(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明で用いる用語を説明する。シートは、フィルムおよびテープと同義語である。被着体は、シートを貼り付ける相手方をいう。
【0013】
本発明の導電性接着剤は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、導電性微粒子と、複素環アミンとを含有する。導電性接着剤は、例えば、剥離シート上に塗工することで、導電性接着剤層(単に「導電層」ということがある)を形成し、導電性接着シートとして使用することができる。導電性接着シートは、さらに絶縁層を備えることで電磁波シールドシートとして使用することができる。
【0014】
<熱硬化性樹脂>
熱硬化性樹脂は、硬化剤と架橋反応可能な反応性官能基を複数有する樹脂である。
官能基は、例えば、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリン基、オキサジン基、アジリジン基、チオール基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、シラノール基等が挙げられる。
上記の官能基を有する熱硬化性樹脂は、例えば、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル樹脂、縮合型ポリエステル樹脂、付加型ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール系樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの中でも表面抵抗値と耐摩耗性の点から、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、エポキシ樹脂、付加型ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が好ましい。
【0015】
本発明では熱硬化性樹脂に加え、熱可塑性樹脂を併用できる。
熱可塑性樹脂としては、硬化性官能基を有しないポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン・アクリル系樹脂、ジエン系樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、α−オレフィン化合物などのホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレンプロピレンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、α−オレフィンポリマー等が挙げられる。
ビニル系樹脂は、酢酸ビニルなどのビニルエステルの重合により得られるポリマーおよびビニルエステルとエチレンなどのオレフィン化合物とのコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、部分ケン化ポリビニルアルコール等が挙げられる。
スチレン・アクリル系樹脂は、スチレンや(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド類などからなるホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアクリロニトリル、アクリルコポリマー、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。
ジエン系樹脂は、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン化合物のホモポリマーまたはコポリマーおよびそれらの水素添加物が好ましい。具体的には、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンブロックコポリマー等が挙げられる。テルペン樹脂は、テルペン類からなるポリマーまたはその水素添加物が好ましい。具体的には、例えば、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペン樹脂が挙げられる。
石油系樹脂は、ジシクロペンタジエン型石油樹脂、水添石油樹脂が好ましい。セルロース系樹脂は、セルロースアセテートブチレート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAポリカーボネートが好ましい。ポリイミド系樹脂は、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸型ポリイミド樹脂が好ましい。
【0016】
<硬化剤>
硬化剤とは、熱硬化性樹脂の官能基と反応可能な官能基を複数有しているものであり、例えばエポキシ化合物、酸無水物基含有化合物、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、アミン化合物、フェノール化合物、金属キレート化合物等が挙げられる。
硬化剤は、単独または2種類以上併用できる。
【0017】
本発明の導電性接着剤は、硬化剤として、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、および金属キレート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの硬化剤(X)を含有することを特徴とする。
【0018】
硬化剤の使用量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜100重量部が好ましく、1〜50重量部がより好ましい。
【0019】
また、硬化剤(X)を含む硬化剤全体の含有量は、複素環アミン100重量部に対し、接着力と耐熱性を向上する観点で、2〜70重量部であることが好ましく、より好ましくは、3〜60重量部である。
【0020】
また、硬化剤(X)と、さらにその他の硬化剤を含有することが好ましく、その他の硬化剤が、エポキシ化合物であると、耐熱性、接着力に優れる点で好ましい。
具体的には、アジリジン化合物とエポキシ化合物、金属キレート化合物とエポキシ化合物の併用が好ましく、金属キレート化合物とエポキシ化合物の併用がより好ましい。上記のように併用することで、耐熱性と接着力が向上する。
【0021】
このように、硬化剤(X)をエポキシ化合物と併用する場合、エポキシ化合物の含有量は、硬化剤(X)100重量部に対し、250〜2000重量部であることが好ましく、300〜1000重量部であることが好ましい。
【0022】
[硬化剤(X)]
硬化剤(X)とは、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、または金属キレート化合物であって、複素環アミン化合物と、硬化剤(X)とを含有することにより、接着力と接続信頼性に優れた導電性接着剤とすることができる。
硬化剤(X)は、単独または2種類以上併用できる。
中でも、接着力と接続信頼性が向上する観点から、アジリジン化合物、または金属キレート化合物が好ましく、金属キレート化合物がさらに好ましい。
また、アジリジン化合物と金属キレート化合物とを併用することも好ましい。
【0023】
硬化剤(X)の含有量は、導電性接着剤中の硬化剤全量(100重量%)中、1〜100重量%であることにより、接着力と耐熱性が優れる点で好ましく、より好ましくは、2〜90重量%である。
【0024】
また、硬化剤(X)の含有量は、複素環アミン100重量部に対し、耐熱性と接着力をより向上することができる点で、10〜400重量部であることが好ましく、より好ましくは25〜350重量部、特に好ましくは45〜300重量部である。
【0025】
(イソシアネート化合物)
イソシアネート化合物としては、例えばトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物およびこれらポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体、更にはこれらポリイソシアネート化合物と公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等とのアダクト体等が挙げられる。
【0026】
(アジリジン化合物)
アジリジン化合物としては、例えば、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
【0027】
(金属キレート化合物)
金属キレート化合物は、金属と有機物からなる化合物であり、硬化性樹脂の官能基と反応して架橋を形成するものである。金属キレート化合物の種類は特に限定されないが、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物などが挙げられる。また、金属と有機物の結合は金属−酸素結合でもよく、金属−炭素結合に限定されるものではない。加えて、金属と有機物の結合様式は化学結合、配位結合、イオン結合のいずれであってもよい
【0028】
有機アルミニウム化合物としては、アルミニウムキレート化合物が好ましい。アルミニウムキレート化合物は、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムジ−n−ブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムジイソブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムジ−sec−ブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム−sec−ブチレート、アルミニウムエチレート等が挙げられる。
【0029】
有機チタン化合物としては、はチタンキレート化合物が好ましい。チタンキレート化合物は、例えば、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタン−1.3−プロパンジオキシビス(エチルアセトアセテート)、ポリチタンアセチルアセチルアセトナート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、ダーシャリーアミルチタネート、テトラターシャリーブチルチタネート、テトラステアリルチタネート、チタンイソステアレート、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、ジ−i−プロポキシチタンジステアレート、チタニウムステアレート、ジ−i−プロポキシチタンジイソステアレート、(2−n−ブトキシカルボニルベンゾイルオキシ)トリブトキシチタン等が挙げられる。
【0030】
有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムキレート化合物が好ましい。ジルコニウムキレート化合物は、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート、ステアリン酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも有機チタン化合物が熱硬化反応性と硬化後の耐熱性の点から好ましい。
【0031】
[その他の硬化剤]
その他の硬化剤としては、エポキシ化合物、酸無水物基含有化合物、アミン化合物、フェノール化合物等が挙げられる。
その他の硬化剤を併用する場合には、エポキシ化合物であることが好ましく、硬化剤(X)とエポキシ化合物の併用により、耐熱性と接着力を、より優れたものとすることができる。
【0032】
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが好ましい。 接続抵抗値と接着力の点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂および脂環式エポキシ樹脂がとくに好ましい。
【0033】
<導電性微粒子>
本発明において導電性微粒子は、金、白金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、錫およびインジウム等、ならびにこれらの合金が好ましい。また、導電性微粒子は、核体および前記核体の表面を覆う被覆層を備えた複合微粒子であっても良い。
【0034】
導電性微粒子は、単一素材の微粒子ではなく金属や樹脂を核体とし、核体の表面を被覆した被覆層を有する複合微粒子もコストダウンの観点から好ましい。ここで核体は、価格が安いニッケル、シリカ、銅およびその合金、ならびに樹脂から適宜選択することが好ましい。被覆層は、核体より導電性が優れる素材であればよく、導電性金属または導電性ポリマーが好ましい。導電性金属は、例えば、金、白金、銀、ニッケル、マンガン、およびインジウム等、ならびにその合金が挙げられる。また導電性ポリマーは、ポリアニリン、ポリアセチレン等が挙げられる。これらの中でも価格と導電性の面から銀が好ましい。
【0035】
被覆層の金属は、核体100重量部に対して、1〜40重量部の割合で形成されていることが好ましく、5〜20重量部がより好ましい。前記範囲の金属で核体を被覆すると、例えば銀で銅核体を被覆した場合、導電性を維持しながら導電性微粒子の価格をより低減できる。
【0036】
導電性微粒子の形状は、所望の導電性が得られれば良いため限定されない。形状は、例えば球状、フレーク状、葉状、樹枝状、プレート状、針状、ブドウ状が好ましい。この中でも、少量の添加量で高い導電性が得られるフレーク状、葉状、および樹枝状がより好ましい。なお、葉状の導電性微粒子とは、外縁形状に切れ込み及び分岐葉の少なくとも一方が複数形成されている微粒子をいう。また、フレーク状の導電性微粒子とは、外縁形状に切れ込み及び分岐葉を有しない微粒子をいう。
【0037】
導電性微粒子の平均粒子径は、1〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましい。平均粒子径が1〜100μmの範囲内にあることで、導電性がより向上する。なお、本発明における平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置LS 13320(ベックマン・コールター社製)を使用し、トルネードドライパウダーサンプルモジュールにて、各導電性微粒子を測定して得たD50平均粒子径であり、粒子径累積分布における累積値が50%の粒子径である。なお、前記測定は、微粒子の屈折率を1.6に設定した。
【0038】
導電性微粒子は、熱硬化性樹脂100重量部に対して、30〜1500重量部を配合することが好ましく、50〜1000重量部がより好ましい。30〜1500重量部配合することで、導電性と接着性を両立しやすくなる。
【0039】
<複素環アミン>
本発明の導電性接着剤は、5員環または6員環を有する複素環アミンを含む。この5員環または6員環を有する複素環アミンと、硬化剤(X)とを含有することにより、メッキ面に対する接着力を向上できる。
中でも5員環を有する複素環アミンであることが好ましい。
また、複素環アミンは、一つの環構造中に窒素原子を1〜4個含むことが好ましく、1〜3個含むことがより好ましく、2〜3がさらに好ましい。また、複素環アミンは、ベンゼン環のように複素環と共鳴可能な環構造を有しても良い(例えばベンゾトリアゾール)。また、複素環アミンは、環内に炭素、窒素以外の元素を含んでいても良く、置換基を有してもよい。また、複素環アミンの酸解離定数(pKa)は、3〜15(20℃、H
2O中)が好ましい。また、複素環アミンは、環構造中に炭素以外の元素(例えば窒素、酸素、硫黄)を2つ以上含むことも好ましい。
複素環アミンは平面構造であることが好ましい(例えば、トリアゾール、チアゾール、メラミン、イミダゾール)。複素環アミンが平面構造をとることで、メッキ面への接着力がより向上する。
また、複素環アミンは共役結合を有することが好ましい。
【0040】
複素環アミンは、化合物単体で導電性接着剤に配合する方法、またはポリマーに結合した形態で導電性接着剤に配合する方法、これらを併用する方法が好ましい。複素環アミンが結合できるポリマーは既に説明した熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を使用できるところ、フェノールノボラック樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アミノ樹脂が好ましい。
【0041】
複素環アミンは、例えば、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、ピペラジン、トリアゾール、トリアジン、メラミン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、プリン骨格等が挙げられる。
好ましくは、耐熱性の観点より、ピペラジン、トリアジン、メラミン、ベンゾトリアゾール骨格が好ましい。
より好ましくは、トリアジン、メラミン、ベンゾトリアゾール骨格である。
【0042】
また、複素環アミンの分子量は、複素環アミンの分子量は30〜500が好ましく50〜400がより好ましい。
【0043】
これらの化合物は、下記一般式(1)〜(17)で表すことができる。これらの中でも、耐熱性に優れたものとすることができる点で、一般式(12)〜(16)が好ましい。
特に好ましくは、一般式(12)〜(15)の複素環アミンである。
【0061】
一般式(1)〜(17)においてX1は、水素原子または炭化水素基であり、炭化水素基は、側鎖や官能基を有していても良い。官能基は、例えば、水酸基、フェノール性水酸基、メトキシメチル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリン基、オキサジン基、アジリジン基、チオール基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、ブロック化カルボキシル基、シラノール基等が挙げられる。また、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの金属塩になっていても良い。
この中でも、カルボキシル基、チオール基、エポキシ基およびアミノ基が好ましい。
【0062】
一般式(1)〜(17)においてR1〜R8は、水素原子、炭化水素基、または官能基であり、炭化水素基は、側鎖や官能基を有していても良い。官能基は、例えば、水酸基、フェノール性水酸基、メトキシメチル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリン基、オキサジン基、アジリジン基、チオール基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、ブロック化カルボキシル基、シラノール基等が挙げられる。
この中でも、水素原子、炭化水素基、カルボキシル基、チオール基、エポキシ基およびアミノ基が好ましい。
【0063】
また、複素環アミンの水素原子以外の官能基数は1〜3が好ましい。
【0064】
上記複素環アミンの市販品としては、例えば、四国化成株式会社製「キュアゾール 2P4MHZ」〔一般式(1)〕、大塚化学株式会社製「3、5−ジメチルピラゾール」〔一般式(2)〕、大塚化学株式会社製「1、2、3−トリアゾール」〔一般式(6)〕、大塚化学株式会社製「3メルカプト−1、2、4−トリアゾール」、株式会社ADEKA社製「CDA−1」〔一般式(7)〕、東ソー株式会社製「エチルアミノピペラジン」〔一般式(8)〕、CBC株式会社製「BUDIT3141」、「BUDIT310」、「BUDIT311」、「BUDIT311MPP」、「BUDIT312」、「BUDIT313」、「BUDIT313G」、「BUDIT315」、川口化学工業株式会社製「TSH」〔一般式(12)〕、日産化学工業株式会社製「TEPIC−G」、「TEPIC−S」、「TEPIC−SP」、「TEPIC−SS」〔一般式(13)〕、三新化学工業株式会社製「サンダント MB」〔一般式(14)〕、城北化学工業株式会社製「CBT−1」、「BT−120」、「BT−LX」、「TT−LX」、「TT−LYK」、「JC−400」、「JF−77」、「JF−79」、「JF−80」、「JF−83」、「JF−832」、「JAST−500」、シプロ化成株式会社製「SEETEC TT−R」、「SEETEC TA−268」〔一般式(15)〕、三新化学工業株式会社製「サンセラー M」、「サンビット N−G」、「サンビット ABT」、「サンビット PBT」〔一般式(16)〕等が利用可能である。
【0065】
複素環アミンは、熱硬化性樹脂100重量部に対して、0.5〜20重量部を配合することが好ましく、1〜10重量部がより好ましい。0.5〜20重量部配合することで接着力、耐熱性、および接続信頼性がより向上する。
【0066】
導電性微粒子に対する複素環アミンの配合量は、導電性微粒子100重量部に対し、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.2〜8重量部がさらに好ましい。0.1〜20重量部であることで接続抵抗値と耐熱性が向上する。
【0067】
本発明の導電性接着剤は、任意成分として溶剤、耐熱安定剤、顔料、染料、粘着付与樹脂、可塑剤、カップリング剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤等を配合することができる。
【0068】
導電性接着剤は、これまで説明した材料を攪拌混合して得ることができる。攪拌は、例えばディスパーマット、ホモジナイザー等公知の攪拌装置を使用できる。
【0069】
<導電性接着シート>
本発明の導電性接着シートは、導電性接着剤を剥離性シート上に塗工することで形成した導電性接着剤層(導電層ともいう)を備えたシートである。なお、導電性接着剤層の剥離性シートと接していない面は、通常、使用する直前まで他の剥離性シートを貼り合わせることでゴミ、ホコリ等の異物の付着を防止できる。
【0070】
導電性接着剤の塗工は、公知の塗工方法を使用できる。具体的には、例えば、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレード方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、スプレーコート方式、バーコート方式、スピンコート方式、およびディップコート方式等が好ましい。また、塗工後、必要に応じて乾燥を行う。乾燥は、熱風オーブンおよび赤外線ヒーター等公知の乾燥機を使用できる。
【0071】
導電性接着剤層の厚みは3〜70μmが好ましく、5〜65μmの範囲がより好ましい。3〜70μmの範囲にあることで導電性と接着力がより向上することで耐熱性、接続信頼性がより向上する。
【0072】
本発明の導電性接着シートは、保管時は、熱硬化性樹脂と硬化剤が未反応の状態で存在し、被着体と過熱圧着する際に熱硬化性樹脂と硬化剤が反応する。または、導電性接着剤が2種類の硬化剤を含む場合、導電性接着シートの形成時に一方の硬化剤が反応し、加熱圧着の際に他方の硬化剤が反応する実施態様もある。
【0073】
本発明の導電性接着シートは、導電性が必要な用途に使用できる。具体的には、貼り合わせる補強板が導電性材料の場合、FPCのグランド回路と電気的に接続させることで、その導電性材料を電磁波シールド層として機能させることができる。本発明の導電性接着シートは、タッチパネル等の液晶ディスプレイ、これらを組み込んだ携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等に好ましく使用できる。なお、前記記載は、導電性接着シートの前記用途以外への使用を妨げるものではない。
【0074】
<電磁波シールドシート>
本発明の電磁波シールドシートは、絶縁層および導電層を備えた第一の態様、ならびに絶縁層、金属層および導電層を備えた第二の態様がある。
本発明の電磁波シールドシートの導電層は、第一の態様および第二の態様とも上述の導電性接着剤を使用して形成した。
【0075】
第一の態様の場合、導電層は、等方導電層である。また第二の態様の場合、導電層は、等方導電層および異方導電層から適宜選択できるところ、異方導電層を使用すると導電性微粒子の含有量を抑制できるのでコストダウンが容易になる。なお、等方導電性とは、電磁波シールドシートを水平に置いたときに垂直方向(縦方向)と水平方向(面方向)に導電することをいう。一方、異方導電性とは、電磁波シールドシートを水平に置いたときに垂直方向(縦方向)に導電することをいう。等方導電性は、フレーク状や樹枝状の導電性微粒子を使用する方法等の公知の方法で得られる。また、異方導電性は、球状または樹枝状の導電性微粒子を使用する方法等で得られる。なお、導電層が樹枝状の導電性微粒子を大量に含む場合、等方導電性が得られる。また導電層が樹枝状の導電性微粒子を少量含む場合、異方導電性が得られる。
【0076】
第一の態様の作製は、既に説明したように予め作製した導電層と、後述するように別途作製した絶縁層を貼り合わせることで得られる。
【0077】
<絶縁層>
絶縁層は、熱硬化性樹脂、硬化剤を含む絶縁性樹脂組成物を成形することで得る。熱硬化性樹脂、および硬化剤は、導電性接着剤で既に説明した熱硬化性樹脂、および硬化剤を使用できる。
【0078】
絶縁性樹脂組成物は、さらに黒色系着色剤を含むことで絶縁層に印字された文字の視認性を向上できる。黒色系着色剤は、黒色顔料、ならびに赤色、緑色、青色、黄色、紫色、シアンおよびマゼンタ等の顔料を複数含む混合系着色剤が好ましい。混合系着色剤は、複数の顔料を減色混合することで黒色を得ることができる。
【0079】
絶縁性樹脂組成物は、必要に応じて黒色系着色剤以外の顔料および染料、ならびにシランカップリング剤、酸化防止剤、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤,充填剤,難燃剤等から適宜選択して含むことができる。
【0080】
絶縁性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂、硬化剤を混合し攪拌して得ることができる。攪拌は、公知の攪拌装置を使用でき、ディスパーマットやホモジナイザー等が好ましい。
【0081】
絶縁層は、例えば絶縁性樹脂組成物を剥離性シート上に塗工することで形成できる。または、絶縁性樹脂組成物を例えばTダイのような押出成形機により、シート状に押し出すことで形成できる。
【0082】
塗工は、導電性接着剤層の形成で説明した方法で行なえば良い。
【0083】
絶縁層の厚みは、用途に応じて適宜設計可能であるが、約0.5μm〜25μm程度が好ましく、2μm〜15μm程度がより好ましい。
【0084】
第二の態様の作製は、例えば、剥離性シート上に導電層を形成し、導電層面に金属層をラミネートした上で、別途作成した絶縁層を金属層にラミネートすることで作成できる。なお前記作成は、導電層と絶縁層が逆であっても良い。
【0085】
金属層は、例えばアルミニウム、銅、銀、金等の導電性の金属箔が好ましく、シールド性、およびコストの面から銅、銀、アルミニウムがより好ましく、銅がさらに好ましい。銅は、例えば、圧延銅箔または電解銅箔を使用することが好ましく、金属層の薄さを追及すると圧延銅箔をエッチング処理した銅箔、または電解銅箔がより好ましい。金属箔の場合、厚みは0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。
また、金属層は、金属箔以外に真空蒸着、スパッタリング、CVD法、MO(メタルオーガニック)、メッキ等で形成しても良い。これらの中でも量産性を考慮すれば真空蒸着およびメッキが好ましい。金属箔以外の金属層の厚みは、通常0.005〜5μm程度である。なお、金属蒸着膜の厚みは、0.1〜3μmが好ましい。スパッタリング膜の厚みは、10〜1000nmが好ましい。
【0086】
本発明の電磁波シールドシートは、上記層構成に加えて、導電性・絶縁性以外の他の機能層を積層することもできる。
他の機能層は、例えばハードコート性、水蒸気バリア性、酸素バリア性、低誘電率、高誘電率性または耐熱性等の機能を有する層である。
【0087】
また、本発明の電磁波シールドシートは、熱硬化性樹脂を使用した場合、熱硬化性樹脂の架橋性官能基と硬化剤の官能基が一部反応した状態(半硬化状態)で存在するのが好ましい。そして、電磁波シールドシートを使用する際、例えばFPC(フレキシブルプリント配線板)に重ね、または貼り付けた後に加熱圧着工程により十分に硬化することで所望の接着強度が得られる場合が多い。
【0088】
剥離性シートは、紙またはプラスチックの基材を使用することが好ましく、基材の一方の面に公知の剥離処理がされているシート、または剥離処理に代えて、微粘着力の粘着剤層が形成されたシートである。
【0089】
なお電磁波シールドシートは、導電層または絶縁層の保護および取り扱いを容易にするため、使用する直前まで剥離性シートを貼り付けた状態で保存する場合が多い。
【0090】
本発明の電磁波シールドシートは、電磁波をシールドする必要がある様々な用途に使用できる。例えば、リジッドプリント配線板は元より、フレキシブルプリント配線板、COF、TAB、フレキシブルコネクタ、液晶ディスプレイ、タッチパネル等に使用できる。また、パソコンのケース、建材の壁および窓ガラス等の建材、車両、船舶、航空機等の電磁波を遮蔽する部材としても使用できる。
【0091】
本発明のプリント配線板の電磁波シールドシートを備えた第二の態様について説明すると、電磁波シールドシートと、カバーコート層ならびに信号配線および絶縁性基材を含む配線板とを備えている。
【0092】
本発明のプリント配線板は、導電性接着シートを備えた態様(A態様)、および電磁波シールドシートを備えた態様(B態様)が好ましい。
A態様について、プリント配線板4は、
図2に示す通り、配線板7と、金属補強板6と導電性接着剤層5を備えている。また、導電性接着剤層5は、配線板7の絶縁性基材10と接着できる。なお、プリント配線板の態様が、
図2および
図3に限定されないことは言うまでも無い。
【0093】
プリント配線板4の実施態様をさらに説明する。配線板7は、絶縁性基材10と接する面であって金属補強板6と対向する面に電子部品14を実装することで、プリント配線板4に必要な強度が得られる。金属補強板6を備えることで、プリント配線板1に曲げ等の力が加わった際の半田接着部位のないし絶縁性基材10に対するダメージを防止できる。また、導電性接着剤5は、プリント配線板4の上方向から下方向に対する電磁波をシールドすることができる。
【0094】
金属補強板6の金属板6aは、例えば金、銀、銅、鉄およびステンレス等の導電性金属が挙げられる。これらの中で補強板としての強度、コストおよび化学的安定性の面でステンレスが好ましい。金属補強板6の厚みは、一般的に0.04〜1mm程度である。
金属補強板6は、その表面に、金、ニッケル、パラジウム等のメッキ層6bを備えることもできる。メッキ層6bを備えることで、金属補強板6の酸化や腐食を防ぎ、より高い導電安定性が得られる。なお、図示しないが金属補強板6は、メッキ層6bを有しなくとも良い。
【0095】
配線板7は、絶縁層8aおよび8b、接着剤層9aおよび9b、ならびにグランド配線11、ならびに信号配線12、ならびに絶縁性基材10を備えている。また配線板7は、ビア14(Via)といわれる円柱状ないしすり鉢状の穴を備えている。なおグランド配線および信号配線を総称して配線回路という。
【0096】
絶縁層8aおよび8bは、カバーコート層ともいい、少なくとも樹脂を含む。樹脂は、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、イレタンウレア樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アミドイミド樹脂およびフェノール樹脂等が挙げられる。また、樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および紫外線硬化性樹脂から適宜選択して使用できるが、耐熱性の面で熱硬化性樹脂が好ましい。これらの樹脂は、単独または2種類以上を併用できる。絶縁層8aおよび8bの厚みは、通常5〜50μm程度である。
【0097】
接着剤層9aおよび9bは、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、およびアミド樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。熱硬化樹脂に使用する硬化剤は、エポキシ硬化剤、イソシアネート硬化剤、およびアリジリン硬化剤等が挙げられる。接着剤層9aおよび9bは、絶縁層8aおよび8bと、グランド配線11および配線回路12を備えた絶縁性基材9とを接着するために使用し、絶縁性を有する。接着剤層9aおよび9bの厚みは、通常1〜20μm程度である。
【0098】
グランド配線11および信号配線12は、銅等の金属箔をエッチングして形成する方法、ないし導電性ペーストを印刷することで形成する方法が一般的である。図示はしないが配線板7は、グランド配線および信号配線を複数有することができる。グランド配線は、グランド電位を保つ回路であり、信号配線は、電子部品等に電気信号を送信する回路である。グランド配線7および信号配線8の厚みは、それぞれ通常5〜50μm程度である。
【0099】
絶縁性基材10は、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、および、ポリエチレンナフタレート等の絶縁性を有するフィルムであり、配線板7のベース材である。絶縁性基材10は、リフロー工程を行なう場合、ポリフェレンサルファイドおよびポリイミドが好ましく、リフロー工程を行なわない場合、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。絶縁性基材10の厚みは、通常5〜100μm程度である。また、プリント配線板がリジッド配線板の場合、絶縁性基材10は、ガラスエポキシが好ましい。
絶縁性基材9は、
【0100】
ビア14は、グランド配線11および信号配線12から適宜選択した回路パターンの一部を露出するためにエッチングやレーザー等により形成される。
図2によるとビア14によりグランド配線11の一部が露出しており導電接着剤層5を介してグランド配線11と金属補強板6とが電気的に接続されている。ビア14の直径は、通常0.5〜2μm程度である。
【0101】
本発明のプリント配線板の製造方法は、少なくとも配線板7、導電性接着剤層5、および金属補強板6を圧着する工程を備えていることが必要である。圧着は、例えば、配線板7と電磁波シールドシートと圧着した後、導電性接着剤層5および金属補強板6を重ね圧着を行い、次いで電子部品を実装する方法が挙げられるが、圧着の順序は限定されない。本発明では配線板7、導電性接着剤層5、および金属補強板6を圧着する工程を備えていれば良く、他の工程は、プリント配線板の構成ないし使用態様に応じて適宜変更できる。前記圧着は、導電性接着剤層5が熱硬化型樹脂を含む場合、硬化促進の観点から同時に加熱することが特に好ましい。一方、導電性接着剤層5が熱可塑性樹脂を含む場合であっても密着が強固になり易いため加熱することが好ましい。加熱は130〜210℃が好ましく、140〜200℃がより好ましい。また、圧着は、2〜120kg/cm
2が好ましく、3〜100kg/cm
2がより好ましい。
圧着装置は、平板圧着機またはロール圧着機を使用できるが、平板圧着機を使用する場合、一定の圧力を一定の時間かけることができるため好ましい。圧着時間は、配線回路基板6、導電性接着剤層5、および金属補強板6が十分密着すればよいので特に限定されないが、通常30分〜2時間程度である。
【0102】
本発明のプリント配線板の電磁波シールドシートを備えた態様(B態様)について、
図3を参照して説明する。
電磁波シールドシートは、絶縁層1、金属層3、導電層2を含む構成である。なお図示しないが、電磁波シールドシートは、絶縁層1、導電層2を含む構成も好ましい。
【0103】
カバーコート層8aおよび8bは、配線板の信号配線を覆い外部環境から保護する絶縁材料である。カバーコート層8aおよび8bは、熱硬化型または紫外線硬化型のソルダーレジスト、感光性カバーレイフィルムが好ましく、微細加工をするためには感光性カバーレイフィルムがより好ましい。
【0104】
信号配線は、アースを取るグランド配線11、電子部品に電気信号を送る信号配線12を含む。両者は銅箔をエッチング処理することで形成することが一般的である。
絶縁性基材10は、配線板がフレキシブルプリント配線板(FPC)である場合、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等の屈曲可能なプラスチックが好ましく、ポリイミドがより好ましい。また、配線板がリジッド配線板の場合、絶縁性基材10の構成材料は、ガラスエポキシが好ましい。これらのような絶縁性基材10を備えることで配線板は高い耐熱性が得られる。
【0105】
電磁波シールドシートと、配線板7との加熱圧着は、温度150〜190℃程度、圧力1〜3MPa程度、時間1〜60分程度の条件で行うことが一般的である。加熱圧着により導電層2とカバーコート層8aおよび8bが密着するとともに、導電層2が流動してビア14を埋めることでグランド配線11との間で導通が取れる。さらに熱硬化性樹脂を使用した場合、加熱圧着により熱硬化性樹脂と硬化剤が反応する。なお、硬化を促進させるため、加熱圧着後に150〜190℃で30〜90分間ポストキュアを行う場合もある。なお、電磁波シールドシートは、加熱圧着後に電磁波シールド層ということがある。
【0106】
本発明のプリント配線板は、液晶ディスプレイ、タッチパネル等のほか、ノートPC、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の電子機器に搭載されることが好ましい。
【実施例】
【0107】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、部は重量部、%は重量%を意味する。また、Mwは重量平均分子量をあらわす。
【0108】
実施例で使用した材料を以下に示す。
・導電性微粒子:銀コート銅粉(平均粒径11.0μm 核体に銅、被覆層に銀を使用した樹枝状の複合微粒子、福田金属箔粉工業社製)
・金属キレート化合物:「オルガチックスTC100」(マツモトファインケミカル社製)
・イソシアネート化合物:「デュラネート17B−60PX」(旭化成ケミカルズ製)
・アジリジン化合物:「ケミタイトPZ−33」(日本触媒製)
・エポキシ化合物:多官能エポキシ樹脂「JER604」(三菱化学社製)
・複素環アミン(1):カルボキシベンゾトリアゾール
・複素環アミン(2):1,2,3−トリアゾール
・複素環アミン(3):2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール
・複素環アミン(4):トリス(2,3―エポキシプロピル)イソシアヌレート
・複素環アミン(5):ポリリン酸メラミン(CBC社製)
・複素環アミン(6):エチルアミノピペラジン
・複素環アミン(7):2−メルカプトベンゾチアゾール
・鎖状アミン:ステアリルアミン
・電解銅箔:「3EC−M1S−HTE」(厚さ9μm)(三井金属鉱業社製)
・被着体1:「電解金メッキシート」(0.3μmの金メッキ層、1μmのニッケルメッキ層、18μmの圧延銅箔層、25μmの接着剤層、及び25μmのポリイミド層の順に積層した3層CCL)太洋工業社製
・被着体2:「SUS304−1/2H NiP2.0UP(W)」(2μmのニッケルメッキ層を有する厚さ200μmのステンレス板)シルベニア社製
・被着体3:0.02μmのパラジウムメッキ層を有する厚さ200μmのステンレス板・2層CCL:「エスパーフレックス」(8μmの圧延銅箔層、および38μmのポリイミド層の積層体 住友金属鉱山社製)
【0109】
<熱硬化性ポリアミド樹脂の合成>
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、酸価194KOHmg/gのダイマー酸104.1部、ノルボルナンジアミン25.2部を仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したところで110℃になるまで加熱した。脱水反応の開始を確認した30分後に加熱し、反応温度を120℃にした。その後、30分間で10℃の割合で反応温度が上昇するように230℃まで加熱を行うことで脱水反応を継続した。230℃に到達後、その温度を維持して3時間反応を継続した。次いで減圧を行い約2kPaの真空を1時間維持した後、冷却を行った。そして適量のトルエンおよびイソプロピルアルコールで希釈することで不揮発分50%のカルボキシル基を含有するアミド樹脂を得た。得られたアミド樹脂は、Mw=15000、酸価18mgKOH/g、Tg17℃であった。
【0110】
<導電性接着シートの作製>
(実施例1)
熱硬化剤樹脂として、得られた熱硬化性ポリアミド樹脂100部に対して、エポキシ化合物20部、導電性微粒子400部、金属キレート化合物3部、複素環アミン化合物(1)5部、溶剤(トルエン)を加え、ディスパーで攪拌混合することで不揮発分40%の導電性接着剤を得た。得られた導電性接着剤を乾燥後の厚みが20μmになるように剥離性フィルム(厚さ50μmのポリエチレンフタレート)に塗工し、100℃で2分間乾燥して、導電性接着剤層を備えた導電性接着シートを作製した。
【0111】
(実施例2〜11、比較例1、2)
実施例1の原料および配合量を表1に示す通りに変えた以外は、実施例1と同様に行うことでそれぞれ実施例2〜11、比較例1、2の導電性接着シートを作製した。
【0112】
<電磁波シールドシートの作製>
(実施例12)
「工程1−1」
熱硬化性ポリアミド樹脂100部に対して、エポキシ化合物20部、金属キレート化合物3部、トルエンを加えディスパーで攪拌混合することで絶縁性樹脂組成物を得た。得られた絶縁性樹脂組成物を、バーコーターを使用して乾燥後の厚みが9μmになるように剥離性フィルムに塗工し、100℃で2分間加熱乾燥して、絶縁層を作製した。
「工程1−2」
熱硬化性ポリアミド樹脂100部に対して、エポキシ化合物20部、導電性微粒子600部、金属キレート化合物3部、複素環アミン化合物(1)5部、トルエンを加えディスパーで攪拌混合することで導電性樹脂組成物を得た。得られた導電性樹脂組成物を、バーコーターを使用して乾燥後の厚みが10μmになるように剥離性フィルム(厚さ75μmのポリエチレンフタレート)に塗工し、100℃で2分間加熱乾燥して、等方導電性の導電層を作製した。
「工程1−3」
得られた絶縁層と得られた導電層とをラミネーターを用いて温度80℃、圧力2MPa、ラインスピード2m/分の条件で貼り合せることで絶縁層と導電層を備えた電磁波シールドシート1を作製した。
【0113】
(実施例13〜20、比較例3〜5)
実施例12の原料および配合量を表1に示す通りに変えた以外は、実施例12と同様に行うことでそれぞれ実施例13〜20、比較例3〜5の電磁波シールドシートを作製した。
【0114】
(実施例21)
「工程2−1」
熱硬化性ポリアミド樹脂100部に対して、エポキシ化合物20部、導電性微粒子70部、金属キレート化合物3部、複素環アミン化合物(1)5部を加え、トルエンを加えディスパーで攪拌混合することで導電性樹脂組成物を得た。得られた導電性樹脂組成物を、バーコーターを使用して乾燥後の厚みが10μmになるように剥離性フィルム(厚さ75μm)に塗工し、100℃で2分間加熱乾燥して、異方導電性の導電層を作製した。
「工程2−2」
上記「工程1−2」と同様に作製した絶縁層と、銅箔の粗化処理面とをラミネーターを用いて温度80℃、圧力2MPa、ラインスピード2m/分の条件で貼り合せて積層体をえた。積層体の銅箔面と得られた導電層とを上記同様の条件で貼り合わせることで絶縁層、金属層および導電層を備えた電磁波シールドシートを作製した。
【0115】
(実施例22〜29、比較例6、7)
実施例21の導電性樹脂組成物の原料および配合量を表2に示す通りに変えた以外は、実施例21と同様に行うことでそれぞれ実施例22〜29、比較例6、7の電磁波シールドシートを作製した。
ただし、実施例4、19、28、および34は参考例である。
【0116】
得られた導電性接着シートおよび電磁波シールドシートについて以下の物性を評価した。
【0117】
「導電性接着シートの評価」
(1)接着力
導電性接着シートを幅10mm・長さ100mmの大きさに準備し、被着体1の金メッキ面にロール式ラミネートで貼り付けた。次いで導電性接着シートの剥離性シートを剥離し、2層CCLのポリイミド面と貼り合わせることで積層体を得た。前記積層体を、170℃、2MPa、5分の条件で圧着処理をした後、160℃の電気オーブンで60分加熱を行い「2層CCL/導電性接着剤層/被着体1」の積層体を得た。前記積層体について、導電性接着剤層と金属メッキ面との接着力(N/cm)を、23℃相対湿度50%の雰囲気下、引っ張り速度50mm/minで剥離角90°の条件で測定した。実施例2、3については、被着体1の代わりに被着体2、3をそれぞれ使用した以外、同様の方法で測定した。なお結果は、以下の基準で評価した。
◎:「6(N/cm)以上の接着強度」優れている。
○:「4.5(N/cm)以上、6(N/cm)未満の接着強度」良好
△:「3(N/cm)以上、4.5(N/cm)未満の接着強度」実用可
×:「3(N/cm)未満の接着強度」実用不可
【0118】
(2)耐熱性
前記接着強度の測定で使用した積層体と同じ積層体を準備した。次いで前記積層体を、2層CCLのポリイミド面を下にして260℃の溶融ハンダに1分間浮かべた。積層体を溶融ハンダから取り出して、導電性接着剤層の外観を目視で確認し、次の基準で評価した。なお評価には、5サンプルを使用した。
◎:全サンプルで気泡が発生しなかった。優れている
○:1サンプルに気泡が発生した。良好
△:2〜3サンプルに気泡が発生した。実用可
×:4サンプル以上に気泡が発生した。実用不可
【0119】
(3)接続抵抗値
導電性接着シートを幅20mm・長さ50mmの大きさに準備し試料25とした。
図4(4)の平面図を示して説明すると試料25の露出した導電性接着剤層25を、別に作製したFPC(厚み12.5μmのポリイミドフィルム21上に、互いに電気的に接続されていない厚み18μmの銅箔回路22A、および銅箔回路22Bが形成されており、銅箔回路22A上に、接着剤付きの、厚み37.5μm、直径1.6mmのスルーホール24を有するカバーフィルム23が積層された配線板)にロール式ラミネートで貼り合わせた。次いで導電性接着剤層25から剥離性フィルムを剥がし、露出した導電性接着剤層25に厚さ3mmのステンレス板26を載せ、170℃、2MPaの条件で1時間圧着して、導電性接着剤層25を硬化させた。圧着後、リフロー炉「UNI−5016」(日本アントン社製)を用いてピーク温度260℃で3回加熱処理を行った。この積層体の銅箔回路22Aと銅箔回路22B間の接続抵抗値を三菱化学製「ロレスターGP」の4探針プローブを用いて測定した。なお、
図4(2)は、
図4(1)のD−D’断面図、
図4(3)は
図4(1)のC−C’断面図である。同様に
図4(5)は、
図4(4)のD−D’断面図、
図4(6)は
図4(4)のC−C’断面図である。接続抵抗値の評価基準は以下の通りである。
◎:接続抵抗値100mΩ未満 優れている。
○:接続抵抗値100mΩ以上、250mΩ未満 良好
△:接続抵抗値250mΩ以上、500mΩ未満 実用可
×:接続抵抗値500mΩ以上 実用不可
【0120】
結果を表1に示す。
【0121】
【表1】
【0122】
【表2】
【0123】
「電磁波シールシートの評価」
(4)接着力
電磁波シールドシートを幅10mm・長さ100mmの大きさに準備し、導電層側の剥離性シートを剥がして露出した導電層を被着体1の金メッキ面にロール式ラミネートで貼り付けた。次いで絶縁層側の剥離性シートを剥離し、露出した絶縁層に厚さ25μmの接着シート(トーヨーケム社製)を介して厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)「カプトン200EN」)と貼り合わせて試料を得た。その後、試料を保護するため試料の両面を2枚の厚さ125μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)「カプトン500H」)で挟み、170℃、2MPa、30分の条件で圧着処理を行い「被着体1/電磁波シールドシート/25μm接着シート/50μmポリイミドフィルム」の積層体を得た。前記積層体について、導電層と金属メッキ面との間の接着力を測るため、23℃相対湿度50%の雰囲気下で、引っ張り速度50mm/minで剥離角90°で剥離試験をおこない、の接着強度(N/cm)を測定した。なお結果は、以下の基準で評価した。
◎:「6(N/cm)以上の接着強度」優れている。
○:「4.5(N/cm)以上、6(N/cm)未満の接着強度」良好
△:「3(N/cm)以上、4.5(N/cm)未満の接着強度」実用可
×:「3(N/cm)未満の接着強度」実用不可
【0124】
(5)耐熱性
電磁波シールドシートを幅30mm・長さ40mmの大きさに準備し、導電層側の剥離性シートを剥離し、露出した導電層を被着体1の金メッキ面に対してロール式ラミネートで貼り付けて試料を得た。その後、試料を保護するため2枚の厚さ125μmのポリイミドフィルムで挟み、170℃、2MPa、30分の条件で圧着処理を行い、「被着体1/電磁波シールドシート」の積層体を得た。次いで前記積層体の絶縁層側の剥離フィルムを剥がし、被着体1のポリイミド面を下にして260℃の溶融ハンダに1分間浮かべた。溶融ハンダから取り出した積層体の外観を目視で確認し、次の基準で評価した。なお評価には、5サンプルを使用した。
◎:全サンプルで気泡が発生しなかった。優れている
○:1サンプルに気泡が発生した。良好
△:2〜3サンプルに気泡が発生した。実用可
×:4サンプル以上に気泡が発生した。実用不可
【0125】
(6)接続抵抗値
電磁波シールドシートを幅20mm・長さ50mmの大きさに準備し試料35とした。
図5(4)の平面図を示して説明すると試料35から剥離性フィルムを剥がし、露出した導電層35bを、別に作製したFPC(厚み12.5μmのポリイミドフィルム31上に、互いに電気的に接続されていない厚み18μmの銅箔回路32A、および銅箔回路32Bが形成されており、銅箔回路32A上に、接着剤付きの、厚み37.5μm、直径1.6mmのスルーホール34を有するカバーフィルム33が積層された配線板)にロール式ラミネートで貼り合わせた。次いで試料を保護するために絶縁層35aから剥離性フィルムを剥がし、露出した絶縁層35aに厚さ125μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)「カプトン500H」)を重ね、170℃、2MPaの条件で30分間圧着して、導電層25を硬化させた。圧着後、リフロー炉「UNI−5016」(日本アントン社製)を用いてピーク温度260℃で3回加熱処理を行った。この積層体の銅箔回路22Aと銅箔回路22B間の接続抵抗値を三菱化学製「ロレスターGP」の4探針プローブを用いて測定した。なお、
図5(2)は、
図5(1)のD−D’断面図、
図5(3)は
図5(1)のC−C’断面図である。同様に
図5(5)は、
図5(4)のD−D’断面図、
図5(6)は、
図5(4)のC−C’断面図である。
◎:接続抵抗値100mΩ未満 優れている。
○:接続抵抗値100mΩ以上、250mΩ未満 良好
△:接続抵抗値250mΩ以上、500mΩ未満 実用可
×:接続抵抗値500mΩ以上 実用不可
【0126】
得られた結果を表3〜表6に示す。
【0127】
【表3】
【0128】
【表4】
【0129】
【表5】
【0130】
【表6】