(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6183573
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】エアバッグ及びエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/2338 20110101AFI20170814BHJP
【FI】
B60R21/2338
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-67997(P2017-67997)
(22)【出願日】2017年3月30日
【審査請求日】2017年4月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306009581
【氏名又は名称】タカタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】竹内 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中村 和哉
【審査官】
岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−032956(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/002384(WO,A1)
【文献】
米国特許第09272684(US,B1)
【文献】
欧州特許出願公開第00861762(EP,A1)
【文献】
特開2013−082418(JP,A)
【文献】
特開2009−040220(JP,A)
【文献】
特開2008−044480(JP,A)
【文献】
特開2000−153746(JP,A)
【文献】
特開2016−199123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16−21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
助手席とインストルメントパネルとの間で膨張展開する助手席用のエアバッグであって、
メインバッグと、該メインバッグの左右の側部にそれぞれ連結された左サブバッグ及び右サブバッグとを備え、
該左サブバッグと右サブバッグとがエアバッグの上部において連結部材によって連結されており、
前記連結部材は、前記メインバッグの上側に配置され、前記左サブバッグ及び前記右サブバッグの上部に連結されており、前記メインバッグには連結されておらず、
前記メインバッグからガスが前記左サブバッグ及び右サブバッグに流入して各サブバッグが膨張するよう構成されていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項2】
請求項1において、前記連結部材はタイパネルであり、前記メインバッグの上部で該タイパネルを覆い、該タイパネルの位置を規制する位置規制パネルが設けられていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項3】
請求項1において、前記連結部材はタイダクトであり、該タイダクトによって前記左サブバッグと右サブバッグとが連通していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項4】
請求項1において、前記エアバッグの上部、下部及び前部の少なくとも1つに沿って、メインバッグと左右のサブバッグとが縫着されていることを特徴とするエアバッグ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、膨張完了状態で、車両センター側の前記サブバッグの後部の少なくとも一部は、前記メインバッグよりも後方に位置することを特徴とするエアバッグ。
【請求項6】
請求項5において、膨張完了状態で、前記車両センター側のサブバッグの少なくとも上部の後端部は、前記メインバッグよりも後方に位置することを特徴とするエアバッグ。
【請求項7】
助手席とインストルメントパネルとの間で膨張展開する助手席用のエアバッグであって、
メインバッグと、該メインバッグの左右の側部にそれぞれ連結された左サブバッグ及び右サブバッグとを備え、
該左サブバッグと右サブバッグとがエアバッグの上部、下部及び前部の少なくとも1箇所において連結されており、
膨張完了状態で、前記メインバッグは、車両前後方向の中間部よりも前方側で左右幅が最大の最大幅部となっており、
該メインバッグの左右幅は、該最大幅部から後方に向って徐々に減少していることを特徴とするエアバッグ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のエアバッグと、
前記メインバッグにガスを供給するインフレータと、
を備えることを特徴とするエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の乗員を衝突時等に拘束するためのエアバッグ及びエアバッグ装置に関する。なお、本発明において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両の前後・上下・左右の方向に対応するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の衝突や車体横転時等に、乗員の周囲各部でエアバッグをインフレータにより膨張させ、乗員の身体を拘束するエアバッグ装置が知られている。例えば、助手席用エアバッグ装置は、インストルメントパネル内に収容され、緊急時にエアバッグを膨張展開して、助手席乗員を拘束する。
【0003】
車両の斜め衝突時や微小ラップ衝突時、助手席乗員は斜め前方に慣性移動する。そのため、斜め前方に移動する助手席乗員を拘束する助手席用エアバッグ装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/099036号
【特許文献2】特開2015−113027号公報
【特許文献3】特開2010−201980号公報
【特許文献4】特開2000−153747号公報
【特許文献5】特開2006−256508号公報
【特許文献6】特開2003−112593号公報
【特許文献7】米国特許公開第2015/0175116号
【特許文献8】特開2016−037130号公報
【特許文献9】特開2016−037137号公報
【特許文献10】特開2016−040155号公報
【特許文献11】特開2016−060350号公報
【特許文献12】国際公開2016/021381A1
【特許文献13】特開2008−44594号公報
【特許文献14】国際公開第2016/132762号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであり、斜め前方に移動する助手席乗員を拘束できるエアバッグ及びエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエアバッグは、助手席とインストルメントパネルとの間で膨張展開する助手席用のエアバッグであって、メインバッグと、該メインバッグの左右の側部にそれぞれ連結された左サブバッグ及び右サブバッグとを備える。該左サブバッグと右サブバッグとがエアバッグの上部、下部及び前部の少なくとも1箇所において連結されている。
【0007】
本発明の一態様によるエアバッグでは、前記左サブバッグと右サブバッグとが連結部材によって連結されている。
【0008】
本発明の一態様によるエアバッグでは、前記連結部材は、前記メインバッグの上側に配置されている。この連結部材は、前記メインバッグ、左サブバッグ及び右サブバッグの上部に連結されてもよい。さらに、この連結部材はタイパネルであり、前記メインバッグの上部で該タイパネルを覆い、該タイパネルの位置を規制する位置規制パネルが設けられていてもよい。
【0009】
本発明の一態様によるエアバッグでは、前記連結部材はタイダクトであり、該タイダクトによって前記左サブバッグと右サブバッグとが連通している。
【0010】
本発明の一態様によるエアバッグでは、前記エアバッグの上部、下部及び前部の少なくとも1つに沿って、メインバッグと左右のサブバッグとが縫着されている。
【0011】
本発明の一態様によるエアバッグでは、前記メインバッグからガスが前記左サブバッグ及び右サブバッグに流入して各サブバッグが膨張する。
【0012】
本発明の一態様によるエアバッグでは、膨張完了状態で、車両センター側の前記サブバッグの後部の少なくとも一部は、前記メインバッグよりも後方に位置する。
【0013】
本発明の一態様によるエアバッグでは、膨張完了状態で、前記車両センター側のサブバッグの少なくとも上部の後端部は、前記メインバッグよりも後方に位置する。
【0014】
本発明の一態様によるエアバッグでは、膨張完了状態で、前記メインバッグは、車両前後方向の中間部よりも前方側で左右幅が最大の最大幅部となっており、該メインバッグの左右幅は、該最大幅部から後方に向って徐々に減少している。
【0015】
本発明のエアバッグ装置は、本発明によるエアバッグと、前記メインバッグにガスを供給するインフレータとを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、左サブバッグと右サブバッグとがエアバッグの上部、下部、前部及び後部の少なくとも1箇所において連結されているので、斜突等により斜め前方に移動する助手席乗員がサブバッグ又はサブバッグとメインバッグとで拘束される。
【0017】
本発明の一態様では、膨張完了状態において、車両センター側のサブバッグの後部の少なくとも一部がメインバッグの後部よりも後方に突出する。斜突等により車両センター側の斜め前方に移動する助手席乗員は、このサブバッグ後部とメインバッグ後部とで拘束される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1の実施の形態に係るエアバッグ装置の正面図(
図2aのI矢視図)である。
【
図2】
図2aは実施の形態に係るエアバッグの側面図である。
図2bは
図1のIIb−IIb線断面図である。
【
図4】第1の実施の形態に係るエアバッグを示す上面図(
図2aのIV矢視図)である。
【
図5】第2の実施の形態に係るエアバッグの上面図である。
【
図6】第3の実施の形態に係るエアバッグの断面図である。
【
図7】第4の実施の形態に係るエアバッグの上面図である。
【
図8】第5の実施の形態に係るエアバッグの上面図である。
【
図9】
図9a,9b及び9cはそれぞれ第6の実施の形態に係るエアバッグの断面図である。
【
図11】第7の実施の形態に係るエアバッグの側面図である。
【
図12】第8の実施の形態に係るエアバッグの断面図である。
【
図13】第8の実施の形態に係るエアバッグの上面図である。
【
図14】第9の実施の形態に係るエアバッグの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1〜
図4,10を参照して、第1の実施の形態に係るエアバッグ装置について説明する。
【0020】
この実施の形態に係るエアバッグ装置は、通常時は折り畳まれており緊急時に膨張展開されるエアバッグ1と、エアバッグ1にガスを供給するインフレータ10(
図2a)とを備える。このエアバッグ装置は、助手席用エアバッグ装置であり、助手席の前方に配置されたインストルメントパネル11に収容される。エアバッグ1は、乗員P(
図10)、インストルメントパネル11及びフロントガラス12により囲まれた空間に膨張展開される。
【0021】
エアバッグ1は、メインバッグ2と、メインバッグ2の左側面部に連結されたサブバッグ3と、右側面部に連結されたサブバッグ4とを備える。この実施の形態では、自動車は左ハンドル車であり、助手席は右側座席である。エアバッグ1の左側面はエアバッグ1の車体センター側の側面である。右ハンドル車に搭載される場合、エアバッグ1は図示とは左右対称の構成とされる。
【0022】
メインバッグ2は、乗員Pのほぼ正面に膨張展開される。メインバッグ2は、後部2a、上部2b、前部2c、下部2d、左側部2e及び右側部2fを有する。メインバッグ2の後部2aは、正面視略四角形状であり、エアバッグ1の膨張展開完了時に乗員Pの頭部を含めた上半身に対面する。
【0023】
メインバッグ2の下部2dにインフレータ10の挿入口が設けられ、インフレータ10からメインバッグ2内にガスが供給されるようになっている。
【0024】
左右の側部2e,2f側には連通口2gとベントホール2iが設けられている。連通口2gの径はベントホール2iの径より大きくなっている。ベントホール2iは、サブバッグ3,4よりも上方に位置し、膨張したサブバッグ3,4がベントホール2iを塞がないようになっている。
【0025】
サブバッグ3,4は、それぞれ後部3a,4a、上部3,4b、前部3c,4c、下部3d,4d、左側部3e,4e及び右側部3f,4fを有する。
【0026】
左サブバッグ3の右側部3f及び右サブバッグ4の左側部4eには連通口3g,4gが設けられている。連通口3g,4gの径は連通口2gの径と同程度である。メインバッグ2の左右の連通口2gに、それぞれサブバッグ3,4の連通口3g,4gをそれぞれ位置合わせした状態で、これらの連通口2g,3g又は2g,4gの周縁同士を縫合糸15により結合する。これにより、サブバッグ3,4がメインバッグ2に連結される。
【0027】
この実施の形態では、左サブバッグ3の上からメインバッグ2の上部を通って右サブバッグ4の上部まで連結部材としてのタイパネル5が配置され、左サブバッグ3及び右サブバッグ4の上面に対し縫合糸6、8によって縫合されている。本実施形態では、タイパネル5がメインバッグ2の上部に結合されず、サブバッグ3,4の上部にのみ結合されたものとしているが、タイパネル5を縫合糸によりメインバッグ2の上面に対して縫合してもよい。
【0028】
この実施の形態にあっては、エアバッグ1の膨張完了状態において、左サブバッグ3の後部3aは、メインバッグ2の後部2aより10〜30cm程度後方に位置する。右サブバッグ4の後部4aは、エアバッグ1の膨張完了状態において、メインバッグ2の後部2aと面一状であるか、又はメインバッグ2の後部2aよりも若干(例えば10cm以下程度)後方に位置する。
【0029】
膨張完了状態におけるエアバッグ1では、サブバッグ3,4の上部3b,4bの後部は、メインバッグ2の上面2bの後部よりも若干下方に位置すると共に、標準的体型の乗員Pの頭部H(
図10)よりも上側に位置する。膨張完了状態におけるエアバッグ1では、サブバッグ3,4の下部3d,4dの後部は、メインバッグ2の下部2dの後部よりも上方に位置している。また、膨張完了状態におけるエアバッグ1では、サブバッグ3,4の下部3d,4dの後部は、標準的体型の乗員Pの肩S(
図10)よりも上側かつ頭部Hよりも下側に位置する。
【0030】
この実施の形態においては、膨張完了状態における上面図(
図4)の通り、メインバッグ2は前後方向の中間よりも前部側において左右方向幅が最大(最大幅部W
1)となっている。この最大幅部W
1よりも前方側は、左右方向幅が前方ほど小さくなっている。
【0031】
また、この最大幅W
1部分よりも後方に向って、メインバッグ2の左右幅は徐々に小さくなっている。メインバッグ2の左右の側面2e,2fの後方延長線e,fと車両の前後方向Dとの交差角度θは例えば10〜30度(deg)程度である。
【0032】
膨張完了状態において、メインバッグ2の左右の連通口2g,2g間の距離W
2(
図3)は25〜50cm程度である。
【0033】
インフレータ10が作動すると、インフレータ10からメインバッグ2内にガスが供給される。メインバッグ2内に供給されたガスは、連通口2g,3g,4gを通ってサブバッグ3,4内に供給される。これにより、メインバッグ2及びサブバッグ3,4が膨張展開する。
【0034】
この実施の形態では、メインバッグ2の前部の最大幅W
1を大きくしたことにより、インストルメントパネル11によるエアバッグ1の支持が安定する。また、メインバッグ2の左右幅を最大幅部W
1から後方及び前方に向ってそれぞれ小さくしたことにより、メインバッグ2の容積を小さくすることができる。
【0035】
この実施の形態では、サブバッグ3,4は、縫合糸15によりメインバッグ2に連結されている。また、左サブバッグ3の連通口3gから右サブバッグ4の連通口4gまでの長さは、メインバッグ2の左右の連通口2g,2g間の長さとほぼ等しい。そのため、膨張完了状態において、メインバッグ2の側面部とサブバッグ3,4とは密着状に接している。
【0036】
正面衝突時には、乗員はメインバッグ2及びサブバッグ3,4で拘束される。
【0037】
車両の左方への斜め衝突や微小ラップ衝突の場合には、乗員Pは
図10の通り、左斜め前方に移動し、サブバッグ3とメインバッグ2とで拘束される。
【0038】
サブバッグ3の後部3aは、メインバッグ2の後部2aより後方に位置する。
図10に示すように、乗員Pの頭部Hがメインバッグ2の後部2aに拘束された際に、サブバッグ3の後部3aが頭部Hの重心CGよりも後方に位置することが好ましい。例えば、サブバッグ3の後部3aは、メインバッグ2の後部2aより10〜30cm程度後方に位置する。これにより、サブバッグ3は、重心CGを中心とした頭部Hの回転(
図10では時計回りの回転)を抑制できる。特に、この実施の形態では、左右のサブバッグ3,4の上部同士がタイパネル5で連結されているので、車両の左方への斜め衝突や微小ラップ衝突の場合に乗員Pが左サブバッグ3の後部側を左斜め前方に押したときに、左サブバッグ3がメインバッグ2から離隔しようとすることが抑制される。
【0039】
車両の右方への斜め衝突や微小ラップ衝突の場合には、乗員Pはメインバッグ2とサブバッグ4とで拘束される。
【0040】
この実施の形態では、メインバッグ2の側面部とサブバッグ3との合わせ面が後方ほどメインバッグ2の中心側となるように車両前後方向Dに対して交差方向に延在しているので、斜め前方に移動した乗員Pの頭部Hをメインバッグ2の側面部とサブバッグ3,4との間に入り込ませて拘束することができる。
【0041】
上記実施の形態では、1本のタイパネル5により、サブバッグ3,4の上面同士を連結していたが、タイパネル5の本数は2本以上であってもよい。また、タイパネル5を2本以上設ける場合、例えば、
図5に示すエアバッグ1Aのように、タイパネル5同士を交差させて配置してもよい。
【0042】
また、上記実施の形態では、連結部材として帯状のタイパネル5が用いられているが、
図6のエアバッグ1Bのように長筒状のタイダクト5Aを用い、タイダクト5Aの一端側を左サブバッグ3に連通させ、他端側を右サブバッグ4内に連通させてもよい。エアバッグ1A,1Bのその他の構成はエアバッグ1と同様である。
【0043】
上記実施の形態では、左右のサブバッグ5,6の上部同士をタイパネル5又はタイダクト5Aで連結しているが、本発明では、サブバッグ3,4の下部同士、前部同士又は後部同士をタイパネル5又はタイダクト5Aで連結してもよい。また、本発明では、縫合糸によってサブバッグ3,4の上部側面をそれぞれメインバッグ2の上部側面に縫合することにより、サブバッグ3,4の上部同士をメインバッグ2を介して連結する構成としてもよい。
【0044】
これらの実施の形態の一例を
図7,8,9a〜9cに示す。
【0045】
図7のエアバッグ1Cでは、左右のサブバッグ3,4の下部同士をタイパネル5で連結している。タイパネル5はメインバッグ2に対し連結されてもよく、連結されなくてもよい。
【0046】
図8のエアバッグ1Dでは、左右のサブバッグ3,4の前部3C,4C同士をタイパネル5で連結している。タイパネル5はメインバッグ2に対し連結されてもよく、連結されなくてもよい。
【0047】
図7,8において、タイパネルの代りにタイダクトを用いてもよい。
【0048】
図9a〜9cのエアバッグ1E,1F,1Gでは、左右のサブバッグ3,4の側面とメインバッグ2の側面同士を縫合糸で縫合している。
図9aでは、縫合糸21はサブバッグ3,4の上部に沿って設けられている。
図9bでは、縫合糸22はサブバッグ3,4の下部に沿って設けられている。
図9Cでは、縫合糸23はメインバッグ2の前部に沿って設けられている。なお、上、下及び前部の縫合糸21,22,23の2つ又は3つを設けてもよい。
【0049】
本発明では、
図11のエアバッグ1Hのサブバッグ3’のように、車両中央側のサブバッグ3’の上部側が下部側よりも後方に突出してもよい。
【0050】
また、
図12、
図13のエアバッグ1Jのように、メインバッグ2の上部において、タイパネル5を覆うように位置規制パネル7を設けてもよい。位置規制パネル7は、矩形状であり、前後方向に沿って延びる2辺と、左右方向に沿って延びる2辺とを有し、左右方向に延びる2辺の辺縁部が、メインバッグ2の上面に対し縫合糸17によって縫合されている。位置規制パネル7の前後方向に沿って延びる2辺は縫合されない。タイパネル5は、メインバッグ2と規制パネル7との間を挿通する。位置規制パネル7を設けることで、タイパネル5の位置を規制することができる。
【0051】
位置規制パネル7の形状は矩形に限定されず、例えば、
図14のエアバッグ1Kに示すように、前後方向の幅が、左右方向の中央部に向かって徐々に狭くなる形状を有する位置規制パネル7aとしてもよい。
図15に示すように、位置規制パネル7aは、左サブバッグ3や右サブバッグ4の揺動等に伴って動くタイパネル5からの負荷が小さく、エアバッグ1Kのバッグ挙動の自由度が高い。
【0052】
エアバッグ1C〜1Kのその他の構成はエアバッグ1と同様である。
【0053】
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。例えば、本発明では、サブバッグを構成するパネルにタックを入れることにより、膨張したサブチャンバの曲率を大きくしてもよい。また、サブバッグを構成するパネルのうち、メインバッグに対面するものに摘み部を設けることにより、膨張したサブチャンバの曲率を大きくしてもよい。サブチャンバは、複数枚のパネルの縁部同士を縫合したものであってもよく、1枚のパネルを折り返して縁部同士を縫合したものであってもよい。サブチャンバは円筒形状など、図示以外の形状とされてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1,1A〜1H、1J、1K エアバッグ
2 メインバッグ
3,3’,4 サブバッグ
5 タイパネル
5A タイダクト
7,7a 位置規制パネル
10 インフレータ
11 インストルメントパネル
12 フロントガラス
【要約】
【課題】斜め前方に移動する助手席乗員を拘束できるエアバッグ及びエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】エアバッグ1は、助手席とインストルメントパネルとの間で膨張展開する助手席用のエアバッグである。このエアバッグ1は、メインバッグ2と、メインバッグ2の左右の側部に連結された左サブバッグ3及び右サブバッグ4とを備える。左サブバッグ3は、メインバッグ2よりも後方に突出するように膨張する。左サブバッグ3と右サブバッグ4の上面がタイパネル5で連結されている。
【選択図】
図1