(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定部は、前記充電上限時間設定部による充電上限時間と前記充電終了予定時間とを比較して、前記充電上限時間が前記充電終了予定時間を超えるものであれば、前記実時間カウントダウン算出部と前記SOCカウントダウン算出部による充電終了目安時間を比較して、大きい値の方を前記二次電池の充電終了目安時間に決定し、前記充電上限時間が充電終了予定時間未満であれば、前記充電上限時間設定部による充電上限時間より充電開始時からの経過時間を減算して実時間に基づいて求められる充電終了目安時間を前記二次電池の充電終了目安時間に決定することを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
前記二次電池は電動車輌用の電池であり、前記充電上限時間設定部は前記充電器側若しくは車輌側に設けられ、前記充電上限時間設定部は、前記充電器若しくは前記車輌と通信を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の充電システム。
前記第5ステップは、前記充電上限時間と前記充電終了予定時間とを比較して、前記充電上限時間が前記充電終了予定時間を超えるものであれば、前記第2ステップによる前記実時間に基づく充電終了目安時間と前記第3ステップによる前記SOCカウント時間を減算して得られる充電終了目安時間とを比較して、大きい値の方を前記二次電池の充電終了目安時間に決定する第6のステップと、
前記充電上限時間が充電終了予定時間未満であれば、前記第4のステップによる充電終了目安時間に決定する第7のステップと、を具備することを特徴とする請求項4記載の充電システムにおける充電終了目安時間演算方法。
【背景技術】
【0002】
近年、電動機により全部または一部の車輌駆動力を得る電動車輌(電気自動車およびハイブリッド自動車を含む)が普及してきている。
このような電動車輌に搭載される駆動用の二次電池において、当該二次電池の充電状態として二次電池の残容量を示すSOC(State・Of・Charge)を正確に把握することは、二次電池の過充電や過放電を防ぐと共に、走行時における二次電池の残容量を乗員に正確に伝えるという点において、非常に重要である。
【0003】
電気自動車の充電システムでは、充電する際に、充電器のモニタに充電率や充電終了までの残り時間等を表示している。表示されている充電終了までの残り時間は、充電開始時、車輌側が電池残量や温度、充電器の最大出力電流等から演算して求めた充電に要する最大時間を利用して表示している。当該表示される時間は、車輌側にとっては、充電に要する最大時間となり、充電器側にとっては、この時間経っても充電が終了しない場合にタイムアウトして充電を停止させるための指標時間となる。
【0004】
しかしながら、この表示時間を充電終了までの残り時間として表示しているため、充電開始時に表示される時間が実際にかかる時間よりも長い時間が表示されてしまう。すなわち、実際に充電が完了する時間と充電を開始する際に計算によって求められる充電残時間との間にずれが生じてしまうという問題がある。
【0005】
そこで、電池の温度や劣化状態、充電中の負荷状態を反映して、精度良く充電残時間を演算可能な充電残時間演算方法として、特許文献1には、充電の途中で充電電流値が減少する度にその充電電流値に基づいて充電残時間を補正する方法が開示されている。
しかしながらかかる充電残時間演算方法は、電池の温度や劣化状態、充電中の負荷状態を反映して、精度良く充電残時間を演算可能とするが、どのタイミングで補正するかセンサ等で検知する必要があり、システムが複雑化してしまうことが課題として残る。
【0006】
また、充電規格が改訂されて、充電器モニタに表示される「充電までの残り時間」のために新たに設定された「充電終了目安時間」の項目は、車輌側が任意に表示を変更可能としていることから、充電終了目安時間をより確実かつシンプルに演算して、表示することが望まれる。
【0007】
そこで本出願人は、このような背景から、簡素な構成で適正な充電終了時間を演算して、表示部に表示することの可能な、新規かつ改良された充電システム及び充電システムにおける充電終了目安時間演算方法を実現するために、二次電池に充電器を用いて充電する充電システムについて提案している。
かかる充電システムでは、充電開始時に急速充電器の出力可能電流値、二次電池の状態情報に基づいて、二次電池が所定量の充電に要する充電終了予定時間を演算し、充電終了予定時間より充電開始時からの経過時間を減算して実時間に基づく充電終了目安時間を算出し、充電終了予定時間より充電開始時からの二次電池のSOCの増加に基づいて算出されるSOCカウント時間を減算して充電終了目安時間を算出し、実時間カウントダウン値とSOCカウントダウン値の充電終了目安時間を比較して、大きい値の方を二次電池の充電終了目安時間に決定し、二次電池の充電終了目安時間として表示するようにしている。
【0008】
これにより、充電終了目安時間として、実時間に基づく充電終了目安時間とSOCに基づく充電終了目安時間のうち大きい値の方を表示するので、実際に充電が完了する時間と急速充電を開始する際に算出される充電残時間との間のずれを低減することができた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上のように、特許文献2によれば、簡素な構成で適正な充電終了時間を演算して、表示部に表示することの可能な、新規かつ改良された充電システム及び充電システムにおける充電終了目安時間演算方法を提供することができた。
ところで、かかる充電システムにおいては、充電上限時間を急速充電器側もしくは車輌側におけるECU内部で任意の値で切られてしまった場合、充電上限時間に達したときに残り充電時間が大きく残ってしまう課題が指摘されている(
図8参照)。
本発明は、以上のような課題を改善するために提案されたものであって、充電上限時間を急速充電器側もしくは車輌側のECU内部で設定された場合、一定条件の基に、充電上限時間からのカウントダウンに切り換えて演算を実行するようにした、充電システム及び充電システムにおける充電終了目安時間演算方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1記載の本発明では、二次電池に充電器を用いて充電する充電システムであって、充電開始時に充電器の出力可能電流値、二次電池の状態情報に基づいて、二次電池が所定量の充電に要する充電終了予定時間を演算する予定時間演算部と、充電終了予定時間より充電開始時からの経過時間を減算して実時間に基づく充電終了目安時間を算出する実時間カウントダウン算出部と、充電終了予定時間より充電開始時からの二次電池のSOCの増加に基づいて算出されるSOCカウント時間を減算して充電終了目安時間を算出するSOCカウントダウン算出部と、充電上限時間を設定可能な充電上限時間設定部と、実時間カウントダウン算出部による充電終了目安時間と、SOCカウントダウン算出部による充電終了目安時間と、充電上限時間設定部による充電上限時間より充電開始時からの経過時間を減算して実時間に基づいて求められる充電終了目安時間と、をそれぞれ比較して、二次電池の充電終了目安時間を決定する判定部と、判定部での判定結果を二次電池の充電終了目安時間として表示する表示部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
これにより、充電上限時間を設定された場合、実時間カウントダウン算出部による充電終了目安時間と、SOCカウントダウン算出部による充電終了目安時間と、充電上限時間より充電開始時からの経過時間を減算して求められる充電終了目安時間とをそれぞれ比較して、二次電池の充電終了目安時間を決定するようにしたので、実際に充電が完了する時間と急速充電を開始する際に算出される充電残時間との間のずれを軽減できる。
【0013】
また、請求項2に記載の本発明では、判定部は、充電上限時間設定部による充電上限時間と充電終了予定時間とを比較して、充電上限時間が充電終了予定時間を超えるものであれば、実時間カウントダウン算出部とSOCカウントダウン算出部による充電終了目安時間を比較して、大きい値の方を二次電池の充電終了目安時間に決定し、充電上限時間が充電終了予定時間未満であれば、充電上限時間設定部による充電上限時間より充電開始時からの経過時間を減算して実時間に基づいて求められる充電終了目安時間を二次電池の充電終了目安時間に決定することを特徴とする。
【0014】
これにより、設定された充電上限時間と、二次電池の状態情報に基づいて求められた充電終了予定時間との比較で、充電終了予定時間に基づいて求められる、実時間カウントダウン算出部による充電終了目安時間とSOCカウントダウン算出部による充電終了目安時間とから大きい値の方の充電終了目安時間を採用するか、充電上限時間に基づいて算出された充電終了目安時間を採用するようにしたので、より好適な充電終了目安時間とすることができる。
【0015】
また、請求項3記載の本発明では、二次電池は電動車輌用の電池であり、充電上限時間設定部は充電器側若しくは車輌側に設けられ、充電上限時間設定部は、充電器若しくは車輌と通信を行うことを特徴とする。
【0016】
これにより、電動車輌の電池の充電を行う際に、充電上限時間が充電器側若しくは車輌側で設定される場合に、充電上限時間の情報を充電器側若しくは車輌側に通信することができ、充電システムの効率化を図ることができる。
【0017】
また、請求項4記載の本発明では、二次電池に充電器を用いて充電する充電システムにおける充電終了目安時間演算方法であって、充電開始時に充電器の出力可能電流値、二次電池の状態情報に基づいて、二次電池が所定量の充電に要する充電終了予定時間を演算する第1のステップと、充電終了予定時間より充電開始時からの経過時間を減算して実時間に基づく充電終了目安時間を算出する第2のステップと、充電終了予定時間より充電開始時からの二次電池のSOCの増加に基づいて算出されるSOCカウント時間を減算して充電終了目安時間を算出する第3のステップと、予め設定される充電上限時間より充電開始時からの経過時間を減算して実時間に基づく充電終了目安時間を算出する第4のステップと、第2、3、4のステップによって求められた充電終了目安時間をそれぞれ比較して、二次電池の充電終了目安時間を決定する第5のステップと、を具備することを特徴とする。
【0018】
これにより、実際に充電が完了する時間と充電を開始する際に算出される充電残時間と、さらに、設定される充電上限時間との比較で、より適正な充電終了目安時間が決定されるため、違和感のない、使い勝手の良い充電に寄与することができる。
【0019】
さらに、請求項5にかかる本発明では、第5ステップは、充電上限時間と充電終了予定時間とを比較して、充電上限時間設定部による充電上限時間と充電終了予定時間とを比較して、充電上限時間が充電終了予定時間を超えるものであれば、実時間カウントダウン算出部とSOCカウントダウン算出部による充電終了目安時間を比較して、大きい値の方を二次電池の充電終了目安時間に決定し、充電上限時間が充電終了予定時間未満であれば、前記充電上限時間設定部による充電上限時間より充電開始時からの経過時間を減算して実時間に基づく算出時間を充電終了目安時間に決定することを特徴とする。
【0020】
これにより、充電上限時間が設定された場合、充電終了予定時間に基づく実時間カウントダウンおよびSOCカウントダウンによる演算か、充電上限時間からのカウントダウンに切り換えて演算を実行することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、充電上限時間が設定された場合、充電終了予定時間に基づく実時間カウントダウンおよびSOCカウントダウンか、充電上限時間からのカウントダウンに切り換えて演算を実行するようにしたので、実際に充電が完了する時間と急速充電を開始する際に算出される充電残時間との間のずれを軽減できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0024】
まず、本発明にかかる充電システムについて、急速充電システムの一実施形態を挙げ、図面を参照しながら説明する。
図1に、急速充電システム1を示す。
この急速充電システム1は、電動自動車やハイブリッド自動車等の電動車輌2に搭載される二次電池(後述)に対し、急速充電器3で充電ケーブル3a、コネクタ3bを介して急速充電するようにしたシステムであり、急速充電器3による充電終了予定時間を演算して、カウントダウン値となる充電終了目安時間を表示するシステムである。
【0025】
(第1実施形態)
かかる急速充電システム1は、第1実施形態として
図2に示すように構成することができる。
ここでは、急速充電システム1は、車輌2側には、ECU4と、二次電池となる高圧バッテリ5とを備え、急速充電器3側には、表示部6と、急速充電器3の総合的な制御を行う制御部7と、二次電池への電力を供給する電力供給部8とを備える。
【0026】
ECU4は、車輌2の総合的な制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央演算処理装置(CPU)及びタイマ等を含んで構成される。本実施形態では、ECU4は、
図2に示すように、予定時間演算部9と、実時間カウントダウン算出部10と、SOCカウントダウン算出部11と、充電上限時間設定部12と、判定部13とを備える。
【0027】
予定時間演算部9は、充電開始時に少なくとも急速充電器3の出力可能電流値、二次電池5のSOC、温度、特性、及び劣化係数の何れかに基づいて、二次電池5の充電に要する充電終了予定時間を演算する。
ここで、本発明の二次電池の状態情報とは、二次電池5のSOC、温度、特性、及び劣化係数の何れかに相当する。すなわち、予定時間演算部9は、急速充電を開始する際に、上記の変動因子に基づいて算出される充電残時間を二次電池5の充電に要する充電終了予定時間として予測しながら演算する。なお、予定時間演算部9による充電終了予定時間の演算動作についての詳細な説明については、後述する。
【0028】
実時間カウントダウン算出部10は、予定時間演算部9で算出された充電終了予定時間より、充電開始時からの経過時間を減算することによって、実時間に基づく充電終了目安時間を算出する。また、実時間カウントダウン算出部10は、後述する充電上限時間設定部12により設定される充電上限時間より、充電開始時からの経過時間を減算することによって、実時間に基づく充電終了目安時間を算出する。
すなわち、実時間カウントダウン算出部10は、充電開始時からの経過時間を充電終了予定時間から減算することによって、経時的に単純減少する実時間カウントダウン値を充電終了目安時間として算出する。つまり、実時間カウントダウン算出部10は、減算(カウントダウン)された実時間カウントダウン値を充電終了目安時間として算出する。
また、実時間カウントダウン算出部10は、充電開始時からの経過時間を充電上限時間から減算することによって、経時的に単純減少する実時間カウントダウン値を充電終了目安時間として算出する。
【0029】
SOCカウントダウン算出部11は、予定時間演算部9で算出された充電終了予定時間からSOCに基づく充電終了目安時間を算出する。すなわち、SOCカウントダウン算出部11は、充電開始時からの二次電池5のSOCの増加に基づいて算出されるSOC経過時間(SOCカウント時間)を充電終了予定時間から減算することによって、経時的に単純減少しないSOCカウントダウン値を充電終了目安時間として算出する。
【0030】
具体的には、SOCカウントダウン算出部11は、充電終了時(満充電を含む設定された所定の充電量時)のSOCに至るまでに充電に要するSOCで、充電終了予定時間を均等に除算することによって、SOC割付時間を算出し、該SOC割付時間を用いて現SOCにおけるSOCカウント時間を算出して、該算出時間を充電終了予定時間より減算し、当該減算されたSOCカウントダウン値を充電終了目安時間として算出する。
なお、SOCカウントダウン算出部11による充電終了目安時間の算出動作についての詳細については、後述する。
【0031】
充電上限時間設定部12は、ここでは、車輌におけるECU4に搭載され、充電上限時間設定部12は急速充電器3と通信を行い、予め充電上限時間を設定する。充電上限時間とは、急速充電器3側において、例えば80%まで充電するのに要する充電時間(例えば60分)を限度として、自由に設定される充電時間をいうものとする。
【0032】
判定部13は、実時間カウントダウン算出部10による充電終了目安時間と、SOCカウントダウン算出部11による充電終了目安時間と、充電上限時間設定部12による充電上限時間より充電開始時からの経過時間を減算して実時間に基づいて求められる充電終了目安時間とをそれぞれ比較して、後述の手順により二次電池の充電終了目安時間を決定する。
【0033】
表示部6は、急速充電器3側に備わり、判定部13での判定結果を二次電池5の充電終了目安時間として表示する。すなわち、表示部6は、車輌2側のECU4で算出された充電終了目安時間を急速充電が開始される際に算出される充電残時間として表示する。
【0034】
二次電池5の充電終了目安時間を決定する手順としては、充電終了目安時間として、充電上限時間設定部12にて設定される充電上限時間と、当初の二次電池5の状態情報に基づいて算出される充電終了予定時間との比較を行い、この比較の結果に応じて、充電終了目安時間を決めて表示を行う。
すなわち、充電上限時間設定部12による充電上限時間と二次電池5の状態情報に基づく充電終了予定時間とを比較して、充電上限時間>充電終了予定時間であれば、判定部13は、二次電池5の状態情報による充電終了予定時間に基づいて、実時間カウントダウン算出部とSOCカウントダウン算出部による充電終了目安時間を比較して、大きい値の方を二次電池の充電終了目安時間に決定する(
図3参照)。
なお、充電上限時間と、当初の二次電池5の状態情報に基づいて算出される充電終了予定時間との比較を行うのは、充電終了予定時間は、二次電池5の状態情報に基づいて得られる時間であり、充電終了予定時間を超える充電上限時間、充電を行っても、80%まで充電するのに要する充電時間(例えば60分)を超えることになるからである。そのために、充電上限時間>充電終了予定時間であれば、充電終了予定時間に基づいて、実時間カウントダウン算出部とSOCカウントダウン算出部による充電終了目安時間を比較して、大きい値の方を二次電池の充電終了目安時間に決定すればよいことになる。
【0035】
一方、充電上限時間<充電終了予定時間であれば、判定部13は、充電上限時間設定部12による充電上限時間に基づいて、充電上限時間より充電開始時からの経過時間を減算して実時間に基づいて求められる充電終了目安時間を二次電池の充電終了目安時間に決定する。
このように、本実施形態では、充電終了目安時間として、充電上限時間設定部12にて設定される充電上限時間と、当初の二次電池5の状態情報に基づいて算出される充電終了予定時間との比較を行い、この比較の結果に応じて、充電終了目安時間を決めて表示を行うので、実際に充電が完了する時間と急速充電を開始する際に算出される充電残時間との間のずれを低減できる。
【0036】
なお、表示部6は、充電終了目安時間を表示する際に、実時間カウントダウン算出部10による算出結果を表示する場合と、SOCカウントダウン算出部11による算出結果を表示する場合と、さらには充電上限時間より充電開始時からの経過時間を減算して実時間に基づく算出結果を表示する場合とを異なる態様で表示することができる。
具体的には、例えば、実時間に基づくカウントダウン値を表示する場合と、SOCに基づくカウントダウン値を表示する場合で点滅する数字ランプの色を異なる色で表示したり、それぞれのカウントダウン値をそれぞれインジケータで同時に表示したりして、異なる態様の表示とする。このように、表示部6による充電終了目安時間の表示が何れの算出部9、10の算出結果による表示であるかを明確にすることによって、急速充電システム1の効率化を図ることができる。
【0037】
次に、本実施形態の急速充電システム1による急速充電動作について、
図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0038】
先ず、充電開始時に急速充電器3の出力可能電流値が受信されたことを確認した後、二次電池5の状態情報に基づいて、二次電池5が所定量の充電に要する充電終了予定時間(初期値)を演算する(第1ステップS1)。
二次電池5を充電する際には、
図5(a)、(b)に示すように、充電を開始してから所定時間t
P1までは、充電電流が所定値I0の定電流充電とし、その後、充電電流が随時下がる定電圧充電とする。
すなわち、充電開始時には、充電終了予定時間を求めるために、まず、急速充電器3の出力可能電流値、電池温度、電池劣化度等から定電流充電が可能なSOC(C1)を推定する。
その後、推定した定電流可能SOC(C1)に基づいて、充電開始SOC(C0)、充電終了SOC(C2)、充電効率、電池劣化度から定電流充電時間(t
P1)と定電圧充電時間(t
P2−t
P1)を算出する。
そして、これら定電流充電時間と定電圧充電時間と補正値を足し合わせて、充電終了目安時間初期値となる充電終了予定時間T0を求める。
【0039】
次いでかかる充電終了予定時間T0に基づいて、実時間カウントダウン算出部10によって、充電終了予定時間T0より充電開始時からの経過時間を減算して実時間カウントダウンに基づく充電終了目安時間を算出し、算出結果をT1とする(第2ステップS2)。
具体的には、充電開始時に算出した充電終了予定時間T0を利用して、当該充電終了予定時間T0の実時間に応じたカウントダウンを実行する。すなわち、充電終了予定時間T0から単純減少するように、カウントダウンを実行する。
例えば、充電終了予定時間が30分と算出されている場合には、
図6のグラフL1に示すように、初期値を30分として、当該初期値から1分ごとで送信値を更新するように、実時間に応じたカウントダウンを実行する。そして、算出結果T1は、充電終了目安時間T1とする。
【0040】
また、実時間カウントダウン算出部10による実時間に基づく充電終了目安時間の算出とは別に、SOCカウントダウン算出部11によって、充電終了予定時間T0より充電開始時からの二次電池5のSOCの増加に基づいて算出されるSOCカウント時間を減算して充電終了目安時間を算出し、算出結果をT2とする(第3ステップS3)。
具体的には、SOCカウントダウン算出部11が充電終了予定時間T0を充電終了時のSOCに至るまでに充電に要するSOCで均等に除算してSOC割付時間を算出し、SOC割付時間を用いて現SOCにおけるSOCカウント時間を算出し、SOCカウント時間を充電終了予定時間より減算し、SOCに基づく時間を算出し、算出結果をT2とする。
すなわち、下記の式(1)に基づいて現在SOCにおけるSOCカウント時間を算出する。
(SOCカウント時間)=(充電終了予定時間)÷(充電終了SOC−充電開始時SOC)×(現在SOC−充電開始時SOC)……………(1)
【0041】
例えば、二次電池5のSOC経時変化予測値L0に基づいて充電終了予定時間が30分と算出されている場合には、SOCに基づくカウントダウン値、すなわち充電終了予定時間からSOCカウント時間を減算した値は、
図6のグラフL2に示すように、SOC経時変化予測値L0の上昇曲線と線対象になるように変化する。すなわち、SOCカウントダウン値は、最初のうちは、急激に減少しながら、徐々に減少速度が低減するように、単調減少をしない経時変化をする。換言すると、SOCの増加に伴い、時間が減少するような単調減少をしない経時変化をする。
【0042】
そして、充電上限時間設定部12にて設定される充電上限時間より、充電開始時からの経過時間を減算して実時間カウントダウンに基づく充電終了目安時間を算出し、算出結果をT3とする(第4ステップS4)。
【0043】
その後、第2ステップS2、第3ステップS3、第4ステップS4で算出された充電終了目安時間T1、T2、T3を判定部13において比較判断し、充電終了目安時間の決定が以下の手順で順次実行される。
先ず、第2ステップS2の算出結果T1を、充電終了目安時間T1として保持される(第5ステップS5)。
次いで、第3ステップS3の算出結果T2と充電終了目安時間T1との比較がなされ(第6ステップS6)、T2>充電終了目安時間T1であれば、T2が充電終了目安時間T2として更新される(第7ステップS7)。
そして、第4ステップS4の算出結果T3と充電終了目安時間T2との比較がなされ(第8ステップS8)、充電終了目安時間T2>T3であれば、T3が充電終了目安時間T3として更新される(第8ステップS8)。
【0044】
以上のように、実時間カウントダウン算出部10において得られた算出結果T1と、SOCカウントダウン算出部11において得られた算出結果T2と、充電上限時間に基づく実時間カウントダウン算出部10における算出結果T3を判定部13において比較判定し、実時間カウントダウン算出部10において得られた算出結果T1と、SOCカウントダウン算出部11において得られた算出結果T2と間で大きい方の値を充電終了目安時間とし、さらにこの大きい方の値と、充電上限時間に基づく実時間カウントダウン算出部10における算出結果T3とを比較してT3が前記大きい方の値に比較して小さいものであれば、T3を充電終了目安時間として急速充電器2の制御部7を介して表示部6に表示させることができる(第10ステップS10)。
【0045】
そして、充電開始時間からカウントダウンされて表示部6に表示された充電終了目安時間に達したか、急速充電器2側から充電停止の指令がなされたとき(第11ステップS11)、一連の充電動作を終了することができ、一方、充電終了目安時間に達してなければ、また急速充電器2側から充電停止の指令がなされてなければ第2ステップS2に戻り、順次、再度実行がなされる。
【0046】
このように、本実施形態では、実時間カウントダウン算出部10による充電終了目安時間T1と、SOCカウントダウン算出部11による充電終了目安時間T2と、充電上限時間設定部12による充電上限時間より充電開始時からの経過時間を減算して求められる充電終了目安時間T3とから、最終的な充電終了目安時間の決定を行うことができる。
【0047】
すなわち、充電上限時間設定部12による充電上限時間と充電終了予定時間とを比較して、充電上限時間>充電終了予定時間であれば、判定部13は、実時間カウントダウン算出部とSOCカウントダウン算出部による充電終了目安時間を比較して、大きい値の方を二次電池の充電終了目安時間に決定する。
二次電池5の充電開始時は、定電流充電のため、SOCカウントダウン値の方が早く減少するので、実時間カウントダウン算出部10からの充電終了目安時間を、表示部6に表示する。
【0048】
一方、二次電池5の充電がある程度進んだ定電圧充電に切り替わって以降では、途中からSOCカウントダウン値の方が遅く減少して値が大きくなるので、SOCカウントダウン算出部11からの充電終了目安時間を、表示部6に表示する。すなわち、本実施形態では、実時間とSOCに基づく2通りのカウントダウンを実行してから、充電終了目安時間の大きい方を急速充電器3の表示部6に出力する。このため、実際に充電が完了する時間と急速充電を開始する際に算出される充電残時間との間のずれを低減できるので、より適正な充電終了時間を演算して、表示することができる。
【0049】
一方、充電上限時間設定部12による充電上限時間と充電終了予定時間とを比較して、充電上限時間<充電終了予定時間であれば、判定部13は、充電上限時間設定部12による充電上限時間に基づいて、充電上限時間より充電開始時からの経過時間を減算して実時間に基づいて求められる充電終了目安時間を二次電池の充電終了目安時間に決定する。
このように、本実施形態では、充電終了目安時間として、充電上限時間設定部12にて設定される充電上限時間と、当初の二次電池5の状態情報に基づいて算出される充電終了予定時間との比較を行い、この比較の結果に応じて、充電終了目安時間を決めて表示を行うので、実際に充電が完了する時間と急速充電を開始する際に算出される充電残時間との間のずれを低減できる。
【0050】
また、本実施形態では、表示部6に表示する充電終了目安時間を簡易なロジックで演算可能としている。このため、二次電池の変更や車種変更の際にも、本実施形態の急速充電システムのロジックを取り入れられるので、二次電池や車輌に関する仕様変更の際における設計が容易となる。例えば、今後、高温時の電流制限変更の際に、従来のような最大充電時間のような見直しの手間を低減し、また、二次電池の変更や車種変更の際に、充電終了目安時間が足りずに、最終値クリップのまま充電を継続するような手間を省ける。
【0051】
(第2実施形態)
以上、本発明の第1実施形態について詳細に説明した。
第2実施形態として、
図7に示す急速充電システム1として実施することもできる。この場合、第2実施形態では、充電上限時間設定部12を、急速充電器3側に設けて、車輌におけるECU4と通信を行うこともできる。第1実施形態のように車輌側に充電上限時間設定部12に設けるのではなく、急速充電器3側に設けることにより、設置業者側で、車輌におけるECU4と通信を行って充電上限時間を設定するので、その急速充電器3の規格、仕様に応じた充電機能を維持することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、SOC割付時間を、充電終了予定時間を充電終了時のSOCに至るまでに充電を要するSOCで均等に除算した値としたが、これに限られず、所定のSOCに対して任意の時間を割り付けて設定した値としてもよい。例えば、SOCカウントダウン算出部は、充電が開始されてから所定SOC(例えば、5%)増加する毎に、予め設定した任意の時間(例えば、5分)をSOCカウント時間として、充電終了予定時間より減算し、当該減算した値を充電終了目安時間として算出するようにしてもよい。この場合、所定のSOCに対して割り付け設定される時間は、実験やシミュレーションなどから求められた適当な値が予め設定されるものとし、二次電池の状態や充電環境に応じて適宜変更するようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、充電終了目安時間を表示する表示部6を急速充電器に設ける構成を示したが、これに限られず、車輌にも表示部6を設けてもよい。そして、車輌に設けた表示部6においても、充電終了目安時間を表示する際に、実時間カウントダウン算出部10による算出結果を表示する場合と、SOCカウントダウン算出部11による算出結果を表示する場合とを異なる態様で表示するようにしてもよい。これにより、ユーザへのユーザビリティをより向上できる。
【0054】
また、上記実施形態では、急速充電システム、及び急速充電方法に適用した例を示したが、これに限られず、普通充電システム、及び普通充電方法に適用してもよい。