(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183609
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】車両用の乗員保護装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/08 20060101AFI20170814BHJP
B60R 21/16 20060101ALI20170814BHJP
B60R 21/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
B60R21/08
B60R21/16
B60R21/02 K
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-261854(P2013-261854)
(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公開番号】特開2015-116942(P2015-116942A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】福田 均
【審査官】
飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−156724(JP,A)
【文献】
特開平10−001005(JP,A)
【文献】
実公昭49−004427(JP,Y1)
【文献】
特開2007−245817(JP,A)
【文献】
特開2008−174022(JP,A)
【文献】
特開2002−079900(JP,A)
【文献】
特開2007−314158(JP,A)
【文献】
特開2013−067367(JP,A)
【文献】
特開2008−234177(JP,A)
【文献】
特表2007−535076(JP,A)
【文献】
特開2003−233886(JP,A)
【文献】
特開2001−296309(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0195014(US,A1)
【文献】
米国特許第7988078(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00−21/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントウインドウに外力を与えてひび割れを生じさせる外力付与手段と、
前記車両の被衝突物への衝突を検出する衝突検出手段と、
前記車両の乗員の着座を検出する着座検出手段と、
前記乗員のシートベルトの装着を検出するシートベルト検出手段と、
前記着座検出手段により前記乗員の着座が検出され、前記シートベルト検出手段により前記乗員がシートベルトを装着していないことが検出されている時に、前記衝突検出手段により前記車両の被衝突物への衝突が検出された際に、前記外力付与手段を動作させる制御手段とを備えた
ことを特徴とする車両用の乗員保護装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用の乗員保護装置において、
前記制御手段は、
前記車両の速度が所定速度以上であると判断された際に、前記外力付与手段を動作させることが判断される
ことを特徴とする車両用の乗員保護装置。
【請求項3】
請求項1もしくは請求項2に記載の車両用の乗員保護装置において、
前記車両の前記フロントウインドウの前方に飛び出し防止部材を備え、
前記制御手段は、
前記外力付与手段を動作させる際に前記飛び出し防止部材を同時に作動させる
ことを特徴とする車両用の乗員保護装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用の乗員保護装置において、
周囲への報知手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記外力付与手段の動作後に前記車両の強制制動を行うとともに前記報知手段を動作させる
ことを特徴とする車両用の乗員保護装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用の乗員保護装置において、
前記外力付与手段は、
前記フロントウインドウの周囲に配される火薬と、
前記火薬に点火することで前記フロントウインドウを破壊する点火手段とを有している
ことを特徴とする車両用の乗員保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントウインドウにひび割れを生じさせて乗員の保護を企図した車両用の乗員保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員の保護装置として、車両の被衝突物への衝突時にエアバッグ装置を作動させて、乗員の構造物との間にエアバッグを膨出させて衝撃を緩和するものが一般的に知られている。特に、後部座席の乗員の保護装置として、前席のシートバックの後面でエアバッグを膨出させる保護装置が従来から知られている(例えば、特許文献1参照)
【0003】
特許文献1に開示された技術では、車両が被衝突物に衝突した場合(前突した場合)、前席のシートバックの後面でエアバッグを膨出させることで、後部座席の乗員が衝突等により前方に飛び出した際の衝撃を緩和することができる。
【0004】
しかし、車両の前突時には、後部座席の中央部に着座している乗員は、前席の運転席と助手席との間に位置するため、前席のシートバックのエアバッグでは保護されず、前方に飛び出す虞があった。車両の前突時は、運転席や助手席の前席の乗員も着座の状態によっては前方に飛び出す虞があるのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−202121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、乗員が前方に飛び出した場合であっても、乗員の衝撃を緩和して車外への放り出しを抑制することができる車両用の乗員保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の車両用の乗員保護装置は、車両のフロントウインドウに外力を与えてひび割れを生じさせる外力付与手段と、前記車両の被衝突物への衝突を検出する衝突検出手段と、前記車両の乗員の着座を検出する着座検出手段と、前記乗員のシートベルトの装着を検出するシートベルト検出手段と、前記着座検出手段により前記乗員の着座が検出され、前記シートベルト検出手段により前記乗員がシートベルトを装着していないことが検出されている時に、前記衝突検出手段により前記車両の衝突が検出された際に、前記外力付与手段を動作させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項1に係る本発明では、シートベルトを装着していない乗員が着座している状態で、車両が被衝突物に衝突した際に(前突した際に)、前記外力付与手段によりフロントウインドウにひび割れを生じさせてやわらかい状態にし、万一、乗員が前方に飛び出した場合、乗員がフロントウインドウに衝突した際の衝撃を緩和する。
【0009】
そして、請求項2に係る本発明の車両用の乗員保護装置は、請求項1に記載の車両用の乗員保護装置において、前記制御手段は、前記車両の速度が所定速度以上であると判断された際に、前記外力付与手段を動作させることが判断されることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る本発明では、車両の速度が所定速度以上の場合に、外力付与手段を動作させ、乗員が前方に飛び出す虞が高い時に、フロントウインドウにひび割れを生じさせてやわらかい状態にすることができる。
【0011】
また、請求項3に係る本発明の車両用の乗員保護装置は、請求項1もしくは請求項2に記載の車両用の乗員保護装置において、前記車両の前記フロントウインドウの前方に飛び出し防止部材を備え、前記制御手段は、前記外力付与手段を動作させる際に前記飛び出し防止部材を同時に作動させることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る本発明では、外力付与手段を動作させる際に飛び出し防止部材を同時に作動させることで、飛び出し防止部材により、乗員の車外への飛び出しが阻止される。つまり、飛び出し防止部材を作動させることで、フロントウインドウから乗員が車外に放り出されることが抑制される。
【0013】
飛び出し防止部材としては、例えば、ボンネットフードの後端とフロントウインドウとの間にエアバッグを展開させる装置が適用される。また、ボンネットフードの後端を跳ね上げる構成を合わせて採用することも可能である。
【0014】
また、請求項4に係る本発明の車両用の乗員保護装置は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用の乗員保護装置において、周囲への報知手段をさらに備え、前記制御手段は、前記外力付与手段の動作後に前記車両の強制制動を行うとともに前記報知手段を動作させることを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る本発明では、外力付与手段によりフロントウインドウにひび割れを生じさせた後、車両を強制的に停止させると共に、報知手段を動作させて車外者が衝突したことを周囲に知らせることができる。
【0016】
また、請求項5に係る本発明の車両用の乗員保護装置は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用の車外者保護装置において、前記外力付与手段は、前記フロントウインドウの周囲に配される火薬と、前記火薬に点火することで前記フロントウインドウを破壊する点火手段とを有していることを特徴とする。
【0017】
請求項5に係る本発明では、点火手段により火薬を点火することでフロントウインドウにひび割れを生じさせることができる。フロントウインドウの周囲に割れ目を入れて火薬を配することができる。ひび割れの部位は、乗員が衝突すると予想される部位に生じさせることができる。また、フロントウインドウの周囲部にひび割れを生じさせ、ひび割れが生じていない硬い部位が移動できるようにし、全体として衝撃を吸収できるようにすることが可能である。
【0018】
外力付与手段としては、例えば、振動子を設けて振動子を干渉させてフロントウインドウにひび割れを生じさせたり、ウインドウウォッシャー液の吐出部にシリンダーを設け、シリンダーの駆動によりフロントウインドウにシリンダーの駆動部を打ち付けてひび割れを生じさせたりすることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の車両用の乗員保護装置は、乗員が前方に飛び出した場合であっても、乗員の衝撃を緩和して車外への放り出しを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施例に係る車両用の乗員保護装置を備えた車両の外観図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る車両用の乗員保護装置を備えた車両の概略側面図である。
【
図3】フロントウインドウのひび割れの状況の説明図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る車両用の乗員保護装置の制御ブロック図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る車両用の乗員保護装置の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1には本発明の一実施例に車両用の乗員保護装置を備えた車両の全体を表す外観、
図2には本発明の一実施例に係る車両用の乗員保護装置を備えた車両の概略側面、
図3にはひび割れの例を説明するためのフロントウインドウの正面視、
図4には車両用の乗員保護装置における入力信号と出力デバイスの関係を説明するブロック構成、
図5には本発明の一実施例に係る車両用の乗員保護装置の動作を説明するフローチャートを示してある。
【0022】
図1、
図2に示すように、車両1には走行速度を検出する車速検出手段としての車速センサ2が備えられ、車両1のバンパー5には車両1の衝突(前突)を検出する衝突検出手段としての衝突検出センサ6が設けられている。
【0023】
図2に示すように、車両1の後部座席15には、乗員16が中央部に着座しているか否かを検出する着座検出手段としての着座センサ17が備えられている。また、後部座席15の中央部に着座している乗員16がシートベルトを装着しているか否かを検出するシートベルト検出手段としてのシートベルトセンサ18が備えられている。
【0024】
尚、着座センサ17、シートベルトセンサ18は、後部座席15の中央部に限らず、前部座席の乗員、後部座席15の全ての座席の乗員に対して備えることも可能である。
【0025】
図1、
図2に示すように、フロントウインドウ(ウインドウシールド)7の前方側のボンネットフードの後端部位には、飛び出し防止部材としての外部エアバッグ21が備えられている。外部エアバッグ21はフロントウインドウ7の前方側に展開し、後述するように、乗員16の車外への飛び出しが阻止され、乗員16が車外へ放り出されることが抑制される。
【0026】
図3に示すように、フロントウインドウ7の周囲の適宜箇所には割れ目8が形成され、割れ目8には火薬9が配されている。火薬9は図示しない点火手段により点火される(外力付与手段)。火薬が点火されることにより、爆発の衝撃によりフロントウインドウ7にひび割れ10が生じる。
【0027】
フロントウインドウ7は合わせガラスで形成されているため、火薬9の点火による爆発では割れ落ちることがなく、ひび割れ10となって広がる。
【0028】
尚、火薬9の点火により連動して外部エアバッグ21を作動させてエアバッグを展開させるようにすることも可能である。
【0029】
本発明の乗員保護装置は、車両1が所定の速度で被衝突物に衝突した際に(前突した際に)、火薬9を点火してフロントウインドウ7にひび割れを生じさせてやわらかい状態にし、後部座席15の中央部に着座している乗員16が前方に飛び出し、フロントウインドウ7に衝突した際の衝撃が緩和されるようになっている。
【0030】
このため、乗員16が前方に飛び出した場合であっても、乗員16の頭部等への衝撃を緩和して車外への放り出しを抑制することが可能になる。
【0031】
フロントウインドウ7にひび割れを生じさせると同時に、外部エアバッグ21を作動させてフロントウインドウ7の前部に外部エアバッグ21を展開させ、乗員16が後部座席15から前方に飛び出した際に、外部エアバッグ21により乗員16の外部への放り出しが阻止される。
【0032】
尚、外部エアバッグ21を展開させると同時に、ボンネットフードの後端を跳ね上げる構成にすることも可能である。また、飛び出し防止部材は外部エアバッグ21に限らず、その他乗員の車両前方方向への放り出しを阻止する手段が考えられる。
【0033】
例えば、フロントウインドウ7の上端辺と接するルーフパネルとヘッドライニング(天井を構成する部材)とで構成される空間の前端部に、一定の強度をもつ布などの可撓性のある網目のネットを設け、更に、フロントウインドウ7の車幅方向の端辺に接する一対のフロントピラー(Aピラー)にケーブル及びレールを設け、衝突検出センサ6により衝突が検知された後に、ケーブルを作動させることで、フロントピラーに設けたレールに沿ってネットを下降させ、フロントウインドウ7全体を覆うよう作動させる機構等が考えられる。
【0034】
フロントウインドウ7のひび割れ10を発生させる部位は、乗員16が衝突すると予想される部位に生じさせることができる。また、フロントウインドウ7の周囲部にひび割れを生じさせ、ひび割れが生じていない硬い部位が移動できるようにし、全体として衝撃を吸収できるようにすることも可能である。
【0035】
尚、外力付与手段としては、上記の火薬を用いる他に、例えば、振動子を設けて振動子を干渉させてフロントウインドウにひび割れを生じさせたり、ウインドウウォッシャー液の吐出部にシリンダーを設け、シリンダーの駆動によりフロントウインドウにシリンダーの駆動部を打ち付けてひび割れを生じさせたりする等、様々な手段を用いることが可能である。
【0036】
図4に示すように、乗員保護装置を構成する制御装置11には、車速センサ2、衝突検出センサ6、着座センサ17、シートベルトセンサ18の検出情報が入力される。制御装置11には、乗員16の着座を認識する機能、シートベルトの装着を認識する機能、車速を認識する機能が備えられている。制御装置11からは、乗員16の着座の状況、シートベルトの装着の状況、車速の状況に応じて点火手段に作動指令が出力される。同時に、外部エアバッグ21に作動指令が出力される。
【0037】
そして、点火手段、外部エアバッグ21への作動指令が出された後、強制的にブレーキを作動させる。通常、車両1の被衝突物への衝突時には、運転者はブレーキを作動させているが、より的確に車両1を停止させるために自動的にブレーキを作動させて車両1を停止させるようにしている。特に、被衝突物への衝突後に車両1が走行を継続してしまうことも考えられるが、フロントウインドウ7にひび割れ10を生じさせた状態での走行は避ける必要があるため、車両1の停車を最優先にすることが好ましい。
【0038】
その後、車両1(自車両)の存在を周囲に報知するように、ブレーキを作動させた後に、周囲への報知手段を作動させる。特に周囲への音による報知、または前照灯、ブレーキランプやハザードランプを点灯させるなど報知を行い、周囲へ自車両の異常を認識させる。
【0039】
制御装置11では、車両1が前突した際に、乗員16が前方に飛び出す虞があり保護する必要性が高い時に、火薬9を点火してフロントウインドウ7にひび割れ10を生じさせ、フロントウインドウ7をやわらかい状態にすると同時に外部エアバッグ21を作動させる。
【0040】
これにより、乗員16が前方に飛び出した場合であっても、乗員16の衝撃を緩和することが可能になる。そして、外部エアバッグ21により乗員16の外部への放り出しが阻止される。
【0041】
図5に基づいて具体的な動作を説明する。
【0042】
制御がスタートすると、ステップS1で各種センサの検出情報が読み込まれ、ステップS2で着座センサ17の検出情報により、後部座席15の中央部の乗員16の着座が判断される。着座センサ17が他の場所の着座を検出するものであれば、運転席、助手席、後部両側席等の乗員の着座が判断される。
【0043】
ステップS2で乗員16が着座していると判断された場合、ステップS3でシートベルトセンサ18の検出情報により、後部座席15の中央部に着座している乗員16がシートベルトをしていないか否かが判断される。
【0044】
ステップS3で乗員16がシートベルトを装着していないと判断された場合、即ち、後部座席15の中央部に着座している乗員16がシートベルトを装着していないと判断された場合、ステップS4で車速hが所定速度H(例えば、50Km/h)以上であるか否かが判断される。
【0045】
ステップS4で車速hが所定速度H以上であると判断された場合、ステップS5で衝突検出センサ6の検出情報により車両1が被衝突物に衝突したか(前突したか)否かが判断され、ステップS5で車両1が前突したと判断された場合、車速hが所定速度H以上での衝突であると判断される。
【0046】
つまり、低速の場合、例えば、乗員16が飛び出さないような軽い衝突ではフロントウインドウ7にひび割れは生じない。
【0047】
ステップS2で後部座席15の中央部に乗員16が着座していないと判断された場合、ステップS3で後部座席15の中央部に着座している乗員16がシートベルトをしていると判断された場合、ステップS4で車速hが所定速度H未満であると判断された場合、万一、前突した場合であっても、乗員16が前方に放り出される可能性が低いので、処理が終了となる。
【0048】
ステップS5で車両1が前突したと判断された場合、即ち、車速hが所定速度H以上での前突であると判断された場合、ステップS6で点火が制御されて火薬9の点火によりフロントウインドウ7にひび割れ10を生じさせる。同時に、ステップS7で外部エアバッグ21を作動させる。
【0049】
これにより、車両1の前突により、万一、乗員16が前方に飛び出した場合であっても、衝撃が緩和され、車外への放り出しが阻止される。
【0050】
ステップS6で点火が制御され、ステップS7で外部エアバッグ21が作動されると、ステップS7でブレーキを作動させ、車両1を的確に且つ確実に停止させる。車両1を停止させた後、ステップS8で報知手段を作動させ(音の発生、前照灯、ブレーキランプやハザードランプの点灯)、周囲へ自車両の異常を認識させ、処理が終了する。
【0051】
上述した車両用の乗員保護装置は、車両1が被衝突物に衝突(前突)した際に、火薬9を点火してフロントウインドウ7にひび割れ10を生じさせてやわらかい状態にし、後部座席15の中央部に着座している乗員16が前方に飛び出してフロントウインドウ7に衝突しても、衝撃が緩和されると同時に、外部エアバッグ21により外部への放り出しが阻止される。
【0052】
このため、後部座席の中央部の乗員16がシートベルトをしていない状態で、車両1が前突して前方に飛び出した場合であっても、乗員16の衝撃を緩和して車外への放り出しを抑制することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、車両用の乗員保護装置の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 車両
2 車速センサ
5 バンパー
6 衝突検出センサ
7 フロントウインドウ
8 割れ目
9 火薬
10 ひび割れ
11 制御装置
15 後部座席
16 乗員
17 着座センサ
18 シートベルトセンサ
21 外部エアバッグ(飛び出し防止部材)