(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハウジング可動部には、周方向に沿って当接板回避溝が形成され、該当接板回避溝に前記シェル当接板部が回避できるようにしている請求項1に記載のフローティング機構付き同軸コネクタ。
前記プラグ側シェルは、前記プラグ側絶縁体を保持するシェル本体と、該シェル本体のソケット側に軸方向で移動可能に保持された筒状の可動シェルと、該可動シェルをソケット側に付勢する付勢バネとを備えている請求項1〜3の何れか1に記載のフローティング機構付き同軸コネクタ。
前記ソケット側中心コンタクトには、前記ハウジング可動部とともに移動する接触部と、実装基板に接続される基板接続端子とを備え、前記接触部を前記フローティング用バネ体のフローティング固定部に一体に支持させ、前記基板接続端子を支持固定部と一体に支持させ、前記ソケット側中心コンタクトと前記フローティング用バネ体とを一体化した請求項1〜4の何れか1に記載のフローティング機構付き同軸コネクタ。
前記ソケット側シェルは、前記支持固定部フローティング固定部間方向と交差する方向に間隔置いて対向する一対の弾性接触片を前記ハウジング可動部の外側に備えている請求項1〜5の何れか1に記載のフローティング機構付き同軸コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この種の同軸コネクタでは、プラグとソケットがそれぞれ別の支持体に支持され、その支持体を組み立ててセットを構成するような場合、径方向(xy軸方向)の位置ずれだけでなく、軸方向(z軸方向)の位置ずれも修正することが望まれる。
【0008】
しかしながら、従来のフローティング機構付き同軸コネクタでは、ソケット基部に対するソケット本体の移動を径方向(xy方向)のみ許容する構造のものが多く、軸方向(z軸方向)の位置ずれに対しては、プラグソケット間の接続許容誤差を甘く設定する等して対応しており、軸方向の位置ずれを吸収することで、プラグ側シェルとソケット側シェルとの間に軸方向に隙間が生じ、性能の劣化やシールド特性に影響を及ぼすおそれがあった。
【0009】
一方、特許文献1に示す従来の技術は、相手方同軸コネクタと相互接続するソケット本体と、ソケット本体を移動可能に保持するソケット基部とを別個に備えているため、その分ソケット全体の外形が大きくなり、小型化が阻害されているという問題があった。
【0010】
また、特許文献1に示す如き従来の技術では、ソケット本体を軸方向又は径方向に付勢するコイルスプリングや皿バネを必要とし、その分、部品点数が増加し、製品コストや製造工程が増加するという問題があった。
【0011】
更に、この種の従来のフローティング機構付き同軸コネクでは、コネクタ本体の中心コンタクトとコネクタ基部の中心導体とを別個に形成し、コネクタ基部に対しコネクタ本体を径方向で移動可能としたことにより、中心コンタクトと中心導体とを互いに移動可能且つ電気的に接続する構造を必要とし、構造が複雑化するという問題があった。
【0012】
更にまた、この種の同軸コネクタでは、高周波性能が重要であるところ、コネクタ本体とともに中心コンタクトが移動し、中心コンタクトとコネクタ基部の中心導体との間に軸ズレが生じると高周波性能の低下を招くおそれがあった。
【0013】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、高い高周波性能及びフローティング性能を確保しつつ、部品点数が少なく、且つ小型化が可能なフローティング機構付き同軸コネクタの提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、相互に接続されるプラグとソケットとを備えた同軸コネクタであって、前記プラグには、中央に配置されたプラグ側中心コンタクトと、該プラグ側中心コンタクトの外側に配置されたプラグ側シェルと、前記プラグ側中心コンタクトとプラグ側シェルとの間に介在させたプラグ側絶縁体とを備え、前記ソケットには、中央に配置されたソケット側中心コンタクトと、ソケット側中心コンタクトの外側に配置されたソケット側シェルと、前記ソケット側中心コンタクト及びソケット側シェルを互いに絶縁させた状態に保持するハウジングとを備え、該ハウジングには、支持体に固定されるハウジング基部と、該ハウジング基部のプラグ側端面上を前記ソケット側中心コンタクトとともに径方向に移動可能なハウジング可動部とを備え、前記プラグ側シェルの先端側を前記ハウジング可動部の外側に嵌合させるようにしているフローティング機構付き同軸コネクタにおいて、前記ソケット側シェルには、前記ハウジング基部のプラグ側端面に露出したシェル当接板部を一体に備え、該シェル当接板部に前記プラグ側シェルの端部が当接されるようにしたフローティング機構付き同軸コネクタにある。
【0015】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記ハウジング可動部には、周方向に沿って当接板回避溝が形成され、該当接板回避溝に前記シェル当接板部が回避できるようにしていることにある。
【0016】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記プラグ側シェルの端部に円弧状に面取りした形状の摺動用接触部が形成されていることにある。
【0017】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1〜3の何れか1の構成に加え、前記プラグ側シェルは、前記プラグ側絶縁体を保持するシェル本体と、該シェル本体のソケット側に軸方向で移動可能に保持された筒状の可動シェルと、該可動シェルをソケット側に付勢する付勢バネとを備えていることにある。
【0019】
請求項
5に記載の発明の特徴は、請求項
1〜4の何れか1の構成に加え、前記ソケット側中心コンタクトには、前記ハウジング可動部とともに移動する接触部と、実装基板に接続される基板接続端子とを備え、前記接触部を前記フローティング用バネ体のフローティング固定部に一体に支持させ、前記基板接続端子を支持固定部と一体に支持させ、前記ソケット側中心コンタクトと前記フローティング用バネ体とを一体化したことにある。
【0020】
請求項
6に記載の発明の特徴は、請求項
1〜5の何れか1の構成に加え、前記ソケット側シェルは、前記支持固定部フローティング固定部間方向と交差する方向に間隔置いて対向する一対の弾性接触片を前記ハウジング可動部の外側に備えていることにある。
【0021】
請求項
7に記載の発明の特徴は、請求項1〜
6の何れか1の構成に加え、前記ハウジング基部に複数のハウジング可動部を移動可能に支持させたことにある。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るフローティング機構付き同軸コネクタは、上述したように、相互に接続されるプラグとソケットとを備えた同軸コネクタであって、前記プラグには、中央に配置されたプラグ側中心コンタクトと、該プラグ側中心コンタクトの外側に配置されたプラグ側シェルと、前記プラグ側中心コンタクトとプラグ側シェルとの間に介在させたプラグ側絶縁体とを備え、前記ソケットには、中央に配置されたソケット側中心コンタクトと、ソケット側中心コンタクトの外側に配置されたソケット側シェルと、前記ソケット側中心コンタクト及びソケット側シェルを互いに絶縁させた状態に保持するハウジングとを備え、該ハウジングには、支持体に固定されるハウジング基部と、該ハウジング基部のプラグ側端面上を前記ソケット側中心コンタクトとともに径方向に移動可能なハウジング可動部とを備え、前記プラグ側シェルの先端側を前記ハウジング可動部の外側に嵌合させるようにしているフローティング機構付き同軸コネクタにおいて、前記ソケット側シェルには、前記ハウジング基部のプラグ側端面に露出したシェル当接板部を一体に備え、該シェル当接板部に前記プラグ側シェルの端部が当接されるようにし
、前記ハウジングには、一端が前記ハウジング基部に固定され、他端が前記ハウジング可動部に固定されたフローティング用バネ体を備え、該フローティング用バネ体には、前記ハウジング基部に固定される支持固定部と、前記ハウジング可動部に固定されるフローティング固定部と、前記支持固定部と前記フローティング固定部とを連結する弾性変形可能な揺動バネ部とを備え、前記ハウジング可動部が前記フローティング用バネ体を介して前記ハウジング基部に移動可能に支持されていることにより、ソケットのハウジング可動部が移動し、径方向(xy方向)の位置ずれを修正した状態でも、プラグ側シェルとソケット側シェルとの間に隙間が生じず、高い高周波特性及びシールド特性を維持することができる。
また、プラグと相互接続する部分とフローティング機構を構成する部分とを一体的に構成でき、コネクタの小型化を図れるとともに、部品点数の低減を図ることができる。
【0023】
また、本発明において、前記ハウジング可動部には、周方向に沿って当接板回避溝が形成され、該当接板回避溝に前記シェル当接板部が回避できるようにしていることにより、シェル当接板を設けてもハウジング可動部の移動を妨げることがない。
【0024】
更に、本発明において、前記プラグ側シェルの端部に円弧状に面取りした形状の摺動用接触部が形成されていることにより、プラグ側シェルの端部がシェル当接板部に接触した状態でも円滑にハウジング可動部がハウジング基部に対し径方向(xy方向)で移動することができる。
【0025】
更にまた、本発明において、前記プラグ側シェルは、前記プラグ側絶縁体を保持するシェル本体と、該シェル本体のソケット側に軸方向で移動可能に保持された筒状の可動シェルと、該可動シェルをソケット側に付勢する付勢バネとを備えていることにより、プラグとソケットとの軸方向(z軸方向)の位置ずれを修正し、プラグとソケットとの安定した接続状態を確保することができるとともに、シェル当接板部に対してプラグ側シェルの安定した接触状態を確保することができ、高い高周波特性及びシールド特性を得ることができる。
【0027】
更に、本発明において、前記ソケット側中心コンタクトには、前記ハウジング可動部とともに移動する接触部と、実装基板に接続される基板接続端子とを備え、前記接触部を前記フローティング用バネ体のフローティング固定部に一体に支持させ、前記基板接続端子を支持固定部と一体に支持させ、前記ソケット側中心コンタクトと前記フローティング用バネ体とを一体化したことにより、部品点数の低減及び組み立て作業の簡素化を図れるとともに、ソケット側中心コンタクトがハウジング可動部の移動に追従するのでコネクタ内での中心軸のずれが防止でき、高周波性能の低下を抑制することができる。
【0028】
また、本発明において、前記ソケット側シェルは、前記支持固定部フローティング固定部間方向と交差する方向に間隔置いて対向する一対の弾性接触片を前記ハウジング可動部の外側に備えていることにより、ハウジング可動部及びソケット側中心コンタクトの両弾性接触片間方向の移動を許容するとともに、プラグ側シェルと確実に接続することができる。
【0029】
更に、本発明において、前記ハウジング基部に複数のハウジング可動部を移動可能に支持させたことにより、多連型同軸コネクタに適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施の態様を
図1〜
図12に示した実施例に基づいて説明する。図中符号1は、フローティング機構付き同軸コネクタである。
【0032】
このフローティング機構付き同軸コネクタ1は、相互に接続されるプラグ11とソケット12とを備え、プラグ11とソケット12とがフローティング機構により互いに径方向(xy軸方向)及び軸方向(z軸方向)の位置ずれを修正しつつ接続できるようになっている。
【0033】
プラグ11は、
図2、
図3に示すように、中央に配置された導電性金属材からなるプラグ側中心コンタクト3と、プラグ側中心コンタクト3の外側に配置されたプラグ側シェル4と、プラグ側中心コンタクト3とプラグ側シェル4との間に介在させた絶縁性のプラグ側絶縁体5とを備え、プラグ側シェル4内にプラグ側絶縁体5及びプラグ側中心コンタクト3が組み込まれている。
【0034】
プラグ側中心コンタクト3は、導電性金属材により針棒状に形成され、その一端がソケット側中心コンタクト6と接触する接触部31を成し、他端が同軸ケーブルや他の電子機器に接続される端子部32を成している。
【0035】
プラグ側絶縁体5は、絶縁性樹脂により一体成型され、円柱状の絶縁体本体部51と、絶縁体本体部51の後端側に突出した筒状の拡径筒部52とを備え、プラグ側絶縁体5が絶縁体本体部51と拡径筒部52とをもって段付き凸状を成している。
【0036】
また、プラグ側絶縁体5には、絶縁体本体部51にプラグ側中心コンタクト3がその両端、即ち接触部31及び端子部32を突出させた状態に埋め込まれている。
【0037】
拡径筒部52は、絶縁体本体部51より外径が大きい上面が開口した有底筒状に形成され、底面部より拡径筒部52内に端子部32が突出している。
【0038】
プラグ側シェル4は、プラグ側絶縁体5を保持するシェル本体41と、シェル本体41のプラグ11側に軸方向で移動可能に支持された可動シェル42と、可動シェル42を突出方向に付勢する付勢バネ43とを備えている。
【0039】
可動シェル42は、導電性金属材をプレス加工又は鋳造することにより円筒状に形成され、一方の開口部に内向きに張り出した抜け止めフランジ421が一体に備えられている。
【0040】
また、可動シェル42のソケット12側端部には、円弧状に面取りした形状の摺動用接触部422が全周に亘って形成されている。
【0041】
シェル本体41は、導電性金属材によって鋳造され、中央にプラグ側絶縁体5が収容される絶縁体収容孔411を有する筒状に形成されるとともに、その絶縁体収容孔411の外側の肉厚部には、ソケット12側端面に開口した円形溝状の可動シェル収容溝412を備え、可動シェル収容溝412に可動シェル42が出し入れ可能に挿通されている。
【0042】
絶縁体収容孔411は、内径の異なる拡径部411aと縮径部411bとが連通配置に連続することにより段付き孔状に形成され、上端開口(ソケット12とは反対側の端部開口)よりプラグ側絶縁体5が挿入され、段部411cにプラグ側絶縁体5の拡径筒部52の端面が当接することにより、シェル本体41にプラグ側絶縁体5が保持されるようになっている。
【0043】
尚、図中符号44は、Oリング等の封止部材であって、シェル本体41とプラグ側絶縁体5との間の隙間を封止するようになっている。
【0044】
可動シェル収容溝412は、シェル側に外径を拡大した摺動ガイド部412aと、摺動ガイド部412aと連通したバネ保持部412bとを備え、シェル側開口から付勢バネ43及び可動シェル42が順次挿入され、抜け止めフランジ412が摺動ガイド部412aにガイドされ、軸方向に移動できるようになっている。
【0045】
この可動シェル収容溝412には、その内径部のソケット12側端部に周方向にリング嵌合部412cが形成され、このリング嵌合部412cにストッパーリング45が嵌合され、このストッパーリング45に抜け止めフランジ421が当て止めされるようになっている。
【0046】
付勢バネ43は、導電性金属からなるコイルスプリングによって構成され、可動シェル収容溝412のバネ保持部412bに挿入され、シェル本体41に支持されて抜け止めフランジ421を押圧することにより、可動シェル42を突出方向に付勢している。
【0047】
尚、プラグ側シェル4は、可動シェル42が可動シェル収容溝412内に収容され、その外周面又は内周面が常に可動シェル収容溝412の外周面又は内周面に接触しているため、可動シェル42とシェル本体41とが導通した状態にあり、更に、付勢バネ43を介してシェル本体41と可動シェル42とが常に導通した状態が維持されている。
【0048】
ソケット12は、
図4、
図5に示すように、中央に配置されたソケット側中心コンタクト6と、ソケット側中心コンタクト6の外側に配置されたソケット側シェル7と、ソケット側中心コンタクト6及びソケット側シェル7を互いに絶縁させた状態に保持するハウジング8とを備え、プラグ11と互いに嵌合し、互いの中心コンタクト及びシェルがそれぞれ接続するようになっている。
【0049】
ハウジング8は、基板や電子機器筐体等の支持体に固定されるハウジング基部81と、ハウジング基部81のプラグ11側端面上にあってハウジング基部81に対しソケット側中心コンタクト6とともに移動可能なハウジング可動部82と、一端がハウジング基部81に固定され、他端がハウジング可動部82に固定されたフローティング用バネ体9とを備え、ハウジング可動部82がソケット側中心コンタクト6とともにフローティング用バネ体9を介してハウジング基部81に移動可能に支持されていることにより、フローティング機構が形成されている。
【0050】
更に、このソケット12では、ソケット側中心コンタクト6とフローティング用バネ体9とを一体化した導電性金属板材からなるコンタクト付きフローティング用バネ体(以下、一体型バネ体という)99を使用し、ソケット側中心コンタクト6がハウジング可動部82の移動に追従できるようにしている。
【0051】
一体型バネ体99は、
図6に示すように、弾性を有する導電性金属板材を打ち抜き・折り曲げ加工することにより一体に形成され、フローティング用バネ体9にソケット側中心コンタクト6を一体に支持させ、ソケット側中心コンタクト6の構成の一部をフローティング用バネ体9に兼用させた構造となっている。
【0052】
フローティング用バネ体9は、ハウジング基部81に固定される支持固定部91と、ハウジング可動部82に固定されるフローティング固定部92と、支持固定部91とフローティング固定部92とを連結する弾性変形可能な揺動バネ部93とを備え、支持固定部91とフローティング固定部92とが互いに前後に間隔を置いて平行配置され、揺動バネ部93の弾性変形によって支持固定部91に対しフローティング固定部92が前後移動及び左右に揺動できるようになっている。
【0053】
支持固定部91は、矩形状に形成され、その上端に揺動バネ部93の一端が一体に支持され、下端よりソケット側中心コンタクト6を構成する基板接続端子片61が水平方向に延出している。
【0054】
揺動バネ部93は、支持固定部91フローティング固定部92間方向、即ち、前後方向で伸縮可能な弾性伸縮部931と、支持固定部91フローティング固定部92間方向軸回りにねじれ可能な弾性捩れ部とを一体に備え、弾性伸縮部931の伸縮により支持固定部91に対するフローティング固定部92の前後方向移動を許容し、各弾性捩れ部のねじれにより支持固定部91に対するフローティング固定部92の左右方向移動を許容し、且つ、弾性により原位置に復帰できるようになっている。
【0055】
弾性伸縮部931は、上端が支持固定部91の上縁に円弧状に湾曲した折り返し部932を介して支持された状態で斜め下方に延出し、下端に折り返し部933を介して水平方向に延出したインピーダンス調節部934が一体に支持されている。
【0056】
そして、この弾性伸縮部931は、両折り返し部932,933で湾曲することにより、支持固定部91フローティング固定部92間方向、即ち、前後方向で伸縮し、弾性により原位置に復帰できるようになっている。
【0057】
インピーダンス調節部934は、水平方向に延出した細板状に形成され、一端が折り返し部933を介して弾性伸縮部931に支持され、他端が折り返し部935を介してフローティング固定部92の下縁に一体に支持されている。
【0058】
このインピーダンス調節部934は、プレス成型の際に左右方向の板幅を変更することができ、インピーダンス調節部934の幅を適宜変更することにより、フローティング用バネ体9と一体化したソケット側中心コンタクト6のインピーダンスを適切な値に調節することができるようになっている。
【0059】
各折り返し部932,933,935は、それぞれ支持固定部91及びフローティング固定部92の板幅より狭く形成され、揺動バネ部93における弾性捩れ部を構成している。
【0060】
即ち、支持固定部91に対しフローティング固定部92が左右方向に相対移動した場合、各折り返し部932,933,935が支持固定部91フローティング固定部92間方向軸回りにねじれることにより、当該左右方向の移動を許容するとともに、弾性により原位置に復帰できるようになっている。
【0061】
フローティング固定部92は、上下方向に向けた矩形状に形成され、中央部に支持固定部91側に膨出した縦向き突条状の膨出部921を一体に備え、下端両側部にソケット側中心コンタクト6の接続部62を構成する弾性挟持片621,621が一体に支持されている。
【0062】
ソケット側中心コンタクト6は、プラグ側中心コンタクト3と接続する接続部62と、接続基板に接続される基板接続端子片61とを備え、接続部62と基板接続端子片61とがフローティング用バネ体9を介して電気的に接続されている。
【0063】
接続部62は、互いに左右方向で対向する一対の弾性挟持片621,621を備え、ピン状のプラグ側中心コンタクト3の接触部31を両弾性挟持片621,621で挟持することによりプラグ側中心コンタクト3と接続するようになっている。
【0064】
各弾性挟持片621,621は、上下に長い帯板状に形成され、その下方側縁がフローティング固定部92の下端側縁より垂直に折り曲げた支持片63に一体に支持され、支持固定部91とフローティング固定部92との間に左右方向で互いに対向するように配置されている。
【0065】
また、各弾性挟持片621,621には、上端に内側に湾曲した接点622が形成され、互いに対向する接点622,622間にプラグ側中心コンタクト3が挟持されるようになっている。
【0066】
尚、各弾性挟持片621,621の下端には、水平外向きに延出した抜止めガイド片64が一体に支持され、この抜止めガイド片64がハウジング基部81の下端に前後左右方向に移動可能に当て止めされるようになっている。
【0067】
ハウジング基部81は、
図7に示すように、絶縁性合成樹脂により上下に開口した前後左右の周壁部811〜814を有する角筒状に形成され、上面側にハウジング可動部82が組み付けられるとともに、下面側より一体型バネ体99が組み込まれ、フローティング用バネ体9を介してハウジング可動部82とハウジング基部81とが移動可能に接合される。
【0068】
前の周壁部811には、上下方向に向けた支持固定部圧入部815が形成され、この支持固定部圧入部815にフローティング用バネ体9の支持固定部91が圧入されることにより、フローティング用バネ体9の一端、即ち、支持固定部91がハウジング基部81に固定される。
【0069】
また、前の周壁部811には、支持固定部圧入部815の内側面側に開口し、且つ、支持固定部圧入部815と連通した回避溝816が形成され、周壁部811〜814に揺動バネ部93が干渉しないようになっている。
【0070】
よって、一体型バネ体99のフローティング固定部92及び両弾性挟持片621,621は、下部が揺動バネ部93を介してハウジング8に支持されるとともに内空部817内に移動可能な状態で収容され、且つ、上部が内空部817の上端開口より突出している。
【0071】
また、ハウジング基部81の左右の周壁部813,814には、下面部に凹状の下側ガイド溝818が,上面部に凹状の上側ガイド溝819がそれぞれ形成され、一体型バネ体99の抜止めガイド片64が下側ガイド溝818内に挿入され、抜止めガイド片64がこのガイド溝818に案内されるとともに、ガイド溝818の上縁に当て止めされることにより、一体型バネ体99の抜け止めがされている。
【0072】
また、ハウジング基部81には、外側に導電性金属材からなるソケット側シェル7が組み付けられ、ソケット側シェル7を介して実装基板等の支持体に固定されるようになっている。
【0073】
ソケット側シェル7は、
図8に示すように、弾性を有する導電性金属板材をプレス加工することにより一体に形成され、ハウジング基部81の外周を覆う角筒状の筒状部71と、筒状部71の左右側板713,714にそれぞれ一体に支持された一対の弾性接触片部72,72と、筒状部71の前後側板711,712の上縁に一体に支持されたシェル当接板部73,73とを備えている。
【0074】
また、ソケット側シェル7には、前後側板の下縁部に外向きに張り出した基板接続部74,74を一体に備えるとともに、左右側板の上縁に内向きに折り返した形状の固定係止部75,75を一体に備え、固定係止部75,75をハウジング基部81の左右周壁部813,814と係合させ、基板接続部74,74を実装基板上のパターンに半田付けすることにより、ハウジング基部81が支持体である実装基板に固定されるとともに、ソケット側シェル7が実装基板に電気的に接続されるようになっている。
【0075】
各弾性接触片部72,72は、下端が左右側板713,714の上縁に一体に支持された一対の弾性支持片721と、両弾性支持片721,721間に架け渡した形状の接触片722とを備え、接触片722と両弾性支持片721,721とが側面視門型状を成している。
【0076】
各弾性支持片721は、左右側板部の上縁より斜め外向きに延出したバネ基部721aと、バネ基部721aの先端より斜め内向きに延出した支持バネ部721bとを備え、支持バネ部721bの先端に接触片722の端が一体に支持されている。
【0077】
接触片722は、内向きにく字状又は逆く字状に屈曲した形状に形成され、屈曲した部分の頂部がプラグ側シェル4(可動シェル42)の外周面に接触するようになっている。
【0078】
シェル当接板部73,73は、前後側板の上縁より内向きに折り曲げられた細長板状に形成され、ソケット側シェル7をハウジング基部81に組み付けることにより、ハウジング基部81のプラグ11側端面に露出するようになっている。
【0079】
このシェル当接板部73,73は、内側縁中央部に円弧状の切り欠き731が形成され、ハウジング可動部82の移動を妨げないようにしている。
【0080】
ハウジング可動部82は、
図9に示すように、絶縁性合成樹脂材により一体に成形され、扁平円柱状の可動本体部821と、可動本体部821の下端より突出した円柱状の突出部822と、突出部822の下端より左右方向外側に延出した摺動部823,823とを備え、可動本体部821及び突出部822に亘って下面側に開口した角穴状のコンタクト収容部824が形成されている。
【0081】
このハウジング可動部82には、コンタクト収容部824と平行配置に下面に開口した固定部圧入孔825が形成され、ハウジング可動部82をハウジング基部81の上面部に組み付けることにより、固定部圧入孔825にハウジング基部81の上端より突出したフローティング固定部92の上端部が圧入されるとともに、コンタクト収容部824内にソケット側中心コンタクト6の接続部62、即ち、両弾性挟持片621,621の上部が収容される。
【0082】
可動本体部821は、上端外周部に上方に向けて縮径するテーパ状の誘導面部821aを備えているとともに、上端面に開口し、且つ、コンタクト収容部824と連通したコンタクト挿通孔821bを備え、このコンタクト挿通孔821bを通してピン状のプラグ側中心コンタクト3がハウジング8内に挿入されるとともに、誘導面部821aに誘導されプラグ側シェル4の可動シェル42がハウジング可動部82の外側に嵌り込むようになっている。
【0083】
尚、コンタクト挿通孔821bは、その開口縁部が下方に向けて縮径するテーパ状に形成され、プラグ側中心コンタクト3が孔中心に誘導されるようになっている。
【0084】
突出部822は、可動本体部821より外径の小さな偏平円柱状に形成され、可動本体部821と摺動部823,823との間、即ち、突出部822の外側には、周方向に沿って当接板回避溝826が形成され、当接板回避溝826にシェル当接板部73,73が回避できるようにしている。
【0085】
摺動部823,823は、ハウジング基部81の左右周壁部813,814の上端に形成された上側ガイド溝819に挿通され、この摺動部823,823が上側ガイド溝819の内縁に案内されることにより、ハウジング可動部82がハウジング基部81のプラグ側端面上を移動できるようになっている。
【0086】
このように構成されたフローティング機構付き同軸コネクタ1では、プラグ11とソケット12とを相互接続する際、ハウジング可動部82がフローティング用バネ体9を介してハウジング基部81に移動可能に支持され、ソケット側中心コンタクト6とともに移動するので、相互接続時にプラグ11に対し前後左右何れの方向(xy方向)に軸ズレが生じていいても自動的に軸ズレを調整し、安定した接続状態が得られるようになっている。
【0087】
その際、このフローティング機構付き同軸コネクタ1では、ソケット12にハウジング基部81のプラグ11側端面に露出したシェル当接板部73,73を備え、このシェル当接板部73,73にプラグ側シェル4の端部を当接させるようにしているので、途切れの無いシールド効果を発揮することができる。
【0088】
また、このフローティング機構付き同軸コネクタ1では、プラグ側シェル4にシェル本体41のソケット12側端面より出入り可能な可動シェル42と、可動シェル42を付勢する付勢バネ43とを備えたことにより、プラグ11とソケット12間に生じる軸方向(z軸方向)の位置ずれを吸収して、常に、プラグ側シェル4の端部がシェル当接板部73,73に接触した状態となるので、プラグ側シェル4とソケット側シェル7とを軸方向で隙間なく接続することができ、高いシールド効果を発揮する。
【0089】
具体的には、プラグ11とソケット12とを接続する際、可動シェル42が付勢バネ43に付勢されてシェル本体41のプラグ側端面より突出しているので、可動シェル42がハウジング可動部82の外側に嵌り込むとともに、ソケット側シェル7の弾性接触片部72,72と接触し、可動シェル42の下端がハウジング基部のプラグ側端面に露出したシェル当接板部73,73に当接し、両シェル4,7が互いに接続される。
【0090】
また、可動シェル42がハウジング可動部81と嵌合することにより、プラグ側中心コンタクト3がコンタクト挿通孔821bを通してハウジング可動部82内に挿入され、プラグ側中心コンタクト3とソケット側中心コンタクト6とが接続される。
【0091】
そして、
図10(b)に示す状態から可動シェル42が付勢バネ43のバネ圧に抗して押し込まれることにより、
図10(a)に示すように、軸方向(z軸方向)で位置ずれを吸収しつつ、プラグ11とソケット12とが接続される。
【0092】
即ち、このフローティング機構付き同軸コネクタ1では、可動シェル42のシェル本体41に対するストローク分だけ軸方向(z軸方向)の位置ずれを許容できるようになっている。
【0093】
一方、プラグ11とソケット12とを接続する際、
図11(a)に示す前後に位置ずれが無い場合に対し、
図11(b)示すように、プラグ11とソケット12との間に前後方向に位置ずれが生じている場合、ハウジング可動部82とプラグ2とは、ハウジング可動部82の誘導面部821aに誘導されて相互嵌合しようとし、揺動バネ部93の弾性伸縮部931が撓んで前後に縮み、ハウジング基部81に対するハウジング可動部82及びソケット側中心コンタクト6の接触部の前後移動を許容し、プラグ側中心コンタクト3とソケット側中心コンタクト6とが接続される。
【0094】
その際、プラグ側シェル4、即ち、可動シェル42は、ハウジング可動部82の外側に嵌り込んだ状態で両弾性接触片部72,72間に挟持された状態で前後方向に移動するとともに、可動シェル42の下端がシェル当接板部73,73上を摺動するので、ソケット側シェル7と安定した接続状態にある。
【0095】
尚、プラグ11が離脱した際には、撓んだ弾性伸縮部931が弾性復帰することにより、揺動バネ部93の変形に連動してハウジング可動部82がハウジング基部81上の中心位置に復帰する。
【0096】
また、
図12(a)に示す左右方向で軸ずれが無い場合に対し、
図12(b)に示すように、左右方向に軸ずれが生じている場合、ハウジング可動部82とプラグ11とは、ハウジング可動部82の誘導面部821aに誘導されて相互嵌合しようとし、揺動バネ部93の各弾性捩れ部932,933,935が前後軸回りに捩じれ、ハウジング基部81に対するハウジング可動部82及びソケット側中心コンタクト6の接続部62の左右の移動を許容し、プラグ側中心コンタクト3とソケット側中心コンタクト6とが接続される。
【0097】
その際、その際、プラグ側シェル4は、ハウジング可動部82の外側に嵌り込んだ状態で一方の弾性接触片部72,72側に押し付けられるとともに、可動シェル42の下端がシェル当接板部73,73上を摺動するので、ソケット側シェル7と安定した接続状態にある。
【0098】
尚、プラグ11が離脱した際には、撓んだ弾性伸縮部931が弾性復帰することにより、揺動バネ部93の変形に連動してハウジング可動部82がハウジング基部81上の中心位置に復帰する。
【0099】
このように本発明に係るフローティング機構付き同軸コネクタ1では、軸方向(z軸方向)の位置ずれに対しては、プラグ11の可動シェル42の伸縮で位置ずれを許容し、径方向(xy軸方向)、即ち前後左右の位置ずれに対しては、前後方向の位置ずれを弾性伸縮部931で、左右方向の位置ずれを弾性捩れ部932,933,935で複合的に許容できるので、何れの方向へのフローティングも可能となっている。
【0100】
更には、一体型バネ体99を使用し、フローティング固定部92にソケット側中心コンタクト6の接続部62を一体に支持させたことにより、ソケット側中心コンタクト6の中心位置がフローティング動作とともにプラグ側中心コンタクト3の中心位置に追従して移動するので、コネクタ内での中心軸のズレが防止でき、また、ハウジング可動部81がハウジング基部81に対し、水平移動するので、可動シェル42がシェル当接板部73,73から浮き上がることがなく、高い高周波性能及びシールド性能を維持することができる。
【0101】
尚、上述の実施例では、ハウジング8が支持される支持体を電子部品に内蔵される実装基板とした例について説明したが、支持体はこれに限定されず、例えば、電子機器筐体を支持体としてもよく、同軸ケーブルに接続し、同軸ケーブルを支持体としてもよい。
【0102】
また、本発明に係るフローティング機構付き同軸コネクタ1は、ハウジング基部81上に複数のハウジング可動部82を移動可能に接合させた多連型同軸コネクタに適用してもよい。