特許第6183470号(P6183470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183470
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】LED発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20170814BHJP
【FI】
   H01L33/48
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-554036(P2015-554036)
(86)(22)【出願日】2014年1月22日
(65)【公表番号】特表2016-509752(P2016-509752A)
(43)【公表日】2016年3月31日
(86)【国際出願番号】CN2014071154
(87)【国際公開番号】WO2014114242
(87)【国際公開日】20140731
【審査請求日】2015年9月16日
(31)【優先権主張番号】201310024997.X
(32)【優先日】2013年1月22日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515200065
【氏名又は名称】ジェジアン ジュンジオウ ライティング テクノロジー カンパニー・リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】515200076
【氏名又は名称】クウンリアン ジエン
(74)【代理人】
【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151194
【弁理士】
【氏名又は名称】尾澤 俊之
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ,シォウブオ
【審査官】 吉野 三寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−004698(JP,A)
【文献】 特開2012−146738(JP,A)
【文献】 特開2011−003777(JP,A)
【文献】 特開2009−263531(JP,A)
【文献】 特表2006−504265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED発光素子において、
担体であって、透明体であり担持面に導体が設けられた担体と、
複数のLEDチップであって、共晶接合によって前記導体に電気的に接続され、それによりお互いに電気接続が実現された複数のLEDチップと、
透明体であって、前記担体と前記複数のLEDチップの周囲を封入する封入構造部材と、
1対の電極であって、前記1対の電極の正/負電極が、前記導体によって、前記複数のLEDチップにおける電流伝送の最も上流/最も下流にある前記LEDチップに電気的に接続され、前記封入構造部材の外部に延在した1対の電極と、
を有し、
前記LEDチップの数がN個であり、前記導体の数がN+1個であり、ここで、Nが1より大きい整数であり、前記N個のLEDチップと前記N+1個の導体が、前記1対の電極の延長方向に交互に配列され、
各LEDチップの接合面の両端にチップはんだ付けパッドが設けられており、それに対応して前記LEDチップに隣接した2個の導体の2端に回路はんだ付けパッドが設けられており、前記チップはんだ付けパッドの形状が、前記回路はんだ付けパッドの形状に対応しており、
前記チップはんだ付けパッドと前記回路はんだ付けパッドとの共晶接合によるはんだ付けによって、各LEDチップとそれに隣接した2個の導体が、電気的に接続されており、
前記封入構造部材が、前記担体の前記担持面と、前記担持面に固定された前記LEDチップと、前記担体の前記担持面から遠い面と、前記担体の両側面の周縁領域のみとを封入しているLED発光素子。
【請求項2】
前記1対の電極が、1対の金属電極板であり、前記金属電極板がそれぞれ、互いに一体的に接続された組立部分と接続部分を含み、
前記組立部分が、導電性接着材によって前記担体の前記担持面の両端に接合されており、前記接着材が、対応する前記導体に、共晶接合、リフローはんだ付け、又は高温固化によって電気的に接続されており、
前記1対の金属電極板の前記接続部分の前記組立部分から遠い端が、異なる形状を有する、請求項1に記載のLED発光素子。
【請求項3】
制限溝が、前記担体の両端に形成され、前記担持面上に位置決めされており、前記組立部分が、前記制限溝内に前記接着材によって固定されており、前記接着材が、前記制限溝内で前記組立部分の外側面を封入しており、
制限溝が、前記組立部分の前記接続部分から遠い端に設けられており、前記担体の両端が、前記接着材によって前記制限溝内に固定されており、前記接着材が、前記担体の外側面を前記制限溝の内部に封入している、請求項2に記載のLED発光素子。
【請求項4】
前記組立部分の幅が、前記接続部分の幅より大きい、請求項2に記載のLED発光素子。
【請求項5】
透明であり熱伝導性の放熱層が前記LEDチップと熱を交換するために前記担体の前記担持面と前記LEDチップの接合面との間に設けられており、前記放熱層の材料が、シリカゲル、エポキシ接着材、ケイ素樹脂及び改質樹脂のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載のLED発光素子。
【請求項6】
前記導体が、導電性金属材料で作成された、請求項1に記載のLED発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED発光技術に関し、詳細にはLED発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(発光ダイオード)は、そのエネルギー節約、環境保護、軽量、長寿命、小型、安定性能などの利点により、多くの分野に応用されてきた。特に、照明分野において、LEDは、ますます幅広く使用されるようになっており、将来には照明の主光源の1つと見なされている。
【0003】
一般に、先行技術におけるLED発光素子の封入は、金属支持体又は金属基材上にポリフタルアミド(PPA)又はエンジニアリングプラスチックを注入して光学カップを形成する段階と、光学カップ内に1つ又は複数のLEDチップを固定し、複数のLEDチップを金属線によって直列/並列に接続する段階と、光学カップに蛍光粉末が混合されたゲルを充填する段階とを含む。そのような方法で封入されたLED発光素子の発光効率は、比較的低く、その理由は、金属支持体又は金属基材自体が遮光性のため、LEDチップから放射された光を、支持体又は基材を透過して外部に出力できないからである。更に、出力されない光は、光学カップ内に大量の熱を生成し、LEDチップ用の個別の熱伝導経路が提供されていないため、LEDチップによって生成された熱が過度に集まり、その結果、LED発光素子の信頼性が徐々に低下する。実際には、従来のLED発光素子の光出力は、その生成されたエネルギーの20%〜30%でしかなく、他の70%〜80%のエネルギーは、利用されず、熱を生成する。したがって、LED発光素子の発光効率を改善し、その応用機能を強化し、その寿命を延長する方法が、解決されるべき差し迫った問題になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の問題を解決するために、本発明は、LED発光素子の発光効率を改善するだけでなく、熱の発生を減少させることもでき、したがって、高発光効率、高信頼性及び長い寿命の特性を有するLED発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のため、本発明は、担体であって、透明体であり担持面上に導体が配置された担体と、複数のLEDチップであって、共晶接合によって導体に電気的に接続されて間に電気接続が実現される複数のLEDチップと、封入構造部材であって、透明体であり担体と複数のLEDチップの周囲を封入する封入構造部材と、1対の電極とを有し、1対の電極の正/負電極が、導体によって複数のLEDチップのうちの電流伝送の最も上流/最も下流にあるLEDチップに電気的に接続され、封入構造部材の外部に延在する、LED発光素子を提供する。
【0006】
LEDチップの数がN個であり、導体の数がN+1個であり、ここで、Nが1より大きい整数であり、N個のLEDチップとN+1個の導体が、1対の電極の延長方向に沿って交互に配列され、チップはんだ付けパッドが、各LEDチップの接合面の両端に提供され、回路はんだ付けパッドが、LEDチップに隣接した2個の導体の2端に対応して提供され、チップはんだ付けパッドの形状が、回路はんだ付けパッドの形状に対応し、各LEDチップとそれに隣接した2個の導体が、チップはんだ付けパッドを回路はんだ付けパッドと共晶接合によって接合することによって電気的に接続される。
【0007】
封入構造部材は、担体の担持面と、担持面に固定されたLEDチップと、担体の担持面から遠い面と、担体の両側面の周縁領域のみとを封入する。
【0008】
互いの方に延在する2個の突出部が、連続的に離間された2個の導体上に形成され、2個の突出部が、連続的に離間された2個の導体間でLEDチップの両側に配置されることが好ましい。
【0009】
1対の電極の延長方向に垂直な断面において、封入構造部材は、担体の担持面と、担持面に固定されたLEDチップと、担体の担持面から遠い面とをそれぞれ、半径角度180°の封入角度で周辺方向に封入する。
【0010】
1対の電極が、1対の金属電極板であり、各金属電極板が、互いに一体的に接続された組立部分と接続部分を有し、組立部分が、導電性接着材によって担体の担持面の両端に接合され、接着材が、共晶接合、リフローはんだ付け又は高温固化によって対応する導体に電気的に接続され、1対の金属電極板の接続部分の、組立部分から遠い端が、異なる形状を有する。
【0011】
制限溝が、担体の両端に形成され、その担持面上に位置決めされ、組立部分が、接着材によって制限溝に固定され、接着材が、制限溝の内部に組立部分の外側面を封入するか、又は、制限溝が、組立部分の接続部分から遠い端に提供され、担体の両端が、接着材によって制限溝に固定され、接着材が、担体の外側面を制限溝の内部に封入することが好ましい。
【0012】
組立部分の幅が接続部分より大きいことが好ましい。
【0013】
LEDチップと熱を交換するために、担体の担持面とLEDチップの接合面との間に透明で熱伝導性の放熱層が提供され、放熱層の材料が、シリカゲル、エポキシ接着材、ケイ素樹脂及び改質樹脂のうちの1つ又は複数を含む。
【0014】
導体が、導電性金属材料で作成される。
【発明の効果】
【0015】
先行技術と比較して、本発明の有益な効果は、以下の通りである。
【0016】
本発明によって提供されるLED発光素子において、LEDチップから放射された光は、透明担体と封入構造部材を透過し、次にLED発光素子の外部に出力され、したがって、LED素子は、多次元光放射を実現することができる。これにより、LED発光素子の発光効率が改善されるだけでなく、発明の背景で述べたような光出力の減少による大量の熱発生などの不都合が最小になり、それにより、LED発光素子の信頼性が改善され、その実用寿命が延長される。
【0017】
更に、複数のLEDチップは、担体上に提供された導体に、ワイヤの代わりに共晶接合によって電気的に接続されて、複数のLEDチップ間の電気接続が実現されうる。これにより、LED発光素子の製造コストが削減されるだけでなく、複数のLEDチップ間の比較的複雑なワイヤ接続工程が省略され、それにより、LED発光素子の製造工程が単純化される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】本発明の第1の実施形態によって提供されたLED発光素子の正面図である。
図1B図1Aに示されたLED発光素子内の担体の断面図である。
図1C】本発明の第1の実施形態によって提供されたLED発光素子の側面図である。
図1D】本発明の第1の実施形態によって提供されたLED発光素子の平面図である。
図1E】LEDチップが取り付けられる前の図1Dに示されたLED発光素子の平面図である。
図1F図1Dに示されたLED発光素子のLEDチップの接合面の概略図である。
図1G】1対の電極と図1Dに示されたLED発光素子の担体との接続関係を示す平面図である。
図1H】1対の電極と図1Dに示されたLED発光素子の担体との接続関係を示す前面断面図である。
図1I図1Dに示されたLED発光素子の1対の電極の構造を示す概略図である。
図1J】本発明の第1の実施形態により提供されたLED発光素子の光路図である。
図2A】本発明の第1の実施形態により提供されたLED発光素子の別の封入構造部材の前面図である。
図2B】担体とLEDチップと図2Aに示されたLED発光素子の封入構造部材との位置の関係を示す概略図である。
図3A】本発明の第2の実施形態により提供されたLED発光素子の前面図である。
図3B】本発明の第2の実施形態により提供されたLED発光素子の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
当業者が本発明の技術的解決策をよりよく理解できるように、本発明を実施するために使用される好ましい実施形態を更に添付図面と関連して以下に詳細に述べる。しかしながら、以下に示す実施形態は、本発明の技術的概念を限定するためではなく、本発明によって提供されるLED発光素子の技術的概念を実施するために使用される。更に、図面に示された部分のサイズと位置関係は、これらの部分の実際の寸法及び位置関係を規定するものではなく、説明を分かりやすくするためにのみ誇張される。
【0020】
本発明は、透明な担体と、複数のLEDチップと、透明であり担体とLEDチップの周囲を封入する封入構造部材と、1対の電極とを含むLED発光素子を提供する。導体は、担体の担持面上に提供され、複数のLEDチップは、共晶接合によって導体に電気的に接続され、導体によって担体の担持面に固定される。担体のいわゆる担持面は、LEDチップを乗せるために使用される担体の表面を指す。担体の表面は、凹凸構造を有する粗面化反射層を形成するように粗面化によって処理されることが好ましい。凹凸構造を有する粗面化反射層を有している担体は、外部から見て半透明である。
【0021】
本発明によって提供されるLED発光素子において、複数のLEDチップは、複数のLEDチップ間の電気接続を実現するために、担体上に提供された導体にワイヤの代わりに共晶接合によって電気的に接続されてもよい。これにより、LED発光素子の製造コストを削減できるだけでなく、複数のLEDチップ間の比較的複雑なワイヤ接続工程を省略することもでき、それにより、LED発光素子の製造工程が単純化される。
【0022】
前述のような複数のLEDチップでは、電流伝送の最も上流にあるLEDチップが、1対の電極の正電極に接続され、電流伝送の最も下流にあるLEDチップが、1対の電極の負電極に接続される。電流伝送の最も上流にあるLEDチップは、そのようなLEDチップのうち電流が最初に流れるLEDチップを指し、電流伝送の最も下流にあるLEDチップは、そのようなLEDチップのうちの電流が最後に流れるLEDチップを指す。実際には、最も上流/最も下流にあるLEDチップは、その物理位置に対応せず、即ち、そのようなLEDチップのなかで、物理的に両端にあるLEDチップが、必ずしも電流伝送の最も上流/最も下流にあるとは限らない。複数のLEDチップのなかで、電流伝送の最も上流/最も下流にあるLEDチップは、LEDチップがその配置位置に従って導体によって電気的に接続されたときだけ、両端にある2つのLEDチップである。更に、導体は、金、銀、銅などの導電性金属材料で作成されてもよい。導体が、複数のLEDチップ間の電気接続と、電流伝送の最も上流と最も下流にあるLEDチップと1対の電極の正電極と負電極との間の電気接続をそれぞれ実現する限り、担体上の導体の形状と配列方法は限定されない。
【0023】
本発明によって提供されるLED発光素子において、LEDチップから放射された光は、透明担体と封入構造部材を透過し、次にLED発光素子の外部に出力され、その結果、LED素子が、多次元光放射を実現することができる。これにより、LED発光素子の発光効率を改善できるだけなく(実際には、本発明によって提供されるLED発光素子の発光効率は、従来のLED発光素子より30%〜50%高い)、発明の背景で述べたような光出力の減少による大量の熱の発生のような不都合を最小にすることができ、それにより、LED発光素子の信頼性が改善され実用寿命が延長する。
【0024】
第1の実施形態
図1A図1Jを参照すると、本発明の第1の実施形態によって提供されたLED発光素子の構造が示される。この実施形態のLED発光素子10は、担体11、複数のLEDチップ12、封入構造部材13、及び1対の金属電極板(20a,20b)を含む。担体11は、透明体であり、ガラス、セラミック、プラスチックなどのうちの1つ、又はこれらの複数の組み合わせで作成されてもよい。更に、担体11の表面は、凹凸構造を有する粗面化反射層28を形成するように粗面化によって処理され、その結果、担体11は、図1Bに示されたように、外部から見て半透明体になる。更に、粗面化反射層28の縦断面(即ち、紙面に垂直な方向の断面)において、凹凸構造の突出部形状は、半円、楕円、ジグザグ、三角形などでよい。凹凸構造を有する粗面化反射層28によって、LEDチップ12から放射された光を反射させることができ、また光線を互いに結合することができ、それによりLED発光素子10からの光出力が均一で優しくなる。実際の応用例では、様々なLEDチップ12の発光構造にしたがって、担体11の外側面を様々な程度に粗面化して、様々な凹凸構造形状、凹部深さ、突出部高さなどを有するようにすることができる。実際の応用例では、担体11の4つの側面(即ち、図1Bの紙面に垂直な4つの面)が、様々な程度に粗面化されてもよい。あるいは、担体11の担持面及び担持面と反対側の面だけが、様々な程度に粗面化されてもよい。あるいは、担持面及び担持面と反対側の面以外の、担体11の4つの側面のうちの2つの側面だけが、様々な程度に粗面化されてもよい。
【0025】
この実施形態では、LEDチップ12の数はN個であり、担体11の担持面にはN+1個の導体30が提供され、ここで、Nは1より大きい整数であり、N個のLEDチップ12とN+1個の導体30が、金属電極板(20a,20b)の延長方向に沿って交互に配列され、即ち、図1Dに示されたように、連続的に離間された2つの導体30間にLEDチップ12が1個づつ配置される。更に、図1Fに示されたように、チップはんだ付けパッド41が、各LEDチップ12の両端に提供され、その接合面に配置される。これに対応して、図1Eに示されたように、回路はんだ付けパッド31は、LEDチップ12に隣接した2個の導体30の2端に提供され、チップはんだ付けパッド41の形状は、回路はんだ付けパッド31の形状に対応する。LEDチップ12の接合面は、担体11の担持面との接合に使用されるLEDチップ12の面を指す。LEDチップ12とそれに隣接する2個の導体30はそれぞれ、チップはんだ付けパッド41を回路はんだ付けパッド31と共晶接合によってはんだ付けすることによって電気的に接続され、それにより、N個のLEDチップ12が、例えば直列、並列、またはその組み合せで電気的に接続される。
【0026】
更に、チップはんだ付けパッド41と回路はんだ付けパッド31をはんだ付けすることによって、LEDチップ12が担体11に固定され、即ち、担体11上にLEDチップ12を支持する支持点が導体30上にあり、その結果、LEDチップ12の接合面と担体11の担持面との間に隙間ができる。換言すると、LEDチップ12は、担体11の担持面の上に吊り下げられ、LEDチップ12の熱放散に悪影響を及ぼす。この理由で、LEDチップ12と熱を交換するために、担体11の担持面とLEDチップ12の接合面との間に透明で熱伝導性の放熱層15が形成され、それにより、LEDチップ12によって生成された熱が、放熱層15と担体11を介して外部に伝えられる。放熱層15の材料は、シリカゲル、エポキシ接着材、ケイ素樹脂及び改質樹脂のうちの1つ以上を含むことができる。
【0027】
実際の応用例では、LED発光素子が、通常単色光の発光素子であるとき、複数のLEDチップ12はすべて、それに対応する通常単色光のLEDチップ12であり、例えば、複数のLEDチップ12はすべて、青色光のチップか、青色光以外の任意の可視光のチップである。LED発光素子が、高い発光効率と高い演色評価数を有する発光素子であるとき、複数のLEDチップ12は、青色光のLEDチップと赤色(又は黄色)光のLEDチップを含み、均一な分布による十分な光混合を実現できるように、連続的に離間された2個の青色光のLEDチップ12ごとの後に、赤色(又は黄色)光の1個のLEDチップ12が提供される。ここで、均一分布とは、系統的分布を指し、例えば、連続的に離間された2個の青色光のLEDチップの後に1個の赤色(又は黄色)光のLEDチップが提供され、系統的分布は、上記の分布及び配列方法に限定されず、実際の必要に応じて調整され構成されうる。
【0028】
この実施形態では、1対の金属電極板(20a,20b)は、LED発光素子10の正/負電極として使用され、担体11の両端で、担体11の両端に提供されたLEDチップ12から少なくとも0.5mm離れた距離に提供される。具体的には、金属電極板(20a,20b)は、互いに一体的に接続された組立部分201と接続部分(202a,202b)とを有する。組立部分201の接続部分(202a,202b)から遠い端には、制限溝が提供され、担体11の両端が、導電性接着材(26a,26b)によって組立部分201の制限溝内に固定され、共晶接合、リフローはんだ付け又は高温固化によって、対応する導体30(即ち、担体11の両端に提供された導体30)に電気的に接続される。接着材(26a,26b)は、すずペーストなどの導電材料、又は銀ゾルのような高熱電導率と高接着力を有する材料で作成されてもよい。組立部分201の制限溝によって、金属電極板(20a,20b)をより正確かつ迅速に位置合わせし組み立てることができるだけでなく、制限溝内に配置された担体11の外側面(即ち、図1Hの紙面に垂直な担体11の4つの面)を接着材26で封入することができ、これにより、金属電極板(20a,20b)と担体11の接続の信頼性を改善することができる。
【0029】
更に、LED発光素子10の両端の極性を区別するために、2つの接続部分(202a,202b)の、1対の金属電極板(20a,20b)の組立部分201から遠い端は、図1Iに示されたように、異なる形状を有し、LED発光素子10の両端の極性識別子として働くように設計される。実際の応用例では、2つの接続部分(202a,202b)の組立部分201から遠い端は、本明細書では特に限定されない異なる形状を任意に有することができる。更に、好ましくは、組立部分201の幅は、接続部分(202a,202b)の幅より大きく、それにより金属電極板(20a,20b)の組立が容易になる。
【0030】
この実施形態の制限溝は、組立部分201の接続部分(202a,202b)から遠い端に提供されるが、本発明がそれに限定されないことに注意されたい。実際の応用例では、制限溝は、担体11の両端に提供され、担体11の担持面上に位置決めされてもよく、そのような場合、組立部分201の接続部分(202a,202b)から遠い端は、前述の接着材によって制限溝内に固定され、制限溝内にある組立部分201の外側面が、接着材で封入される。このようにして、金属電極板(20a,20b)をより正確かつ迅速に位置合わせし組み立てることができ、金属電極板(20a,20b)と担体11の接続の信頼性を改善することもできる。
【0031】
更に、実際の応用例では、制限溝を担体11の担持面の両端又は組立部分201の接続部分(202a,202b)から遠い端に提供する代わりに、金属電極板(20a,20b)が、導電性接着材(26a,26b)によって担体11の担持面上に固定され、対応する導体に、共晶接合、リフローはんだ付け又は高温固化によって電気的に接続される。あるいは、金属電極板(20a,20b)をより正確かつ迅速に位置合わせするために、正方形段や台形段などの制限構造が、担体11の担持面の両端に提供されてもよい。
【0032】
この実施形態では、封入構造部材13は、透明体であり、透明接着材と蛍光粉末の混合物で作成され、担体11の担持面、担持面に固定されたLEDチップ12、担体11の担持面から遠い面、担体11の両側面の周縁領域をそれぞれ封入する。具体的には、封入構造部材13は、2つの部分から成り、それらの断面は、ほぼ半円形状を有する。第1の部分131は、担体11の担持面から遠い面と担体11の両側面の周縁領域(即ち、図1Aでは、担体11の上面、及びその上面に隣接する両側面の上側領域)とを封入するために使用され、第2の部分132は、担体11の担持面、担持面上に固定されたLEDチップ12、及び担体11の両側面の周縁領域(即ち、図1Aの担体11の下面、およびその下面に隣接した両側面の下側領域)を封入するために使用される。実際の応用例では、金属電極板(20a,20b)の延長方向に垂直な方向の封入構造部材13の断面形状は、半円形、楕円形、正方形などでよい。
【0033】
封入構造部材13が、図1Jに示されたような透明接着材と蛍光粉末の混合物で作成されるので、LEDチップ12から放射された光50bの一部分は、透明放熱層15、担体11及び封入構造部材13を透過し、次にLED発光素子10の外部に出力することができ、一方、LEDチップ12から放射された光50aの他の部分は、透明な封入構造部材13を透過し、LED発光素子10の外部に出力されて、多次元光放射を実現することができ、LEDチップ12が、青色光のLEDチップの場合、LEDチップから放射される光50bの一部分は、放熱層15、担体11及び封入構造部材13を通り、封入構造部材13内の蛍光粉末を励起して、外部に白色光を出力し、LEDチップから放射される光50aの他の部分は、封入構造部材13を通り、封入構造部材13内の蛍光粉末を励起して、白色光を外部に出力し、それにより、均質な白色光を外部に出力することができる。
【0034】
更に、この実施形態によって提供されるLED発光素子10において、担体11の両側面の周縁領域は、透明接着材と蛍光粉末の混合物で作成された封入構造部材13によって封入され、それにより、担体11の両側面の周縁領域で起こる色ずれ(LEDチップ12から放射された光のその部分が周縁領域から直接出力されることによって引き起こされる)を防ぐことができ、これにより、更に、LED発光素子10が均質の白色光を全方向に出力できることが保証される。更に、この実施形態によって提供されたLED発光素子10では、担体の全面が、封入構造部材13によって完全には封入されず、担体11の両側面の中央領域が、封入構造部材13の外部に露出するので、LEDチップ12の熱放散が容易になり、したがって、LEDチップ12が、大きい駆動電流に適切になる。これは、個別のLEDチップ12の光出力を改善できるだけでなく、LED発光素子の製造コストを削減することができる。
【0035】
この実施形態では、封入構造部材13が、担体11の担持面、その担持面に固定されたLEDチップ12、担体11の担持面から遠い面、および担体11の両側面の周縁領域をそれぞれ封入するが、本発明はこれらに限定されないことに注意されたい。実際の応用例では、封入構造部材13は、図2Aに示されたように、担体11、LEDチップ12及び金属電極板(20a,20b)の組立部分201を、金属電極板(20a,20b)の延長方向に垂直な平面内の半径角度360°の被覆領域で全体的に封入してもよい。更に、封入構造部材13内の蛍光粉末が、LEDチップ12の様々な発光面から放射される様々な強度の光によって励起されたときに様々な色の光を放射するのを防ぐために、封入構造部材13の封入位置(即ち、LEDチップ12と担体11が配列される位置)は、図2Bに示されたように、LEDチップ12と担体11を封入構造部材13の1/2偏位に位置決めし、即ち、LEDチップ12の上部発光面を封入構造部材13の中心位置に位置決めするように定義されてもよい。放射される光の色が変更されるとき、封入構造部材13の封入位置は、実際の必要に応じて細かく調整されてもよいが、それは本明細書では特に限定されないことは明らかである。更に、封入構造部材13の断面形状(金属電極板(20a,20b)の延長方向に垂直な方向の)は、封入構造部材13が、担体11、LEDチップ12及び金属電極板(20a,20b)の組立部分201を、金属電極板(20a,20b)の延長方向に垂直な平面内の半径角度360°の被覆領域で完全に封入することができる限り、円形、正方形、楕円、菱形などでよい。
【0036】
また、この実施形態では、1列のLEDチップ12だけが担体11上に配列されているが、本発明はそれに限定されないことに注意されたい。実際の応用例では、担体の幅はもっと大きくてもよく、また複数列のLEDチップが、担体上に提供されてもよく、各列のLEDチップの配列形態が、上記の実施形態のものと類似しており、LEDチップの列間の電気接続は、対応する導体に共晶接合によって電気的に接続することによって実現されてもよく、その場合、担体の両端に提供されるLEDチップは、導体によって金属電極板(20a,20b)に接続され、外部への電気接続を実現する。実際の応用例では、LED発光素子内の担体の長さと幅が限定されず、担体上のLEDチップの列数も限定されない。
【0037】
第2の実施形態
図3A図3Bに示されたように、本発明の第2の実施形態によって提供されたLED発光素子の構造が示される。第1の実施形態と同様に、第2の実施形態によって提供されるLED発光素子10は、担体11、複数のLEDチップ12、1対の金属電極板(20a,20b)及び封入構造部材13を含み、封入構造部材13は、担体11、複数のLEDチップ12及び1対の金属電極板(20a,20b)を封入するために使用される。
【0038】
担体11の材料、担体11の表面に提供された粗面化反射層28の形成形態と外観、複数のLEDチップ12間およびLEDチップ12と金属電極板(20a,20b)間の電気接続形態、および封入構造部材13の断面形状は、第1の実施形態のものと類似しており、ここでは繰り返されない。
【0039】
第1の実施形態とは異なる第2の実施形態の部分を以下に詳細に述べる。
【0040】
第2の実施形態では、互いの方に延在する2個の突出部32が、連続的に離間された2個の導体30上に形成され、図3Bに示されたように、2個の突出部32が、連続的に離間された2個の導体30間のLEDチップ12の両面に配置される。突出部32によって、LEDチップ12から放射された光の一部が、担体11の両側面の周縁領域から直接出力されるのを防ぐことができるが、突出部32によって阻止された後で反射されて、他の方向に出力されることがあり、これにより、担体11の両側面の周縁領域で起こるLED発光素子の色ずれを防ぐことができ、それにより、LED発光素子10が、それぞれの方向に単色光を出力できることが保証される。連続的に離間された2個の導体30間の2個の突出部30の長さは、対応する導体30と接触しないという前提で、できるだけより長くてもよく、それにより、LEDチップ12によって放射され担体11の両側面の周縁領域から出力される光を最大の程度に阻止できることが好ましい。更に、LEDチップ12が、青色光又は青色光と赤色光の混合物のチップであるとき、LEDチップ12によって放射され担体11の両側面の周縁領域から出力される光が白色光になるようにるために、放熱層15を透明接着材と蛍光粉末の混合物で作成しなければならず、それにより、LED発光素子10が、均質の白色光をそれぞれの方向に出力することができる。
【0041】
この実施形態では、金属電極板(20a,20b)の延長方向に垂直な断面において、封入構造部材13は、担体11の担持面、その担持面に固定されたLEDチップ12、および担体11の担持面から遠い面をそれぞれ、半径角度180°の封入角度で、円周方向で封入し、即ち、封入構造部材13は、断面が半円形状を有する2つの部分からなる。第1の部分131は、担体11の担持面から遠い面を封入するために使用され、第2の部分132は、担体11の担持面とその担持面に固定されたLEDチップ12を封入するために使用される。この実施形態の封入構造部材13と第1の実施形態の封入構造部材との差は、担体11の両側面の中心領域だけが、封入構造部材13の外部の露出されるのではなく、担体11の両側面の周縁領域も封入構造部材13の外部に露出し、即ち、担体11の両側面が、封入構造部材13の外部に完全に露出される点にあることが分かる。更に、前述の突出部32によって、LEDチップ12から放射された光の一部が、担体11の両側面の周縁領域から直接出力されるのが防止されるので、LEDチップ12の放熱効率を更に改善することができ、同時にLED発光素子10が、それぞれの方向に単色光を出力できるようになる。更に、封入構造部材13が、担体の担持面と、担持面に固定されたLEDチップ12と、担体11の担持面から遠い面とを封入するだけでよいので、これにより、封入構造部材13の構造がある程度単純化され、それにより、封入構造部材13の製造工程を単純化でき、それにより、LED発光素子10の製造コストがある程度削減される。
【0042】
実際の応用例では、放熱層、封入構造部材及び/又は担体が蛍光粉末を含むかどうかを、実際の必要に応じて決定できることが分かる。さらに、本出願において、放熱層、封入構造部材及び/又は担体が透明であることは、LEDチップから放射された光が、放熱層、封入構造部材及び/又は担体を透過できることを意味する。
【0043】
また、前述の実施態様は、本発明の原理を説明するための単なる例示的実施態様であり、本発明はこれらに限定されない。当業者は、本発明の趣旨及び本質から逸脱することなく様々な修正及び改良を行うことができ、そのような修正と改良も本発明の保護範囲内にある。
【符号の説明】
【0044】
11 担体
12 LEDチップ
13 封入構造部材
20a,20b 電極
30 導体
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図2A
図2B
図3A
図3B