(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
装着側外筒部(12)と可動側外筒部(22)の一方に周方向に所定の中心角を有して突設された一対のストッパ(15a,15b)と、他方に突設されると共に前記一対のストッパ(15a,15b)間に当接可能に配置された可動リブ(25)とを設けた請求項1記載の計量器付き注出ノズル。
装着側内筒部(11)に縮径部(11a)を形成すると共に、移動した前記中栓(44)が前記縮径部(11a)に嵌合して装着側内筒部(11)を閉栓せしめる嵌合凹部(44b)を前記中栓(44)に周設した請求項1又は2記載の計量器付き注出ノズル。
蓋体(30)を閉蓋状態とすることにより、前記蓋体(30)と可動ノズル(20)との間に予備室(18)を形成して内容物(50)の計量を可能とする計量モードと、前記蓋体(30)を半開き状態とすることにより容器本体(1)内の内容物(50)の直接注出を可能とする直接注出操作モードと、前記蓋体(30)をさらに開いた全開状態とすることにより、前記装着側内筒部(11)が閉栓されて前記予備室(18)内に貯留された内容物(50)のみの注出を可能とする計量注出操作モードとを有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の計量器付き注出ノズル。
保持手段を、可動側外筒部(22)の上部開口端(22a)と、第1インナーリング(31)のヒンジ(26)側となる位置に形成され且つ前記上部開口端(22a)が掛合する掛合凹部(31a)とにより構成した請求項7記載の計量器付き注出ノズル。
第1インナーリング(31)のヒンジ(26)側の先端に、可動側外筒部(22)の上部開口端(22a)に当接し、蓋体(30)の姿勢を支持して全開状態に設定する支持部(31b)を設けた請求項5乃至8のいずれか一項に記載の計量器付き注出ノズル。
接続部(19)を、容器本体(1)の口筒部(2)又は該口筒部(2)に装着される容器側蓋体(3)の注出部(3B)に対してネジ結合又はアンダーカット結合により組み付く構成とした請求項1乃至9のいずれか一項に記載の計量器付き注出ノズル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の先行技術では、常に一定量の内容物しか注出することができない構成である。このため、例えば内容物が液状洗剤や粉末洗剤などの場合には、洗濯機の槽は一定容積であることから、洗濯物の量の多少に応じて洗剤の量を調整できることが好ましいが、上記従来の先行技術では好みに応じた量の洗剤を調整して注出することが難しいという問題がある。
【0007】
また上記従来の先行技術では、容器110の傾き角度によっては、流入口101からカップ状本体部103内の予備室105に入り込んだ内容物が溢れ出てしまい、仕切部材104を乗り越えてそのまま排出口102から排出されることがある。その結果、定量注出されるべき内容物の容量が容器110の傾き角度によって異なってしまうという問題、すなわち定量注出の精度が低下しやすいという問題がある。
【0008】
また上記従来の先行技術では、あらかじめ定量栓体100が容器110の内部に一体に設けたパッケージ構成であり、内容物を使い切った後には定量栓体100は容器110と共に廃棄されることになり、資源の有効利用性が低いという問題もある。
【0009】
さらには上記従来の先行技術では、定量栓体100を容器110の内側に設ける必要があるため、その分だけ容器110内に収容可能な内容物の内容量が減ることになり、あるいは同じ内容量を確保するためには容器110の外形を大きくする必要があるという問題もある。
【0010】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、市販の容器本体の口筒部に自在に着脱すること及び容器本体の内容量の減少を防止することができ、しかも内容物をそのまま注出する直接注出及び異なる一定量の内容物の選択的な定量注出を可能とした計量器付き注出ノズルの創出を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる構成は、
容器本体に設けられた口筒部に接続されて容器本体内に収容されている内容物を注出する計量器付き注出ノズルであって、
口筒部に接続される接続部、この接続部から延設されて口筒部から注出される内容物が通過する流路を備えた装着側内筒部及びこの装着側内筒部の外側に設けられて装着側内筒部との間に計量室を形成する装着側外筒部を有する装着ノズルと、
装着側外筒部に接続される可動側外筒部、この可動側外筒部の内側に支持されて装着側内筒部の外表面に嵌合する可動側内筒部を有して装着ノズルに対して回転可能に連結された可動ノズルと、
可動側外筒部の上部開口端に開閉自在に取り付けられた蓋体とを有して構成され、
装着側内筒部に装着側窓部
が形成され、可動側内筒部に、可動ノズルの回転に応じ、装着側窓部と重なって流路と計量室との間を連通させる可動側窓部
が形成され、
装着側内筒部の内側に進退自在に配置されて装着側内筒部の開閉を行う中栓、及び蓋体の開操作に連動して中栓による装着側内筒部の閉栓を行わせしめると共に、蓋体の閉操作に連動して中栓による装着側内筒部の開放を行わせしめる連動手段を有し、連動手段が蓋体の下面に設けた支持受け部材及び一端に中栓を有すると共に他端が支持受け部材に対して揺動自在に軸支された連結部材により構成されていることを特徴とする、と云うものである。
【0012】
本発明の計量器付き注出ノズルの主たる構成では、可動ノズルを時計回り方向又は反時計回り方向に回転させることにより、定量注出において、異なる一定量(第1基準量と第2基準量)の選択的な注出を達成し得る。
また可動ノズル先端の上部開口端に開閉自在に設けられた蓋体の開閉姿勢を変更することにより、容器本体から内容物が直接注出される直接注出と、容器本体内の計量室に一時的に貯留した一定量の内容物を注出する定量注出とを達成し得る。
さらには装着側内筒部の開閉を蓋体の開閉操作に連動させることを達成し得る。
【0013】
また本発明の他の構成は、本発明の主たる構成に、装着側外筒部と可動側外筒部の一方に周方向に所定の中心角を有して突設された一対のストッパと、他方に突設されると共に一対のストッパ間に当接可能に配置された可動リブとを設けたことを加えたものである。
【0014】
上記構成では、可動ノズルの回転範囲を規制することにより、確実に異なる一定量(第1基準量と第2基準量)の選択的な注出を達成し得る。
【0018】
また本発明の他の構成は、上記構成に、装着側内筒部に縮径部を形成すると共に、移動した中栓が縮径部に嵌合して装着側内筒部を閉栓せしめる嵌合凹部を中栓に周設したことを加えたものである。
【0019】
上記構成では、中栓を装着側内筒部の先端に向かって移動させるだけで、中栓による装着側内筒部の閉栓を確実に達成し得る。
【0020】
また本発明の他の構成は、上記いずれかの構成に、蓋体と可動側外筒部とをヒンジを介して開閉自在に連結したことを加えたものである。
【0021】
上記構成では、注出ノズルを構成する可動ノズルの開閉を簡単且つ確実に達成し得る。
【0022】
また本発明の他の構成は、上記いずれかの構成に、可動側外筒部の上部開口端の内壁に密着可能な第1インナーリングを蓋体の下面に設けたことを加えたものである。
【0023】
上記構成では、蓋体で可動ノズルの上部開口端を被嵌した閉蓋状態において、内容物の漏れ防止を第1インナーリングによって達成し得る。
【0024】
また本発明の他の構成は、上記構成において、蓋体を閉蓋状態とすることにより、蓋体と可動ノズルとの間に予備室を形成して内容物の計量を可能とする計量モードと、蓋体を半開き状態とすることにより容器本体内の内容物の直接注出を可能とする直接注出操作モードと、蓋体をさらに開いた全開状態とすることにより、装着側内筒部が閉栓されて予備室内に貯留された内容物のみの注出を可能とする計量注出操作モードとを有すると云うものである
上記構成では、蓋体の開閉状態を選択することにより、計量モード、直接注出操作モード又は計量注出操作モードのいずれかへの遷移を達成し得る。
【0025】
また本発明の他の構成は、上記構成に、蓋体の姿勢を、半開き状態に保持する保持手段を備える、ことを加えたものである。
【0026】
上記構成では、蓋体の姿勢を、半開き状態に保持することで内容物の直接注出を達成し得る。
【0027】
また本発明の他の構成は、上記構成に、保持手段を、可動側外筒部の上部開口端と、第1インナーリングのヒンジ側となる位置に形成され且つ上部開口端が掛合する掛合凹部とにより構成したことを加えたものである。
【0028】
上記構成では、蓋体姿勢を半開き状態に保持することを簡単な構成で達成し得る。
【0029】
また本発明の他の構成は、上記構成に、第1インナーリングのヒンジ側の先端に、装着側外筒部の上部開口端に当接し、蓋体の姿勢を支持して全開状態に設定する支持部を設けたことを加えたものである。
【0030】
上記構成では、蓋体の姿勢を全開状態に維持することを簡単な構成で達成し得る。
【0031】
また本発明の他の構成は、上記いずれかの構成に、接続部を、容器本体の口筒部又は口筒部に装着される容器側蓋体の注出部に対してネジ結合又はアンダーカット結合により組み付く構成としたことを加えたものである。
【0032】
上記構成では、本体容器の口筒部又は容器側蓋体の注出部に対して着脱自在な注出ノズルを達成し得る。
【0033】
また本発明の他の構成は、上記いずれかの構成に、少なくとも蓋体、装着ノズル及び可動ノズルを、透明又は半透明の合成樹脂材料で形成したことを加えたものである。
【0034】
上記構成では、注出中の注出ノズル内の様子を視覚的に把握し得る。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
【0036】
本発明の主たる構成においては、可動ノズルの回転方向を選択して回転させるという簡単な操作により、2段階に定量注出することができる。すなわち、可動ノズルを、例えば時計回り方向に正回転させたときには、可動側窓部が装着側窓部に重なって流路と計量室との間が連通する重なり状態に設定することができ、また反時計回り方向に逆回転させたときには、可動側窓部と装着側窓部との重なりが解除されて流路と計量室との間が遮断される非重なり状態に設定することができる。そして、重なり状態に設定して定量注出の操作を行うことにより一定量として第1基準量(例えば15cc)の内容物を注出することができ、また非重なり状態に設定して定量注出の操作を行うことにより第1基準量よりも多い第2基準量(例えば30cc)の内容物を注出することができる。
【0037】
また接続部が容器本体の口筒部に対して着脱自在であり、内容物を使い切った後には容器本体から注出ノズルだけを取り外して新たな容器に装着することにより、注出ノズルの繰り返し使用が可能となるため、資源の有効利用効率を高めることができる。また計量室や予備室を容器本体側に設ける必要がないため、容器本体の内容量の減少、あるいは内容量を確保するために容器本体が大型化することを防止することができる。
また蓋体の開操作と中栓による装着側内筒部における閉動作及び蓋体の閉操作と中栓による装着側内筒部における開動作とを連動させることが可能となるため、直接注出及び定量注出を確実且つ高精度に行うことができる。特に、定量注出時に、容器本体から計量室への内容物の追加的な流入を阻止することが可能となるため、定量注出の精度を高めることができる。
さらには、装着側内筒部の開閉と蓋体の開閉操作とを簡単な構成により確実に連動させることができる。
【0038】
また本発明の主たる構成に、装着側外筒部と可動側外筒部の一方に周方向に所定の中心角を有して突設された一対のストッパと、他方に突設されると共に一対のストッパ間に当接可能に配置された可動リブとを設けたことを加えた構成では、一対のストッパと可動リブとが可動ノズルの回転範囲を規制することができる。このため、可動リブが、一方のストッパに当接するまで可動ノズルを正回転させることにより第1基準量の定量注出が可能となり、また他方のストッパに当接するまで可動ノズルを逆回転させることにより第2基準量の定量注出が可能となる。
【0041】
また上記構成に、装着側内筒部に縮径部を形成すると共に、移動した中栓が縮径部に嵌合して装着側内筒部を閉栓せしめる嵌合凹部を中栓に周設したことを加えた構成では、中栓を装着側内筒部に沿って進退移動させるという簡単な動作により、中栓による装着側内筒部の閉栓と開栓とを確実に行うことができる。
【0042】
また上記いずれかの構成に、蓋体と可動側外筒部とをヒンジを介して開閉自在に連結したことを加えた構成では、注出ノズルを構成する可動側外筒部の上部開口端の開閉を容易且つ確実に行うことができる。
【0043】
また上記いずれかの構成に、可動側外筒部の上部開口端の内壁に密着可能な第1インナーリングを蓋体の下面に設けたことを加えた構成では、蓋体で可動ノズルを構成する可動側外筒部の上部開口端を被嵌した部分からの内容物の漏れを確実に防止することができる。
【0044】
また上記構成において、蓋体を閉蓋状態とすることにより、蓋体と可動ノズルとの間に予備室を形成して内容物の計量を可能とする計量モードと、蓋体を半開き状態とすることにより容器本体内の内容物の直接注出を可能とする直接注出操作モードと、蓋体をさらに開いた全開状態とすることにより、装着側内筒部が閉栓されて予備室内に貯留された内容物のみの注出を可能とする計量注出操作モードとを有する構成では、蓋体の開閉状態を3段階に調整することにより、内容物の計量及び貯留、内容物の直接注出、あるいは定量注出を確実に行うことができる。
【0045】
また上記構成に、蓋体の姿勢を、半開き状態に保持する保持手段を備えることを加えた構成では、蓋体の姿勢を半開き状態に容易に保持することが可能となり、内容物の直接注出を容易とすることができる。
【0046】
上記構成に、保持手段を、装着側外筒部の上部開口端と、第1インナーリングのヒンジ側となる位置に形成され且つ上部開口端が掛合する掛合凹部とにより構成したことを加えた構成では、より簡単な構成によって蓋体を半開き状態に保持することが可能となるため、特に直接注出操作を確実に行うことができる。
【0047】
上記構成に、第1インナーリングのヒンジ側の先端に、可動側外筒部の上部開口端に当接し、蓋体の姿勢を支持して全開状態に設定する支持部を設けたことを加えた構成では、蓋体の姿勢を全開状態に維持すること及び中栓による内ノズルの閉栓を維持することができるため、特に定量注出操作における内容物の注出を確実に行うことができる。
【0048】
また上記いずれかの構成に、接続部を、容器本体の口筒部又は口筒部に装着される容器側蓋体の注出部に対してネジ結合又はアンダーカット結合により組み付く構成とした構成では、注出ノズルの容器本体の口筒部又は口筒部に装着される容器側蓋体の注出部への取り付けを容易且つ確実に行うことができる。
【0049】
また上記いずれかの構成に、少なくとも蓋体、装着ノズル及び可動ノズルを、透明又は半透明の合成樹脂材料で形成した構成では、外部から注出ノズル内の様子を視覚的に把握することが可能となり、直接注出時における容器本体の傾斜角度の調整が容易となり、あるいは定量注出時における各操作が容易となるため、内容液を確実に注出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0052】
図1は本発明の第1実施例としての計量器付き注出ノズルを正面方向から示す断面図、
図2は
図1の注出ノズルを側面方向から示す断面図、
図3は
図1のIII部分の拡大断面図であり、Aは装着側窓部と可動側窓部との非重なり状態を示す縦断面図、Bは装着側窓部と可動側窓部との重なり状態を示す縦断面図、
図4Aは
図3AのIVa−IVa線における横断面図、
図4Bは
図3BのIVb−IVb線における横断面図、
図5は通常の使用状態(直接注出)として傾斜姿勢を示す容器本体と注出ノズルとの断面図、
図6は第2基準量(非重なり状態)における定量注出の中期操作を示す容器本体と注出ノズルとの断面図、
図7は第1基準量(重なり状態)における定量注出の中期操作を示す容器本体と注出ノズルとの断面図、
図8は定量注出の終期操作として傾斜姿勢を示す容器本体と注出ノズルとの断面図である。
【0053】
本発明の注出ノズルAは、例えば液状、粉状、粒状等などの内容物を収容した容器本体1に取り付けられ、内容物を一定量ごとに(定量注出)、あるいは必要な量だけ自由に注出(直接注出)するためのものである。注出ノズルAは装着ノズル10と、その上端に連結された可動ノズル20と、この可動ノズル20の上部開口端22aを閉塞する蓋体30とを有して構成され、これらは合成樹脂材料を射出成形することにより形成されている。
【0054】
図1及び
図2に示すように、装着ノズル10は内側に設けられた装着側内筒部11と外側に設けられた装着側外筒部12とを有する二重円筒構造である。装着側外筒部12は装着側内筒部11よりも大きい一定の径寸法かなる円筒形状である。装着側内筒部11及び装着側外筒部12の下部側は、共通の基部13を介して連結されている。装着側内筒部11は下端側の径寸法が上端側の径寸法よりも太く、下端と上端との境界部分には縮径部11aが設けられている。
【0055】
図2、
図4A及び
図4Bに示すように、縮径部11aより上端側で且つ装着側内筒部11側面上の軸対称となる位置には、装着側内筒部11の内部と外部とを貫通する長方形状又は台形状からなる一対の装着側窓部14,14がそれぞれ穿設されている。
【0056】
図3A及び
図3Bに示すように、装着側外筒部12の上端には、段差部12Bを介して径寸法を若干大きくした大径部12Aが形成されており、さらに大径部12Aの上端には内壁を薄肉状に周設してなる薄肉壁12Cが形成されている。
【0057】
そして、
図4A及び
図4Bに示すように、この薄肉壁12Cの内周面には周方向に所定の中心角を有して軸中心方向に突設された一対の縦リブ状のストッパ15a,15bが軸対称となる位置に2組形成されている。
【0058】
装着側内筒部11の高さ寸法は装着側外筒部12の高さ寸法とほぼ同じ寸法で形成されている。そして、装着側内筒部11の内部には流路16が形成され、装着側内筒部11と装着側外筒部12とが径方向に向き合う空間には計量室17が設けられている。
【0059】
可動ノズル20も内側に設けられた可動側内筒部21と外側に設けられた可動側外筒部22とを有する二重円筒構造である。可動側内筒部21は、可動側外筒部22の下端側の内壁と可動側内筒部21の上端側の外壁との間に十字状に架設された梁部材23を介して支持されている。可動側内筒部21は可動側外筒部22の下端側の開口端よりもさらに下方に向かって突設されており、可動ノズル20を装着ノズル10の上端に取り付けると、可動側内筒部21の内壁が装着側内筒部11の外周面に密接する状態で装着可能となっている。
【0060】
図1、
図4A及び
図4Bに示すように、可動側内筒部21の軸対称となる位置には、可動側内筒部21の内部と外部とを貫通する一対の可動側窓部24,24がそれぞれ穿設されている。可動側窓部24は、装着側窓部14とほぼ同じ大きさからなる長方形状又は台形状である。
【0061】
図3A及び
図3Bに示すように、可動ノズル20側の可動側外筒部22の下端には、段差部22Cを介して径寸法を若干小さく形成され、装着側外筒部12と接続する際に大径部12Aと共に連結部として機能する小径部22Aが形成されている。
【0062】
図4A及び
図4Bに示すように、可動ノズル20側の小径部22Aの外周面には、装着側外筒部12の内周面に形成された縦リブ状のストッパ15aとストッパ15bとの間に配置され、周方向において対向すると共に当接可能な縦リブ状の可動リブ25,25が軸対称となる位置にそれぞれ突設されている。そして、装着側外筒部12の大径部12Aに可動側外筒部22の小径部22Aを装着して装着ノズル10と可動ノズル20とを連結した状態では、可動ノズル20が装着ノズル10に対して周方向に回転な状態にあり、その回転許容範囲は可動リブ25が周方向においてストッパ15aとストッパ15bに当接する範囲となる中心角θである。
【0063】
図3A及び
図4Aに示すように、可動ノズル20を図示反時計回り方向αに正回転させて可動リブ25をストッパ15aに当接させると、装着側内筒部11の装着側窓部14と可動側内筒部21の可動側窓部24とが周方向にて一致せず、流路16と計量室17との間が径方向に遮断される「非重なり状態」に設定することが可能となっている。他方、
図3B及び
図4Bに示すように、可動ノズル20を図示時計回り方向βに逆回転させて可動リブ25をストッパ15bに当接させると、装着側内筒部11の装着側窓部14と可動側内筒部21の可動側窓部24とが周方向にて一致し、流路16と計量室17とが径方向に連通する「重なり状態」に設定することが可能となっている。
【0064】
図1に示すように、可動側外筒部22の上端には、外径方向に湾曲するカール状の上部開口端22aが設けられている。可動側外筒部22の外周面上で且つ上部開口端22aよりも下の位置には、外径方向に突出するフランジ22Bが突設されており、このフランジ22Bの一箇所には合成樹脂を薄肉状に成形することにより形成されたヒンジ26が設けられている。このヒンジ26の先端には蓋体(ヒンジキャップ)30が回動自在に支持されている。
【0065】
蓋体30は円板状の頂壁30Aと、その外周縁に垂下設されたスカート部30Bと、ヒンジ26と軸対称の位置に設けられた取っ手30Cとを有して構成されている。
図1において、取っ手30Cを摘んでヒンジ26を中心に蓋体30を図示時計回り方向に回動させると、スカート部30Bが上部開口端22aに冠着するため、蓋体30で被嵌することができ(閉蓋状態)、図示反時計回り方向に回動させてスカート部30Bを上部開口端22aから離脱させることにより蓋体30による被嵌を解除すること(開蓋状態)が可能となっている(
図5及び
図8参照)。すなわち、蓋体30は可動ノズル20を構成する可動側外筒部22の上部開口端22aに対して開閉自在に設けられている。
【0066】
そして、
図1及び
図2に示すように蓋体30を閉蓋状態とすることにより、可動側外筒部22の上部開口端22a側の空間、すなわち頂壁30Aの下面と装着側内筒部11及び可動側内筒部21の上端とが対向し合う空間に内容物を計量して貯留する予備室18が形成され、蓋体30を開蓋状態とすることにより、可動側外筒部22の先端である上部開口端22aが外部に露出される(
図7及び
図8参照)。
【0067】
また
図1及び
図2に示すように、蓋体30の頂壁30Aの下面には、上部開口端22aよりも径寸法を若干小さくし且つ薄肉に形成した第1インナーリング31が一体に形成されており、閉蓋状態では第1インナーリング31が上部開口端22aの内壁に密着することにより、内容物の漏れを防止することが可能となっている。この第1インナーリング31は径方向に弾性変形可能であり、第1インナーリング31のヒンジ26側の長さ寸法は取っ手30C側よりも長い嵩高状に形成されている。
図5及び
図8に拡大して示すように、ヒンジ26側となる第1インナーリング31の外周面には凹状の掛合凹部31aが形成され、第1インナーリング31の下端には支持部31bが形成されている。
【0068】
図5に示すように、蓋体30を図示反時計回り方向に回動させると、蓋体30の姿勢は、第1インナーリング31の掛合凹部31aと可動側外筒部22の上部開口端22aとが掛合して半開き状態が保持される。この点で、掛合凹部31aと可動側外筒部22の上部開口端22aとは、蓋体30の姿勢を半開き状態に保持する保持手段として機能している。そして、
図8に示すように、さらに蓋体30を図示反時計回り方向に回動させると、掛合凹部31aと可動側外筒部22の上部開口端22aとの掛合が外れ、第1インナーリング31の支持部31bが可動側外筒部22の上部開口端22aに当接して支持するため、蓋体30の姿勢が全開状態に設定されることになる。
【0069】
図1及び
図2に示すように、蓋体30の下面には、蓋体30が閉蓋状態及び半開き状態にあるときには中栓44による装着側内筒部11を開放し、蓋体30が全開状態にあるときには中栓44が装着側内筒部11を閉栓する連動手段40が設けられている。
【0070】
連動手段40は、例えば
図1及び
図2に示すような支持受け部材41,41及び連結部材42から構成される。すなわち、頂壁30Aの下面側の中心には、一定の隙間寸法を有して平行に延びる一対の支持受け部材41,41が垂下設されている。支持受け部材41,41の下端部には支持穴41a,41aがそれぞれ穿設されており、この支持穴41a,41a内には長尺状の連結部材42が保持されている。
【0071】
連結部材42は、上端に形成された回転軸42a,42aが支持穴41a,41a内に挿入され、支持受け部材41,41に対して揺動自在に軸支されている。連結部材42の下端には中栓44が一体に形成されており、中栓44は装着側内筒部11内の流路16に配置されている。
【0072】
中栓44は有底カップ状の栓を倒立させた形状である。すなわち、上端に頂壁44aを設けて下端を開放し、上端には縮径部11aの内壁に嵌合可能な嵌合凹部44bが周設されている。中栓44は装着側内筒部11内にあって、流路16に沿って進退可能となっている。なお、連結部材42と中栓44との連結部分には連結部材42を部分的に薄肉状に形成した変形部42bが形成されており、中栓44はこの変形部42bを基点に径方向に弾性変形し易くなっている。このため、中栓44は装着側内筒部11との間の摺動摩擦が軽減されてスムーズに移動することが可能となり、確実に装着側内筒部11を密着して閉栓することが可能である。
【0073】
図1及び
図2に示すように、蓋体30が閉蓋した状態では中栓44が装着側内筒部11から離れた位置にあり、装着側内筒部11は開放状態にある。また
図5に示すように、蓋体30が半開きの状態では、蓋体30が上方に回動する分だけ支持受け部材41及び連結部材42が上方に移動することから流路16内の中栓44も上方に移動することになるが、未だ蓋体30は開放状態にある。そして、
図8に示すように、蓋体30が全開した状態になると、さらに上方に移動した中栓44が装着側内筒部11の縮径部11aに嵌合して塞ぐため、装着側内筒部11(流路16)が閉栓状態に設定される。
【0074】
このように、支持受け部材41,41及び連結部材42は、蓋体30の開閉操作に連動して中栓44による装着側内筒部11の開閉(開栓及び閉栓)を行う連動手段40としての機能を有している。
【0075】
図1及び
図2に示すように、接続部19は基部13の下部に形成されており、外側に設けられた円筒状の外壁部19aと、内側に設けられた第2インナーリング19bによる二重円筒構造であり、外壁部19aの内面にはネジ溝19cが螺設され、外壁部19aの下端には後述する容器側蓋体3の注出部3Bを覆うカバー部19dが設けられている。
【0076】
次に、上記構成から成る注出ノズルの容器本体への取り付けについて説明する。
【0077】
図1及び
図2に示すように、第1実施例に示す容器本体1の口筒部2には、容器本体1を密封する容器側蓋体3が設けられている。この容器側蓋体3は,口筒部2側に装着される蓋本体3Aと、この蓋本体3Aの上端に一体に形成された注出部3Bを封止するネジキャップ(図示せず)により構成される。図示しないネジキャップが注出部3Bの外周面に形成されたネジ溝3aに螺着することにより、容器本体1の口筒部2を間接的に密封する構成である。なお、口筒部2と蓋本体3Aとは、口筒部2側の外面に設けた係止凸部2aと蓋本体3Aの内面に設けた係止凸部3bとが互いにアンダーカット結合することにより組み付く構成である。
【0078】
注出ノズルAの容器本体1への取り付けは、まず容器本体1からネジキャップを取り外して注出部3Bを露出させる。そして、注出ノズルA側である装着ノズル10のネジ溝19cを注出部3Bのネジ溝3aに螺合(ネジ結合)させ、接続部19を構成する外壁部19aと第2インナーリング19bとの間に注出部3Bを位置させることにより、装着ノズル10を容器本体1側の蓋本体3Aに組み付ける。この際、装着ノズル10側の第2インナーリング19bが注出部3Bの内壁に密着するため、注出部3Bと接続部19との間における内容物50の漏れを確実に防止することが可能となる。
【0079】
なお、注出ノズルAの容器本体1への取り付けは、蓋体30で可動ノズル20の上部開口端22aを被嵌した閉蓋状態で行うこともできるし、蓋体30を開けた開蓋状態で行うこともできる。
【0080】
次に、注出ノズルが接続された容器本体の注出について説明する。
【0081】
(1)直接注出操作モード
注出ノズルAを容器本体1に組み付け且つ正立姿勢とした
図1に示す状態において、蓋体30を開いて半開き状態にする(
図5参照)。この半開き状態では、中栓44は装着側内筒部11に嵌合しておらず開栓状態にある。続いて、容器本体1を傾けて
図5に示す傾斜姿勢にする。すると、容器本体1内に収容されていた内容物50が、容器本体1側の口筒部2及び注出部3B、注出ノズルA側の第2インナーリング19b及び流路16を介して装着側内筒部11の先端から可動ノズル20側の可動側外筒部22に達する。よって、容器本体1の傾き角度を調整することにより、好みに応じた量の内容物50を可動側外筒部22の先端である上部開口端22aを通じて外部に注出することができる(直接注出)。
【0082】
なお、この直接注出は、装着側窓部14と可動側窓部24との関係が非重なり状態にある場合及び重なり状態にある場合のいずれにおいても行うことが可能である。
【0083】
(2)定量注出操作モード
注出ノズルAを閉蓋状態とし且つ容器本体1を正立姿勢とした
図1に示す状態から、容器本体1を倒立姿勢(図示せず)あるいは傾斜姿勢とすると、容器本体1内に収容されている内容物50は装着側内筒部11内の流路16を通じて可動ノズル20先端の上部開口端22a側に導かれ、予備室18内に貯留される(初期操作)。
【0084】
次に、
図6に示すように、容器本体1を元の正立姿勢に戻すと、予備室18内に貯留されていた内容物50の一部が移動して計量室17を満たす。同時に、計量室17の容積をオーバーする過剰の内容物50は、装着側内筒部11の先端から流路16を介して容器本体1内に戻るため、計量室17内に一定量の内容物50のみを残留させることができる(中期操作)。
【0085】
ここで、
図6に示すように装着側窓部14と可動側窓部24との関係を「非重なり状態」に設定して初期操作と中期操作を行った場合には、計量室17内に残留される一定量を、内容物50が装着側内筒部11の上端に達する第2基準量とすることができる。すなわち、「非重なり状態」に設定することにより、第2基準量(例えば30cc)を計量することができる。
【0086】
また
図7に示すように装着側窓部14と可動側窓部24との関係を「重なり状態」に設定して初期操作と中期操作を行った場合には、計量室17内に残留される一定量を、内容物50が装着側窓部14と可動側窓部24とが互いに重なり合う両窓部の下端に達する第1基準量(例えば15cc)とすることができる。すなわち、「重なり状態」に設定することにより、第1基準量を計量することができる。
【0087】
なお、初期操作と中期操作とを行うことにより内容物50を計量することができるので、初期操作と中期操作とは計量モードでもある。
【0088】
そして、取っ手30Cを持ち上げ、蓋体30の姿勢を全開状態に設定すると共に装着側内筒部11を閉栓状態に設定する(
図8参照)。
【0089】
続いて、
図8に示すように容器本体1を傾けて傾斜姿勢にすることにより、計量室17内に残留している一定量(第1基準量又は第2基準量)の内容物50を、上部開口端22aを通じて外部に注出することができる(終期操作)。この状態では、ヒンジ26側において支持部31bが上部開口端22aに当接して蓋体30の姿勢を支持する。このため、蓋体30の姿勢を全開状態に設定することができ、操作中に蓋体30が誤って閉蓋状態に至ることがなく、定量注出操作をスムーズに行うことができる。
【0090】
このように本発明の注出ノズルAでは、装着側内筒部11を閉栓した状態で内容物50の定量注出を行うことができるため、従来のように定量注出時に、計量室17内に残留した内容物50に容器本体1側に収納されている内容物50が追加されて一緒に注出してしまう不具合を防止することができる。したがって、本発明では容器本体1の傾き角度の影響を受けることなく、内容物50の定量注出を常に高精度で行うことが可能である。
【0091】
また可動ノズル20を正回転又は逆回転させるという簡単な操作により、第1基準量と第2基準量とのいずれかを選んで計量することが可能であり、異なる一定量の内容物50の選択的な定量注出を行うことができる。
【0092】
図9は、本発明の第2実施例としての計量器付き注出ノズルを正面方向から示す断面図である。
第2実施例に示す計量器付き注出ノズルBが上記第1実施例と相違する点は、装着ノズル10側の装着側外筒部11の筒身寸法を長くし、その分だけ可動ノズル20側の可動側外筒部22の筒身寸法を短くした点にあり、その他の構成及び効果は上記第1実施例と同様である。以下には主に相違点について説明する。
【0093】
図9に示すように、第2実施例においては、可動側外筒部22の下端側の内壁と可動側内筒部21の上端側の外壁との間に略L字形状からなる梁部材23aを、第1実施例同様に平面視十字状(
図4参照)に4つ配置することにより、可動側内筒部21を支持している。なお、梁部材23aは、このように梁部材23aを十字状(90度毎)に配置してもよいし、例えば120度、180度毎等を含めその他の任意の角度で配置する構成としてもよい。
【0094】
第2実施例に示す注出ノズルBでは、可動側外筒部21はそのほぼ全長が小径部22Aで構成され、この小径部22Aは装着側外筒部12の大径部12A内に収納されることになることから、可動ノズル20が装着ノズル10の上部から外れ難くすること可能となり、安定した回転操作を実現することができる。
【0095】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
【0096】
例えば、上記実施例では、第1基準量と第2基準量を選択的に計量するための構成(回転可能な可動ノズル20側の可動側窓部24及び可動リブ25、及び装着ノズル10側の装着側窓部15及び一対のストッパ15a,15b)と、直接注出及び定量注出を行うための構成(中栓44及び連動手段40)の双方を有する構成を示して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく選択的に計量するための構成のみを有する構成とすることもできる。ただし、直接注出及び定量注出を行うための構成をも有する方が選択的に計量した第1基準量又は第2基準量からなる内容物50を定量注出する際に、容器本体1から計量室17への内容物の追加的な流入を招くことなく高精度に注出することができる点で好ましい。
【0097】
また上記実施例では、注出ノズルAを容器側蓋体3の蓋本体3Aの注出部3Bに取り付ける構成を示して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、容器本体1の口筒部2に直接的に取り付ける構成であってもよい。
【0098】
また上記実施例では、一対の縦リブ状のストッパ15a,15bを装着側外筒部12に設け、これらストッパ15aとストッパ15bとの間に配置され、周方向において対向すると共に当接可能な縦リブ状の可動リブ25を可動ノズル20側に設けた構成を示して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、可動ノズル20側に一対のストッパを設け、装着側外筒部12側に可動リブを設けた構成であってもよい。
【0099】
また接続部19は口筒部2に対してネジ機構により螺着する構成を示して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、口筒部2と蓋本体3Aとにおける構成同様に、注出ノズルAの接続部19が容器本体1の口筒部2に対してアンダーカット結合することにより組み付く構成であってもよい。
【0100】
さらに上記実施例では注出ノズルAを形成する樹脂材料については特に言及していないが、少なくとも蓋体30、注出ノズルAを構成する装着ノズル10及び可動ノズル20を透明又は半透明の樹脂材料を用いて形成する構成が好ましい。この構成では、外部から注出ノズルA内の様子を視覚的に確認することができるため、直接注出時における容器本体1の傾斜角度の調整を容易とし、あるいは定量注出時における各操作(初期操作、中期操作及び終期操作)を容易とすることができるため、内容液を確実に注出することができる。
【0101】
なお、透明又は半透明の樹脂材料を用いる部材は、蓋体30、装着ノズル10及び可動ノズル20に限られるものではなく、中栓44や連動手段40を構成する支持受け部材41及び連結部材42についても透明又は半透明とする構成であってもよい。