(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183606
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】濾過装置及び濾過方法
(51)【国際特許分類】
B01D 29/62 20060101AFI20170814BHJP
B01D 29/07 20060101ALI20170814BHJP
B01D 33/06 20060101ALI20170814BHJP
B01D 33/58 20060101ALI20170814BHJP
B01D 33/80 20060101ALI20170814BHJP
B01D 63/14 20060101ALI20170814BHJP
B01D 65/02 20060101ALI20170814BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
B01D29/38 580A
B01D29/06 510A
B01D29/06 510D
B01D33/06 A
B01D33/06 D
B01D33/34
B01D63/14
B01D65/02
B01D69/12
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-246479(P2013-246479)
(22)【出願日】2013年11月28日
(65)【公開番号】特開2015-104683(P2015-104683A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年8月24日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 INCHEM TOKYO 2013 開催期間 平成25年10月30日〜平成25年11月1日 開催場所 東京国際展示場
(73)【特許権者】
【識別番号】391061646
【氏名又は名称】株式会社流機エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】西村 章
【審査官】
目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−005456(JP,A)
【文献】
特開平09−187605(JP,A)
【文献】
実開昭49−011370(JP,U)
【文献】
実公昭50−019326(JP,Y1)
【文献】
特開2002−102845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D29/00−33/82
B01D61/00−71/82
C02F1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過容器と、
この濾過容器内に設けられた、外面が濾過表面とされかつ内部に濾液通路を有するフィルタと、
前記濾過容器の内面と前記フィルタの外面との間に原液を供給する原液供給手段と、
前記フィルタ内部の濾液通路から前記濾過容器外部に濾液を排出する濾液排出路と、
前記濾過容器の内面と前記フィルタの外面との間から濃縮液を排出する濃縮液排出手段と、
を有する濾過装置であって、
前記フィルタは、平坦な濾材をジグザグに折り曲げつつ円筒状に巻いてなるプリーツフィルタであり、かつその中心軸が上下方向に沿う姿勢で前記濾過容器内に設けられるとともに、その中心軸を回転中心として回転可能とされており、
前記フィルタの濾過表面に対して洗浄流体を吹き付ける噴射ノズルが設けられるとともに、この噴射ノズルからの洗浄流体の吹き付け範囲を前記濾過表面が通過するように、前記フィルタが回転可能に設けられており、
前記噴射ノズルは、前記プリーツフィルタの折り目の方向に沿うスリット状噴射口から斜め下方に向けて洗浄流体を吹き付けるものであることを特徴とする濾過装置。
【請求項2】
前記フィルタは、膜層の外面を膜層よりも目の粗い保護層により被覆してなる二層構造の濾材からなる、請求項1記載の濾過装置。
【請求項3】
前記濾過容器に供給される原液の一部を前記噴射ノズルに供給して前記洗浄流体として噴射させる、請求項1または2に記載の濾過装置。
【請求項4】
濾過容器内に、外面が濾過表面とされかつ内部に濾液通路を有するフィルタを設け、
前記濾過容器の内面と前記フィルタの外面との間に原液を供給して、前記フィルタ内部の濾液通路から前記濾過容器外部に濾液を排出するとともに、前記濾過容器の内面と前記フィルタの外面との間から濃縮液を排出する、
濾過方法であって、
前記フィルタは、平坦な濾材をジグザグに折り曲げつつ円筒状に巻いてなるプリーツフィルタであり、かつその中心軸が上下方向に沿う姿勢で前記濾過容器内に設けられるとともに、その中心軸を回転中心として回転可能とされており、
濾過を行いつつ、前記フィルタの外側に設けた噴射ノズルから前記フィルタの濾過表面に対して洗浄流体を吹き付けるとともに、この噴射ノズルからの洗浄流体の吹き付け範囲を前記濾過表面が通過するようにフィルタを回転させることにより前記フィルタの再生を行い、
前記噴射ノズルは、前記プリーツフィルタの折り目の方向に沿うスリット状噴射口から斜め下方に向けて洗浄流体を吹き付けることを特徴とする濾過方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濁水等の原液(被処理液)を濾過する濾過装置に関するものである。特に、濾過フィルタを再生できる濾過装置及び濾過方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
濁水等の原液を濾過する装置であって、濾過フィルタを再生できる装置としては、濾過フィルタを逆洗水によって逆洗する手段や、濾過フィルタの表面を撹乱洗浄する手段が備わる装置が存在する(例えば、特許文献1参照。)。この濾過装置は、逆洗手段や撹乱洗浄手段による洗浄によって濾過フィルタを再生するものであり、特に同文献は、「除去した懸濁物質が付着したろ材を容易に、少ない洗浄水で除去することができる」(段落[0008])とする。
【0003】
しかしながら、逆洗による再生方法には次の(イ)〜(ニ)の問題点があり、膜フラックスを大きくとれなかった。
(イ)分散性の良い粒子を含む原液の濾過処理では、ファウリングが進行しても、逆洗再生により初期状態の処理流量に回復させることができるが、凝集付着力の強い粒子を含む濁水や、糊状物質(例えば高分子凝集剤、粘結剤)が含まれる原液の場合は、複数回再生操作をしてもファウリング(透過流束を低下させる現象)からの回復の程度は経時的に低下した。
(ロ)食品排水や藻の除去では、生成される生物膜がファウリングを発生させるため、再生頻度が多くなり、ユーティリティの増加や、処理能力の大幅な低下が発生した。
(ハ)逆洗による再生操作では、濾過処理を中断する必要があった。またそのため、原液を貯留しておき、そこから濾過装置へ原液を供給する場合、原液貯留量を大きくする必要があった。
(ニ)逆洗液として濾液を利用できるが、そうしたとしても、逆洗に利用する分はロスになってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−93542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする主たる課題は、上記(イ)〜(ニ)の問題点を解決し、膜フラックスの向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するための本発明は、次の通りである。
〔請求項1記載の発明〕
濾過容器と、
この濾過容器内に設けられた、外面が濾過表面とされかつ内部に濾液通路を有するフィルタと、
前記濾過容器の内面と前記フィルタの外面との間に原液を供給する原液供給手段と、
前記フィルタ内部の濾液通路から前記濾過容器外部に濾液を排出する濾液排出路と、
前記濾過容器の内面と前記フィルタの外面との間から濃縮液を排出する濃縮液排出手段と、
を有する濾過装置であって、
前記フィルタは、平坦な濾材をジグザグに折り曲げつつ円筒状に巻いてなるプリーツフィルタであり、かつその中心軸が上下方向に沿う姿勢で前記濾過容器内に設けられるとともに、その中心軸を回転中心として回転可能とされており、
前記フィルタの濾過表面に対して洗浄流体を吹き付ける噴射ノズルが設けられるとともに、この噴射ノズルからの洗浄流体の吹き付け範囲を前記濾過表面が通過するように、前記フィルタが回転可能に設けられて
おり、
前記噴射ノズルは、前記プリーツフィルタの折り目の方向に沿うスリット状噴射口から斜め下方に向けて洗浄流体を吹き付けるものであることを特徴とする濾過装置。
【0007】
削除
【0008】
〔
請求項2記載の発明〕
前記フィルタは、膜層の外面を膜層よりも目の粗い保護層により被覆してなる二層構造の濾材からなる、
請求項1記載の濾過装置。
【0009】
〔
請求項3記載の発明〕
前記濾過容器に供給される原液の一部を前記噴射ノズルに供給して前記洗浄流体として噴射させる、請求項1
または2に記載の濾過装置。
【0010】
〔
請求項4記載の発明〕
濾過容器内に、外面が濾過表面とされかつ内部に濾液通路を有するフィルタを設け、
前記濾過容器の内面と前記フィルタの外面との間に原液を供給して、前記フィルタ内部の濾液通路から前記濾過容器外部に濾液を排出するとともに、前記濾過容器の内面と前記フィルタの外面との間から濃縮液を排出する、
濾過方法であって、
前記フィルタは、平坦な濾材をジグザグに折り曲げつつ円筒状に巻いてなるプリーツフィルタであり、かつその中心軸が上下方向に沿う姿勢で前記濾過容器内に設けられるとともに、その中心軸を回転中心として回転可能とされており、
濾過を行いつつ、前記フィルタの外側
に設けた噴射ノズルから前記フィルタの濾過表面に対して洗浄流体を吹き付けるとともに、この
噴射ノズルからの洗浄流体の吹き付け範囲を前記濾過表面が通過するようにフィルタを回転させることにより前記フィルタの再生を行
い、
前記噴射ノズルは、前記プリーツフィルタの折り目の方向に沿うスリット状噴射口から斜め下方に向けて洗浄流体を吹き付けることを特徴とする濾過方法。
【0011】
(主な作用効果)
本発明では、フィルタの外側から前記フィルタの濾過表面に対して洗浄流体を吹き付けるため、ファウリングの原因である付着物に対して洗浄力が直接的に作用し、洗い落とすことができる。よって、ファウリングの原因が凝集付着力の強い粒子や、糊状物質、生物膜であってもフィルタから落とすことができる。また、濾過を行いつつフィルタの再生を行うことができるため、休止ロスを完全になくすことができるとともに、濾過中連続的又は短い間隔で断続的に洗浄流体の噴射及びフィルタの回転を行うことにより、ファウリングを抑制することができるため、膜フラックスを著しく向上させることができる。
また、プリーツフィルタを用いる場合、逆洗方式では襞の間からの付着物の排出が困難であるため、襞間隔を狭くすることが困難である。しかし、前述のように、プリーツフィルタの折り目の方向に沿うスリット状噴射口から斜め下方に向けて洗浄流体を吹き付ける構成を採用した場合は、襞の間の奥まで洗浄流体を吹き付けることができるとともに、襞の間からの付着物の排出も促進されるため、逆洗方式を採用する場合と比較して襞間隔をより狭くし、濾過面積の拡大により濾過性能を向上させることができる。
また、膜層の外面を膜層よりも目の粗い保護層により被覆してなる二層構造のフィルタを用いた場合には、噴射ノズルと膜層との間に保護層が介在することにより、洗浄流体の噴射による膜層の摩耗を低減できる。
さらに、原液の一部を噴射ノズルに供給して洗浄流体として噴射させた場合は、濾液を使用する逆洗と比較して、ロスが無いとともに、濃縮液が希釈されること無く取り出せるため、濃縮倍率も高いものとなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、膜フラックスが向上する等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図1及び
図2に示すように、本形態の濾過装置10は、密閉された濾過容器11内で、濁水等の原液W1をフィルタ12で濾過し、浄水等の濾液W2及び濃縮液W3を得るクロスフロー方式の濾過装置10である。本形態の濾過容器11は、中心が上下方向に沿う円筒形状とされているが、これに限定されず適宜の形状とすることができる。
【0015】
濾過容器11内には、外面が濾過表面とされかつ内部に濾液通路12rを有するフィルタ12が設けられている。フィルタ12の形状、姿勢は特に限定されないが、本形態では円筒形状で、その中心軸が上下方向に沿う姿勢で濾過容器11内に配されることが好ましい。このような円筒形状のフィルタ12としては、濾過面積が広いことから、
図3にも示すように、平坦な濾材をジグザグに折り曲げつつ円筒状に形成したプリーツフィルタ12を好適に用いることができる。なお、図示形態のフィルタ12は、濾材をパンチングメタル等からなる液透過性円筒支持体21の外周面に巻き付けるとともに、その上下に天板22及び底板23を設けたフィルタ12ユニットとされており、天板22中央部には濾液通路12rに通じる濾液出口22xが形成されているが、濾液通路12rの下端は底板23により閉塞されている。天板22及び底板23は例えば金属製とされる。
【0016】
フィルタ12は特に限定されるものではなく、単層の濾過膜を使用することもできるが、
図3に拡大して示すように、膜層12mの外面を膜層12mよりも目の粗い保護層12cにより被覆してなる二層構造の濾材からなるのが好ましい。この場合における膜層12mとしては、ナノレベルの繊維薄膜(層)、例えば親水性加工を施したテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂からなる膜や、ナノファイバースパンボンド膜等を使用することができる。膜層12mの膜厚は、好ましくは0.03〜0.07mm、より好ましくは0.05mmである。また、膜層12mの繊維径は、好ましくは100〜300nmであり、パーティクルカウンタによる精度が0.15μm×99.95%であると特に好適である。また、保護層12cとしては、例えば、ポリエステル、ナイロン、PPS等の不織布や、SUS高密度金網等を使用することができ、その厚さは、好ましくは0.4〜1.0mm、より好ましくは0.6mmである。本発明者は、このような濾材のフィルタ12によると、通水速度を2m
3/H・m
2(清水)以上にできることを確認している。なお、この通水速度は、中空糸膜(0.05m3/H・m2)の場合の40倍以上にも達する。
【0017】
また、本形態では、濾過容器11の下端部における一方の側壁には、濾過容器11内面とフィルタ12の外面との間に原液W1を加圧供給するための原液供給口13が設けられている。原液供給口13に対しては、原液ポンプ13Pを使用して、図示しない原液貯留槽等の原液供給源から原液W1が加圧供給されるようになっている。原液W1の供給量の調節は、例えば、原液W1の供給ラインに供給バルブを設けてその開度を調節すること等によって行うことができる。
【0018】
また、本形態では、濾過容器11の下端部における原液供給口13と反対側の側壁には、濾過容器11外部に濃縮液W3を排出する濃縮液排出口14が貫通している。濃縮液排出口14は図示しない貯留槽や排水先等に導かれる。
【0019】
特徴的には、フィルタ12は、その中心軸を回転中心として回転可能とされている。フィルタ12の回転駆動機構は特に限定されないが、図示形態についてより詳細に説明すると次のとおりである。すなわち、濾過容器11の底部上にブッシュ11bを介して回転可能とされた回転テーブル11tが設けられ、この回転テーブル11t上にフィルタ12が載置される。一方、濾過容器11の天井部には、フィルタ12の濾液出口22xと対向する部位に濾液排出管15が貫通しており、この濾液排出管15の下端入口とフィルタ12の濾液出口22xとが略管状の接続体16により接続されている。この接続体16は、濾液排出管15の下端入口及びフィルタ12の濾液出口22xよりも外側に延び出るフランジ部16fを有しており、このフランジ部16fの上及び下にそれぞれ設けられたOリング等の環状弾性体16rにより濾過容器11の天井部の下面及びフィルタ12の天板22の上面に対して密着されている。また、濾液排出管15外に取り付けられたモータ等の回転駆動源17により回転駆動される上下方向に沿う駆動軸17sが濾液排出管15内を経由して接続体16に連結されている。よって、接続体16により濾液排出管15及び濾液通路12rの連通を維持したまま、フィルタ12は濾過容器11に対して回転可能となっている。フィルタ12の回転速度は適宜定めることができるが、通常の場合、例えばフィルタ12外周速度が0.2〜1m/分程度で、定速とするのが望ましい。
【0020】
ファウリングの原因は様々なため、後述の洗浄を行うとしても、フィルタ12交換を伴うメンテナンスは避けられないものである。また、ファウリング以外の原因でもフィルタ12交換が必要になることはある。このため、図示形態では、上述の接続体16によるスイベル機構とともに、濾過容器11の天井部及び側壁部をフェルールジョイント方式で着脱可能に連結する構造(天井部の縁部及び側壁部の上縁部を締め付けるクランプ、及び天井部と側壁部との間の溝にはめ込むパッキンの図示は省略)を採用しており、フェルールジョイントを開放することで容易、迅速にフィルタ12交換が可能となっている。
【0021】
また、特徴的には、濾過容器11の側壁には、フィルタ12の濾過表面に対して洗浄流体を吹き付ける噴射ノズル20が設けられている。噴射ノズル20の種類、配置、噴射方向は、噴射ノズル20からの洗浄流体の広がりを考慮し、フィルタ12を回転させることにより、噴射ノズル20からの洗浄流体の吹き付け範囲を濾過表面全体が通過可能である限り特に限定されないが、図示形態のようにプリーツフィルタ12を用いる場合には、スリット状噴射口を有する噴射ノズル20を用い、スリット状噴射口がプリーツフィルタ12の折り目の方向(つまり図示形態では上下方向)に沿うように配置し、かつその噴射方向(図中の一点鎖線に沿う方向)を斜め下向き、特に水平方向に対して45度下向きとするのが好ましい。
【0022】
噴射ノズル20の数は特に限定されないが、噴射範囲が一部重なるように縦方向に間隔を空けて複数列ねることが好ましい。図示しないが、周方向に複数個又は複数列設けることもできる。また、図示形態のように、噴射ノズル20の向きを斜め下向きとした場合等、フィルタ12上部への吹き付けが困難な場合には、フィルタ12上部への吹き付けのために斜め上向きの噴射ノズル20を追加したり、
図4に示すように最上部の噴射ノズル20の噴射方向を水平方向に向け、下方に向かうにつれて噴射ノズル20の水平方向に対する向きを段階的に45度まで下向きに傾斜させ、以降は45度で一定としたりすることが望ましい。
【0023】
また、図示形態のようにプリーツフィルタ12を用いる場合には、
図5に示すように、フィルタ12の中心に向う方向にたいして左右両側に若干傾斜(例えば7.5度程度)した方向にそれぞれ洗浄流体を噴射するように、一対の噴射ノズル20を平面視でV字状に配置するのも好ましい形態である。このような噴射ノズル20のV字状配置は上下方向の全ての噴射ノズル20に適用する他、一部とすることもできる。また、図示形態では洗浄流体をノズル近傍まで一系統で供給し、ノズル近傍で2系統に分配してV字状配置の各噴射ノズル20に供給するようにしているが、これに限定されるものではなく、
図3の形態の噴射ノズル20のユニットを2個用いて、V字状に配置することもできる。このように噴射ノズル20をV字状に配置すると、噴射ノズル20から噴射される洗浄流体がプリーツフィルタ12の襞を押し開きながら表面を洗浄できるため、より効果的な洗浄が可能となるだけでなく、襞の左右の面に分散して噴射するため襞奥の磨耗を低減することも可能となる。また、襞を押し広げて洗浄するため、プリーツフィルタ12の襞のピッチを短くしてフィルタ一本あたりの表面積を大きくすることができる。例えば、図示形態のプリーツフィルタ12では、直径400mm×高さ1200mmの場合に濾過面積を75平方メートルと大きくすることができ、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0024】
噴射ノズル20に供給する洗浄流体は特に限定されず、液体、気体又はこれらの混合物とすることができ、専用の洗浄流体を別途供給することもできるが、図示形態のように、濾過容器11に供給される原液W1の一部を噴射ノズル20に供給して洗浄流体として噴射させる構成とするのが好ましいい。図示形態では、濾過容器11の上端部における原液供給口13と同じ側の側壁に、原液抜き出し口18を設け、洗浄ポンプ18Pにより原液抜き出し口18から原液W1を抜き出して噴射ノズル20に供給する構成となっている。また、洗浄ポンプ18Pから各噴射ノズル20に至る供給ラインにそれぞれ洗浄流体供給バルブ18vを設けている。
【0025】
洗浄流体として、高圧空気などの圧縮気体を原液W1中へ噴射した場合でも、液体のみを噴射する場合と同等の洗浄能力が発揮される。液体中に圧縮気体を20〜50%(流量比)混入して混気液として噴射した場合は、液体だけの場合よりもフィルタ12における洗浄面積が増加する。ただし、いずれも液体だけの噴射と比較してユーティリティが増加する。
【0026】
噴射ノズル20の噴射圧力、噴射流量並びにフィルタ12までの距離は適宜定めることができるが、原液W1のみを噴射する場合、噴射圧力は0.2〜0.3MPa程度、流量25〜35リットル/分程度、フィルタ12までの距離(噴射中心方向における噴射ノズル20先端とフィルタ12との間隔)60〜180mm程度とすることができる。
【0027】
また、図示形態では、噴射ノズル20の両側には仕切り壁19が上下方向に沿って延びており、この仕切り壁19間の下端部に濃縮液排出口14が設けられている。
【0028】
(濾過及び再生)
次に、本形態の濾過装置10を使用して原液W1を濾過するには、先ず、原液ポンプ13PPを使用して、原液W1を原液供給口13から濾過容器11内に供給する。濾過容器11内に供給された原液W1は濾過フィルタ12によって濾過され、この濾過により濃縮された濃縮液W3は濃縮液排出口14から濾過容器11外に排出され、またフィルタ12を透過して濾液通路12rに排出される濾液W2は濾液排出管15を介して濾過容器11外に排出される。この濾過に際しては、フィルタ12の濾過表面上に懸濁物質等が付着することでファウリングが進行する。
【0029】
ファウリングにより濾過抵抗が大きくなると濾液量が減少するため、濾液量を一定にする場合、濾過容器11から排出される濾液W2の流量を流量計によって計測し、この計測流量が一定になるよう原液ポンプ13Pの流量をインバータ等で制御することが望ましい。
【0030】
また、濃縮倍率は濃縮液の排出流量により左右されるため、濃縮倍率を一定に保持するためには、基本的に濃縮液の排出流量は一定に保持する必要がある。ただし、原液の供給圧が変化すると濃縮液の排出流量も変化してしまうため、濃縮液排出口14の出側に比例制御弁等の流量制御弁を設け、濃縮液排出量の初期値を噴射ノズルからの噴射量等の適宜の値に設定し、原液供給圧又はその指標となるパラメータに応じて濃縮液の排出流量を制御することが望ましい。例えば原液供給口13と原液ポンプ13Pとの間に設けた圧力計や原液ポンプに付属の圧力計により原液供給圧を計測し、この計測値に応じて濃縮液の排出流量を制御することができる。
【0031】
ファウリングがある程度まで進行(例えば所定時間経過)したならば濾過を停止せずに、あるいは濾過中連続的又は短い間隔で断続的に、噴射ノズル20から洗浄流体の噴射及びフィルタ12の回転を行う。図示形態のように噴射ノズル20を縦方向に複数列ねて設けた場合、全ノズルから洗浄流体を噴射しても良いが、フィルタ12が1回転する間は一つのノズルからのみ噴射させ、最上部の噴射ノズル20から順にフィルタ12が1回転する毎に下側の噴射ノズル20に切り替えつつ洗浄流体を噴射すると、フィルタ12表面への汚れの再付着が少なく、また洗浄流体の使用量も少なくて済むため好ましい。特に、洗浄流体が液体の場合に全噴射ノズル20から噴射すると、濃縮倍率が大きく下がるため、このような順次噴射が望ましい。
【0032】
このような再生処理により、フィルタ12の外側からフィルタ12の濾過表面に対して洗浄流体を吹き付け、ファウリングの原因となる付着物を直接的に洗い落とすことができる。特に、濾過を行いつつフィルタ12の再生を行うと、休止ロスを完全になくすことができる。また、濾過中連続的又は短い間隔で断続的に洗浄流体の噴射及びフィルタ12の回転を行うと、ファウリングを抑制することができるため、膜フラックスを著しく向上させることができる。もちろん、膜フラックスは多少低下するが、濾過(つまり原液W1供給)を一時的に停止した状態で、噴射ノズル20から洗浄流体の噴射及びフィルタ12の回転を行うこともできる。
【0033】
なお、ファウリングの進行を検出するために、濾過容器11から排出された濾液W2の流量を流量計によって計測し、測定流量がある程度(例えば25%程度)減少したときにフィルタ12の再生を開始したり、濾過容器11内の原液W1側の圧力、濾液排出管15等における濾液W2側の圧力をそれぞれ圧力計により計測し、測定される濾過差圧がある程度(例えば80kPa程度)に達したときにフィルタ12の再生を開始したりすることもできる。
【0034】
本形態では、プリーツフィルタ12の折り目の方向に沿うスリット状噴射口から斜め下方に向けて洗浄流体を吹き付ける構成を採用したため、襞の間の奥まで洗浄流体を吹き付けることができるとともに、襞の間からの付着物の排出も促進されるため、逆洗方式を採用する場合と比較して襞間隔をより狭くし、濾過面積の拡大により濾過性能を向上させることができる。
【0035】
また、本形態では、膜層12mの外面を膜層12mよりも目の粗い保護層12cにより被覆してなる二層構造のフィルタ12を用いた場合には、噴射ノズル20と膜層12mとの間に保護層12cが介在することにより、洗浄流体の噴射による膜層12mの摩耗を低減できる。しかも、このような保護層12cがあっても、膜層12mより目が粗いため洗浄効果は十分に発揮される。
【0036】
さらに、本形態では、原液W1の一部を噴射ノズル20に供給して洗浄流体として噴射させるため、濾液W2を使用する逆洗と比較して、ロスが無いとともに、濃縮液W3が希釈されること無く取り出せるため、濃縮倍率も高いものとなる。
【0037】
他方、フィルタ12からこの洗い落とした付着物は濃縮液排出口14から濃縮液W3とともに排出される。特に、図示形態のように、噴射ノズル20が斜め下向きとし、噴射ノズル20の両側に仕切り壁19を設け、この仕切り壁19間の下端部に濃縮液排出口14が設けられていると、洗い落とした付着物がフィルタ12に再付着せずに排出され易くなるという利点がある。
【0038】
(用途)
本形態の濾過装置10は、例えば、土木工事において、建築工事において、一般工事において、工場排水やプロセス排水の処理に際して、各種作業の前処理に際して、各種表面処理に際して、水浄化に際して、各種装置に組み込んで、製鉄工場において、使用することができる。
【0039】
具体的には、例えば、トンネル構内排水、吹付け用生コンプラント排水、ダイスライム回収排水、バッチャープラント排水、河川工事ドライピット排水、深礎工事排水、グラウト工事排水、シールド工事排水、シールド余剰泥水、しゅん設埋立排水、ケイソン工事排水、場所打杭排水、床面洗浄排水、ウェルポイント工事排水、基礎工事ヤード排水、タイヤ洗浄排水、コアボーリング排水、ダイヤモンドカッター排水、土壌汚染掘削ヤード排水、VOC分解洗浄排水、焼却炉解体洗浄排水、放射能除染工事排水、ワイヤーソー切断工事排水、ウォータージェット切断工事排水、製紙工場プロセス排水、パルプ工場プロセス排水、食品工場洗浄排水、生コン工場洗浄排水、コンクリート二次製品工場排水、砕石工場ヤード排水、ガス洗浄スクラバ排水、ゴミ焼却炉急冷塔排水、転炉ガス洗浄排水、アーク炉ガス洗浄排水、銀回収工程排水、洗砂装置排水、水洗中和排水、バレル研磨排水、電界研磨排水、ガラス研磨排水、ウェットブラスト排水、吹付塗装ブース排水、カチオン塗装排水、ステンレス酸洗排水、原料ヤード排水、原料コンベア洗浄排水、堆積ダスト湿式回収排水、工場ヤード排水、連鋳排水、圧延冷却排水、除湿ドレン排水、浸漬切断ヤード排水、鉱さいヤード排水、船舶底部ビルジ排水、造船ドッグ排水、除貝排水、冷却塔ブロー排水、染色工場排水、ミルクプラント洗浄排水、トンネル壁面洗浄排水、建物外壁洗浄排水、洗車排水、ゴルフ場排水、産業処分場浸出水、等の排水を濾過するに際して使用することができる。
【0040】
また、本形態の濾過装置10は、例えば、井水利用前処理、河川水前処理、RO膜前処理、粗塩水浄化、海水取入浄化、メッキ液浄化、酸洗液浄化、水耕栽培用除菌浄化、点滴栽培用除菌浄化、養魚プール除菌浄化、搾乳洗浄除菌浄化、野菜除菌洗浄、プール除菌浄化、温泉施設除菌浄化、工作機械クーラント液浄化、海底掘削浄化、水酸化マグネシウム回収、EPダスト洗浄回収、メッキスラッジ回収、床上浸水災害復旧、等において、使用することができる。さらに、本形態の濾過装置10は、例えば、洗びん装置、シリコンウェハ切断装置、放電加工機、バラスト水処理装置、等に組み込んで使用することができる。
【0041】
(試験結果)
同程度の規模の逆洗方式の濾過装置と、図示形態の濾過装置とを用いて濁水の濾過試験を行った結果、膜フラックスで4倍程度、処理水量で6倍程度の向上を図ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、濁水等の原液を濾過する濾過装置として適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
W1…原液、W2…濾液、W3…濃縮液、 10…濾過装置、11…濾過容器、11b…ブッシュ、11t…回転テーブル、12…フィルタ、12c…保護層、12m…膜層、12r…濾液通路、13…原液供給口、13P…原液ポンプ、14…濃縮液排出口、15…濾液排出管、16…接続体、16f…フランジ部、16r…環状弾性体、17…回転駆動源、17s…駆動軸、18…原液抜き出し口、18P…洗浄ポンプ、19…仕切り壁、20…噴射ノズル、21…円筒支持体、22…天板、22x…濾液出口、23…底板。