めることができる。
【0088】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0089】
例えば、上記実施形態では、ナビゲーションシステム100の内部に、単位電力当たりの電気自動車10の走行量や、勾配当たりの電気自動車10の電力消費量の情報が格納されるメモリを備える構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、ナビゲーションシステム100の外部であって電気自動車10の内部に、単位電力当たりの電気自動車10の走行量や、勾配当たりの電気自動車10の電力消費量の情報が格納されるメモリその他の記録媒体を備え、経路探索の際に、ナビゲーションシステム100が当該記録媒体から情報を読み出すようにしてもよい。
【0090】
また例えば、電気自動車10のドライバー等が、電力消費機器15を操作することで電気自動車10の消費電力量が変化した場合(例えば電気自動車10のドライバー等がエアコンを付けた場合、エアコンの温度を変えた場合、乗車人数が変化した場合、積載重量が変化した場合等)には、ナビゲーション制御部110はその時点で目的地まで走行する際の電気自動車10の消費電力量を再計算しても良い。そして、再計算の結果、最も消費電力が少なく済む経路が変化した場合には、ナビゲーション制御部110は、変化後の経路を表示部160に表示するようにしてもよい。
【0091】
また例えば、ナビゲーション制御部110は、目的地まで走行する際の電力消費量を算出する際に、日時、天候、外気温その他の外部環境を考慮しても良い。すなわち、雨が降っていればワイパーを使用しなければいけないので、ナビゲーション制御部110は、そのワイパーの使用文を考慮して電力消費量を多めに見積もって目的地まで走行する際の電力消費量を算出してもよい。また例えば、気温が高い場合にはエアコンを使用すると考えられるので、ナビゲーション制御部110は、そのエアコンの使用分を考慮して電力消費量を多めに見積もって目的地まで走行する際の電力消費量を算出してもよい。
【0092】
また例えば、ナビゲーション制御部110は、電気自動車10の積載量を考慮して電力消費量を算出してもよい。電気自動車10の積載量によって電気自動車10の電力消費量も変化するからである。電気自動車10の積載量を考慮した電力消費量の算出の一例として、電気自動車10の乗車人数を考慮した算出方法がある。例えば、電気自動車10のドライバーがナビゲーションシステム100へ目的地を指定する際に、電気自動車10の乗車人数も併せて入力する。ナビゲーション制御部110は、大人が何人乗っているか、子供が何人乗っているか、をドライバーに入力させるようにしても良い。電気自動車10の乗車人数を入力させることで、ナビゲーション制御部110は電気自動車10の大凡の積載量が把握できるので、電気自動車10の乗車人数に応じて目的地まで走行する際の電力消費量を算出することができる。なお、電気自動車10の乗車人数や積載重量を把握するために、電気自動車10の乗車人数をセンサで自動判定したり、電気自動車10の積載重量をセンサで自動計測したりしてもよい。
【0093】
また例えば、ナビゲーションシステム100は、経路を探索する際に、到着時間を優先するモードで探索するか、走行距離を優先するモードで探索するか、電気自動車10の電力消費量の少ないものを優先するモードで探索するか、を選択出来るようにしても良い。そしてナビゲーションシステム100は、どの要素を優先して探索するかを、バッテリ13の残量に応じて自動的に選択するようにしてもよい。例えば、バッテリ13の残量が所定量以下であれば、ナビゲーションシステム100は、電気自動車10の電力消費量の少ないものを優先するモードで経路の探索を行ってもよい。