【実施例】
【0061】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これら実施例は本発明の多様な実施形態をなんら限定するものではない。
【0062】
以下の実施例において、ゼオライト結晶の物性は、当業者に周知の方法によって評価され、主なものを以下に示す。
【0063】
ゼオライト結晶の強熱減量
強熱減量は、NF EN規格196−2(2006年4月)に記載の通り、酸化雰囲気下で、試料を温度950℃±25℃の空気中でか焼することによって測定する。この測定の標準偏差は0.1%未満である。
【0064】
Dubinin−Raduskevitch容積
Dubinin−Raduskevitch容積は、ゼオライト構造の細孔の開口に応じて、窒素またはアルゴン等のガスの、この液化温度での吸着等温線の測定から決定される:アルゴンまたは窒素はLTA(Breckの同書、428頁の表5.7に記載の通りあらかじめカルシウムで交換)用に、および窒素はFAU用に選択される。吸着に先だって、ゼオライト吸着剤は、真空下(P<6.7×10
−4Pa)、300℃から450℃の間で9時間から16時間の間脱気する。吸着等温線の測定は、この後Micromeritics製ASAP2020型の機械で、P/P0相対比圧力が0.002から1の間で少なくとも35の測定点を取って行われる。ミクロ孔の容積は、Dubinin−Raduskevitchに従って、得られた等温線から、ISO規格15901−3(2007)を適用して決定される。Dubinin−Raduskevitchの式に従って評価されたミクロ孔の容積は、ゼオライトのグラム当たりのcm
3の液体吸着剤で表される。この測定の不確実性は±0.003cm
3.g
−1である。
【0065】
結晶のサイズとモルフォロジー(SEM)
ゼオライト結晶の数平均径の概算は、既に示したように、走査型電子顕微鏡観察によって行われる。
【0066】
試料のゼオライト結晶のサイズを概算するために、倍率5000以上の一連の画像を撮る。200以上の結晶の直径がこの後、専念したソフトウェア、例えば、出版元LoGraMiのSmile Viewソフトウェアを用いて測定される。この精度は3%のオーダーである。
【0067】
結晶のモルフォロジーは、結晶のサイズに適した倍率で撮ったSEM写真から定性化される。
【0068】
t−プロット法によるメソ孔の外表面積(m2.g−1)の測定
t−プロット計算法は、吸着等温線のデータQads=f(P/P0)を活用してミクロ孔の表面積を計算できるようにする。メソ孔の外表面積は、細孔の表面積の合計をm
2.g
−1で測定するBET表面積との違いを測定することによって、そこから推定され得る(BET S=microp.S+mesop.outer S)。
【0069】
t−プロット法でミクロ孔の表面積を計算するために、曲線Q ads(cm
3.g
−1)は、t=分圧P/P0によって決まる層の厚さの関数としてプロットされ、これは参照の非多孔性固体に形成され(tはlogP/P0の関数:Harkins−Juraの式適用(ISO規格15901−3:2007)):[13.99/(0.034−log(P/P0))^0.5]、ここで、0.35nmから0.5nmの間の距離tにおいて、直線をプロットすることができ、これは切片Q adsorbedを規定し、これはミクロ孔の表面積を計算することを可能にする。固体がミクロ多孔性でないとき、この直線は0を通る。
【0070】
透過型電子顕微鏡法によるメソ孔構造の観察
粉体をエタノールに1分間超音波処理で分散する。この溶液1滴を顕微鏡の格子に入れる。この試料を環境条件下で放置して乾燥させる。透過型電子顕微鏡(FEI製CM200)を用い、電圧120kVで観察を行う。
【0071】
得られた倍率×220000(
図1b参照)は、メソ孔の存在を視覚化し、これらの直径の見積もりを可能にする。
【0072】
蛍光X線によるゼオライトのSi/Al原子比率の分析
階層的で多孔性のゼオライトの元素化学分析は、当業者に周知の様々な分析技術に従って行われ得る。これらの技術の中で、NF EN ISO規格12677:2011に記載の通り、波長分散型分光器、例えばBruker社Tiger S8機での蛍光X線による化学分析技術(WDXRF)に関して言及することができる。
【0073】
蛍光X線は、試料の元素組成を確立するための、X線域での原子のフォトルミネッセンスを活用した非破壊分光技術である。通常X線ビームでの、または電子衝撃による原子の励起は、原子の基底状態に戻った後に特異的な放射を発生させる。蛍光X線スペクトルは、元素の化合にやや依存する利点を有し、これは、定量および定性の両方で、正確な決定をもたらす。各オキシドについて較正後、計測の不確実性0.4重量%未満が、慣例的に得られる。
【0074】
これら元素化学分析は、ゼオライトのSi/Al原子比率を確認することを可能にし、このSi/Al原子比率の計測の不確実性は±5%である。
【0075】
X線回折による定性および定量分析
各ゼオライト構造は、回折ピークの位置およびこれらの相対強度によって特徴づけられる固有のディフラクトグラム(即ち回折スペクトル)を有するため、この分析は、分析された固体に存在する結晶相の同定を可能にする。
【0076】
ゼオライト結晶は、試料容器に広げられ単純な機械的圧縮によって平坦にされる。D5000Bruker機で行われるディフラクトグラム用の取得条件は以下の通りである:
・40kV−30mAでCuチューブ使用;
・スリットサイズ(発散、散乱および分析)=0.6mm;
・フィルター:Ni;
・試料回転装置:15rpm;
・計測範囲:3°<2θ°<50;
・増分:0.02°
・増分ごとの計数時間:2秒。
【0077】
得られた回折スペクトル(即ちディフラクトグラム)の解釈は、完全結晶性相を証明することを可能にするベースICDD PDF−2、リリース2011を用いて、EVAソフトウェアで相の同定を伴って行われる。
【0078】
ゼオライトX画分の量は、XRD解析によって測定される。この解析は、Bruker機で行われ、ゼオライトX画分の量は、この後Bruker社のTOPASソフトウェアによって評価される。
【0079】
[
実施例1]
TPOAC/Al
2O
3比=0.04での造核ゲルと成長ゲルの添加によるHPX合成
(ここで、HPXは階層的で多孔性のX型ゼオライト(HP2)を表す。)
a)アルキメデスポンプで300rpmで撹拌された反応器での成長ゲルの調製
成長ゲルは、加熱ジャケット、温度プローブおよび攪拌機を備えた3リットルステンレス鋼反応器で、水酸化ナトリウム(NaOH)119g、アルミナ三水和物(Al
2O
3.3H
2O、Al
2O
365.2重量%含有)128gおよび水195.5gを含むアルミネート溶液を25℃で25分間、撹拌速度300rpmで、ケイ酸ナトリウム565.3g、NaOH55.3gおよび水1997.5gを含む25℃のシリケート溶液中で混ぜ合わせることによって調製する。
【0080】
この成長ゲルの化学量論は、3.48Na
2O/Al
2O
3/3.07SiO
2/180H
2Oである。この成長ゲルの均質化は、300rpmで撹拌しながら25分間25℃で行う。
【0081】
b)造核ゲルの添加
成長ゲルと同一の方法で得られ、40℃で1時間熟成された、12Na
2O/Al
2O
3/10SiO
2/180H
2Oの組成の造核ゲル61.2g(即ち、2重量%)を前記成長ゲルに25℃、300rpmで撹拌しながら添加する。300rpmでの5分間の均質化後、撹拌速度を100rpmに下げ、撹拌を30分間継続する。
【0082】
c)反応媒体への構造化剤の導入
TPOACの60%メタノール(MeOH)溶液27.3gを撹拌速度300rpmでこの反応媒体に導入する(TPOAC/Al
2O
3モル比=0.04)。結晶化を始める前に、熟成ステップを25℃で1時間、300rpmで行う。
【0083】
d)結晶化
撹拌速度を50rpmに落とし、反応器のジャケットの公称温度を80℃に設定して、反応媒体の温度を80分で75℃に上げる。75℃の定常段階で22時間後、ジャケットに冷水を循環させてこの反応媒体を冷却し、結晶化を止める。
【0084】
e)濾過/洗浄
この固体をシンター上で回収し、この後脱イオン水でpHが中性になるまで洗浄する。
【0085】
f)乾燥/か焼
この生成物を特徴づけるため、90℃の炉で8時間の乾燥を行い、この乾燥物の強熱減量23重量%を得る。
【0086】
ミクロ多孔性(水)および構造化剤の除去によるメソ多孔性の両方を開放するのに必要な乾燥物のか焼は、以下の温度プロファイルで行う:200℃への昇温30分、この後200℃の定常段階で1時間、この後550℃への昇温3時間、および最後に550℃の定常段階で1.5時間。
【0087】
255gの無水ゼオライトHPXに相当する固体がこのようにして得られる;これは、関与したアルミニウムの量に対して収率99mol%に相当する。蛍光X線によって測定されたこのHPZのSi/Al比は1.24に等しい。
【0088】
[
実施例2]
TPOAC/Al
2O
3比=0.02での造核ゲルと成長ゲルの添加によるHPX合成
この方法は、TPOAC/Al
2O
3モル比0.02で実施例1の通りに行う。255gの無水ゼオライトHPXに相当する固体が得られ、これは、関与したアルミニウムの量に対して収率99mol%に相当する。蛍光X線によって測定されたこのHPZのSi/Al比は1.24に等しい。
【0089】
[
実施例3]
TPOAC/Al
2O
3比=0.08での造核ゲルと成長ゲルの添加によるHPX合成
この方法は、TPOAC/Al
2O
3モル比0.08で実施例1に記載の通りに行う。255gの無水ゼオライトHPXに相当する固体が得られ、これは、関与したアルミニウムの量に対して収率99mol%に相当する。蛍光X線によって測定されたこのHPZのSi/Al比は1.24に等しい。
【0090】
[
実施例4]
TPOAC/Al
2O
3比=0.04でのゼオライト結晶と成長ゲルの添加によるHPX合成
この方法は、TPOAC/Al
2O
3モル比0.04で実施例1に記載の通りに行うが、ステップb)で、前記造核ゲルを1重量%(成長ゲルの総重量に対して)のゼオライトX結晶(体積平均径が約0.8μmの結晶、特許出願WO2014/090771の合成例b)に記載の通りに調製したもの)の導入で置き換える。実施例1の固体に対して得られた特徴と同じ特徴を備える固体254gが得られる。
【0091】
実施例1、2および3で合成された階層的で多孔性のゼオライトX粉末の特徴の比較
これら階層的で多孔性のゼオライトの特徴づけの結果を、CECA社から販売されており、結晶の平均径が1.5μmである参照ゼオライトX、Siliporite(R)G5APとの比較とともに表1に要約する。
【0092】
これら多孔性の特徴(ミクロ孔容積、メソ孔外表面積、メソ孔サイズ分布)は、あらかじめ300℃の真空中で脱気した粉体について、液体窒素温度での窒素吸着/脱着等温線から計算する。この測定は、Micromeritics製ASAP2020機で行う。
【0093】
ミクロ孔容積(cm
3.g
−1)は、Dubinin−Raduskevich理論に従って計算する。メソ孔外表面積(m
2.g
−1)は、t−プロットモデルを用いて計算する。メソ孔サイズ分布は、密度汎関数理論(DFT)法で、円筒孔モデルを用いて計算する。
【0094】
X線回折は、粉体に存在するこれら結晶相を、様々なゼオライト構造の参照スペクトル(即ちディフラクトグラム)から同定すること、および生成したこれら固体の結晶性の程度をピーク強度に応じて明らかにすることを可能にする。
【0095】
図1aおよび1bは、参照ゼオライト(
図1a)および本発明に従うゼオライトの実施例1(
図1b)のTEM像であり、
図2は、これらの細孔容積(ミクロ孔の容積とメソ孔の容積)を細孔径の関数として示す。この細孔容積は、上で示した(上記「Dubinin−Raduskevitch容積」技術で記載した通り、窒素吸着等温線を用いた測定)ように測定する。
【0096】
[
比較例1]
造核ゲルを添加しないTPOAC/Al
2O
3比=0.04でのゼオライト結晶の合成
1)アルキメデスポンプで300rpmで撹拌された反応器での成長ゲルの調製
成長ゲルは、加熱ジャケット、温度プローブおよび攪拌機を備えた3リットルステンレス鋼反応器で、水酸化ナトリウム(NaOH)119g、アルミナ三水和物(Al
2O
3.3H
2O、Al
2O
365.2重量%含有)128gおよび水195.5gを含むアルミネート溶液を25℃で25分間、撹拌速度300rpmで、ケイ酸ナトリウム565.3g、NaOH55.3gおよび水1997.5gを含む25℃のシリケート溶液中で混ぜ合わせることによって調製する。
【0097】
この成長ゲルの化学量論は、3.48Na
2O/Al
2O
3/3.07SiO
2/180H
2Oである。この成長ゲルの均質化は、300rpmで撹拌しながら25分間25℃で行う。
【0098】
2)反応媒体への構造化剤の導入
TPOACの60%MeOH溶液27.3gを撹拌速度300rpmでこの反応媒体に導入する(TPOAC/Al
2O
3モル比=0.04)。5分間の均質化後、撹拌速度を50rpmに落とす。
【0099】
3)熟成段階
この反応媒体を50rpm、25℃で22時間撹拌を維持し、この後結晶化を開始する。
【0100】
4)結晶化
撹拌速度を50rpmに維持し、反応器のジャケットの公称温度を80℃に設定して、反応媒体の温度を80分で75℃に上げる。75℃の定常段階で72時間後、ジャケットに冷水を循環させてこの反応媒体を冷却し、結晶化を止める。
【0101】
5)濾過/洗浄
この固体をシンター上で回収し、この後脱イオン水でpHが中性になるまで洗浄する。
【0102】
6)乾燥/か焼
この生成物を特徴づけるため、90℃の炉で8時間の乾燥を行い、この乾燥物の強熱減量22重量%を得る。
【0103】
ミクロ多孔性(水)および構造化剤の除去によるメソ多孔性の両方を開放するのに必要な乾燥物のか焼は、以下の温度プロファイルで行う:200℃への昇温30分、この後200℃の定常段階で1時間、この後550℃への昇温3時間、および最後に550℃の定常段階で1.5時間。
【0104】
[
比較例2]
造核剤を添加しないTPOAC/Al
2O
3比=0.08でのゼオライト結晶の合成
この方法は、TPOAC/Al
2O
3モル比を0.08に増やして、比較例1に記載した通りに行う。
【0105】
比較例1および2で合成された階層的で多孔性のゼオライト粉末の特徴の実施例1、2および3のゼオライトとの比較
これら階層的で多孔性のゼオライトの特徴づけの結果を、以下の表1に要約する。
【0106】
【表1】
【0107】
上記表1の結果は、結晶のモルフォロジーはTPOAC含量によって変化することを示している。一つの解釈は、この構造化剤の様々な結晶面の成長速度への影響である。
【0108】
図3は、回折スペクトル(ディフラクトグラム)の重ね合わせを示す。これらX線回折スペクトル(ディフラクトグラム)の重ね合わせは、本発明に従う固体を用いて得られたこれら回折ピーク強度(実施例1のゼオライト、
図3の(b))は、導入した構造化剤の量とは関係なく、参照ゼオライトを用いて得られたもの(
図3の(a))のものと同様であるということを示している。本発明に従う方法は、これ故、結晶性が最適で制御された固体を得ることを可能にする。
【0109】
構造化剤、シーディングゲルおよび/または造核ゲルを用いて行われたこの合成方法は、ミクロ孔容積/メソ孔外表面積分布を、低Si/Al比のゼオライト、典型的には1から1.4の間の場合には多様にすることを可能にし、同時に、いかなる他の結晶形も観察されない、特にゼオライトPの共結晶化のない純粋なFAU(フォージャサイト)型のゼオライトをもたらす。
【0110】
[
実施例5]
TPOAC/Al
2O
3比=0.04での造核ゲルと成長ゲルの添加によるHPX合成
この方法は、結晶のサイズを減少させるため、同じ造核ゲルを成長ゲルの重量に対して10重量%添加して、実施例1に記載した通りに行う。
【0111】
得られたゼオライトは、0.5から1.0μmの間の結晶サイズ、即ち実施例1で得られたゼオライト結晶のサイズを備える。
【0112】
[
実施例6]
TPOAC/Al
2O
3比=0.04での造核ゲルと成長ゲルの添加によるLSHPX合成
a)成長ゲルの調製:アルキメデスポンプで250rpmで撹拌された反応器
成長ゲルは、加熱ジャケット、温度プローブおよび攪拌機を備えた3リットルステンレス鋼反応器で、水酸化ナトリウム(NaOH)300g、85%水酸化カリウム264g、アルミナ三水和物(Al
2O
3.3H
2O、Al
2O
365.2重量%含有)169gおよび水1200gを含むアルミネート溶液を25℃で5分間、撹拌速度250rpmで、ケイ酸ナトリウム490g、NaOH29.4gおよび水470gを含む25℃のシリケート溶液と混ぜ合わせることによって調製する。
【0113】
この成長ゲルの化学量論は、4.32Na
2O/1.85K
2O/Al
2O
3/2.0SiO
2/114H
2Oである。この成長ゲルの均質化は、250rpmで撹拌しながら15分間、25℃で行う。
【0114】
b)造核ゲルの添加
成長ゲルと同一の方法で得られ、40℃で1時間熟成された、12Na
2O/Al
2O
3/10SiO
2/180H
2Oの組成の造核ゲル5.8g(即ち、0.2重量%)を前記成長ゲルに25℃、300rpmで撹拌しながら添加する。250rpmでの5分間の均質化後、撹拌速度を50rpmに下げ、撹拌を30分間継続する。
【0115】
c)反応媒体への構造化剤の導入
TPOACの60%メタノール(MeOH)溶液35.7gを撹拌速度250rpmで5分間この反応媒体に入れる(TPOAC/Al
2O
3モル比=0.04)。次に、結晶化を始める前に、熟成ステップを30℃で20時間、50rpmで行う。
【0116】
d)2段階の結晶化
撹拌速度を50rpmに維持し、反応器のジャケットの公称温度の上昇をこの後直線的に63℃にプログラムして、反応媒体の温度を5時間で60℃に上げ、60℃の定常段階を21時間続け;反応器のジャケットの公称温度をこの後102℃に設定して、反応媒体の温度を60分で95℃に上げる。95℃での3時間の定常段階の後、冷水をジャケットに循環させてこの反応媒体を冷却し、結晶化を止める。
【0117】
e)濾過/洗浄
この固体をシンター上で回収し、この後脱イオン水でpHが中性になるまで洗浄する。
【0118】
f)乾燥/か焼
この生成物を特徴づけるため、90℃の炉で8時間の乾燥を行う。
【0119】
ミクロ多孔性(水)および構造化剤の除去によるメソ多孔性の両方を開放するのに必要な乾燥物のか焼は、真空下(P<6.7×10
−4Pa)、400℃まで9時間から16時間の間の時間をかけて増分50℃で漸増しながら真空脱気することによって行う。
【0120】
この階層的で多孔性のゼオライトの特徴づけの結果は:
・Dubinin−Raduskevitchのミクロ孔V=0.278cm
3.g
−1
・mesop.outer S=97m
2.g
−1
・メソ孔径DFT=5nmから10nm
・X線ディフラクトグラム:純粋フォージャサイト構造、ゼオライトLTA非検出
・結晶サイズ:8μm
・蛍光X線で測定されたLSHPXのSi/Alモル比は1.01である。
【0121】
[
実施例7]
TPOAC/Al
2O
3比=0.04での造核ゲルと成長ゲルの添加によるゼオライトHPA合成
a)成長ゲルの調製
成長ゲルは、3パドル翼で600rpmで撹拌された、加熱ジャケットおよび温度プローブを備えた1.5リットルガラス反応器で、水酸化ナトリウム(NaOH)151g、アルミナ三水和物(Al
2O
3.3H
2O、Al
2O
365.2重量%含有)112.4gおよび水212gを含むアルミネート溶液を35℃で5分間、撹拌速度600rpmで、ケイ酸ナトリウム321.4gおよび水325gを含む35℃のシリケート溶液と混ぜ合わせることによって調製する。
【0122】
この成長ゲルの化学量論は、3.13Na
2O/Al
2O
3/1.92SiO
2/68H
2Oである。この成長ゲルの均質化は、600rpmで撹拌しながら、15分間35℃で行う。
【0123】
b)造核ゲルの添加
成長ゲルと同一の方法で得られ、25℃で2時間熟成された、2.05Na
2O/Al
2O
3/1.92SiO
2/87H
2Oの組成の造核ゲル11.2g(即ち、1重量%)を前記成長ゲルに35℃、300rpmで撹拌しながら添加する。300rpmでの5分間の均質化後、撹拌速度を190rpmに下げ、撹拌を30分間継続する。
【0124】
c)反応媒体への構造化剤の導入
TPOACの60%メタノール(MeOH)溶液35.7gを撹拌速度600rpmでこの反応媒体に導入する(TPOAC/Al
2O
3モル比=0.04)。結晶化を始める前に、熟成ステップを35℃で10分間、300rpmで行う。
【0125】
d)結晶化
撹拌速度を190rpmに落とし、反応器のジャケットの公称温度を105℃に設定して、反応媒体の温度を40分で97℃に上げる。97℃の定常段階で3時間後、ジャケットに冷水を循環させてこの反応媒体を冷却し、結晶化を止める。
【0126】
e)濾過/洗浄
この固体をシンター上で回収し、この後脱イオン水でpHが中性になるまで洗浄する。
【0127】
f)乾燥
乾燥は90℃の炉で8時間行い、強熱減量が20%の固体を得る。
【0128】
g)カルシウム交換
このゼオライトHPAの多孔性を特徴づけるため、カルシウム交換を行い、約0.5nmのミクロ孔径を得る:乾燥粉体50gを0.5MCaCl
2溶液500cm
3、70℃で2時間接触させ、この後濾過し、水280mLで洗浄する。この操作を3回繰り返す(3倍交換)。
【0129】
h)乾燥
乾燥は90℃の炉で8時間行い、強熱減量が20%の固体を得る。
【0130】
i)か焼
ミクロ多孔性(水)および構造化剤の除去によるメソ多孔性の両方を開放するのに必要な乾燥物のか焼は、真空下(P<6.7×10
−4Pa)、400℃まで9時間から16時間の間の時間をかけて増分50℃で漸増しながら真空脱気することによって行う。
【0131】
この階層的で多孔性のゼオライトCaHPAの特徴づけの結果は以下である:
・Dubinin−Raduskevitchのミクロ孔V=0.265cm
3.g
−1
・mesop.outer S=102m
2.g
−1
・メソ孔径DFT=5nmから10nm
・XRディフラクトグラム:純粋ゼオライトLTA構造
・結晶サイズ:0.8μm
・蛍光X線で測定されたHPAのSi/Alモル比は1.02である。
【0132】
本発明の方法は、経済的に実行可能であり、工業的に行いやすく、従来技術に記載の合成と比較して極めて大きな時間の節約を伴う。加えて、本発明の合成方法は、例えば、この合成ゲルで不足する元素である、アルミニウムの関与した量に対して最適収量99%の、全く申し分のない収量を達成することを可能にする。