【実施例】
【0013】
図1は、本実施例に係る光モジュール100の構成を示す平面模式図である。
図1に示す光モジュール100は、プリント回路板(PCB:Printed Circuits Board)110、光変調器120、接続部材130、配線パターン140及びドライバ150を有する。
【0014】
PCB110は、例えばガラスエポキシ基板などであり、光モジュール100を構成する各種の部品を搭載する。なお、
図1では省略したが、PCB110には、データ信号の入力インタフェースが実装される。入力インタフェースは、光変調器120に接続される光ファイバ121aに近接する位置に形成される。また、PCB110の表面には、配線パターンがプリントされ、例えば入力インタフェースとドライバ150とが配線パターンによって電気的に接続される。
【0015】
光変調器120は、光が入力される光ファイバ121aと、光が出力される光ファイバ121bとに接続される。光変調器120は、光ファイバ121aから出射される光を変調して光信号を出力する。このとき、光変調器120は、ドライバ150から出力される高周波の電気信号であるRF信号に基づいて光変調を行う。また、光変調器120は、図示しないLSI(Large Scale Integration)から出力される直流の電気信号であるDC信号に基づいて光信号の位相制御を行う。具体的には、光変調器120は、変調器チップ122、偏波ビームコンバイナ(Polarization Beam Combiner:PBC)123、中継基板124、DC端子125及び終端基板126を有する。
【0016】
変調器チップ122は、光導波路122aと信号電極及び接地電極とから構成され、光ファイバ121aから出射される光を光導波路122aによって伝搬しつつ、光変調を行って光信号を生成する。変調器チップ122は、信号電極として、RF信号が入力されるRF電極122bと、DC信号が入力されるDC電極122cとを有する。そして、変調器チップ122は、RF電極122bに入力されるRF信号に基づいて光変調を行う。また、変調器チップ122は、DC電極122cに入力されるDC信号に基づいて光信号の位相制御を行う。RF電極122bとDC電極122cとの位置関係については、後述する。
【0017】
光導波路122aは、例えばニオブ酸リチウム(LiNbO
3(LN))やタンタル酸リチウム(LiTaO
2)などの電気光学結晶を用いた結晶基板上の一部に、チタン(Ti)などの金属膜を形成し熱拡散することによって形成される。また、光導波路122aは、パターニング後に安息香酸中でプロトン交換することによって形成されても良い。一方、信号電極及び接地電極は、平行な光導波路122aに沿って形成されるコプレーナ電極である。
図1においては、変調器チップ122に、平行な光導波路122aとして、平行な複数のマッハツェンダ型光導波路が形成されている。すなわち、1つの入力用の光導波路から分岐された一対の第1のマッハツェンダ型光導波路と、各第1のマッハツェンダ型光導波路の各分岐導波路(アーム)に形成された一対の第2のマッハツェンダ型光導波路が変調器チップ122に形成されている。信号電極(つまり、RF電極122b及びDC電極122c)は、例えばそれぞれのマッハツェンダ型光導波路の上にパターニングされる。
図1の例では、2つの第1のマッハツェンダ型光導波路及び4つの第2のマッハツェンダ型光導波路が形成されている。このため、4つの第2のマッハツェンダ型光導波路に対応して4つのRF電極122bが形成され、2つの第1のマッハツェンダ型光導波路及び4つの第2のマッハツェンダ型光導波路に対応して6つのDC電極122cが形成されている。
【0018】
PBC123は、変調器チップ122から出力される2つの光信号を合成し、偏波方向が直交する2つの偏波を含む光信号を出力する。すなわち、PBC123は、変調器チップ122から出力される一方の光信号の偏波方向を回転させた後、他方の光信号と合成する。
【0019】
中継基板124は、ドライバ150から出力されたRF信号を変調器チップ122へ中継し、変調器チップ122のRF電極122bへ入力する。
図1においては、中継基板124は、変調器チップ122に形成される4つのRF電極122bに対応する4つの配線パターンを有する。
【0020】
DC端子125は、例えばLSIから出力されるDC信号が入力される端子である。光変調器120の側面には、変調器チップ122のDC電極122cの数に応じて、複数のDC端子125が例えば一列に並んで設けられる。
図1においては、変調器チップ122に形成される6つのDC電極122cに対応する6つのDC端子125が設けられる。DC端子125は、例えばワイヤ等の接続部材によって、変調器チップ122のDC電極122cに接続される。DC端子125に入力されるDC信号によって、光変調器120において得られる光信号の位相制御が行われる。
【0021】
終端基板126は、図示しない抵抗部品が搭載され、変調器チップ122のRF電極122bの終端に接続され、RF電極122bに入力されるRF信号を電気的に終端することでRF信号の反射を抑える機能を有する。
【0022】
接続部材130は、光変調器120のPCB110近傍に形成された切欠部201においてドライバ150と光変調器120とを接続し、ドライバ150から出力されるRF信号を光変調器120へ供給する。すなわち、接続部材130の一端は、光変調器120の中継基板124と電気的に接続され、接続部材130の他端は、ドライバ150と電気的に接続される。接続部材130としては、例えば同軸ピンが用いられる。
【0023】
配線パターン140は、ドライバ150に接続されてPCB110上にプリントされた配線であり、ドライバ150から出力されるRF信号を接続部材130へ伝搬する。配線パターン140と接続部材130とは、例えばコネクタによって接続されている。
【0024】
ドライバ150は、光ファイバ121aから出射される光を変調するための電気信号を生成する。すなわち、ドライバ150は、図示しない入力インタフェースから入力されるデータ信号に応じた振幅・位相の高周波な電気信号であるRF信号を生成し、このRF信号によって光変調器120を駆動する。
【0025】
次に、
図1及び
図2を参照して光変調器120、接続部材130及びドライバ150の電気的な接続について説明する。
図2は、本実施例に係る光変調器120、接続部材130及びドライバ150の電気的な接続の説明に供する図である。なお、
図2は、
図1のI−I線における断面図に相当する。
【0026】
図1及び
図2に示すように、光変調器120のPCB110近傍には、切欠部201が形成されており、接続部材130の一端は、光変調器120に形成された切欠部201の内部で光変調器120と接続される。すなわち、光変調器120の切欠部201の上面には、コネクタ202が埋め込まれている。コネクタ202の同軸端子は、切欠部201の上面から光変調器120の内部へ突出し、光変調器120の内部の中継基板124に形成された配線パターンに例えばワイヤにより接続される。コネクタ202としては、例えばプッシュオンコネクタなどを用いることができる。そして、接続部材130がコネクタ202に挿入され、接続部材130がコネクタ202の同軸端子に接触することにより、接続部材130と光変調器120とが電気的に接続される。
【0027】
また、光変調器120の切欠部201は、PCB110に垂直な方向から見てドライバ150が光ファイバ121aに重なる様に、ドライバ150を収容する。上述したように、ドライバ150に入力されるデータ信号の入力インタフェースは、光ファイバ121aに近接する位置に形成される。このように、光変調器120の切欠部201がドライバ150を収容することにより、PCB110に垂直な方向から見て光ファイバ121aに重なるドライバ150と、入力インタフェースとが配線パターンによって接続される際に、配線の迂回が回避される。結果として、配線の迂回に起因した実装面積の増大が抑制され、装置の小型化を実現することができる。
【0028】
さらに、光変調器120の切欠部201は、ドライバ150に接続された配線パターン140を収容する。すなわち、配線パターン140は、切欠部201の内部において、ドライバ150に接続され、切欠部201の上面に埋め込まれたコネクタ202の下方に近づく様に、屈曲する。そして、配線パターン140のコネクタ202側の一端には、コネクタ203が固定されている。コネクタ203としては、例えばプッシュオンコネクタなどを用いることができる。そして、接続部材130がコネクタ203に挿入され、接続部材130がコネクタ203の同軸端子に接触することにより、配線パターン140を介して接続部材130とドライバ150とが電気的に接続される。
【0029】
ここで、光変調器120の切欠部201にドライバ150が収容されることにより、光変調器120の内部の中継基板124が、変調器チップ122の長手方向に沿ってドライバ150の収容部分のサイズだけ光ファイバ121bに近づく様に、配置される。中継基板124からRF信号が入力される変調器チップ122のRF電極122bは、変調器チップ122の光導波路122aに沿って、中継基板124に対応する位置に形成される。このため、ドライバ150の収容部分のサイズに応じて、変調器チップ122の長手方向に沿った中継基板124及びRF電極122bの位置が規定される。このため、切欠部201に収容されたドライバ150の位置とRF電極122bの位置とが離れる場合には、変調器チップ122において、RF電極122bよりも切欠部201に収容されたドライバ150に近い領域に無駄なスペースが発生する可能性がある。
【0030】
そこで、本実施例においては、RF電極122bよりも切欠部201に収容されたドライバ150に近い領域に無駄なスペースを発生させない構造を変調器チップ122に適用するのが好ましい。すなわち、本実施例では、
図1に示すように、DC電極122cは、変調器チップ122の光導波路122aに沿って、RF電極122bよりも切欠部201に収容されたドライバ150に近い位置に形成される。これにより、変調器チップ122において、RF電極122bよりも切欠部201に収容されたドライバ150に近い領域がDC電極122cの形成領域として利用されるので、当該領域に無駄なスペースが発生しない。結果として、光変調器120の長手方向のサイズが削減される。
【0031】
以上のように、本実施例によれば、光ファイバに接続される光変調器の基板側に切欠部を形成し、基板に垂直な方向から見てデータ信号に応じて光変調用の電気信号を生成するドライバが光ファイバに重なる様に、切欠部にドライバを収容する。このため、ドライバと、光ファイバに近接して配置されるデータ信号の入力インタフェースとが接続される際に、配線の迂回が回避される。結果として、配線の配置スペースに対応する実装面積を削減することができ、装置の小型化を実現することができる。
【0032】
なお、上記実施例では、光ファイバ121a、121bが光変調器120(変調器チップ122)の長手方向に配置される場合を示したが、光ファイバ121aを変調器チップ122の長手方向に交差する方向に配置しても良い。
図3は、変形例1に係る光モジュール100の構成を示す平面模式図である。
図3において、
図1と同じ部分には同じ符号を付す。
【0033】
図3に示すように、変形例1に係る光モジュール100では、光ファイバ121aが変調器チップ122の長手方向に交差する方向に配置されている。この場合、光ファイバ121aから出射される光の進行方向と、変調器チップ122の光導波路122aの延伸方向とが異なる。そこで、変形例1では、光ファイバ121aと光変調器120の変調器チップ122とを光路変換素子301を介して光学的に接続して、光ファイバ121aから出射される光の光路を光路変換素子301によって光導波路122aに向かう光路に変換する。これにより、光変調器120の長手方向のサイズを短くすることができる。
【0034】
なお、
図3に示した変形例1では、光ファイバ121bが光変調器120(変調器チップ122)の長手方向に配置されるので、光ファイバ121bの長さだけ光変調器120の長手方向のサイズが余分に長くなる。そこで、例えば
図4に示すように、光ファイバ121bを変調器チップ122の長手方向に交差する方向に配置しても良い。
図4は、変形例2に係る光モジュール100の構成を示す平面模式図である。この場合、光変調器120の変調器チップ122から出力される光(光信号)の進行方向と、光ファイバ121bの配置方向とが異なる。そこで、変形例2では、光変調器120の変調器チップ122と光ファイバ121bとを光路変換素子302を介して光学的に接続して、光変調器120の変調器チップ122から出力される光の光路を光路変換素子302によって光ファイバ121bに向かう光路に変換する。これにより、光変調器120の長手方向サイズをより短くすることができる。なお、光路変換素子302は、PBCとしての機能も有する。
【0035】
また、上記実施例では、変調器チップ122において6つのDC電極122cが2つの第1のマッハツェンダ型光導波路及び4つの第2のマッハツェンダ型光導波路に対応して形成される場合を示したが、DC電極122cの数が削減されても良い。
図5は、変形例3に係る光モジュール100の構成を示す平面模式図である。
図5において、
図1と同じ部分には同じ符号を付す。
【0036】
図5に示すように、変調器チップ122において、4つの第2のマッハツェンダ型光導波路のみに対応して4つのDC電極122cが形成されている。すなわち、
図5に示す構成では、
図1に示す構成と比較して、2つの第1のマッハツェンダ型光導波路に対応する2つのDC電極122cが省略される。これにより、光変調器120の長手方向のサイズをより短くすることができる。
【0037】
また、上記実施例及び各変形例に係る光モジュール100では、中継基板124及び接続部材130が光変調器120の第1側面側に配置され、且つ、DC端子125及び終端基板126が第1側面とは反対側の第2側面側に配置される例を示した。しかしながら、開示技術は、これに限定されない。例えば
図6に示すように、DC端子125及び終端基板126が光変調器120の第1側面側に配置され、中継基板124及び接続部材130が第1側面とは反対側の第2側面側に配置されても良い。なお、
図6は、変形例4に係る光モジュール100の構成を示す平面模式図である。
図6において、
図5と同じ部分には同じ符号を付す。
【0038】
なお、
図6に示した変形例4では、DC端子125がPCB110に平行な方向に沿って光変調器120の側面からPCB110の端面近傍までに突出しているため、光変調器120の側面とPCB110の端面との間に無駄なスペースが発生する可能性がある。そこで、例えば
図7に示すように、DC端子125に代えて、DC端子325を光変調器120に設けても良い。
図7は、変形例5に係る光モジュール100の構成を示す平面模式図である。DC端子325は、
図7に示すように、PCB110に垂直な方向に沿って光変調器120の外枠を貫通し、切欠部201の上面から下方へ突出する。そして、DC端子325は、切欠部201において、LSIから延びる配線パターンに電気的に接続される。これにより、光変調器120の側面とPCB110の端面との間の無駄なスペースが削減され、結果として、装置の小型化を促進することができる。