特許第6183740号(P6183740)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183740
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】用紙後処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20170814BHJP
   B42B 5/00 20060101ALI20170814BHJP
   B42C 19/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   B65H37/04 Z
   B42B5/00
   B42C19/02
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-269221(P2012-269221)
(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-113746(P2014-113746A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】391063352
【氏名又は名称】グラドコジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081709
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴若 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】増成 一茂
(72)【発明者】
【氏名】加藤 由美子
(72)【発明者】
【氏名】土屋 博志
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−218825(JP,A)
【文献】 特公昭49−005960(JP,B1)
【文献】 特開2010−265052(JP,A)
【文献】 特開2011−020768(JP,A)
【文献】 特開2002−144290(JP,A)
【文献】 特開平05−024647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00−37/06
B42B 5/00
B42C 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に接続され、前記画像形成装置で、入力される画像データに基づいて画像形成された用紙が順次送り込まれ、前記送り込まれてくる用紙に所定の後処理を施す用紙後処理装置であり、
前記複数枚の用紙からなる用紙束に、自動で、所定形状の切り込みべろ部と切り込み孔を形成し、前記切り込み孔に前記切り込みべろ部を差し込んで前記用紙束の各用紙相互を結合させて前記用紙束をスティプルするスティプル部と、
前記所定形状の切り込みべろ部と切り込み孔を形成する際に生じる紙粉カスを収納する紙粉カス収納部と、を備え、
前記紙粉カス収納部は、紙粉カスを導くダウストシュートと、紙粉カスを貯める収納箱と、紙粉カスを収納箱に集める集塵手段を構成するファンとを有し、
前記ダウストシュートは、前記スティプル部から前記収納箱に連通しており、
前記ダウストシュートに前記ファンが配置され、
前記ファンの後段において、
前記ダウストシュートの上方位置に排気口が形成され、下方位置に前記収納箱が着脱可能に設けられることを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項2】
スティプルの作動回数を検出して、設定作動回数になると前記紙粉カス収納部に溜まる紙粉カスの除去を知らせるウォーニング手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項3】
スティプルする用紙の枚数を検出して、前記スティプルする用紙の枚数が設定枚数になると前記紙粉カス収納部に溜まる紙粉カスの除去を知らせるウォーニング手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置に接続され、綴じ針を使用することなく画像形成済の用紙を綴じるスティプル処理を行う用紙後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置は、多機能化してきており、大量の画像を記憶する記憶装置を備え部毎に画像形成する画像形成装置が主流となってきているとともに、画像形成装置の多機能化に伴って、記録出力された用紙に対してスティプル処理等の後処理を行う用紙後処理装置を備えた画像形成装置が出現している(特許文献1〜特許文献4参照)。
【0003】
そして、このような従来の用紙後処理装置は、一般的に、スティプル処理を行う場合、金属製の綴じ針(ステープル針)を綴じ対象の複数枚の用紙に打ち込んで、当該金属製の綴じ針自体で複数枚の用紙を綴じている。
【0004】
ところが、金属製の綴じ針を使用してスティプル処理を行うと、綴じ針が消耗品となって、消耗品のコストがかかるとともに、スティプル処理した用紙をシュレッダーにかけるときに、綴じ針を外す手間がかかり、作業性が悪いだけでなく、綴じ針を外さずにシュレッダーにかけると、シュレッダーの故障の原因となり、また、リサイクル性が悪いという問題がある。
【0005】
このため、針を使用しないで書類を綴じる書類綴じ具が提案されている(特許文献5〜特許文献8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−72060号公報
【特許文献2】特開2001−130826号公報
【特許文献3】特開2002−96963号公報
【特許文献4】特開2001−316034号公報
【特許文献5】特公昭49−5960号公報
【特許文献6】特開2005−74787号公報
【特許文献7】特開2005−74858号公報
【特許文献8】特開2012−148505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように針を使用しないで書類を綴じる書類綴じ具では、複数枚の用紙からなる用紙束に、所定形状の切り込み部または凹部等の結合部を形成し、結合部で用紙束の各用紙相互を結合させて用紙束を綴じており、この結合部を形成する際に紙粉カスが発生し、この紙粉カスが用紙の画像を汚したり、装置の内部に溜まって故障の原因となるおそれがある。
【0008】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、綴じ針を使用することなく画像形成済の用紙を綴じるスティプル処理において生じる紙粉カスが用紙の画像を汚したり、装置の内部に飛散することがない用紙後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0010】
請求項1に記載の発明は、画像形成装置に接続され、前記画像形成装置で、入力される画像データに基づいて画像形成された用紙が順次送り込まれ、前記送り込まれてくる用紙に所定の後処理を施す用紙後処理装置であり、
前記複数枚の用紙からなる用紙束に、自動で、所定形状の切り込みべろ部と切り込み孔を形成し、前記切り込み孔に前記切り込みべろ部を差し込んで前記用紙束の各用紙相互を結合させて前記用紙束をスティプルするスティプル部と、
前記所定形状の切り込みべろ部と切り込み孔を形成する際に生じる紙粉カスを収納する紙粉カス収納部と、を備え、
前記紙粉カス収納部は、紙粉カスを導くダウストシュートと、紙粉カスを貯める収納箱と、紙粉カスを収納箱に集める集塵手段を構成するファンとを有し、
前記ダウストシュートは、前記スティプル部から前記収納箱に連通しており、
前記ダウストシュートに前記ファンが配置され、
前記ファンの後段において、
前記ダウストシュートの上方位置に排気口が形成され、下方位置に前記収納箱が着脱可能に設けられることを特徴とする用紙後処理装置である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、スティプルの作動回数を検出して、設定作動回数になると前記紙粉カス収納部に溜まる紙粉カスの除去を知らせるウォーニング手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置である。
【0012】
請求項3に記載の発明は、スティプルする用紙の枚数を検出して、前記スティプルする用紙の枚数が設定枚数になると前記紙粉カス収納部に溜まる紙粉カスの除去を知らせるウォーニング手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置である。
【発明の効果】
【0014】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0015】
請求項1に記載の発明では、複数枚の用紙からなる用紙束に、自動で、所定形状の切り込みべろ部と切り込み孔を形成し、切り込み孔に切り込みべろ部を差し込んで用紙束の各用紙相互を結合させて用紙束をスティプルし、この所定形状の切り込みべろ部と切り込み孔を形成する際に生じる紙粉カスを収納することで、針の充填状況をチェックするセンサーが必要なく、構造が簡単になり、かつスティプル処理において生じる紙粉カスが用紙の画像を汚したり、装置の内部に飛散することがなく、確実に紙粉カスを収納箱に溜めることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明では、スティプルの作動回数を検出して、設定作動回数になると紙粉カス収納部に溜まる紙粉カスの除去を知らせることで、紙粉カス収納部に溜まる紙粉カスを確実に除去することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明では、スティプルする用紙の枚数を検出して、スティプルする用紙の枚数が設定枚数になると紙粉カス収納部に溜まる紙粉カスの除去を知らせることで、紙粉カス収納部に溜まる紙粉カスを確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】用紙後処理装置の平面図である。
図2】用紙後処理装置の正面図である。
図3】用紙後処理装置の側面図である。
図4】用紙後処理装置の斜視図である。
図5】用紙後処理装置の構成図である。
図6】用紙後処理装置の断面図である。
図7】サポートの作動を示す図である。
図8】スタック及びジョガーを示す図である。
図9】用紙束の積載を示す図である。
図10】ジョガー及びスタックの状態を示す図である。
図11】スティプルの状態を示す図である。
図12】スティプルしない場合の作動を説明する図である。
図13】スティプルしない場合の作動を説明する図である。
図14】スティプルする場合の作動を説明する図である。
図15】スティプルする場合の作動を説明する図である。
図16】スティプル装置の外観を示す斜視図である。
図17】スティプル装置の断面図である。
図18】用紙束を閉じる動作を示す図である。
図19】用紙束を閉じる動作を示す図である。
図20】用紙束を閉じる動作を示す図である。
図21】用紙束を閉じる動作を示す図である。
図22】用紙束を閉じる動作を示す図である。
図23】スティプルする前の状態の用紙束を示す斜視図である。
図24】スティプルした状態の用紙束を示す斜視図である。
図25】スティプルした用紙束を示す図である。
図26】ウォーニング手段の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の用紙後処理装置の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
(用紙後処理装置の構成)
図1は用紙後処理装置の平面図、図2は用紙後処理装置の正面図、図3は用紙後処理装置の側面図、図4は用紙後処理装置の斜視図、図5は用紙後処理装置の構成図である。
【0021】
この実施の形態の用紙後処理装置1は、装置本体2に、積載トレイ3、サポート20、ジョガー・スタック手段30、スティプル装置40、用紙搬送手段10などを有する。この装置本体2の底部には、左右の両側に位置決め部材90が下方に突出して設けられ、この位置決め部材90を複写機やプリンタ等の画像形成装置の上部に挿入して用紙後処理装置1が配置され、画像形成装置から排出される用紙が下方から搬入される。用紙搬送手段10は、画像形成装置の上部から搬入される用紙を積載トレイ3に搬送するように構成され、ジョガー・スタック手段30及びスティプル装置40によりジョガー・スタック処理及びスティプル処理を施し、処理された用紙束は積載トレイ3上に積載される。
【0022】
図6乃至図9は用紙後処理装置の作動を示し、図6は用紙後処理装置の制御図、図7はサポートの作動を示し、図7(a)はサポートが後進した状態を示す図、図7(b)はサポートが前進した状態を示す図、図8はスタック及びジョガーを示す斜視図、図9は用紙束の積載を示し、図9(a)は揃えた用紙束の先端側を積載トレイ上に落す状態を示す図、図9(b)は揃えた用紙束の後端側を積載トレイ上に落す状態を示す図である。
【0023】
この実施の形態の装置本体2には、用紙搬送手段10と、サポート20と、ジョガー・スタック手段30と、スティプル装置40などが配置される。用紙搬送手段10は、搬送ガイド11と、搬送ローラ12から構成され、画像形成装置より排出される用紙100を、装置本体2の下方位置から積載トレイ3上に搬送する。搬送ローラ12は、例えばモータ、ベルト、ギヤなどの動力伝達手段などで構成される搬送駆動手段200によって駆動され、この搬送駆動手段200によって搬送ローラ12を駆動して用紙100が搬送される。
【0024】
サポート20は、積載トレイ3の上方位置に例えば3個横方向に並べて配置される。このサポート20は、装置本体2に用紙排出方向に前後進可能であり、用紙搬送手段10により排出された用紙100の後端部を、サポート20の前進位置で支持し、後進位置で落下させる。サポート20は、例えばモータ、カムなどの動力伝達手段などで構成されるサポート駆動201によって駆動され、このサポート駆動201によってサポート20を前後進する。
【0025】
ジョガー・スタック手段30は、スタック及びジョガーする左右一対のジョガー31を有する。この左右一対のジョガー31は、装置本体2に用紙排出センター位置に対して左右方向に移動可能である。この左右一対のジョガー31は、下ガイド31aと、上ガイド31bと、連結ガイド31cからなる断面コ字状であり、用紙搬送手段10により排出された用紙の先端両側端部と先端両側底部とを支持してスタック及びジョガーする。
【0026】
左右一対のジョガー31は、スライドレバー32によって移動体38に設けられ、左右一対のジョガー31の揃えや開閉には、モータ、作動軸などの動力伝達手段などで構成されるジョガー駆動手段202によって駆動され、左右方向の移動はモータ、ギヤ、ベルトなどの動力伝達手段などで構成されるジョガー移動駆動手段203によって駆動される。左右一対のジョガー31により用紙100を揃える。
【0027】
積載トレイ3に対してジョガー・スタック手段30を上方位置に配置し、積載トレイ3とジョガー・スタック手段30との間にサポート20を配置した構成である。このため、用紙搬送手段10により排出される用紙100は、その先端側がジョガー・スタック手段30の左右一対のジョガー31に支持され、後端部を前進位置のサポート20に載せ揃えて用紙束110とする。このとき、サポート20は、用紙100の後端部の幅方向内側を支持しており、サポート20が揃えた用紙束110の後端部の幅方向内側を支持することから、画像形成装置の搬送系の構造から用紙100が搬送方向を中心としてカールすることがあっても、用紙束110がずれることを軽減することができる。
【0028】
左右一対のジョガー31を開くことにより、揃えた用紙束110の先端側を積載トレイ3上に落し、用紙束110の後端部のみをサポート20に載せた状態とし、そしてサポート20を後進させて、サポート20に載せた用紙束110の後端部を積載トレイ3上に落して積載する。
【0029】
この積載するとき、左右一対のジョガー31は、下ガイド31aと、上ガイド31bと、連結ガイド31cからなる断面コ字状であり、用紙100の先端両側端部と先端両側底部とを支持していることから、左右一対のジョガー31を開くことにより、揃えた用紙束110の先端側が積載トレイ3上に落ちる。用紙束110の後端部はサポート20に載っており、このサポート20は、積載トレイ3とジョガー・スタック手段30との間に配置されており、左右一対のジョガー31より低い位置にあり、サポート20を後進させて、サポート20に載せた用紙束110の後端部を積載トレイ3上に落して積載することで、用紙束110を積載トレイ3上に円滑かつ迅速に落とすことができ、しかも落すときに、用紙束110の先端側から後端側に空気が逃げることから、空気によって積載する用紙束110がずれことがない。
【0030】
また、積載トレイ3上に左右一対のジョガー31を配置し、積載トレイ3と左右一対のジョガー31の間にサポート20が配置され、このサポート20は、左右一対のジョガー31より低い位置にあることで、サポート20を後進させて、用紙束110を短時間に積載トレイ3上に落して積載し、次の用紙100を左右一対のジョガー31を受け入れることができ、受け入れ時間を短縮し、生産性を向上することができる。
【0031】
スティプル装置40は、装置本体2の右側に内蔵して配置され、ジョガー・スタック手段30により揃えられた用紙束110をスティプルし、このスティプルは、揃えられた用紙束110の後端の隅部を、針を用いないでスティプルする構成である。
【0032】
図10はジョガー及びスタックの状態を示す図、図11はスティプルの状態を示す図である。装置本体2の右側には、ジョガー・スタック手段30により揃えられた用紙束110をスティプルする位置に用紙束ホルダ50を配置する。この用紙束ホルダ50は、スティプルする用紙束110押さえる。
【0033】
図10では、ジョガー・スタック手段30の左右一対のジョガー31は、ジョガー・スタックの位置にあり、用紙束ホルダ50はスティプル装置40を覆うカバーとして機能し、指などがスティプルする位置に入ることを防止している。この状態では、右側のジョガー31を支持するスライドレバー32に形成した突起33がアーム34を作動させない位置にある。アーム34は、補助レバー35を介してリンク36の一方の端部36aを押すと、他方の端部36bが安全スイッチ37の接点37aを押して安全スイッチ37をオフ状態とする。
【0034】
ジョガー・スタック手段30の左右一対のジョガー31が、ジョガー・スタックの位置にあるときは、右側のジョガー31を支持するスライドレバー32に形成した突起33がアーム34を作動させない位置にあることから、アーム34は、補助レバー35を介してリンク36の一方の端部36aを押すことがなく、リンク36が作動しないから安全スイッチ37は非通電のオフ状態でスティプル装置40の作動を禁止している。
【0035】
図11では、ジョガー・スタック手段30の左右一対のジョガー31がスティプルの位置に移動し、スティプルするがこのスティプル位置では、右側のジョガー31を支持するスライドレバー32に形成した突起33がアーム34を作動させることから、アーム34は、補助レバー35を介してリンク36の一方の端部36aを押し、リンク36が作動して他方の端部36bが安全スイッチ37の接点37aを押して安全スイッチ37を通電のオン状態とし、スティプル装置40が作動してスティプルする。
(用紙後処理装置の作動)
制御装置300は、用紙100の揃えの枚数の指令を画像形成装置の制御装置から受け、搬送駆動手段200、サポート駆動201、ジョガー駆動手段202、ジョガー移動駆動手段203を駆動して、スティプルしない場合のシフト積作動及び棒積作動、スティプルする場合のシフト積作動及び棒積作動を行う。
【0036】
[スティプルしない場合のシフト積作動]
スティプルしない場合の作動を、図12及び図13に基づいて説明する。左右一対のジョガー31は、用紙排出センター位置K1に対して左右方向に移動可能であり、用紙100は搬送されてきた用紙排出センター位置K1を基準とし、用紙100の右側端面と左側端面を左右一対のジョガー31の作動で揃える。用紙100の後端部は、前進位置のサポート20によって支持する(ステップa11)。
【0037】
用紙100の右側端面と左側端面を揃えた後に、用紙束110の右側端面と左側端面を左右一対のジョガー31によって挟みながら用紙排出センター位置K1から右方向へ移動し、距離L1離れた積載位置K2とする(ステップa12)。
【0038】
この積載位置K2で、左右一対のジョガー31を開き、揃えた用紙束110の先端側を積載トレイ3上に落し、用紙束110の後端部のみをサポート20に載せた状態となる。この状態で、次にサポート20を後進させて、サポート20に載せた用紙束110の後端部を積載トレイ3上に落して積載する(ステップa13)。この用紙束110を積載トレイ3上に落すときに、落とす用紙束110の先端側から後端側に空気が逃げることから、空気によって積載する用紙束110がずれことがない。
【0039】
次に、左右一対のジョガー31を用紙排出センター位置K1へ移動し、次に送られてくる用紙100は用紙排出センター位置K1を基準とし、用紙100の右側端面と左側端面を左右一対のジョガー31の作動で揃え、用紙100の後端部は、前進位置のサポート20によって支持する(ステップa14)。
【0040】
用紙100の右側端面と左側端面を揃えた後に、用紙束110の右側端面と左側端面を左右一対のジョガー31によって挟みながら用紙排出センター位置K1から左方向へ移動し、距離L2離れた積載位置K3とする(ステップa15)。
【0041】
この積載位置K3で、左右一対のジョガー31を開き、揃えた用紙束110の先端側を積載トレイ3上に落し、用紙束110の後端部のみをサポート20に載せた状態となる。この状態で、次にサポート20を後進させて、サポート20に載せた用紙束110の後端部を積載トレイ3上に落して積載する(ステップa16)。この用紙束110を積載トレイ3上に落すときに、落とす用紙束110の先端側から後端側に空気が逃げることから、空気によって積載する用紙束110がずれことがない。
【0042】
このように、用紙排出センター位置K1において用紙束110を揃えて左右方向の一方へ移動して積載位置K2で左右一対のジョガー31を開き、サポート20を後進させて用紙束110を積載トレイ3上に落して積載する動作と、用紙排出センター位置K1において用紙束110を揃えて左右方向の他方へ移動して積載位置K3で左右一対のジョガー31を開き、サポート20を後進させて用紙束110を積載トレイ3上に落して積載する動作とを繰り返し、用紙束110を積載トレイ3上に交互に変位L3させて積載する(ステップa17)。
【0043】
[スティプルしない場合の棒積作動]
スティプルしない場合のシフト積作動で説明したステップa11乃至ステップa13を繰り返して行い、ステップa14以降の作動はしない。このように、用紙排出センター位置K1において用紙束110を揃えて左右方向の一方へのみ移動して積載位置K2で左右一対のジョガー31を開き、サポート20を後進させて用紙束110を積載トレイ3上に落して積載する動作を繰り返し、用紙束110を積載トレイ3上に交互に変位させることなく積載する。
【0044】
[スティプルする場合のシフト積作動]
スティプルする場合の作動を、図14及び図15に基づいて説明する。左右一対のジョガー31を用紙排出センター位置K1に対して左右方向に移動可能であり、用紙100は搬送されてきた用紙排出センター位置K1を基準とし、用紙100の右側端面と左側端面を左右一対のジョガー31の作動で揃える。用紙100の後端部は、前進位置のサポート20によって支持される(ステップa21)。
【0045】
用紙100の右側端面と左側端面を揃えた後に、用紙束110の右側端面と左側端面を左右一対のジョガー31によって挟みながら右方向へ移動してスティプル位置K4でスティプル装置40によりスティプルする(ステップa22)。スティプル後、用紙束110の右側端面と左側端面を左右一対のジョガー31によって挟みながら左方向へ移動して戻し積載位置K2とする(ステップa23)。
【0046】
この積載位置K2で、左右一対のジョガー31を開き、スティプルした用紙束110の先端側を積載トレイ3上に落し、用紙束110の後端部のみをサポート20に載せた状態とする。この状態で、次にサポート20を後進させて、サポート20に載せた用紙束110の後端部を積載トレイ3上に落して積載する(ステップa24)。
【0047】
次に、左右一対のジョガー31を用紙排出センター位置K1へ移動し、次に送られてくる用紙100は用紙排出センター位置K1を基準とし、用紙100の右側端面と左側端面を左右一対のジョガー31の作動で揃え、用紙束110の後端部は、前進位置のサポート20によって支持される(ステップa25)。
【0048】
用紙の右側端面と左側端面を揃えた後に、用紙束110の右側端面と左側端面を左右一対のジョガー31によって挟みながら右方向へ移動してスティプル位置K4でスティプル装置40によりスティプルする(ステップa26)。スティプル後、用紙束110の右側端面と左側端面を左右一対のジョガー31によって挟みながら左方向へ移動して戻し積載位置K3とする(ステップa27)。
【0049】
この積載位置K3で、左右一対のジョガー31を開き、スティプルした用紙束110の先端側を積載トレイ3上に落し、用紙束110の後端部のみをサポート20に載せた状態とする。この状態で、次にサポート20を後進させて、サポート20に載せた用紙束110の後端部を積載トレイ3上に落して積載する(ステップa28)。
【0050】
このように、用紙排出センター位置K1において用紙束110を揃えて左右方向の一方へ移動してスティプル位置K4でスティプル装置40によりスティプルする動作と、その後移動して一方の積載位置K2で左右一対のジョガー31を開き、サポート20を後進させて用紙束110を積載トレイ3上に落して積載する動作と、用紙排出センター位置K1において用紙束110を揃えて左右方向の一方へ移動してスティプル位置K4でスティプル装置40によりスティプルする動作と、その後移動して他方の積載位置K3で左右一対のジョガー31を開き、サポート20を後進させて用紙束110を積載トレイ3上に落して積載する動作を繰り返し、用紙束110を積載トレイ3上に交互に変位L3させて積載する(ステップa29)。
【0051】
[スティプルする場合の棒積作動]
スティプルする場合のシフト積作動で説明したステップa21乃至ステップa24を繰り返して行い、ステップa25以降の作動はしない。このように、用紙排出センター位置K1において用紙束110を揃えて左右方向の一方へのみ移動してスティプル位置K4でスティプル装置40によりスティプルする動作と、その後移動して一方の積載位置K2で左右一対のジョガー31を開き、サポート20を後進させて用紙束110を積載トレイ3上に落して積載する動作とを繰り返し、用紙束110を積載トレイ3上に交互に変位させることなく積載する。
【0052】
(スティプル装置の構成)
この実施の形態の用紙後処理装置は、画像形成装置に接続され、画像形成装置で、入力される画像データに基づいて画像形成された用紙が順次送り込まれ、送り込まれてくる用紙に所定の後処理を施し、図16乃至図26に示すようにスティプル装置を備える。図16はスティプル装置の外観を示す斜視図、図17はスティプル装置の断面図、図18乃至図22は用紙束を閉じる動作を示す図、図23はスティプルする前の状態の用紙束を示す斜視図、図24はスティプルした状態の用紙束を示す斜視図、図25はスティプルした用紙束を示す図、図26はウォーニング手段の構成図である。
【0053】
この実施の形態のスティプル装置40は、スティプル部410と、紙粉カス収納部440とを備える。スティプル部410は、綴じ針を使用することなく画像形成済の用紙を綴じるものであれば、この実施の形態に限定されず、周知のものが用いられる。この実施の形態のスティプル部410は、上型411が下型412に対して支持軸413によって回動自在に支持される。押え板414は、上型411と下型412との間に配置され、支持軸413によって回動自在に支持される。上型411と押え板414との間には、圧縮コイルばね415が配置され、押え板414と上型411との間には板ばね416が配置される。
【0054】
スティプル部410には、上型411を回動させる駆動装置430が備えられる。この駆動装置430は、例えば電磁ソレノイドで構成され、電源オンによりプランジャー431が上型411を押して圧縮コイルばね415に抗して回動させ、電源オフにより上型411が圧縮コイルばね415により元の位置に復帰する。
【0055】
上型411には、切刃417、ナイフ418、カム419が取り付けられる。切刃417とナイフ418との中間にカム419が配置される。カム419は上型411に固定された切刃417に回動自在に支持される。板ばね420はカム419の背面と係合する。切刃417の刃面はU字型に、またナイフ418の断面は1字型にそれぞれ形成され、これらは組み合わされ、図23に示すようなU字状の切り込みべろ部91とI字状の切り込み孔92を形成する。ナイフ418の中央部にはほぼ長方形の窓418aが明けられている。切刃417及びナイフ418に対向して、押え板414に略長方形の孔414a,414b及び下型412に略長方形の孔412aがそれぞれ明けられている。
【0056】
次に、図18乃至図25を参照して、スティプル部410の動作について説明する。まず、用紙束110を下型412と押え板414との間に置く(図18)。次に、駆動装置430の電源オンし、プランジャー431により上型411を所定位置まで押し下げると、切刃417及びナイフ418は、押え板414の孔414a,414bをそれぞれ貫通し、そして用紙束110を突き抜けて、下型412に設けられた孔412aに入り込む。このとき、切刃417によって用紙束110にU字状の切り込みべろ部91が形成されとともに、切刃418によって用紙束110にI字状の切り込み孔92が形成され、この切られたU字状の切り込みべろ部91にカム419の爪419aが係合してU字状の切り込みべろ部91を押し上げる(図19)。
【0057】
そして、さらに上型411を押し下げると、押え板414の孔414a,414bの間にある中間部分414cを支点としてカム419は、反時計方向に回転する。このとき、カム419の爪419aはU字状の切り込みべろ部91を押し曲げて、その先端をナイフ418の窓418aに入れる(図20)。
【0058】
駆動装置430の電源オフにより、上型411は圧縮ばね415の作用によって元の位置へ復帰する。これにより、カム419は板ばね420の作用によって時計方向に回転されて元の位置に戻される(図21)。このとき、切刃417及びナイフ418もともに上昇しつつあり、切刃417はそのまま用紙束110から抜け出るが、ナイフ418は用紙束110のU字状の切り込みべろ部91の先端を窓418aに引っ掛けてナイフ418が明けたI字状の切り込み孔92にU字状の切り込みべろ部91の先端を差し込んでから用紙束110より抜け出る(図22)。
【0059】
これによって、用紙束110のスティプル動作は完了し、図24及び図25に示すように、I字状の切り込み孔92にU字状の切り込みべろ部91の先端を差し込んでおり、先端が露出する側が用紙束110の表側、すなわち、画像形成されている側である。
【0060】
紙粉カス収納部440は、スティプル部410の下方位置に配置され、スティプル部410において切込みによってU字状の切り込みべろ部91とI字状の切り込み孔92を形成する際に生じる紙粉カスを収納する。この紙粉カス収納部440は、紙粉カスを導くダウストシュート441と、紙粉カスを貯める収納箱442と、紙粉カスを収納箱442に集める集塵手段を構成するファン443とを有する。この実施の形態では、集塵手段はファン443で構成しているが、減圧装置を用いてもよい。この集塵手段は、スティプル装置がスティプル動作を行う間中駆動される。
【0061】
ダウストシュート441は、スティプル部410から収納箱442に連通しており、このダウストシュート441にファン443が配置され、ダウストシュート441の上方位置には排気口441aが形成されている。排気口441aには、紙粉カスの漏れを防止するフィルタ441bが配置される。ファン443を駆動して紙粉カスをダウストシュート441を介して導き、確実に紙粉カスを収納箱442に溜めることができる。収納箱442は、着脱可能であり、所定時期に取り外して交換したり、紙粉カスを排出する。
【0062】
この実施の形態の用紙後処理装置は、図26(a)に示すように、スティプルの作動回数を検出して、設定作動回数になると紙粉カス収納部440に溜まる紙粉カスの除去を知らせるウォーニング手段K1を備える。このウォーニング手段K1は、スティプル部410でのティプル動作をカウントするティプル動作カウント手段500を備えており、カウント情報を制御装置300に送る。制御装置300では、ティプル動作カウント手段500が所定カウントすると警報手段502を駆動し、収納箱442に溜まる紙粉カスの排出時期を知らせる。これにより、ユーザーは、収納箱442を交換したり、収納箱442に溜まる紙粉カスを確実に排出することができる。警報手段502は、警報ランプ、または警報ブザーで構成される。
【0063】
また、図26(b)に示すように、スティプルする用紙の枚数を検出して、スティプルする設定枚数になると紙粉カス収納部440に溜まる紙粉カスの除去を知らせるウォーニング手段K2を備えることができる。このウォーニング手段K2は、画像形成装置においてスティプルする用紙の枚数が入力されると、この枚数とスティプルする回数とに基づきスティプルする用紙の枚数を検出する用紙カウント手段510を備えており、カウント情報を制御装置300に送る。制御装置300では、用紙カウント手段510がスティプルする設定枚数をカウントすると警報手段502を駆動し、収納箱442に溜まる紙粉カスの排出時期を知らせる。
【0064】
このように、複数枚の用紙からなる用紙束110に、自動で、U字状の切り込みべろ部91とI字状の切り込み孔92を形成し、U字状の切り込みべろ部91とI字状の切り込み孔92とで用紙束110の各用紙相互を結合させて用紙束110をスティプルするが、切り込みによりU字状の切り込みべろ部91とI字状の切り込み孔92を形成する際に生じる紙粉カスを収納することで、針の充填状況をチェックするセンサーが必要なく、構造が簡単になり、かつスティプル処理において生じる紙粉カスが用紙の画像を汚したり、装置の内部に飛散することがない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明は、従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置に接続され、綴じ針を使用することなく画像形成済の用紙を綴じるスティプル処理を行う用紙後処理装置に適用され、綴じ針を使用することなく画像形成済の用紙を綴じるスティプル処理において生じる紙粉カスが用紙の画像を汚したり、装置の内部に飛散することがない。
【符号の説明】
【0066】
1 用紙後処理装置
2 装置本体
3 積載トレイ
10 用紙搬送手段
11 搬送ガイド
12 搬送ローラ
20 サポート
30 ジョガー・スタック手段
31 左右一対のジョガー
31a 下ガイド
31b 上ガイド
31c 連結ガイド
32 スライドレバー
33 突起
34 アーム
35 補助レバー
36 リンク
37 安全スイッチ
38 移動体
40 スティプル装置
50 用紙束ホルダ
91 U字状の切り込みべろ部
92 I字状の切り込み孔
100 用紙
110 用紙束
200 搬送駆動手段
201 サポート駆動手段
202 ジョガー駆動手段
203 ジョガー移動駆動手段
300 制御装置
410 スティプル部
411 上型
412 下型
413 支持軸
414 押え板
415 圧縮コイルばね
416 板ばね
417 切刃
418 ナイフ
419 カム
420 板ばね
430 駆動装置
431 プランジャー
440 紙粉カス収納部
441 ダウストシュート
442 収納箱
443 ファン
500 ティプル動作カウント手段
510 用紙カウント手段
502 警報手段
K1、K2 ウォーニング手段
図1
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