(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
利用者の身体に装着されるモーションセンサを有し、前記利用者が足を動かして移動する運動を行っているときに、前記モーションセンサより、前記利用者の身体の動作状態に関するデータを出力するセンサ部と、
前記データに基づいて、前記利用者の運動状態に関する運動データを算出する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記運動により、互いに異なる複数の移動速度の各々で予め設定された区間を前記利用者が移動したときに前記モーションセンサより出力される第1のデータに基づいて、予め設定された複数の運動指標を算出し、
前記複数の運動指標のうちの、前記複数の移動速度の相互の比率に対する相関が相対的に強いものを特定の運動指標として選択し、
前記比率を、前記特定の運動指標を変数とする近似式で表すときの係数を算出し、
前記利用者が前記運動により前記区間と異なる経路を移動したときに、前記特定の運動指標、前記経路の実際の距離及び前記係数に基づいて前記運動データを算出することを特徴とする運動支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る運動支援装置及び運動支援方法、運動支援プログラムについて、実施形態を示して詳しく説明する。なお、以下の実施形態においては、ユーザ(利用者)が陸上競技場等のトラックや所定のランニングコース、マラソンコース等を走った場合に収集されるセンサデータに基づいて、走行中の移動速度やストライド(歩幅)、ピッチ等を推定して、ユーザに提供する場合について説明する。
【0013】
<運動支援装置>
図1は、本発明に係る運動支援装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図2は、本実施形態に係る運動支援装置に適用される各構成を示す概略ブロック図である。
図2(a)はセンサ機器の構成を示す概略ブロック図であり、
図2(b)はリスト機器の構成を示す概略ブロック図であり、
図2(c)は情報処理端末の構成を示す概略ブロック図である。
【0014】
本発明の実施形態に係る運動支援装置は、例えば
図1に示すように、ユーザ(利用者)USの背面側の腰部に装着されるセンサ機器100と、ユーザUSの手首等に装着される腕時計型又はリストバンド型のコントロール機器(以下、「リスト機器」と記す)200と、走行軌跡等を解析して、運動状態に関する各種データを所定の表示形態でユーザUSに提供する情報処理端末300と、を有している。
【0015】
センサ機器100は、所定の動作モードごとに、ランニングやマラソン等の移動を伴う運動中の人体の動作をモーションセンサ(加速度計測部及び角速度計測部)を用いて測定したセンサデータを収集し、当該センサデータに基づいて運動状態に関する各種データを推定するとともに、仮走行軌跡を作成する機能を有している。
【0016】
センサ機器100は、具体的には、例えば
図2(a)に示すように、加速度計測部(センサ部、モーションセンサ)110と、角速度計測部(センサ部、モーションセンサ)120と、軸補正部130と、記憶部140と、信号処理部
150と、制御部
160と、通信用インターフェース部170と、を備えている。
【0017】
加速度計測部110は、ユーザUSの運動中の動作速度の変化の割合(加速度)を計測する。加速度計測部110は、3軸加速度センサを有し、互いに直交する3軸方向の各々に沿った加速度成分(加速度信号)を検出して加速度データとして出力する。また、角速度計測部120は、ユーザUSの運動中の動作方向の変化(角速度)を計測する。角速度計測部120は、3軸角速度センサを有し、上記加速度データを規定する、互いに直交する3軸について、各軸に沿った回転運動の回転方向に生じる角速度成分(角速度信号)を検出して角速度データとして出力する。
【0018】
軸補正部130は、加速度計測部110及び角速度計測部120により取得されたセンサデータ(加速度データ、角速度データ)に対して軸補正処理を実行する。具体的には、一般に、人体の背面側の腰部は直立状態においても、地表に垂直な重力方向を示す鉛直軸に対して前傾しているため、装着されたセンサ機器100の上下方向の軸も鉛直軸に対して前傾している。そして、ユーザUSが走り出すと、腰部はさらに前傾してセンサ機器100の上下方向の軸がさらに傾斜するため、取得されたセンサデータに対して走行動作に起因する角度変動がさらに加わることになる。そこで、軸補正部130は、まず、各軸の加速度成分を走行動作の数周期分について平均化する。この平均化により加速度成分の重力方向の成分が残るので、これに基づいて重力方向を特定する。軸補正部130は、加速度計測部110により取得された加速度データの上下方向が、上記の特定された重力方向と一致するように、加速度、角速度信号の各軸を回転することで、加速度データ及び角速度データを補正する。
【0019】
記憶部140は、軸補正部130において軸補正されたセンサデータ(加速度データ、角速度データ)や、後述する信号処理部150において、当該センサデータに基づいて推定される運動状態に関する各種データや、作成された仮走行軌跡等を所定の記憶領域に保存する。
【0020】
信号処理部150は、制御部160からの指示に基づいて、記憶部140に保存された補正後のセンサデータに対して、所定の信号処理を実行する。具体的には、信号処理部150は、補正後のセンサデータに基づいて走行中のピッチや走行速度(移動速度)、ストライド(歩幅)等の各種データを推定する処理や、当該各種データを推定するための、個人特性に応じた特定の運動指標(以下、「最適運動指標」と記す)を選択する処理(最適運動指標選択処理)を実行する。また、信号処理部150は、補正後のセンサデータに基づいて運動中の仮走行軌跡を作成する処理(仮走行軌跡作成処理)を実行する。なお、信号処理部150及び制御部160において実行される各種の信号処理については詳しく後述する。
【0021】
制御部160は、計時機能を備えたCPU(中央演算処理装置)等の演算処理装置であって、所定の動作クロックに基づいて、所定の制御プログラムを実行する。これにより、制御部160は、加速度計測部110や角速度計測部120におけるセンシング動作や、記憶部140への各種のデータ等の保存及び読出し、後述する通信用インターフェース部170におけるリスト機器200や情報処理端末300との制御信号や各種のデータ等の送受信等の、各種の動作を制御する。また、制御部160は、所定のアルゴリズムプログラムを実行することにより、軸補正部130におけるセンサデータの軸補正処理や、信号処理部150における各種の信号処理を制御する。
【0022】
通信用インターフェース部(以下、「通信I/F部」と略記する)170は、後述するリスト機器200から送信される制御信号を受信して制御部160に転送する。これにより、センサ機器100における動作モード(個人特性評価モード、トレーニングモード、レースモード)の設定や、加速度計測部110や角速度計測部120におけるセンシング動作の開始又は終了が制御される。また、通信I/F部170は、加速度計測部110や角速度計測部120により収集されたセンサデータや、信号処理部150において推定された運動状態に関する各種データ、仮走行軌跡等を、後述するリスト機器200や情報処理端末300に送信する。
【0023】
ここで、通信I/F部170において、センサ機器100とリスト機器200との間で、各種の信号やデータを伝送する手法としては、例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))やワイファイ(WiFi;wireless fidelity(登録商標))等の各種の無線通信方式が適用される。また、センサ機器100と情報処理端末300との間で、各種の信号やデータを伝送する手法としては、上記の無線通信方式の他、例えばUSB(Universal Serial Bus)規格の通信ケーブル等を介した各種の有線通信方式や、メモリカード等のリムーバブル記憶媒体を差し替える方式が適用される。
【0024】
リスト機器200は、ユーザUSが視認しやすい位置の人体の部位(例えば手首)に装着され、センサ機器100に対して、所定の無線通信方式を用いて接続される。リスト機器200は、センサ機器100における動作モードを設定する機能や、センサ機器100において取得されたセンサデータに基づいて推定された運動状態に関する各種データを、ユーザUSに視認可能な形態で表示する機能を有している。
【0025】
リスト機器200は、具体的には、例えば
図2(b)に示すように、入力操作部210と、表示部220と、記憶部240と、制御部260と、通信I/F部270と、を備えている。
【0026】
入力操作部210は、リスト機器200の筐体に設けられたボタンスイッチや後述する表示部220の前面に設けられたタッチパネル等の入力手段である。入力操作部210は、例えば、センサ機器100における動作モードを設定する際や、センサ機器100におけるセンシング動作の開始又は終了を指示する際等の入力操作に用いられる。表示部220は、少なくとも入力操作部210を用いた入力操作や、センサ機器100において推定されたユーザUSの運動状態に関する各種データを所定の形態で表示する。
【0027】
記憶部240は、少なくとも後述する通信I/F270を介してセンサ機器100から送信されたユーザUSの運動状態に関する各種データを所定の記憶領域に保存する。制御部260は、所定の制御プログラムを実行することにより、表示部220への各種データの表示動作、記憶部240へのデータ保存、読出し動作、通信I/F部270におけるセンサ機器100との通信動作等の、各種の動作を制御する。
【0028】
通信I/F部270は、入力操作部210を操作することにより設定されるセンサ機器100における動作モードに関する制御信号や、センサ機器100におけるセンシング動作の開始又は終了を指示する制御信号等をセンサ機器100に送信する。また、通信I/F部270は、センサ機器100において推定されたユーザUSの運動状態に関する各種データを受信する。
【0029】
なお、本実施形態においては、コントロール機器として、
図1に示したように、ユーザUSの手首に装着する腕時計型(又はリストバンド型)の形態を有する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものでない。すなわち、コントロール機器は、例えばポケットに収納されたり、上腕部に装着されたりしたスマートフォン等の携帯情報端末や専用端末であってもよい。
【0030】
情報処理端末300は、運動終了後にセンサ機器100から送信されたセンサデータや仮走行軌跡、及び、ユーザUSが取得した地図データに基づいて、仮走行軌跡を地図中のコースにマッチングさせて、区間ごとの運動データを地図に関連付けて表示する機能を有している。ここで、情報処理端末300は、表示パネルを備え、後述する運動支援プログラムを実行できる機能を有するものであれば、ノート型やデスクトップ型のパーソナルコンピュータであってもよいし、スマートフォン(高機能携帯電話機)やタブレット端末のような携帯情報端末であってもよい。
【0031】
情報処理端末300は、具体的には、例えば
図2(c)に示すように、入力操作部310と、表示部(運動
データ提供部)320と、記憶部340と、走行軌跡解析部
(補正係数設定部、補正歩幅算出部)350と、制御部
(補正係数設定部、補正歩幅算出部、運動データ提供部)360と、通信I/F部370と、を備えている。
【0032】
入力操作部310は、情報処理端末300に付設されるキーボードやマウス、タッチパッド、タッチパネル等の入力手段である。入力操作部310は、地図データを取得あるいは読み出す際や、地図上に運動中の移動経路(コース)を入力する際、地図上に入力された移動経路と仮走行軌跡(移動経路)をマッチングさせる際、地図上の移動経路のうちの任意の区間を指示する際等の入力操作に用いられる。表示部320は、少なくとも入力操作部310を用いた入力操作や、走行軌跡解析部350や制御部360により作成された走行軌跡を含む地図や、当該地図に関連付けられた運動データ(区間ごとのピッチ、走行速度、ストライド)を所定の形態で表示する。
【0033】
記憶部340は、後述する通信I/F部370を介してセンサ機器100から転送されたセンサデータや仮走行軌跡等を所定の記憶領域に保存する。また、記憶部340は、ユーザUSが入力操作部310を操作して、ネットワーク上の地図情報サービスを提供するサイトや、地図情報が収録された記憶媒体等を介して取得した、運動中に移動した経路を含む地図データを所定の記憶領域に保存する。また、記憶部340は、後述する走行軌跡解析部350や制御部360において、所定の制御プログラムやアルゴリズムプログラムを実行して、仮走行軌跡を地図にマッチングする際や区間ごとの運動データを算出する際、表示部320に地図に関連付けて運動データを表示する際、等に使用するデータや生成されるデータを保存する。
【0034】
走行軌跡解析部350は、ユーザUSが入力操作部310を操作することにより、記憶部340から読み出された地図に運動した移動経路(コース)を入力し、運動中に推定された仮走行速度に対する補正係数を設定して、仮走行軌跡を入力されたコースに一致(マッチング)させる。そして、走行軌跡解析部350は、このマッチング処理において設定された補正係数を使用してコースの区間ごとの運動データ(ピッチ、走行速度、ストライド等)を算出する。
【0035】
制御部360は、所定の制御プログラムを実行することにより、表示部320における各種データや仮走行軌跡、地図の表示や、記憶部340における各種データや仮走行軌跡、地図の保存や読出し後述する通信I/F部370におけるセンサ機器100との通信動作等の、各種の動作を制御する。また、制御部360は、所定のアルゴリズムプログラムを実行することにより、走行軌跡解析部350における仮走行軌跡を地図中のコースに一致(マッチング)させて、コースの区間ごとの運動データを算出する動作を制御する。通信I/F部370は、センサ機器100から送信されるセンサデータや仮走行軌跡等を受信する。また、通信I/F部370は、ネットワークを介して地図データを取得する。
【0036】
<運動支援方法>
次に、本実施形態に係る運動支援装置における制御方法(運動支援方法)について、図面を参照して説明する。ここでは、本実施形態に係るセンサ機器100における運動中のセンサデータの収集から、仮走行軌跡の作成、地図データ(トレーニングコース)へのマッチング、ユーザUSへの運動データの提供までの、一連の制御処理について説明する。
【0037】
図3は、本実施形態に係る運動支援装置の制御方法(運動支援方法)の一例を示すフローチャートである。なお、以下の運動支援方法は、センサ機器100、リスト機器200及び情報処理端末300の各制御部において実行される所定のアルゴリズムプログラムに基づいて実現される。
【0038】
本実施形態に係る運動支援方法においては、まず
図3に示すように、ユーザUSが運動支援装置の動作モードを設定する(ステップ102)。具体的には、ユーザUSがリスト機器200の入力操作部210を操作して、センサ機器100における動作モードを選択する。これにより、リスト機器200から通信I/F部170を介して制御信号が送信され、センサ機器100の制御部160において、選択された動作モードを実行する。本実施形態においては、運動支援装置の動作モードとして、個人特性評価モードと、トレーニングモードと、レースモードとが選択的に設定される。以下、各動作モードについて説明する。
【0039】
(個人特性評価モード)
図4は、本実施形態に係る運動支援方法における個人特性評価モードにおいて実行される制御処理の一例を示すフローチャートであり、
図5は、本実施形態に係る個人特性評価モードに適用される説明情報の一例を示す図である。
【0040】
個人特性評価モードにおいては、試走中に取得したセンサデータに基づいて、ユーザ個人の走行動作の特性(運動特性)を評価し、その結果に応じてストライドを推定するために最適な特定の運動指標を選択する最適運動指標選択処理が実行される。
【0041】
個人特性評価モード(最適運動指標選択処理)においては、
図4のフローチャートに示すように、まず
図1に示したように、ユーザUSがセンサ機器100及びリスト機器200を人体の所定の部位に装着した状態で、リスト機器200の入力操作部210を用いて個人特性評価モードを選択すると、当該動作モードに関する説明情報がユーザUSに提供される(ステップS112)。具体的には、例えば
図5に示すように、リスト機器200の表示部220に、個人特性評価モードに関する一連の処理を開始する旨や、その具体的な手順を示す文字情報や画像情報が、一括表示やロールアップ表示、スライド表示等の、ユーザUSに十分認識される所定の方法で表示される。なお、ユーザUSへの説明情報の提供方法は、上述した表示部220における文字情報や画像情報の表示に加え、又は、文字情報や画像情報の表示に替えて、文字情報と同等の内容の音声情報をスピーカから出力してユーザUSに提供するものであってもよい。また、ユーザUSがリスト機器200において選択した個人特性評価モードに関する制御信号(モード設定信号)がセンサ機器100に送信される。
【0042】
センサ機器100は、リスト機器200から制御信号を受信すると、センシング動作を開始してセンサデータ収集の待機状態に移行する(ステップS114)。次いで、ユーザUSが上記の説明情報に基づいて、例えば公園の一方の端から他方の端迄の一定の距離の試走区間を、ユーザUSにとって遅め、普通、早めの3段階の異なる速度で走行する(ステップS116、S122)。ここで、個人特性評価モードにおいては、例えば50m程度の試走区間を設定して、異なる速度で複数回走行したときのセンサデータ(加速度データ、角速度データ)が収集される。ここで、試走区間は、距離が分かっている必要はなく、異なる速度で走行する距離が略同等であればよい。
【0043】
このとき、腰部に装着されたセンサ機器100は、試走中に取得した鉛直方向の加速度成分が重力加速度の所定の定数倍を超えたか否かを判定し(ステップS118)、その判定結果に基づいて走行区間を確定する(ステップS120)。このステップS118における判定処理において、定数は例えば2に設定される。具体的には、加速度計測部110により測定され、軸補正部130により軸補正された加速度データのうちの鉛直方向の加速度成分の、1歩分の期間内の最大値が、重力加速度の定数倍、すなわち例えば2倍、を超えるか否かを制御部160が判定する。鉛直方向の加速度成分の、1歩分の期間内の最大値が、重力加速度の定数倍を超えている動作が連続している場合には、制御部160は、鉛直方向の加速度成分が当該状態にある区間を走行区間と判定する。また、ステップS118における判定結果に基づいて、制御部160は、センサ機器100を待機状態からセンサデータの収集状態に移行して、加速度計測部110及び角速度計測部120により走行区間中に収集したセンサデータ(加速度データ、角速度データ)を軸補正部130により軸補正した後、記憶部140の所定の記憶領域に保存する。
【0044】
ここで、上記のステップS118、S120に示した走行区間の確定方法においては、試走区間としてユーザUSが一定の距離を走っていたとしても、走り始めや走り終わりに所定の走行状態になっていない区間があって、実際の走行区間が試走区間の距離とは多少異なることになってしまう可能性がある。しかしながら、試走区間の距離を例えば50m程度に設定することにより、試走区間の距離に対する、試走区間と実際の走行区間との差の影響を相対的に僅かなものにすることができる。これに対して、試走区間の距離を短くし過ぎると、試走区間の距離に対する、試走区間と実際の走行区間との差の影響が相対的に大きくなる問題があり、一方、試走区間の距離を長くし過ぎると、異なる速度で複数回(ここでは3回)試走することがユーザUSの負担になるという問題がある。したがって、試走区間は、現実的には50m程度に設定することが好ましい。なお、ここで示した試走区間の距離は一例であって、これに限定されるものではなく、ユーザUSの体力や体調等に基づいて適宜設定するものであってもよい。
【0045】
次いで、制御部160は、上記のような同一の試走区間を異なる速度で走行した際の各所要時間に基づいて、信号処理部150により走行速度(の比率)を推定する(ステップS124)。ここでは、各試走における走行距離は同一であるものと考えて、各所要時間により各走行速度の比率を算出する。
【0046】
次いで、信号処理部150は、試走中に収集したセンサデータ(加速度データ、角速度データ)に基づいて、ストライドや走行距離を推定するために使用する複数の運動指標を計算する(ステップS126)。本実施形態においては、運動指標として、例えば下記の6項目の運動指標(IDa)〜(IDf)の値が計算される。
(IDa)ランニング動作におけるユーザの身体の上下動の、1周期内の最大値
(IDb)加速度の2乗の1周期内の平均値(加速度力積)
(IDc)加速度の進行方向成分の2乗の1周期内の平均値(前進方向力積)
(IDd)ユーザの脚の接地時間の値
(IDe)ユーザの身体の鉛直軸回りの振れ角の、1周期内の最大値(骨盤振れ角/ヨー)
(IDf)ユーザの身体を横に貫く軸回りの振れ角の、1周期内の最大値(骨盤振れ角/ピッチ)
【0047】
ここで、ランニング動作における1周期とは、例えば右脚着地から左脚着地を経て右脚着地に至るまでの2歩分の時間のことである。また、上下動の最大値は、鉛直方向加速度を2回積分することで高さを計算し、1周期内の最高値から最低値を引いた差分である。
【0048】
また、接地時間は、前後方向加速度に基づいて推定される。具体的には、ランニング動作において、脚の着地時には進行方向の逆向き(後ろ向き)に前後方向加速度の鋭いピークが出現するため、この時点を検出することにより着地(接地時間の開始タイミング)と判定する。そして、前後方向加速度は、接地期間中に後ろ向き(着地時)から前向きに転じ、やがて減衰する。すなわち、脚が地面を離れたところで推進力が無くなり、前後方向加速度がゼロとなるので、この時点を検出することにより離地(接地時間の終了タイミング)と判定する。このようにして検出した着地から離地までの経過時間を接地時間として計測する。
【0049】
次いで、信号処理部150は、各運動指標の走行速度
の比率に対する相関値を算出する。そして、信号処理部150は、その相関値が最も大きい値となる運動指標(すなわち、走行速度
の比率に対する相関係数の値が最大となる運動指標)を、走行中のストライドを推定するための最適運動指標(Val)として選択する(ステップS128)。選択された最適運動指標は、記憶部140の所定の記憶領域に保存される(ステップS130)。
【0050】
ここで、移動速度
の比率は、選択された最適運動指標(Val)を用いて、次の(1)式で示される1次式で近似して推定することができる。ここで、a、bは、所定の係数を示す。
移動速度
の比率 = a × Val + b ・・・(1)
なお、本実施形態においては、計算を簡単にするために1次式を用いて近似する場合について示したが、2次式、3次式を用いて近似することも可能である。なお、式の次数を上げる場合にはデータ量が多いことが好ましい。
【0051】
移動距離(走行距離)は、移動速度と移動時間に対して、次の(2)式の関係を有している。
移動距離 = 移動速度×移動時間 ・・・(2)
ストライドは、移動距離と歩数に対して、次の(3)式の関係を有している。
ストライド = 移動距離/歩数 ・・・(3)
上記(2)、(3)式から、
移動速度の比率に対応するストライド
の比率は、次の(4)式の関係を有している。
ストライド
の比率 =(a × Val + b)×移動時間/歩数 ・・・(4)
【0052】
この(4)式の関係から、ストライド
の比率に対して相関が強い運動指標は、移動速度(走行速度)
の比率に対しても相関が強いと言及することができる。したがって、本実施形態に係る個人特性評価モードにおいて示した各運動指標(IDa)〜(IDf)のうち、走行速度
の比率に対する相関が強い運動指標を、ストライド推定用の最適運動指標(Val)として用いることができる。
【0053】
ここで、本実施形態においては、上述した(1)〜(4)式に示したように、ストライドを推定するために、ストライドに密接に関連する速度(走行速度)に対する相関が強い運動指標を用いることができることに基づいて、上述した個人特性評価モードにおける一連の処理を実行する。これにより、本実施形態においては、センサ機器100が備えているモーションセンサにより取得されるセンサデータ(加速度データ、角速度データ)のみを用いて、各ユーザUSにとってどの運動指標がストライドの推定に適しているかが判定される。
【0054】
図6は、本実施形態に係る個人特性評価モードで測定した一例で、ランナーAの走行速度と各運動指標との相関関係を示すデータである。
図7は、本実施形態に係る個人特性評価モードで測定した一例で、ランナーBの走行速度と各運動指標との相関関係を示すデータである。
図8は、本実施形態に係る個人特性評価モードで測定した一例で、ランナーCの走行速度と各運動指標との相関関係を示すデータである。
【0055】
図6〜
図8に示す各グラフ(a)〜(f)の横軸は走行速度の値である。ここでは、遅め、普通、早めの3段階の異なる速度で走行したうちの、「普通」での速度を1とした相対値で表示している。また、
図6〜
図8に示すグラフ(a)の縦軸は、運動指標としてのランニング1周期内の最大上下動の値であり、グラフ(b)の縦軸は、運動指標としての加速度(鉛直成分については重力加速度を減じている)の2乗の1周期内の平均値であり、グラフ(c)の縦軸は、運動指標としての加速度の前進方向成分の2乗の1周期内の平均値である。また、グラフ(d)の縦軸は、運動指標としての接地時間の値であり、グラフ(e)の縦軸は、運動指標としての鉛直軸回りの1周期内の最大振れ角の値であり、グラフ(f)の縦軸は、運動指標としての体を横に貫く軸回りの1周期内の最大振れ角の値である。ここで、グラフ(a)〜(f)の縦軸の値も、遅め、普通、早めの3段階の異なる速度で走行したうちの、「普通」での値を1とした相対値で表示している。これらの各運動指標は、センサ機器100より取得されるセンサデータ(加速度データ、角速度データ)から計算されるものである。
【0056】
図6〜
図8に示した各グラフ(a)〜(f)を検証すると、横軸の走行速度と縦軸に設定した各運動指標との間に相関の強弱があることがわかる。ここで、縦軸の運動指標から走行速度を推定する場合、走行速度との相関が比較的強く、グラフ上の点(走行速度に対する運動指標の値)の傾きの絶対値が1程度を有する直線上に概ね分布している運動指標を用いることが望ましい。
【0057】
例えばランナーAの場合、
図6に示したグラフ(a)の上下動が、傾きの絶対値が1程度の直線上に概ね分布しているので、ストライド推定用の運動指標として適していると判定することができる。また、グラフ(d)の接地時間が、これに次ぐ運動指標として適していると判定することができる。
【0058】
別のランナーBの場合、
図7に示したグラフ(c)の前進加速度の2乗平均(前進方向力積)が、傾きの絶対値が1程度の直線上に概ね分布しているので、ストライド推定用の運動指標として適していると判定することができる。また、グラフ(e)の鉛直軸回り最大振れ角(骨盤振れ角)が、これに次ぐ運動指標として適していると判定することができる。
【0059】
更に別のランナーCの場合、
図8に示したグラフ(c)の前進加速度の2乗平均が、傾きの絶対値が1程度の直線上に概ね分布しているので、ストライド推定用の運動指標として適していると判定することができる。また、グラフ(d)の接地時間、グラフ(e)の鉛直軸回り最大振れ角が、これに次ぐ運動指標として適していると判定することができる。
【0060】
各ランナーA、B、Cにおいて、上述したようなストライド推定用の運動指標として適していると判定された運動指標を最適運動指標(Val)として選択する。そして、データフィッティングにより(1)式の係数a、bの値を算出して、記憶部140の所定の記憶領域にユーザUSに関連付けて保存する。このように、個人特性評価モードにおいては、試走により取得したセンサデータに基づいて、走行速度と各運動指標との相関関係を評価(又は分析)することにより、ランナーごとの走行動作の特性に応じて、走行速度との相関関係が最も強い特定の運動指標(最適運動指標)を、ストライドを推定するための運動指標として選択することができる。
【0061】
(トレーニングモード)
次に、本実施形態に係るトレーニングモードについて説明する。
図9は、本実施形態に係る運動支援方法におけるトレーニングモードにおいて実行される制御処理の一例を示すフローチャートである。
図9(a)は、本実施形態に係るトレーニングモードにおいて実行される仮走行軌跡作成処理の一例を示すフローチャートであり、
図9(b)は、本実施形態に係るトレーニングモードにおいて実行されるコースマッチング処理の一例を示すフローチャートである。
図10は、本実施形態に係る仮走行軌跡作成処理を説明するための概念図である。
図11は、本実施形態に係るコースマッチング処理を説明するための概念図である。
【0062】
トレーニングモードにおいては、トレーニング中に取得したセンサデータ、及び、上述した個人特性評価モード(最適運動指標選択処理)において決定された最適運動指標に基づいて、仮走行軌跡を作成する仮走行軌跡作成処理と、作成された仮走行軌跡と地図中に指定されたトレーニングコースとを比較してマッチングするコースマッチング処理とが実行される。
【0063】
トレーニングモード(仮走行軌跡作成処理)においては、まず
図1に示したように、ユーザUSがセンサ機器100及びリスト機器200を装着した状態で、リスト機器200によりトレーニングモードを選択すると、センサ機器100にトレーニングモードに関する制御信号(モード設定信号)が送信される。そして、ユーザUSがトレーニング(ランニング)の開始と同時に、あるいは、トレーニングの開始タイミングに前後して、リスト機器200の入力操作部210を用いてセンサデータの収集開始を指示すると、センサ機器100に制御信号(開始命令)が送信される。センサ機器100は、リスト機器200から制御信号を受信すると、
図9(a)のフローチャートに示すように、加速度計測部110及び角速度計測部120がセンシング動作を開始してセンサデータを収集する(ステップS212)。このとき、トレーニング中に取得されたセンサデータ(加速度データ、角速度データ)は、軸補正部130により軸補正されて記憶部140の所定の記憶領域に保存される。ここで、トレーニングモードにおいては、例えば陸上競技場等のトラックやランニングコース、マラソンコース等の所望のコースを走行したときのセンサデータ(加速度データ、角速度データ)が収集される。
【0064】
次いで、信号処理部150は、上述した個人特性評価モードにおいて取得し、ユーザUSに関連付けて記憶部140に保存された最適運動指標(Val)とトレーニング中に収集したセンサデータ(加速度の周期変化)に基づいて算出された移動時間と歩数とを用いて、上記(4)式により仮ストライド(仮歩幅)を算出して推定する。この仮ストライドは後述するようにユーザUSの実際のストライドに近似したものであり、実際のストライドに比例しているが、多くの場合ユーザUSの実際のストライドとは異なっている。
【0065】
また、信号処理部150は、推定された仮ストライドに歩数を乗算することにより算出される走行距離を仮移動距離として推定し(ステップS214)、さらに走行距離を移動時間で除算することにより算出される走行速度を仮走行速度として推定する。また、信号処理部150は、トレーニング中に収集したセンサデータのうち、鉛直軸回りの角速度を積分し、さらに角度を積分して、これを所定区間分(例えば10歩分)ごとに平均することにより、進行方向の変化を検出して、当該進行方向を仮進行方向として推定する(ステップS216)。上記のステップS214、S216において推定された仮ストライド、仮移動距離、仮進行方向は、それぞれ時間データや区間データに関連付けられて記憶部140の所定の記憶領域に保存される。また、制御部160は、通信I/F部170を介して、仮ストライドや仮移動距離等のデータをリスト機器200に送信することにより、リスト機器200の表示部220に数値情報等の形態で略リアルタイムに表示させてユーザUSに運動データとして提供する。
【0066】
次いで、信号処理部150は、上記の仮移動距離及び仮進行方向に基づいて、トレーニング中の仮走行軌跡(仮移動軌跡)を作成する(ステップS218)。具体的には、
図10(a)に示すように、信号処理部150は、平面上(2次元空間)の任意の位置に始点STを定め、所定区間ごとに仮進行方向に仮移動距離の矢印(ベクトル)ARを描画して、その終点EDを新たな始点と定めて、同様の処理を順次繰り返す。これにより、
図10(b)に示すように、トレーニング中に移動した経路、すなわち仮走行軌跡RTxが作成される。作成された仮走行軌跡RTxは、記憶部140の所定の記憶領域に保存される(ステップS220)。
【0067】
次いで、トレーニングモード(コースマッチング処理)においては、
図9(b)のフローチャートに示すように、トレーニングの終了後に制御部160は、通信I/F部170を介して、センサデータや仮走行軌跡等をセンサ機器100から情報処理端末300に転送する(ステップS262)。また、ユーザUSが情報処理端末300の入力操作部310を用いて今回のトレーニングで走行した経路(トレーニングコース)を含む地図データを取得する(ステップS264)。ここで、地図データは、例えばインターネット上の地図情報サービスを提供するサイトを介して取得するものであってもよいし、地図情報が収録された記憶媒体等から取得するものであってもよい。センサ機器100から転送されたセンサデータや仮走行軌跡、ユーザUSが取得した地図データは、情報処理端末300の記憶部340の所定の記憶領域に保存される。
【0068】
次いで、ユーザUSは情報処理端末300の表示部320にトレーニングコースを含む地図データを表示させ、入力操作部310を用いて
図11(a)に示すように、今回の実際の移動経路であるトレーニングコースRTaを入力する(ステップS266)。ここで、地図データへのトレーニングコースの入力方法は、例えば連続する直線路相互の接続点となる位置をマウスカーソル等により連続的に指示するものであってもよいし、トレーニングコースを道に沿ってなぞるように線を引いて指示するものであってもよい。
【0069】
次いで、制御部360は、走行軌跡解析部350により上述した仮走行軌跡作成処理(ステップS212〜S220)において作成された仮走行軌跡RTxの距離(仮移動距離)と、ユーザUSにより地図データに入力されたトレーニングコースRTaとを比較する(ステップS268)。そして、走行軌跡解析部350は、
図11(b)に示すように、仮走行軌跡RTxの仮移動距離を実際の移動経路であるトレーニングコースRTaの距離に一致(マッチング)させるように補正する(ステップS270)。具体的には、走行軌跡解析部350は、トレーニングコースRTaの曲がり角等の特徴部分(コースを特定できる地点)に、仮走行軌跡RTxの該当箇所が一致するように、推定された仮走行速度に対する比例係数(以下、「補正係数」と記す)を設定することにより、仮走行軌跡RTxをトレーニングコースRTaに一致させる。
【0070】
具体的には、
図11(b)に示すように、例えば、仮走行軌跡RTxの地点PがトレーニングコースRTaの地点P′に対応し、仮走行軌跡RTxの地点QがトレーニングコースRTaの地点Q′に対応しているとき、仮走行軌跡RTxの地点Pと地点Qの間の仮移動距離Lxは、次の(5)式の関係を有している。
Lx =(a × Val + b)×移動時間 ・・・(5)
【0071】
ここで、トレーニングコースRTaの地点P′と地点Q′の間の実際の距離がLaであるとき、距離Laを仮移動距離Lxで除算した値が上記の補正係数Kとなる。すなわち、距離Laは、次の(6)式の関係を有している。
La = K×Lx ・・・(6)
これにより、上記の係数a、bを、(7)式のように補正する。
a′= K×a、 b′= K×b ・・・(7)
【0072】
この仮移動距離Lxのマッチングにより設定された補正係数Kは、記憶部140の所定の記憶領域に保存される。ここで、補正係数Kは、同じコースを複数回、周回走行した場合には、周回毎の走行時間に基づいて算出される補正係数の平均値を用いる。また、走行速度の算出において、直近に測定されたデータの重み付けを大きくすることにより、現在のユーザUSの走行動作の特性を、補正係数に反映させることができる。
【0073】
次いで、制御部360は、上記のステップS270において、仮走行軌跡RTxをトレーニングコースRTaに一致(マッチング)させるように設定された補正係数を用いて、所定区間(例えば10歩分)ごとに走行速度を計算し、この走行速度に基づいて各区間の仮ストライドを補正したストライド(以下、補正ストライドとする)を計算する(ステップS272)。この補正ストライドはユーザUSの実際のストライドに近い値となる。区間ごとに計算された走行速度(区間速度)及び補正ストライドは、トレーニングコースRTa(すなわち、マッチングさせた仮走行軌跡RTx)の各区間に関連付けて記憶部340の所定の記憶領域に保存される(ステップS274)。
【0074】
次いで、ユーザUSが情報処理端末300の入力操作部310を用いて、記憶部340に保存されたトレーニングコースから任意のトレーニングコースを選択することにより、制御部360は、当該トレーニングコースが明示された地図を表示部320に表示させる。そして、例えば、ユーザUSが表示された地図上のトレーニングコースの任意の位置や区間をマウスカーソル等により指示することにより、制御部360は、当該位置や区間に関連付けられた走行速度(区間速度)や補正ストライド、あるいは、その他のデータを、表示部320の所定の表示領域やポップアップウインドウに、数値情報等の形態で表示させてユーザUSに運動データとして提供する(ステップS276)。
【0075】
このように、トレーニングモードにおいては、トレーニング後において、センサデータに基づいて推定した仮走行軌跡を、実際の移動経路であるトレーニングコースにマッチングすることにより、マッチングにより設定された補正係数に基づいてより正確な運動データを生成して、地図に関連付けた形態でユーザUSに提供される。これにより、ユーザUSは、トレーニングにおける運動状態を的確に把握して、今後のトレーニングに反映させるように改善することができる。
【0076】
(レースモード)
次に、本実施形態に係るレースモードについて説明する。
図12は、本実施形態に係る運動支援方法におけるレースモードにおいて実行される制御処理の一例を示すフローチャートある。
図13は、本実施形態に係るレースモードにおけるレースコースの一例を示す図である。
【0077】
レースモードにおいては、レース中に取得したセンサデータ、及び、上述したトレーニングモードにおいて設定された補正係数に基づいて、レース中に運動データを算出して、ユーザUSに略リアルタイムに提供する。
【0078】
レースモード(レース支援処理)においては、
図12のフローチャートに示すように、まず、ユーザUSは
図13に示すような、レース当日のコースデータを入手して、最新の補正係数とともにセンサ機器100の記憶部140に予め転送して記憶しておく(ステップS312)。具体的には、近年の著名なマラソン大会やレース等においては、予めレース主催者等からコースに関する情報が公開されているため、ユーザUSは、例えば情報処理端末300によりインターネット上の主催者のサイト等からコースデータを入手する。そして、ユーザUSは、情報処理端末300の記憶部340に保存された最新の補正係数を補正係数の初期値として読み出して、上記のコースデータとともにセンサ機器100に転送する。ここで、補正係数の初期の値としては、上述したトレーニングモードによって設定された最新又は直近のトレーニングにおける補正係数や、最新又は直近のレースにおいて設定された補正係数が適用される。
【0079】
次いで、
図1に示したように、ユーザUSがセンサ機器100及びリスト機器200を装着して、リスト機器200によりレースモードを選択すると、センサ機器100に制御信号(モード設定信号)が送信される。そして、ユーザUSがレースの開始と同時に、あるいは、レースの開始タイミングに前後して、リスト機器200によりセンサデータの収集開始を指示すると、センサ機器100に制御信号(開始命令)が送信されて、加速度計測部110及び角速度計測部120がセンシング動作を開始してセンサデータを収集する(ステップS314)。このとき、レース中に取得されたセンサデータ(加速度データ、角速度データ)は、軸補正部130により軸補正されて記憶部140の所定の記憶領域に保存される。
【0080】
次いで、制御部160は、信号処理部150により上述した個人特性評価モードにおいて取得した最適運動指標(Val)、及び、レース中に収集したセンサデータに基づいて、仮ストライド、仮移動距離、仮走行速度、仮進行方向を推定する(ステップS316)。また、信号処理部150は、仮移動距離及び仮進行方向に基づいて、レース中の仮走行軌跡を順次作成する(ステップS318)。これらのデータは、時間データや区間データに関連付けられて記憶部140の所定の記憶領域に保存されるとともに、リスト機器200に送信されて、表示部220に数値情報等の形態で略リアルタイムに表示されてユーザUSに運動データとして提供される。ここで、各種データの推定処理は、上述したトレーニングモードにおいて実行された仮走行軌跡作成処理(ステップS214〜S218)と同等の処理を、信号処理部150により実行することにより実現される。
【0081】
次いで、制御部160は、信号処理部150により上記の仮移動距離及び仮進行方向に基づいて、レース中の曲がり角(屈曲している地点)等のコースを特定できる地点に到達した場合には(ステップS320)、補正係数を設定して、レース中に順次作成された仮走行軌跡を、コースデータに含まれるレースコースRTmの曲がり角に一致(マッチング)させるように補正する(ステップS322)。ここで設定された新たな補正係数は、記憶部140の所定の記憶領域に保存される。ここで、このコースマッチング処理は、上述したトレーニングモードにおいて実行されたコースマッチング処理(ステップS268、S270)と同等の処理を、制御部160及び信号処理部150により実行することにより実現される。一方、ステップS320において、コースを特定できる地点に到達しない場合には、ステップS314に戻って、センサデータの収集、運動状態に関する各種データの推定及び仮走行軌跡の作成を繰り返し実行する。
【0082】
次いで、信号処理部150は、上記のステップS320において設定した新たな補正係数を、最新のトレーニング時に取得した補正係数と重み付け平均して、当該補正係数を用いて現時点の走行速度を計算する。信号処理部150は、計算された走行速度と所要時間とに基づいて、現時点までの走行距離を計算し、また、レース中に収集したセンサデータに基づいて算出された単位時間当たりの歩数(ピッチ)と走行速度とに基づいて、現時点の補正ストライドを計算する(ステップS324)。算出されたピッチ、走行速度、走行距離、補正ストライドは、リスト機器200に送信されて、表示部220に数値情報等の形態で略リアルタイムに表示されて、ユーザUSに運動データとして提供される(ステップS326)。すなわち、この表示においては、個人特性評価モードにおいて取得した最適運動指標(Val)と、レース中に収集したセンサデータとに基づいて推定された初期のピッチ、走行速度、ストライドに比較して、現時点のコースデータやユーザUSの運動状態をより反映した適切な運動データがユーザUSに提供される。なお、上記においては、運動データとして算出されたピッチ、走行速度、走行距離、補正ストライドを表示部220に表示するとしたが、例えば、これらの項目についての目標値が予め設定されている場合に、算出されたこれらの値をそれぞれの目標値と比較して、目標値に対する差分の値や目標値に対する増減の変化傾向を示して、ユーザUSに対して走行状態の要改善ポイントを分かり易く示して、改善を促すようにしてもよい。
【0083】
そして、このような一連の処理(ステップS314〜S326)は、ユーザUSがレースコースを走り終えてセンサデータの収集を終了するまで(すなわち、レースモードを終了するまで)繰り返し実行される(ステップS328)。
【0084】
このように、レースモードにおいては、コースを特定できる地点に到達するたびに、補正係数を設定(更新)してレース中に作成された当該地点までの仮走行軌跡をレースコースにマッチングさせる。これにより、レース中に取得したセンサデータに基づいて推定したピッチや仮走行速度、仮ストライド、仮移動距離等のデータが、現時点のユーザUSの運動状態をより反映した適切なデータに補正されて、略リアルタイムでユーザUSに提供される。したがって、ユーザUSは、レース中の運動状態を的確に把握してその改善や記録の向上等に役立てることができる。
【0085】
なお、上述したレースモードにおいては、レース中にコースマッチング処理を実行する際に、コースを特定できる地点として、コース中の曲がり角を適用する場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えばマラソン大会等において、コースの途中に設置された給水所での特定の動作を検出して、レースコースの給水所の位置を一致(マッチング)させるようにコースマッチング処理を実行するものであってもよい。具体的には、一般に、マラソン中に給水所でドリンク等を受け取る際には一旦本来のコースを外れて(例えば道路の左端に寄って)、その後すぐに本来のコース位置に戻る動作が行なわれる。そして、この給水動作中にはピッチが若干落ちることが一般的であるので、この動作状態の変化(すなわち、仮走行軌跡の屈曲と、例えば鉛直軸回りの角速度の変化等)を、センサ機器100の加速度計測部110と角速度計測部120により検出してコースマッチング処理を実行する手法を適用することができる。
【0086】
次いで、レース終了後に制御部160は、通信I/F部170を介して、レース中に収集したセンサデータや計算された各種データ、コースマッチング処理で使用した補正係数等をセンサ機器100から情報処理端末300に転送する。その後、ユーザUSが情報処理端末300の入力操作部310を用いて、例えばインターネット上で公開されている今回のレースにおける所定距離ごとの通過時間を示すラップタイムデータ(記録情報)を取得することにより、レース後により詳細な解析を行うことができる。本実施形態においては、上述したように、コースマッチングを実行する際にコースを特定できる地点として、曲がり角等を適用している。一方、一般に、ラップタイム計測点は直線コース上にあることが多い。そのため、ラップタイム計測点の通過時刻を取得することにより、曲がり角と曲がり角の間を分割して解析することが可能となる。
【0087】
以下、具体的な数値を用いて説明する。例えば5kmの通過タイムが25分10秒であったとする。一方コースマッチングに用いた前後の曲がり角が2km地点と8.5km地点であり、センサで計測した通過タイムがそれぞれ11分30秒と42分30秒であったとする。これにより2km地点から5km地点の間の3km区間の所要時間が13分50秒であり、区間距離を所要時間で除算することによりこの区間の平均速度が3.61m/秒であったことが分かる。また、5km地点から8.5km地点の間の3.5km区間の所要時間が17分20秒であり、区間距離を所要時間で割ることによりこの区間の平均速度が3.37m/秒であったことが分かる。このようにレースコース上に設けられたラップタイム計測地点での情報を用いることにより、より詳細に区間を分割して各々の区間での速度情報を得ることができる。これにより、より詳細に補正係数や運動データを補完して、より正確な数値の運動データを提供することができるので、ユーザUSは、レース時の運動状態を的確に把握して、その後のレースやトレーニングに役立てることができる。
【0088】
このように本実施形態においては、GPSによる測位データを用いることなく、モーションセンサにより収集されたセンサデータ(加速度データ、角速度データ)に基づいて、運動中のピッチや走行速度、ストライド等の各種データを正確に推定してユーザUSに提供することができる。したがって、GPS電波が届きにくい都会のビルの谷間等の環境下であっても、運動状態を的確に把握することができ、その判断や改善に役立てることができる。
【0089】
なお、本実施形態においては、移動速度の推定を、1つの最適運動指標のみを用いた1次式により行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、2番目、3番目に適した運動指標も用いて、2次式、3次式により推定を行うものであってもよい。
【0090】
<変形例>
図14は、本実施形態に係る運動支援装置の変形例を示す概略構成図である。
上述した実施形態においては、センサ機器100において、運動中のセンサデータの収集や運動状態に関する各種データの推定、仮走行軌跡の作成の一連の処理を実行し、情報処理端末300において、仮走行軌跡をコースに一致させるマッチング処理や、その結果(設定された補正係数)に基づいてピッチや走行速度、補正ストライド等の運動データを計算して表示する処理を実行する場合について説明した。本発明はこれに限定されるものではなく、例えば
図14に示すように、運動支援装置がネットワークに接続されたサーバ機器500やクラウドシステムを備えているものであってもよい。そして、運動後にセンサ機器100から送信されたセンサデータや仮走行軌跡を、情報処理端末300やネットワーク中継機器400を介してサーバ機器500に転送して、サーバ機器500において、上述した仮走行軌跡のコースマッチングや運動データの計算等の処理を実行するものであってもよい。
【0091】
また、本発明に係る運動支援装置は、
図14に示した構成において、センサ機器100により運動中のセンサデータの収集のみを実行するものであってもよい。そして、運動後に収集したセンサデータを情報処理端末300やネットワーク中継機器400を介してサーバ機器500に転送して、サーバ機器500において、運動状態に関する各種データの推定や仮走行軌跡の作成、仮走行軌跡のコースマッチング、運動データの計算等の処理を実行するものであってもよい。この場合、情報処理端末300は、ネットワークやサーバ機器500に接続して情報を閲覧できる機能を有していればよく、ユーザUSは簡易な構成の情報処理端末300を用いてサーバ機器500にアクセスすることにより、地図中のコースに関連付けられた運動データを閲覧することができる。
【0092】
なお、上述した実施形態において、センサ機器100によるセンサデータの収集時に、加速度計測部110により取得される加速度が所定の値以下の場合には、制御部160は、ユーザUSが運動をしておらず、静止状態にあるものと判断し、この静止状態が一定時間以上続く場合には、例えばセンサデータの収集動作を停止するとともに、角速度計測部120のキャリブレーション(較正)を実行するものであってもよい。
【0093】
また、上述した実施形態においては、
図1に示したように、センサ機器100をユーザUSの腰部に装着する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。人体の中心を通る体軸に沿った位置や体幹に装着するものであれば、例えば胸部や頸部、腹部等、他の位置に装着されるものであってもよい。また、センサ機器100の人体への装着方法についても、特に限定するものではなく、例えばトレーニングウェアにクリップで挟み込む形態やテープ部材等で貼り付ける形態、ベルト等により体に巻き付ける形態、ウェアに組み込む形態等、種々の装着方法を適宜適用することができる。
【0094】
ここで、センサ機器100を胸部や頸部のように、上半身又は地表から遠い位置に装着した場合、足が着地した際に生じる鋭い加速度のピークは、胸や頸を含む上半身まで届きにくく、測定が困難な場合があるため、上述した運動指標のうちの接地時間については、他の計算方法を用いるものであってもよい。具体的には、一般に、足の着地後、接地した足でしっかりと体重を支えた時点で、上下方向の加速度は1G(9.8m/s
2)となる。そして、この後キック動作に伴い、加速度が上昇し、その後減衰していく挙動を示す。そこで、上下方向の加速度が1Gを越えている区間を、積極的にキック動作を行っている区間として検出し、この区間を接地時間として適用することができる。
【0095】
なお、上述した実施形態においては、補正係数の設定に際し、地図上で指定した距離を適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、GPSによる測位データを用いるものであってもよい。ここで、GPSは位置推定に10m程度の誤差を含むため、例えば100m程度の直線でGPS位置精度を元にして速度を推定すると誤差が大きいが、例えば2km程度の直線であれば1%以下の精度で測定することができる。したがって、仮走行軌跡の直線部分が十分長く、かつ、その両端でGPS衛星からの電波の受信状態が良好であれば、地図上の距離に替えて、GPS位置推定により得た距離情報に基づいて補正係数を補正することができる。
【0096】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0097】
(付記)
[1]
利用者の身体に装着されて前記利用者の身体の動作状態に関するセンサデータを取得するセンサ部と、
前記利用者が周期的に足を動かして、予め設定された試験区間を移動した際に前記センサ部により取得される第1のセンサデータに基づく複数の運動指標のうちの、前記利用者の移動速度に対する相関が最も強いものを特定の運動指標として選択し、前記移動速度を前記特定の運動指標と係数を用いる近似式で表すときの前記係数を算出する運動指標選択部と、
前記利用者が周期的に足を動かして所定の移動経路を移動している間に前記センサ部により取得される第2のセンサデータと、前記特定の運動指標と、前記係数とに基づいて、前記運動中の前記利用者の歩幅を推定するための仮歩幅を前記運動中に推定する仮歩幅推定部と、
前記移動経路における前記第2のセンサデータに基づいて前記利用者の位置を特定することが可能な、互いに異なる第1地点と第2地点とにおいて、前記第2のセンサデータに基づいて第1時刻に前記利用者が前記第1地点にいて第2時刻に前記利用者が前記第2地点にいることが検知されるときに、前記第1時刻と前記第2時刻との間に前記利用者が前記仮歩幅に基づいて移動したと推定される仮移動距離を、前記移動経路における前記第1地点と前記第2地点との間の距離に一致するように補正する補正係数を設定する補正係数設定部と、
前記補正係数に基づいて前記仮歩幅を補正した補正歩幅を前記運動中に算出する補正歩幅算出部と、
を有することを特徴とする運動支援装置。
【0098】
[2]
前記補正係数設定部は、前記補正係数を、前記1地点と前記第2地点との間の距離を前記仮移動距離で除算した値に設定することを特徴とする[1]に記載の運動支援装置。
【0099】
[3]
前記移動経路における前記第1及び第2の地点は、前記移動経路が屈曲している地点であり、
前記補正係数設定部は、前記センサデータのうち、前記利用者に対する鉛直軸回りの角速度の変化に基づいて、前記利用者が前記移動経路における前記第1及び第2の地点にいることを検知することを特徴とする[1]又は[2]に記載の運動支援装置。
【0100】
[4]
前記仮歩幅と前記第2のセンサデータとに基づいて、前記移動経路を移動中の前記利用者の移動軌跡を仮移動軌跡として前記運動中に推定する移動軌跡推定部を有し、
前記補正係数設定部は、前記仮移動軌跡に基づいて前記仮移動距離を推定することを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の運動支援装置。
【0101】
[5]
更に、前記センサ部により収集された前記センサデータのうち、前記利用者に対する鉛直軸回りの角速度の積分値に基づいて、前記運動中の前記利用者の進行方向を求めるための仮進行方向を推定する進行方向推定部を有し、
前記移動軌跡推定部は、前記仮歩幅と前記仮進行方向とに基づいて、前記仮移動軌跡を推定することを特徴とする[4]に記載の運動支援装置。
【0102】
[6]
更に、前記算出された前記補正歩幅に基づく情報を、前記移動経路に関連付けて前記利用者に運動データとして提供する運動データ提供部を備えることを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載の運動支援装置。
【0103】
[7]
前記センサ部は、前記利用者の身体の体幹に装着されたモーションセンサを有し、
前記センサデータは、前記モーションセンサにより収集された、前記運動中の加速度及び角速度を含むことを特徴とする[1]乃至[6]のいずれかに記載の運動支援装置。
【0104】
[8]
前記複数の運動指標は、前記運動中の前記利用者の身体の上下動の、前記運動における1周期内の最大値、前記運動における前記加速度の2乗の、前記運動における1周期内の平均値、前記運動における前記加速度の進行方向成分の2乗の、前記運動における1周期内の平均値、前記運動における前記利用者の脚の接地時間の値、前記運動中の前記利用者の身体の鉛直軸回りの振れ角の、前記運動における1周期内の最大値、及び、前記運動における前記利用者の身体を横に貫く軸回りの振れ角の、前記運動における1周期内の最大値、のいずれかを含むことを特徴とする[7]に記載の運動支援装置。
【0105】
[9]
利用者が周期的に足を動かして、予め設定された試験区間を移動した際に前記利用者の身体に装着されたセンサ部により取得される前記利用者の身体の動作状態に関する第1のセンサデータに基づく前記複数の運動指標のうちの、前記利用者の移動速度に対する相関が最も強いものを特定の運動指標として選択するとともに、前記移動速度を前記特定の運動指標と係数を用いる近似式で表すときの前記係数を算出し、
前記利用者が周期的に足を動かして所定の移動経路を移動している間に前記センサ部により取得される第2のセンサデータと、前記特定の運動指標と、前記係数とに基づいて、前記運動中の前記利用者の歩幅を推定するための仮歩幅を前記運動中に推定し、
前記移動経路における前記第2のセンサデータに基づいて前記利用者の位置を特定することが可能な、互いに異なる第1地点と第2地点とにおいて、前記第2のセンサデータに基づいて第1時刻に前記利用者が前記第1地点にいて第2時刻に前記利用者が前記第2地点にいることが検知されるときに、前記第1時刻と前記第2時刻との間に前記利用者が前記仮歩幅に基づいて移動したと推定される仮移動距離を、前記移動経路における前記第1地点と前記第2地点との間の距離に一致するように補正する補正係数を設定し、
前記補正係数に基づいて前記仮歩幅を補正した補正歩幅を前記運動中に算出する、
ことを特徴とする運動支援方法。
【0106】
[10]
コンピュータに、
利用者が周期的に足を動かして、予め設定された試験区間を移動した際に前記利用者の身体に装着されたセンサ部により取得される前記利用者の身体の動作状態に関する第1のセンサデータに基づく前記複数の運動指標のうちの、前記利用者の移動速度に対する相関が最も強いものを特定の運動指標として選択させるとともに、前記移動速度を前記特定の運動指標と係数を用いる近似式で表すときの前記係数を算出させ、
前記利用者が周期的に足を動かして所定の移動経路を移動している間に前記センサ部により取得される第2のセンサデータと、前記特定の運動指標と、前記係数とに基づいて、前記運動中の前記利用者の歩幅を推定するための仮歩幅を前記運動中に推定させ、
前記移動経路における前記第2のセンサデータに基づいて前記利用者の位置を特定することが可能な、互いに異なる第1地点と第2地点とにおいて、前記第2のセンサデータに基づいて第1時刻に前記利用者が前記第1地点にいて、第2時刻に前記利用者が前記第2地点にいることが検知されるときに、前記第1時刻と前記第2時刻との間に前記利用者が前記仮歩幅に基づいて移動したと推定される仮移動距離を、前記移動経路における前記第1地点と前記第2地点との間の距離に一致するように補正する補正係数を設定させ、
前記補正係数に基づいて前記仮歩幅を補正した補正歩幅を前記運動中に算出させる、
ことを特徴とする運動支援プログラム。