特許第6183705号(P6183705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183705
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20170814BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H01L21/306 J
   H01L21/306 M
   H01L21/304 648G
   H01L21/304 643A
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-234958(P2013-234958)
(22)【出願日】2013年11月13日
(65)【公開番号】特開2014-158014(P2014-158014A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2016年6月8日
(31)【優先権主張番号】特願2013-4732(P2013-4732)
(32)【優先日】2013年1月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170324
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 昌秀
(72)【発明者】
【氏名】藤井 達也
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 亨
【審査官】 齊田 寛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−279485(JP,A)
【文献】 特開2002−336761(JP,A)
【文献】 特開平10−154701(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0280649(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチング液が着液する着液位置を基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部に移動させた後、前記着液位置を前記基板主面の中央部に位置させた状態で前記基板主面へのエッチング液の供給を継続する基板処理方法であって、
前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記基板へのエッチング液の供給時間に応じて、前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部への前記着液位置の移動速度を決定するスキャン速度決定工程と、
前記基板主面を通る回転軸線まわりに前記基板を回転させると共に、前記着液位置が前記スキャン速度決定工程で決定された前記移動速度で前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部に移動するように、ノズルからエッチング液を吐出させながら前記ノズルを移動させるスキャン工程と、
前記回転軸線まわりに前記基板を回転させると共に、前記着液位置を前記基板主面の中央部に位置させた状態で前記基板主面へのエッチング液の供給を継続するセンター吐出工程とを含み、
前記スキャン速度決定工程は、前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記エッチング液の供給時間と前記着液位置の移動速度との対応関係を示すテーブル、または、前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記エッチング液の供給時間と前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部までの前記着液位置の移動時間との対応関係を示すテーブルから、前記着液位置の移動速度を決定する工程である、基板処理方法。
【請求項2】
エッチング液が着液する着液位置を基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部に移動させた後、前記着液位置を前記基板主面の中央部に位置させた状態で前記基板主面へのエッチング液の供給を継続する基板処理方法であって、
前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記基板へのエッチング液の供給時間に応じて、前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部への前記着液位置の移動速度を決定するスキャン速度決定工程と、
前記基板主面を通る回転軸線まわりに前記基板を回転させると共に、前記着液位置が前記スキャン速度決定工程で決定された前記移動速度で前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部に移動するように、ノズルからエッチング液を吐出させながら前記ノズルを移動させるスキャン工程と、
前記回転軸線まわりに前記基板を回転させると共に、前記着液位置を前記基板主面の中央部に位置させた状態で前記基板主面へのエッチング液の供給を継続するセンター吐出工程とを含み、
前記スキャン速度決定工程は、前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記エッチング液の供給時間と前記着液位置の移動速度との対応関係を示すテーブル、または、前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記エッチング液の供給時間と前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部までの前記着液位置の移動時間との対応関係を示すテーブルから、前記着液位置の移動速度を決定する工程であり、
前記テーブルは、前記テーブルから決定された前記着液位置の移動速度で前記スキャン工程およびセンター吐出工程が行われたときのエッチングの均一度を含み、
前記スキャン速度決定工程は、前記スキャン工程およびセンター吐出工程が行われる前に、前記テーブルに含まれる前記エッチングの均一度が許容範囲内か否かを判断する工程を含む基板処理方法。
【請求項3】
前記テーブルは、前記センター吐出工程において基板に供給されるエッチング液の供給流量ごとに設けられた複数のルックアップテーブルを含み、
前記スキャン速度決定工程は、前記複数のルックアップテーブルのうちでエッチング液の供給流量が最も小さいときのルックアップテーブルから順番に、前記エッチングの均一度が許容範囲内になる前記着液位置の移動速度を検索する工程と、前記エッチングの均一度が許容範囲内になる前記着液位置の移動速度が見つかると前記着液位置の移動速度の検索を停止する工程と、見つかった前記着液位置の移動速度を、前記スキャン工程における前記着液位置の移動速度として決定する工程と、を含む、請求項に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記スキャン速度決定工程は、前記基板主面の周縁部と前記基板主面の中央部との間の複数の区間ごとに前記着液位置の移動速度を決定する工程である、請求項1〜のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記スキャン速度決定工程は、前記基板主面の周縁部と前記基板主面の中央部との間の複数の区間ごとに設定された複数の移動速度を示すテーブルから、前記基板主面の周縁部と前記基板主面の中央部との間の複数の区間ごとに前記着液位置の移動速度を決定する、請求項に記載の基板処理方法。
【請求項6】
ノズルから吐出されたエッチング液が着液する着液位置を基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部に移動させた後、前記着液位置を前記基板主面の中央部に位置させた状態で前記基板主面へのエッチング液の供給を継続する基板処理装置であって、
前記基板を保持すると共に、前記基板主面を通る回転軸線まわりに前記基板を回転させる基板保持回転手段と、
前記基板保持回転手段に保持されている前記基板の主面に向けてエッチング液を吐出するノズルを含むエッチング液供給手段と、
前記ノズルを移動させることにより、前記着液位置を前記基板の主面内で移動させるノズル移動手段と、
前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記エッチング液の供給時間と前記着液位置の移動速度との対応関係を示すテーブル、または、前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記エッチング液の供給時間と前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部までの前記着液位置の移動時間との対応関係を示すテーブルが記憶された記憶装置を含み、前記基板保持回転手段、エッチング液供給手段、およびノズル移動手段を制御する制御手段とを含み、
前記制御手段は、
前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部への前記着液位置の移動速度を前記テーブルから決定するスキャン速度決定工程と、
前記基板保持回転手段によって前記回転軸線まわりに前記基板を回転させると共に、前記着液位置が前記スキャン速度決定工程で決定された前記移動速度で前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部に移動するように、前記ノズルからエッチング液を吐出させながら前記ノズル移動手段によって前記ノズルを移動させるスキャン工程と、
前記基板保持回転手段によって前記回転軸線まわりに前記基板を回転させると共に、前記着液位置を前記基板主面の中央部に位置させた状態で前記基板主面へのエッチング液の供給を継続するセンター吐出工程とを行う、基板処理装置。
【請求項7】
ノズルから吐出されたエッチング液が着液する着液位置を基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部に移動させた後、前記着液位置を前記基板主面の中央部に位置させた状態で前記基板主面へのエッチング液の供給を継続する基板処理装置であって、
前記基板を保持すると共に、前記基板主面を通る回転軸線まわりに前記基板を回転させる基板保持回転手段と、
前記基板保持回転手段に保持されている前記基板の主面に向けてエッチング液を吐出するノズルを含むエッチング液供給手段と、
前記ノズルを移動させることにより、前記着液位置を前記基板の主面内で移動させるノズル移動手段と、
前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記エッチング液の供給時間と前記着液位置の移動速度との対応関係を示すテーブル、または、前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記エッチング液の供給時間と前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部までの前記着液位置の移動時間との対応関係を示すテーブルが記憶された記憶装置を含み、前記基板保持回転手段、エッチング液供給手段、およびノズル移動手段を制御する制御手段とを含み、
前記制御手段は、
前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部への前記着液位置の移動速度を前記テーブルから決定するスキャン速度決定工程と、
前記基板保持回転手段によって前記回転軸線まわりに前記基板を回転させると共に、前記着液位置が前記スキャン速度決定工程で決定された前記移動速度で前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部に移動するように、前記ノズルからエッチング液を吐出させながら前記ノズル移動手段によって前記ノズルを移動させるスキャン工程と、
前記基板保持回転手段によって前記回転軸線まわりに前記基板を回転させると共に、前記着液位置を前記基板主面の中央部に位置させた状態で前記基板主面へのエッチング液の供給を継続するセンター吐出工程とを行い、
前記テーブルは、前記テーブルから決定された前記着液位置の移動速度で前記スキャン工程およびセンター吐出工程が行われたときのエッチングの均一度を含み、
前記スキャン速度決定工程は、前記スキャン工程およびセンター吐出工程が行われる前に、前記テーブルに含まれる前記エッチングの均一度が許容範囲内か否かを判断する工程を含む基板処理装置。
【請求項8】
前記テーブルは、前記センター吐出工程において基板に供給されるエッチング液の供給流量ごとに設けられた複数のルックアップテーブルを含み、
前記スキャン速度決定工程は、前記複数のルックアップテーブルのうちでエッチング液の供給流量が最も小さいときのルックアップテーブルから順番に、前記エッチングの均一度が許容範囲内になる前記着液位置の移動速度を検索する工程と、前記エッチングの均一度が許容範囲内になる前記着液位置の移動速度が見つかると前記着液位置の移動速度の検索を停止する工程と、見つかった前記着液位置の移動速度を、前記スキャン工程における前記着液位置の移動速度として決定する工程と、を含む、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記スキャン速度決定工程において、前記基板主面の周縁部と前記基板主面の中央部との間の複数の区間ごとに前記着液位置の移動速度を決定する、請求項6〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記基板主面の周縁部と前記基板主面の中央部との間の複数の区間ごとに設定された複数の移動速度を示すテーブルが記憶された記憶装置を含み、前記スキャン速度決定工程において、前記テーブルから、前記基板主面の周縁部と前記基板主面の中央部との間の複数の区間ごとに前記着液位置の移動速度を決定する、請求項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転している基板の表面または裏面にエッチング液を供給してエッチング処理を施す基板処理方法、および、この基板処理方法を行う基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の基板処理装置は、ウエハを水平に保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックに保持されたウエハに処理液を供給する給液ノズルとを含む。
給液ノズルは、保持部に保持されている。保持部は回転支軸に支持され、回転支軸は正・逆回転モータの回転軸に連結されている。また、給液ノズルには、給液配管が接続され、給液配管には、エッチング液供給部に接続されたエッチング液供給管が接続されている。給液ノズルには、エッチング液が供給される。給液ノズルから吐出されたエッチング液は、スピンチャックが基板を回転させている状態で基板に供給される。
【0003】
具体的には、正・逆回転モータは、給液ノズルがエッチング液を吐出している状態で、ウエハの上面に対するエッチング液の着液位置が基板の周縁部から基板の中央部に移動するように、給液ノズルを回動させる(スキャン工程)。そして、エッチング液の着液位置がウエハの中央部まで移動すると、正・逆回転モータは、給液ノズルの回動を停止させる。給液ノズルからウエハの中央部へのエッチング液の吐出は、給液ノズルの回動が停止した後も所定時間継続される(センター吐出工程)。正・逆回転モータは、給液ノズルからのエッチング液の吐出が停止された後、正・逆回転モータの回転軸を逆方向に回動させて、給液ノズルをウエハの上方から退避させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−336761号公報
【特許文献2】特開平11−307492号公報
【特許文献3】特開2013−4705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の基板処理装置は、センター吐出工程における基板主面の周縁部と基板主面の中央部とのエッチング量の差、および、スキャン工程における基板主面の周縁部と基板主面の中央部とのエッチング量の差に着目して、エッチング処理を行っている。
より具体的に、センター吐出工程において基板主面に供給されたエッチング液の温度は、気化熱の影響により、基板主面の周縁部に向かうにしたがって低下する。そのため、基板主面の中央部は基板主面の周縁部よりも深くエッチングされ、基板主面の周縁部から基板主面の中央部に向かって同心円状にエッチング量は多くなる。これとは反対に、スキャン工程では、基板主面の周縁部は、基板主面の中央部よりも長時間、エッチング液に接するので、基板主面の中央部よりも深くエッチングされ、基板主面の中央部から基板主面の周縁部に向かって同心円状にそのエッチング量は多くなる。
【0006】
特許文献1の基板処理装置は、エッチング量の差を相殺するために、スキャン工程とセンター吐出工程とを行っている。したがって、センター吐出工程だけを行った場合よりもエッチングの均一性を高めることができる。
しかしながら、センター吐出工程でのエッチング液の供給条件(センター吐出条件)が変わると、センター吐出工程によって得られるエッチング状態(エッチング量の分布)も変化する。したがって、スキャン速度などのスキャン工程でのエッチング液の供給条件(スキャン条件)をセンター吐出条件の変化に応じて変更しないと、最終的なエッチングの均一性が低下してしまう場合がある。特許文献1の基板処理装置では、このような点が考慮されていないので、エッチング条件によっては均一性が低下する場合がある。
【0007】
また、基板に形成されるデバイスの高度化に伴い、エッチングの均一性の要求が高まっている。要求されるエッチング量は様々であり、各エッチング量において均一にエッチングすることが求められる。
特許文献2には、一定の計算式(V1=V0/R)に従い、スキャン速度を変化させる方法が開示されている。同様に、特許文献3には、一定の計算式(V(r)×Ra=一定)に従い、スキャン速度を変化させる方法が開示されている。
【0008】
従来より、基板周縁部のエッチング量が基板中央部のエッチング量よりも減少し、エッチングの均一性が悪化することが知られている。特許文献2または特許文献3に記載の方法を採用すれば、基板周縁部のエッチング量の低下によるエッチングの均一性の悪化を緩和できるかもしれない。
【0009】
しかしながら、基板中央部のエッチング量と基板周縁部のエッチング量との差は、前記のような一律の関係式で相殺できるものではない。また、基板周縁部におけるエッチングの挙動は、エッチング条件ごとに異なる。よって、現実的には実験を通じて基板周縁部のエッチング量の低下を抑える条件を見出す必要がある。
【0010】
特許文献2および特許文献3に記載の従来の方法は、本発明とは異なり、こうした要求に応えていない。
さらに、これらの方法は、スキャン速度を連続的に変化させている。スキャン速度が連続的に変化する場合、スキャン速度が一定である場合またはスキャン速度が段階的に変化する場合に比べて、制御が複雑化する。したがって、スキャン速度は、一定または段階的に変化することが好ましい。
【0011】
そこでこの発明は、センター吐出条件の変化に応じて、スキャン条件を調整することにより、基板主面に対して均一性の高いエッチング処理ができる基板処理方法、および、この基板処理方法を行う基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、エッチング液が着液する着液位置を基板(W)主面の周縁部から前記基板主面の中央部に移動させた後、前記着液位置を前記基板主面の中央部に位置させた状態で前記基板主面へのエッチング液の供給を継続する基板処理方法であって、前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記基板へのエッチング液の供給時間に応じて、前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部への前記着液位置の移動速度を決定するスキャン速度決定工程と、前記基板主面を通る回転軸線(L1)まわりに前記基板を回転させると共に、前記着液位置が前記スキャン速度決定工程で決定された前記移動速度で前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部に移動するように、ノズル(31)からエッチング液を吐出させながら前記ノズルを移動させるスキャン工程と、前記回転軸線まわりに前記基板を回転させると共に、前記着液位置を前記基板主面の中央部に位置させた状態で前記基板主面へのエッチング液の供給を継続するセンター吐出工程とを含み、前記スキャン速度決定工程は、前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記エッチング液の供給時間と前記着液位置の移動速度との対応関係を示すテーブル、または、前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記エッチング液の供給時間と前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部までの前記着液位置の移動時間との対応関係を示すテーブルから、前記着液位置の移動速度を決定する工程である、基板処理方法である。エッチング液の供給条件は、エッチング液の濃度、エッチング液の温度、エッチング液の供給時間、およびエッチング液の種類のうちの少なくとも一つである。
【0013】
なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、特許請求の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下、この項において同じ。
この発明によれば、ノズルから吐出されたエッチング液が、回転軸線まわりに回転している基板に供給される。具体的には、基板主面に対するエッチング液の着液位置が、基板主面の周縁部から基板主面の中央部まで所定の移動速度で移動するようにノズルが駆動される(スキャン工程)。その後、着液位置が基板主面の中央部に位置している状態でノズルからのエッチング液の吐出が継続される(センター吐出工程)。スキャン工程での着液位置の移動速度(スキャン速度)は、着液位置が基板主面の中央部に位置している状態での基板へのエッチング液の供給条件、つまり、センター吐出工程でのエッチング液の供給条件(センター吐出条件)に応じて予め決定される(スキャン速度決定工程)。したがって、センター吐出条件が変更されたとしても、それに応じたスキャン工程が行われるので、基板主面の全域を均一にエッチングできる。これにより、全てのエッチング条件で基板の面内均一性を高めることができる。
【0014】
さらに、この発明によれば、エッチング液の供給時間に応じたスキャン速度が決定される。そのため、スキャン工程によって得られるエッチング量の分布を、センター吐出工程によって得られるエッチング量の分布に応じて変化させることができる。これにより、基板のエッチング量の面内均一性を確実に高めることができる。さらに、エッチング液の供給時間は、線形的に変化するパラメータ(変数)であるために、着液位置の移動速度を求める演算を容易にできる。
【0015】
さらに、この発明によれば、エッチング液の供給時間と着液位置の移動速度(スキャン速度)との対応関係を示すテーブルからスキャン速度が決定される。すなわち、エッチング液の供給時間とスキャン速度との対応関係が予め求められているので、エッチング液の供給時間に応じて適切なスキャン速度を決定できる。
【0017】
さらに、この発明によれば、エッチング液の供給時間と着液位置の移動時間との対応関係を示すテーブルからスキャン速度が決定される。すなわち、エッチング液の供給時間とスキャン時間との対応関係が予め求められているので、エッチング液の供給時間に応じて適切なスキャン速度を決定できる。
【0018】
請求項に記載の発明は、エッチング液が着液する着液位置を基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部に移動させた後、前記着液位置を前記基板主面の中央部に位置させた状態で前記基板主面へのエッチング液の供給を継続する基板処理方法であって、前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記基板へのエッチング液の供給時間に応じて、前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部への前記着液位置の移動速度を決定するスキャン速度決定工程と、前記基板主面を通る回転軸線まわりに前記基板を回転させると共に、前記着液位置が前記スキャン速度決定工程で決定された前記移動速度で前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部に移動するように、ノズルからエッチング液を吐出させながら前記ノズルを移動させるスキャン工程と、前記回転軸線まわりに前記基板を回転させると共に、前記着液位置を前記基板主面の中央部に位置させた状態で前記基板主面へのエッチング液の供給を継続するセンター吐出工程とを含み、前記スキャン速度決定工程は、前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記エッチング液の供給時間と前記着液位置の移動速度との対応関係を示すテーブル、または、前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記エッチング液の供給時間と前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部までの前記着液位置の移動時間との対応関係を示すテーブルから、前記着液位置の移動速度を決定する工程であり、前記テーブルは、前記テーブルから決定された前記着液位置の移動速度で前記スキャン工程およびセンター吐出工程が行われたときのエッチングの均一度を含み、前記スキャン速度決定工程は、前記スキャン工程およびセンター吐出工程が行われる前に、前記テーブルに含まれる前記エッチングの均一度が許容範囲内か否かを判断する工程を含む、基板処理方法である
【0019】
請求項に記載の発明のように、前記テーブルは、前記センター吐出工程において基板に供給されるエッチング液の供給流量ごとに設けられた複数のルックアップテーブルを含んでいてもよい。前記スキャン速度決定工程は、前記複数のルックアップテーブルのうちでエッチング液の供給流量が最も小さいときのルックアップテーブルから順番に、前記エッチングの均一度が許容範囲内になる前記着液位置の移動速度を検索する工程と、前記エッチングの均一度が許容範囲内になる前記着液位置の移動速度が見つかると前記着液位置の移動速度の検索を停止する工程と、見つかった前記着液位置の移動速度を、前記スキャン工程における前記着液位置の移動速度として決定する工程と、を含んでいてもよい。
【0020】
請求項に記載の発明は、前記スキャン速度決定工程は、前記基板主面の周縁部と前記基板主面の中央部との間の複数の区間ごとに前記着液位置の移動速度を決定する工程である、請求項1〜のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
【0021】
この発明によれば、基板主面の周縁部と基板主面の中央部との間の複数の区間ごとにスキャン速度が決定される。つまり、着液位置が基板主面の中央部に向かって移動している途中でスキャン速度が変更される。センター吐出工程だけが行われたときのエッチング量の分布は、基板の回転半径方向への距離に対してほぼ一定の割合で変化する場合もあれば、その変化の割合が途中で大幅に変化する場合もある。したがって、このような場合であっても、スキャン速度を複数の区間ごとに決定することにより、基板のエッチング量の面内均一性をさらに確実に高めることができる。
【0022】
請求項に記載の発明のように、前記スキャン速度決定工程は、前記基板主面の周縁部と前記基板主面の中央部との間の複数の区間ごとに設定された複数の移動速度を示すテーブルから、前記基板主面の周縁部と前記基板主面の中央部との間の複数の区間ごとに前記着液位置の移動速度を決定してもよい。
【0023】
請求項に記載の発明は、ノズル(31)から吐出されたエッチング液が着液する着液位置を基板(W)主面の周縁部から前記基板主面の中央部に移動させた後、前記着液位置を前記基板主面の中央部に位置させた状態で前記基板主面へのエッチング液の供給を継続する基板処理装置であって、前記基板を保持すると共に、前記基板主面を通る回転軸線(L1)まわりに前記基板を回転させる基板保持回転手段(2)と、前記基板保持回転手段に保持されている前記基板の主面に向けてエッチング液を吐出するノズルを含むエッチング液供給手段(3)と、前記ノズルを移動させることにより、前記着液位置を前記基板の主面内で移動させるノズル移動手段(4)と、前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記エッチング液の供給時間と前記着液位置の移動速度との対応関係を示すテーブル、または、前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記エッチング液の供給時間と前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部までの前記着液位置の移動時間との対応関係を示すテーブルが記憶された記憶装置を含み、前記基板保持回転手段、エッチング液供給手段、およびノズル移動手段を制御する制御手段(6)とを含み、前記制御手段は、前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部への前記着液位置の移動速度を前記テーブルから決定するスキャン速度決定工程と、前記基板保持回転手段によって前記回転軸線まわりに前記基板を回転させると共に、前記着液位置が前記スキャン速度決定工程で決定された前記移動速度で前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部に移動するように、前記ノズルからエッチング液を吐出させながら前記ノズル移動手段によって前記ノズルを移動させるスキャン工程と、前記基板保持回転手段によって前記回転軸線まわりに前記基板を回転させると共に、前記着液位置を前記基板主面の中央部に位置させた状態で前記基板主面へのエッチング液の供給を継続するセンター吐出工程とを行う、基板処理装置(1)である。この発明によれば、請求項1の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0026】
請求項に記載の発明は、ノズルから吐出されたエッチング液が着液する着液位置を基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部に移動させた後、前記着液位置を前記基板主面の中央部に位置させた状態で前記基板主面へのエッチング液の供給を継続する基板処理装置であって、前記基板を保持すると共に、前記基板主面を通る回転軸線まわりに前記基板を回転させる基板保持回転手段と、前記基板保持回転手段に保持されている前記基板の主面に向けてエッチング液を吐出するノズルを含むエッチング液供給手段と、前記ノズルを移動させることにより、前記着液位置を前記基板の主面内で移動させるノズル移動手段と、前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記エッチング液の供給時間と前記着液位置の移動速度との対応関係を示すテーブル、または、前記着液位置が前記基板主面の中央部に位置している状態での前記エッチング液の供給時間と前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部までの前記着液位置の移動時間との対応関係を示すテーブルが記憶された記憶装置を含み、前記基板保持回転手段、エッチング液供給手段、およびノズル移動手段を制御する制御手段とを含み、前記制御手段は、前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部への前記着液位置の移動速度を前記テーブルから決定するスキャン速度決定工程と、前記基板保持回転手段によって前記回転軸線まわりに前記基板を回転させると共に、前記着液位置が前記スキャン速度決定工程で決定された前記移動速度で前記基板主面の周縁部から前記基板主面の中央部に移動するように、前記ノズルからエッチング液を吐出させながら前記ノズル移動手段によって前記ノズルを移動させるスキャン工程と、前記基板保持回転手段によって前記回転軸線まわりに前記基板を回転させると共に、前記着液位置を前記基板主面の中央部に位置させた状態で前記基板主面へのエッチング液の供給を継続するセンター吐出工程とを行い、前記テーブルは、前記テーブルから決定された前記着液位置の移動速度で前記スキャン工程およびセンター吐出工程が行われたときのエッチングの均一度を含み、前記スキャン速度決定工程は、前記スキャン工程およびセンター吐出工程が行われる前に、前記テーブルに含まれる前記エッチングの均一度が許容範囲内か否かを判断する工程を含む、基板処理装置である
【0027】
請求項に記載の発明のように、前記テーブルは、前記センター吐出工程において基板に供給されるエッチング液の供給流量ごとに設けられた複数のルックアップテーブルを含んでいてもよい。前記スキャン速度決定工程は、前記複数のルックアップテーブルのうちでエッチング液の供給流量が最も小さいときのルックアップテーブルから順番に、前記エッチングの均一度が許容範囲内になる前記着液位置の移動速度を検索する工程と、前記エッチングの均一度が許容範囲内になる前記着液位置の移動速度が見つかると前記着液位置の移動速度の検索を停止する工程と、見つかった前記着液位置の移動速度を、前記スキャン工程における前記着液位置の移動速度として決定する工程と、を含んでいてもよい。
【0028】
請求項に記載の発明は、前記制御手段は、前記スキャン速度決定工程において、前記基板主面の周縁部と前記基板主面の中央部との間の複数の区間ごとに前記着液位置の移動速度を決定する、請求項6〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置である。この発明によれば、請求項の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0029】
請求項10に記載の発明のように、前記制御手段は、前記基板主面の周縁部と前記基板主面の中央部との間の複数の区間ごとに設定された複数の移動速度を示すテーブルが記憶された記憶装置を含んでいてもよい。前記制御手段は、前記スキャン速度決定工程において、前記テーブルから、前記基板主面の周縁部と前記基板主面の中央部との間の複数の区間ごとに前記着液位置の移動速度を決定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置に備えられた処理室内の構成を水平に見た模式図である。
図2図2は、この発明の第1実施形態に係るスピンチャックの模式的な平面図である。
図3図3は、この発明の第1実施形態に係る制御装置の機能的な構成を説明するためのブロック図である。
図4図4は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置によって行われる基板の処理工程の一例を説明するための工程図である。
図5図5は、この発明の第1実施形態に係るスキャン速度の設定工程の一例を説明するための工程図である。
図6図6は、この発明の第1実施形態に係る基板の表面のエッチング量の分布を示すグラフである。
図7図7は、この発明の第1実施形態に係る、エッチング処理時間と、基板の表面中央部および基板の表面周縁部のエッチング量の差との関係を示すグラフである。
図8図8は、この発明の第1実施形態に係るスキャン工程およびセンター吐出工程を行ったときの基板の表面のエッチング量の分布を示すグラフである。
図9図9は、この発明の第1実施形態に係るエッチング処理時間とスキャン速度との関係を表したグラフである。
図10図10は、この発明の他の実施形態に係るスキャン速度について説明するためのグラフである。
図11図11は、制御装置に記憶されているルックアップテーブルの一例を示す表である。
図12図12は、制御装置に記憶されているルックアップテーブルの他の例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置に備えられた処理室内の構成を水平に見た模式図である。図2は、この発明の第1実施形態に係るスピンチャックの模式的な平面図である。図3は、この発明の第1実施形態に係る制御装置の機能的な構成を説明するためのブロック図である。
【0032】
基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。処理が施される基板Wの主面は、デバイス形成面である表面であってもよいし、デバイスが形成されない他方の表面である裏面であってもよい。以下では、基板Wの表面が処理される例について説明する。
基板処理装置1は、スピンチャック2(基板保持回転手段)と、エッチング液供給機構3(エッチング液供給手段)と、ノズル移動機構4(ノズル移動手段)と、リンス液供給機構5(リンス液供給手段)と、制御装置6(制御手段)とを含む。スピンチャック2は、図示しない隔壁によって区画された処理室7内に収容されている。
【0033】
スピンチャック2は、基板Wを回転させるためのモータ21と、モータ21から鉛直に延びる筒状の回転軸22と、回転軸22の上端に取り付けられたスピンベース23と、スピンベース23上で基板Wを水平に挟む複数の基板挟持部材24とを含む。
回転軸22の下端は、モータ21に取り付けられている。すなわち、スピンベース23およびスピンベース23に保持された基板Wは、モータ21が駆動されることより、当該基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線L1まわりに一体的に回転する。なお、この実施形態では、複数の基板挟持部材24で基板Wを水平方向に挟んで当該基板Wを水平に挟持する挟持式のスピンチャック2を例示しているが、スピンチャック2は、基板Wの下面(裏面
)を吸着保持するバキューム式のチャックであってもよい。
【0034】
エッチング液供給機構3は、エッチング液ノズル31と、エッチング液供給配管32と、エッチング液バルブ33とを含む。エッチング液供給配管32は、エッチング液ノズル31に接続されている。エッチング液バルブ33は、エッチング液供給配管32に介装されている。
エッチング液バルブ33が開かれると、エッチング液供給配管32からエッチング液ノズル31にエッチング液が供給される。また、エッチング液バルブ33が閉じられると、エッチング液供給配管32からエッチング液ノズル31へのエッチング液の供給が停止される。エッチング液ノズル31から吐出されたエッチング液は、スピンチャック2に保持された基板Wの表面(上面)に供給される。
【0035】
エッチング液供給機構3から基板Wに供給されるエッチング液は、フッ酸(フッ化水素酸)やDHF(Dilute Hydrogen Fluoride)などのフッ化水素を含む液体である。エッチング液は、フッ酸およびDHFに限らず、TMAH(トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド)、BHF(Buffered Hydrogen Fluoride:バッファードフッ酸)、およびフッ硝酸、SC−1(ammonia-hydrogen peroxide mixture:アンモニア過酸化水素水)のいずれかであってもよい。
【0036】
ノズル移動機構4は、ノズルアーム41と、ノズルアーム41を駆動させるノズルアーム駆動機構42とを含む。ノズルアーム駆動機構42は、さらに、回動モータ43と、回動モータ43に回動可能に保持されたノズルアーム支持軸44とを含む(図2参照)。回動モータ43の駆動力は、ノズルアーム支持軸44を介してノズルアーム41に伝達される。
【0037】
ノズルアーム41の一端は、ノズルアーム支持軸44に回動可能に連結支持されている。また、ノズルアーム41の他端は、エッチング液ノズル31を保持している。ノズルアーム41は、回動モータ43が駆動されることにより、ノズルアーム支持軸44を通る鉛直な回動軸線L2まわりに回動する。これにより、エッチング液ノズル31も、ノズルアーム41の回動に応じて、回動軸線L2まわりに回動する。
【0038】
図2に示すように、ノズル移動機構4は、基板Wの表面に対するエッチング液の着液位置が、平面視で基板Wの表面周縁部と基板Wの表面中央部とを通る円弧状の軌跡Tに沿って移動するように、ノズルアーム41およびエッチング液ノズル31を移動させる。さらに、ノズル移動機構4は、ノズルアーム41およびエッチング液ノズル31が処理室7内の所定の退避位置と基板Wの表面に対向する領域との間を往復するように、ノズルアーム41およびエッチング液ノズル31を移動させる。
【0039】
リンス液供給機構5は、リンス液ノズル51と、リンス液供給配管52と、リンス液バルブ53とを含む。リンス液供給配管52は、リンス液ノズル51に接続されている。リンス液バルブ53は、リンス液供給配管52に介装されている。
リンス液バルブ53が開かれると、リンス液供給配管52からリンス液ノズル51にリンス液が供給される。また、リンス液バルブ53が閉じられると、リンス液供給配管52からリンス液ノズル51へのリンス液の供給が停止される。リンス液ノズル51から吐出されたリンス液は、スピンチャック2に保持された基板Wの表面中央部に供給される。
【0040】
リンス液供給機構5から基板Wに供給されるリンス液としては、純水(脱イオン水:De
ionized Water)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、または、希釈濃度(たとえば10〜100ppm程度)の塩酸水などを例示することができる。
図3に示すように、制御装置6は、CPU61(中央処理装置61)と、記憶装置62とを含み、指示部63と接続されている。また、制御装置6は、スピンチャック2、エッチング液供給機構3、ノズル移動機構4、および、リンス液供給機構5に接続されている。CPU61は、記憶装置62に記憶されたプログラムを順次実行して、諸々の機能を発揮する。また、CPU61は、指示部63からの入力信号に応じて、記憶装置62にデータを記憶させる。
【0041】
CPU61は、記憶装置62に記憶されたデータを読み込み、スピンチャック2、エッチング液供給機構3、ノズル移動機構4、および、リンス液供給機構5のそれぞれに対して指令を発する。より具体的に、CPU61は、スピンチャック2に対してモータ21の回転指令および回転停止指令、ならびに、基板Wの挟持指令および挟持解除指令等を発する。このとき、CPU61は、モータ21の回転速度、回転時間、および回転角等を制御する。また、CPU61は、エッチング液供給機構3に対してエッチング液の供給指令、供給停止指令等を発する。このとき、CPU61は、エッチング液の供給時間(エッチング処理時間)、エッチング液の流量等を制御する。また、CPU61は、ノズル移動機構4に対して、ノズルアーム41の回動指令、回動停止指令等を発する。このとき、CPU61は、ノズルアーム41の回動速度、回動時間、および回動範囲(回動角)等を制御する。そして、CPU61は、リンス液供給機構5に対して、リンス液の供給指令および供給停止指令等を発する。このとき、CPU61は、リンス液の供給時間およびリンス液の流量等を制御する。
【0042】
図3に示すように、記憶装置62には、基板Wの処理条件を示すレシピ64が記憶されている。記憶装置62には、さらに、エッチング処理時間とスキャン速度との関係を示すテーブル65が記憶されている。
レシピ64は、所定の基板処理工程を実行するための制御プログラムである。レシピ64には、たとえば、モータ21の回転速度、モータ21の回転時間、モータ21の回転角、エッチング処理時間、エッチング液の流量、ノズルアーム41の回動速度、ノズルアーム41の回動時間、ノズルアーム41の回動範囲、リンス液の供給時間、およびリンス液の流量等のうちの2つ以上を含む複数の条件が含まれている。
【0043】
図4は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置によって行われる基板Wの処理工程の一例を説明するための工程図である。
処理対象である基板Wは、図示しない基板搬送ロボットからスピンチャック2に渡される。このとき、スピンチャック2は回転停止状態に制御されている。基板Wは、挟持されていない状態で、基板挟持部材24に取り囲まれるようにスピンベース23上方において水平に載置される(基板搬入工程。ステップS1)。その後、基板搬送ロボットが退避すると共に、基板Wが基板挟持部材24に挟持される。その後、スピンチャック2のモータ21が駆動され、スピンベース23および基板Wが、回転軸線L1まわりに一体的に回転される(基板保持回転工程。ステップS2)。
【0044】
スピンベース23および基板Wの回転が開始された後、ノズルアーム41が、処理室7内の所定の退避位置から基板Wの表面周縁部に向けて回動される。そして、エッチング液ノズル31が基板Wの表面周縁部に対向する位置で、エッチング液バルブ33が開かれ、エッチング液ノズル31から基板Wの表面周縁部に対してエッチング液の吐出が開始される。そして、エッチング液ノズル31は、エッチング液の吐出を継続しながら、基板Wの表面周縁部に上下方向に対向する位置から基板Wの表面中央部に上下方向に対向する位置に所定の回動速度(スキャン速度)で回動される。これに応じて、エッチング液の着液位置も基板Wの表面周縁部から基板Wの表面中央部に所定のスキャン速度で回動される。これにより、基板Wの表面に対してエッチング処理が施される(スキャン工程。ステップS3)。
【0045】
所定のスキャン速度でスキャン工程が行われた後、エッチング液ノズル31は、基板Wの表面中央部に対向する位置でエッチング液の吐出を所定の時間継続する。すなわち、エッチング液の着液位置が基板Wの表面中央部に位置する状態で、基板Wの表面にエッチング処理が施される(センター吐出工程。ステップS4)。
スキャン工程およびセンター吐出工程において基板Wの表面に供給されたエッチング液は、基板Wの回転に伴う遠心力によって基板Wの表面中央部から基板Wの表面周縁部に向けて拡がる。そして、エッチング液の化学的作用によって基板Wの表面全域にエッチング処理が施される(エッチング工程)。
【0046】
所定時間にわたってセンター吐出工程が行われた後、エッチング液バルブ33は閉じられ、エッチング液ノズル31からのエッチング液の吐出が終了される。次いで、ノズルアーム41は、基板Wの表面中央部から処理室7内の所定の退避位置に向けて回動して退避する。基板Wへのエッチング液の供給が停止された後、リンス液バルブ53が開かれることによって、リンス液ノズル51から基板Wの表面中央部に対してリンス液が供給される。供給されたリンス液は、基板Wの回転により生じる遠心力によって基板Wの表面の全域に拡がり、基板Wの表面全域にわたって、エッチング液を置換して洗い流す(リンス工程。ステップS5)。
【0047】
所定のリンス処理時間にわたってリンス液が供給された後、リンス液バルブ53が閉じられ、リンス液の供給が停止される。次いで、スピンベース23が、エッチング工程およびリンス工程での回転速度よりも高速な回転速度まで加速される。基板Wに付着している液体は、基板Wの高速回転によってその周囲に振り切られる。このようにして、乾燥工程(スピンドライ工程。ステップS6)が実行され、基板Wが乾燥する。
【0048】
所定の乾燥処理時間にわたってスピンドライ工程が実行された後、スピンチャック2の回転が停止される。スピンチャック2が停止された後、基板挟持部材24による基板Wの挟持が解除される。その後、スピンチャック2上の基板Wが、図示しない基板搬送ロボットによって持ち上げられ、処理室7内から搬出される。(基板搬出工程。ステップS7)
【0049】
図5は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置1によって行われるスキャン速度の設定工程の一例を説明するための工程図である。
基板Wにエッチング液が供給されるエッチング処理時間、つまり、エッチング液ノズル31から基板Wに向けてエッチング液が吐出されている時間(前述のスキャン工程とセンター吐出工程との和)は、たとえば、ユーザが指示部63(たとえば、タッチパネルなどの表示・入力装置)を操作することにより設定または変更される。
【0050】
たとえばエッチング処理時間が変更されると、制御装置6のCPU61は、変更後のエッチング処理時間を確認する(処理条件確認工程。ステップS8)。制御装置6の記憶装置62には、後述する方法で決定された最適なスキャン速度がテーブル65(図3参照)として記憶されている。なお、エッチング処理時間と最適なスキャン速度との関係は、エッチングの均一性を可能な限り向上させたデータ系列として記憶されており、後述の図9に最適値の一例がまとめられている。CPU61は、このテーブル65を参照して、変更されたエッチング処理時間に対応するスキャン速度(基板Wの表面に対するエッチング液の着液位置の移動速度)を選択し決定する(スキャン速度決定工程。ステップS9)。
【0051】
そして、CPU61は、レシピ64に設定されているスキャン速度を、選択したスキャン速度に置き換える。したがって、前述の基板Wの処理工程の一例は、エッチング処理時間に対応した適切な値にスキャン速度が設定されている状態で行われる。
テーブル65に含まれるスキャン速度の値は、エッチング処理時間に応じて決定される値であり、センター吐出工程だけが行われたときのエッチング量の分布(具体的には、中央部と周縁部のエッチング量の差)に基づいて設定されている。したがって、以下では、センター吐出工程だけが行われたときのエッチング量の分布について説明する。
【0052】
図6は、この発明の第1実施形態に係る基板Wの表面のエッチング量の分布を示すグラフである。図6の縦軸は、基板Wの表面のエッチング量であり、図6の横軸は、基板Wの中心を基準とする基板Wの半径方向の距離である。
図6のグラフは、エッチング処理時間を一定にして、エッチング液の流量を変化させた場合における基板Wの表面のエッチング量の分布を表している。図6において折れ線で示す4つの測定値は、同一のエッチング条件の下でエッチング液の流量だけを変えた場合における基板Wのエッチング量の分布を示している。4つの測定値のエッチング液の流量は、2.0L/min,1.5L/min,1.0L/min,0.5L/minである。各折れ線は、共通の直径上の複数の位置におけるエッチング量を結んだものである。
【0053】
図6の4つの測定値によれば、全ての条件において、基板Wの表面中央部は、基板Wの表面周縁部よりもエッチング量が多くなっている。また、基板Wの表面中央部のエッチング量に着目すると、各条件におけるエッチング量に大きな差は見られない。これに対して、基板Wの表面周縁部のエッチング量に着目すると、エッチング液の流量が多くなるのに伴い、エッチング量も多くなっている。つまり、基板Wの表面周縁部のエッチング量は、エッチング液の流量が2.0L/minのときが最も大きく、エッチング液の流量が0.5L/minのときが最も小さい。
【0054】
図6のグラフによれば、エッチング量が、基板Wの表面中央部から基板Wの表面周縁部に向けてほぼ直線的に減少していることが分かる。すなわち、エッチング量は、基板Wの表面周縁部から基板Wの表面中央部に向かうにつれて同心円状に、かつ、直線的に多くなることが分かる。
また、エッチング液の流量を少なくする(省液)に伴い、基板Wの表面周縁部のエッチング量は基板Wの表面中央部のエッチング量よりも少なくなることが分かる。すなわち、省液に応じて、基板Wの表面中央部(Center)と基板Wの表面周縁部(Edge)とのエッチング量の差(C−Eエッチング量の差)は大きくなり、エッチングの均一性が低下していることが分かる。
【0055】
図7は、エッチング処理時間と、基板の表面中央部および基板の表面周縁部のエッチング量の差との関係を示すグラフである。図7のグラフは、エッチング処理時間を変化させた場合における図6のC−Eエッチング量の差(基板Wの表面中央部(Center)と基板Wの表面周縁部(Edge)とのエッチング量の差)の変化を表している。図7の縦軸は、C−Eエッチング量の差であり、図7の横軸は、エッチング処理時間である。図7は、エッチング液の流量を0.5L/minに固定した場合のC−Eエッチング量の差を示す測定値(実測値)と、当該測定値を直線近似した近似値を示す。なお、この近似直線は、最小二乗法を用いて測定値を直線近似したものである。
【0056】
図7のグラフによれば、センター吐出工程だけが行われたときのC−Eエッチング量の差は、エッチング処理時間の増加に伴って概ね一定の割合で増加していることが分かる。つまり、C−Eエッチング量の差とエッチング処理時間とは、実質的に一次関数の関係にある。したがって、任意のエッチング処理時間におけるC−Eエッチング量の差を、演算によって求めることができる。
【0057】
このように、C−Eエッチング量の差とエッチング処理時間とが、実質的に一次関数の関係にあるので、制御装置6は、エッチング処理時間に応じてスキャン速度を変更することにより、基板Wの上面全域を均一にエッチングすることができる。たとえばエッチング処理時間が増加すると、センター吐出工程におけるC−Eエッチング量の差も増加するので、制御装置6は、スキャン速度を遅くすることにより、基板Wの上面全域を均一にエッチングすることができる。また、エッチング処理時間が減少すると、センター吐出工程におけるC−Eエッチング量の差も減少するので、制御装置6は、スキャン速度を速くすることにより、基板Wの上面全域を均一にエッチングすることができる。
【0058】
このように、エッチング液の着液位置を基板Wの上面中央部に固定するセンター吐出工程だけを行うと、基板Wの中央部のエッチング量が、基板Wの周縁部のエッチング量よりも多くなる。その一方で、エッチング液の着液位置を基板Wの周縁部から基板Wの中央部に移動させるスキャン工程だけを行うと、基板Wの中央部のエッチング量が、基板Wの周縁部のエッチング量よりも少なくなる。したがって、センター吐出工程およびスキャン工程の両方を行うと、センター吐出工程によって生じたC−Eエッチング量の差と、スキャン工程によって生じたC−Eエッチング量の差とが相殺され、エッチングの均一性が高まる。
【0059】
図8は、この発明の第1実施形態に係るスキャン工程およびセンター吐出工程を行ったときの基板の表面のエッチング量の分布を示すグラフである。図8の縦軸は、基板Wの表面のエッチング量であり、図8の横軸は、基板Wの中心を基準とする基板Wの半径方向の距離である。
【0060】
図8において折れ線で示す3つの測定値に係るスキャン工程およびセンター吐出工程におけるエッチング液の流量は、0.5L/minとしている。また、3つの測定値に係るスキャン工程時のスキャン速度は、第1速度、第2速度、および、第3速度である。第1速度は、第2速度よりも低速であり、第2速度は、第3速度よりも低速である(第1速度<第2速度<第3速度)。各折れ線は、共通の直径上の複数の位置におけるエッチング量を結んだものである
図6図8とを比較すると分かるように、スキャン工程およびセンター吐出工程が行われる図8のいずれの条件において、エッチングの均一性が、センター吐出工程だけを行った場合よりも向上している。すなわち、エッチング処理時間に応じて決定されたスキャン速度でスキャン工程を行うことにより、センター吐出工程だけを行った場合よりも、基板Wの表面が平坦化されている。
【0061】
また、図8に示すように、第1速度および第2速度でスキャン工程を行った場合のエッチングの均一性は、第3速度でスキャン工程を行った場合のエッチングの均一性よりも悪い。これは、第1速度および第2速度が最適値よりも遅いため、基板Wの表面周縁部でのエッチング量が増加し、C−Eエッチング量の差が逆転し、大きくなっていることが原因であると考えられる。そのため、第1速度および第2速度よりも高速の第3速度では、エッチングの均一性が向上している。
【0062】
図9は、この発明の第1実施形態に係るエッチング処理時間とスキャン速度との関係を表したグラフである。
図9で示された折れ線は、図4に示す基板Wの処理工程において、エッチングが均一に行われるときのエッチング処理時間とスキャン速度との関係を示している。図9の折れ線は、テーブル65を構成するテーブルデータとして制御装置6(記憶装置62)に記憶されている。つまり、テーブル65は、図9の折れ線に基づいて作成されたものである。
【0063】
図9において、任意のエッチング処理時間Tを選択した場合、エッチングの均一性が最もよいスキャン速度はV1であることが分かる。また、このスキャン速度V1および着液位置の移動距離(基板Wの半径)に基づいてスキャン時間T1が算出される。そして、エッチング処理時間Tからこのスキャン時間T1を差し引くことにより、スキャン速度(スキャン時間)に対応したセンター吐出時間T2(=T−T1)が求められる。したがって、テーブル65内の値をエッチング処理時間およびスキャン速度として採用することにより、最適なスキャン速度に対応したセンター吐出時間を求めることができる。
【0064】
なお、エッチング処理時間およびスキャン時間をテーブル65として制御装置6に記憶してもよい。この場合、スキャン速度は、エッチング処理時間とエッチング液の着液位置の移動時間との対応関係を示すテーブル65に基づき算出される。
【0065】
図6に示すように、基板Wの表面に供給されるエッチング液の流量を増やすと、表面中央部のエッチング量はほぼ一定だが、表面中央部と表面周縁部とのエッチング量の差(C−Eエッチング量の差)が減少し、エッチングの均一性が向上する。一方で、薬液等の処理液の消費を減らしたいというユーザニーズがある。したがって、この相反する要求(均一性の向上と消費量の低減)の妥協点を探す必要がある。
【0066】
エッチング液の供給流量が異なると、図9のT−V1の関係(エッチング処理時間−スキャン速度の関係)も異なる場合がある。そのため、図3に示すように、制御装置6は、エッチング液の供給流量ごとに設けられた複数のテーブル65(ルックアップテーブル)を記憶装置62に記憶している。各テーブル65は、実験的に求められたT−V1関係式に基づいて作成されたものである。
【0067】
たとえばエッチング液の供給流量が与えられている場合、制御装置6は、そのエッチング液の供給流量に対応するT−V1曲線を格納したルックアップテーブルを参照する。
【0068】
図11に示すように、各ルックアップテーブルは、T−V1データ(各エッチング処理時間とこれに対応するスキャン速度)を格納している。各ルックアップテーブルは、エッチングの均一度σの測定データを格納していることが望ましい。エッチングの均一度σは、T−V1曲線から求められる最適なスキャン速度V1で図4に示す処理プロセスを行ったときの実験値である。エッチングの均一度σは、エッチング量の最大値からエッチング量の最小値を引いた値、またはエッチング量の偏差である。
【0069】
エッチングの均一度σがルックアップテーブルに格納されている場合、制御装置6は、あるスキャン速度により行われる処理プロセスが所望の均一度要件に合致するか否かを、処理プロセスを実行する前に判断できる。
【0070】
具体的には、エッチング液の供給流量が事前に与えられていない場合、制御装置6は、低流量(たとえば0.5L/min)についてのT−V1データを格納したルックアップテーブルを参照し、与えられたエッチング処理時間Tに対応する均一度σを求める。この際、エッチングの均一度σが許容範囲外(ユーザーにより要求される範囲外)ならば、制御装置6は、さらに高い流量についてのT−V1データを格納したルックアップテーブルを参照し、均一度σを求める。制御装置6は、均一度σが許容範囲内に収まる条件を見出すまで、同様の操作を繰り返す(大流量はたとえば4L/min)。
【0071】
制御装置6は、エッチングの均一度σが許容範囲内に収まるスキャン速度を見つけると、スキャン速度の検索を停止する。そして、制御装置6は、見つかったスキャン速度を、スキャン工程(図4のステップS3)におけるスキャン速度として決定する。したがって、エッチングの均一性を向上しながら、エッチング液の消費量を低減できる。
【0072】
以上のように本実施形態では、センター吐出工程における基板Wの表面のエッチング量の分布を調べることによって、スキャン時間およびスキャン速度の条件(スキャン条件)を定めることができる。その結果、基板Wの表面全域にわたって、均一性の高いエッチング処理を施すことができる。
【0073】
また、エッチング液の流量、濃度および温度、基板Wの回転速度、ならびに、基板Wの面積・大きさ等の条件が異なったとしても、その異なった条件に応じたセンター吐出工程におけるエッチング量の分布を調べることによって、その異なった条件ごとのスキャン条件を算出することができる。その結果、幅広いエッチング条件下においても、当該方法を採用することができる。これにより、幅広いエッチング条件下において、基板Wの表面全域にわたって、均一性の高いエッチング処理を施すことができる。
【0074】
さらに、制御装置6は、最適化されたスキャン条件およびセンター吐出条件を記憶装置62に記憶することができるので、記憶装置62に記憶された条件を再現することにより、複数枚の基板Wのそれぞれを均一に処理できる。
この発明の第1実施形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の第1実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0075】
たとえば、第1実施形態のスキャン工程では、ノズル移動機構4が円弧状の軌跡Tに沿ってエッチング液ノズル31を水平に移動させる場合について説明したが、ノズル移動機構4は、水平に延びる直線に沿ってエッチング液ノズル31を移動させてもよい。
また、前述の第1実施形態では、ノズル移動機構4が、円弧状の軌跡Tに沿ってエッチング液ノズル31を水平に移動させることにより、着液位置を基板Wの上面内で移動させる場合について説明したが、ノズル移動機構4は、エッチング液ノズル31の下端部を揺動させることにより、着液位置を基板Wの上面中央部と基板Wの上面周縁部との間で移動させてもよい。すなわち、着液位置の移動は、エッチング液ノズル31全体の移動によって行われてもよいし、エッチング液ノズル31の姿勢変更によって行われてもよい。
【0076】
また、第1実施形態のスキャン工程では、基板Wの表面に対するエッチング液の着液位置が一定の移動速度で移動するように、ノズル移動機構4がエッチング液ノズル31を移動させる場合について説明したが、着液位置が基板Wの表面中央部に向かって移動している途中で、着液位置の移動速度(スキャン速度)が変更されてもよい。すなわち、基板Wの表面周縁部と基板Wの表面中央部との間の複数の区間ごとにスキャン速度が決定されてもよい。
【0077】
具体的には、図10に示すように、着液位置が基板Wの表面周縁部を第1移動速度で移動し、その後、第1移動速度よりも高速の第2移動速度で着液位置が基板Wの表面中央部まで移動するように、ノズル移動機構4がエッチング液ノズル31を移動させてもよい。センター吐出工程だけが行われたときのエッチング量の分布は、図6に示すように、ほぼ一定の割合で変化する場合もあれば、図10に示すように、その変化の割合が途中で大幅に変化する場合がある。このような場合、制御装置6は、エッチング量の分布が変化した区間ごとにスキャン速度を決定することにより、基板Wのエッチング量の面内均一性を確実に高めることができる。
【0078】
なお、図10では、着液位置の移動速度(スキャン速度)が基板Wの上面中央部と基板Wの上面周縁部との間の2つの区間で変更される例が示されているが、スキャン速度は、基板Wの上面中央部と基板Wの上面周縁部との間の3つ以上の区間で変更されてもよい。
【0079】
以下では、「基板の周縁部Reから基板の中央部Rcまでスキャン速度を一定に維持すること」を「一段階走査」といい、「基板の周縁部Reと基板の中央部Rcとの間でスキャン速度を段階的に一回以上変化させること」を「多段階走査」という。多段階走査の典型例は、スキャン速度を一度だけ変化させる二段階走査である(図10参照)。図10に示すように、変化する前後の各スキャン速度は一定である。
【0080】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、以下のような多段階走査に対する要求の存在が考えられる。
【0081】
具体的には、エッチングされる薄膜の種類によっては、基板周縁部近傍におけるエッチング量の変化の度合いが大きい場合がある。また、たとえば450mmの大きい直径を有する大型基板においては、大きさが通常の基板よりも半径が大きいので、基板の周縁部に働く遠心力、および基板の周縁部の温度低下の影響が大きい。したがって、エッチング量の変化の度合いが大きい膜が形成された基板をエッチングする場合や、大型基板をエッチングする場合、一段階走査では、所望の均一度が得られないことがある。
【0082】
このような場合、制御装置6は、たとえば以下のように処理プロセスを行う。
具体的には、制御装置6は、先ず、処理する膜種・処理液情報から、一段階走査および二段階走査のいずれを行うかを判断する。判断情報は、ルックアップテーブルに格納されている。また、判断情報の値は、実験的に求められている。
【0083】
二段階走査が必要と判断された場合、制御装置6は、以下のように、速度変化位置Rm、第1スキャン速度V1、第2スキャン速度V2を決定する。速度変化位置Rmは、スキャン速度が変化する基板の表面内の位置である。第1スキャン速度V1は、基板の周縁Reから速度変化位置Rmまでのスキャン速度であり、一定の値である。第2スキャン速度V2は、速度変化位置Rmから基板の中央部Rcまでのスキャン速度であり、一定の値である。
【0084】
制御装置6は、まず、ルックアップテーブルを参照して、基板サイズ(たとえば、直径300mmまたは直径450mm)に応じて速度変化位置Rmを決定する。ルックアップテーブルには、各基板サイズに対応する速度変化位置Rmの固定値が格納されている。
次に、制御装置6は、図12に示すルックアップテーブルを参照して、第1スキャン速度V1および第2スキャン速度V2を決定する。図12に示すルックアップテーブルは、エッチング処理時間Tと第1スキャン速度V1および第2スキャン速度V2との関係を格納している。
【0085】
エッチング処理時間T=T2の場合、制御装置6は、図12に示すルックアップテーブルを参照して、第1スキャン速度V1の値をV12で表される固定値に決定し、第2スキャン速度V2の値をV22で表される固定値に決定する。
【0086】
また、エッチング処理時間T=X(T1<X<T2)の場合、制御装置6は、図12に示すルックアップテーブルを参照して、V11の値とV12の値とからV11とV12との間の値を補完して、補完により求められた値を第1スキャン速度V1に代入する。同様に、制御装置6は、図12に示すルックアップテーブルを参照して、V21の値とV22の値とからV21とV22との間の値を補完して、補完により求められた値を第2スキャン速度V2に代入する。
【0087】
エッチング処理時間は処理の内容に応じて増減する場合があるため、全てのエッチング条件についてルックアップテーブルを求めておくことは困難である。そのため、補完にて第1スキャン速度V1の値などを算出することで、多様な条件について対応できる。
【0088】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 基板処理装置
2 スピンチャック
3 ノズル移動機構
4 エッチング液供給機構
5 リンス液供給機構
6 制御装置
31 エッチング液ノズル
42 ノズルアーム駆動機構
61 CPU
62 記憶装置
65 テーブル
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12