【実施例】
【0057】
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例における純水は、特に記載のないものについては導電率が0.80μS/cm(測定温度:20℃)の純水を用いた。
【0058】
(TEM観察用試料作製とSTEM観察用試料作製)
実施例で得られたM2ドープ酸化物粒子のウェットケーキサンプルの一部をプロピレングリコールに分散させ、更にイソプロピルアルコール(IPA)で100倍に希釈した。得られた希釈液をコロジオン膜又はマイクログリッドに滴下して乾燥させて、TEM観察用試料又はSTEM観察用試料とした。
【0059】
(透過型電子顕微鏡及びエネルギー分散型X線分析装置:TEM−EDS分析)
TEM−EDS分析によるM2ドープ酸化物粒子の観察及び定量分析には、エネルギー分散型X線分析装置、JED−2300(日本電子株式会社製)を備えた透過型電子顕微鏡、JEM2100(日本電子株式会社製)を用いた。観察条件としては、加速電圧を80kV、観察倍率を2万5千倍以上とした。TEMによって観察されたM2ドープ酸化物粒子の最大外周間の距離より粒子径を算出し、100個の粒子について粒子径を測定した結果の平均値(平均一次粒子径)を算出した。TEM−EDSによって、ケイ素化合物被覆金属元素ドープ金属酸化物を構成する元素成分のモル比を算出し、10個以上の粒子についてモル比を算出した結果の平均値を算出した。
【0060】
(走査透過型電子顕微鏡及びエネルギー分散型X線分析装置:STEM−EDS分析)
STEM−EDS分析による、M2ドープ酸化物粒子中に含まれる元素のマッピング及び定量には、エネルギー分散型X線分析装置、Centurio(日本電子株式会社製)を備えた、原子分解能分析電子顕微鏡、JEM−ARM200F(日本電子株式会社製)を用いた。観察条件としては、加速電圧を80kV、観察倍率を5万倍以上とし、直径0.2nmのビーム径を用いて分析した。
【0061】
(X線回折測定)
X線回折(XRD)測定には、粉末X線回折測定装置 EMPYREAN(スペクトリス株式会社PANalytical事業部製)を使用した。測定条件は、測定範囲:10から100[°2Theta] Cu対陰極、管電圧45kV、管電流40mA、走査速度0.3°/minとした。各実施例で得られたM2ドープ酸化物粒子の乾燥粉体を用いてXRD測定を行った。
【0062】
(吸収スペクトル、反射スペクトル測定を用いた色相及び彩度)
吸収スペクトル、L
*値、a
*値、b
*値、色相、及び彩度は、紫外可視近赤外分光光度計(製品名:V−770、日本分光株式会社製)を使用して測定した。吸収スペクトルの測定範囲は200nmから800nmとし、サンプリングレートを0.2nm、測定速度を低速として測定した。モル吸光係数は、吸収スペクトルを測定後、測定結果から得られた吸光度と分散液中のM2ドープ酸化物粒子の濃度より、各測定波長におけるモル吸光係数を算出し、横軸に測定波長、縦軸にモル吸光係数を記載したグラフとした。測定には、厚み1cmの液体用セルを用いた。また、波長200nmから380nmの複数の測定波長におけるモル吸光係数を単純平均し、平均モル吸光係数を算出した。
【0063】
反射スペクトルは、測定範囲を200nmから2500nmとし、サンプリングレートを2.0nm、測定速度を中速、測定方式はダブルビーム測光方式として測定し、正反射と拡散反射とを測定する全反射測定を行った。また粉末を測定する際のバックグラウンド測定(ベースライン設定)には、標準白板(製品名:Spectralon(商標)、Labsphere製)を使用した。各実施例で得られたM2ドープ酸化物粒子の乾燥粉体を用いて反射スペクトルを測定した。色相及び彩度は反射スペクトル測定結果より、表色系をL
*a
*b
*表色系、視野を2(deg)、光源をD65−2、等色関数をJIS Z 8701:1999、データ間隔を5nmとして測定し、取得されたL
*、a
*、b
*それぞれの値より、色相H=b
*/a
*、彩度C=√((a
*)
2+(b*)
2)の式を用いて算出した。
【0064】
(実施例1)
実施例1のM2ドープ酸化物粒子として、酸化亜鉛にM2としてコバルト、マンガン、鉄、マグネシウム又はコバルト及びアルミニウムをドープしたM1が亜鉛であるM2ドープ酸化亜鉛粒子について記載する(Co−ZnO、Mn−ZnO、Fe−ZnO、Mg−ZnO、(Co+Al)−ZnO)。高速回転式分散乳化装置であるクレアミックス(製品名:CLM2.2S、エム・テクニック株式会社製)を用いて、酸化物原料液(A液)、酸化物析出溶媒(B液)、及び粒子の表面の少なくとも一部をケイ素化合物で被覆する場合にあってはケイ素化合物原料液(C液)を調製した。具体的には表1の実施例1に示す酸化物原料液の処方に基づいて、酸化物原料液の各成分を、クレアミックスを用いて、調製温度40℃、ローター回転数を20000rpmにて30分間攪拌することにより均質に混合し、酸化物原料液を調製した。また、表1の実施例1に示す酸化物析出溶媒の処方に基づいて、酸化物析出溶媒の各成分を、クレアミックスを用いて、調製温度45℃、ローターの回転数15000rpmにて30分間攪拌することにより均質に混合し、酸化物析出溶媒を調製した。表1の実施例1に示すケイ素化合物原料液の処方に基づいて、ケイ素化合物原料液の各成分を、クレアミックスを用いて、調製温度20℃、ローターの回転数6000rpmにて10分間攪拌することにより均質に混合し、ケイ素化合物原料液を調製した。なお、表1に記載の化学式や略記号で示された物質については、Zn(NO
3)
2・6H
2Oは硝酸亜鉛六水和物(関東化学株式会社製)、Co(NO
3)
2・6H
2Oは硝酸コバルト六水和物(関東化学株式会社製)、Mn(NO
3)
2・6H
2Oは硝酸マンガン六水和物(関東化学株式会社製)、Al(NO
3)
3・9H
2Oは硝酸アルミニウム九水和物(関東化学株式会社製)、Fe(NO
3)
3・9H
2Oは硝酸鉄九水和物(関東化学株式会社製)、Mg(NO
3)
2・6H
2Oについては硝酸マグネシウム六水和物(関東化学株式会社製)、TEOSについてはテトラエチルオルトシリケート(和光純薬工業株式会社製)、EGはエチレングリコール(キシダ化学株式会社製)、MeOHはメタノール(株式会社ゴードー製)、NaOHは水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製)を使用した。
【0065】
表2に、流体処理装置の運転条件、並びに得られたM2ドープ酸化亜鉛粒子のTEM観察結果より算出した平均一次粒子径及びTEM−EDS分析より算出したモル比(M2/M1)をA液、B液及びC液の処方及び導入流量より計算した計算値とともに示す。ここで、表2に示したモル比(M2/M1)の内、M2ドープ酸化物粒子[計算値]については、A液中に含まれるM1とM2とのモル濃度より算出した結果である。[EDS]においては、上述通りTEM−EDSによって、粒子を構成する元素成分のモル比(M2/M1)を算出した結果の平均値である。表2に示したA液、B液及びC液の導入温度(送液温度)と導入圧力(送液圧力)は、処理用面1、2間に通じる密封された導入路(第1導入部d1、第2導入部d2及び第3導入部d3)内に設けられた温度計と圧力計とを用いて測定したものであり、表2に示したA液の導入温度は、第1導入部d1内の導入圧力下における実際のA液の温度であり、同じくB液の導入温度は、第2導入部d2内の導入圧力下における実際のB液の温度であり、C液の導入温度は、第3導入部d3内の導入圧力下における実際のC液の温度である。
【0066】
pH測定には、株式会社堀場製作所製の型番D−51のpHメーターを用いた。A液及びB液を流体処理装置に導入する前に、そのpHを室温にて測定した。また、酸化物原料液と酸化物析出溶媒との混合直後の混合流体のpH、並びに上記酸化物原料液と酸化物析出溶媒との混合後の液と、ケイ素化合物原料液との混合直後の液のpHを測定することは困難なため、同装置から吐出させ、ビーカーbに回収したM2ドープ酸化物粒子分散液のpHを室温にて測定した。
【0067】
流体処理装置から吐出させ、ビーカーbに回収したM2ドープ酸化物粒子分散液から、乾燥粉体とウェットケーキサンプルを作製した。作製方法は、この種の処理の常法に従い行ったもので、吐出されたM2ドープ酸化物粒子分散液を回収し、M2ドープ酸化物粒子を沈降させて上澄み液を除去し、その後、純水100重量部での洗浄と沈降とを繰り返し3回行い、その後に純水での洗浄と沈降とを繰り返し3回行うことでM2ドープ酸化物粒子を洗浄し、最終的に得られたM2ドープ酸化物粒子のウェットケーキの一部を−0.10MPaGにて25℃、20時間乾燥させて乾燥粉体とした。残りをウェットケーキサンプルとした。また実施例1−1、実施例1−9及び実施例1−10で得られたM2ドープ酸化亜鉛粒子粉末を、電気炉を用いて熱処理することによって、色特性変化させた。実施例1−1の粉末を200℃(実施例1−18)、300℃(実施例1−19)、実施例1−9の粉末を300℃(実施例1−16)、実施例1−10の粉末を300℃(実施例1−17)で熱処理した。熱処理時間は全て30分間である。
【0068】
また表1、2に示したように、比較例1においては、M2をドープしていない酸化亜鉛粒子を作製した。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
図1に、実施例1−11で得られたコバルトアルミニウムドープ酸化亜鉛粒子のSTEMマッピング結果を示す。(a)は暗視野像(HAADF)であり、(b)は酸素(O)、(c)は亜鉛(Zn)、(d)はアルミニウム(Al)、(e)はコバルト(Co)のマッピング結果である。HAADF像及びマッピング結果に見られるように、全ての元素が粒子全体にわたって検出されていることがわかる。亜鉛、アルミニウム及びコバルトは略同一の粒子径の範囲においてランダムに検出されており、亜鉛とアルミニウムとコバルトとの固溶体酸化物を形成しているものと考えられる。
図2は、
図1のHAADF像において、破線を施した位置での線分析の結果であり、粒子の端から端までの線部分において検出された元素の原子%(モル%)を示した結果である。
図2に見られるように、全ての元素について、線分析における分析範囲の両端まで検出された。コバルトにおいては、粒子全体に含まれる原子%が他の元素に比べて低いため、検出されていない部分(原子%=0)も見られるが、粒子全体にわたってCoについても検出されていると考えられる。また、実施例1−1から実施例1−15の全ての実施例において、実施例1−11と同様のSTEMマッピング及び線分析結果が得られた。さらに実施例1−15においては、ケイ素化合物によって、粒子の表面を被覆しているため、亜鉛とコバルトの固溶体酸化物の一層外側にも、ケイ素及び酸素が検出され、コバルトドープ酸化亜鉛粒子表面をケイ素化合物で被覆されている粒子であることがわかった。なお、比較例1の酸化亜鉛粒子については、M2をドープしていないため、STEMのマッピング及び線分析において、M2が検出されないこと以外は実施例1−1から実施例1−15と同様の粒子が観察された。
【0072】
図3に実施例1−11で得られたコバルトアルミニウムドープ酸化亜鉛粒子のXRD測定結果及び比較例1で得られた酸化亜鉛粒子のXRD測定結果を示す。
図3に見られるように、実施例1−11で得られたコバルトアルミニウムドープ酸化亜鉛粒子及び比較例1で得られた酸化亜鉛粒子のXRD測定結果より、いずれも酸化亜鉛(ZnO)に同定できるピークが検出されているが、実施例1−11では比較例1に比べてブロードなピークとして検出されており、粒子の内部にコバルトとアルミニウムとが取り込まれたために、酸化亜鉛の結晶に歪が生じた可能性が考えられる。さらに、実施例1−1から実施例1−15で得られた粒子についても実施例1−11と同様のXRD測定結果が得られた。
【0073】
図4に、実施例1−1から実施例1−5で得られたコバルトドープ酸化亜鉛粒子、及び比較例1で得られた酸化亜鉛粒子をプロピレングリコールに分散させた分散液の吸収スペクトルと測定に用いた分散液中のコバルトドープ酸化亜鉛粒子(ZnO+CoO(M2)として換算)又は酸化亜鉛粒子(ZnOとして換算)のモル濃度より算出したモル吸光係数を測定波長に対するグラフとした図を示す。
図4に見られるように、コバルトドープ酸化亜鉛粒子の波長200nmから380nmの範囲におけるモル吸光係数が、比較例1の酸化亜鉛粒子の同モル吸光係数に比べて向上していることがわかる。また、表3に、実施例1−1から実施例1−15で得られたM2ドープ酸化亜鉛粒子のM2/M1(モル比)と波長200nmから380nmにおける平均モル吸光係数を比較例1で得られた酸化亜鉛粒子の波長200nmから380nmにおける平均モル吸光係数とともに示す。平均一次粒子径が同等であるため、比表面積が同等としての評価と考えることができる。さらに表3には、比較例1の波長200nmから380nmの範囲における平均モル吸光係数に対する、各実施例で得られたM2ドープ酸化亜鉛粒子の同波長領域における平均モル吸光係数の上昇率(平均モル吸光係数上昇率)を記載した。なお、上記M2におけるCo以外の元素におけるモル吸光係数換算時の分散液中の濃度について、SiはSiO
2、FeはFe
2O
3、MnはMnO
2、MgはMgO、AlはAl
2O
3としてモル吸光係数に換算した。
【0074】
また、表3には、実施例1−1から実施例1−19で得られたM2ドープ酸化亜鉛粒子、及び比較例1で得られた酸化亜鉛粒子のL
*,a
*、b
*測定値及びその結果より算出した色相H及び彩度Cを示した。
【0075】
【表3】
【0076】
表3に見られるように、波長200nmから380nmの範囲における平均モル吸光係数が、M2をドープしていない酸化亜鉛粒子に比して向上されていることがわかる。また、M2をドープしていない酸化亜鉛粒子を分散媒に分散させた分散液の波長200nmから380nmの範囲における平均モル吸光係数に対して、上記M2ドープ酸化亜鉛粒子の上記波長の範囲における平均モル吸光係数の上昇率が向上していることがわかる。また、ケイ素化合物で粒子の表面の少なくとも一部を被覆した場合(実施例1−15)においては、ケイ素化合物で粒子の表面を被覆していない同酸化物粒子(実施例1−3)に比べて、波長200nmから380nmの範囲における平均モル吸光係数が向上していることがわかった。いずれの場合においても塗布用、透明材用組成物に用いた場合には、塗布物や透明材に含まれる紫外線によって劣化する物質に対する防御や、塗布物や透明材を通過した紫外線が対象物を劣化又は分解するなどから効率的に防御できる利点がある。上記対象物とは、例えば塗布物にあっては、人体における皮膚や、塗装体の下地等、また透明材としてガラスを有する室内の機器類や装飾品等である。
【0077】
図5に、表3に示したL
*、a
*、b
*よりL
*a
*b
*表色系色度図にプロットした図を示す。
図5に見られるように、M2の種及び濃度を変更することで、L
*,a
*,b
*表色系における、40≦L
*≦95、−35≦a
*≦35、又は−35≦b
*≦35の範囲、好ましくは40≦L
*≦95、−30≦a
*≦30、又は−30≦b
*≦30の範囲において厳密に色特性を制御できることがわかった。官能基の変更処理又は酸化数の変更処理として行った熱処理によっても、上記範囲内において厳密な色特性の制御ができることがわかった。
【0078】
以上より、酸化亜鉛粒子にM2をドープすることによって、紫外線遮蔽能が向上され、なお且つモル比(M2/M1)を制御することによって、色特性が制御された各種の組成物を提供できることがわかった。
【0079】
(実施例2)
実施例2のM2ドープ酸化物粒子として、M1に鉄を用いたM2ドープ酸化鉄粒子を作製した。表4及び表5に示した以外は実施例1と同様の方法で作製した。また実施例2−3で得られたM2ドープ酸化鉄粒子粉末を電気炉を用いて熱処理することによって、色特性を変化させた。実施例2−3の粉末を150℃(実施例2−9)、200℃(実施例2−10)、300℃(実施例2−11)で熱処理した。熱処理時間は全て30分間である。また比較例1と同様に、M2をドープしていない同粒子径の酸化鉄粒子を作製した(比較例2)。実施例1と同じ方法で行った分析結果を表6に示す。なお、STEM及びXRD測定結果は、実施例1と同様の結果が得られた。また、表4に記載の化学式や略記号で示された物質については、Fe(NO
3)
3・9H
2Oは硝酸鉄九水和物(関東化学株式会社製)、Al(NO
3)
3・9H
2Oは硝酸アルミニウム九水和物(関東化学株式会社製)、Mg(NO
3)
2・6H
2Oについては硝酸マグネシウム六水和物(関東化学株式会社製)、Mn(NO
3)
2・6H
2Oは硝酸マンガン六水和物(関東化学株式会社製)、24wt%TiSO
4は、硫酸チタン(IV)溶液(関東化学株式会社製、>24.0%:Ti(SO
4)
2として)、Zn(NO
3)
2・6H
2Oは硝酸亜鉛六水和物(関東化学株式会社製)、TEOSについてはテトラエチルオルトシリケート(和光純薬工業株式会社製)、EGはエチレングリコール(キシダ化学株式会社製)、MeOHはメタノール(株式会社ゴードー製)、NaOHは水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製)を使用した。実施例2−1から実施例2−11で得られたM2ドープ酸化鉄粒子及び比較例2で得られた酸化鉄粒子のモル吸光係数換算時には、FeはFe
2O
3、CoはCoO、MnはMnO
2、TiはTiO
2、MgはMgO、AlはAl
2O
3として、吸収スペクトル測定結果をモル吸光係数に換算した。
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】
【0082】
【表6】
【0083】
表6に見られるように、波長200nmから380nmの範囲における平均モル吸光係数が、M2をドープしていない酸化鉄粒子に比して向上されていることがわかる。また、M2をドープしていない酸化鉄粒子を分散媒に分散させた分散液の波長200nmから380nmの範囲における平均モル吸光係数に対して、上記M2ドープ酸化鉄粒子の上記波長の範囲における平均モル吸光係数の上昇率が向上していることがわかる。また、ケイ素化合物で粒子の表面の少なくとも一部を被覆した場合(実施例2−11)においては、ケイ素化合物で粒子の表面を被覆していない同酸化物粒子(実施例2−1)に比べて、波長200nmから380nmの範囲における平均モル吸光係数が向上していることがわかった。実施例1と同様に、いずれの場合においても塗布用、透明材用組成物に用いた場合には、塗布物や透明材に含まれる紫外線によって劣化する物質に対する防御や、塗布物や透明材を通過した紫外線が対象物を劣化又は分解するなどから効率的に防御できる利点がある。
【0084】
図6に、表6に示したL
*、a
*、b
*よりL
*a
*b
*表色系色度図にプロットした図を示す。なお、実施例2−7で得られたM2ドープ酸化鉄粒子のL
*については、他のM2ドープ酸化鉄粒子とは大きく異なるため、プロットしていない。
図6に見られるように、M2の種及び濃度を変更することで、L
*,a
*,b
*表色系における、38≦L
*≦44、4≦a
*≦14、又は4≦b
*≦12の範囲において厳密に色特性を制御できることがわかった。官能基の変更処理又は酸化数の変更処理として行った熱処理によっても、上記範囲内において厳密な色特性の制御ができることがわかった。また、実施例2−1から実施例2−3に見られるように、M2/M1が同じ場合であっても、M2ドープ酸化物粒子を析出させる際のpHを変更することによって、L
*値,a
*値,b
*値、色相又は彩度を変更できることがわかった。
【0085】
以上より、実施例1と同様に、酸化鉄粒子にM2をドープすることによって、紫外線遮蔽能が向上され、なお且つモル比(M2/M1)を制御することによって、色特性が制御された各種の組成物を提供できることがわかった。
【0086】
(実施例3)
実施例3のM2ドープ酸化物粒子として、M1にチタンを用いたM2ドープ酸化チタン粒子を作製した。表7及び表8に示した以外は実施例1と同様の方法で作製した。また比較例1と同様に、M2をドープしていない同粒子径の酸化チタン粒子を作製した(比較例3)。実施例1と同じ方法で行った分析結果を表9に示す。なお、STEM及びXRD測定結果は、実施例1と同様の結果が得られた。なお、表7に記載の化学式や略記号で示された物質については、TiOSO
4・nH
2Oは硫酸チタニル(キシダ化学株式会社製)、TEOSについてはテトラエチルオルトシリケート(和光純薬工業株式会社製)、Fe(NO
3)
3・9H
2Oは硝酸鉄九水和物(関東化学株式会社製)、Co(NO
3)
2・6H
2Oは硝酸コバルト六水和物(関東化学株式会社製)、Mn(NO
3)
2・6H
2Oは硝酸マンガン六水和物(関東化学株式会社製)、97wt% H
2SO
4は濃硫酸(キシダ化学株式会社製)、EGはエチレングリコール(キシダ化学株式会社製)、MeOHはメタノール(株式会社ゴードー製)、NaOHは水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製)を使用した。実施例3−1から実施例3−17で得られたM2ドープ酸化チタン粒子及び比較例3で得られた酸化チタン粒子のモル吸光係数換算時には、TiはTiO
2、FeはFe
2O
3、CoはCoO、MnはMnO
2、SiはSiO
2として、吸収スペクトル測定結果をモル吸光係数に換算した。
【0087】
【表7】
【0088】
【表8】
【0089】
【表9】
【0090】
表9に見られるように、波長200nmから380nmの範囲における平均モル吸光係数が、M2をドープしていない酸化チタン粒子に比して向上されていることがわかる。また、M2をドープしていない酸化チタン粒子を分散媒に分散させた分散液の波長200nmから380nmの範囲における平均モル吸光係数に対して、上記M2ドープ酸化鉄粒子の上記波長の範囲における平均モル吸光係数の上昇率が向上していることがわかる。また、ケイ素化合物で粒子の表面の少なくとも一部を被覆した場合(実施例3−14)においては、ケイ素化合物で粒子の表面を被覆していない同酸化物粒子(実施例3−2)に比べて、波長200nmから380nmの範囲における平均モル吸光係数が向上していることがわかった。実施例1と同様に、いずれの場合においても塗布用、透明材用組成物に用いた場合には、塗布物や透明材に含まれる紫外線によって劣化する物質に対する防御や、塗布物や透明材を通過した紫外線が対象物を劣化又は分解するなどから効率的に防御できる利点がある。
【0091】
図7に、表9に示したL
*、a
*、b
*よりL
*a
*b
*表色系色度図にプロットした図を示す。
図7に見られるように、M2の種及び濃度を変更することで、L
*,a
*,b
*表色系における、40≦L
*≦95、−35≦a
*≦35、又は−35≦b
*≦35の範囲、好ましくは40≦L
*≦95、−30≦a
*≦30、又は−30≦b
*≦30の範囲において厳密に色特性を制御できることがわかった。
【0092】
以上より、実施例1と同様に、酸化チタン粒子にM2をドープすることによって、紫外線遮蔽能が向上され、なお且つモル比(M2/M1)を制御することによって、色特性が制御された各種の組成物を提供できることがわかった。
【0093】
(実施例4)
実施例4として、特開2009−112892号公報に記載の装置並びにA液(金属元素ドープ酸化鉄原料液)、B液(酸化物析出溶媒)及びC液(ケイ素化合物原料液)の混合・反応方法を用いた以外は、実施例1と同じ条件とすることでM2ドープ酸化亜鉛粒子を作製した。ここで、特開2009−112892号公報の装置とは、同公報の
図1に記載の装置を用い、撹拌槽の内径が80mm、攪拌具の外端と攪拌槽の内周側面と間隙が0.5mm、攪拌羽根の回転数は7200rpmとした。また、撹拌槽にA液を導入し、攪拌槽の内周側面に圧着されたA液からなる薄膜中にB液を加えて混合し反応させた。TEM観察の結果、一次粒子径が20nmから30nm程度のM2ドープ酸化亜鉛粒子が観察された。また比較例1と同様に、M2をドープしていない同粒子径の酸化亜鉛粒子を作製した(比較例4)。
【0094】
実施例4−1から実施例4−8で得られたM2ドープ酸化亜鉛粒子のSTEMを用いたマッピング及び線分析の結果及びXRD測定結果は、実施例1と同様の結果が得られた
(図示無)。
【0095】
表10に、実施例4−1から実施例4−8で得られたM2ドープ酸化亜鉛粒子について実施例1と同じ評価を行った結果を示す。実施例4−1から実施例4−8で得られたM2ドープ酸化亜鉛粒子及び比較例4で得られた酸化亜鉛粒子のモル吸光係数換算時には、ZnはZnOとして、FeはFe
2O
3、CoはCoO、MnはMnO
2、SiはSiO
2、MgはMgO、AlはAl
2O
3として、吸収スペクトル測定結果をモル吸光係数に換算した。
【0096】
【表10】
【0097】
表10に見られるように、実施例1とは異なり、特許文献6又は7に記載の装置とは異なる装置を用いてM2ドープ酸化亜鉛粒子を作製した場合に有っても、酸化亜鉛粒子に亜鉛とは異なる金属元素をドープすることによって、紫外線遮蔽能が向上され、なお且つモル比(M2/M1)を制御することによって、色特性が制御された各種の組成物を提供できることがわかった。