(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1インダクタを介して直列に接続された高圧側スイッチングデバイス及び第1低圧側スイッチングデバイスと、前記第1インダクタ及び前記第1低圧側スイッチングデバイスの接続点に一端を接続した第2インダクタと、前記第1低圧側スイッチングデバイスに並列に接続したキャパシタと、前記高圧側スイッチングデバイス及び第1低圧側スイッチングデバイスをオン/オフして所定の動作モードで動作させる制御部とを備える昇降圧変換装置であって、
降圧変換時に前記第2インダクタを通じて電流を出力し、
前記制御部は、昇圧変換時に、
前記第1低圧側スイッチングデバイスをオンにして前記第2インダクタに電流を流す第1モードで動作させ、
該第1モードでの動作後に前記第1低圧側スイッチングデバイスをオフにして前記第1インダクタ、前記第2インダクタ及び前記キャパシタによる共振電流を流す第2モードで動作させ、
前記第2モードで前記第1低圧側スイッチングデバイスの電圧が所定の電圧閾値以下になった場合、該第1低圧側スイッチングデバイスをオンして前記第1モードへ移行させる昇降圧変換装置。
コンピュータに、第1インダクタを介して直列に接続された高圧側スイッチングデバイス及び第1低圧側スイッチングデバイスと、前記第1インダクタ及び前記第1低圧側スイッチングデバイスの接続点に一端を接続した第2インダクタと、前記第1低圧側スイッチングデバイスに並列に接続したキャパシタとを備える昇降圧変換装置を制御させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、
降圧変換時に前記第2インダクタを通じて電流を出力させ、
コンピュータを、
前記高圧側スイッチングデバイス及び第1低圧側スイッチングデバイスをオン/オフして所定の動作モードで動作させる制御部として機能させ、
該制御部は、昇圧変換時に、
前記第1低圧側スイッチングデバイスをオンにして前記第2インダクタに電流を流す第1モードで動作させ、
該第1モードでの動作後に前記第1低圧側スイッチングデバイスをオフにして前記第1インダクタ、前記第2インダクタ及び前記キャパシタによる共振電流を流す第2モードで動作させ、
前記第2モードで前記第1低圧側スイッチングデバイスの電圧が0になった場合、該第1低圧側スイッチングデバイスをオンして前記第1モードへ移行させる処理を実行するコンピュータプログラム。
第1インダクタを介して直列に接続された高圧側スイッチングデバイス及び第1低圧側スイッチングデバイスと、前記第1インダクタ及び前記第1低圧側スイッチングデバイスの接続点に一端を接続した第2インダクタと、前記第1低圧側スイッチングデバイスに並列に接続したキャパシタとを備える昇降圧変換装置の制御方法であって、
降圧変換時に前記第2インダクタを通じて電流を出力し、
前記高圧側スイッチングデバイス及び第1低圧側スイッチングデバイスをオン/オフして所定の動作モードで制御部が動作させ、
該制御部は、昇圧変換時に、
前記第1低圧側スイッチングデバイスをオンにして前記第2インダクタに電流を流す第1モードで動作させ、
該第1モードでの動作後に前記第1低圧側スイッチングデバイスをオフにして前記第1インダクタ、前記第2インダクタ及び前記キャパシタによる共振電流を流す第2モードで動作させ、
前記第2モードで前記第1低圧側スイッチングデバイスの電圧が0になった場合、該第1低圧側スイッチングデバイスをオンして前記第1モードへ移行させる昇降圧変換装置の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本願発明の実施形態の説明]
本発明の実施の形態に係る昇降圧変換装置は、第1インダクタを介して直列に接続された高圧側スイッチングデバイス及び第1低圧側スイッチングデバイスと、前記第1インダクタ及び前記第1低圧側スイッチングデバイスの接続点に一端を接続した第2インダクタと、前記第1低圧側スイッチングデバイスに並列に接続したキャパシタと、前記高圧側スイッチングデバイス及び第1低圧側スイッチングデバイスをオン/オフして所定の動作モードで動作させる制御部とを備える昇降圧変換装置であって、降圧変換時に前記第2インダクタを通じて電流を出力し、前記制御部は、昇圧変換時に、前記第1低圧側スイッチングデバイスをオンにして前記第2インダクタに電流を流す第1モードで動作させ、該第1モードでの動作後に前記第1低圧側スイッチングデバイスをオフにして前記第1インダクタ、前記第2インダクタ及び前記キャパシタによる共振電流を流す第2モードで動作させ、前記第2モードで前記第1低圧側スイッチングデバイスの電圧が所定の電圧閾値以下になった場合、該第1低圧側スイッチングデバイスをオンして前記第1モードへ移行させる。
【0013】
本発明の実施の形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、第1インダクタを介して直列に接続された高圧側スイッチングデバイス及び第1低圧側スイッチングデバイスと、前記第1インダクタ及び前記第1低圧側スイッチングデバイスの接続点に一端を接続した第2インダクタと、前記第1低圧側スイッチングデバイスに並列に接続したキャパシタとを備える昇降圧変換装置を制御させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、降圧変換時に前記第2インダクタを通じて電流を出力させ、コンピュータを、前記高圧側スイッチングデバイス及び第1低圧側スイッチングデバイスをオン/オフして所定の動作モードで動作させる制御部として機能させ、該制御部は、昇圧変換時に、前記第1低圧側スイッチングデバイスをオンにして前記第2インダクタに電流を流す第1モードで動作させ、該第1モードでの動作後に前記第1低圧側スイッチングデバイスをオフにして前記第1インダクタ、前記第2インダクタ及び前記キャパシタによる共振電流を流す第2モードで動作させ、前記第2モードで前記第1低圧側スイッチングデバイスの電圧が0になった場合、該第1低圧側スイッチングデバイスをオンして前記第1モードへ移行させる処理を実行する。
【0014】
本発明の実施の形態に係る昇降圧変換装置の制御方法は、第1インダクタを介して直列に接続された高圧側スイッチングデバイス及び第1低圧側スイッチングデバイスと、前記第1インダクタ及び前記第1低圧側スイッチングデバイスの接続点に一端を接続した第2インダクタと、前記第1低圧側スイッチングデバイスに並列に接続したキャパシタとを備える昇降圧変換装置の制御方法であって、降圧変換時に前記第2インダクタを通じて電流を出力し、前記高圧側スイッチングデバイス及び第1低圧側スイッチングデバイスをオン/オフして所定の動作モードで制御部が動作させ、該制御部は、昇圧変換時に、前記第1低圧側スイッチングデバイスをオンにして前記第2インダクタに電流を流す第1モードで動作させ、該第1モードでの動作後に前記第1低圧側スイッチングデバイスをオフにして前記第1インダクタ、前記第2インダクタ及び前記キャパシタによる共振電流を流す第2モードで動作させ、前記第2モードで前記第1低圧側スイッチングデバイスの電圧が0になった場合、該第1低圧側スイッチングデバイスをオンして前記第1モードへ移行させる。
【0015】
制御部は、昇圧変換時に、第1低圧側スイッチングデバイスをオンにして第2インダクタに電流を流す第1モードで動作させる。第1低圧側スイッチングデバイスをオンにすることにより、第2インダクタにエネルギーが蓄積される。
【0016】
制御部は、第1モードでの動作後に第1低圧側スイッチングデバイスをオフにして第1インダクタ、第2インダクタ及びキャパシタによる共振電流を流す第2モードで動作させる。第1低圧側スイッチングデバイスをオフにすることにより、第1低圧側スイッチングデバイスを流れていた電流は、第1低圧側スイッチングデバイスに並列に接続されたキャパシタを通じて流れるようになり、まず、キャパシタと第2インダクタとの共振電流が流れる。そして、キャパシタの電圧が上昇すると、第1インダクタ、第2インダクタ及びキャパシタによる共振電流が流れる。
【0017】
制御部は、第2モードで第1低圧側スイッチングデバイスの電圧が所定の電圧閾値以下になった場合、第1低圧側スイッチングデバイスをオンして第1モードへ移行させる。前述の第2モードで動作中、共振によりキャパシタの電圧、すなわち第1低圧側スイッチングデバイスの電圧が上昇した後に下降する。電圧閾値は、例えば、0V又は0V付近の電圧とすることができる。例えば、第1低圧側スイッチングデバイスの電圧が0Vになった場合に、第1低圧側スイッチングデバイスをオンするので、第1低圧側スイッチングデバイスがオンしたときの電圧×電流で表されるスイッチング損失を低減することができる。
【0018】
本発明の実施の形態に係る昇降圧変換装置は、前記制御部は、前記第2モードにて、前記高圧側スイッチングデバイスがオフの状態で、前記第2インダクタ及び前記キャパシタによる共振電流を流す。
【0019】
本発明の実施の形態に係る昇降圧変換装置は、前記制御部は、前記第2モードにて、前記第1低圧側スイッチングデバイスがオフの状態で、該第1低圧側スイッチングデバイスに並列に接続されたダイオードを介して前記共振電流を流す。
【0020】
本発明の実施の形態に係る昇降圧変換装置は、前記第1低圧側スイッチングデバイスの電圧を検出する電圧検出部を備え、前記制御部は、前記電圧検出部で検出した電圧が前記電圧閾値以下である場合、前記第1低圧側スイッチングデバイスをオンして前記第1モードへ移行させる。
【0021】
電圧検出部は、第1低圧側スイッチングデバイスの電圧を検出する。制御部は、電圧検出部で検出した電圧が電圧閾値以下である場合、第1低圧側スイッチングデバイスをオンして第1モードへ移行させる。
【0022】
第1低圧側スイッチングデバイスの電圧が電圧閾値以下になった場合に、第1低圧側スイッチングデバイスをオンするので、第1低圧側スイッチングデバイスがオンしたときの電圧×電流で表されるスイッチング損失を低減することができる。
【0023】
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
図1は本実施の形態の昇降圧変換装置の回路構成の一例を示す説明図である。本実施の形態の昇降圧変換装置は、高圧側の端子H及びG、低圧側の端子L及びGを備える。端子H及びGには、例えば、リチウムイオン電池などの比較的高い電圧(例えば、12V系のバッテリに比べて高い電圧)のバッテリを接続し、端子L及びGには、例えば、鉛蓄電池などの比較的低い電圧(例えば、12Vなど)のバッテリを接続することができる。なお、以下では、スイッチングデバイスをMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)として説明するが、スイッチングデバイスはMOSFETに限定されるものではなく、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのデバイスであってもよい。
【0024】
昇降圧変換装置の端子Hには、高圧側スイッチングデバイス10のドレインを接続してあり、高圧側スイッチングデバイス10のソースには、第1インダクタ1の一端を接続してある。第1インダクタ1の他端には、低圧側スイッチングデバイス20のドレインを接続してあり、低圧側スイッチングデバイス20のソースは端子Gに接続してある。低圧側スイッチングデバイス20のドレイン・ソース間には、キャパシタ3を並列に接続してある。また、第1インダクタ1と低圧側スイッチングデバイス20との接続点には、第2インダクタ2の一端を接続してあり、第2インダクタ2の他端は端子Lに接続してある。端子H及びG間には、キャパシタ4を接続してあり、端子L及びG間には、キャパシタ5を接続してある。
【0025】
制御部50は、高圧側スイッチングデバイス10及び低圧側スイッチングデバイス20のオン・オフを制御する。また、制御部50は、昇降圧変換装置を後述の各動作モードで動作させる。また、制御部50は、低圧側スイッチングデバイス20のドレイン・ソース間の電圧、すなわちキャパシタ3の両端の電圧を検出する電圧検出部としての機能を有する。
【0026】
すなわち、昇降圧変換装置は、第1インダクタ1を介して直列に接続された高圧側スイッチングデバイス10及び第1低圧側スイッチングデバイス20と、第1インダクタ1及び第1低圧側スイッチングデバイス20の接続点に一端を接続した第2インダクタ2と、第1低圧側スイッチングデバイス20に並列に接続したキャパシタ3と、高圧側スイッチングデバイス10及び第1低圧側スイッチングデバイス20をオン/オフして所定の動作モードで動作させる制御部50とを備える。
【0027】
次に、本実施の形態の昇降圧変換装置の昇圧動作(昇圧変換)について説明する。
図2は本実施の形態の昇降圧変換装置の昇圧動作の状態U1の一例を示す説明図である。状態U1は、第1モードに対応する。
図2に示すように、制御部50は、高圧側スイッチングデバイス10をオフにし、第1低圧側スイッチングデバイス20をオンにして第2インダクタ2に電流を流す第1モードで動作させる。第1低圧側スイッチングデバイス20をオンにすることにより、端子L及びG側から第2インダクタ2、第1低圧側スイッチングデバイス20を介して電流が流れ、第2インダクタ2にエネルギーが蓄積される。
【0028】
図3は本実施の形態の昇降圧変換装置の昇圧動作の状態U2の一例を示す説明図である。状態U2は、第2モードに対応する。
図3に示すように、
図2に示す第1モードでの動作後に、制御部50は、第1低圧側スイッチングデバイス20をオフにする。これにより、第2インダクタ2とキャパシタ3との共振による電流が流れる。キャパシタ3の電圧が端子L及びG間の電圧を超えると、第2インダクタ2に流れる電流が減少し始める。
【0029】
図4は本実施の形態の昇降圧変換装置の昇圧動作の状態U3の一例を示す説明図である。状態U3も第2モードに対応する。
図3に示す状態で、共振によりキャパシタ3の電圧が上昇し、キャパシタ3の電圧が端子H及びG間の電圧を超えると、
図4に示すように、高圧側スイッチングデバイス10を通じて端子H及びG(負荷側)に電流が流れ、第1インダクタ1、第2インダクタ2及びキャパシタ3による共振に移行する。このとき、制御部50は、高圧側スイッチングデバイス10をオンにする。
【0030】
図5は本実施の形態の昇降圧変換装置の昇圧動作の状態U4の一例を示す説明図である。状態U4も第2モードに対応する。第1インダクタ1、第2インダクタ2及びキャパシタ3による共振により、キャパシタ3に流れる電流の向きが逆転し、キャパシタ3に蓄えられた電荷が放電するとともに、キャパシタ3の電圧が下がる。この状態では、高圧側スイッチングデバイス10を通じて端子H及びG(負荷側)に電流が流れている。
【0031】
図6は本実施の形態の昇降圧変換装置の昇圧動作の状態U5の一例を示す説明図である。状態U5も第2モードに対応する。キャパシタ3の電圧が下がり、所定の電圧閾値(例えば、0V付近の値)になると、第1低圧側スイッチングデバイス20のダイオードが逆バイアスの状態から順バイアスの状態となり、当該ダイオードを通じて端子H及びG(負荷側)に電流が流れる。
図6に示す状態では、第1低圧側スイッチングデバイス20のドレイン・ソース間の電圧は、所定の電圧閾値以下である。
【0032】
図7は本実施の形態の昇降圧変換装置の昇圧動作の状態U6の一例を示す説明図である。状態U6において、第1低圧側スイッチングデバイス20をオンする。第1低圧側スイッチングデバイス20のドレイン・ソース間の電圧は、所定の電圧閾値以下であるので、第1低圧側スイッチングデバイス20をオンしても、第1低圧側スイッチングデバイス20がオンしたときの電圧×電流で表されるスイッチング損失を低減することができる。また、第1低圧側スイッチングデバイス20をオンすることにより、第2インダクタ2には、端子L及びGから電流が流れ、端子H及びGへ流れる電流は消滅して、第1モード(
図2に示す状態U1)に移行する。
【0033】
図8は本実施の形態の昇降圧変換装置の昇圧動作時の各部の波形の一例を示す説明図である。
図8において横軸は時間を示す。上段の図から順番に、第2インダクタ2の電圧波形及び電流波形、第1低圧側スイッチングデバイス20の電圧波形及び電流波形、キャパシタ3の電圧波形及び電流波形、高圧側スイッチングデバイス10の電圧波形及び電流波形、第1インダクタ1の電圧波形及び電流波形を示す。
【0034】
図8に示すように、状態U1では、第2インダクタ2に電流が流れ、第2インダクタ2にエネルギーが蓄積される様子がわかる。
【0035】
状態U2では、第1低圧側スイッチングデバイス20がオンからオフになり、キャパシタ3の電流が増加するとともに、キャパシタ3の電圧は、第2インダクタ2との共振により正弦波状に増加している。
【0036】
状態U3では、高圧側スイッチングデバイス10がオフからオンになり、キャパシタ3の電圧が端子H及びG間の電圧を超え、高圧側スイッチングデバイス10を通じて、第1インダクタ1、第2インダクタ2及びキャパシタ3の共振による正弦波状の電流が端子H及びG間へ流れる。
【0037】
状態U4では、キャパシタ3の電圧が増加から減少へ転じ、電圧が0に近づく。
【0038】
状態U5では、キャパシタ3の電圧が0になり、第1低圧側スイッチングデバイス20のドレイン・ソース間の電圧も0となる。
【0039】
状態U6では、第1低圧側スイッチングデバイス20がオフからオンになる。このとき、第1低圧側スイッチングデバイス20のドレイン・ソース間の電圧は0Vであるので、第1低圧側スイッチングデバイス20の電流が急激に増加しても、スイッチング損失を低減することができる(
図8の符号Aで示す箇所)。状態U6の後は状態U1に移行する。
【0040】
上述のように、制御部50は、第1モードの後に第1低圧側スイッチングデバイス20をオフにして第1インダクタ1、第2インダクタ2及びキャパシタ3による共振電流を流す第2モードで動作させる。第1低圧側スイッチングデバイス20をオフにすることにより、第1低圧側スイッチングデバイス20を流れていた電流は、第1低圧側スイッチングデバイス20に並列に接続されたキャパシタ3を通じて流れるようになり、まず、キャパシタ3と第2インダクタ2との共振電流が流れる。そして、キャパシタ3の電圧が上昇すると、第1インダクタ1、第2インダクタ2及びキャパシタ3による共振電流が流れる。
【0041】
制御部50は、第2モードで第1低圧側スイッチングデバイス20の電圧が所定の電圧閾値以下になった場合、第1低圧側スイッチングデバイス20をオンして第1モードへ移行させる。前述の第2モードで動作中、共振によりキャパシタ3の電圧、すなわち第1低圧側スイッチングデバイス20の電圧が上昇した後に下降する。電圧閾値は、例えば、0V付近の電圧とすることができる。例えば、第1低圧側スイッチングデバイス20の電圧が0V付近になった場合に、第1低圧側スイッチングデバイス20をオンするので、第1低圧側スイッチングデバイス20がオンしたときの電圧×電流で表されるスイッチング損失を低減することができる。
【0042】
また、制御部50は、電圧検出部としての機能を有し、第1低圧側スイッチングデバイス20のドレイン・ソース間の電圧を検出する。制御部50は、検出した電圧が電圧閾値以下である場合、第1低圧側スイッチングデバイス20をオンして第1モードへ移行させる。第1低圧側スイッチングデバイス20の電圧が電圧閾値以下になった場合に、第1低圧側スイッチングデバイス20をオンするので、第1低圧側スイッチングデバイス20がオンしたときの電圧×電流で表されるスイッチング損失を低減することができる。
【0043】
図9は本実施の形態の昇降圧変換装置の回路構成の他の例を示す説明図である。
図1に示す例との相違点は、
図9では、高圧側スイッチングデバイス10と第1インダクタ1との接続点に接続され、高圧側スイッチングデバイス10と直列をなす第2低圧側スイッチングデバイス30を備える。
図9は第3モードとしての昇圧動作の状態U7を示す。
【0044】
制御部50は、
図5で例示した状態U4(第2モード)において、第2低圧側スイッチングデバイス30をオンにする第3モードで動作させる。第1インダクタ1、第2インダクタ2及びキャパシタ3による共振電流を流す第2モードで動作させた場合に、キャパシタ3の電圧が上昇した後に下降するが、キャパシタ3の電圧が十分に低下しないときは、第2低圧側スイッチングデバイス30をオンにすることにより、キャパシタ3の電荷を、第1インダクタ1を介して第2低圧側スイッチングデバイス30へ流し、キャパシタ3の電圧を低下させ、所定の電圧閾値以下にする。
【0045】
制御部50は、状態U7(第3モード)の後に第1低圧側スイッチングデバイス20をオンして、
図6に例示する状態U5へ移行させる。状態U7(第3モード)にて、キャパシタ3の電圧、すなわち第1低圧側スイッチングデバイス20の電圧は電圧閾値以下に低下しているので、第1低圧側スイッチングデバイス20がオンしたときの電圧×電流で表されるスイッチング損失を低減することができる。
【0046】
図10は本実施の形態の昇降圧変換装置の軽負荷時の昇圧動作の一例を示す説明図である。昇降圧変換装置の構成は、
図9に例示した構成と同じである。端子H及びG間の負荷が軽負荷である場合(例えば、電流値が小さい場合)、第1低圧側スイッチングデバイス20を常時オフにし、第2低圧側スイッチングデバイス30を、第2インダクタ2及びキャパシタ3の共振周波数よりも高い周波数でオン・オフを繰り返す。
【0047】
第2低圧側スイッチングデバイス30がオンの状態では、
図10の実線の符号で示す向きに電流が流れ、第1インダクタ1及び第2インダクタ2にエネルギーが蓄積される。第2低圧側スイッチングデバイス30がオフの状態では、
図10の破線の符号で示す向きに電流が流れ、端子H及びGを通じて負荷に電流が供給される。軽負荷である場合には、スイッチングデバイスのスイッチング損失を抑制することができる。
【0048】
次に、本実施の形態の昇降圧変換装置の降圧動作について説明する。
図11は本実施の形態の昇降圧変換装置の降圧動作の状態D1の一例を示す説明図である。状態D1では、高圧側スイッチングデバイス10をオンし、第1低圧側スイッチングデバイス20をオフする。端子H及びG側から高圧側スイッチングデバイス10を通じて、第1インダクタ1とキャパシタ3の共振電流が流れる。また、端子H及びG間の電圧と、端子L及びG間の電圧との差に応じて、第2インダクタ2を通じて端子L及びG側(負荷側)に電流が流れる。
【0049】
図12は本実施の形態の昇降圧変換装置の降圧動作の状態D2の一例を示す説明図である。状態D2では、高圧側スイッチングデバイス10はオンのままであり、第1低圧側スイッチングデバイス20はオフのままである。状態D2では、第1インダクタ1とキャパシタ3の共振電流の向きが逆転し、高圧側スイッチングデバイス10に流れる電流が減少する。
【0050】
図13は本実施の形態の昇降圧変換装置の降圧動作の状態D3の一例を示す説明図である。前述の状態D2において、高圧側スイッチングデバイス10に流れる電流が0又は0に近い小さい値になったときに、高圧側スイッチングデバイス10をオフにすることで状態D3となる。状態D3では、キャパシタ3の残留電荷が端子L及びG側(負荷側)に放出され、キャパシタ3の電圧が下がる。
【0051】
図14は本実施の形態の昇降圧変換装置の降圧動作の状態D4の一例を示す説明図である。状態D4では、高圧側スイッチングデバイス10がオフのままであり、第1低圧側スイッチングデバイス20をオンする。キャパシタ3の電圧が0Vに近づくと、第1低圧側スイッチングデバイス20のダイオードが逆バイアスから順バイアスとなり、当該ダイオードに電流が流れる。第1低圧側スイッチングデバイス20のドレイン・ソース間の電圧が0V又は0V程度の小さい電圧になったときに、第1低圧側スイッチングデバイス20をオンするので、第1低圧側スイッチングデバイス20のスイッチング損失を低減することができる。また、状態D4の後は状態D1に移行する。
【0052】
次に、本実施の形態の昇降圧変換装置の昇圧動作の処理手順について説明する。
図15は本実施の形態の昇降圧変換装置の昇圧動作の処理手順の第1例を示すフローチャートである。制御部50は、高圧側スイッチングデバイス10をオフし(S11)、低圧側スイッチングデバイス20をオンし(S12)、第2インダクタ2に電流を流す。制御部50は、低圧側スイッチングデバイス20をオフにして、第2インダクタ2とキャパシタ3とで共振させ(S13)、高圧側スイッチングデバイス10をオンし(S14)、第1インダクタ1、第2インダクタ2及びキャパシタ3とで共振させる(S15)。
【0053】
制御部50は、低圧側スイッチングデバイス20の電圧が所定の電圧閾値以下であるか否かを判定し(S16)、低圧側スイッチングデバイス20の電圧が所定の電圧閾値以下でない場合(S16でNO)、ステップS16の処理を続ける。
【0054】
低圧側スイッチングデバイス20の電圧が所定の電圧閾値以下である場合(S16でYES)、制御部50は、低圧側スイッチングデバイス20をオンする(S17)。制御部50は、第1インダクタ1に流れる電流が減少すると(S18)、高圧側スイッチングデバイス10をオフし(S19)、昇圧変換(昇圧動作)を終了するか否かを判定する(S20)。昇圧変換を終了しない場合(S20でNO)、制御部50は、ステップS13以降の処理を続け、昇圧変換を終了する場合(S20でYES)、処理を終了する。
【0055】
図16は本実施の形態の昇降圧変換装置の昇圧動作の処理手順の第2例を示すフローチャートである。制御部50は、高圧側スイッチングデバイス10をオフし(S31)、第1低圧側スイッチングデバイス20をオンし(S32)、第2インダクタ2に電流を流す。制御部50は、第1低圧側スイッチングデバイス20をオフにして、第2インダクタ2とキャパシタ3とで共振させ(S33)、高圧側スイッチングデバイス10をオンし(S34)、第1インダクタ1、第2インダクタ2及びキャパシタ3とで共振させる(S35)。
【0056】
制御部50は、第2低圧側スイッチングデバイス30をオンし(S36)、キャパシタ3の電荷を、第2低圧側スイッチングデバイス30を通じて放出させることにより、キャパシタ3の電圧を0Vに近づける。
【0057】
制御部50は、第1低圧側スイッチングデバイス20をオンし(S37)、第2低圧側スイッチングデバイス30をオフにする(S38)。制御部50は、第1インダクタ1に流れる電流が減少すると(S39)、高圧側スイッチングデバイス10をオフし(S40)、昇圧変換(昇圧動作)を終了するか否かを判定する(S41)。昇圧変換を終了しない場合(S41でNO)、制御部50は、ステップS33以降の処理を続け、昇圧変換を終了する場合(S41でYES)、処理を終了する。
【0058】
本実施の形態の昇降圧変換装置の制御方法は、制御部50を、例えば、CPU(プロセッサ)、RAM(メモリ)などで構成し、
図15及び
図16に示すような、各処理の手順を定めたコンピュータプログラムをRAM(メモリ)にロードし、コンピュータプログラムをCPU(プロセッサ)で実行することにより、コンピュータ上で昇降圧変換装置の制御方法を実現することができる。
【0059】
上述のように、本実施の形態の昇降圧変換装置では、例えば、スイッチングデバイス、インダクタ、ダイオードなどの部品を追加することなく、昇圧動作でのスイッチングデバイスのスイッチング損失を低減することができる。
【0060】
以上に開示された実施の形態及び実施例は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態及び実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての修正や変形を含むものと意図される。
【解決手段】制御部は、昇圧変換時に、第1低圧側スイッチングデバイスをオンにして第2インダクタに電流を流す第1モードで動作させ、第1モードの後に第1低圧側スイッチングデバイスをオフにして第1インダクタ、第2インダクタ及びキャパシタによる共振電流を流す第2モードで動作させ、第2モードで第1低圧側スイッチングデバイスの電圧が所定の電圧閾値以下になった場合、第1低圧側スイッチングデバイスをオンして第1モードへ移行させる。