(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記燃料タンクは、前記レベリングバルブよりも高い液面位置で前記燃料タンクの液面を規制する燃料カットオフバルブと、前記燃料カットオフバルブと前記レベリングバルブとを連通し、前記燃料タンク内の蒸発ガスを前記レベリングバルブを中継して前記キャニスタへ導く第2ベーパ通路を有し、
前記第1圧力センサおよび前記第2圧力センサの一方は、前記レベリングバルブと前記密閉弁との間の第1ベーパ通路部分に設けられ、他方は前記燃料タンク内に設けられ、
前記没入検出部は、前記第1圧力センサおよび前記第2圧力センサの検出圧力の変動に基づき、前記レベリングバルブの燃料液面への没入が判定されるよう構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の燃料装置。
前記相互監視部は、前記第1圧力センサの検出結果と前記第2圧力センサの検出結果とを比較する比較部と、比較結果に基づき前記第1圧力センサ又は第2圧力センサが異常であると判定する判定部とを有して構成される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の燃料装置。
【背景技術】
【0002】
車両、特に走行用モータとエンジンを組み合わせたハイブリッド車などエンジンの運転をする機会が少ない車両の燃料装置では、燃料タンク内の燃料の蒸発ガスが大気に放散されるのを抑えるため、燃料タンク内を密閉にする密閉システムを採用して、燃料タンク外へ蒸発ガスが漏出するのを防いでいる。
密閉システムでは、燃料タンク内の蒸発ガスは、エンジン運転の機会を利用して処理(燃焼)されるが、給油時はエンジンの運転が停止するため、蒸発ガスの処理が行えない。このため密閉システムの燃料装置は、給油時の対策としてキャニスタを用いる。具体的には、燃料タンク内に設けたレベリングバルブとキャスタとの間をベーパ通路で連通し、同ベーパ通路に密閉弁を設けて、燃料タンク内を密閉状態にしたり、密閉弁の開放により燃料タンク内の蒸発ガスがキャニスタで吸着されるようにしている(特許文献1)。
【0003】
このような密閉システムでは、圧力センサで、燃料タンク内の圧力を監視して、密閉システムの各部を制御している。圧力センサは、特許文献1に示されるように燃料タンクに設けられるが、通常、一つだけである(特許文献1)。
ところが、一つの圧力センサだけだと、圧力センサが異常をきたすと、燃料タンク内の圧力の検出が全く行えなくなる。
【0004】
そのため、圧力センサの異常を検出する回路を設けることが考えられる。しかし、圧力センサが異常か否かを判定する回路は、かなり複雑となる傾向にあり、コスト的にもかなり負担が強いられる。
そこで、本出願人は、二つの圧力センサを燃料タンクの異なる位置に設け、二つの圧力センサの検出圧力から、燃料タンク内の圧力を検出したり、燃料タンク内の圧力が所定に変動するときの二つの圧力センサで検出した圧力を相互で監視し、監視した結果から圧力センサの異常を検出する技術を出願した。同技術は、二つの圧力センサが、センサ異常に対し十分な備えとなるだけでなく、圧力センサの異常検出が安価に行える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
二つの圧力センサによる相互監視は、密閉弁にて燃料タンク内が密閉状態となっているときには十分に発揮されるものの、レベリングバルブが燃料液面に没入している状況下で、密閉弁が開放されると、そのときの圧力変動の影響を受けやすい。具体的には、レベリングバルブの液没時、密閉弁の開放が行われると、レベリングバルブからキャニスタに向かう領域では急激に圧力が減衰し、燃料液面の上部の領域では緩慢に圧力が減衰したりする。
【0007】
このため、二つの圧力センサの相互監視は、このときに遭遇すると、二つの圧力センサの検出圧力が乖離してしまい、圧力センサが正常であるのにも関わらず、異常であると誤判定してしまうおそれがある。
そこで、本発明の目的は、誤判定なく二つの圧力センサによる相互監視が継続可能な車両の燃料装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明に係る態様は、燃料を貯留する燃料タンクと、燃料タンク内の異なる位置から当該燃料タンク内の圧力を検出する第1圧力センサおよび第2圧力センサと、第1圧力センサと第2圧力センサとから出力される検出圧力を相互で監視する相互監視部と、燃料タンク内に発生する燃料の蒸発ガスを吸着するキャニスタと、燃料タンク内に設けられ、燃料タンクに燃料が給油されることを規制するレベリングバルブと、レベリングバルブとキャニスタとを連通し、燃料タンク内の蒸発ガスをキャニスタへ導く第1ベーパ通路と、第1ベーパ通路を常態では封鎖して燃料タンク内を密閉状態にする密閉弁と、密閉弁の開放時におけるレベリングバルブの燃料液面への没入を検出する没入検出部と、レベリングバルブの没入が検出されると、相互監視部の相互監視を禁止する監視禁止部とを有するものとした。
【0009】
請求項2に記載の発明は、燃料タンクは、レベリングバルブよりも高い液面位置で燃料タンクの液面を規制する燃料カットオフバルブと、燃料カットオフバルブとレベリングバルブとを連通し、燃料タンク内の蒸発ガスをレベリングバルブを中継してキャニスタへ導く第2ベーパ通路を有し、第1圧力センサおよび第2圧力センサの一方は、レベリングバルブと密閉弁との間の第1ベーパ通路部分に設けられ、他方は燃料タンク内に設けられ、没入検出部は、第1圧力センサおよび第2圧力センサの検出圧力の変動に基づき、レベリングバルブの燃料液面への没入が判定されるよう構成されるものとした。
【0010】
請求項3に記載の発明は、相互監視部は、第1圧力センサの検出結果と第2圧力センサの検出結果とを比較する比較部と、比較結果に基づき第1圧力センサ又は第2圧力センサが異常であると判定する判定部とを有して構成されるものとした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、誤判定を招きやすい、レベリングバルブが液没したときの密閉弁の開放時には、二つの圧力センサの相互監視は行わない。
それ故、二つの圧力センサによる相互監視を誤動作なく継続することができ、常に良好に密閉システムの制御が行える。
請求項2の発明によれば、第1,2圧力センサを第1ベーパ通路部分と燃料タンク内とに設けた構造は、レベリングバルブの液没が検出しやすく、第1,2圧力センサの相互監視の回避には有効である。
【0012】
請求項3の発明によれば、簡単なロジックで第1、第2圧力センサの相互監視を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を
図1から
図6に示す一実施形態にもとづいて説明する。
図1は、本発明を適用した車両、例えば走行用モータとエンジンとを組み合わせたハイブリッド自動車に用いられる燃料装置の概略の構成を示し、
図2,6は同燃料装置における制御を示している。
図1に示される燃料装置を説明すると、1はレシプロエンジン、10は燃料(ガソリンなど液体燃料)を貯留する燃料タンク、30は同燃料タンク10内の蒸発ガスを処理する蒸発ガス処理部、50は同蒸発ガス処理部30に装備される専用(給油時)のキャニスタを示している。
【0015】
各部を説明すると、走行用モータと組み合うエンジン1は、吸気側に吸気マニホルド2、サージタンク3、スロットルバルブ4、エアクリーナ5などを有している。吸気マニホルド2には、フュエルインジェクタ6が付いている。
燃料タンク10は、例えば扁平形タンクで形成される。燃料タンク10内の上部には、燃料カットオフバルブ11(例えばフロートバルブで構成)や、当該燃料カットオフバルブ11と、二ウェイバルブ12aを有するベーパ通路12(本願の第2ベーパ通路に相当)を介して、直列に接続されたレベリングバルブ13(例えばフロートバルブで構成)が配設されている。レベリングバルブ13の下部に有る開口(燃料液面で塞がる開口部分)は、燃料タンク10内に収容される燃料の満タン位置に位置決められている。つまり、給油口20から給油が開始されると、燃料タンク10内の蒸散ガスをレベリングバルブ13からキャニスタ50へ追い出しつつ燃料タンク10内の液面が上昇する。燃料タンク10内の液面が上昇するとレベリングバルブ13に備えられたフロートバルブが上昇し開口がフロートバルブによって閉塞される。これにより、燃料タンク10内の空気の追い出し口がふさがれることで、給油量が規制される。燃料カットオフバルブ11の下部に有る開口(燃料液面で塞がる開口部分)は、レベリングバルブ13よりも高い位置に位置決められていて、レベリングバルブ13で燃料タンク10の満タン位置を規制された後であっても、燃料タンク10の内の蒸散ガスがカットオフバルブ11を介して少量抜けることで燃料タンク10内の蒸散ガスが高圧になり燃料タンク10内の圧力が過度に上昇することを防止しつつ、車両走行中や、車両が横転したときなどに燃料タンク10内の液面が満タン位置の規制を越えて、ベーパ通路12内に進入することを燃料カットオフバルブ11で防止している。
【0016】
燃料タンク10内の底部にはフュエルポンプ15が設置されている。このフュエルポンプ15の吐出部から延びるフュエル通路14は、フュエルインジェクタ6に接続され、燃料タンク10内の燃料が、フュエルインジェクタ6からエンジン1の燃焼室(図示しない)へ供給される。フュエルインジェクタ6から燃料タンク10へ戻るリターン通路は、図示していない。
【0017】
燃料タンク10の側壁には、給油用のフュエルパイプ17やリサーキュレーションパイプ18が設けられている。フュエルパイプ17の出口側は、例えば燃料タンク10の側壁の中段に接続され、フュエルパイプ17の入口側は、燃料タンク10の位置よりも上方の地点に設けてあるフュエルボックス19に連通接続され、給油口20を構成している。給油口20は、フュエルキャップ21で開閉可能に閉塞される。またフュエルボックス19の開口は、回動式のフュエルドア23にて塞がれている。フュエルドア23は、ドアアクチュエータ22でロックされていて、ロックを解除して、フュエルキャップ21を開けると、給油ガン(図示しない)を用いて、給油口20から燃料タンク10へ給油が行える。
【0018】
リサーキュレーションパイプ18の一方の端部は、フュエルパイプ17の給油口20付近に連通接続される。リサーキュレーションパイプ18の他方の端部は、燃料タンク10の側壁の上段を貫通して、先端がレベリングバルブ13で規定される満タン位置よりも若干、下側の位置に配置されている。
燃料タンク10の上壁には、燃料タンク10の内圧を検出するための圧力センサ24(本願の例えば第2圧力センサに相当)が設けられている。ちなみに圧力センサ24には、狭域、高精度の特性のセンサが用いられる。
【0019】
キャニスタ50は、主に燃料タンク10内のリークチェックを行うために用いるリークチェックモジュール51が装備されている。具体的には、キャニスタ50は、活性炭(図示しない)を収容した容器で構成される。この容器は、図示はしないが蒸発ガス側の出入口と大気側の出入口との二つの出入口をもつ。このうちの大気側の出入口に、リークチェックモジュール51が設けられている。リークチェックモジュール51は、例えば、負圧ポンプ52、大気開放するベントパイプ53、負圧ポンプ52およびベントパイプ53の連通切換えを行う切換バルブ54などを集めてモジュール化してなる。ちなみに、ベントパイプ53にはフィルタ55が設けられる。
【0020】
蒸発ガス処理部30は、例えば、レベリングバルブ13とキャニスタ50の蒸発ガス側の出入口との間を連通するベーパ通路31(本願の第1ベーパ通路に相当)と、同ベーパ通路31の出入口側の端部とエンジン1の吸気通路、例えばサージタンク3とスロットルバルブ4間の吸気通路部分との間を連通するパージ通路32と、これら各通路31,32の各部に設けた常閉形の密閉弁35、常閉形のパージ弁36および常開形のキャニスタ弁37と、これら各弁を制御する制御部38(例えばCPU,ROM,RAMなどで構成される電子ユニット)とを有する。
【0021】
具体的には、密閉弁35は、ベーパ通路31の途中に、双方向性の安全弁40と共に設けられる。パージ弁36はパージ通路32の途中に設けられ、キャニスタ弁37はキャニスタ50の蒸発ガス側の出入口に設けられる。またレベリングバルブ13と密閉弁35との間のベーパ通路部分には、燃料タンク10内の圧力を検出するための圧力センサ33(本願の例えば第1圧力センサに相当)が設けられている。このベーパ通路部分は、圧力が広範囲で変動しやすい部位なので、圧力センサ33には、圧力センサ24の特性とは異なる広域、低精度の特性のセンサが用いられている。これら、それぞれ異なる位置でそれぞれ異なる特性をもつ圧力センサ24、圧力センサ33を用いて、コストを抑えながら、燃料タンク10内の圧力を効果的に検出する構造としている。
【0022】
そして、各弁の特性により、常態下で燃料タンク10内を密閉する密閉システムを構成している。具体的には常態のとき、燃料タンク10内の液面から上部の空間や、密閉弁35で閉じられたパージ通路部分や、フュエルキャップ21で塞がれたフュエルパイプ部分まで空間を含む、燃料タンク10内の閉空間を密閉状態に保つ。これで、燃料タンク10内の蒸発ガス(燃料が蒸発したガス)が、燃料タンク10外へ漏出しないようにしている。
【0023】
制御部38には、この燃料タンク10内の蒸発ガスをエンジン1の運転で処理をするため、例えばエンジン1が所定条件下で運転されたとき、パージ弁36や密閉弁35を開作動させ、キャニスタ弁37を閉作動させる機能が設定される。つまり、燃料タンク10内の蒸発ガスは、燃料カットオフバルブ11およびレベリングバルブ13から、ベーパ通路31、パージ通路32を通じて、運転中のエンジン1の吸気通路へパージされ、エンジン1で燃焼される。
【0024】
また制御部38には、給油の際(エンジン1が運転していない状況)、給油口20から燃料タンク10内の蒸発ガスが大気中に放出されないようにする機能が設定される。これは、例えば、給油を行うため、フュエルドア23のロックを解除すべくフュエルドアスイッチ39を操作すると、密閉弁35を開動作、切換バルブ54(リークチェックモジュール51)を大気開放側に切換動作させる機能で構成される(負圧ポンプ52を作動させてもよい)。つまり、給油時になると、燃料タンク10の密閉状態が解かれ、
図1中の実線矢印に示されるように燃料タンク10内の蒸発ガスが、燃料カットオフバルブ11およびレベリングバルブ13から、ベーパ通路31、キャニスタ弁37を通じて、キャニスタ50へ導かれ、活性炭に蒸発ガスが吸着され、給油口20からの蒸発ガスの放出を防ぐ。
【0025】
この給油時、給油口20からの燃料の流出(タンク内圧の上昇による)を防ぐため、制御部38には、圧力センサ24,33から検出される圧力にしたがい、燃料タンク10内の圧力が十分に低下したとき、ドアアクチュエータ22をロック解除側に作動させる機能が設定される。つまり、燃料タンク10内の圧力が十分に低下しないと、フュエルドア23が開けられない措置が講じられている。
【0026】
また制御部38には、密閉弁35が開放するとき、レベリングバルブ13が燃料液面から露出しているか、燃料液面に没入(液没)しているかを判定する液没機能(本願の没入検出部に相当)や、同判定結果を用いてフュエルドア23を不開にさせるドア不開機能や、液没の発生を知らせたりする報知機能が設定されている。
液没判定には、十分な結果が得られるよう、レベリングバルブ13と密閉弁35間のベーパ通路部分の圧力と、燃料タンク10の燃料液面の上部空間の圧力とを用いた手法が用いられる。
【0027】
すなわち、液没判定の手法について述べると、燃料液面からレベリングバルブ13が露出している状態から、密閉弁35の開放が行われると、燃料タンク10内の蒸発ガスは、燃料カットオフバルブ11とレベリングバルブ13との双方からベーパ通路31を通じて次第に逃げるので、燃料タンク10内およびベーパ通路31内の圧力は、次第に大気圧に向かう挙動を示す。つまり、圧力センサ24,33から検出される圧力は、双方共、緩慢な圧力の変動を伴いながら大気圧に向かう。
【0028】
これに対し、レベリングバルブ13が燃料液面に没入している状態から、密閉弁35の開放が行われると、燃料カットオフバルブ11とレベリングバルブ13間の部分、すなわちベーパ通路12や二ウェイバルブ12aがチョーク(絞り部)となって、ベーパ通路部分内の圧力は、即座に大気圧へ向かうが、燃料液面の上部空間の圧力は、これとは異なり、先に述べたように次第に大気圧へ向かう。
【0029】
このため、燃料タンク10内の圧力を検出する圧力センサ33は、レベリングバルブ13と密閉弁35との間のベーパ通路部分に設けることで、単に圧力センサ24と一緒に燃料タンク10の圧力を検出するだけでなく、レベリングバルブ13の液没に伴う、急激な圧力変動の検出も行える。
制御部38は、圧力センサ24,33からの検出圧力に基づき、レベリングバルブ13が液没しているかを判定する機能が設定されている。例えば制御部38には、密閉弁35の開放後、所定時間の間で、圧力センサ33の検出圧力が、初期値の大部分、例えば80%以上の変動(絶対値)で、かつ圧力センサ24の圧力が次第に減衰する挙動、例えば圧力センサ24の初期値の20%以内の絶対値変動が有るか否かを判定する機能が設定される。これらを満たすと、レベリングバルブ13の液没が判定される(本願の没入検出部に相当)。二つの圧力センサ24,33による判定により、液没判定を確かなものとしている。
【0030】
さらに制御部38には、レベリングバルブ13の液没を判定したとき、密閉弁35を閉じて燃料の流出を規制する機能や、ドアアクチュエータ22のロックを継続させて給油口20の開放を規制する機能や、ディスプレイ装置38a(報知部)を用いて、レベリングバルブ13が液没している現状を知らせる機能が設定されていて、安全性を確保している。
【0031】
液没判定や種々の機能は、圧力センサ24,33に異常がないことで始めて成立するため、制御部38には、圧力センサ24と圧力センサ33とを相互で監視して、圧力センサ24,33の異常の有無を検出する相互監視機能(本願の相互監視部に相当)が設定されている。
この機能の制御には、例えば
図6に示されるようにレベリングバルブ13が露出して状態で、密閉弁35を開放しているとき(通常状態)、所定に圧力に低下するまでの各圧力センサ24,33の傾きを算出(圧力センサ24の検出領域内)するステップS20と、各傾きを対比するステップS21(本願の比較部に相当)と、所定の誤差範囲内であれば、正常と判定し、範囲外であれば異常と判定するステップS22(本願の判定部に相当)とを用いたルーチンが用いられる。
【0032】
具体的には制御部38において、下記式(1)に基づき、圧力センサ24で検出される
図5中の第1タンク内圧P1が第1所定圧力Pn1から第2所定圧力Pn2となるまで期間Tnにおける変化率ΔPwを算出する。
ΔPw=(Pn2−Pn1)/Tn・・・・(1)
第1タンク内圧P1が第1所定圧力Pn1となったとき、圧力センサ33で検出される第2タンク内圧P2である第1所定圧力Pn1時の第2タンク内圧Pw1と、第1タンク内圧P1が第2所定圧力Pn2となったとき第2タンク内圧P2である第2所定圧力Pn2時の第2タンク内圧Pw2と、第1タンク内圧P1が第1所定圧力Pn1から第2所定圧力Pn2となるまで期間Tnと下記式(2)とに基づいて、圧力センサ33で検出される第2タンク内圧P2の期間Tnにおける変化率ΔPnを算出。
【0033】
ΔPn=(Pw2−Pw1)/Tn・・・・(2)
これら圧力センサ24,33の検出結果を比較して、下記式(3)に基づき、第1タンク内圧P1の変化率ΔPwと第2タンク内圧P2の変化率ΔPnとの誤差率Erを算出し(比較部)と、得られる誤差率Erが所定値以上か、否かを判別することによって、圧力センサ24又は圧力センサ33の異常を検出する(判定部)。
【0034】
Er=|(ΔPw−ΔPn)/ΔPn|×100・・・・(3)
但し、
図5中、r1は圧力センサ24の計測可能領域、r2は圧力センサ33の計測可能領域を示す。
相互監視による圧力センサ24,33の異常検出は、レベリングバルブ13が液没したときのように、圧力センサ33の検出圧力が他方の圧力センサ24に対し大きく変動するような場合、正常にも関わらず異常と判定するという、誤判定を招きやすい。
【0035】
そこで、制御部38には、こうした誤判定を招かないよう、レベリングバルブ13が液没したと判定したときは、圧力センサ24,33の異常検出を禁止、すなわち相互監視を実施しないよう規制する機能が設定されている(本願の監視禁止部に相当)。
図2には、こうした燃料装置の各制御を概略的にまとめたフローチャートが示されている。同フローチャートを説明すると、今、例えば給油するため、ステップS1に示されるようにフュエルドアスイッチ39をオンしたとする。
【0036】
すると、ステップS2に示されるように密閉弁35は開放され、続くステップS3において、今回の給油までに圧力センサ24、33に異常が有るか否かの判定が行われる。この判定には、今回給油までの圧力センサ24,33の異常判定結果も加味される。
ステップS3において圧力センサ24、33に異常がないと判定されると、ステップS4に進む。ステップS4においては、圧力センサ24、33から検出される圧力が、圧力センサ24の計測領域外の領域(+αkPa以上,−αkPa以下)あることを確認してから、ステップS5のように密閉弁35の開放後に生ずるベーパ通路部分(第1ベーパ通路)や燃料タンク10の燃料液面の上部空間の圧力変動の具合を検出する。
【0037】
すなわち、密閉弁35を開放したとき、
図1中の実線の燃料液面に示されるように燃料液面がレベリングバルブ13よりも下側に有るときは、燃料タンク10の燃料液面の上部に溜まる蒸発ガスは、
図1中の実線の矢印のように燃料カットオフバルブ11から、二ウェイバルブ12aおよびレベリングバルブ13を通るルートと、レベリングバルブ13から、燃料カットオフバルブ11からの蒸発ガスと合流するルートとで、キャニスタ50へ向かい、キャニスタ50に吸着される。そのため、圧力センサ24,33で検出される燃料タンク10の圧力は、いずれも
図3のように同じように減衰する。
【0038】
これに対し、
図1中の一点鎖線の燃料液面に示されるように燃料液面がレベリングバルブ13よりも上側に有るときは(液没)、二ウェイバルブ12aがチョーク(絞り部)となり、圧力センサ33で検出されるレベリングバルブ13から密閉弁35以降の圧力だけが、即座に大気圧へ向かうように減衰する。
ステップS5では、この急激な圧力変動を捉えるよう、例えば密閉弁35の開放後、所定時間β(例えば0.5s)で、圧力センサ33の検出圧力に急激な変動が有るか否かという判別、例えば初期値の80%以上の絶対変動が有るか否かの判定、さらには密閉弁35が開放されたときの圧力変動で有るか否かを明らかにするため、圧力センサ24の圧力が次第に減衰する機能、例えば初期値の20%以内の絶対値変動が有るか否かといった判別の処理が行われる。
【0039】
ここで、急激で大きな圧力変動がない(
図3)と判別されると、レベリングバルブ13は、燃料液面から露出していると判定される(ステップS6)。
すると、続くステップS7で、
図6のフローチャートで示されるような圧力センサ24と圧力センサ33との相互の監視が実施される。これは、減衰するときの各圧力センサ24,33の傾きを算出して、各傾きを対比し、対比した結果、所定の誤差の範囲内であれば、圧力センサ24,33は正常と判定され、範囲外であれば圧力センサ24又は圧力センサ33は異常と判定するルーチンで行われる(ステップS8)。
【0040】
ステップS8で異常無と判定されるとステップS9へ進み、ドアアクチュエータ22が開作動して、フュエルドア23の「開」に至り、給油が可能となる。フュエルドア23の「開」は、図示はしないが燃料タンク10内の圧力が十分に低下してから行われる。
ステップS5において、急激で大きな圧力変動が有ると判別されると、ステップS10へ進み、レベリングバルブ13が燃料液面に没入している、すなわち液没していると判定される。
【0041】
この結果を受けて、ステップS11へ進み、圧力センサ24と圧力センサ33との相互の監視に基づく圧力センサ33の異常検出の実施を禁止する。むろん、レベリングバルブ13の液没の結果、安全性が確保されるまで、ステップS3からステップS12へ向かうルーチンにより、フュエルドア23および密閉弁35の「閉」を継続して給油の要求を拒否したり、ディスプレイ装置38aから給油要求拒否の要因が液没にある旨を外部に報知したりする。
【0042】
このように相互監視によるセンサ異常検出は、レベリングバルブ13が液没したとき密閉弁35の開放時には行わないので、誤判定が発生するおそれはない。それ故、センサ異常検出は良好に継続され、常に高い精度での相互監視が約束できる。これにより、良好に密閉システムを保つことができる。
特に圧力センサ24,33をベーパ通路31部分と燃料タンク10内に設けると、レベリングバルブ13の液没は検出しやすく、圧力センサ24,33の相互監視の回避には有効である。
【0043】
しかも、圧力センサ24,33の相互監視は、圧力センサ24,33の検出結果を比較して異常を検出するロジックを用いてあるので、簡単である。
なお、本発明は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。一実施形態では、キャニスタ弁を用いた密閉システムを挙げたが、これに限らず、キャニスタ弁を用いない密閉システムでも構わない。