特許第6183478号(P6183478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183478
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】免震機構
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/04 20060101AFI20170814BHJP
   F16F 9/20 20060101ALI20170814BHJP
   F16F 1/50 20060101ALI20170814BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   F16F15/04 D
   F16F15/04 P
   F16F9/20
   F16F1/50
   E04H9/02 331B
   E04H9/02 331E
   E04H9/02 351
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-6668(P2016-6668)
(22)【出願日】2016年1月15日
(62)【分割の表示】特願2012-2208(P2012-2208)の分割
【原出願日】2012年1月10日
(65)【公開番号】特開2016-105021(P2016-105021A)
(43)【公開日】2016年6月9日
【審査請求日】2016年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098095
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 武志
(72)【発明者】
【氏名】藤生 重雄
【審査官】 保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−210827(JP,A)
【文献】 特開昭61−215825(JP,A)
【文献】 特開平05−141464(JP,A)
【文献】 特開2006−097878(JP,A)
【文献】 特開2001−074095(JP,A)
【文献】 特開2010−007793(JP,A)
【文献】 特開平09−268802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H9/00−9/16
F16F1/00−6/00
9/00−9/58
15/00−15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向における一端で上部構造物に、鉛直方向における他端で基礎又は下部構造物に夫々取り付けられると共に上部構造物の基礎又は下部構造物に対する震動を免震する免震装置と、基礎及び下部構造物に連結されていない水平方向における一端で上部構造物に、水平方向における他端で免震装置の一端及び他端間の部位に夫々連結されていると共に水平方向における伸縮で上部構造物の基礎又は下部構造物に対する震動を減衰する一の減衰ダンパと、上部構造物に連結されていない水平方向における一端で基礎又は下部構造物に、水平方向における他端で免震装置の一端及び他端間の部位に夫々連結されていると共に水平方向における伸縮で上部構造物の基礎又は下部構造物に対する震動を減衰する他の一の減衰ダンパとを具備しており、一の減衰ダンパ及び他の一の減衰ダンパは、上部構造物の基礎又は下部構造物に対する水平方向であって一の方向の震動において同時に伸縮による減衰力が生じるように、前記一の方向に夫々伸びて配されており、一の減衰ダンパ及び他の一の減衰ダンパは、水平方向に直列に配されている免震機構。
【請求項2】
一の減衰ダンパ及び他の一の減衰ダンパの夫々は、シリンダ本体と、このシリンダ本体を二室に画成するように、シリンダ本体内に配されているピストンと、該二室を互いに連通するオリフィス通路と、一端部がピストンに連結されていると共にシリンダ本体の一端部を貫通してシリンダ本体外に突出された一方のピストンロッドと、一端部がピストンに連結されていると共にシリンダ本体の他端部を貫通してシリンダ本体外に突出された他方のピストンロッドと、シリンダ本体の二室に充填された流体とを具備している請求項1に記載の免震機構。
【請求項3】
一の減衰ダンパのシリンダ本体は、上部構造物に連結されており、一の減衰ダンパのシリンダ本体の他端部を貫通してシリンダ本体外に突出された他方のピストンロッドは、免震装置の一端及び他端間の部位に連結されており、他の一の減衰ダンパのシリンダ本体は、基礎又は下部構造物に連結されており、他の一の減衰ダンパのシリンダ本体の他端部を貫通してシリンダ本体外に突出された他方のピストンロッドは、免震装置の一端及び他端間の部位に連結されている請求項2に記載の免震機構。
【請求項4】
免震装置は、ゴム弾性層と硬質板層とを交互に積層してなる少なくとも一つの積層ゴム体を有する積層ゴム免震装置を具備している請求項1から3のいずれか一項に記載の免震機構。
【請求項5】
積層ゴム免震装置は、少なくとも二つの積層ゴム体を具備しており、二つの積層ゴム体のうちの一方の積層ゴム体は、上部構造物に取り付けられており、二つの積層ゴム体のうちの他方の積層ゴム体は、基礎又は下部構造物に取り付けられており、二つの積層ゴム体間には一の減衰ダンパ及び他の一の減衰ダンパの夫々の他端が連結される連結部材が介在されている請求項4に記載の免震機構。
【請求項6】
免震装置は、滑り部材と受け板とを互いに水平方向に関して摺動自在に接触させてなる少なくとも一つの滑り免震体を有する滑り免震装置を具備しており、この滑り免震装置は、鉛直方向において二つの積層ゴム体の間に介在されている請求項5に記載の免震機構。
【請求項7】
滑り免震装置は、少なくとも二つの滑り免震体を具備しており、この二つの滑り免震体のうちの一方の滑り免震体は、鉛直方向において一方の積層ゴム体と連結部材との間に介在されており、二つの滑り免震体のうちの他方の滑り免震体は、鉛直方向において連結部材と他方の積層ゴム体との間に介在されている請求項6に記載の免震機構。
【請求項8】
免震装置は、滑り部材と水平方向に関して摺動自在に接触する受け板とを互いに水平方向に関して摺動自在に接触させてなる少なくとも一つの滑り免震体を有する滑り免震装置を具備している請求項1から3のいずれか一項に記載の免震機構。
【請求項9】
滑り免震装置は、少なくとも二つの滑り免震体を具備しており、二つの滑り免震体のうちの一方の滑り免震体は、上部構造物に取り付けられており、二つの滑り免震体のうちの他方の滑り免震体は、基礎又は下部構造物に取り付けられており、二つの滑り免震体間には一の減衰ダンパ及び他の一の減衰ダンパの夫々の他端が連結される連結部材が介在されている請求項8に記載の免震機構。
【請求項10】
免震装置は、ゴム弾性層と硬質板層とを交互に積層してなる少なくとも一つの積層ゴム体を有する積層ゴム免震装置を具備しており、この積層ゴム免震装置は、鉛直方向において二つの滑り免震体の間に介在されている請求項9に記載の免震機構。
【請求項11】
積層ゴム免震装置は、少なくとも二つの積層ゴム体を具備しており、この二つの積層ゴム体のうちの一方の積層ゴム体は、鉛直方向において一方の滑り免震体と連結部材との間に介在されており、二つの積層ゴム体のうちの他方の積層ゴム体は、鉛直方向において連結部材と他方の滑り免震体との間に介在されている請求項10に記載の免震機構。
【請求項12】
二つの滑り免震体の夫々の滑り部材と受け板とは、上部構造物の基礎又は下部構造物に対する水平方向の相対的な変位において、一定以下のその変位では、二つの積層ゴム体の夫々に水平方向の剪断変形を生じさせる一方、当該滑り部材と受け板との間に水平方向の滑りを生じさせないようにし、一定以上のその変位では、当該滑り部材と受け板との間に水平方向の滑りを生じさせる摩擦抵抗を互いに接触する面に発生するようになっている請求項10又は11に記載の免震機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震等による基礎又は下部構造物に対する上部構造物の震動を免震する免震機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、構造物とその基礎との間に水平方向の震動を減衰する免震装置が設けられてなり、免震装置には、構造物と基礎との水平方向の相対変位を免震装置に伝達し、かつ上下方向の相対変位を許容する伝達部材が備えられている、構造物における水平方向の震動を減衰する免震機構が提案されている。
【0003】
特許文献2には、2部材間の振動を減衰させるためのダンパーと、2部材間からダンパーに加わる負荷が一定値以上となったときに、負荷がダンパーに伝達されるのを遮断するダンパーとを直列に接続してなり、建築物の振動を減衰させるために建築物の相対変位可能な2部材間に介装されて用いられる制振ダンパーが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−317715号公報
【特許文献2】特開平09−268802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、免震機構として例えば鉛プラグ入り積層ゴム支承を用いた場合には、地震等による構造物の床に対する震動を免震して減衰し得るが、今後予想される東海地方、東南海地方、南海地方等の大地震の発生を考慮した場合、より十分な減衰量が確保されることが望ましい。また、十分な減衰量が確保される減衰機能付きの免震機構においても搬入、設置が容易であることが望まれる。
【0006】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、搬入、設置が容易である上に、十分な減衰量を確保することのできる減衰機能付きの免震機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の免震機構は、鉛直方向における一端で上部構造物に、鉛直方向における他端で基礎又は下部構造物に夫々取り付けられると共に上部構造物の基礎又は下部構造物に対する震動を免震する免震装置と、水平方向における一端で上部構造物に、水平方向における他端で免震装置の一端及び他端間の部位に夫々連結されていると共に水平方向における伸縮で上部構造物の基礎又は下部構造物に対する震動を減衰する一の減衰ダンパと、水平方向における一端で基礎又は下部構造物に、水平方向における他端で免震装置の一端及び他端間の部位に夫々連結されていると共に水平方向における伸縮で上部構造物の基礎又は下部構造物に対する震動を減衰する他の一の減衰ダンパとを具備しており、一の減衰ダンパ及び他の一の減衰ダンパは、上部構造物の基礎又は下部構造物に対する水平方向であって一の方向の震動において同時に伸縮による減衰力が生じるように、前記一の方向に夫々伸びて配されている。
【0008】
本発明の免震機構によれば、一の減衰ダンパ及び他の一の減衰ダンパの夫々の一の方向における必要とされるストロークを短くすることができる結果、長ストロークの減衰ダンパが不要となって搬入、設置が容易になり、しかも、一の減衰ダンパ及び他の一の減衰ダンパの双方で減衰力を生じさせることで十分な減衰量を確保することができる。
【0009】
また、本発明の免震機構によれば、例えばシリンダ及びピストンロッドを具備してなる一の減衰ダンパ及び他の一の減衰ダンパの伸縮量の短縮化を図れるために当該一の減衰ダンパ及び他の一の減衰ダンパに座屈が生じる虞をなくし得る。
【0010】
本発明の免震機構では、一の減衰ダンパ及び他の一の減衰ダンパの夫々は、シリンダ本体と、このシリンダ本体を二室に画成するように、シリンダ本体内に配されているピストンと、該二室を互いに連通するオリフィス通路と、一端部がピストンに連結されていると共にシリンダ本体の一端部を貫通してシリンダ本体外に突出された一方のピストンロッドと、一端部がピストンに連結されていると共にシリンダ本体の他端部を貫通してシリンダ本体外に突出された他方のピストンロッドと、シリンダ本体の二室に充填された流体とを具備していてもよい。
【0011】
本発明の免震機構の一つの好ましい例では、一の減衰ダンパのシリンダ本体は、上部構造物に連結されており、一の減衰ダンパのシリンダ本体の他端部を貫通してシリンダ本体外に突出された他方のピストンロッドは、免震装置の一端及び他端間の部位に連結されており、他の一の減衰ダンパのシリンダ本体は、基礎又は下部構造物に連結されており、他の一の減衰ダンパのシリンダ本体の他端部を貫通してシリンダ本体外に突出された他方のピストンロッドは、免震装置の一端及び他端間の部位に連結されている。
【0012】
本発明の免震機構では、免震装置は、ゴム弾性層と硬質板層とを交互に積層してなる少なくとも一つの積層ゴム体を有する積層ゴム免震装置を具備していてもよく、斯かる積層ゴム体を二つ具備している積層ゴム免震装置の場合には、二つの積層ゴム体のうちの一方の積層ゴム体は、鉛直方向における一端としてのその上端で上部構造物に取り付けられている一方、当該積み重ねられた二つの積層ゴム体のうちの他方の積層ゴム体は、鉛直方向における他端としてのその下端で基礎又は下部構造物に取り付けられていてもよく、斯かる鉛直方向に積み重ねられた二つの積層ゴム体間には一の減衰ダンパ及び他の一の減衰ダンパの夫々の他端が連結されていると共にこれら両他端並びに一方及び他方の積層ゴム体を相互に連結する連結部材が介在されていてもよい。
【0013】
本発明の免震機構では、免震装置は、滑り部材と受け板とを互いに水平方向に関して摺動自在に接触させてなる少なくとも一つの滑り免震体を有した滑り免震装置を具備していてもよく、斯かる滑り免震体を二つ具備している滑り免震装置の場合には、二つの滑り免震体の一方の滑り免震体は、鉛直方向における一端としての滑り部材又は受け板で上部構造物に取り付けられていてもよく、二つの滑り免震体の他方の滑り免震体は、鉛直方向における他端としての滑り部材又は受け板で基礎又は下部構造物に取り付けられていてもよく、これら鉛直方向に積み重ねられた二つの滑り免震体間には一の減衰ダンパ及び他の一の減衰ダンパの夫々の他端が連結されていると共にこれら両他端並びに一方及び他方の滑り免震体を相互に連結する連結部材が介在されていてもよい。
【0014】
また、本発明の免震機構では、免震装置は、ゴム弾性層及び硬質板層を交互に積層してなる積層ゴム体を少なくとも一対有した積層ゴム免震装置と、滑り部材及びこの滑り部材に水平方向に関して摺動自在に接触する受け板を有してなる滑り免震体を少なくとも一つ好ましくは、少なくとも一対有した滑り免震装置とを具備していてもよい。
【0015】
免震装置が一対の積層ゴム体を有した積層ゴム免震装置と一対の滑り免震体を有した滑り免震装置とを具備している場合、一対の滑り免震体のうちの一方の滑り免震体、一対の積層ゴム体のうちの一方の積層ゴム体、一対の積層ゴム体のうちの他方の積層ゴム体及び一対の滑り免震体のうちの他方の滑り免震体を鉛直方向に順に重ね合わせ、一方の滑り免震体の滑り部材及び受け板のうちの一方を鉛直方向における一端として上部構造物に取り付け、一方の滑り免震体の滑り部材及び受け板のうちの他方を当該一方の滑り免震体に鉛直方向で隣接する一方の積層ゴム体の上端に取り付け、他方の滑り免震体の滑り部材及び受け板のうちの一方を鉛直方向の他端として基礎又は下部構造物に取り付け、他方の滑り免震体の滑り部材及び受け板のうちの他方を当該他方の滑り免震体に鉛直方向で隣接する他方の積層ゴム体の下端に取り付けてもよく、この場合、鉛直方向において互いに隣接した一方及び他方の積層ゴム体間に一の減衰ダンパ及び他の一の減衰ダンパの夫々の他端が連結されていると共にこれら両他端並びに一方及び他方の積層ゴム体を相互に連結する連結部材を介在させてもよい。
【0016】
更に、本発明の免震機構では、ゴム弾性層及び硬質板層を交互に積層してなる積層ゴム体を少なくとも一対有した積層ゴム免震装置と、滑り部材及びこの滑り部材に水平方向に関して摺動自在に接触する受け板を有してなる滑り免震体を少なくとも一対有した滑り免震装置とを具備する免震装置の場合、一方の滑り免震体、一方の積層ゴム体、他方の積層ゴム体及び他方の滑り免震体を鉛直方向に順に重ね合わせる代わりに、一方の積層ゴム体、一方の滑り免震体、他方の滑り免震体及び他方の積層ゴム体を鉛直方向に順に重ね合わせ、一方の積層ゴム体の上端を鉛直方向における一端として上部構造物に取り付け、一方の積層ゴム体の下端を当該一方の積層ゴム体に鉛直方向で隣接する一方の滑り免震体の滑り部材及び受け板のうちの一方に取り付け、他方の積層ゴム体の下端を鉛直方向の他端として基礎又は下部構造物に取り付け、他方の積層ゴム体の上端を当該他方の積層ゴム体に鉛直方向で隣接する他方の滑り免震体の滑り部材及び受け板のうちの一方に取り付けてもよく、この場合、鉛直方向において互いに隣接した一方及び他方の滑り免震体における滑り部材及び受け板のうちの他方同士の間に一の減衰ダンパ及び他の一の減衰ダンパの夫々の他端が連結されていると共にこれら両他端並びに該他方同士を相互に連結する連結部材を介在させてもよく、斯かる場合には、連結部材を一方及び他方の滑り免震体における滑り部材及び受け板のうちの他方として用いてもよい。
【0017】
また、少なくとも一対の積層ゴム体を有した積層ゴム免震装置と、少なくとも一対の滑り免震体を有した滑り免震装置とを具備する免震装置の場合、一対の滑り免震体の夫々の滑り部材と受け板とは、上部構造物の基礎又は下部構造物に対する水平方向の相対的な変位において、一定以下のその変位では、一対の積層ゴム体の夫々に水平方向の剪断変形を生じさせる一方、一対の滑り免震体の夫々の滑り部材と受け板との間に水平方向の滑りを生じさせないようにし、一定以上のその変位では、一対の滑り免震体の夫々の滑り部材と受け板との間に水平方向の滑りを生じさせる摩擦抵抗を互いに接触する面に発生させるようにしてもよい。
【0018】
一対の積層ゴム体を有する積層ゴム免震装置と、一対に代えて一つの滑り免震体を有する滑り免震装置とを免震装置が具備する場合には、上記の一対の滑り免震体を有する免震装置において、いずれかの滑り免震体を省いて免震装置を構成すればよい。
【0019】
滑り免震装置を有する本発明の免震機構において、滑り部材又は受け板を上部構造物又は基礎若しくは下部構造物に取り付ける場合、これら上部構造物又は基礎若しくは下部構造物自体を滑り部材又は受け板としてもよい。
【0020】
本発明の免震機構は、例えば、建築用や橋梁用に用いられ得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、搬入、設置が容易である上に、十分な減衰量を確保することのできる減衰機能付きの免震機構を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の実施の形態の例の全体説明図である。
図2図2は、図1に示す例の動作説明図である。
図3図3は、図1に示す例の動作説明図である。
図4図4は、本発明の実施の形態の他の例の全体説明図である。
図5図5は、図4に示す例の動作説明図である。
図6図6は、図4に示す例の動作説明図である。
図7図7は、図1及び図4に示す夫々の例の主に減衰ダンパの説明図である。
図8図8は、本発明の実施の形態の更に他の例の全体説明図である。
図9図9は、図8に示す例の動作説明図である。
図10図10は、図8に示す例の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0024】
図1から図3において、本例の免震機構1は、鉛直方向Vにおける一端2で上部構造物3に、鉛直方向Vにおける他端4で基礎又は下部構造物としての床5に夫々取り付けられると共に上部構造物3の床5に対する震動を免震する免震装置6と、水平方向Hにおける一端7で上部構造物3に、水平方向Hにおける他端8で免震装置6の一端2及び他端4間の部位9に夫々連結されていると共に水平方向Hにおける伸縮で上部構造物3の床5に対する震動を減衰する減衰ダンパ10と、水平方向Hにおける一端11で床5に、水平方向Hにおける他端12で免震装置6の部位9に夫々連結されていると共に水平方向Hにおける伸縮で上部構造物3の床5に対する震動を減衰する減衰ダンパ13とを具備している。
【0025】
免震装置6は、ゴム弾性層15と硬質板層16とを交互に積層してなる二つの積層ゴム体17及び18を有した積層ゴム免震装置と、積層ゴム体17及び18間に介在されていると共に減衰ダンパ10及び13の夫々の他端8及び12がピン19を介して回転自在に連結される板状の連結部材20とを具備している。
【0026】
積層ゴム体17及び18は本例では夫々互いに同様に形成されている。積層ゴム体17及び18は鉛直方向Vにおいて連結部材20を間にして積み重ねられている。積層ゴム体17は積層ゴム体18の上方に配されて上部構造物3に取付板21を介して取り付けられており、積層ゴム体18は積層ゴム体17の下方に配されて床5に取付板22を介して取り付けられている。
【0027】
積層ゴム体17及び18の夫々の鉛直方向Vにおける両端に位置する一対の硬質板層16は、当該一対の硬質板層16間の硬質板層16よりも厚肉であってもよい。
【0028】
ゴム弾性層15は、例えば、天然ゴムや高減衰ゴムから構成されていてもよい。
【0029】
連結部材20は、積層ゴム体17及び18の取付板22及び23の夫々に取り付けられている。
【0030】
尚、積層ゴム体17及び18の夫々の内部には、鉛直方向Vに伸びた鉛プラグが設けられていてもよい。
【0031】
図1から図3に示される減衰ダンパ10及び13としては、例えばオイルダンパ、粘性ダンパ、鋼材ダンパ、摩擦ダンパ等種々のものが用いられるが、例えば図7に示すように形成されていてもよい。減衰ダンパ10及び13は好ましくは互いに同様に形成されている。
【0032】
図7に示す減衰ダンパ10は、シリンダ本体31と、シリンダ本体31を二室32及び33に画成するように、シリンダ本体31内に配されているピストン35と、ピストン35に設けられていると共に二室32及び33を互いに連通するオリフィス通路としての少なくとも一個のオリフィス34と、一端部36がピストン35に連結されていると共にシリンダ本体31の一端部37を貫通してシリンダ本体31外に突出されたピストンロッド38と、一端部39がピストン35に連結されていると共にシリンダ本体31の他端部40を貫通してシリンダ本体31外に突出されているピストンロッド38と同径のピストンロッド41と、シリンダ本体31の二室32及び33に充填された例えばオイル又はシリコン等の流体42と、ピストンロッド41の他端部51に固着された連結部材52と、シリンダ本体31に固着された連結部材53とを具備しており、水平方向Hであってピストンロッド38及び41の伸びる方向である一の方向Aに伸縮変形自在である。連結部材52は連結部材20にピン19を介して回転自在に連結されており、連結部材53は上部構造物3にピン25及び取付部材26を介して回転自在に連結されている。
【0033】
減衰ダンパ10は、例えば図2に示すように上部構造物3が床5に対して方向Aの一方に相対変位を生じた場合には方向Aにおいて伸張を生じ、例えば図3に示すように上部構造物3が床5に対して方向Aの他方に相対変位を生じた場合には方向Aにおいて縮みを生じ、この伸縮においてオリフィス34を介する流体42の室32と室33との間の移動により可及的速やかに当該減衰ダンパ10に加わる運動エネルギを減衰させる。
【0034】
減衰ダンパ13は、減衰ダンパ10と同様に形成されているので、図に適宜同符号を付してその詳細な説明を省略する。減衰ダンパ13の一端11はピン27及び取付部材28を介して床5に回転自在に連結されており、減衰ダンパ13の他端12はピン19を介して連結部材20に回転自在に連結されている。減衰ダンパ10の一端7及び他端8並びに減衰ダンパ13の一端11及び他端12は方向Aに並んで配されている。減衰ダンパ10及び13は方向Aに直列に配されている。
【0035】
減衰ダンパ13は、例えば図2に示すように上部構造物3が床5に対して方向Aの一方に相対変位を生じた場合には方向Aにおいて伸張を生じ、例えば図3に示すように上部構造物3が床5に対して方向Aの他方に相対変位を生じた場合には方向Aにおいて縮みを生じ、この伸縮において当該減衰ダンパ13に加わる運動エネルギを上述の減衰ダンパ10と同様に減衰させる。
【0036】
減衰ダンパ10及び13は、上部構造物3が床5に対して方向Aの一方の相対変位を生じた場合に伸張による減衰力を同時に生じ、上部構造物3が床5に対して方向Aの他方の相対変位を生じた場合に縮みによる減衰力を同時に生じるように、方向Aに夫々伸びて上部構造物3及び床5間に配されている。
【0037】
免震装置6は、上述の積層ゴム体17及び18に代えて、例えば図4から図6に示すように、滑り部材61と、滑り部材61に水平方向Hに関して摺動自在に接触する受け板62とを有してなる二つの滑り免震体63及び64からなる滑り免震装置を具備していてもよい。
【0038】
滑り免震体63及び64は鉛直方向Vにおいて積み重ねられている。滑り免震体63及び64間には連結部材20が介在されている。鉛直方向Vにおいて滑り免震体64の上方に配されている滑り免震体63の滑り部材61は支持体65に固着されている。支持体65は連結部材20に取り付けられている。滑り免震体63の受け板62は上部構造物3に取り付けられており、滑り部材61に水平方向Hに摺動自在に接触している。
【0039】
鉛直方向Vにおいて滑り免震体63の下方に配されている滑り免震体64の滑り部材61は支持体66に固着されている。支持体66は連結部材20に取り付けられている。滑り免震体64の受け板62は床5に取り付けられており、滑り部材61に水平方向Hに摺動自在に接触している。
【0040】
滑り免震体63及び64の夫々は、例えば図5及び図6に示すように方向Aにおいて上部構造物3の床5に対する震動が生じた場合には滑り部材61が受け板62に対して摺動し、この摺動時の摩擦抵抗に起因した摩擦熱によって運動エネルギを吸収するようになっている。
【0041】
上記の免震機構1では、二つの積層ゴム体17及び18を有した積層ゴム免震装置又は二つの滑り免震体63及び64を有した滑り免震装置で免震装置6を構成したが、これに代えて、例えば図8から図10に示すように、二つの積層ゴム体17及び18を有した積層ゴム免震装置と二つの滑り免震体63及び64を有した滑り免震装置とをもって免震装置6を構成してもよく、この場合、滑り免震体63、積層ゴム体17、積層ゴム体18及び滑り免震体64を鉛直方向Vに順に重ね合わせ、滑り免震体63の受け板62を鉛直方向における一端2として上部構造物3に取り付け、滑り免震体63の滑り部材61を当該滑り免震体63に鉛直方向Vで隣接する積層ゴム体17の上端の取付板21に取り付け、滑り免震体64の受け板62を鉛直方向Vの他端4として床5に取り付け、滑り免震体64の滑り部材61を当該滑り免震体64に鉛直方向Vで隣接する積層ゴム体18の下端の取付板24に取り付け、鉛直方向Vにおいて互いに隣接した積層ゴム体17及び18の取付板23及び22間に減衰ダンパ10及び13の夫々の他端8及び12を連結すると共にこれら両他端8及び12並びに積層ゴム体17及び18の取付板23及び22を相互に連結する連結部材20を介在させ、上部構造物3の床5に対する水平方向Hの相対的な変位において、一定以下のその変位では、図9及び図10に示すように、積層ゴム体17及び18に水平方向Hの剪断変形を生じさせ、一定以上のその変位では、滑り免震体63の滑り部材61と受け板62との間及び滑り免震体64の滑り部材61と受け板62との間に水平方向Hの滑りを生じさせる摩擦抵抗を滑り免震体63及び64の夫々の互いに接触する滑り部材61と受け板62との間の面に発生させるように、滑り部材61と受け板62との互いに接触する面の摩擦係数を設定して、免震機構1を構成してもよい。
【0042】
また、上記では、取付板21及び24に加えて滑り部材61を設けたが、斯かる取付板21及び24を滑り部材として用いてもよく、要は、取付板21及び24を滑り部材又は受け板として用いて滑り免震装置を構成してもよい。
【0043】
以上の免震機構1によれば、鉛直方向Vにおける一端2で上部構造物3に、鉛直方向Vにおける他端4で床5に夫々取り付けられると共に上部構造物3の床5に対する震動を免震する免震装置6と、水平方向Hにおける一端7で上部構造物3に、他端8で免震装置6の一端2及び他端4間の部位9に夫々連結されていると共に水平方向Hにおける伸縮で上部構造物3の床5に対する震動を減衰する一の減衰ダンパ10と、水平方向Hにおける一端11で床5に、他端12で免震装置6の一端2及び他端4間の部位9に夫々連結されていると共に水平方向Hにおける伸縮で上部構造物3の床5に対する震動を減衰する他の一の減衰ダンパ13とを具備しており、減衰ダンパ10及び減衰ダンパ13は、上部構造物3の床5に対する水平方向Hであって一の方向Aの震動において減衰ダンパ10及び13に同時に伸縮による減衰力が生じるように、方向Aに夫々伸びて配されているために、減衰ダンパ10及び13の夫々の方向Aにおける必要とされるストロークを短くすることができる結果、長ストロークの減衰ダンパが不要となって搬入、設置が容易になり、しかも、減衰ダンパ10及び13の双方で減衰力を生じさせることで十分な減衰量を確保することができる。また、免震機構1によれば、例えばシリンダ及びピストンロッドを具備してなる減衰ダンパ10及び13のストロークの短縮化を図れるために当該減衰ダンパ10及び13に座屈が生じる虞をなくし得る。
【符号の説明】
【0044】
1 免震機構
3 上部構造物
5 床
6 免震装置
10、13 減衰ダンパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10