(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183634
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20170814BHJP
G02F 1/1333 20060101ALN20170814BHJP
G02F 1/1343 20060101ALN20170814BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
!G02F1/1333
!G02F1/1343
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-267885(P2012-267885)
(22)【出願日】2012年12月7日
(65)【公開番号】特開2013-178479(P2013-178479A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2015年10月16日
(31)【優先権主張番号】特願2012-16435(P2012-16435)
(32)【優先日】2012年1月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泰史
【審査官】
小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】
実開平03−018513(JP,U)
【文献】
特開2008−116618(JP,A)
【文献】
実開昭61−121795(JP,U)
【文献】
実開平01−120189(JP,U)
【文献】
実開昭59−158178(JP,U)
【文献】
特開2010−210515(JP,A)
【文献】
特開2007−322343(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0045888(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00−46
G02F 1/13−1/1335
1/13363−1/141
H01L 27/32
51/50
H05B 33/00−33/28
B60K 31/00−37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルの前面に配置される表示板と、前記表示パネルが保持されるホルダとを備え、前記ホルダに前記表示パネルの周縁部が載置される載置部を設け、前記ホルダが収納されるケース体を備え、前記ケース体は、ヒンジ部を介して回動可能に連結形成された係合片を備えた表示装置において、
前記係合片は、前記載置部に係合される第1の係合部と、
前記表示パネルの周縁に係合される第2の係合部と、
前記第1,第2の係合部と前記ヒンジ部とを連結する連結部とから構成され、
前記ヒンジ部は、前記連結部の下端側が前記載置部よりも下側に連結するように設けられることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記係合片は、正常に組み付けされたかを確認する為の確認用突起を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記確認用突起は、前記表示パネルと前記係合片とが組み付けされた際にその平面部が前記表示パネルと前記表示板との間に位置するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記載置部は、前記表示パネル側に突出し、前記第1の係合部が係合する係止部を有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1の係合部は、前記確認用突起よりも前記係止部に近い位置に係止面を有していることを特徴とする請求項2に従属する請求項4に記載、又は、請求項3に従属する請求項4に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車やオートバイの計器装置に搭載される表示装置に関し、特に表示パネルをホルダに取り付ける際の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の表示装置として例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。この表示装置は、液晶パネルからなる表示パネルと、この表示パネルを保持するホルダとを備えている。ホルダは合成樹脂によって枠形に形成され、表示パネルの周縁部を載置する載置部と、肉薄のヒンジ部を介して回動自在に連結形成され、載置部との間で表示パネルを挟持する係合部とを有し、載置部によって表示パネルを平面方向に位置決め保持すると共に、載置部と係合部との間で表示パネルをその厚み方向に位置決め保持する構成である。係合部は、表示パネルの外周全周を抑えることができるよう枠状に形成され、その自由端がホルダの側壁に設けた係止部に係合することで、表示パネルの挟持状態を維持する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−048599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載の表示装置は、抑え部が前述のように表示パネルの全周を抑えることが可能な枠状に形成され、その自由端にホルダの側壁に係合する係止部が形成される構造であるため、工数が増えてしまい、組付け性が悪化するという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は前述した問題点に着目し、押圧のみで係合が完了することで組付け性が向上する表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表示パネルの前面に配置される表示板と、前記表示パネルが保持されるホルダとを備え、前記ホルダに前記表示パネルの周縁部が載置される載置部を設け、前記ホルダが収納されるケース体を備え、前記ケース体は
、ヒンジ部を介して回動可能に連結形成された係合片を備えた表示装置において、
前記係合片は、前記載置部に係合される第1の係合部と、
前記表示パネルの周縁に係合される第2の係合部と、
前記
第1,第2の係合部と前記ヒンジ部とを連結する連結部とから構成され、
前記ヒンジ部は、前記連結部の下端側の前記ケース体の裏面に近い位置に設けられるものである。
このよう
に表示パネルに係合される
第2の係合部
と載置部に係合される
第1の係合部とが一体に成形された係合片を有することにより、周縁部にかかる押圧のみで表示パネルを係合することができ、組み付け性を向上させることができる。
【0007】
また本発明は、前記係合片は、正常に組み付けされたかを確認する為の確認用突起を備え、前記確認用突起は、前記表示パネルと前記係合片とが組み付けされた際にその平面部が前記表示パネルと前記表示板との間に位置するように構成されているものである。
このように構成することによって、正常に組み付けされない場合は
、確認用突起が表示板よりも上方に位置することになるので、表示板が浮き上がってしまい、正常に組み付けされていないことを確認することができる。
【0008】
また本発明は、前記載置部は、前記表示パネル側に突出し、前記第1の係合部が係合する係止部を有しているものである。
このように構成することによって、周縁部にかかる押圧のみで表示パネルを係合することができ、組み付け性を向上させることができる。
【0009】
また本発明は、前記第1の係合部は、前記確認用突起よりも前記係止部に近い位置
に係止面を有しているものである。
このように構成することによって、周縁部にかかる押圧のみで表示パネルを係合することができ、組み付け性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、押圧のみで係合が完了するので、組付け性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態による表示装置において表示パネルを固定する前の状態を示す正面図。
【
図2】同実施形態による表示装置において表示パネルを固定する前の状態を示す斜視図。
【
図4】同実施形態による表示装置におけるヒンジ部の詳細拡大図。
【
図5】同実施形態による表示装置において表示パネルを固定した後の状態を示す正面図。
【
図6】同実施形態による表示装置において表示パネルを固定した後の状態を示す斜視図。
【
図8】同実施形態による表示装置における表示パネルの固定が不成立の状態を示す断面図。
【
図9】本発明の第2の実施形態による表示装置において表示パネルを固定する前の状態を示す正面図。
【
図10】同実施形態による表示装置において表示パネルを固定した後の状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜
図4に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1において表示装置は、例えば車両の計器装置に組み込まれるもので、回路基板1と、表示パネル2と、コネクタ3と、ホルダ4とを有している。なおホルダ4および表示パネル2の前方には、計器装置の一部を構成する表示板7(
図8参照)や見返し板が配置されるが省略してある。
【0013】
回路基板1は、例えばガラスエポキシ系もしくは紙フェノール系の基材を母材とした硬質回路基板からなり、図示しない回路パターンや回路部品が搭載されている。
【0014】
なおこの回路基板1は、表示パネル2だけでなく、各種メータ等、計器装置に組み込まれる他の電装品を駆動制御する共通基板として機能する。
【0015】
表示パネル2は、例えば一対のガラス基板21,22間に液晶分子を封入してなる液晶パネルからなり、例えば車両の走行距離や外気温等の車両情報を表示する。この表示パネル2は、第1〜第4の周縁部S1〜S4によって全体が矩形に形成されている。これら周縁部S1〜S4のうち、第2の周縁部S2には、複数のリード端子23がガラス
基板22の厚み方向に延び、コネクタ3を通じて回路基板1と電気接続されている。なお表示パネル2は、液晶パネル以外の表示素子、例えば有機ELパネルを用いてもよい。
【0016】
コネクタ3は、回路基板1の表面に実装され、例えば合成樹脂からなるハウジングの内部に回路基板1に接続された接続端子を有し、表示パネル2のリード端子23を前記ハウジング内に差し込むことで、リード端子23が前記接続端子と接続され、これにより当該接続端子を通じて表示パネル2が回路基板1と接続される。
【0017】
ホルダ4は、例えば乳白色の合成樹脂にて前記計器装置のケース体5と一体に形成されている。このホルダ4は、表示パネル2を回路基板1上に保持するもので、表示パネル2の周縁部S1〜S
4を囲む周壁を形成する側壁部41と、表示パネル2の周縁部S1〜S4の底面を載置する載置部42を備えている。
【0018】
ケース体5は、ホルダ4が収納される空間を有し、ケース体5とホルダ4との間にホルダ4に向かって突出した係合片51が一体形成されている。
【0019】
係合片51は、第1の周縁部S1と第3の周縁部S3との間の角部と、第1の周縁部S1と第4の周縁部S4との間の角部に位置している。
【0020】
また、係合片51は、ヒンジ部511と、第1の係合部513と、第2の係合部515と、連結部517とから構成されている。係合片51は、ヒンジ部511から第1、第2の係合部513,515までを連結する連結部517が設けられ、連結部517から分岐するように第1、第2の係合部513,515が設けられている。
【0021】
ヒンジ部511は、
図3、4に示すように、連結部517の下端側がケース体5の回路基板1から近い位置に連結するように設けられている。このように形成することによって、係合片51の回動角度が小さくなるので、ケース体5からホルダ4までの空間を狭めることが可能となる。
【0022】
ヒンジ部511は、肉薄に成形することで係合片51を折り曲げ可能とするもので、表示パネル2を載置部42に載置し押圧する際、
図5〜
図7に示すように係合片51が内側へ回動し、載置部42を第1の係合部513で係合し、表示パネル2を第2の係合部515で係合することで、表示パネル2を狭持する。
【0023】
第1の係合部513は、第1の係止面513aと、段部513bと、載置面513cとを有し、ホルダ4の端部が段部513bに配置されると共に、第1の係止面513aが前記端部の裏面側に係止される。また、表示パネル2の裏面が載置面513cによって支持される。
【0024】
第2の係合部515は、先端に第2の係止面515aを有し、表示パネル2の端部に第2の係止面515aが係合する。
【0025】
確認用突起55は、係合片51と一体成形され、第3、第4の周縁部S3、S4側に設けられている。また、確認用突起55は、表示パネル2と係合片51とが組み付けされた際にその平面部551が表示パネル2と表示板7との間に位置するように構成されている。
【0026】
次に本実施形態における表示パネル2の組付け例について説明する。
【0027】
まず、
図1〜
図3に示すように、リード端子23をコネクタ3に挿入しながら、表示パネル2をホルダ4の載置部42に配置する。その際、第1の周縁部S1の端部は、第1の係合部513に仮置きされた状態となる。
【0028】
次に、第1の係合部513に仮置きされた表示パネル2の第3、第4の周縁部S3、S4を、例えば手指等によって押圧すると、係合片51はヒンジ部511を起点にして表示パネル2側に折り曲げられる。このヒンジ部511を起点にした回転により、第1の係止面513aはホルダ4の端部の裏面側に位置する係合箇所に移動し、ホルダ4の端部は、段部513bに配置され、表示パネル2の裏面が載置面513cによって保持されることにより、載置部42は係合される。
【0029】
また、第2の係合部515は、第1の係合部513と同時に表示パネル2の周縁に位置する係合箇所に移動し、表示パネル2の端部が第2の係止面515aによって係止されることによって、表示パネル2は係合される。これにより、載置部42と係合片51との間で表示パネル2が挟持される(
図4〜
図7参照)。
【0030】
また、リード端子23は、表示パネル2が押圧されると同時にコネクタ3内部を進入し、接続が完了する。以上により表示パネル2の組付けが完了する。
【0031】
以上のように本実施形態では、表示パネル2の前面に配置される表示板7と、表示パネル2が保持されるホルダ4を備え、ホルダ4に表示パネル2の周縁部
S1〜S4が載置される載置部42を設け、ホルダ4が収納されるケース体5を備え、ケース体5は、ヒンジ部511を介して回動可能に連結形成された係合片51と、を備えた表示装置において、
係合片51は、載置部42に係合される第1の係合部513と、表示パネル2の周縁に係合される第2の係合部515と、
第1の係合部513及び第2の係合部515とヒンジ部511とを連結する連結部517とから構成され、
表示パネル2は、周縁部(第3、第4の周縁部S3、S4)への押圧のみで係合片51に係合させることができるので、組付け性を向上させることができる。
【0032】
また本実施形態では、係合片51は、正常に組み付けされたかを確認する為の確認用突起55を備え、確認用突起55は、表示パネル2と係合片51とが組み付けされた際にその平面部551が表示パネル2と表示板7との間に位置するように構成されていることにより、
図8に示すように、組み付けが完了しない状態で表示板7を配置してしまうと、確認用突起55が表示板7を浮き上がらせるので、組み付けが完了していないことを確認することができる。
【0033】
なお、本実施形態では、第3、第4の周縁部S3、S4を手指等によって押圧する組み付け方法を説明したが、
リード端子23の電気接続と、表示パネル2の係合が達成できるのであれば、押圧方法はこれに限らず、例えば表示パネル2の前面を平押する方法でもよいし、確認用突起55を押してもよい。
【0034】
図9〜
図12に基づいて、第2の実施形態の特徴部分のみ説明する。第1の実施形態と同一箇所には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0035】
第2の実施形態における載置部42は、表示パネル2側に略垂直に突出した係止部421が一体成形されている。また、係止部421は、第1の係合部513の段部513bに係止する係止面421aを有している。
【0036】
第1の係合部513は、確認用突起55よりも係止部421に近い位置に
第1の係止面513aを有している。
【0037】
次に、第2の実施形態における表示パネル2の組付け例について説明する。
【0038】
まず、
図9〜図11に示すように、リード端子23をコネクタ3に挿入しながら、表示パネル2をホルダ4の載置部42に配置する。その際、第1の周縁部S1の端部は、第1の係合部513に仮置きされた状態となる。
【0039】
次に、第1の係合部513に仮置きされた表示パネル2の第3、第4の周縁部S3、S4を、例えば手指等によって押圧すると、係合片51はヒンジ部511を起点にして表示パネル2側に折り曲げられる。このヒンジ部511を起点にした回転により、第1の係止面513a
は係止部421の係止面421aに移動し、係止面421aは、段部513bと当たり、表示パネル2の裏面が載置面513cによって保持されることにより
、係止部421と第1の係合部513は係合される。
【0040】
また、第2の係合部515は、第1の係合部513と同時に表示パネル2の周縁に位置する係合箇所に移動し、表示パネル2の端部が第2の係止面515aによって係止されることによって、表示パネル2は係合される。これにより、載置部42と係合片51との間で表示パネル2が挟持される(
図12参照)。
【0041】
また、リード端子23は、表示パネル2が押圧されると同時にコネクタ3内部を進入し、接続が完了する。以上により表示パネル2の組付けが完了する。
【0042】
また、本実施形態でも、係合片51は、正常に組み付けされたかを確認する為の確認用突起55を備え、確認用突起55は、表示パネル2と係合片51とが組み付けされた際にその平面部551が表示パネル2と表示板7との間に位置するように構成されている
【0043】
また、第3、第4の周縁部S3、S4を手指等によって押圧する組み付け方法を説明したが、
リード端子23の電気接続と、表示パネル2の係合が達成できるのであれば、押圧方法はこれに限らず、例えば表示パネル2の前面を平押する方法でもよいし、確認用突起55を押してもよい。
【0044】
このように構成することによって、押圧のみで係合が完了するという第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 回路基板
2 表示パネル
3 コネクタ
4 ホルダ
5 ケース体
7 表示板
21,22 ガラス基板
S1〜S4 第1〜第4の周縁部
23 リード端子
41 側壁部
42 載置部
51 係合片
55 確認用突起
551 平面部
421 係止部
421a 係止面
511 ヒンジ部
513 第1の係合部
513a 第1の係止面
(係止面)
513b 段部
513c 載置面
515 第2の係合部
515a 第2の係止面
517 連結部