特許第6183680号(P6183680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特許6183680-インモールドラベル付き容器 図000002
  • 特許6183680-インモールドラベル付き容器 図000003
  • 特許6183680-インモールドラベル付き容器 図000004
  • 特許6183680-インモールドラベル付き容器 図000005
  • 特許6183680-インモールドラベル付き容器 図000006
  • 特許6183680-インモールドラベル付き容器 図000007
  • 特許6183680-インモールドラベル付き容器 図000008
  • 特許6183680-インモールドラベル付き容器 図000009
  • 特許6183680-インモールドラベル付き容器 図000010
  • 特許6183680-インモールドラベル付き容器 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183680
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】インモールドラベル付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 23/00 20060101AFI20170814BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20170814BHJP
   B29C 49/24 20060101ALI20170814BHJP
   G09F 3/04 20060101ALI20170814BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   B65D23/00 H
   B65D1/02 110
   B29C49/24
   G09F3/04 Z
   G09F3/02 M
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-261935(P2012-261935)
(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公開番号】特開2014-105031(P2014-105031A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(72)【発明者】
【氏名】清水 康行
(72)【発明者】
【氏名】宮 隆
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−048544(JP,U)
【文献】 米国特許第05172936(US,A)
【文献】 特開平08−076686(JP,A)
【文献】 特開平06−095593(JP,A)
【文献】 特開2011−095517(JP,A)
【文献】 特開平02−063807(JP,A)
【文献】 特開平11−236020(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0202668(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/00
B65D 1/02
B29C 49/24
G09F 3/02
G09F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インモールドラベルをインサート材としたインモールド成形により合成樹脂製の容器の表面にラベルを貼着したものであり、前記インモールドラベル(11)は貼着面側の所定領域に、フレキソ印刷による接着剤層(16)を介して積層した接着性フィルム(15c)で形成される接着性領域(Ra)と、インモールド成形による容器(1)の周壁への接着固定を不能に前記接着剤層(16)を介さずに積層した前記接着性フィルム(15c)で形成される非接着性領域(Rn)を配設したものとし、前記インモールドラベル(11)が、前記非接着性領域(Rn)を除く前記接着性領域(Ra)では前記周壁に接着固定した状態で、また前記非接着性領域(Rn)では容器(1)の周壁から離反した状態若しくは前記周壁に剥離可能に密着、積層した状態で前記容器(1)の表面に貼着されていることを特徴とするインモールドラベル付き容器。
【請求項2】
インモールドラベル(11)の端部に非接着性領域(Rn)を配設した請求項1記載のインモールドラベル付き容器。
【請求項3】
インモールドラベル(11)の非接着性領域(Rn)が、容器の周壁に強制的な剥離が可能に密着、積層する構成とした請求項1または2記載のインモールドラベル付き容器。
【請求項4】
インモールドラベル(11)の非接着性領域(Rn)を容器(1)の周壁から離反させた状態で、該非接着性領域(Rn)の少なくとも一部が、容器(1)を正面から見た、該容器(1)の外周縁から外側にはみ出して位置する構成とした請求項1、2または3記載のインモールドラベル付き容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラベルをインサート材として使用し、容器の成形と同時にラベルを貼着したインモールドラベル付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製ブロー成形容器の表面に、加飾とか商品名や説明文の表示を達成する手段として、装飾模様とか商品名、説明文を印刷表示したラベルを貼着する手段が多用されている。
そして、ラベルを貼着する方法の一つとして、インサート材として、所謂、インモールドラベルと称されるラベルを予め金型内にセットし、容器の成形と同時にこの容器の表面にラベルを貼着する、所謂、インモールド成形法がある。
【0003】
このインモールド成形法は、容器の成形と同時にラベルの貼着が達成され、別工程での貼着作業を必要としないこと、容器の表面とラベルとの間に段差が生じないので、この段差による成形品の外観体裁や触感の劣化の恐れが全くないこと、そして、たとえばブロー成形容器における薄肉化に関わり無く、容器本体に対するインモールドラベルの強固で安定した貼着を確実に得ることができること、と云う優れた作用効果を有する。
たとえば、特許文献1には、インモールドラベル及びインモールドラベル付きブロー成形品及びその製造方法に関する発明が記載されている。
【0004】
図10は、従来から一般的に使用されているインモールドラベルの代表的な層構成を示す断面図である。
このラベル111は、合成紙からなる不透明な基材フィルム112の表面側にフレキソ印刷により印刷層113を形成し、この印刷層113を静電気の帯電を防止するための静防剤を含有したニスコートによる保護層118で被覆しており、また貼着面側にはインモールド成形により合成樹脂成形品の表面に接着固定する接着層15としてヒートシール層115aを積層している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−136486
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、インモールドラベルを含むラベルは通常、容器の円筒状、楕円筒状、あるいは角形筒状の胴部の周壁に貼着されるのが一般的であるが、たとえばシャンプー等の内容液を充填した容器製品の販売の陳列時には、ラベルによるアイキャッチ効果が容器の胴部の正面部分と云うように限定された範囲でしか発揮されないと云う問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記のようなインモールドラベル付き容器において、ラベルによる表示あるいは装飾機能を容器の大きさや形状による制限を超えて広い範囲で発揮させることを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決する手段に係る本発明の主たる構成は、
インモールドラベルをインサート材としたインモールド成形より合成樹脂製の容器の表面にラベルを貼付したインモールドラベル付き容器において、
インモールドラベルは、貼着面側の所定領域に、フレキソ印刷による接着剤層を介して積層した接着性フィルムで形成される接着性領域と、インモールド成形による容器の周壁への接着固定を不能に接着剤層を介さずに積層した接着性フィルムで形成される非接着性領域を配設したものとし、
インモールドラベルが、非接着性領域を除く接着性領域では周壁に接着固定した状態で、また非接着性領域では容器の周壁から離反した状態若しくは周壁に剥離可能に密着、積層した状態で容器の表面に貼着されている、と云うものである。
【0009】
本発明の他の構成は上記主たる構成において、インモールドラベルの端部に非接着性領域を配設する、と云うものである。
【0010】
本発明のさらに他の構成は上記主たる構成において、インモールドラベルの非接着性領域が周壁に、強制的な剥離が可能に密着、積層する構成とする、と云うものである。
【0011】
本発明のさらに他の構成は上記主たる構成において、インモールドラベルの非接着性領域を容器の周壁から離反させた状態で、この非接着性領域の少なくとも一部が、容器を正面から見た、この容器の外周縁から外側にはみ出して位置する構成とする、と云うものである。
【0012】
上記構成のインモールドラベル(以下、ラベルと略記する場合がある。)付き容器によれば、たとえばラベルを容器の胴部の正面側に貼着する場合、ラベルの左右の端部を非接着性領域とすることで、左右の端部を胴部の周壁から離反させて、左右の方向に広げるようにすることにより、内容液を充填した容器製品を商品棚に陳列するような場合、左右に平坦状に広がったラベルにより商品に対するアイキャッチ効果を十分に発揮させることができる。
【0013】
ここで、インモールド成形の際には、高温で軟化あるいは溶融した樹脂でラベルを金型のキャビティ面に押付ける様にして容器を成形するため、金型内ではラベルはその全領域亘って、容器の周壁に密着状に積層した状態となる。
そして金型から取り出した後では、ラベルの剛性や以下に述べる非接着性領域の形成方法によって、非接着性領域がそのまま周壁に剥離可能に密着、積層した状態を保持させるように構成することも可能であるし、自然に周壁から剥離して離反状態となるよう構成することも可能である。
【0014】
非接着性領域がそのまま周壁に剥離可能に密着、積層した状態を保持させるように構成することにより、生産ラインや、箱詰め、運搬、通常の陳列ではこれまでのラベル付き容器と同様に取り扱うことができ、
上記したように容器製品を商品棚に陳列するような場合に、強制的に指先等で非接着性領域を剥離させてアイキャッチ効果を発揮させることができる。
【0015】
なお、上記構成において非接着性領域の形成方法はさまざまなバリエーションの中から、使用目的や生産性を顧慮して適宜選択できるものであるが、代表的な例としては次に示すような方法がある。
(1)ラベルの貼着面側の所定の領域に容器の周壁と接着しないインキまたはコート剤を塗布・乾燥することで非接着性領域を形成する等、ラベルの貼着面側の所定の領域に容器の周壁と接着しない非接着層を積層することにより非接着性領域を形成する。
(2)ラベルの貼着面側にヒートシール性樹脂を主成分としたヒートシール剤を塗布して接着層を積層する際、ヒートシール剤を塗布しない領域を設ける等、所定の領域に接着層を積層しないことにより非接着性領域を形成する。
(3)ラベルを、基材層と接着性フィルムを紫外線(UV)硬化型接着剤等の接着剤で貼り合わせ状に積層したものとし、この接着剤をフレキソ印刷で塗布する際に、所定の領域を接着剤層のない非塗布領域とすることで非接着性領域を形成する等、基材層と接着層の間で非接着性領域を形成する方法が、特に好適である
【0016】
インモールドラベルは基本的にはラベルの腰強さや耐熱性を担う基材層の貼着面側にインモールド成形により容器の周壁に接着固定する接着層を積層した層構成を有するが、上記した例のうち、(1)の例は接着層の貼着面側にマスキングして非接着性領域を形成する例であり、(2)の例は接着層自体を部分的に積層しないで非接着性領域を形成する例である。
また、(3)の例はラベルの基材層と接着層の間で非接着性領域を形成する例であり、この場合には、インモールド成形によりラベルの非接着性領域ではラベルの一部である接着層は容器の周壁に接着するものの、基材層は離反若しくは、接着層を介して剥離可能に密着、積層した状態となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のインモールドラベル付き容器は、上記した構成となっており、
ラベルに配設した非接着性領域を利用して、貼付したラベルを、容器の大きさや形状に拘わらず、広い範囲に平坦状に広げて見せることができ、商品に対するアイキャッチ効果を十分に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のラベル付き容器の第1参考例を示す(a)は正面図、(b)は(a)中のA−A線に沿った平断面図である。
図2図1のラベル付き容器に使用した容器の正面図である。
図3図1のラベル付き容器に使用したラベルを貼着面側から見た平面図である。
図4図3のラベルのB−B線に沿った断面図である。
図5図1のラベル付き容器を成形するためのインモールド成形工程の概略説明図である。
図6】本発明のラベル付き容器の第2参考例を示す(a)は正面図、(b)はラベル部分を縦断して示す側面図である。
図7図6のラベル付き容器に使用したラベルを貼着面側から見た平面図である。
図8図7のラベルのC−C線に沿った断面図である。
図9】ラベルの層構成の他の2つの例を示す(a)は別の参考例、(b)は本発明の実施例で使用するラベルの断面図である。
図10】ラベルの従来例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、実施例に沿って図面を参照しながら説明する。
図1図4はラベル付き容器の第1参考例を説明するためのものであり、図1(a)はラベル付き容器の正面図、図1(b)は(a)中のA−A線に沿った平断面図、図2は容器1の正面図、図3はラベル11を貼着面側から見た平面図、そして図4図3中のB−B線に沿ったラベル11の断面図である。
容器1は、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂製のダイレクトブロー成形品で、口筒部2、肩部3、楕円筒状の胴部4、底部5を有し、高さが150mm、容量が450mlの壜体状のものである。
【0020】
参考例のラベル11は図3に示されるように矩形状で、図4に示されるように、表面側から貼着面側(図4中では上側から下側)にかけて、
保護層18/印刷層13/基材層12/接着層15/マスキング層17、と云う層構成を有する。
さらに詳述すると、基材層12はポリプロピレン(PP)樹脂キャストフィルム(CPP)製で、この基材層12の表面側にフレキソ印刷により印刷層13を形成し、この印刷層13を静電気の帯電を防止するための帯電防止剤を含有したニスコートによる保護層18で被覆している。
【0021】
また、基材層12の貼着面側には接着層15として、低密度ポリエチレン(LDPE)を主成分としたヒートシール剤を塗布してヒートシール層15aを積層しており、
さらに左右端部の領域では、インモールド成形でのヒートシール層15aの容器1の周壁への接着機能をマスキングするように、エポキシ系のコート剤を塗布してマスキング層17を積層し、当該マスキング層17を積層した領域を非接着性領域Rn、マスキング層17の積層のない左右中央の領域を接着性領域Raとしている。
なお、図3の平面図ではラベル11の左右端部に位置する非接着性領域Rnを、判り易いようにクロスハッチングを施して示している。
【0022】
図5は、図1のラベル付き容器を成形するインモールド成形工程の概略説明図で、ダイス21から円筒状のHDPE樹脂製パリソン22を押し出し、その上下をブロー成形割金型23で挟んだ状態を示している。
この状態で、ブローエアを吹き込むとパリソン22は膨張し(図5中の矢印方向参照)キャビティの形状に沿って賦形され(図5中の2点鎖線の状態参照)、容器1が成形されるが、この成形と同時に、予め型面に減圧吸気路24により固定配設しておいたラベル11は金型内で胴部4の周壁4wに沿って貼着される。
【0023】
ここで、図3、4に示したラベル11の場合は、金型内で左右中央部の接着性領域Raでは接着層15を介して周壁4wに接着固定した状態となるが、左右端部の非接着性領域Rnではマスキング層17を介して周壁4wに剥離可能に密着状に積層している。
そして、金型から取出した場合にも、この非接着性領域Rnは、図1(b)の平断面図中、二点鎖線に示したように周壁4wに密着状に積層した状態にあるが、
成形収縮による残留歪みのため周壁4wとマスキング層17の界面には剪断応力が作用しており、指先等でラベル11の左右の端縁を強制的に剥離するようにすることにより、この端縁を起点として非接着性領域Rnの剥離を容易に進行させることができ、非接着性領域Rnが、図1(b)中の矢印で示されるように、周壁4wから離反し、ラベル11の面剛性も相俟って、ラベル11の左右端部を正面から見た胴部4の左右の外周縁を越えて平坦状に広げることができ、
ラベル11による商品に対するアイキャッチ効果を十分に発揮させることができる。
【0024】
次に、図6図8はラベル付き容器の第2参考例を説明するためのものであり、図6(a)はラベル付き容器の正面図、図6(b)はラベル11部分を縦断して示す側面図、図7はラベル11を貼着面側から見た平面図、そして図8図7中のC−C線に沿ったラベル11の断面図である。
【0025】
ここで、本参考例の容器1は、図2に示す第1参考例の容器1と同様に高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂製のダイレクトブロー成形品で、形状も略同様であるが、肩部3と胴部4の境界部分にある段差をなくした形状としている。
また、本参考例のラベル11は図7に示されるように縦長矩形状で、その基本的な層構成は第1参考例のラベル11と略同様で、図8に示されるように、表面側から貼着面側(図8中では左側から右側)にかけて、
保護層18/印刷層13/基材層12/接着層15/マスキング層17、と云う層構成を有する。
【0026】
また、各層の材質も第1参考例のラベル付き容器に使用したラベル11と略同一であるが、基材層12に押出しラミネート法によりLDPE樹脂製の押出しラミネート層15bを積層し、接着層15としている点、またこの押出しラミネート層15bの貼着面側にエンボス加工により、図7中の部分的な拡大図および図8に示されるように多数の凹部19を規則的に形成している点が特徴的である。
また、マスキング層17によりラベル11の上端部を非接着性領域Rnとしている。
【0027】
そして、このラベル付き容器は図6(a)に示されるように、容器1の正面において、胴部4の周壁4wの下端部から、肩部3の周壁3wの上端部に亘る広い範囲で、さらにラベル11の左右上端部では肩部3の外周縁から外側に突出させて、ラベル11によるアイキャッチ効果を発揮させようとしたものである。
さらに詳述すると、ラベル11の接着性領域Raは左右中央部で上方向に湾曲状に突出するように配設されており、この突出部分で肩部3の周壁3wにも接着固定し、図6(b)に示されるように、ラベル11の非接着性領域Rnが前方に倒れこまないようにし、起立状のラベル11の貼着姿勢が保持されるようにしている。
【0028】
ここで、肩部3の周壁3wは周方向と共に上下方向にも湾曲した形状で、所謂、3次元曲面状で、平面形状のラベル11を強引に貼着しようとすると、エア溜りや皺が発生し易く外観が毀損してしまうと云う問題があるが、
この点、本参考例のラベル付き容器に使用する図6図8に示されるラベル11では、前述したように接着性領域Raを左右中央部で上方向に湾曲状に突出するように配設した構成とし、肩部3の周壁3wと接着固定する領域を左右中央部に限定すると共に、接着層15となる押出しラミネート層15bの貼着面側にエンボス加工により、前述したように多数の凹部19を規則的に形成することによりラベル11を曲面に沿って変形し易くし、ラベル11と容器1の周壁の間のエアを逃がすような構成とし、インモールド成形時における皺やエア溜りの発生を抑制できるようにしている。
【0029】
次に、図9にラベルの層構成、特に非接着性領域Rnを形成するための層構成の他の2つの例を示す。
図4、8に示した参考例のラベル11の層構成はいずれも、基材層12の貼着面側の全領域に接着層15を積層し、この接着層15の一部にマスキング層17を積層して非接着性領域Rnを形成するものであるが、
図9(a)に示すさらに異なる参考例は、図4に示す層構成において、基材層12の貼着面側に接着層15としてLDPE樹脂を主成分としたヒートシール剤を塗布してヒートシール層15aを積層する際、左右端部をヒートシール剤を塗布しない領域として、非接着性領域Rnとするものである。
【0030】
一方、図9(b)に示す本発明の実施で使用するラベル11は、基材層12にLDPE樹脂製等の接着性フィルム15cを紫外線(UV)硬化型接着剤等の接着剤からなる接着剤層16で貼り合わせ状に積層して接着層15としたもので、接着剤をフレキソ印刷で基材層12の貼着面側に塗布する際に、所定の領域を非塗布領域とすること、すなわち基材層12に対して接着剤層16を介さずに接着性フィルム15c(接着層15)を積層することで非接着性領域Rnを形成するものである。そして、インモールド成形後において、ラベル11の非接着性領域Rnでは、ラベル11の一部である接着層15は、最終的に容器1の周壁に接着固定した状態で残るものの、基材層12は周壁から離反状態、あるいは剥離可能に密着、積層した状態となるので、上記参考例のラベルと同様に図1図6に記載したような貼着形態のインモールドラベル付き容器とすることができる
【0031】
以上、実施例に沿って本願発明の構成とその作用効果を説明したが、本願発明のインモールドラベル付き容器はこれら実施例に限定されるものではない。
たとえば、印刷層13の印刷性を良好にするため、基材層12表面にアンカーコート層を積層する、基材層12を透明性のものとして基材層12の貼着面側に印刷層13を積層する等、上記した非接着性領域Rnを形成するための層構成のバリエーションの他にも必要に応じてさまざまなバリエーションの中から適宜選択することができる。
勿論、各層の材質や積層方法も使用目的や生産性を考慮して適宜選択することができる。
【0032】
また、ラベルの大きさ容器への貼着位置、非接着性領域Rnの配設位置についても上記実施例に限定されるものではなく、その表示や装飾機能、アイキャッチ効果、インモールド成形性等を考慮して適宜選択することができる。
また、ラベルをインサート材としたインモールド成形についても、実施例で説明したHDPE樹脂を使用したダイレクトブロー成形の他にも、さまざまな種類の合成樹脂を使用した2軸延伸ブロー成形、射出成形、熱成形等の成形方法を選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上説明したように本発明のインモールドラベル付き容器は、ラベルに配設した非接着性領域を利用して、貼付したラベルを、容器の大きさや形状に拘わらず、広い範囲に平坦状に広げて見せることができ、商品に対するアイキャッチ効果を十分に発揮させることができるものであり、幅広い利用展開が期待される。
【符号の説明】
【0034】
1 ;容器(壜体)
2 ;口筒部
3 ;肩部
3w;(肩部の)周壁
4 ;胴部
4w;(胴部の)周壁
5 ;底部
11、111;ラベル
12、112;基材層
13、113;印刷層
15、115;接着層
15a、115a;ヒートシール層
15b;押出しラミネート層
15c;接着性フィルム
16;接着剤層
17;マスキング層
18、118;保護層
19;凹部
21;ダイス
22;パリソン
23;ブロー割型
24;減圧吸気路
Ra;接着性領域
Rn;非接着性領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10