(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平面形状が直角平行四辺形の物品搬送用コンテナを周囲から把持して昇降させるコンテナ昇降搬送装置であって、コンテナの4つの角部それぞれに対応する4つの位置決め用昇降体と、当該コンテナの平行二側面それぞれに対応する少なくとも2つの吊上げ用昇降体とを備え、各位置決め用昇降体は、コンテナ角部に嵌合出来る横断面がアングル形の嵌合部を備えた昇降方向と平行な棒状のものであって、支持用構造体に、昇降自在で且つコンテナの4つの角部それぞれに対して水平方向に嵌合離脱自在に支持され、各吊上げ用昇降体は、昇降方向と平行な棒状本体に、コンテナに向かって突出する支持具を設けたもので、前記支持用構造体に前記棒状本体が、昇降自在で且つコンテナ側面に対し水平方向に接近離間自在に支持され、前記支持具が、コンテナ側面に対する接近時に当該コンテナ側面の突出部下側に入り込んで、前記棒状本体の上昇時に前記突出部を介してコンテナを吊り上げるように構成されているコンテナ昇降搬送装置において、
各位置決め用昇降体の前記嵌合部は、段積みされた複数のコンテナの角部に対して同時に嵌合出来る昇降方向長さを有し、各吊上げ用昇降体の前記支持具は、各位置決め用昇降体の前記嵌合部が段積みされた複数のコンテナの角部に対して同時に嵌合出来る高さにあるとき、当該段積みされた複数のコンテナの内の少なくとも最下段のコンテナに対応する高さに設けられている、コンテナ昇降搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された構成では、被搬送物であるコンテナの天井面に吊下げ専用の被係合金具を突設するか又は、コンテナ底面下に隙間が形成されていることが前提要件となり、両手で持ち上げて運ぶことが出来る、上側解放の小型のプラスチック製コンテナをそのまま被搬送物として利用することが出来ない。勿論、一般に流通しているプラスチック製コンテナには、補強対策として、その外側面の主として上端側に周方向と平行に連続する補強用のフランジ部が一体に形成されているので、前記吊下げ用フックをコンテナの平行両側面のフランジ部に引っ掛けるように使用すれば、上記のような一般に流通している上側解放の小型のプラスチック製コンテナも搬送対象とすることが出来るが、この種のコンテナは、保管設備などでは、同一平面サイズの複数のコンテナを段積み状態で使用されることが多く、段積みされたコンテナ全体を、最下段のコンテナを介して吊り上げて搬送する場合のように、取り扱うコンテナの全体の高さが高くなるような場合には、コンテナ全体を揺れさせることなく安定良く安全に搬送することは非常に難しく、実用性は乏しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできるコンテナの搬送装置を提案するものであって、本発明に係るコンテナの搬送装置は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、平面形状が直角平行四辺形の物品搬送用コンテナ(C)を周囲から把持して昇降させるコンテナ昇降搬送装置であって、コンテナ(C)の4つの角部それぞれに対応する4つの位置決め用昇降体(45a〜46b)と、当該コンテナ(C)の平行二側面それぞれに対応する少なくとも2つの吊上げ用昇降体(65A,65B)を備え、各位置決め用昇降体(45a〜46b)は、コンテナ角部に嵌合出来る横断面がアングル形の嵌合部(47)を備えた昇降方向
と平行な棒状のものであって、支持用構造体(副走行体(3))に、昇降自在で且つコンテナ(C)の4つの角部それぞれに対して水平方向に嵌合離脱自在に支持され、各吊上げ用昇降体(65A,65B)は、昇降方向
と平行な棒状本体(66)に、コンテナ(C)に向かって突出する支持具(76a,76b)を設けたもので、前記支持用構造体(副走行体(3))に前記棒状本体(66)が、昇降自在で且つコンテナ側面に対し水平方向に接近離間自在に支持され、前記支持具(76a,76b)が、コンテナ側面に対する接近時に当該コンテナ側面の突出部(フランジ部(F1,F2))の下側に入り込んで、前記棒状本体(66)の上昇時に前記突出部(フランジ部(F1,F2))を介してコンテナ(C)を吊り上げる
ように構成されているコンテナ昇降搬送装置において、
各位置決め用昇降体(45a〜46b)の前記嵌合部(47)は、段積みされた複数のコンテナ(C)の角部に対して同時に嵌合出来る昇降方向長さを有し、各吊上げ用昇降体(65A,65B)の前記支持具(76a,76b)は、各位置決め用昇降体(45a〜46b)の前記嵌合部(47)が段積みされた複数のコンテナ(C)の角部に対して同時に嵌合出来る高さにあるとき、当該段積みされた複数のコンテナ(C)の内の少なくとも最下段のコンテナ(C1)に対応する高さに設けられ構成になっている。
【発明の効果】
【0006】
上記構成のコンテナ昇降搬送装置は、取扱い対象のコンテナの上方空間を走行し得る走行体や水平に揺動し得る可動アームを前記支持用構造体として使用することにより、吊上げたコンテナを、前記走行体や可動アームの動作を伴って、別の場所に移動させて降ろすことが出来るコンテナ搬送手段として利用することが出来る。又、前記支持用構造体が定位置に架設されていて、この支持用構造体の下側定位置に搬送用走行体によって搬送されてきたコンテナを一旦吊り上げ、当該定位置に送り込まれた別の搬送用走行体上にそのコンテナを降ろすような使用方法も可能なものである。
【0007】
而して、上記構成のコンテナ昇降搬送装置によれば、4つの位置決め用昇降体と少なくとも2つの吊上げ用昇降体を搬送対象のコンテナの横位置まで下降させた後、4つの位置決め用昇降体を搬送対象のコンテナの4つの角部それぞれに対して水平方向に接近移動させて、そのアングル形の嵌合部を搬送対象のコンテナの4つの角部それぞれに嵌合させる。一方、吊上げ用昇降体は搬送対象のコンテナの平行二側面それぞれに対して水平に接近移動させ、その支持具を、当該コンテナの側面の突出部(補強用フランジ部など)の下側に入り込ませる。この状態で、各位置決め用昇降体と各吊上げ用昇降体を上昇移動させることにより、各吊上げ用昇降体の前記支持具が、コンテナの平行二側面それぞれの突出部(補強用フランジ部など)を介して当該コンテナを吊り上げることになる。このとき、吊上げられるコンテナの4つの角部それぞれには、このコンテナと一体に上昇する位置決め用昇降体のアングル形の嵌合部が嵌合しているので、吊上げられるコンテナの姿勢が正立姿勢に保持されており、搬送対象のコンテナを安定良く安全に吊り上げることが出来る。搬送対象のコンテナを所定高さまで吊り上げたならば、必要に応じて各位置決め用昇降体と吊上げ用昇降体を支持している支持用構造体を移動させた後、上記と逆の手順で各位置決め用昇降体と吊上げ用昇降体を下降させると共にコンテナから横に離れる方向に移動させることにより、搬送対象のコンテナを目的の位置に降ろすことが出来る。
【0008】
以上のようにして搬送対象のコンテナを吊り上げて搬送することが出来るのであるが、上記本発明の構成によれば、仮に前記吊上げ用昇降体の支持具が、コンテナの平行二側面それぞれの巾方向両端ではなく中央部付近にあるフランジ部を介して吊り上げるものであっても、そのコンテナの正立姿勢は、当該コンテナの4つの角部に嵌合する位置決め用昇降体によって確実に保持することが出来るので、当該コンテナが高さの高いものであっても、安定良く安全に当該コンテナを吊り上げて搬送することが出来る。換言すれば、前記支持具を間隔変更自在な2つ又は2グループに分け、これら2つ又は2グループの支持具の間隔を、搬送対象のコンテナの巾に応じて変更し、常に搬送対象のコンテナの4つの角部に近い箇所を吊り上げるように構成する必要がなくなる。又、搬送対象のコンテナの平行二側面それぞれの中央部付近を吊り上げることが出来るので、当該コンテナの荷重を吊上げ用昇降体の支持具に効率良く受け持たせることが出来、コンテナの角部付近を吊り上げるときのように、コンテナの底部中央に過大な荷重を集中させないで済み、強度の低いプラスチック製のコンテナも安全に取り扱うことが出来る。
【0009】
尚、上記本発明を実施する場合、各吊上げ用昇降体(65A,65B)の前記棒状本体(66)は、対応するコンテナ側面の水平方向長さの中央位置に対応して配置し、この棒状本体(66)に取り付けられた基板(73)に、前記中央位置に対して両側対称位置に前記支持具(76a,76b)を取り付け、この2つの支持具(76a,76b)が対応するコンテナ側面のフランジ部(F1/F2)を同時に吊り上げるように構成するのが望ましい。この構成によれば、各吊上げ用昇降体の前記棒状本体を必要最小限の各1本に抑えながら、コンテナの平行二側面の対称2箇所を支持具によって安定良く安全に吊り上げることが出来る。
【0010】
尚、最下段のコンテナのみを介して段積みされた全てのコンテナを吊り上げるように構成すると、支持具やこれを備えた棒状本体の耐荷重を十分に大きく構成してあっても、大重量のコンテナの場合には、最下段のコンテナの支持具が係合するフランジ部などの突出部に過大な負荷が作用して破損などの恐れがあるときは、前記支持具(76a,76b)は、各吊上げ用昇降体(65A,65B)の、段積みされた複数のコンテナ(C)の内の最下段のコンテナ(C1)に対応する
高さと、この高さよりも上方に離れた高さの上下2箇所に設けておけば良い。
【0011】
本発明のコンテナ昇降搬送装置は、コンテナを一定の向きで前後左右両方向に分散支持する水平支持面とコンテナ搬送用コンベヤ(6,7)の入出庫口(移載用端部(6a,7a))とを備えた保管エリアの上側に、この保管エリアの全域をカバー出来るように前後方向移動と左右方向移動とが可能に支持された走行体(副走行体(3))に、各位置決め用昇降体(45a〜46b)及び各吊上げ用昇降体(65A,65B)を支持させて利用することが出来る。この場合、各位置決め用昇降体(45a〜46b)と各吊上げ用昇降体(65A,65B)は、前記走行体(副走行体(3))に設けられた上下方向貫通開口部内を、支持したコンテナと共に昇降可能に構成しておくのが望ましい。この構成によれば、取り扱う段積みコンテナの最大高さより前記走行体の走行レベルを少し高くしておきさえすれば、最大高さの段積みコンテナであっても、取り扱う段積みコンテナの最大高さより上方に吊り上げて搬送することが出来る。従って、前記走行体の走行レベルそのものを、取り扱う段積みコンテナの最大高さの2倍ほどの高さにしなければならない場合と比較して、設備コストを大幅に低減出来る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜
図3において、1は、平面形状が直角平行四辺形の平坦な床面で構成された保管エリアの上側に配設された天井走行クレーン形式の搬送装置であって、水平面上のY方向(前後奥行き方向)に走行自在な主走行体2と、この主走行体2の走行方向に対して直角向きのX方向(左右巾方向)に走行自在に当該主走行体2の上に支持された副走行体3とから構成されている。前記保管エリアには、この保管エリアを取り囲む矩形枠構造体4が、柱部材5を介して床面上一定高さに水平に架設されており、この矩形枠構造体4のY方向と平行な一組の梁部材4a,4b上に前記主走行体2の両端部がY方向に走行自在に支持されている。主走行体2は、その走行方向(Y方向)に適当間隔を隔てて並列する、X方向の全長に及ぶ長さの一対の側枠2a,2bを備え、これら両側枠2a,2b上に副走行体3の両側辺がX方向に走行自在に支持されている。
【0014】
前記保管エリアには、入庫用コンベヤ6と出庫用コンベヤ7とが併設されている。これら両コンベヤ6,7の保管エリア側の移載用端部6a,7aは、前記保管エリア内に入り込んでおり、矩形枠構造体4の梁部材4a,4b上での主走行体2のY方向の走行と、主走行体2の側枠2a,2b上での副走行体3のX方向の走行とによって、副走行体3を矩形枠構造体4で囲まれた保管エリア内の、前記入出庫用コンベヤ6,7の移載用端部6a,7aを含む全域任意の位置に位置させることが出来る。
【0015】
主走行体2は、
図4及び
図5に示すように、梁部材4a,4b上に当該梁部材4a,4bの長さ方向に移動自在に支持された台車部8a,8bを有し、この台車部8a,8b上に前記一対の側枠2a,2bが支持されており、当該台車部8a,8bには、梁部材4a,4b上を転動する複数の車輪9と、梁部材4a,4bを左右両側から挟む位置決め用ローラー10とが設けられている。各梁部材4a,4bには、これら梁部材4a,4bに沿って回動自在にタイミングベルト11a,11bが掛張され、各タイミングベルト11a,11bの両端が前記台車部8a,8bに止着され、各タイミングベルト11a,11bを掛張するプーリーの1つが、伝動軸12を介して1つのモーター13に連動連結され、当該モーター13により両タイミングベルト11a,11bが同期して回転駆動されることにより、主走行体2がY方向に平行往復移動するように構成されている。
【0016】
主走行体2の片側の側枠2aには、この側枠2aに沿って回動自在にタイミングベルト14が掛張され、このタイミングベルト14を回転駆動するモーター15が併設されている。前記副走行体3は、
図6及び
図7に示すように、主走行体2の側枠2a,2bと平行に当該側枠2a,2bの上側に配置された一対の側枠3a,3bと、両側枠3a,3bどうしを連結一体化する一対の連結枠3c,3dから構成されたもので、側枠3a,3bには、主走行体2の側枠2a,2b上を転動する複数の車輪16が軸支されると共に、片側の側枠3aの両端近傍位置には、主走行体2の側枠2aを挟むそれぞれ一対のローラー17を軸支する軸受け板18a,18bが付設されている。前記タイミングベルト14の両端は、前記軸受け版18a,18bに止着され、モーター15によってタイミングベルト14を回転駆動することにより、副走行体3をX方向に往復移動させることが出来る。
【0017】
上記構成によれば、モーター13を稼働させて主走行体2をY方向に移動させることと、この主走行体2上のモーター15を稼働させて当該主走行体2上で副走行体3をX方向に移動させることの組み合わせにより、副走行体3を、矩形枠構造体4で囲まれた平面形状が矩形の保管エリアの任意の位置の真上に位置させることが出来る。
【0018】
図8〜
図10に示すように、副走行体3には、その側枠3a,3b上に付設されたガイドレール20a,20bと当該ガイドレール20a,20bに嵌合するスライドブロック19a,19bを介して、X方向に互いに接近離間移動自在な一対の主可動台21a,21bが搭載され、この一対の主可動台21a,21bを互いに同期してX方向に接近離間移動させるためのX方向駆動手段22が併設されている。このX方向駆動手段22は、副走行体3の側枠3a,3bの外側にこれら側枠3a,3bに沿って回動自在に掛張された一対のタイミングベルト23a,23bと、伝動軸24及びベルト伝動手段25を介して両タイミングベルト23a,23bと連動連結された、副走行体3に搭載のモーター26から構成され、両タイミングベルト23a,23bの上側経路部が連結部材27a,27bを介して一方の主可動台21aの両端に連結されると共に、両タイミングベルト23a,23bの下側経路部が連結部材28a,28bを介して他方の主可動台21bの両端に連結されている。このように構成されたX方向駆動手段22によれば、モーター26によって両タイミングベルト23a,23bを正転駆動することにより、一対の主可動台21a,21bを互いに接近移動させ、モーター26によって両タイミングベルト23a,23bを逆転駆動することにより、一対の主可動台21a,21bを互いに離間移動させることが出来る。
【0019】
一対の主可動台21a,21b上には、
図10〜
図12に示すように、これら主可動台21a,21b上にY方向と平行に敷設されたガイドレール29a,29bを介して、Y方向に移動自在なそれぞれ一対の副可動台30a,30b及び31a,31bが設けられている。これら副可動台30a〜31bの内、Y方向の同一側に位置するX方向一対の副可動台30a,31bは、X方向と平行に当該副可動台30a,31bの外側に配置された連動用棒状体32aに、当該連動用棒状体32aに敷設のガイドレール
33a,33bと当該ガイドレール
33a,33bに嵌合するスライドブロック
34a,35bを介して、X方向に移動自在に支持され、他方のX方向一対の副可動台30b,31aは、X方向と平行に当該副可動台30b,31aの外側に配置された連動用棒状体32bに、当該連動用棒状体32bに敷設のガイドレール
33a,33bと当該ガイドレール
33a,33bに嵌合するスライドブロック
34b,35aを介して、X方向に移動自在に支持されている。
【0020】
そして一対の連動用棒状体32a,32bは、Y方向駆動手段36によって、Y方向に互いに接近離間移動せしめられる。このY方向駆動手段36は、一対の連動用棒状体32a,32bの外側で副走行体3にY方向と平行に掛張された一対のタイミングベルト37a,37bと、この両タイミングベルト37a,37bを伝動軸38とベルト伝動手段39を介して回転駆動する、副走行体3に搭載のモーター40から構成されている。而して、一対のタイミングベルト37a,37bは、その上側経路部が連結部材41a,41bを介して一方の連動用棒状体32aの両端に連結されると共に、両タイミングベルト37a,37bの下側経路部が連結部材42a,42bを介して他方の連動用棒状体32bの両端に連結されている。このように構成されたY方向駆動手段36によれば、モーター40によって両タイミングベルト37a,37bを正転駆動することにより、一対の連動用棒状体32a,32bをY方向に互いに接近移動させ、モーター40によって両タイミングベルト37a,37bを逆転駆動することにより、一対の連動用棒状体32a,32bをY方向に互いに離間移動させることが出来る。この一対の連動用棒状体32a,32bが互いに接近移動することにより、X方向に関して主可動台21a,21b間の間隔で支持されている副可動台30a,30b/31a,31bが、それぞれ互いに接近移動し、一対の連動用棒状体32a,32bが互いに離間移動することにより、前記副可動台30a,30b/31a,31bが、それぞれ互いに離間移動することになる。
【0021】
図10及び
図11Bに示すように、4つの副可動台30a〜31bには、それぞれX方向内側で下向きに延出する倒立L形の支持部材43a,43b/44a,44bが取り付けられ、各支持部材43a〜44bの垂直部内側に、それぞれ位置決め用昇降体45a〜46bが取り付けられている。これら各位置決め用昇降体45a〜46bは、鉛直方向に長尺の棒状部材から成り、その上下方向の全長にわたって横断面がアングル形の嵌合部47を備えている。この嵌合部47は、
図23に示すように、搬送対象のコンテナCの4つの角部にそれぞれ嵌合可能な向きに配置され、コンテナCに対面する直角内側面の外側辺には、全長にわたって連続するように、滑り防止用帯状体48が付設されている。これら各位置決め用昇降体45a〜46bには、そのX方向と平行なX方向板部の外側に、全長にわたって連続する昇降用ガイドレール49が付設され、前記各支持部材43a〜44bの垂直部内側には、前記昇降用ガイドレール49に嵌合してこれら各位置決め用昇降体45a〜46bを昇降可能に支持するスライドブロック50が付設されている。
【0022】
図14及び
図18に示すように、それぞれY方向に並列する位置決め用昇降体45a,45b/46a,46bの上端部は、連結手段51A,51BによってY方向に互いに接近離間移動自在に連結されている。これら両連結手段51A,51Bは、平面視において互いに点対称構造のものであって、Y方向に長い角柱状部材52の上側面と内側面とにY方向と平行にスライドガイドレール53,54が付設され、上側のスライドガイドレール53に嵌合するスライドブロック53aには、位置決め用昇降体45a,46aの上端を支持するL形支持板55が取り付けられ、内側のスライドガイドレール54に嵌合するスライドブロック54aには、位置決め用昇降体45b,46bの上端を支持する支持板56が取り付けられている。
【0023】
位置決め用昇降体45a,46aの上端とL形支持板55とは、位置決め用昇降体45a,46aのY方向と平行なY方向板部の上端内側とL形支持板55の垂直板部55aの外端部とが、位置決め用昇降体45a,46aのX方向板部の内側に隣接するX方向と平行な支軸55bによって連結され、位置決め用昇降体45b,46bの上端と支持板56とは、位置決め用昇降体45b,46bのY方向板部の上端内側と支持板56の外端部とが、位置決め用昇降体45b,46bのX方向板部の内側に隣接するX方向と平行な支軸56aによって連結されている。そして、
図15に示すように、Y方向一対の位置決め用昇降体45a,45b/46a,46bがY方向に互いに接近移動したとき、位置決め用昇降体45a,46aを支持するL形支持板55の垂直板部55aの内側に、位置決め用昇降体45b,46bを支持する支持板56とこれを支持するスライドブロック54aとが入り込むことにより、Y方向一対の位置決め用昇降体45a,45b/46a,46bが、平面視において角柱状部材52のY方向両端よりも内側に入り込む状態まで、互いに接近出来るように構成されている。
【0024】
上記構成により、一方のY方向一対の位置決め用昇降体45a,45bとその上端部間に位置する連結手段51Aは、当該位置決め用昇降体45a,45bを支持する支持部材43a,43b(副可動台30a,30b)に対して一体に昇降可能であり、他方のY方向一対の位置決め用昇降体46a,46bとその上端部間に位置する連結手段51Bは、当該位置決め用昇降体46a,46bを支持する支持部材44a,44b(副可動台31a,31b)に対して一体に昇降可能である。
【0025】
図9に示すように、位置決め用昇降体45a,45bと連結手段51Aを昇降駆動する昇降駆動手段57Aが、主可動台21aの下側中央部に取り付けられ、位置決め用昇降体46a,46bと連結手段51Bを昇降駆動する昇降駆動手段57Bが、主可動台21bの下側中央部に取り付けられている。両昇降駆動手段57A,57Bは、
図9に示す平面視において互いに点対称構造のものであって、
図9、
図11B、
図13、及び
図14に示すように、Y方向一対の主支持板58aと副支持板58b、主副両支持板58a,58b間で共通駆動軸59により軸支されたY方向一対の駆動プーリー60a,60b、主支持板58aに支持され且つ駆動プーリー60a,60bに共通駆動軸59と伝動ベルト59aを介して連動連結されたブレーキ付きモーター61、主副各支持板58a,58bに軸支されて、各駆動プーリー60a,60bの内側の上下に位置するそれぞれ上下一対の案内プーリー62a,62b/63a,63b、及びY方向一対の昇降駆動用タイミングベルト64a,64bを備えている。
【0026】
図23に示すように、Y方向に並列する位置決め用昇降体45a,45b/46a,46b間には、吊上げ用昇降体65A,65Bが設けられている。各吊上げ用昇降体65A,65Bは、X方向において互いに対称構造のものであって、
図18に示すように、位置決め用昇降体45a〜46bとほぼ同等の長さを有する垂直棒状本体66と、この垂直棒状本体66に取り付けられた上下二段の支持ユニット67a,67bから構成されている。垂直棒状本体66は、その上端部が、各連結手段51A,51Bにおける角柱状部材52のY方向長さの中央位置に取付け板66aを介して連結されたもので、その下端には、Y方向に長い平板状のベルト連結板68が倒立T字形に取り付けられている。
【0027】
各昇降駆動手段57A,57Bの昇降駆動用タイミングベルト64a,64bは、各吊上げ用昇降体65A,65Bの垂直棒状本体66に対しY方向両側対称に位置するもので、その一端が角柱状部材52のY方向長さの両端部外側面に、それぞれベルト取付け部材69を介して連結されると共に、その他端がベルト連結板68のY方向長さの両端部上側に、それぞれベルト取付け部材70を介して連結され、各昇降駆動用タイミングベルト64a,64bの中間部は、
図16に示すように、各昇降駆動手段57A,57Bの上下一対の案内プーリー62a,62b/63a,63b間を経由して駆動プーリー60a/60bに巻回されている。尚、昇降駆動用タイミングベルト64a,64bは、その上下両端と案内プーリー62a〜63bとの間が、位置決め用昇降体45a〜46b(垂直棒状本体66)と平行に弛みなく張設されている。
【0028】
上記のように構成された各昇降駆動手段57A,57Bによれば、両昇降駆動手段57A,57Bのブレーキ付きモーター61が稼働していないとき(駆動プーリー60a,60bが制動状態にあるとき)は、全ての位置決め用昇降体45a〜46b及び吊上げ用昇降体65A,65Bの垂直棒状本体66は昇降不能にロックされた状態となり、そのときの高さで停止している。両昇降駆動手段57A,57Bのブレーキ付きモーター61を同期稼働させて、駆動プーリー60a,60bにより各昇降駆動用タイミングベルト64a,64bを、その下端を引き上げる方向に同期駆動すると、全ての位置決め用昇降体45a〜46bと吊上げ用昇降体65A,65Bの垂直棒状本体66が、重力に抗して一体に定速上昇移動し、逆にその上端を引き下げる方向に駆動すると、全ての位置決め用昇降体45a〜46bと吊上げ用昇降体65A,65Bの垂直棒状本体66が、重力によって一体に定速下降移動することになる。
【0029】
吊上げ用昇降体65A,65Bが備える全ての支持ユニット67a,67bは同一構造のものであって、
図18、
図21、及び
図22に示すように、垂直棒状本体66の内側に全長にわたって連続するように付設されたスライドガイドレール71と当該スライドガイドレール71に昇降自在に嵌合する上下2つのスライドブロック71aとを介して、垂直棒状本体66に対し昇降自在に支持されており、上側の支持ユニット67aは、垂直棒状本体66の中間高さのY方向両側に付設された一対の受け部材72によって受け止められ、下側の支持ユニット67bは、垂直棒状本体66の下端のベルト連結板68によって受け止められている。
【0030】
これら支持ユニット67a,67bは、垂直棒状本体66の内側に位置してそのY方向両側に張り出す巾の基板73と、この基板73の後ろ側で垂直棒状本体66のY方向両側に配置された背板74a,74bとを備えた縦長中空のケーシング75の、背板74a,74b間で基板73の後ろ側に、上下2つの前記スライドブロック71aが取り付けられ、基板73と背板74a,74bとによって支持された、基板73に対しX方向に出退自在な多数のピン状支持具76a,76bを備えている。各ピン状支持具76a,76bは、ケーシング75内において、それぞれが有するフランジ部77と背板74a,74bとの間で各ピン状支持具76a,76bに遊嵌された圧縮コイルバネ78によって、基板73から内側へ突出する方向に付勢されて、フランジ部77が基板73に当接する突出限位置に保持されたものであって、X方向から見たときの垂直棒状本体66の垂直方向の中心線(Y方向に並列する2つの位置決め用昇降体45a,45b/46a,46b間の中心線)に対し、Y方向対称に狭い間隔で配置された一対のピン状支持具76aと、前記中心線に対しY方向対称に広い間隔で配置された一対のピン状支持具76bが、Y方向から見て各ピン状支持具76a,76bが上下方向に互いに一部重なる上下方向間隔で交互に配列されている。
【0031】
各吊上げ用昇降体65A,65Bの垂直棒状本体66には、支持ユニット67a,67bを支持する内側とは反対の外側に、その全長にわたって連続するようにスライドガイドレール79が付設され、このスライドガイドレール79に嵌合して各垂直棒状本体66を昇降自在に支持するスライドブロック80a,80bが、上端が主可動台21a,21bの底面に結合された垂直支持部材80c,80dの内側辺に取り付けられている。従って、各吊上げ用昇降体65A,65Bの垂直棒状本体66は、Y方向に並列する2つの位置決め用昇降体45a,45b/46a,46b間の中央位置において昇降のみ可能に、主可動台21a,21bに支持され、昇降に関しては、Y方向に並列する2つの位置決め用昇降体45a,45bとその中間位置の吊上げ用昇降体65Aの垂直棒状本体66、及びY方向に並列する2つの位置決め用昇降体46a,46bとその中間位置の吊上げ用昇降体65Bの垂直棒状本体66が、それぞれ一体に昇降運動することになる。
【0032】
図16及び
図20に示すように、位置決め用昇降体45a〜46bの内、X方向に並列する2つの位置決め用昇降体45a,46b/45b,46a間には、両者のX方向の平行移動のみを許すための平行四辺形リンク機構81A,81Bが介装されている。これら平行四辺形リンク機構81A,81Bは互いに同一構造のものであって、中央垂直リンク部材82と、当該中央垂直リンク部材82と一方の位置決め用昇降体45a/46aとの間に介装された上下一対の平行揺動リンク83a,83b、及び当該中央垂直リンク部材82と他方の位置決め用昇降体45b/46bとの間に介装された上下一対の平行揺動リンク84a,84bから構成されている。上側の平行揺動リンク83a,84aは、中央垂直リンク部材82の上端と、これよりも高い位置で、位置決め用昇降体45a,46b/46a,45bのX方向板部の外側にそれぞれ軸支され、下側の平行揺動リンク83b,84bは、真上に位置する平行揺動リンク83a,84aとそれぞれ平行になるように、中央垂直リンク部材82の下端と位置決め用昇降体45a,46b/46a,45bのX方向板部の外側にそれぞれ軸支されたもので、X方向に並列する2つの位置決め用昇降体45a,46b/45b,46a間が最大に広がっている状況において、
図16に示すように、平行揺動リンク83a〜84bが中央垂直リンク部材82に対し斜め上向きに傾斜するように構成されている。
【0033】
図18及び
図20に示すように、位置決め用昇降体45a〜46bの内、Y方向に並列する2つの位置決め用昇降体45a,45b/46a,46b間には、両者のY方向の平行移動のみを許すための平行四辺形リンク機構85A,85Bが介装されている。これら両平行四辺形リンク機構85A,85Bは互いに同一構造のものであって、上下二段の昇降リンクユニット86,87を備えている。上側の昇降リンクユニット86は、吊上げ用昇降体65A,65Bにおける上側の支持ユニット67aよりも上側に配置され、下側の昇降リンクユニット87は、当該吊上げ用昇降体65A,65Bにおける上下両支持ユニット67a,67bの中間位置に配置されている。
【0034】
これら上下二段の昇降リンクユニット86,87は互いに同一構造のものであって、吊上げ用昇降体65A,65Bにおける垂直棒状本体66の内側のスライドガイドレール71に、上下2つのスライドブロック88aを介して昇降自在に支持されたリンク支持用昇降体88と、このリンク支持用昇降体88と一方の位置決め用昇降体45a/46aとの間に介装された上下一対の平行揺動リンク89a,89b、及びリンク支持用昇降体88と他方の位置決め用昇降体45b/46bとの間に介装された上下一対の平行揺動リンク90a,90bから構成されている。上側の平行揺動リンク89a,90aは、リンク支持用昇降体88の上端と、これよりも高い位置で、位置決め用昇降体45a,45b/46a,46bのY方向板部の外側にそれぞれ軸支され、下側の平行揺動リンク89b,90bは、真上に位置する平行揺動リンク89a,90aとそれぞれ平行になるように、リンク支持用昇降体88の下端と位置決め用昇降体45a,45b/46a,46bのY方向板部の外側にそれぞれ軸支されたもので、
図18に示すように、位置決め用昇降体45a,46a/45b,46b間が最大に広がっている状況において、各平行揺動リンク89a〜90bがリンク支持用昇降体88に対し斜め上向きに傾斜するように構成されている。勿論、位置決め用昇降体45a,46a/45b,46b間が最大に広がっている状況では、各リンク支持用昇降体88は、その下方に位置する吊上げ用昇降体65A,65Bの支持ユニット67a,67bから最も上方に離れた位置にある。
【0035】
以下、使用方法及び作用について説明すると、矩形枠構造体4で囲まれた平面形状が矩形の保管エリアには、コンテナCが、その各側辺が平面視においてX方向とY方向とに平行になる向きで載置される。このとき隣り合うコンテナC間には、搬送装置1が備える位置決め用昇降体45a〜46bと吊上げ用昇降体65A,65Bが昇降するための空間が確保される。又、保管エリア内には、1つのコンテナCを独立して載置することも可能であるが、多くの場合は、平面視におけるサイズが同一の複数のコンテナCが段積みされる。勿論、コンテナCの平面視におけるサイズは、設定された最小サイズと最大サイズの範囲内で種々のサイズのものが取り扱われる。そして、保管エリア内に載置されたコンテナCごとの位置情報は、
図20及び
図23で示すように、コンテナCの平面視における中心位置Pの保管エリア上のX−Y絶対座標値として、コンテナサイズ情報や段積み情報など、他の必要な情報と共に、搬送装置1を自動運転させるための制御装置が備える記録手段に記録されている。
【0036】
一方、この保管設備において取り扱う全てのコンテナCは、
図23〜
図25に示すように、最上端とその直下、及び最下端の3か所において全周にわたって連続して張出す補強用のフランジ部F1〜F3を備えると共に、底面には脚壁部Bを備えている。従って、平面サイズが同一のコンテナCを段積みしたとき、下側コンテナCの開口部内に上側コンテナCの脚壁部Bが嵌合して上下両コンテナCの水平方向の位置ずれを防止すると同時に、下側コンテナCの最上端フランジ部F1上に上側コンテナCの最下端フランジ部F3が重なり合うことになる。本発明では、コンテナCの上側上下2つのフランジ部F1,F2を、このコンテナCを吊り上げるときに吊上げ用昇降体65A,65Bの各支持ユニット67a,67bにおけるピン状支持具76a,76bが係合する突出部として利用している。
【0037】
搬送装置1が備える位置決め用昇降体45a〜46bと吊上げ用昇降体65A,65Bは、
図14及び
図20Aで示すように、平面視においては、X方向一対の主可動台21a,21bとY方向一対の連動用棒状体32a,32bで囲まれた四角形の上下方向貫通開口部内で、取り扱えるコンテナCの最大平面視サイズよりも外側の待機ホームポジションに位置し、側面視においては、保管エリア内におけるコンテナ最大段積み高さよりも上方の上昇限高さに待機している。係る状態からX方向一対の主可動台21a,21bを、先に説明したようにX方向駆動手段22のモーター26を稼働させてX方向に同期接近移動させると共に、各主可動台21a,21b上のY方向一対の副可動台30a,30b及び31a,31bを、先に説明したようにY方向駆動手段36のモーター40を稼働させてY方向に同期接近移動させることにより、
図10に示すように、4つの位置決め用昇降体45a〜46bが取り囲む直角平行四辺形が縮小することになり、逆に、X方向一対の主可動台21a,21bをX方向に同期離間移動させると共に、Y方向一対の副可動台30a,30b及び31a,31bをY方向に同期離間移動させることにより、位置決め用昇降体45a〜46bと吊上げ用昇降体65A,65Bは、
図20Aで示す待機ホームポジションに復帰する。吊上げ用昇降体65A,65Bは、常にY方向一対の位置決め用昇降体45a,45b間及び46a,46b間の中央位置に位置している。
【0038】
即ち、X方向駆動手段22は、4つの位置決め用昇降体45a〜46bが取り囲む直角平行四辺形の中心位置Pを通り且つ当該直角平行四辺形の各側辺と平行なX方向中心線XLとY方向中心線YLの内、Y方向中心線YLに対し互いに対称に同期させて4つの位置決め用昇降体45a〜46bを接近離間移動させるものであり、Y方向駆動手段36は、X方向中心線XLに対し互いに対称に同期させて4つの位置決め用昇降体45a〜46bを接近離間移動させるものであって、これらXY両方向駆動手段22,36により、4つの位置決め用昇降体45a〜46bが取り囲む直角平行四辺形の中心位置Pと向きを変えないで当該直角平行四辺形を拡大縮小させるように、4つの位置決め用昇降体45a〜46bを水平方向に同期移動させことが出来る構成となっている。
【0039】
保管エリア内の特定位置に載置保管されているコンテナCを出庫させる場合は、その出庫対象コンテナCの位置情報に従って搬送装置1を自動運転させ、副走行体3上の待機ホームポジションで待機している位置決め用昇降体45a〜46bを、当該位置決め用昇降体45a〜46bが取り囲む直角平行四辺形の中心位置と出庫対象コンテナCの中心位置Pとが平面視において一致する位置(出庫動作開始位置)まで、主走行体2をY方向に横動させると共に当該主走行体2上で副走行体3をX方向に横動させる。出庫対象コンテナCの真上所定位置である出庫動作開始位置に、待機ホームポジションで待機している位置決め用昇降体45a〜46bを位置させたならば、出庫対象コンテナCの平面サイズより所定寸法だけ大きい直角平行四辺形の各角相当位置(下降開始位置)まで、XY両方向駆動手段22,36を稼働させて各位置決め用昇降体45a〜46bを同期接近移動させる。この待機ホームポジションで待機している位置決め用昇降体45a〜46bを下降開始位置まで同期接近移動させる行程は、副走行体3上の待機ホームポジションで待機している位置決め用昇降体45a〜46bを前記出庫動作開始位置までX,Y両方向に移動させる行程と重複させて行うことも出来る。
【0040】
出庫動作開始位置において、位置決め用昇降体45a〜46bを下降開始位置に位置させたならば、昇降駆動手段57A,57Bを稼働させて、位置決め用昇降体45a〜46b及び吊上げ用昇降体65A,65Bの垂直棒状本体66を一体に、当該垂直棒状本体66の下端のベルト連結板68が保管エリアの床面に近接する下降限レベルまで同期下降移動させる。次に、XY両方向駆動手段22,36を稼働させて、出庫対象コンテナCの4つの角部(各フランジ部F1〜F3の角部)から等距離だけ離れた位置にある各位置決め用昇降体45a〜46bを、出庫対象コンテナCの中心位置Pに向かって同期接近移動させることにより、
図23に示すように、これら各位置決め用昇降体45a〜46bの嵌合部47を出庫対象コンテナCの各角部に嵌合させ、各嵌合部47の直角両側辺の滑り防止用帯状体48を出庫対象コンテナCの各角部に圧接させる。
【0041】
このとき、位置決め用昇降体45a〜46bを内側へX方向及びY方向に移動させる作用点は、これら位置決め用昇降体45a〜46bに付設されている昇降用ガイドレール49に対する支持部材43a〜44b側のスライドブロック50の位置であって、保管エリアの床面上のコンテナCを把持させるときは、前記作用点である支持部材43a〜44b側のスライドブロック50の位置から、位置決め用昇降体45a〜46bが下方に向かって長く延出した片持ち状態にあるが、これら4つの位置決め用昇降体45a〜46bは、平行四辺形リンク機構81A,81B/85A,85BによってX方向及びY方向に互いに連結されており、これら平行四辺形リンク機構81A,81B/85A,85Bは、X方向及びY方向に並列する位置決め用昇降体45a,45b及び46a,46bを互いに平行姿勢に保持すると同時に、その中央の中央垂直リンク部材82やリンク支持用昇降体88に作用する重力を、各平行揺動リンク83a〜84b,89a〜90bを介して位置決め用昇降体45a〜46bをX方向及びY方向に互いに接近させる方向に付勢しているので、これら4つの位置決め用昇降体45a〜46bによって段積みコンテナCの各角部を確実に把持させることが出来る。
【0042】
このとき、吊上げ用昇降体65A,65Bの垂直棒状本体66は、出庫対象コンテナCのY方向と平行な両側面の巾方向中央位置に向かってX方向に直線的に接近移動するが、当該垂直棒状本体66に支持されている上下二段の支持ユニット67a,67bは、
図23に示すように、平面視において、Y方向両側の位置決め用昇降体45a,45b/46a,46bにおけるX方向の当接面(滑り防止用帯状体48の表面)よりもピン状支持具76a,76bが内側に突出する構造であるため、上記のように位置決め用昇降体45a〜46bの嵌合部47が出庫対象コンテナCの各角部に嵌合する過程において、上下二段の支持ユニット67a,67bが備えるピン状支持具76a,76bの内、出庫対象コンテナCの外側面、即ち、各フランジ部F1〜F3の周側面に先端面が一部でも当接する位置にあるピン状支持具は、当該各フランジ部F1〜F3の周側面によって受け止められるので、圧縮コイルバネ78の付勢力に抗してケーシング75内に相対的に退入し、それ以外のピン状支持具は、支持ユニット67a,67bの移動に伴って各フランジ部F1〜F3の上下両側に突出状態で入り込むことになる。
【0043】
図24及び
図25に示す例では、段積みされている出庫対象コンテナCの内、最下段のコンテナC1とその直上のコンテナC2が下側の支持ユニット67bに隣接すると共に、中間高さに位置する上下2つのコンテナCu,Cdが上側の支持ユニット67aに隣接しており、これら上下二段の支持ユニット67a,67bにおけるピン状支持具76a,76bの内、各支持ユニット67a,67bに隣接するそれぞれ上下二段のコンテナC1,C2間及びコンテナCu,Cd間で上下に重なっているフランジ部F3,F1と下側のコンテナC1,Cdの二段目のフランジ部F2に対面することになる幾本かのピン状支持具76a,76bが圧縮コイルバネ78の付勢力に抗してケーシング75内に相対的に退入せしめられ、他のピン状支持具76a,76bは、突出状態のまま、各コンテナC1,C2,Cu,Cdの上下両フランジ部F1,F2間及び上下両フランジ部F2,F3間に入り込むことになる(
図24の左半分の状態)。
【0044】
次に、昇降駆動手段57A,57Bを稼働させて、下降限レベルにある位置決め用昇降体45a〜46b及び吊上げ用昇降体65A,65Bの垂直棒状本体66を一体に、上昇限レベルまで同期上昇移動させると、垂直棒状本体66の下端のベルト連結板68と中間高さの受け部材72とで支持されている状態の支持ユニット67a,67bの上昇により、これら支持ユニット67a,67bのピン状支持具76a,76bの内、各コンテナCの上側上下2つのフランジ部F1,F2の直下に突出状態で位置しているピン状支持具、
図25の例では、黒色塗り潰しで示した内側左右一対のピン状支持具76aが、最下段のコンテナC1と中間高さのコンテナCdとを、それぞれのフランジ部F1,F2を介して持ち上げることになる。勿論、上下2つのフランジ部F1,F2間の間隔やフランジ部F2,F3間の間隔、或いはフランジ部F1,F2の厚さによっては、その何れか一方のフランジ部F1/F2のみを介して最下段のコンテナC1と中間高さのコンテナCdが、ピン状支持具76a,76bの内側左右一対のピン状支持具76a又は外側左右一対のピン状支持具76bにより持ち上げられることになる。
【0045】
以上の説明から明らかなように、上記のように上側の支持ユニット67aで持ち上げられるコンテナCdが存在するときは、当該コンテナCdを最下端とする上側段積みコンテナグループと、当該コンテナCdの直下のコンテナを最上端とする下側段積みコンテナグループとに分けられ、上側段積みコンテナグループは、その最下端のコンテナCを介して上側の支持ユニット67aが持ち上げ、下側段積みコンテナグループは、その最下端のコンテナC1を介して下側の支持ユニット67bが持ち上げることになる。当然、段積みされたコンテナCの段数が少なくて、上記のように上側の支持ユニット67aで持ち上げられるコンテナCdが存在しないときは、下側の支持ユニット67bが最下段のコンテナC1を介して段積みされたコンテナCを持ち上げることになる。
【0046】
上記のようにして出庫対象のコンテナCが、X方向一対の吊上げ用昇降体65A,65Bによって、保管エリアの床面上から垂直上方に持ち上げられるが、このとき、当該出庫対象のコンテナCの4つの角部には、前記吊上げ用昇降体65A,65Bと一体に上昇する4つの位置決め用昇降体45a〜46bの各嵌合部47が嵌合して把持しているので、当該出庫対象のコンテナCは、その全体が垂直段積み姿勢に保持されており、段積みされたコンテナCの全体が横方向に傾動するようなことは防止されている。
【0047】
4つの位置決め用昇降体45a〜46bによって位置決めされると共にX方向一対の吊上げ用昇降体65A,65Bによって支持された出庫対象のコンテナCが上昇限レベルまで持ち上げられたならば、搬送装置1の自動運転により、主走行体2をY方向に横動させると共に当該主走行体2上で副走行体3をX方向に横動させて、この出庫対象のコンテナCを、保管エリア内に段積み状態で保管されているコンテナCの最高高さよりも高いレベルで、出庫用コンベヤ7の移載用端部7aの真上位置まで水平に搬送させる。尚、4つの位置決め用昇降体45a〜46bによって位置決めされると共にX方向一対の吊上げ用昇降体65A,65Bによって支持された出庫対象のコンテナCが上昇限レベルまで持ち上げられたとき、当該出庫対象のコンテナCは、X方向一対の主可動台21a,21bとY方向一対の連動用棒状体32a,32bで囲まれた四角形の上下方向貫通開口部において、副走行体3を上下方向に貫通した状態にある。
【0048】
この後、4つの位置決め用昇降体45a〜46bとX方向一対の吊上げ用昇降体65A,65Bを、出庫対象コンテナCを保管エリアの床面上から持ち上げる動作とは正反対の手順で作動させることにより、4つの位置決め用昇降体45a〜46bによって位置決めされると共にX方向一対の吊上げ用昇降体65A,65Bによって支持された出庫対象のコンテナCを、出庫用コンベヤ7の移載用端部7a上に降ろすことが出来る。又、入庫用コンベヤ6によってその移載用端部6aまで搬入された入庫対象コンテナを保管エリア内の空きスペースに入庫するときは、出庫対象コンテナCを保管エリアの床面上から持ち上げる時と同じ要領で、入庫用コンベヤ6の移載用端部6a上に位置する入庫対象コンテナを4つの位置決め用昇降体45a〜46bとX方向一対の吊上げ用昇降体65A,65Bによって上昇限レベルまで持ち上げた後、入庫対象位置まで搬送装置1の自動運転により搬送し、この後、出庫対象コンテナCを出庫用コンベヤ7の移載用端部7a上に降ろすときと同じ要領で、入庫対象空きスペース上に入庫対象コンテナを降ろせば良い。
【0049】
上記保管設備では、1つ又は段積み状態のコンテナの全体を、保管エリア上の特定位置から出庫用コンベヤ7の移載用端部7aまで搬送出庫するか又は、入庫用コンベヤ6の移載用端部6a上から保管エリア上の空きスペースまで搬送入庫することが出来るのであるが、他のコンテナの入出庫方法としては、段積みされているコンテナ中の特定のコンテナCのみを出庫する個別出庫方法や、入庫用コンベヤ6の移載用端部6a上に位置する段積みコンテナ中の特定のコンテナCのみを入庫する個別入庫方法、或いは保管エリア内に保管されている他のコンテナ上に同一平面サイズの入庫対象コンテナを段積み入庫する方法などが実施可能である。
【0050】
個別入出庫方法は、当該個別入出庫対象コンテナを含む段積みコンテナCに対して、4つの位置決め用昇降体45a〜46bとX方向一対の吊上げ用昇降体65A,65Bを、個別入出庫対象コンテナの底面レベル近くまで下降させた後、先に説明した通りのコンテナ持ち上げ動作を行わせる。この結果、個別入出庫対象コンテナが最下端に位置する状態の段積みコンテナCを上昇限レベルまで上昇させることが出来るので、この後、当該段積みコンテナCを目的の降ろし位置(出庫用コンベヤ7の移載用端部7a、又は保管エリア上の空きスペース、若しくは保管エリアに保管されている同一平面サイズのコンテナ)の真上位置まで水平に搬送し、当該目的の降ろし位置に段積みコンテナCを降ろす。この後、段積みコンテナCから横側方に解放させた4つの位置決め用昇降体45a〜46bとX方向一対の吊上げ用昇降体65A,65Bを上昇限レベルまで上昇させるのではなく、降ろした段積みコンテナCから、個別入出庫対象コンテナである最下端のコンテナの上に段積みされている個別入出庫対象以外のコンテナの全てを持ち上げる動作を行わせる。この結果、目的の降ろし位置には個別入出庫対象コンテナのみが残ることになり、個別入出庫対象コンテナの入出庫作業が完了する。個別入出庫対象コンテナを残して持ち上げた個別入出庫対象以外のコンテナCは、先に説明した通りの手順で、元の場所や新規の場所に搬送して降ろすことが出来る。
【0051】
上記のように、4つの位置決め用昇降体45a〜46bによって位置決めされると共にX方向一対の吊上げ用昇降体65A,65Bによって支持された1つ又は段積み状態の入出庫対象コンテナCを目的の場所へ降ろすときは、当該入出庫対象コンテナCが目的の場所で受け止められた後、少しだけ支持ユニット67a,67bが下降して、当該入出庫対象コンテナCのフランジ部F1/F2を支持していたピン状支持具76a,76bが当該フランジ部F1/F2から下方に若干離れるように、昇降駆動手段57A,57Bを制御することにより、4つの位置決め用昇降体45a〜46bと吊上げ用昇降体65A,65Bを入出庫対象コンテナCから外側へ離間移動させるときに、当該入出庫対象コンテナCのフランジ部F1/F2とこれを支持していたピン状支持具76a,76bとの間の無理な摺接を回避出来る。
【0052】
しかしながら、上記構成では、吊上げ用昇降体65A,65Bの垂直棒状本体66に対して支持ユニット67a,67bが定位置に重力で支持されているだけで、当該定位置から上方へは重力に抗して自由に移動出来るので、仮に、吊上げ用昇降体65A,65Bの垂直棒状本体66が上記の理想位置よりも下降した位置で停止するような状況にあっても、入出庫対象コンテナCのフランジ部F1/F2の上側に位置していたピン状支持具76a,76bを介して支持ユニット67a,67bが入出庫対象コンテナCによって支持され、吊上げ用昇降体65A,65Bの垂直棒状本体66が支持ユニット67a,67bに対して相対的に降下するだけで、入出庫対象コンテナCのフランジ部F1/F2の上側に位置していたピン状支持具76a,76bが当該フランジ部F1/F2を上から押さえつけることにはならない。
【0053】
尚、吊上げ用昇降体65A,65Bの構造は、上記実施例のものに限定されない。例えば、搬送対象のコンテナCに対する各垂直棒状本体66の下降停止位置を正確に制御することが出来るならば、各垂直棒状本体66の一定高さに、1つの巾広支持具又は左右一対のピン状の支持具をコンテナC側に向かって固着突設し、各垂直棒状本体66がコンテナC側に接近移動したとき、当該コンテナCの所定高さに位置する突出部(例えば上側上下2つのフランジ部F1,F2の内の何れか一方)の下側に、前記1つの巾広支持具又は左右一対のピン状の支持具が入り込み、垂直棒状本体66の上昇移動に伴って、前記1つの巾広支持具又は左右一対のピン状の支持具が前記突出部を介してコンテナCを吊り上げるように構成することが出来る。