(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接合工程は、一対の前記加圧部材によって、互いに対面する前記接合領域を両側から加圧し、互いに対面する前記接合領域の両側から前記光を照射する請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気デバイスのセパレータ接合方法。
前記加圧部材は、前記光を入射させる入射面から、前記入射面に対向し前記光を出射させる出射面の間において、前記入射面の側に一定の深さの穴を備えた請求項7〜9のいずれか1項に記載の電気デバイスのセパレータ接合装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明に係る第1〜第3実施形態について説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面における部材の大きさや比率は、説明の都合上誇張され実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
図1〜
図13の全ての図において、X、Y、およびZで表す矢印を用いて、方位を示している。Xで表す矢印の方向は、袋詰電極11等の搬送方向Xを示している。Yで表す矢印の方向は、袋詰電極11等の搬送方向Xと交差した交差方向Yを示している。Zで表す矢印の方向は、セラミックセパレータおよび正極20の積層方向Zを示している。
【0011】
(第1実施形態)
セパレータ接合装置100は、電気デバイス(袋詰電極11)のセパレータ接合方法を具現化したものである。セパレータ接合装置100は、電極(正極20または負極30)を挟持するセパレータ(一対のセラミックセパレータ41および42)の接合領域(端部)同士を互いに接合する。
【0012】
先ず、セパレータ接合装置100によって接合して形成する電気デバイス(袋詰電極11)を、
図1〜
図4を参照しながら説明する。ここで、袋詰電極11は、リチウムイオン二次電池10の構成に基づき説明する。
【0013】
図1は、電気デバイス(袋詰電極11)を用いて構成したリチウムイオン二次電池10を示す斜視図である。
図2は、
図1のリチウムイオン二次電池10を各構成部材に分解して示す分解斜視図である。
図3は、
図1の袋詰電極11の両面に負極30をそれぞれ積層した状態を示す斜視図である。
図4は、
図3の構成を
図3中に示す4−4線に沿って示す部分断面図である。
【0014】
正極20は、電極に相当し、導電体である正極集電体21の両面に正極活物質22を結着して形成している。電力を取り出す正極電極端子21aは、正極集電体21の一端の一部から延在して形成している。複数積層された正極20の正極電極端子21aは、溶接または接着によって互いに固定している。
【0015】
正極20の正極集電体21の材料には、例えば、アルミニウム製エキスパンドメタル、アルミニウム製メッシュ、アルミニウム製パンチドメタルを用いている。正極20の正極活物質22の材料には、種々の酸化物(LiMn
2O
4のようなリチウムマンガン酸化物、二酸化マンガン、LiNiO
2のようなリチウムニッケル酸化物、LiCoO
2のようなリチウムコバルト酸化物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物、またはリチウムを含む非晶質五酸化バナジウム)またはカルコゲン化合物(二硫化チタン、二硫化モリブテン)等を用いている。
【0016】
負極30は、正極20と極性が異なる電極に相当し、導電体である負極集電体31の両面に負極活物質32を結着して形成している。負極電極端子31aは、正極20に形成した正極電極端子21aと重ならないように、負極集電体31の一端の一部から延在して形成している。負極30の長手方向の長さは、正極20の長手方向の長さよりも長い。負極30の短手方向の長さは、正極20の短手方向の長さと同様である。複数積層された負極30の負極電極端子31aは、溶接または接着によって互いに固定している。
【0017】
負極30の負極集電体31の材料には、例えば、銅製エキスパンドメタル、銅製メッシュ、または銅製パンチドメタルを用いている。負極30の負極活物質32の材料には、リチウムイオンを吸蔵して放出する炭素材料を用いている。このような炭素材料には、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、または有機前駆体(フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル、またはセルロース)を不活性雰囲気中で熱処理して合成した炭素を用いている。
【0018】
セパレータは、一対のセラミックセパレータ41および42から構成している。一対のセラミックセパレータ41および42は、正極20と負極30を電気的に隔離している。一対のセラミックセパレータ41および42は、正極20と負極30との間に電解液を保持して、イオンの伝導性を担保している。一対のセラミックセパレータ41および42は、矩形状に形成している。一対のセラミックセパレータ41および42の長手方向の長さは、負極電極端子31aの部分を除いた負極30の長手方向の長さよりも長い。
【0019】
一対のセラミックセパレータ41および42は、互いに同様の構成からなる。例えばセラミックセパレータ41は、
図4に示すように、溶融材に相当するポリプロピレン層41mに対して、耐熱材に相当するセラミックス層41nを積層して形成している。セラミックス層41nは、ポリプロピレン層41mよりも溶融温度が高い。セラミックセパレータ41および42は、正極20を挟持し、セラミックス層41nおよび42nを対向させて積層している。セラミックス層41nおよび42nは、正極20の正極活物質22に当接している。
【0020】
セラミックセパレータ41のポリプロピレン層41mは、ポリプロピレンをシート状に形成している。ポリプロピレン層41mには、非水溶媒に電解質を溶解することによって調製した非水電解液を含浸させている。非水電解液をポリプロピレン層41mに保持するために、ポリマーを含有させている。セラミックス層41nは、例えば、無機化合物を高温で成形したセラミックスをポリプロピレン層41mに塗布して乾燥させることによって形成している。セラミックスは、シリカ、アルミナ、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物等のセラミック粒子とバインダーの結合により形成された多孔質からなる。
【0021】
一対のセラミックセパレータ41および42は、セパレータ接合装置100の搬送方向Xに相当する長手方向の両側に形成した複数の接合部40hによって、互いに接合している。接合部40hは、対面した一対のセラミックセパレータ41および42の端部において、互いの溶融材(ポリプロピレン層)と耐熱材(セラミックス層)を接合することによって形成している。具体的には、セラミックセパレータ41の一端部41pは、セラミックセパレータ42の一端部42pと正極20を介して対面している。同様に、セラミックセパレータ41の他端部41qは、セラミックセパレータ42の他端部42qと正極20を介して対面している。ここで、一対のセラミックセパレータ41および42は、セラミックセパレータ41の端部の溶融させたポリプロピレン層41mと、セラミックセパレータ42の端部のセラミックス層42nを、加圧状態において流動させて、互いに接合している。同様に、一対のセラミックセパレータ41および42は、セラミックセパレータ42の端部の溶融させたポリプロピレン層42mと、セラミックセパレータ41の端部のセラミックス層41nを、加圧状態において流動させて、互いに接合している。
【0022】
袋詰電極11は、一対のセラミックセパレータ41および42によって、正極20の両面を挟持するように積層して構成している。接合部40hは、一対のセラミックセパレータ41および42の長手方向の両側に沿った両端部と中央部に、合計3箇所ずつ形成している。リチウムイオン二次電池10が振動したり衝撃を受けたりしても、セラミックセパレータ41および42の長手方向の両端に形成した接合部40hによって、袋詰電極11内における正極20の移動を抑制することができる。すなわち、セラミックセパレータ41および42を介して、隣り合う正極20と負極30の短絡を防止できる。したがって、リチウムイオン二次電池10は、所期の電気的特性を維持することができる。
【0023】
外装材50は、例えば、内部に金属板を備えたラミネートシート51および52から構成し、発電要素15を両側から被覆して封止している。ラミネートシート51および52で発電要素15を封止する際に、そのラミネートシート51および52の周囲の一部を開放して、その他の周囲を熱溶着等によって封止する。ラミネートシート51および52の開放している部分から電解液を注入し、一対のセラミックセパレータ41および42に電荷液を含浸させる。ラミネートシート51および52の開放部から内部を減圧することによって空気を抜きつつ、その開放部も熱融着して完全に密封する。
【0024】
外装材50のラミネートシート51および52は、例えば、それぞれ3種類の材料を積層して3層構造を形成している。1層目は、熱融着性樹脂に相当し、例えばポリエチレン(PE)、アイオノマー、またはエチレンビニルアセテート(EVA)を用いている。1層目の材料は、負極30に隣接させる。2層目は、金属を箔状に形成したものに相当し、例えばAl箔またはNi箔を用いている。3層目は、樹脂性のフィルムに相当し、例えば剛性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)またはナイロンを用いている。
【0025】
次に、電気デバイス(袋詰電極11)のセパレータ接合方法を具現化したセパレータ接合装置100について、
図5〜
図7を参照しながら順に説明する。
【0026】
図5は、電気デバイス(袋詰電極11)のセパレータ接合方法を具現化したセパレータ接合装置100を示す斜視図である。
図6は、
図5のセパレータ接合装置100の要部を示す斜視図である。
図7は、
図5のセパレータ接合装置100によるセパレータ(セラミックセパレータ41および42)の接合方法を示す模式図である。
【0027】
セパレータ接合装置100は、例えば、電極搬送部110(搬送工程に対応)、第1セパレータ搬送部120(配置工程および搬送工程に対応)、第2セパレータ搬送部130(配置工程および搬送工程に対応)、セパレータ加圧部140(加圧工程に対応、加圧部材を含む)、セパレータ接合部150(接合工程に対応、光源を含む)、袋詰電極搬送部160、および制御部170から構成している。以下、セパレータ接合装置100の構成について構成部毎に順に説明する。
【0028】
電極搬送部110は、
図5に示し、正極20を搬送しつつ所定の形状に切断する。
【0029】
電極搬送部110の電極供給ローラ111は、円柱形状からなり、正極20を巻き付けて保持している。搬送ローラ112は、細長い円柱形状からなり、電極供給ローラ111に巻き付けられた正極20に対して一定の張力をかけた状態で搬送ベルト113に導く。搬送ベルト113は、外周面に吸引口を複数設けた無端状のベルトからなり、正極20を吸引した状態で搬送方向Xに沿って搬送する。搬送ベルト113は、交差方向Yに沿った幅が、正極20の幅よりも長い。回転部材114は、交差方向Yに沿って、搬送ベルト113の内周面に複数配設し、搬送ベルト113を回転させる。複数の回転部材114のうち、一つが動力を設けた駆動ローラであり、その他が駆動ローラに従動する従動ローラである。搬送ローラ112および電極供給ローラ111は、搬送ベルト113の回転に従動して回転する。
【0030】
電極搬送部110の切断部材115および116は、交差方向Yに沿って隣り合うように配設し、正極20を所定の形状に切断して成形する。切断部材115は、先端に直線状の鋭利な刃を設け、正極20の一端を交差方向Yに沿って直線状に切断する。切断部材116は、先端に一部を屈折させ段違いに形成した鋭利な刃を設け、一端を切断された直後の正極20の他端を、正極電極端子21aの形状に対応して切断する。受け台117は、正極20を切断する切断部材115および切断部材116を受ける。受け台117は、搬送する正極20を介して、切断部材115および切断部材116と対向して配設している。電極搬送部110は、切り出した正極20を、第1セパレータ搬送部120と第2セパレータ搬送部130との間を通過するように搬出する。
【0031】
第1セパレータ搬送部120は、
図5および
図6に示し、正極20の一面(積層方向Zに沿った
図5中に示す下方)に積層するためのセラミックセパレータ41を搬送しつつ所定の形状に切断する。
【0032】
第1セパレータ搬送部120は、電極搬送部110よりも搬送方向Xの下流側であって、積層方向Zに沿った
図5中に示す下方に配設している。
【0033】
第1セパレータ搬送部120は、配置工程に対応する。配置工程は、耐熱材(セラミックス層41nおよび42n)の中央部41ncおよび42nc同士が、電極(正極20または負極30)を隔てて対向するようにセラミックセパレータ41を配置する。
【0034】
第1セパレータ搬送部120の第1セパレータ供給ローラ121は、円柱形状からなり、長尺状のセラミックセパレータ41を巻き付けて保持している。第1セパレータ供給ローラ121は、セラミックセパレータ41を、ポリプロピレン層41mが内側であってセラミックス層41nが外側になるように、巻き付けて保持している。対向して配設した第1加圧ローラ122と第1ニップローラ123は、それぞれ細長い円柱形状からなり、第1セパレータ供給ローラ121に巻き付けられたセラミックセパレータ41に対して一定の張力をかけた状態で第1搬送ドラム124に導く。第1搬送ドラム124は、円柱形状からなり、その外周面に吸引口を複数設けている。第1搬送ドラム124は、交差方向Yに沿った幅を、セラミックセパレータ41の幅よりも短くしている。すなわち、セラミックセパレータ41の両端は、第1搬送ドラム124から交差方向Yに対して外方に突出している。このようにして、第1搬送ドラム124は、セパレータ接合部150との干渉を回避している。
【0035】
第1セパレータ搬送部120の第1搬送ドラム124を回転させると、第1加圧ローラ122と第1ニップローラ123に加えて第1セパレータ供給ローラ121が従動して回転する。第1切断部材125は、先端に直線状の鋭利な刃を設け、交差方向Yに沿って配設し、第1搬送ドラム124によって吸引されている長尺状のセラミックセパレータ41を一定の幅で切断する。第1搬送ドラム124は、長方形状に切断されたセラミックセパレータ41を、電極搬送部110から搬出された正極20の一面の側に近接させつつ積層する。セラミックセパレータ41は、そのセラミックス層41nの側を、正極20の一面に対向させている。
【0036】
第2セパレータ搬送部130は、
図5および
図6に示し、正極20の一面に対向した他面(積層方向Zに沿った
図5中に示す上方)に積層するためのセラミックセパレータ42を搬送しつつ所定の形状に切断する。
【0037】
第2セパレータ搬送部130は、電極搬送部110よりも搬送方向Xの下流側であって、積層方向Zに沿った
図5中に示す上方に配設している。
【0038】
第2セパレータ搬送部130は、配置工程に対応する。配置工程は、耐熱材(セラミックス層41nおよび42n)の中央部41ncおよび42nc同士が、電極(正極20または負極30)を隔てて対向するようにセラミックセパレータ42を配置する。
【0039】
第2セパレータ搬送部130は、第1セパレータ搬送部120と積層方向Zに沿って対向して配設している。第2セパレータ搬送部130の第2セパレータ供給ローラ131は、円柱形状からなり、長尺状のセラミックセパレータ42を巻き付けて保持している。第2セパレータ供給ローラ131は、セラミックセパレータ42を、ポリプロピレン層42mが内側であってセラミックス層42nが外側になるように、巻き付けて保持している。対向して配設した第2加圧ローラ132と第2ニップローラ133は、それぞれ細長い円柱形状からなり、第2セパレータ供給ローラ131に巻き付けられたセラミックセパレータ42に対して一定の張力をかけた状態で第2搬送ドラム134に導く。第2搬送ドラム134は、円柱形状からなり、その外周面に吸引口を複数設けている。第2搬送ドラム134は、第1搬送ドラム124と同様に、交差方向Yに沿った幅を、セラミックセパレータ42の幅よりも短くすることによって、セパレータ接合部150との干渉を回避している。
【0040】
第2セパレータ搬送部130の第2搬送ドラム134を回転させると、第2加圧ローラ132と第2ニップローラ133に加えて第2セパレータ供給ローラ131が従動して回転する。第2切断部材135は、先端に直線状の鋭利な刃を設け、交差方向Yに沿って配設し、第2搬送ドラム134によって吸引されている長尺状のセラミックセパレータ42を一定の幅で切断する。第2搬送ドラム134は、長方形状に切断されたセラミックセパレータ42を、電極搬送部110から搬出された正極20の他面の側に近接させつつ積層する。セラミックセパレータ42は、そのセラミックス層42nの側を、正極20の他面に対向させている。
【0041】
第1セパレータ搬送部120と第2セパレータ搬送部130は、第1搬送ドラム124と第2搬送ドラム134との隙間の部分において、一対のセラミックセパレータ41および42によって正極20を挟持させるように積層しつつ、搬送方向Xに沿って搬送する。その搬送方向Xに沿った下流側の両端には、それぞれセパレータ接合部150を配設している。
【0042】
セパレータ加圧部140は、
図5〜
図7に示し、正極20を介して対面する一対のセラミックセパレータ41および42の接合領域(一端部41pおよび他端部41q)を加圧する。
【0043】
セパレータ加圧部140は、加圧工程に対応している。加圧工程は、光L1を透過させる加圧部材141等によって、正極20を介して対面する一対のセラミックセパレータ41および42の接合領域(一端部41pおよび他端部41q)を加圧する。
【0044】
セパレータ加圧部140は、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130よりも搬送方向Xの下流側に配設している。セパレータ加圧部140は、搬送方向Xに沿った両端に配設している。
【0045】
セパレータ加圧部140の加圧部材141と付勢部材142は、搬送されるセラミックセパレータ41および42の一端部41pを介して対向している。加圧部材141は、セラミックセパレータ42の側から一端部42pに当接しつつ、セラミックセパレータ41および42を加圧する。付勢部材142は、セラミックセパレータ41の側から一端部41pに当接しつつ、セラミックセパレータ41および42を加圧部材141の側に付勢する。加圧部材141および付勢部材142は、搬送されるセラミックセパレータ41および42に境にして、積層方向Zに沿って互いに接近および離間するように、移動自在としている。
【0046】
加圧部材141は、本体部141aおよび当接部141bを備えている。本体部141aは、長方体形状に形成している。当接部141bは、本体部141aの一端から突出して形成している。本体部141aおよび当接部141bは、セパレータ接合部150のレーザ発振器151から導出される光L1を透過させる。すなわち、本体部141aおよび当接部141bは、その光L1の波長に対して透明である。加圧部材141は、光L1の波長に対して屈折率が十分に小さく透明なプラスチックスやガラスから形成する。付勢部材142は、加圧部材141と、積層方向Zに対して対面同一に形成している。付勢部材142は、長方形状の本体部142aと、その本体部142aの一端から積層方向Zに沿って図中上方に突出して形成した当接部142bを備えている。付勢部材142は、例えば反射率が高い金属から形成する。付勢部材142は、セラミックセパレータ41および42の端部を透過した光L1を反射させて、再び端部に照射させることができる。
【0047】
付勢部材142は、加圧部材141とともに、一対の加圧部材として機能させている。しかしながら、加圧部材141は必須であるものの、付勢部材142は省略することができる。具体的には、例えば、セラミックセパレータ41および42を搬送方向Xに沿って十分に張力を掛けた状態で、加圧部材141を、セラミックセパレータ41の一端部41pに対して加圧する構成としてもよい。このような構成においては、付勢部材142を省略することができる。
【0048】
加圧部材141は、セパレータ接合部150のレーザ発振器151から出射された光L1を透過させる。したがって、加圧部材141は、光L1の波長に対応した反射防止膜を蒸着してもよい。さらに、付勢部材142は、セラミックセパレータ41および42の端部を透過した光L1を反射させて、再び端部に照射させるために、プラスチックスに反射膜を蒸着して形成してもよい。
【0049】
加圧部材141および付勢部材142は、一例として、積層方向Zに沿って互いに対向する当接部を1つずつ備えている。一方、加圧部材141および付勢部材142は、積層方向Zに沿って互いに対向する当接部をそれぞれ複数備える構成とすることができる。具体的には、例えば、セラミックセパレータ41および42の接合において、その長手方向の両側に沿って両端部と中央部に3箇所ずつ合計6箇所の接合部40hを形成する場合、本体部の大きさをセラミックセパレータ41と同程度にした上で、当接部を接合部40hの位置に対応するように6つ設ければよい。
【0050】
加圧部材141および付勢部材142は、
図5中の積層方向Zに沿って反転させる構成としてもよい。すなわち、セラミックセパレータ41および42は、加圧部材141によってセラミックセパレータ42の側から加圧する構成としてもよい。
【0051】
セパレータ加圧部140の加圧部材143と付勢部材144は、加圧部材141と付勢部材142と同様の構成からなる。加圧部材143と付勢部材144は、搬送されるセラミックセパレータ41および42の他端部41qを介して対向している。加圧部材143は、セラミックセパレータ42の側から他端部42qに当接しつつ、セラミックセパレータ41および42を加圧する。付勢部材144は、セラミックセパレータ41の側から他端部41qに当接しつつ、セラミックセパレータ41および42を加圧部材143の側に付勢する。加圧部材143は、加圧部材141に対して、搬送方向Xに対して対面同一に形成している。付勢部材144は、付勢部材142に対して、搬送方向Xに対して対面同一に形成している。
【0052】
セパレータ加圧部140の冷却部材145は、加圧部材141および143を冷却する。冷却部材145は、加圧部材141の本体部141aであって光L1と干渉しない部位に配設している。同様に、冷却部材145は、加圧部材143の本体部143aであって光L1と干渉しない部位に配設している。冷却部材145は、ペルチェ素子から構成している。
【0053】
セパレータ接合部150は、
図5〜
図7に示し、正極20を介して対面する一対のセラミックセパレータ41および42において、加圧状態の接合領域(一端部および他端部)に対して光L1を照射して接合する。
【0054】
セパレータ接合部150は、接合工程に対応している。接合工程は、光L1を加圧部材141等に透過させつつ、互いに対向したセラミックセパレータ41および42の接合領域(一端部および他端部)に照射する。ここで、接合工程は、光L1によって加熱された一の接合領域(端部)の耐熱材(セラミックス層)と、互いに対向する耐熱材(セラミックス層)によって溶融された他の接合領域(端部)の溶融材(ポリプロピレン層)とを接合する。
【0055】
セパレータ接合部150は、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130よりも搬送方向Xの下流側に配設している。セパレータ接合部150は、セパレータ加圧部140と隣り合っている。
【0056】
セパレータ接合部150のレーザ発振器151は、光源に相当する。レーザ発振器151は、光L1を出射する。光L1は、互いに対向したセラミックセパレータ41および42の接合領域(一端部および他端部)に照射する。光L1の波長は、溶融材に相当するポリプロピレン層を透過しつつ、耐熱材に相当するセラミックスに十分に吸収される波長が好ましい。セラミックスは、光L1を吸収させて加熱させる。具体的には、セラミックスは、シリカ、アルミナ、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物等のセラミック粒子とバインダーの結合により形成された多孔質からなる。セラミックスに含まれるアルミナの吸収率は、波長が約1μmにおいて0.3、波長が約8〜14μmにおいて0.6である。そこで、レーザ発振器151には、例えば、発振波長が9.4μmや10.6μmのCo
2(二酸化炭素)レーザ、発振波長が1064nmのYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット結晶)レーザ、または発振波長が808nmや840nmおよび940nm等の固体レーザ(LD:レーザーダイオード)を用いる。
【0057】
第1反射ミラー152は、レーザ発振器151から出射した光L1を、ビームスプリッター153に向かって反射させる。第1反射ミラー152は、板状の硝材に対して、光L1の波長に対応した反射膜を蒸着させて構成している。
【0058】
ビームスプリッター153は、第1反射ミラー152によって反射した光L1を分岐する。ビームスプリッター153によって積層方向Zに反射させた光L1は、加圧部材141に入射する。加圧部材143を透過した光は、セラミックセパレータ41および42の接合領域(一端部)に照射する。一方、ビームスプリッター153を交差方向Yに透過した光L1は、第2反射ミラー154に照射する。ビームスプリッター153は、加圧部材141の積層方向Zに沿った図中上方に配設している。
【0059】
第2反射ミラー154は、ビームスプリッター153を透過した光L1を、加圧部材143に対して反射させる。加圧部材143を透過した光L1は、セラミックセパレータ41および42の接合領域(他端部)に照射する。第2反射ミラー154は、加圧部材143の積層方向Zに沿った図中上方に配設している。第2反射ミラー154は、第1反射ミラー152と同様の構成からなる。
【0060】
袋詰電極搬送部160は、
図5に示し、セパレータ加圧部140およびセパレータ接合部150等によって形成される袋詰電極11を搬送する。
【0061】
袋詰電極搬送部160は、電極搬送部110と搬送方向Xに沿って隣り合い、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130よりも搬送方向Xの下流側に配設している。
【0062】
袋詰電極搬送部160の搬送ベルト161は、外周面に吸引口を複数設けた無端状のベルトからなり、袋詰電極11を吸引した状態で搬送方向Xに沿って搬送する。搬送ベルト161は、交差方向Yに沿った幅を、袋詰電極11の幅よりも短く形成している。すなわち、袋詰電極11の両端は、搬送ベルト161から交差方向Yに対して外方に突出している。このようにして、搬送ベルト161は、セパレータ接合部150との干渉を回避している。回転部材162は、交差方向Yに沿って、搬送ベルト161の内周面に複数配設し、搬送ベルト161を回転させる。回転部材162は、セパレータ接合部150との干渉を回避するため、搬送ベルト161から突出させていない。複数の回転部材162のうち、一つが動力を設けた駆動ローラであり、その他が駆動ローラに従動する従動ローラである。
【0063】
袋詰電極搬送部160の吸着パッド163は、搬送ベルト161に載置された袋詰電極11よりも積層方向Zの
図5中に示す上方において、袋詰電極11と対向するように位置している。吸着パッド163は、板状からなり、袋詰電極11と当接する面に吸引口を複数設けている。伸縮部材164は、吸着パッド163よりも積層方向Zの
図5中に示す上方に位置している。伸縮部材164の一端は、吸着パッド163を接合している。伸縮部材164は、エアーコンプレッサー等を動力として、積層方向Zに沿って伸縮自在である。X軸ステージ165およびX軸補助レール166は、伸縮部材164の一端に対向した他端を移動自在に支持している。X軸ステージ165は、搬送方向Xに沿って配設し、伸縮部材164を搬送方向Xに沿って走査する。X軸補助レール166は、X軸ステージ165と並行に配設し、X軸ステージ165による伸縮部材164の走査を補助する。載置台167は、板状からなり、例えば配設された搬送ベルト161よりも、搬送方向Xに沿った下流側に配設している。載置台167は、袋詰電極11を一時的に載置して保管する。
【0064】
制御部170は、
図5に示し、電極搬送部110と第1セパレータ搬送部120と第2セパレータ搬送部130とセパレータ加圧部140とセパレータ接合部150および袋詰電極搬送部160の作動をそれぞれ制御する。
【0065】
制御部170のコントローラ171は、ROM、CPU、およびRAMを含んでいる。ROM(Read Only Memory)は、セパレータ接合装置100に係る制御プログラムを格納している。制御プログラムは、電極搬送部110の回転部材114と切断部材115および116、第1セパレータ搬送部120の第1搬送ドラム124と第1切断部材125、および第2セパレータ搬送部130の第2搬送ドラム134と第2切断部材135の制御に関するものを含んでいる。さらに、制御プログラムは、セパレータ加圧部140の加圧部材141および143と付勢部材142および144、セパレータ接合部150のレーザ発振器151、および袋詰電極搬送部160の回転部材162と伸縮部材164等の制御に関するものを含んでいる。
【0066】
制御部170のCPU(Central Processing Unit)は、制御プログラムに基づいてセパレータ接合装置100の各構成部材の作動を制御する。RAM(Random Access Memory)は、制御中のセパレータ接合装置100の各構成部材に係る様々なデータを一時的に記憶する。データは、例えば、セパレータ接合部150のレーザ発振器151から出射する光L1の強度に関するものである。
【0067】
次に、セパレータ接合装置100の作用について説明する。
【0068】
電極搬送部110は、
図5に示すように、切断部材115および116によって、正極20を所定の形状に1枚ずつ切断して成形する。電極搬送部110は、成形した正極20を第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130の間に搬出する。
【0069】
次いで、第1セパレータ搬送部120は、
図5および
図6に示すように、正極20の一面に積層するセラミックセパレータ41を切り出して搬送する。第1切断部材125は、セラミックセパレータ41を長方形状に切断する。第1セパレータ搬送部120は、セラミックセパレータ41を電極搬送部110から搬出された正極20の一面の側に積層する。
【0070】
同様に、第2セパレータ搬送部130は、
図5および
図6に示すように、第1セパレータ搬送部120の作動と並行して、正極20の一面に対向した他面に積層するためのセラミックセパレータ42を切り出して搬送する。第2切断部材135は、セラミックセパレータ41を長方形状に切断する。第2セパレータ搬送部130は、セラミックセパレータ42を電極搬送部110から搬出された正極20の他面の側に積層する。
【0071】
次いで、セパレータ加圧部140は、
図5〜
図7に示すように、加圧部材141および付勢部材142によって、セラミックセパレータ41および42の一端部41pおよび42p同士の接合領域をそれぞれ挟持して、その端部同士を互いに押し付け合うよう加圧する。同様に、加圧部材143および付勢部材144によって、セラミックセパレータ41および42の他端部41qおよび42q同士の接合領域を挟持して、その端部同士を互いに押し付け合うよう加圧する。
【0072】
次いで、セパレータ接合部150は、
図5〜
図7に示すように、レーザ発振器151から出射した光L1を、第1反射ミラー152によって反射させた後、ビームスプリッター153によって分岐する。ビームスプリッター153によって積層方向Zに反射した光L1は、加圧部材141に入射する。加圧部材141から出射した光L1は、セラミックセパレータ41および42の一端部41pおよび42p同士に照射され、それらの端部を溶融させて接合する。端部は、接合部40hに相当する。一方、ビームスプリッター153を交差方向Yに透過した光L1は、第2反射ミラー154によって反射した後、加圧部材143に入射する。加圧部材143から出射した光L1は、セラミックセパレータ41および42の他端部41qおよび42q同士に照射し、それらの端部を溶融させて接合する。端部は、接合部40hに相当する。
【0073】
ここで、セパレータ加圧部140とセパレータ接合部150の作用について、より具体的に説明する。
図7(A)から
図7(B)に示すように、光L1によって加熱させた耐熱材(セラミックス層)と、その加熱した耐熱材(セラミックス層)を介して溶融させた溶融材(ポリプロピレン層)は、特に加圧状態において互いに隣接するように移動して接合する。具体的には、先ず、加圧状態において、セラミックセパレータ41および42は、互いに密着して空隙が大幅に減少することから、熱伝導させ易い状態となる。特に、セラミックセパレータ41のセラミックス層41nと、セラミックセパレータ42のセラミックス層42nは、それぞれ表面に凹凸が生じている状態で対面する。しかしながら、加圧下においては、セラミックセパレータ41のポリプロピレン層41mと、セラミックセパレータ42のポリプロピレン層42mがそれぞれ弾性変形することから、互いに対面したセラミックス層の表面の凹凸を吸収して密着させることができる。
【0074】
さらに、加圧状態において、一のセラミックセパレータにおいて溶融された溶融材(ポリプロピレン層)は、自ら弾性変形しながら、他のセラミックセパレータの耐熱材(セラミックス層)に対して流動し、その耐熱材(セラミックス層)に隣接する。溶融材(ポリプロピレン層)は、一または他のセラミックセパレータの耐熱材(セラミックス層)によって加熱されて溶融する。一方、加圧状態において、一のセラミックセパレータにおいて耐熱材(セラミックス層)は、溶融させた他のセラミックセパレータの溶融材(ポリプロピレン層)に対して侵入するように流動する。すなわち、一対のセパレータ(セラミックセパレータ41および42)を加圧しつつ、その加圧した部分に光L1を照射して加熱することによって、接合領域(端部)を効果的に接合することができる。
【0075】
その後、袋詰電極搬送部160は、
図5に示すように、セパレータ加圧部140およびセパレータ接合部150等によって形成された袋詰電極11を搬送する。袋詰電極搬送部160は、袋詰電極11を載置台167に載置して一時的に保管する。
【0076】
上述した第1実施形態によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0077】
電気デバイス(袋詰電極11)のセパレータ接合方法は、シート状の溶融材(ポリプロピレン層)と、溶融材(ポリプロピレン層)に積層し溶融材(ポリプロピレン層)よりも溶融温度が高い耐熱材(セラミックス層)と、を含むセパレータ(セラミックセパレータ)を用い、電極(正極20または負極30)を挟持するセパレータ(セラミックセパレータ)を光L1によって接合する方法である。セパレータ接合方法は、加圧工程および接合工程を有する。加圧工程は、光L1を透過させる加圧部材141等によって、電極(正極20または負極30)を介して対面するセパレータ(セラミックセパレータ)の接合領域(端部)を加圧する。接合工程は、光L1を加圧部材141等に透過させつつ、互いに対向した接合領域(端部)に照射する。ここで、接合工程は、光L1によって加熱された一の接合領域(端部)の耐熱材(セラミックス層)と、互いに対向する耐熱材(セラミックス層)によって溶融された他の接合領域(端部)の溶融材(ポリプロピレン層)とを接合する。
【0078】
電気デバイス(袋詰電極11)のセパレータ接合装置100は、シート状の溶融材(ポリプロピレン層)と、溶融材(ポリプロピレン層)に積層し溶融材(ポリプロピレン層)よりも溶融温度が高い耐熱材(セラミックス層)と、を含むセパレータ(セラミックセパレータ)を用い、電極(正極20または負極30)を挟持するセパレータ(セラミックセパレータ)を光L1によって接合する方法である。セパレータ接合装置100は、加圧部材141等および光源(レーザ発振器151)を有する。加圧部材141等は、電極を介して対面するセパレータの接合領域(端部)を加圧し、光L1を透過させる。光源(レーザ発振器151)は、光L1を加圧部材141等に透過させつつ接合領域(端部)に照射する。
【0079】
このような構成では、加圧部材141等によって接合領域(端部)を加圧しつつ、加圧部材141等を透過した光L1を用いて加熱させた耐熱材(セラミックス層)によって溶融材(ポリプロピレン層)を溶融させる。すなわち、加熱させた耐熱材(セラミックス層)と、その加熱した耐熱材(セラミックス層)を介して溶融させた溶融材(ポリプロピレン層)を、加圧状態において互いに隣接するように移動させて接合することができる。したがって、耐熱材(セラミックス層)同士を対面させた状態であっても、セパレータ(セラミックセパレータ)同士を十分に接合することができる。
【0080】
ここで、上記の構成によって接合した電気デバイス(袋詰電極)は、耐熱材(セラミックス層)同士を対面させたセパレータ(セラミックセパレータ)を用いた場合であっても、電極(正極20または負極30)を挟持するセパレータ(セラミックセパレータ)を十分に接合できることから、所期の電気特性を発揮させることができる。具体的には、例えば、電気デバイス(袋詰電極11)は、リチウムイオン二次電池10が振動したり衝撃を受けたりしても、セパレータ(セラミックセパレータ)の端部を十分に接合していることから、正極20の移動を抑制することができる。すなわち、セパレータ(セラミックセパレータ)を介して隣り合う正極20と負極30の短絡を防止できる。したがって、リチウムイオン二次電池10は、所期の電気的特性を維持することができる。
【0081】
さらに、上記の構成によって接合した電気デバイス(袋詰電極)は、加圧部材141等によって、セパレータ(セラミックセパレータ)のうち、光L1の照射によって加熱される耐熱材(セラミックス層)によって溶融材(ポリプロピレン層)を溶融して接合されたものである。溶融材(ポリプロピレン層)は、耐熱材(セラミックス層)からの熱伝導によって加熱されることから、耐熱材(セラミックス層)の温度を超えることはない。光源(レーザ発振器151)は、加圧部材141等と直接的に接触していない耐熱材(セラミックス層)を加熱する。したがって、加圧部材141は、セパレータ(セラミックセパレータ)の溶融材(ポリプロピレン層)との界面において、互いに貼り付いてしまうことを十分に防止することができる。
【0082】
セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置100において、特にセパレータ接合方法は、一対のセパレータ(セラミックセパレータ41および42)を用いる構成とすることができる。この接合方法は、配置工程をさらに有している。配置工程は、加圧工程の前に実施する。配置工程は、耐熱材(セラミックス層41nおよび42n)の中央部41ncおよび42nc同士が、電極(正極20または負極30)を隔てて対向するように、一対のセパレータ(セラミックセパレータ41および42)を配置する。加圧工程は、一対のセパレータ(セラミックセパレータ41および42)の一のセパレータ(セラミックセパレータ41)の接合領域(端部、一端部41pまたは他端部41qの少なくとも一方)および他のセパレータ(セラミックセパレータ42)の接合領域(端部、一端部42pまたは他端部42qの少なくとも一方)をそれぞれ加圧する。
【0083】
このような構成に示すように、このセパレータ接合方法は、枚葉式からなる非常に汎用性の高い方式に適用することができる。すなわち、このセパレータ接合方法は、セラミックセパレータ41、電極(正極20または負極30)、およびセラミックセパレータ42の順で、各部材を重ね合わせて積層する方式に用いることができる。
【0084】
セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置100において、特にセパレータ接合装置100の加圧部材141および143は、本体部141aから突出させた当接部141bを備える構成とすることができる。当接部141bは、接合領域(端部)のみを加圧する。
【0085】
このような構成において、加熱させた耐熱材(セラミックス層)と、その加熱した耐熱材(セラミックス層)を介して溶融させた溶融材(ポリプロピレン層)は、特に加圧状態において、互いに隣接するように移動して接合する。したがって、当接部141bによって一対のセパレータ(セラミックセパレータ41および42)を加圧することから、接合領域(端部)のみを選択的に加圧して効果的に接合することができる。
【0086】
セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置100において、特にセパレータ接合装置100は、加圧部材141および143を冷却する冷却部材145を、さらに有する構成とすることができる。
【0087】
このような構成によれば、光L1の透過に起因した加圧部材141および143の温度上昇を軽減することができることから、加圧部材141および143と、セラミックセパレータ41との界面における貼り付きを防止することができる。さらに、加圧部材141および143の温度上昇を軽減できることから、加圧部材141および143の劣化を抑制することができる。特に、加圧部材141および143は、プラスチックス系の樹脂によって形成している場合に、効果的に劣化を抑制できる。
【0088】
セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置100において、特にセパレータ接合装置100の光源は、レーザ発振器151から構成することができる。さらに、レーザ発振器151は、一定の波長の光L1を出射する。加圧部材141および143の光L1に対する屈折率は、溶融材(ポリプロピレン層)の光L1に対する屈折率よりも小さい構成とすることができる。
【0089】
このような構成において、特定の部材に対する光L1の屈折率が低いほど、透過率が高くなる。また、特定の部材に対する光L1の透過率が高いと、部材の内部における光L1の吸収が低くなり、部材の温度上昇を抑制することができる。すなわち、加圧部材141および143の光L1に対する屈折率が溶融材(ポリプロピレン層)の光L1に対する屈折率よりも小さい条件を満たせば、光L1は、加圧部材141および143を十分に透過した後に、溶融材(ポリプロピレン層)を透過して、耐熱材(セラミックス層)に到達させることができる。
【0090】
(第1実施形態の変形例1)
第1実施形態の変形例1に係る電気デバイス(袋詰電極11)のセパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置200について、
図8を参照しながら説明する。
【0091】
第1実施形態の変形例1は、セラミックセパレータ41および42が接合されている間、第1セパレータ搬送部120と第2セパレータ搬送部130および電極搬送部110等の動作を継続させる構成が、前述した第1実施形態に係る構成と異なる。前述した第1実施形態では、接合条件によっては他の構成部材の動作を一時的に停止させる必要があった。第1実施形態の変形例1においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
【0092】
セパレータ接合装置200のセパレータ加圧部140およびセパレータ接合部150について、
図8を参照しながら説明する。
【0093】
図8は、電気デバイス(袋詰電極11)のセパレータ接合方法を具現化したセパレータ接合装置200の要部を示す斜視図である。
【0094】
加圧工程および接合工程は、搬送中のセラミックセパレータ41および42の移動に追随しつつ、そのセラミックセパレータ41および42を加圧および接合する。例えば、第1セパレータ搬送部120、第2セパレータ搬送部130、および電極搬送部110等は、搬送工程に対応する。
【0095】
具体的には、セパレータ加圧部140は、セラミックセパレータ41および42を加圧している間、加圧部材141と付勢部材142および加圧部材143と付勢部材144を、搬送方向Xの下流側に沿って移動させる。加圧部材141と付勢部材142および加圧部材143と付勢部材144は、セラミックセパレータ41および42の一箇所の接合が完了すると、搬送方向Xの上流側に沿って高速で移動して元の位置に戻る。一方、セパレータ接合部150は、セラミックセパレータ41および42に光L1を照射して接合している間、第1反射ミラー152とビームスプリッター153および第2反射ミラー154を、搬送方向Xの下流側に沿って移動させる。第1反射ミラー152とビームスプリッター153および第2反射ミラー154は、セラミックセパレータ41および42の一箇所の接合が完了すると、搬送方向Xの上流側に沿って高速で移動して元の位置に戻る。
【0096】
上述した第1実施形態の変形例1によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0097】
セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置200において、特にセパレータ接合方法は、搬送工程をさらに有する。搬送工程は、セパレータ(セラミックセパレータ41および42)を搬送する。ここで、加圧工程および接合工程は、搬送工程によって搬送中のセパレータ(セラミックセパレータ41および42)の移動に追随しつつ、そのセパレータ(セラミックセパレータ41および42)を加圧および接合する。
【0098】
このような構成によれば、他の構成部材(例えば、第1セパレータ搬送部120、第2セパレータ搬送部130、および電極搬送部110)の動作を継続させたままの状態で、一対のセラミックセパレータ41および42を接合することができる。すなわち、セラミックセパレータ41および42の接合に係る生産性を維持することができる。
【0099】
(第1実施形態の変形例2)
第1実施形態の変形例2に係る電気デバイス(袋詰電極)のセパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置300について、
図9を参照しながら説明する。
【0100】
第1実施形態の変形例2は、加圧部材341の光L1の入射面341cに対して穴341hを形成している構成が、前述した第1実施形態に係る構成と異なる。前述した第1実施形態では、入射面に対して穴を形成していなかった。第1実施形態の変形例2においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
【0101】
セパレータ接合装置300のセパレータ加圧部340およびセパレータ接合部150について、
図9を参照しながら説明する。
【0102】
図9は、電気デバイス(袋詰電極)のセパレータ接合方法を具現化したセパレータ接合装置300の要部を示す斜視図である。
【0103】
セパレータ加圧部340は、加圧部材141に換えて、加圧部材341を備えている。加圧部材341は、加圧部材141と同様に、光L1の波長において透明な材料からなり、基本的な外形形状については同様の形状に形成している。すなわち、加圧部材341は、長方形状の本体部341aと、その本体部341aの一端から積層方向Zに沿って図中下方に突出して形成した当接部341bを備えている。ここで、加圧部材341は、本体部341aから当接部341bにかけて穴341hを備えている。穴341hは、光L1の入射面341cから、その入射面341cに対向し光L1を出射させる出射面341dの間において、入射面341cの側に一定の深さで形成している。
【0104】
セパレータ接合部150は、レーザ発振器151から出射した光L1を、第1反射ミラー152によって反射させた後、ビームスプリッター153によって分岐しつつ、加圧部材341の穴341hに入射させる。光L1は、加圧部材341の穴341hの底面から本体部341aに入射し、当接部341bの出射面341dから出射する。
【0105】
上述した第1実施形態の変形例2によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0106】
セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置300において、特にセパレータ接合装置300の加圧部材341は、光L1を入射させる入射面341cから、その入射面341cに対向し光L1を出射させる出射面341dの間において、入射面341cの側に一定の深さの穴341hを備えている。
【0107】
このような構成によれば、加圧部材341は、内部を透過する光L1の光路長を短くすることによって、光L1の減衰を抑制させることができる。さらに、光L1の透過に起因した加圧部材341の温度上昇を軽減することができることから、加圧部材341と、セラミックセパレータ41または42との界面における貼り付きを防止することができる。さらに、このような構成によれば、穴341hの深さを十分に深くして、内部を透過する光L1の光路長を極力短くすることによって、加圧部材341に、内部減衰が大きい材料を適用することができる。
【0108】
(第1実施形態の変形例3)
第1実施形態の変形例3に係る電気デバイス(袋詰電極)のセパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置400について、
図10を参照しながら説明する。
【0109】
第1実施形態の変形例3は、一対のセラミックセパレータ41および42の両側から光L1を照射する構成が、前述した第1実施形態に係る構成と異なる。前述した第1実施形態では、一対のセラミックセパレータ41および42の片側から光L1を照射していた。第1実施形態の変形例3においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
【0110】
セパレータ接合装置400のセパレータ加圧部440およびセパレータ接合部450について、
図10を参照しながら説明する。
【0111】
図10は、電気デバイス(袋詰電極)のセパレータ接合方法を具現化したセパレータ接合装置400の要部を示す斜視図である。
【0112】
セパレータ加圧部440は、加圧部材141および442によって、セラミックセパレータ41および42の接合領域(端部)を一体に挟持しつつ加圧する。加圧部材442は、加圧部材141と同様に光L1の波長において透明な材料からなり、積層方向Zに対して対面同一に形成している。すなわち、加圧部材442は、長方形状の本体部442aと、その本体部442aの一端から積層方向Zに沿って図中上方に突出して形成した当接部442bを備えている。
【0113】
セパレータ接合部450は、レーザ発振器151から出射した光L1を、ビームスプリッターによって分岐する。その分岐した光L1のうち、ビームスプリッター153で反射させた光L1を加圧部材141に入射させる。同様に、その分岐した光L1のうち、ビームスプリッター453で反射させた光L1を加圧部材442に入射させる。セパレータ接合部450は、加圧部材141に入射させた光L1をセラミックセパレータ41の側から端部に照射しつつ、加圧部材442に入射させた光L1をセラミックセパレータ42の側から端部に照射して、その端部を接合する。
【0114】
上述した第1実施形態の変形例3によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0115】
セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置400において、特にセパレータ接合方法の接合工程は、一対の加圧部材141および442によって、互いに対面する接合領域(端部)を両側から加圧し、互いに対面する接合領域(端部)の両側から光L1を照射する。
【0116】
このような構成によれば、セラミックセパレータ41および42の接合領域(端部)の耐熱材(セラミックス層)を加熱するために必要な光L1を、例えば分岐した上で、一対の加圧部材141および442を介して接合領域(端部)に導光することができる。すなわち、光L1を透過させる加圧部材141および442をそれぞれ用いることによって、1つの加圧部材に透過させる光L1の光量を半分にすることができる。したがって、光L1の透過に起因した加圧部材141および442の劣化を抑制することができることから、加圧部材141および442の寿命を延ばすことができる。さらに、光L1の透過に起因したセラミックセパレータ41および42の溶融材(ポリプロピレン層)の温度上昇を軽減することができることから、加圧部材141または442と、セラミックセパレータ41または42の溶融材(ポリプロピレン層)の界面における貼り付きを防止することができる。
【0117】
(第1実施形態の変形例4)
第1実施形態の変形例4に係る電気デバイス(袋詰電極)のセパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置500について、
図11を参照しながら説明する。
【0118】
第1実施形態の変形例4は、円盤状の加圧部材541によってセラミックセパレータ41および42の端部同士を連続的に加圧する構成が、前述した第1実施形態に係る構成と異なる。前述した第1実施形態では、加圧部材141等によって端部同士を部分的に加圧していた。第1実施形態の変形例4においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
【0119】
セパレータ接合装置500のセパレータ加圧部540およびセパレータ接合部150について、
図11を参照しながら説明する。
【0120】
図11は、電気デバイス(袋詰電極)のセパレータ接合方法を具現化したセパレータ接合装置500の要部を示す斜視図である。
【0121】
セパレータ加圧部540は、回転自在な加圧部材541および付勢部材542によって、セラミックセパレータ41および42の接合領域(端部)を一体に挟持しつつ加圧する。加圧部材541は、加圧部材141と同様に光L1の波長において透明な材料からなり、円盤状に形成している。加圧部材541は、側面に回転用のシャフトを備えている。加圧部材541は、外周面541aにセラミックセパレータ41を当接させつつ、回転する。外周面541aは、光L1の波長に対応した反射防止膜を蒸着している。付勢部材542は、加圧部材541と積層方向Zに沿って対向して配設している。付勢部材542は、円盤状に形成している。付勢部材542は、側面に回転用のシャフトを備えている。付勢部材542は、外周面542aにセラミックセパレータ42を当接させつつ、加圧部材541の側に付勢しながら回転する。加圧部材541と付勢部材542によってセラミックセパレータ41および42を加圧している間、第1セパレータ搬送部120と第2セパレータ搬送部130および電極搬送部110等は、各々の動作を一旦停止させることなく継続させる。
【0122】
セパレータ接合部150は、レーザ発振器151から出射した光L1を、第1反射ミラー152によって反射させた後、ビームスプリッター153によって分岐しつつ、加圧部材541に入射させる。光L1は、加圧部材541の外周面541aに入射し、セラミックセパレータ41および42の端部に照射する。レーザ発振器151は、光L1を連続的に出射して、セラミックセパレータ41および42の端部をシーム溶着する。一方、レーザ発振器151は、光L1を間欠的に出射して、セラミックセパレータ41および42の端部をスポット溶着してもよい。
【0123】
上述した第1実施形態の変形例4によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0124】
セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置500において、特にセパレータ接合装置500の加圧部材541は、回転自在な円盤状に形成し、接合領域(端部)同士を連続的に加圧する。
【0125】
このような構成によれば、一対のセラミックセパレータ41および42の接合領域(端部)を帯状に形成することができる。すなわち、一対のセラミックセパレータ41および42の端部を、より強固に接合することができる。さらに、このような構成によれば、他の構成部材(例えば、第1セパレータ搬送部120や第2セパレータ搬送部130)の動作を継続させたままの状態で、一対のセラミックセパレータ41および42を接合することができる。すなわち、セラミックセパレータ41および42の接合に係る生産性を維持することができる。
【0126】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る電気デバイス(袋詰電極12)のセパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置600について、
図12を参照しながら説明する。
【0127】
第2実施形態は、セラミックセパレータ43を、正極20の縁20tを境にして折り返しつつ、一端部43p同士および他端部43q同士を、縁20tを境にして対面させる構成が、前述した第1実施形態に係る構成と異なる。前述した第1実施形態では、一対のセラミックセパレータ41および42によって正極20を挟持しつつ、一端部41pと一端部42p同士および他端部41qと他端部42q同士をそれぞれ対面させていた。第2実施形態においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
【0128】
セパレータ接合装置600について、
図12を参照しながら説明する。
【0129】
図12は、電気デバイス(袋詰電極12)のセパレータ接合方法およびセパレータ接合装置600を示す斜視図である。
【0130】
先ず、セパレータ接合装置600の構成について、
図12を参照しながら説明する。
【0131】
セパレータ接合装置600は、部材搬送部610(正極20および袋詰電極12を搬送)、セパレータ搬送部620、セパレータ折返部630(折返工程に対応)、セパレータ加圧部640(加圧工程に対応)、およびセパレータ接合部650(接合工程に対応)を含んでいる。以下、セパレータ接合装置600に含まれる構成について順に説明する。
【0132】
部材搬送部610は、正極20および袋詰電極12を搬送する。部材搬送部610は、吸着パッド611および支持部材612を備えている。吸着パッド611は、板状からなり、正極20または袋詰電極12と当接する面に吸引口を複数設けている。支持部材612は、一端に吸着パッド611を接合し、他端に電導ステージやエアーコンプレッサー等を備えた移動機構を接合している。吸着パッド611は、交差方向Yおよび積層方向Zに沿って移動自在である。
【0133】
セパレータ搬送部620は、一対の把持部材621および一対の切断部材622を備えている。一対の把持部材621は、積層方向Zに沿って開閉自在なロボットハンドに相当する。一対の把持部材621は、セパレータ供給ローラに巻き付けられている長尺のセラミックセパレータ43の端部を把持し、固定型631および移動型632に対して近接するように引き出す。一対の切断部材622は、先端に直線状の鋭利な刃を設けている。一対の切断部材622は、一対の把持部材621によって把持されている長尺状のセラミックセパレータ43を一定の幅で切断する。一対の切断部材622は、セパレータ折返部630の固定型631の端部および移動型632の端部に対向するように、それぞれ交差方向Yに沿って配設している。
【0134】
セパレータ折返部630は、折返工程に対応している。折返工程は、セラミックセパレータ43を正極20の縁20tを境にして折り返しつつ、セラミックセパレータ43の一端部43p同士および他端部43q同士を、正極20の縁20tを境にして対面させる。セパレータ折返部630は、固定型631および移動型632を備えている。固定型631および移動型632は、セラミックセパレータ43を正極20の縁20tを境にして折り返しつつ、一端部43p同士および他端部43q同士を対面させる。固定型631および移動型632は、それぞれ、板状に形成し、セラミックセパレータ43と当接する面に吸引口をマトリクス状に設けている。ここで、移動型632は、少なくともセパレータ加圧部640の加圧部材641を接合し積層方向Zに沿った部分を、光L1の波長において透明な材料から形成している。移動型632は、例えば、加圧部材641と同様の材料からなる。移動型632は、セラミックセパレータ43を中央で折り返すように、固定型631の一端を基準にして回転しつつ固定型631と対向する。
【0135】
セパレータ加圧部640は、加圧部に相当する。セパレータ加圧部640は、加圧部材641を備えている。加圧部材641は、セラミックセパレータ43の端部を加圧する。加圧部材641は、加圧部材141の当接部141bを積層方向Zに沿って薄くした形状に相当する。加圧部材641は、セパレータ折返部630の移動型632の搬送方向Xに沿った両端に、一定の間隔で複数配設している。加圧部材641は、セラミックセパレータ43が固定型631と固定型631によって挟持されている状態において、セラミックセパレータ43の一端部43pおよび他端部43qを加圧する。
【0136】
セパレータ接合部650は、接合部に相当する。セパレータ接合部650は、レーザ発振器151から出射した光L1を、第1反射ミラー152および第2反射ミラー154によって反射させた後、透明な移動型632を透過させつつ、加圧部材641に入射させる。加圧部材641から出射した光L1は、セラミックセパレータ43の一端部43p同士または他端部43q同士に照射し、それらの端部を溶融させて接合する。第1反射ミラー152および第2反射ミラー154は、搬送方向Xおよび交差方向Yに移動自在にしている。
【0137】
次に、セパレータ接合装置600の作用について、
図12を参照しながら説明する。
【0138】
最初に、
図12(A)に示すように、セパレータ搬送部620は、一対の把持部材621によって、セパレータ供給ローラに巻き付けられている長尺のセラミックセパレータ43の端部を把持し、そのセラミックセパレータ43を搬送方向Xに沿って引き出す。
【0139】
次に、
図12(B)に示すように、セパレータ搬送部620は、一対の切断部材622によって長尺状のセラミックセパレータ43を一定の幅で切断する。このとき、セパレータ折返部630は、固定型631および移動型632によってセラミックセパレータ43を吸引して保持している。その後、部材搬送部610は、吸着パッド611によって正極20をセパレータ折返部630の固定型631の上方に搬送し、その正極20をセラミックセパレータ43に積層する。
【0140】
次に、
図12(C)に示すように、移動型632は、セラミックセパレータ43を中央で折り返すように、固定型631の一端を基準にして回転しつつ、固定型631と対向する。このとき、セパレータ接合部650は、レーザ発振器151から出射した光L1を、第1反射ミラー152および第2反射ミラー154によって反射させた後、透明な移動型632を透過させつつ、加圧部材641に入射させる。セパレータ接合部650は、加圧部材641から出射した光L1を、セラミックセパレータ43の端部同士に照射して、その(端部、一端部41pまたは他端部41qの少なくとも一方)同士を溶融して接合する。セラミックセパレータ43の1箇所の接合が完了するたびに、第1反射ミラー152および第2反射ミラー154を搬送方向Xおよび交差方向Yに移動して、レーザ発振器151から出射される光L1の方向を次の接合領域に照射させる。または、セラミックセパレータ43の1箇所の接合が完了するたびに、固定型631および移動型632を、搬送方向Xおよび交差方向Yに対して移動させてもよい。全ての接合領域は、加圧部材641によってそれぞれ加圧されている状態である。
【0141】
最後に、
図12(D)に示すように、移動型632は、固定型631の一端を基準にして逆回転しつつ、固定型631から離間する。部材搬送部610は、吸着パッド611によって袋詰電極12を吸引して載置台に搬送する。袋詰電極12は、正極20を挟持したセラミックセパレータ43を接合したものである。
【0142】
上述した第2実施形態によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0143】
セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置600において、例えばセパレータ接合方法は、電極(正極20または負極30)と比して長尺に形成したセパレータ(セラミックセパレータ43)を用いる。この接合方法は、折返工程をさらに有している。折返工程は、加圧工程の前に実施する。折返工程は、耐熱材の中央部同士が電極(正極20または負極30)を隔てて対向するように、セパレータ(セラミックセパレータ43)を電極(正極20または負極30)の縁20tを境にして折り返しつつ、セパレータ(セラミックセパレータ43)の接合領域(端部、一端部43pまたは他端部43qの少なくとも一方)同士を、縁20tを境にして対面させる。
【0144】
このような構成に示すように、電気デバイス(袋詰電極12)のセパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置600は、折返式からなる非常に汎用性の高い方式にも適用することができる。すなわち、このセパレータ接合方法は、長尺のセパレータ(セラミックセパレータ43)を折り返しつつ、電極(正極20または負極30)を挟持することによって、各部材を重ね合わせて積層する方式に用いることができる。
【0145】
さらに、このような構成によれば、長尺のセパレータ(セラミックセパレータ43)は、その折り返した部分を接合する必要がないことから、接合に要する設備や時間を削減することができる。さらに、このような構成によれば、長尺のセパレータ(セラミックセパレータ43)は、電極(正極20または負極30)の縁に沿って折り返すことによって、折り返す部分にのり代が生じることがないことから、材料に係るコストを削減することができる。さらに、このような構成によれば、一枚のセパレータ(セラミックセパレータ43)を用いることから、そのセパレータ(セラミックセパレータ43)を切り出すときの切断箇所を最小限にすることができ、製造コストおよび製造に要する時間を削減することができる。
【0146】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る電気デバイス(袋詰電極13)のセパレータ接合方法について、
図13を参照しながら説明する。
【0147】
第3実施形態は、長尺のセラミックセパレータ44を正極20に対して巻き付けつつ、一端部44rと他端部44sとを対面させて接合する構成が、前述した第1実施形態に係る構成と異なる。前述した第1実施形態では、一対のセラミックセパレータ41および42によって正極20を挟持しつつ、端部同士を対面させていた。第3実施形態においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
【0148】
セパレータ接合方法について、
図13を参照しながら説明する。
【0149】
図13は、電気デバイス(袋詰電極13)のセパレータ接合方法を模式的に示す斜視図である。
【0150】
セラミックセパレータ44は、正極20の短手方向(
図13中の交差方向Y)に沿った幅を、正極20の短手方向の幅よりも2倍以上長く形成している。最初に、
図13(A)に示すように、正極20を、その正極電極端子21aがセラミックセパレータ44から突出するように、セラミックセパレータ44の片側に載置する。正極20は、その一端部20rがセラミックセパレータ44の中央に位置し、かつ、他端部20sがセラミックセパレータ44の他端部44sから少し内側に位置している。
【0151】
さらに、
図13(B)に示すように、巻付工程によって、セラミックセパレータ44を、正極20の他端部20sを境にして折り返しつつ、セラミックセパレータ44を正極20の両面に巻き付ける。この状態で、セラミックセパレータ44の一端部44rと他端部44sが対面する。最後に、
図13(C)に示すように、加圧工程によって、加圧部材143および付勢部材144を用い、正極20を介して対面するセラミックセパレータ44)の一端部44rと他端部44sを加圧する。一端部44rおよび他端部44sの一部は、接合領域に相当する。上記の状態において、接合工程によって、光L1を加圧部材143に透過させつつ互いに対向した一端部44rおよび他端部44sに照射して接合する。
【0152】
袋詰電極13において、セラミックセパレータ44の長手方向の両側に沿って、両端部と中央部に合計3箇所ずつ、接合部40hを形成する。セラミックセパレータ44の1箇所の接合が完了するたびに、加圧部材143および付勢部材144を次の接合領域に移動させる。同時に、第1反射ミラー152および第2反射ミラー154を走査して、レーザ発振器151から出射される光L1の方向を次の接合領域に照射させる。または、セラミックセパレータ44の1箇所の接合が完了するたびに、正極20を巻き付けたセラミックセパレータ44を、搬送方向Xおよび交差方向Yに対して移動させてもよい。
【0153】
上述した第3実施形態によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0154】
セパレータ接合方法において、電極(正極20または負極30)と比して長尺に形成したセパレータ(セラミックセパレータ44)を用いる。この接合方法は、巻付工程をさらに有している。巻付工程は、加圧工程の前に実施する。巻付工程は、耐熱材の中央部同士が電極(正極20または負極30)を隔てて対向するように、セパレータ(セラミックセパレータ44)を電極(正極20または負極30)に対して巻き付けつつ、一の接合領域(一端部44r)と、一の接合領域(一端部44r)の反対側の他の接合領域(他端部44s)とを対面させる。
【0155】
このような構成に示すように、電気デバイス(袋詰電極13)のセパレータ接合方法は、巻付式からなる非常に汎用性の高い方式にも適用することができる。すなわち、このセパレータ接合方法は、長尺のセパレータ(セラミックセパレータ44)を電極(正極20または負極30)に巻き付けることによって、各部材を重ね合わせて積層する方式に用いることができる。
【0156】
さらに、このような構成によれば、長尺のセパレータ(セラミックセパレータ44)は、電極(正極20または負極30)に巻き付けつつ折り返した部分を接合する必要がないことから、接合に要する設備や時間を削減することができる。さらに、このような構成によれば、長尺のセパレータ(セラミックセパレータ44)は、電極(正極20または負極30)の縁に沿って折り返すことによって、折り返す部分にのり代が生じることがないことから、材料に係るコストを削減することができる。さらに、このような構成によれば、一枚のセパレータ(セラミックセパレータ44)を用いることから、そのセパレータ(セラミックセパレータ44)を切り出すときの切断箇所を最小限にすることができ、製造コストおよび製造に要する時間を削減することができる。
【0157】
そのほか、本発明は、特許請求の範囲に記載された構成に基づき様々な改変が可能であり、それらについても本発明の範疇である。
【0158】
例えば、第1〜第3実施形態では、リチウムイオン二次電池10に用いる袋詰電極において、電極を挟持するセパレータを互いに接合する構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。リチウムイオン二次電池10に用いる袋詰電極以外の部材の接合にも適用することができる。
【0159】
また、第1〜第3実施形態では、二次電池をリチウムイオン二次電池10の構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。二次電池は、例えば、ポリマーリチウム電池、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池として構成することができる。
【0160】
また、第1〜第3実施形態では、セパレータの耐熱材をセラミックス層の構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。耐熱材は、セラミックスに限定されることはなく、溶融材よりも溶融温度が高い部材であればよい。
【0161】
また、第1〜第3実施形態では、セパレータの溶融材をポリプロピレンの構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。溶融材は、ポリプロピレンに限定されることはなく、耐熱材よりも溶融温度が低い部材であればよい。
【0162】
また、第1〜第3実施形態では、正極20をセパレータによって袋詰めして袋詰電極を形成する構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。負極30をセパレータによって袋詰めして袋詰電極を形成する構成としてもよい。
【0163】
また、第1〜第3実施形態では、電極を挟持しつつセパレータ同士を接合する構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。セパレータ同士を接合した後に、電極を挿入して袋詰電極を形成する構成としてもよい。
【0164】
また、第1〜第3実施形態では、電極、セラミックセパレータ、および袋詰電極を自動で搬送する構成として説明したが、このような構成に限定されることはない。人手によって、電極、セラミックセパレータ、および袋詰電極を搬送する構成としてもよい。
【0165】
また、例えば第1実施形態では、突起部を備えた加圧部材141と付勢部材142を用いて、セラミックセパレータ41および42の両端をスポット溶着する構成として説明したが、このような構成に限定されることはない。突起部を備えた加圧部材141と付勢部材142を、接合部40hが搬送方向Xに沿って連なるように作動させて、セラミックセパレータ41および42の両端をシーム溶着する構成としてもよい。
【0166】
また、第2実施形態では、セラミックセパレータ43を正極20の短手方向に沿って折り返す構成として説明したが、このような構成に限定されることはない。セラミックセパレータ43を正極20の長手方向に沿って折り返す構成としてもよい。
【0167】
また、袋詰電極の片側から光を接合領域に照射する構成に限定されることはない。袋詰電極の裏面および表面の両側から光を接合領域に照射する構成としてもよい。