(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0018】
(製造装置10)
まず、管状ベルトを製造する製造装置10の構成を説明する。
図1は、製造装置10の概略構成を示す概略図である。
【0019】
製造装置10は、
図1に示されるように、管状ベルトとなる樹脂Pを管状に押し出す押出装置12と、管状に押し出された管状体の一例としての樹脂F(以下、管状樹脂Fという)を引き取る引取装置40と、を備えている。以下、押出装置12及び引取装置40の具体的な構成について説明する。
【0020】
(押出装置12)
押出装置12は、一軸押出機20と、一軸押出機20の先端部に取り付けられた口金30と、を備えている。
【0021】
一軸押出機20は、ヒータ(図示省略)を有し樹脂Pを加熱する加熱筒22と、加熱筒22に設けられ樹脂Pが投入される投入口24と、加熱筒22の内部に設けられ溶融した樹脂Pを口金30へ搬送する搬送部材としてのスクリュー26と、を備えている。
【0022】
一軸押出機20では、投入口24から加熱筒22の内部に投入された樹脂Pが、加熱筒22のヒータ(図示省略)により、樹脂Pの融解温度以上の温度(例えば150〜450℃)で加熱かつスクリュー回転による発熱で溶融しつつ、スクリュー26によって口金30へ搬送(供給)されるようになっている。
【0023】
なお、樹脂Pとしては、例えば、熱可塑性樹脂と導電剤とを含み予め混錬された樹脂が用いられる。また、一軸押出機20では、例えば、粒状に形成された樹脂P(ペレット)が、投入口24に投入されるようになっている。
【0024】
口金30は、加熱筒22から溶融状態の樹脂Pが流入するダイ32と、ダイ32の内部に配置され円筒面34Aを有するニップル34と、を有している。ダイ32とニップル34との間には、ダイ32に流入された樹脂Pを管状に押し出すための環状(円形状)の押出口36が形成されている。
【0025】
口金30では、溶融状態の樹脂Pが、加熱筒22の先端部からダイ32の内部へ流入し、一軸押出機20のスクリュー26の回転による推進力(搬送力)によって、押出口36から管状に樹脂Pが押し出されるようになっている。
【0026】
(引取装置40)
引取装置40は、
図2及び
図3に示されるように、口金30から管状に押し出された管状樹脂Fの内周面に接触する中子42と、中子42を支持する支持部材44と、管状樹脂Fの外周面に接触する一対の引取アーム50(挟み部の一例)と、を有している。
【0027】
中子42は、円筒状に形成され、管状樹脂Fの内周面に接触する円筒面42Aを外周に有している。中子42は、円筒面42Aが管状樹脂Fの内周面に接触することで、管状樹脂Fを冷却する機能を有している。具体的には、中子42は、例えば冷媒等が支持部材44を介して中子42の内部を流通することで(図示省略)、管状樹脂Fの温度よりも低い温度に調整され、管状樹脂Fを冷却して硬化させる。
【0028】
支持部材44は、円柱状に形成されている。この支持部材44は、
図1に示されるように、押出口36の径方向内側で且つ押出口36と同軸にニップル34及びダイ32を貫通すると共に、ダイ32の上側及びニップル34の下側に突出するようにニップル34及びダイ32に固定されている。そして、支持部材44は、ニップル34の下側へ突出した部分が、中子42の内部に差し通されており、中子42を支持している。
【0029】
一対の引取アーム50は、
図2及び
図3に示されるように、中子42を間において対向して配置されている。各引取アーム50は、それぞれ、中子42の円筒面42Aに沿って湾曲した半円弧状の湾曲部52と、湾曲部52の外周面から径方向外側に突出するロッド54と、を有している。
【0030】
各引取アーム50の湾曲部52は、180度の範囲の円弧状とされており、各引取アーム50の湾曲部52の端面52B同士が接触することで、円形状をなす。これにより、一対の引取アーム50が、管状樹脂Fの全周において管状樹脂Fの外周面に接触する。
【0031】
引取装置40では、中子42の円筒面42Aが管状樹脂Fの内周面に接触すると共に、引取アーム50の湾曲部52の湾曲面52Aが管状樹脂Fの外周面に接触することで、管状樹脂Fを挟み込む。そして、管状樹脂Fを挟み込んだ状態で、引取アーム50が下方に移動することで管状樹脂Fを引き取る。
【0032】
また、一対の引取アーム50は、金属材料で構成されている。引取アーム50の湾曲面52A(内周面の一例)は、無負荷状態において、中子42の円筒面42Aに沿った形状を有している。すなわち、ゴム等の弾性材で構成され且つ中子42への押し付けにより中子42の円筒面42Aに沿った形状に弾性変形する引取部材(比較例)とは、引取アーム50は異なっている。
【0033】
また、各引取アーム50の湾曲面52Aは、鏡面加工がなされており、引取アーム50の湾曲面52Aの表面粗さRa(算術平均粗さ)は、0.4以下に設定されている。なお、表面粗さRa(算術平均粗さ)は、測定機(例えば、サーフコム(東京精密製))により、JIS B 0601−2001に準拠して測定される。
【0034】
さらに、中子42の直径(外径)R1と、引取アーム50の湾曲面52Aの直径(内径)R2との関係が以下の式を満たすことが望ましい。
0.02<(R2/R1−1)*100<10
【0035】
(R2/R1−1)*100の値が、0.02未満であると、管状樹脂Fを引き取った際に管状樹脂Fの膜厚が薄くなって、管状樹脂Fが破断する場合がある。
【0036】
また、(R2/R1−1)*100の値が、10を超えると、管状樹脂Fを引き取った際に管状樹脂Fの膜厚が厚くなることで、管状樹脂Fの収縮による中子42へ食いつきが大きくなりやすい。したがって、中子42の直径(外径)R1と、引取アーム50の湾曲面52Aの直径(内径)R2との関係が前述の式を満たすことで、管状樹脂Fの破断及び、管状樹脂Fの中子42への食いつきが生じにくく、管状樹脂Fが安定的に引き取られる。
【0037】
なお、一対の引取アーム50は、
図1に示されるように、ロッド54に接続された駆動機構58(移動部の一例)によって駆動されて、管状樹脂Fの外周面に対して接触及び離間する接離動作と、中子42の軸方向に沿って移動する移動動作と、を行うようになっている。具体的な接離動作及び移動動作については、後述する。
【0038】
(製造装置10を用いた管状ベルトの製造方法)
まず、一軸押出機20の投入口24から加熱筒22内部へ樹脂Pを投入し、当該樹脂Pをスクリュー26で搬送しながら、加熱筒22の複数のヒータ(図示省略)により、樹脂Pの融解温度以上の温度(例えば150〜450℃)に加熱して溶融状態にする(加熱工程)。
【0039】
次に、溶融状態の樹脂Pを、加熱筒22の内部のスクリュー26の推進力により、加熱筒22からダイ32の内部を通過させて、押出口36から管状に押し出す(押出工程)。
【0040】
次に、押出口36から管状に押し出された管状樹脂Fを、
図4に示されるように、中子42と一対の引取アーム50で挟むと共に、引取アーム50を下方へ移動させる。中子42によって管状樹脂Fを内周面側から冷却して硬化させると共に、管状樹脂Fに下方への張力を付与しながら管状樹脂Fを引き取る(引取工程)。
【0041】
なお、本製造方法では、上記の加熱工程、押出工程及び引取工程が、繰り返し実行され、管状樹脂Fが連続的に引き取られる。また、引取工程では、具体的には、下方へ移動した引取アーム50は、予め定められた位置で、
図5に示されるように、管状樹脂Fから離間する。そして、引取アーム50は、
図6に示されるように、管状樹脂Fから離間した状態で上方へ移動して、予め定められた位置で、
図1に示されるように、管状樹脂Fに接触する。このように、引取アーム50は、
図1、
図4〜
図6に示される接離動作及び移動動作を繰り返すことで、連続的に管状樹脂Fを引き取る。
【0042】
そして、引取装置40で引き取られた管状樹脂Fを切断することで、管状体としての管状ベルトが得られる。
【0043】
(本実施形態に係る作用)
本実施形態では、中子42の円筒面42Aと、引取アーム50の湾曲面52Aとで、管状樹脂Fを挟んで引き取る。このため、管状樹脂Fを円筒面と平面とで挟んで引き取る場合に比べ、管状樹脂Fの周方向において引き取り力のムラが小さい。これにより、管状樹脂Fを円筒面と平面とで挟んで引き取る場合に比べ、管状樹脂Fの周方向において残留応力のムラが小さくなり、引き取った管状樹脂Fの平面度の低下が抑制される。
【0044】
また、中子42の円筒面42Aに沿った引取アーム50の湾曲面52Aが、管状樹脂Fの外周に押し付けられるので、管状樹脂Fの周方向にわたり、ブツ(例えば、樹脂Pの成分が変質や凝集することで生成される異物)などが管状樹脂Fの内部に埋め込まれる。これにより、ブツが表出しにくく、管状樹脂Fの表面が平滑になる。
【0045】
また、本実施形態では、中子42の全周において、中子42の円筒面42Aと、引取アーム50の湾曲面52Aとで、管状樹脂Fを挟んで引き取る。このため、中子42の周方向の一部で管状樹脂Fを挟んで引き取る場合に比べ、管状樹脂Fが周方向の各部(各位置)で均一的に引っ張られるので、引き取った管状樹脂Fの平面度の低下が抑制される。
【0046】
さらに、本実施形態では、引取アーム50の湾曲面52Aの表面粗さRaが0.4以下に設定されている。このため、引取アーム50の湾曲面52Aの表面粗さRaが0.4を超える場合に比べ、引き取った管状樹脂Fの表面が平滑になる。
【0047】
また、本実施形態では、引取アーム50が下方へ移動しながら管状樹脂Fを引き取るため、管状樹脂Fの下方への流れに引取アーム50が追従する。これにより、管状樹脂Fの表面への筋の発生が抑制される。
【0048】
(第一変形例)
一対の引取アーム50に替えて、
図7に示される一対の引取アーム150を用いてもよい。
【0049】
各引取アーム150は、二層構造の湾曲部152を有している。この点で、引取アーム150は、引取アーム50と異なる。他の点では、引取アーム150は、引取アーム50と同様に構成されている。なお、
図7において、引取アーム50と同様に構成されている部分については、同一の符号を付している。
【0050】
湾曲部152は、具体的には、湾曲面152A(内周面の一例)を有する湾曲面層154(内周面層の一例)と、湾曲面層154の外周側に配置され湾曲面層154を加熱する加熱層156と、を有している。
【0051】
加熱層156は、例えば、面状ヒータで構成される。加熱層156は、例えば、ロッド54に配置された配線(図示省略)を通じて電力が供給されて加熱層156が湾曲面層154を加熱する。
【0052】
この構成では、管状樹脂Fの外周面を加熱しながら、中子42の円筒面42Aと、引取アーム50の湾曲面52Aとで、管状樹脂Fが挟まれる。
【0053】
そして、管状樹脂Fの外周面が加熱により軟化した状態で、中子42の円筒面42Aに沿った引取アーム150の湾曲面152Aが管状樹脂Fの外周に押し付けられるので、管状樹脂Fの周方向にわたり、ブツなどが管状樹脂Fに埋め込まれる。したがって、加熱層156を有さない引取アームで管状樹脂Fを引き取る場合に比べ、ブツが表出しにくく、管状樹脂Fの表面が平滑になる。
【0054】
なお、湾曲面152Aの接触により、管状樹脂Fの外周面が一時的に軟化するが、管状樹脂Fは、中子42の管状樹脂Fの内周面への接触により、冷却されて硬化されていく。
【0055】
(第二変形例)
一対の引取アーム50に替えて、
図8及び
図9に示される一対の引取アーム250を2組用いてもよい。
【0056】
各引取アーム250は、180度未満且つ90度以上の範囲の円弧状とされた湾曲部252を有している。この点で、引取アーム250は、引取アーム50と異なる。他の点では、引取アーム250は、引取アーム50と同様に構成されている。なお、
図8及び
図9において、引取アーム50と同様に構成されている部分については、同一の符号を付している。
【0057】
一対の引取アーム250の湾曲部252の湾曲面252Aが管状樹脂Fに接触した際に、湾曲部252の端面252B同士は接触せず、隙間Sが形成される構成とされている。
【0058】
一対の引取アーム250は、軸方向(上下方向)にずれて2組が配置されている。また、上側の一対の引取アーム250に対して、下側の一対の引取アーム250は、周方向に90度角変位した位置に配置されている。これにより、上側の一対の引取アーム250の隙間Sの下側に、下側の一対の引取アーム250が位置している。また、下側の一対の引取アーム250の隙間Sの上側に、上側の一対の引取アーム250が位置している。
【0059】
すなわち、管状樹脂Fは、軸方向にずれた位置ではあるが、中子42の円筒面42Aにおける周方向の全周において、中子42の円筒面42Aと引取アーム250の湾曲面252Aとで挟まれる。
【0060】
このように、中子42の円筒面42Aにおける周方向の全周において、中子42の円筒面42Aと、引取アーム250の湾曲面252Aとで、管状樹脂Fを挟んで引き取る。このため、中子42の周方向の一部で管状樹脂Fを挟んで引き取る場合に比べ、管状樹脂Fが周方向の各部(各位置)で均一的に引っ張られるので、引き取った管状樹脂Fの平面度の低下が抑制される。
【0061】
また、湾曲部252の端面252B同士が接触しなくてもよいので、引取アーム250の寸法や形状の精度が、緩和される。
【0062】
(他の変形例)
本実施形態では、引取アーム50、150、250は、一対で構成されていたが、これに限られない。中子42の周方向に3つ以上配置された引取アームで構成されていてもよい。
【0063】
本実施形態では、引取アーム50が、管状樹脂Fの全周において管状樹脂Fの外周面に接触する構成であったが、管状樹脂Fの全周において、管状樹脂Fの外周面に接触しない構成であってもよい。具体的には、例えば、各引取アーム50の湾曲部52が、180度よりも若干角度が小さい範囲の円弧状として構成される。この場合では、各引取アーム50の湾曲部52の端面52B同士は接触せず、端面52Bの間に若干の隙間が形成される。
【0064】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【実施例】
【0065】
以下に、本実施形態に係る実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0066】
<実施例1>
[樹脂ペレットAの作製]
熱可塑性樹脂としてポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂、T1881−3、東レ(株)社製)100質量部に対して、導電剤としてカーボンブラック(Printex alpha、オリオンエンジニアードカーボン社製)15質量部を配合し、溶融混練した。具体的には、溶融させた前述のPPS樹脂中に前述のカーボンブラックを配合し、二軸押出溶融混練機(二軸溶融混練押出機L/D60(パーカーコーポレーション社製))を用いて、溶融混練した。混練された溶融物を水槽中に入れて冷却固化し切断して、カーボンブラックの配合された混合樹脂ペレットAを得た。
【0067】
[管状体の製造]
一軸押出機20としての一軸溶融押出機(L/D24、溶融押出装置、三葉製作所社製)に、
図1および
図2に示す構成の口金30を組み込んだ押出装置12を準備する。
【0068】
前述の一軸溶融押出機の加熱温度を300℃に設定すると共に、投入口24から前述の樹脂ペレットAを投入して、口金30の押出口36から溶融樹脂を管状に押し出す。押し出された管状の管状樹脂を中子42と引取アーム50とで挟んで引き取り、その後、管状樹脂を予め定められた幅に切断して、管状ベルト100を得た。
【0069】
なお、実施例1では、中子42として、直径(外径)R1が160mmとされた中子を用いた。また、引取アーム50として、湾曲面52Aの直径(内径)R2が160.1mmとされ、幅(高さ方向長さ)400mmとされ、表面粗さRaが0.5とされた引取アームを用いた。
【0070】
中子42の直径(外径)R1と、引取アーム50の湾曲面52Aの直径(内径)R2とは、以下の関係を有する。
(R2/R1−1)*100=0.06
【0071】
<実施例2>
実施例2は、引取アーム50として、表面粗さRaが0.4とされた引取アームを用いた点を除いて、実施例1と同様とした。
【0072】
<実施例3>
実施例3は、前述の第一変形例における一対の引取アーム150を用いた点を除いて、実施例1と同様とした。引取アーム150の湾曲面層154の湾曲面152Aが300℃になるまで、加熱層156によって湾曲面層154を加熱した。
【0073】
なお、実施例3では、引取アーム150として、湾曲面152Aの直径(内径)R2が190.1mmとされ、幅(高さ方向長さ)400mmされ、表面粗さRaが0.4とされた引取アームを用いた。
【0074】
中子42の直径(外径)R1と、引取アーム50の湾曲面52Aの直径(内径)R2とは、以下の関係を有する。
(R2/R1−1)*100=0.06
【0075】
<比較例1>
比較例1では、実施例1における一対の引取アーム50に替えて、中子42を間において対向配置された一対の弾性ベルト(特許文献2におけるベルト31と同様)を用いた点を除いて、実施例1と同様とした。
【0076】
弾性ベルトは、ベルト幅200mm(中子42の直径よりも短い)、厚み10mm、周長1570mmとされており、管状樹脂Fの周方向の一部に接触する。なお、ベルト幅とは、中子42の軸方向視における円筒面42Aの接線方向に沿った長さである。
【0077】
<比較例2>
比較例2では、実施例1における一対の引取アーム50に替えて、中子42を間において対向配置された一対の弾性ゴムロール(特許文献1における外側ロール18bと同様)を用いた点を除いて、実施例1と同様とした。
【0078】
弾性ゴムロールは、ロール幅80mm(中子42の直径よりも短い)、直径50mmとされており、管状樹脂Fの周方向の一部に接触する。なお、ロール幅とは、中子42の軸方向視における円筒面42Aの接線方向に沿った長さである。
【0079】
[評価]
(管状ベルトの平面度)
図10に示されるように、2本の平行に配置されたロール502で管状ベルト100を支持し、管状ベルト100に対して張力F(F=19.6N)を作用させた状態とする。この状態で、2本のロール502間の中央502Cから距離200mmの2か所の位置502Dにおいて、ベルト幅全域に対してレーザ変位計(キーエンス社製LK−030)をベルト幅方向Xにスキャンさせる。
これにより、管状ベルト100の外周面とレーザ変位計との距離が測定され、ベルト幅方向Xにおける管状ベルト100の凹凸量の分布が得られる。管状ベルト100を周回させて、管状ベルト100における測定位置を変えることで、管状ベルト100の周方向の8か所で測定を行う。そして、得られた8か所の凹凸量の分布における最大値Maxと最小値Minの差分Δhを平面度とし、算出する。この算出の結果、以下のように、平面度をA、Bにて評価した。
A:Δh=1.5mm未満
B:Δh=1.5mm以上
なお、平面度が1.5mm以上の管状ベルトを転写ベルトとして使用した際は、画質濃淡に不良が発生した。
【0080】
(管状ベルトの表面観察)
管状ベルトの100mm×100mmの範囲において、約30μm以上の高さを有する表面凸(ブツ)の個数を目視にて計測する。この計測の結果、以下のように、A、B、Cにて評価した。
A:0個
B:1〜2個
C:2個以上
【0081】
(管状ベルト表面の幅方向(押出方向)の筋)
管状ベルトの表面を目視で観察し、筋の有無を判定する。
A:有
B:無
【0082】
(管状ベルト表面の平滑度(グロス))
グロス測定器(BYKガードナー・マイクロ−トリ−グロス)を用いて、管状ベルトの表面の60°グロスを5点測定し、その平均値を評価した。
A+:130以上
A:120以上130未満
B:100以上120未満
C:100未満
【0083】
[評価結果]
評価の結果、
図11の表に示されるように、実施例1、2、3では、平面度、表面観察、幅方向の筋において、A評価となった。平滑度(グロス)では、実施例1がB評価となり、実施例2がA評価となり、実施例3がA+評価となった。すなわち、実施例1、2、3の順で平滑度(グロス)の評価が高くなった。
【0084】
一方、比較例1では、平面度、表面観察、幅方向の筋及び平滑度(グロス)が、それぞれ、B、B、B、C評価となった。比較例2では、平面度、表面観察、幅方向の筋及び平滑度(グロス)が、それぞれ、B、C、B、C評価となった。
【0085】
このように、実施例1〜3は、比較例1、2よりも、平面度、表面観察、幅方向の筋及び平滑度(グロス)において優れている結果が得られた。