(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183683
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】注出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 77/04 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
B65D77/04 ABRG
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-73240(P2013-73240)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-196130(P2014-196130A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2015年10月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(72)【発明者】
【氏名】川島 英芳
【審査官】
矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−076827(JP,A)
【文献】
実開平05−072772(JP,U)
【文献】
特開2011−131921(JP,A)
【文献】
特開平06−247455(JP,A)
【文献】
特開2007−008533(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0230540(US,A1)
【文献】
特開2001−341779(JP,A)
【文献】
特開2010−155620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00−79/02
B65D 81/18−81/30
B65D 81/38
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
B65D 23/00−25/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1口筒部(2)の上端に立設された注出ノズル(8)を備えた内容器(1)と、第2口筒部(12)及び下端(15)が開放された外装筒(11)を有して前記第1口筒部(2)及び前記内容器(1)の胴部(4)を外装する外カバー(10)と、該外カバー(10)上部の前記第2口筒部(12)に螺合により装着されて被嵌するキャップ(20)と、を有する注出容器であって、
外カバー(10)が、第2口筒部(12)の下端から拡径して外装筒(11)に連結する肩部(13)と、前記外装筒(11)の内側に前記第2口筒部(12)の下端で且つ前記肩部(13)から垂下設された内筒壁(14)とを有すると共に、前記内筒壁(14)と内容器(1)の第1口筒部(2)とが対向する部分にネジ機構(30)が設けられており、
前記外カバー(10)を前記内容器(1)に外装させた状態において、前記注出ノズル(8)が前記外装筒(11)の第2口筒部(12)内に配置されると共に、前記注出ノズル(8)の先端(8A)が第2口筒部(12)の上端(12A)よりも上方に突出される構成とし、
且つ全体の外径が前記外カバー(10)の肩部(13)近傍の外径と略同寸法で形成されて成る前記キャップ(20)の下面に前記第2口筒部(12)に螺合により装着される収納凹部(21)が設けられ、該収納凹部(21)内に第2口筒部(12)及び該第2口筒部(12)の上端から突出する注出ノズル(8)の先端(8A)が一緒に収納される構成とし、
外装筒(11)の内筒壁(14)と内容器(1)の第1口筒部(2)とが対向する部分に、外カバー(10)を内容器(1)に外装する作業の完了を知らしめるストッパ機構(35)が設けられていることを特徴とする注出容器。
【請求項2】
注出ノズル(8)の先端(8A)の注出孔(8a)が、シール材(40)で封止されている請求項1に記載の注出容器。
【請求項3】
内容器(1)の胴部(4)の所定高さ位置直下から底部(5)にかけての部分が露出部(7)とされている請求項1又は2に記載の注出容器。
【請求項4】
露出部(7)が膨出状の拡径部(7a)とされ、該拡径部(7a)が外装筒(11)の下端(15)の外周面より膨出される構成とした請求項3記載の注出容器。
【請求項5】
胴部(4)の所定高さ位置から周段部(6)を介して拡径部(7a)が形成され、外装筒(11)の下端(15)が前記周段部(6)に当接又は近接されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の注出容器。
【請求項6】
内容器(1)が透明性又は半透明性とされている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の注出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装カバーの内側に内容器を収納した注出容器、特に内容器の内容液を使い切ると、新しい内容器に交換して外装カバーを繰り返し何度も使用可能としたレフィルタイプの注出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内容液が充填された比較的安価な内容器を高価な外装カバーに交換可能に装填し、内容液を使い切ると内容液が充填されている新しい内容器に交換して、高価な外装カバーを繰り返し使用するレフィルタイプの注出容器の関する周知技術としては、例えば以下の特許文献1に記載されている。
【0003】
図7は従来例として特許文献1に記載のレフィルタイプの注出容器を示す半断面図である。
図7に示すように、特許文献1に記載の注出容器は、有底筒状の本体101と、肩部111に立設した頸部112の頂壁113に注出孔114を有する本体101の開口部102に嵌着するカバー体110と、カバー体110の頸部112に嵌着する蓋体130とで外容器Sが構成され、この外容器Sに嵌脱可能に収納される口部121を立設したボトル状の内容器120を備えて構成されている。
【0004】
内容器120の内容液を使い切ったときは、蓋体130を着蓋したままカバー体110を取り外し、内容器120を本体101から抜き取って内容液が充填された新しい内容器120を内容器120の仮蓋(図示省略)を取って投入し、再度、蓋体130付きカバー体110を本体101に螺着することにより、外容器Sは何度も使用可能というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−301732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の注出容器では、カバー体110の環状壁118が内容器120の口部121内に嵌入して周接する構成であるため、新しい内容器120を交換する際には、図示省略した仮蓋を取って内容器120の口部121を開封した状態で行う必要がある。
【0007】
しかし、交換作業中の作業ミス等により、誤って内容器120を転倒させてしまうと、内容器120内の中身である内容液が零れるという問題がある。
【0008】
また上記特許文献1に記載の注出容器では、内容液はカバー体110の注出孔114を介して注出される構成であるが、何度も繰り返し使用するうちに内容液が注出孔114や頂壁113に固着する場合があり、固着した内容液が劣化することによる衛生面の低下という問題もある。
【0009】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、内容器の交換作業中に誤って転倒させても中身である内容液の零れを防止することができ、しかも衛生面に優れたレフィルタイプの注出容器を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる構成は、第1口筒部の上端に立設された注出ノズルを備えた内容器と、第2口筒部及び下端が開放された外装有して第1口筒部及び内容器の胴部を外装する外カバーと、外カバー
上部の第2口筒部に
螺合により装着され
て被嵌するキャップと、を有する注出容器であって、
外カバーが、第2口筒部の下端から拡径して外装筒に連結する肩部と、外装筒の内側に第2口筒部の下端で且つ肩部から垂下設された内筒壁とを有すると共に、内筒壁と内容器の第1口筒部とが対向する部分にネジ機構が設けられており、
外カバーを内容器に外装させた状態において、注出ノズルが外装筒の第2口筒部内に配置されると共に、注出ノズルの先端が第2口筒部の上端よりも上方に突出される構成とし
且つ全体の外径が前記外カバーの肩部近傍の外径と略同寸法で形成されて成るキャップの下面に収納凹部が設けられ、収納凹部内に第2口筒部及び第2口筒部の上端から突出する注出ノズルの先端が一緒に収納される
構成とし、
外装筒の内筒壁と内容器の第1口筒部とが対向する部分に、外カバーを内容器に外装する作業の完了を知らしめるストッパ機構が設けられていることを特徴とするとする、と云うものである。
【0011】
上記構成の注出容器によれば、外カバーを内容器に外装することにより、外カバー側の第2口筒部から未開封状態にある注出ノズル先端の突出を達成し得る。
またキャップを外カバーから外した状態のみならず、装着した状態での外カバーの内容器への外装作業を達成し得る。
またネジ機構を利用しての外カバーの内筒壁と内容器の第1口筒部との間の螺合により、内容器に対する外カバーの外装作業及びその取り外し作業を容易に達成し得る。
さらに作業者に、外カバーを内容器に外装する作業が完了したことの知らしめを達成し得る。
【0016】
また本発明の他の構成は
、上記記載の発明に、キャップの下面に収納凹部を設け、収納凹部内に第2口筒部及び第2口筒部の上端から突出する注出ノズルの先端が一緒に収納される構成を加えたものである。
【0018】
また本発明の他の構成は、上記いずれかに記載の発明に、注出ノズルの先端の注出孔
が、シール材で封止
されている、との構成を加えたものである。
【0019】
上記構成では、外カバーを内容器に外装した後に、シール材を除去することによる内容器の開封を達成し得る。
【0020】
また本発明の他の構成は、上記いずれかに記載の発明に、内容器の胴部の所定高さ位置直下から底部にかけての部分
が露出部
とされている、との構成を加えたものである。
【0021】
上記構成では、片手で外カバーの外装筒を掴持し、もう一方の手で内容器の外装筒から下方に露出した胴部下端又は底部を掴持することになり、両者間の相対的に回転を大きな回転トルクを発生させた状態で行うことが可能となり、外カバーの内容器への外装作業及びその取り外し作業を容易に達成し得る。
【0022】
また本発明の他の構成は、上記請求項
3に記載の発明に、露出部が膨出状の拡径部とされ、拡径部が外装筒の下端の外周面より膨出される構成を加えたものである。
【0023】
上記構成では、露出部を拡径部として外装筒の下端の外周面より膨出する構成とすることにより、例えば外装筒を長くして露出部が短くなった場合にも露出部の掴持をより容易且つ確実に達成し得る。
【0024】
本発明のさらに他の構成は上記構成に加えて、胴部の所定高さ位置から周段部を介して拡径部
が形成
され、外装筒の下端が周段部に当接又は近接
されている、との構成とする、と云うものである。
【0025】
上記構成では、外装筒の下端が周段部に当接又は近接する構成とすることにより、外装筒の外周面と内容器の拡径部の外周面の繋がりをスムーズにして良好な外観を達成する。
【0026】
本発明のさらに他の構成は、上記いずれかに記載の発明に、内容器
が透明性又は半透明性
とされている、との構成を加えたものである。
【0027】
上記構成では、露出部での内容液の残量確認を達成し得る。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
【0029】
本発明の主たる構成においては、外カバーを内容器に外装した後に、外カバーの第2口筒部から突出した状態にある注出ノズルの開封作業を行うことができるため、従来のように外カバーの外装作業中に開封状態にある内容器を転倒させて内容液を零してしまうという作業ミスを防止することができる。
【0030】
また例え内容液が注出ノズル先端の注出孔やその周囲に固着する場合があっても、注出ノズルは内容器の交換時に一緒に交換することができるため、注出孔に固着した内容液の劣化による衛生面の低下という問題が生じることがない。
また、キャップの下面に収納凹部が設けられ、収納凹部内に第2口筒部及び第2口筒部の上端から突出する注出ノズルの先端が一緒に収納される、との構成を有することから、キャップを外カバーから外した状態のみならず、装着した状態でも外カバーの内容器への外装作業を行うことができるため、外カバーの外装作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0031】
ま
た外カバーが、第2口筒部
の下端から拡径して外装筒に連結する肩部と、外装筒の内側に
第2口筒部の下端で且つ肩部から垂下設された内筒壁とを有すると共に、内筒壁と内容器の第1口筒部とが対向する部分にネジ機構
が設けられている
ので、外カバーを内容器に外装する外装作業及びその取り外し作業を容易且つ確実に行うことができる。
【0032】
また外装筒は第2口筒部から肩部を介して離れた位置にあるので、内容液の付着による滑りの発生を効果的に抑制することができる。さらには外装筒を加飾することができ、内容器への印刷や、ラベル等による加飾を省略することによる省資源化、分別のし易さによるコストダウンを図ることができる。
【0033】
ま
た外装筒の内筒壁と内容器の第1口筒部とが対向する部分に、外カバーを内容器に外装する作業の完了を知らしめるストッパ機構を設け
ているので、外カバーの内容器への外装作業及びその取り外し作業を確実に行うことができる。
【0035】
また本発明の他の構成は、
上記記載の発明に、注出ノズルの先端の注出孔が、シール材で封止されている、との構成を加えた構成では、外カバーを内容器に外装した後に、シール材を除去することが可能となるため、外装作業前又は作業中の内容器からの内容液の零れを効果的に防止することができる。
【0036】
また上記いずれかに記載の発明に、内容器の胴部の所定高さ位置直下から底部にかけての部分
が露出部
とされている、との構成を加えた構成では、片手で外カバーの外装筒を掴持し、もう一方の手で内容器の外装筒から下方に露出した胴部下端又は底部を掴持することにより、両者間に大きな回転トルクを発生させることが可能となるため、外カバーの内容器への外装作業及びその取り外し作業を容易且つ確実に行うことができる。
【0037】
また請求項
3に記載の発明に、露出部が膨出状の拡径部とされ、拡径部が外装筒の下端の外周面より膨出される、との構成を加えた構成では、露出部を拡径部として外装筒の下端の外周面より膨出する構成とすることにより、例えば外装筒を長くして露出部が短くなった場合にも露出部の掴持をより容易且つ確実に行うことができる。
【0038】
さらに上記いずれかに記載の発明に、胴部の所定高さ位置から周段部を介して拡径部
が形成され、外装筒の下端が周段部に当接又は近接
されている、との構成を加えた構成では、外装筒の下端が周段部に当接又は近接する構成とすることにより、外装筒の外周面と内容器の拡径部の外周面の繋がりをスムーズにして良好な外観を図ることができる。
【0039】
また上記いずれかに記載の発明に、内容器
が透明性又は半透明性
とされている、
との構成を加えた構成では、露出部での内容液の残量を視覚的に確認しながらの使用が可能となるため、注出容器を安心して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の注出容器の一実施例を示す半断面図である。
【
図2】注出容器を分解して示す
図1同様の半断面図である。
【
図4】注出容器の使用状態を示す
図1同様の半断面図である。
【
図5】
図1のA−A線において切断した状態を示すストッパ機構の拡大断面図である。
【
図6】ストッパ機構の他の構成を示す
図5同様の拡大断面図である。
【
図7】従来例として特許文献1に記載のレフィルタイプの注出容器を示す半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0042】
図1は本発明の注出容器の一実施例を示す半断面図、
図2は注出容器を分解して示す
図1同様の半断面図、
図3は内容器を示す半断面図、
図4は注出容器の使用状態を示す
図1同様の半断面図、
図5は
図1のA−A線において切断した状態を示すストッパ機構の拡大断面図である。
【0043】
本発明の注出容器PBは、主に内容器1、外カバー10及びキャップ20の各部材を有して構成される。
【0044】
内容器1は壜体状で、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)製の透明又は半透明性のブロー成形品であり、第1口筒部2、肩部3、円筒状の胴部4及び底部5を有する。また、胴部4の底部5に近い高さ位置から底部5にかけての部分は、周段部6を基点に外径方向に膨出させた拡径部7aが形成されている。
【0045】
第1口筒部2の上端には三角錐形状の注出ノズル8が立設されている。この注出ノズル8の先端8Aには注出孔8aが穿設されており、未使用状態では注出孔8aはシール材40によって封止された状態にある。
【0046】
外カバー10は、例えば不透明な合成樹脂成形品であり、下端15が開放された筒状の外装筒11と、外装筒11の上部中央に立設された第2口筒部12を有すると共に、第2口筒部12と外装筒11との間は第2口筒部12の下端から拡径状に形成された肩部13を介して一体に連結されている。外装筒11の内径寸法は、内容器1の胴部4の外径寸法よりも若干大きく形成されており、内容器1の外側に外装筒11を外装することが可能である。
【0047】
肩部13の下面には、円筒状の内筒壁14が垂下設されている。内筒壁14の内径寸法は、内容器1の第1口筒部2の外径寸法よりも大きく、内筒壁14内に第1口筒部2を収納することが可能となっている。
【0048】
そして、内筒壁14の内面と第1口筒部2の外面とが対向する部分にはネジ機構30が設けられている(
図4参照)。すなわちネジ機構30は、内容器1の第1口筒部2の外周面に設けられた螺条31と、外カバー10の内筒壁14の内面に設けられた螺条32とにより構成され、両者が螺合することにより内容器1に外カバー10を強固に外装することが可能となっている。
【0049】
図1及び
図4に示すように、内容器1に外カバー10を外装した状態では、注出ノズル8が第2口筒部12内に配置されると共に、注出ノズル8の先端8Aは第2口筒部12の上端12Aに形成された開口部12aを介してさらに上方に突出する状態に設定される。
【0050】
また、内筒壁14の内面と第1口筒部2の外面とが対向する部分で且つネジ機構30の下部位置にはストッパ機構35が設けられている。ストッパ機構35は、例えば
図5に示すように、第1口筒部2の外面で且つ螺条31の下部位置に突出形成された係合凸部35aと、内筒壁14の内面で且つ螺条32の下部位置に周方向に所定の間隔を置いて形成された一対の突起35bとにより構成される。この実施例では、係合凸部35aは外カバー10を螺合して外装する際に、回転上流側Uとなる一端に緩やかな傾斜面を有し、回転下流側dの他端に垂直面を有して構成されている。一対の突起35bは、回転上流側Uに設けられた乗越え突起35b1と回転下流側dに設けられた規制突起35b2とにより構成される。乗越え突起35b1は回転上流側Uとなる一端に緩やかな傾斜面を有し、他端に垂直面を有する突起として構成され、規制突起35b2は少なくとも回転上流側Uとなる一端を垂直面で形成した突起として構成される。
【0051】
図1及
図2に示すように、キャップ20は、下面中央に有頂筒状の収納凹部21が設けられており、収納凹部21の頂壁21aの下面にはパッキン22が固着されている。
図1に示すように、内容器1に外カバー10を外装した状態においては、収納凹部21内に、第2口筒部12とその上端12Aから突出した注出ノズル8の先端8Aとを一緒に収納することが可能となっている。
【0052】
また収納凹部21の内周面と第2口筒部12の外周面にはネジ機構が設けられており、収納凹部21の内周面に形成された螺条と第2口筒部12の外周面に刻設された螺条とが螺合することにより、外カバー10の第2口筒部12をキャップ20によって被嵌することが可能となっている。
【0053】
なお、シール材40を剥がした状態の注出ノズル8をキャップ20で被嵌すると、キャップ20内のパッキン22が注出ノズル8の先端8Aに圧接して注出孔8aに密着するため、内容器1を液密状態に保持することが可能である。
【0054】
内容器1に収納された内容液を使い切った際には、内容液が充填されている新たな内容器に交換して使用することになるが、この交換作業は、片手で外カバー10の外装筒11を掴持し、もう一方の手で外装筒11の下端15から下方に露出している内容器1の露出部7(本実施例では、外装筒11の下端15の外周面より横方向に膨出する拡径部7aとしている。)を掴持して、両者を相対的に回転させることにより、大きな回転トルクを発生させることが可能となる。そして、この回転トルクを利用することにより、内容器1を外カバー10から容易に取り外すことができ、また新たな内容器1を外カバー10内に取り付けることができる。すなわち、内容器1を容易に交換することが可能となっている。
【0055】
また新たな内容器1に外カバー10を外装する際には、両者を相対的に回転させたときに、内容器1側の第1口筒部2に設けられた係合凸部35aが、外カバー10側の内筒壁14に形成された一対の突起35bのうち、最初に回転上流側Uに位置する一方の乗越え突起35b1を相対的に乗り越え、次に回転下流側dに位置する他方の規制突起35b2に当接して回転が停止させられる。係合凸部35aが乗越え突起35b1を乗り越える際には回転負荷が増して回転トルクが重く感じると共に、乗り越えると同時に「カッチ」という音が発生する。このため、作業者に外カバー10の外装作業が完了したことを触覚及び聴覚を通じてらしめることが可能となる。
【0056】
上記の外装作業は、キャップ20を外カバー10に装着した状態で行うこともできるし、またキャップ20を外した状態で行うことも可能である。
【0057】
そして、外カバー10の外装作業が完了すると、内容器1側の注出ノズル8の先端8Aが第2口筒部12の上端12Aから突出する状態となる。キャップ20を外カバー10に装着した状態で外装作業を行った場合にはキャップ20を外してから、またキャップ20を外した状態で外装作業を行った場合にはその状態から、シール材40を剥がすことにより内容液の注出が可能となる。
【0058】
このように、本発明では、内容器1に外カバー10を外装した後に、注出ノズル8の先端8Aを封止するシール材40を剥がして注出孔8aを表出させることができるため、外装作業前や作業中の操作ミス等により誤って内容器1を転倒させたとしても内容液の零れを確実に防止することが可能である。
【0059】
また外装カバー10及びキャップ20は繰り返し使用されるが、内容器1は注出ノズル8と一緒に交換されるため、常に新しい注出ノズル8を用いての内容液の注出が可能となる。よって、衛生面において優れた注出容器PBとすることができる。
【0060】
なお、外装筒11は第1口筒部2から十分離れた位置にあるので、内容液の付着による滑りの発生を無くすことができる。また、外装筒11により、内容器1の大半部分を外装するようにしているので、この外装筒11を印刷やラベルにより加飾しておくことにより、注出容器PBとしての加飾性は十分発揮され、内容器1の加飾は省略することができる。
【0061】
また、本実施例では外装筒11の下端15が周段部6に近接又は当接するように構成しており、外装筒11の外周面と内容器1の拡径部7aの外周面の繋がりをスムーズにして、良好な外観が得られるようにしている。また、内容器1は透明又は半透明性であり露出部7から内容液の残量を視覚的に確認することが可能であり、安心して使用することができる。
【0062】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
【0063】
例えば上記実施例では、ストッパ機構35について、係合凸部35aを内容器1の第1口筒部2側に設け、一対の突起35b(乗越え突起35b1及び規制突起35b2)を外カバー10の内筒壁14側に設けた構成を示して説明したが、
図6に示すように係合凸部35aを外カバー10の内筒壁14側に設け、一対の突起35bを内容器1の第1口筒部2側に設ける構成とすることもできる。
【0064】
また上記実施例では、内容器1を透明又は半透明な合成樹脂で形成し、外カバー10を不透明な樹脂で形成し、外装筒11の表面に胴部4に印刷やラベルにより加飾する構成を示して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば外カバー10を透明又は半透明な合成樹脂で形成し、内容器1を不透明な樹脂で形成すると共に内容器1の胴部4に印刷やラベルにより加飾することにより、透明又は半透明の外カバー10を通して内側の内容器1に加飾された印刷やラベルが視認可能な構成とすることもできる。さらには内容器1と外カバー10を共に透明又は半透明な合成樹脂で形成してもよいし、あるいは共に不透明な合成樹脂で形成してもよい。
【0065】
また例えば上記実施例では外装筒11を内容器1の底部5近傍にまで垂下しているが、内容器の交換に伴なう操作性や、外観や、部材コスト等を考慮して胴部4の中央高さ位置までにする等、適宜選択することができる。
【0066】
また、内容器1としてはポリエチレンテレフタレート製に限定されることなく各種合成樹脂製のものを目的に応じて使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の注出容器は、簡便に内容器を交換することができ、また交換作業前及び作業中の内容器の転倒による零れ防止や作業の完了を容易に知ることができるものであり、レフィルタイプの注出容器として幅広い用途展開が期待される。
【符号の説明】
【0068】
1 : 内容器
2 : 第1口筒部
4 : 胴部
3 : 肩部
5 : 底部
6 : 周段部
7 : 露出部
7a : 拡径部
8 : 注出ノズル
8A : 注出ノズルの先端
8a : 注出孔
10 : 外カバー
11 : 外装筒
12 : 第2口筒部
12A : 第2口筒部の上端
12a : 開口部
13 : 肩部
14 : 内筒壁
15 : 下端
20 : キャップ
21 : 収納凹部
22 : パッキン
30 : ネジ機構
31 : 外カバー側の螺条
32 : 内容器側の螺条
35 : ストッパ機構
35a : 係合凸部
35b : 一対の突起
35b1: 乗越え突起(一対の突起)
35b2: 規制突起(一対の突起)
40 : シール材
PB : 注出容器