特許第6183715号(P6183715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183715
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ゴルフ用パター
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20170814BHJP
   A63B 69/36 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   A63B53/04 Z
   A63B69/36 502D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-174789(P2014-174789)
(22)【出願日】2014年8月29日
(65)【公開番号】特開2016-49165(P2016-49165A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2016年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126170
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 義之
(72)【発明者】
【氏名】角田 幸介
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−007160(JP,A)
【文献】 米国特許第07371185(US,B1)
【文献】 米国特許第04629193(US,A)
【文献】 特開平06−205855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00−53/14
A63B 69/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターであって、
フェースを有するヘッドと、
シャフトと、
前記ヘッドと前記シャフトを接続し、前記ヘッドの前記フェース側に伸びるネックと、
を備え、
前記ヘッドの重心を通り前記フェースに直交する仮想線の伸びる方向を確認可能に構成された前記ネックには、穴が形成されており、
前記穴は、前記穴を通して前記仮想線上の2点を視認できるように形成されている、
パター。
【請求項2】
請求項記載のパターであって、
前記穴の内面のうち、トゥ側とヒール側との少なくとも一方の側の面は、鉛直面を有している、
パター。
【請求項3】
請求項または記載のパターであって、
前記穴は、鉛直上方から見て前記仮想線の伸びる方向に長く形成されている、
パター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゴルフのパターに関し、特に、より正確なパッティングを可能にするパターに関する。
【背景技術】
【0002】
パッティング数はゴルフのストローク数の中でも大きな部分を占めるため、ゴルフのスコアを伸ばしていくためには、パッティングを正確に行い、パッティング数を減らすことが重要である。そこで、パッティングを正確に行うため、ボールを置く際に、ボールの表面に描かれた線や線状のロゴマーク(以下、「マークライン」と総称する)をホール等の目標方向に合わせ、マークラインの方向にボールを打ち出すことが行われている。具体的には、プレーヤは、ボールとホールとを結ぶ目標線をイメージし、イメージした目標線にマークラインを合わせる。そして、プレーヤは、アドレスの際にマークラインの方向にボールを打ち出すようにフェースの方向等を調整して、ボールを打ち出すようにしている。
【0003】
一般的に、目標線にマークラインを合わせることは、簡単に行うことができる。そのため、マークラインの方向にボールを打ち出すことが可能であれば、ボールを目標線の方向(目標方向)に打ち出すことが可能である。しかしながら、フェースに垂直な方向と、マークラインの方向とが正確に一致しないと、ボールはマークラインの方向とは異なる方向に打ち出され、その結果、ボールは目標線から外れた方向に進むことになる。このようにフェースに垂直な方向とマークラインの方向とを正確に一致させることは、通常容易ではないため、マークラインを目標線に合わせてもパッティングを正確に行うことは困難である。
【0004】
一方、パッティングにおけるフェースの方向の重要性に鑑みて、フェースに垂直な方向を目標線に正しく合わせることを可能にするパターが種々提案されている。例えば、特許文献1には、パターヘッドやパターヘッドに設けられたネック等に、方向指示体を取り付けることが提案されている。しかしながら、このようにネック等に方向指示体を取り付けた場合、ネック等の構造が複雑になるため、用具の製造に要する工程数が増加する。また、目標線自体はプレーヤがイメージした線であり、現実に描かれた線ではないので、アドレスの際にプレーヤがイメージしている目標線と、ボールを置く際にプレーヤがイメージした目標線とが一致せず、誤った方向にボールを打ち出す可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−223160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、パッティングにおいて、正確な目標方向にボールを打ち出すことは難しい。また、方向指示体を取り付けること等により、正確なパッティングを支援するように構成されたパターは、その製造が必ずしも容易でない。
【0007】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、製造がより容易で、より正確なパッティングを可能にするパターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の少なくとも一部を達成するために、本発明のパターは、フェースを有するヘッドと、シャフトと、前記ヘッドと前記シャフトを接続し、前記ヘッドの前記フェース側に伸びるネックと、を備え、前記ヘッドの重心を通り前記フェースに直交する仮想線の伸びる方向を確認可能に構成された前記ネックには、穴が形成されており、前記穴は、前記穴を通して前記仮想線上の2点を視認できるように形成されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、仮想線の伸びる方向がボールに描かれたマークラインに沿っているかを確認することで、アドレス時に仮想線の伸びる方向をマークラインに合わせることができる。そのため、より容易にボールに描かれたマークライン方向にボールを打ち出すことができるので、予めマークラインを目標線に合わせることにより、より正確にパッティングを行うことが可能となる。また、ネックを、単一の部材で形成し、かつ、単純な形状とすることができるため、正確なパッティングを行うことを可能にするパターを、より容易に製造することが可能となる。さらに、穴を通して仮想線上の2点を視認できるようにすることで、仮想線の伸びる方向を確認するための構成をより容易に実現することができる。
【0012】
前記穴の内面のうち、トゥ側とヒール側との少なくとも一方の側の面は、鉛直面を有しているものとしてもよい。
【0013】
トゥ側とヒール側との少なくとも一方の側の面に鉛直面を設けることにより、プレーヤが正しい姿勢を取りヘッドを鉛直上方から見ている状態では、ネックに形成された穴の内面が有する鉛直面が見えず、姿勢が崩れて傾いた方向からヘッドを見ている状態では、当該鉛直面が見えるようになる。そのため、プレーヤは、アドレスの際にネックに形成された穴の内面の鉛直面が見えるか否かにより、自身の姿勢が正しいか否かを判断することができるので、より容易に正しい姿勢でパッティングを行うことが可能となる。
【0014】
前記穴は、鉛直上方から見て前記仮想線の伸びる方向に長く形成されているものとしてもよい。
【0015】
穴を鉛直上方から見て仮想線の伸びる方向に長く形成することにより、プレーヤは、ボールに描かれたマークライン全体を当該穴を通して見ることができる。そのため、仮想線をマークライン方向に合わせるのがより容易となる。
【0016】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、ネックと一体化されたパター用のヘッド、ヘッドとは別体のパター用のネック、ヘッドとネックとシャフトとを有するパター等、種々の態様で実現するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態としてのパターの構成を示す説明図。
図2】本実施形態のパターを用いてパッティングする様子を示す説明図。
図3】プレーヤの姿勢とボールおよび伸長部のプレーヤからの見え方との関係を示す説明図。
図4】ネック形状の変形例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
A.実施形態:
図1は、本発明の一実施形態としてのパター1の構成を示す説明図である。図1(a)は、パター1をアドレス時に鉛直上方から見た様子を示し、図1(b)は、パター1をヒール側から見た様子を示している。図1に示すように、パター1は、ヘッド10と、シャフト3と、ヘッド10とシャフト3とを接続するネック20とを有している。ヘッド10の形状は、ヒール側からトゥ側に向かうヒール−トゥ方向に対称となっている。また、ヘッド10では、ボールBLの打面であるフェース11が、やや鉛直上方を向いている。なお、図1(a)に示すように、パター1では、ヘッド10がヒール−トゥ方向に対称となっているため、ヘッド10の重心CWは、ヘッド10のヒール−トゥ方向の中心に位置している。
【0019】
ネック20は、ヘッド10のフェース11側の上端においてヘッド10の中心部に接続され、鉛直上方に立ち上がる立上部21と、立上部21の上端からフェース11側(前方)に水平に伸びる伸長部22と、伸長部22の立上部21とは反対側の端に設けられ、シャフト3に接続されるボス23とを有している。伸長部22の中心部には、伸長部22が伸びる方向に長く、伸長部22を鉛直方向に貫通する矩形のスロット穴24が設けられている。このスロット穴24の内面は、鉛直面となっている。なお、本実施形態においては、伸長部22を水平に形成しているが、ボールBLとの干渉を避けることが可能であれば、伸長部22は必ずしも水平とする必要はない。但し、スロット穴24の形成をより簡単に行える点で、伸長部22は略水平に形成するのが好ましい。このように、本実施形態では、ネック20の伸長部22にスロット穴を設けているが、ネック20自体は単純な形状であり、また、単一の部材で形成することができるので、パター1の製造は容易である。また、ネック20が単純な形状を有する単一の部材であるため、ネック20を有するパター1を、より容易にゴルフの用具規則に適合させることができる。
【0020】
上述のようにネック20を構成することにより、図1に示すように、鉛直上方から見ると、スロット穴24を通して、ヘッド10の重心CWを通りフェース11と直交する仮想線4が通過する位置を見ることができる。また、スロット穴24は、伸長部22が伸びる方向、すなわち、鉛直上方から見て仮想線4が伸びる方向に長く形成されている。そのため、スロット穴24を鉛直上方から見ることにより、仮想線4が伸びる方向を確認することができる。より具体的に言えば、スロット穴24を通してボールBL等の対象物を見ることにより、当該対象物に対するスロット穴24の伸びる方向を把握することで、仮想線4が伸びる方向を確認することができる。なお、本実施形態では、鉛直上方から見た際に、仮想線4が通過する位置を視認するとともに、仮想線4が伸びる方向を確認できるようにしているが、プレーヤの癖に合わせて、鉛直上方からずれた方向から見た際に、仮想線4が通過する位置を視認するとともに、仮想線4が伸びる方向を確認できるようにしてもよい。但し、後述するように、パッティングの姿勢としては、ヘッド10を鉛直上方から見るようにするのが好ましいので、一般的には、鉛直上方から見た際に、仮想線4が通過する位置を視認するとともに、仮想線4が伸びる方向を確認できるようにするのが好ましい。
【0021】
なお、図1の例では、スロット穴24を矩形形状としているが、スロット穴の形状は、必ずしも矩形形状に限定されない。一般的に、スロット穴は、鉛直上方から見て仮想線の伸びる方向に長く形成されていればよく、スロット穴の形状を、楕円形状や、矩形の両端に半円を配置した長円形状とすることも可能である。但し、仮想線が伸びる方向の確認をより容易とするため、スロット穴は、矩形形状や長円形状のように、直線部分を有する形状とするのが好ましい。
【0022】
また、図1の例では、ヘッド10を対称形状としているが、ヘッド10は必ずしも対称形状でなくてもよい。この場合においても、鉛直上方から見た場合に、スロット穴を通してヘッドの重心を通りフェースと直交する仮想線が通過する位置を見ることが可能であり、かつ、仮想線が伸びる方向を確認することが可能であればよい。このような構成は、例えば、鉛直上方から見て、伸長部22の中心軸が仮想線と一致するように、ネックを配置すれば実現可能である。また、図1の例では、シャフト3の軸芯と、フェース11との距離(オフセット量)を約ボールBL1個分としているが、オフセット量を増減することも可能である。但し、オフセット量としては、後述する効果をより確実に得るため、ボール半個分以上とするのが好ましい。また、クラブの形状に係るゴルフの用具規則では、ネックの上端からクラブのソールまでの、ネックの軸線に沿って曲がりなりに測定した長さを5インチ(127mm)以下とするように規定されている。そのため、オフセット量は、この規定に適合するように適宜決定される。
【0023】
図2は、本実施形態のパター1を用いてパッティングする様子を示す説明図である。図2(a)は、パッティングのためにボールBLを置く様子を示し、図2(b)は、アドレスを行う際のボールBLとパター1との位置関係を示している。図2(a)に示すように、パッティングのためにボールBLを置く際、プレーヤPLは、ホールHLの中心から見て、ボールBLを置くべき位置の後方に立つ。そして、ボールBLの表面に描かれたマークラインLNを、ホールHLとボールBLとのそれぞれの中心を結ぶ線(目標線)TLに合わせてボールBLを置く。
【0024】
このように、ボールBLに描かれたマークラインLNを目標線TLに合わせた後、図2(b)に示すように、パター1のスロット穴24からボールBLに描かれたマークラインLNが見えるようにアドレスを行う。図1に示すように、スロット穴24は、鉛直上方から見て、ヘッド10の重心CWを通りフェース11に直交する仮想線4が通過する位置を視認できるように形成されている。そして、このスロット穴24は、鉛直上方から見て仮想線4の伸びる方向に長く形成されているので、スロット穴24を通してボールBLを見ることで、仮想線4の伸びる方向がボールBLに描かれたマークラインLNに沿っているかを確認することができる。そこで、スロット穴24からボールBLに描かれたマークラインLNが見えるようにアドレスを行うと、マークラインLNとフェース11とが鉛直上方から見て直交するので、ボールBLを打つと、ボールBLは、マークラインLNの方向、すなわちホールHLに向かう目標線TLに向かって打ち出される。なお、芝の状態等の影響により打球が曲がる場合には、目標線TLをホールHLからずらして設定すればよい。この場合においても、マークラインLNを目標線TLに合わせることにより、ボールBLは目標線TLに沿って打ち出された後、ホールHLに向かって曲がりながら進んでいく。
【0025】
また、スロット穴24からマークラインLNが見えるようにアドレスを行うと、地面とシャフト3とのなす角度(アドレスライ角)と、ヘッド10の底面(ソール)とシャフト3とのなす角度(設計ライ角)とが略一致するので、ヘッド10のヒール側やトゥ側が浮くことによる打球の曲がりが抑制される。さらに、スロット穴24からマークラインLNが見えるようにアドレスを行うと、ボールBLとフェース11とが、仮想線4を含む鉛直面上のスイートスポットにおいて接触するように打つことができる。そのため、プレーヤPLは、目標とする強さでボールBLを打つことができるので、より正確にパッティングを行うことができる。
【0026】
図3は、プレーヤPLの姿勢とボールBLおよび伸長部22のプレーヤPLからの見え方との関係を示す説明図である。図3(a)は、パッティングの際のプレーヤPLの姿勢を示している。図3(b)および図3(c)は、それぞれ、プレーヤPLが図3(a)において実線および破線で示した姿勢を取ったときの、ボールBLおよび伸長部22の見え方を示している。
【0027】
パッティングを行う場合、図3(a)の実線で示すように、プレーヤPLは、ボールBLおよびパター1のヘッド10を鉛直上方から見るようにするのが好ましい。上述のように、スロット穴24の内面は、鉛直面となっている。そのため、プレーヤPLがボールBLおよびヘッド10を鉛直上方から見る正しい姿勢(図3(a)の実線)を取った場合、図3(b)に示すように、プレーヤPLからは、スロット穴24の内面が見えない。一方、図3(a)の破線で示すように、プレーヤPLの上半身や頭が起き上がりすぎている場合、プレーヤPLは、スロット穴24をヒール側に傾いた方向から見ることになる。そのため、プレーヤPLからは、図3(c)に示すように、スロット穴24のトゥ側の内面および伸長部22のヒール側の側面が見える。図示しないが、同様に、プレーヤPLの上半身や頭が下がりすぎている場合等においては、プレーヤPLは、スロット穴24をトゥ側に傾いた方向から見るので、プレーヤPLからは、スロット穴24のヒール側の内面および伸長部22のトゥ側の側面が見える。
【0028】
上述のように、本実施形態のパター1を使用する際、プレーヤPLは、スロット穴24からマークラインLNが見えるようにアドレスを行う。このとき、プレーヤPLは、スロット穴24を注視するので、スロット穴24の内面が見えるか否かを容易に把握することができる。そのため、プレーヤPLは、アドレスを行いながら、プレーヤPL自身の姿勢が正しいか否かを判断することができるので、より容易に正しい姿勢でパッティングを行うことができる。なお、プレーヤPLが姿勢が正しいか否かを判断することがより容易となるように、スロット穴24の内面の視認性を高めるのがより好ましい。スロット穴24の内面の視認性は、例えば、スロット穴24の内面をオレンジ色や赤色等のボール(白色)や芝(緑色)とは異なる色により塗装することにより高くすることができる。
【0029】
B.ネック形状の変形例:
図4は、ネック形状の変形例を示す説明図である。図4(a)および図4(b)は、それぞれ、ネック形状の変形例におけるパター1a,1bを上から見た様子を示している。図4(a)および図4(a)に示すパター1a、1bは、ネック20a,20bの構成が図1に示すパター1と異なっている他は、図1に示すパター1と同様である。
【0030】
図4(a)に示すパター1aは、ネック20aの伸長部22aに、スロット穴24に替えて切欠部24aが設けられている点で、図1に示すパター1と異なっている。切欠部24aは、切欠部24aを構成する面が鉛直面となっている。なお、パター1aにおいても、塗装等により、切欠部24aのヒール側の面の視認性を高めるのがより好ましい。このように、伸長部22aに切欠部24aを設けることにより、図1のパター1と同様に、鉛直上方から見て、ヘッド10の重心CWを通りフェース11に直交する仮想線4が通過する位置を視認できる。また、切欠部24aのヒール側の面は、鉛直上方から見て仮想線4に近接している。そのため、切欠部24aを通してボールBLを見ることで、仮想線4の伸びる方向がボールBLに描かれたマークラインLNに沿っているかを確認することができる。そこで、切欠部24aからボールBLに描かれたマークラインLNが見えるようにアドレスを行い、ボールBLを打つと、ボールBLは、マークラインLNの方向に打ち出される。そのため、図2(a)に示すように、マークラインLNを目標線TLに合わせることにより、ボールBLはホールHLに向かって進んでいく。さらに、図1に示すパター1と同様に、ヒール側やトゥ側の浮きが抑制されるとともに、スイートスポットでボールBLを打つことが容易となるので、プレーヤPLは、より正確にパッティングを行うことができる。また、切欠部24aのヒール側の面が鉛直面となっているので、図3の例と同様に、プレーヤPLは、より容易に正しい姿勢でパッティングを行うことができる。
【0031】
図4(b)に示すパター1bは、ネック20bの伸長部22bに、スロット穴24を設けるのに替えて、ネック20bの側面が鉛直上方から見て仮想線4に近接するように、ネック20bを配置している。具体的には、ネック20bの立上部21bを、ヘッド10の中心よりもヒール側に設けることにより、ネック20bを仮想線4よりもヒール側に配置している。そして、伸長部22bには、伸長部22bの伸びる方向、すなわち、鉛直上方から見て仮想線4の伸びる方向に沿った、指示線25bが描かれている。但し、指示線25bは省略することも可能である。図4(b)に示すパター1bにおいても、ネック20bを仮想線4よりもヒール側に配置しているので、図1のパター1と同様に、鉛直上方から見て仮想線4が通過する位置を視認できる。また、伸長部22bのトゥ側の面および指示線25bは、仮想線4に近接している。そのため、伸長部22bのトゥ側からボールBLを見ることで、仮想線4の伸びる方向がボールBLに描かれたマークラインLNに沿っているかを確認することができる。そこで、伸長部22bのトゥ側をボールBLに描かれたマークラインLNに近づけ、伸長部22bのトゥ側の面および指示線25bをマークラインLNと平行となるようにアドレスを行い、ボールBLを打つと、ボールBLは、マークラインLNの方向に打ち出される。そのため、図2(a)に示すように、マークラインLNを目標線TLに合わせることにより、ボールBLはホールHLに向かって進んでいく。さらに、図1に示すパター1と同様に、スイートスポットでボールBLを打つことが容易となるので、プレーヤPLは、より正確にパッティングを行うことができる。なお、図3の例と同様に、パター1bにおいても、プレーヤPLがより容易に正しい姿勢でパッティングを行うことができるように、伸長部22bのトゥ側の面を鉛直面とするのが好ましく、塗装等により伸長部22bのトゥ側の面の視認性を高めるのがさらに好ましい。
【0032】
C.変形例:
本発明は上記実施形態およびネック形状の変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0033】
C1.変形例1:
上記実施形態およびネック形状の変形例では、仮想線4が通過する位置の視認は、ネック20,20a,20bを構成する部材が存在していない領域を通して行われるが、ネックを構成する部材を透かして仮想線4が通過する位置を視認するものとしてもよい。ネックを構成する部材を透かして仮想線4が通過する位置を視認するためには、ネックをガラスやプラスチック等の透明素材で形成すればよい。この場合、仮想線が伸びる方向の確認を容易にするために、透明素材からなるネックの少なくとも伸長部の中心を残してネックの外面を塗装するものとしてもよく、また、伸長部の中心付近に指示線を描くものとしてもよい。
【0034】
また、ネックを構成する部材を透かして仮想線4が通過する位置を視認する別の態様として、上記実施形態およびネック形状の変形例において、伸長部22,22aに形成されたスロット穴24や切欠部24aを透明素材で埋めるものとしてもよい。この場合、スロット穴24や切欠部24aを透明素材で埋めることにより、伸長部22,22aの強度をより高くすることが可能となる。
【0035】
C2.変形例2:
上記実施形態では、ヘッドの重心を通りフェースと直交する仮想線が通過する位置の視認と、仮想線が伸びる方向の確認とを可能とするため、ネック20の伸長部22に、鉛直上方から見て仮想線の伸びる方向に長いスロット穴24を設け、仮想線4が通る線状の領域を視認できるようにしている。しかしながら、仮想線上の少なくとも2点が視認できれば、仮想線の伸びる方向を確認できるようにすることができる。仮想線上の少なくとも2点を視認するためには、例えば、鉛直上方から見て仮想線の伸びる方向に離間した少なくとも2つ以上の穴をネックを設ければよい。但し、ボールBLに描かれたマークラインLN全体を視認でき、鉛直上方から見た仮想線4の方向ををマークラインLN方向に合わせるのがより容易となる点で、スロット穴24を設けるのが好ましい。
【0036】
C3.変形例3:
上記実施形態およびネック形状の変形例では、スロット穴24の内面および切欠部24aを形成する面を鉛直面としているが、これらの面のうち、鉛直上方から見て仮想線4と交差する面については、鉛直面とする必要はない。また、上記実施形態では、スロット穴24の内面を鉛直面としているが、この内面のうち、ヒール側とトゥ側の少なくとも一方の側の面が鉛直面となっていればよい。このようにしても、鉛直面の反対側に傾いた方向から見ると、鉛直面が見えるので、プレーヤは、自身の姿勢が傾いていることを認識することが可能である。
【0037】
また、一般的には、スロット穴24の内面のうち、ヒール側とトゥ側との少なくとも一方の側の面が、鉛直面を有していれば良い。例えば、ヒール側とトゥ側との少なくとも一方の側の面を、鉛直方向の中間位置に溝を形成した鉛直面としても良い。また、ヒール側とトゥ側との少なくとも一方の面において、当該面の一部を鉛直面とし、他の部分を鉛直方向に対して傾いた面とするものとしても良い。
【符号の説明】
【0038】
1,1a,1b…パター、3…シャフト、4…仮想線、10…ヘッド、11…フェース、20,20a,20b…ネック、21,21b…立上部、22,22a,22b…伸長部、23…ボス、24…スロット穴、24a…切欠部、25b…指示線、BL…ボール、CW…重心、HL…ホール、LN…マークライン、PL…プレーヤ、TL…目標線
図1
図2
図3
図4