(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6183764
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】自動リターン機能を有する多色筆記具
(51)【国際特許分類】
B43K 24/12 20060101AFI20170814BHJP
B43K 27/12 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
B43K24/12
B43K27/12
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-8575(P2017-8575)
(22)【出願日】2017年1月20日
【審査請求日】2017年1月24日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0022455
(32)【優先日】2016年2月25日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514297925
【氏名又は名称】チョン,クァン ジュ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】チョン,クァン ジュ
【審査官】
谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−111876(JP,A)
【文献】
特開2000−079790(JP,A)
【文献】
特開平11−139079(JP,A)
【文献】
特開2005−313515(JP,A)
【文献】
特開平11−157278(JP,A)
【文献】
特開2002−052892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 24/10−24/18
B43K 25/02
B43K 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円筒状であり、先端部にペン芯出入り穴(11)が貫通される下部ハウジング(10)と、
この下部ハウジング(10)の上部に接続され、案内孔(21)の内側に係止顎(22)がそれぞれ形成される上部ハウジング(20)と、
この上部ハウジング(20)にヒンジ軸(31)を中心に回動可能に設置されているクリップ部材(30)と、
前記クリップ部材(30)と上部ハウジング(20)の間に設置されている弾力性のあるコイルスプリング(40)と、
前記上部ハウジング(20)と下部ハウジング(10)の内部に収容されて、少なくとも2つ以上の異なる色のインクが満たされているペン芯(50)と、
前記案内孔(21)の案内でスライド移動可能に設置されており、係止顎(22)にかかっている通常の詰まり突起(61)と二つの係止解除部(62)(63)を備えて、その端部がペン芯(50)にそれぞれ入れ込み組み立てられるノブ(60)と、
前記ペン芯(50)とノブ(60)の間に設置されている弾力性のあるリターンスプリング(70)と、
前記クリップ部材(30)に、ヒンジ軸(31)の一側に各ノブ(60)に向かって一体に成形されており、前記クリップ部材(30)の下端部が回動されることにより、それぞれのノブ(60)とペン芯(50)を復帰させるリターン部材(80)を含む多色筆記具において、
前記リターン部材(80)とノブ(60)の間には、上部ハウジング(20)の上部内側にリターン部材(80)が回動されたときノブ(60)を同時に移動させる補助部材(90)をさらに設置するが、
この補助部材(90)は、リターン部材(80)が挟まれた状態で動作するように柱(91)の間に案内溝(92)がえぐられて、柱(91)には、上部ハウジング(20)の内側で上下垂直動作を案内するようにガイド溝(93)がえぐられることを特徴とする自動リターン機能を有する多色筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動リターン機能を有する多色筆記具に関するもので、より詳細には、より簡単な構成で、クリップを利用して衣類に着用したときに露出されていた筆記具のペン芯を自動的にペンハウジング内部に収容されるようにして、非使用時にペン芯と衣類の毀損を防止することができるようにした多色筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ボールペンをはじめとする様々な用途のペンは、ハウジング内にペン芯とスプリング、ノブなどで構成され、前記ハウジング内のペン芯を昇降させながらペン先を外部に露出させることになる。
【0003】
これらの単色ペンに加えて、いくつかの色をまとめてケース内に備えて使用できるようにした多色筆記具が最近広く用いられている。
【0004】
多色筆記具は、多数個の色のペン芯を露出させるために、ノブを利用するスライド方式で筆記時にユーザーが好みの色のペン先を外部に露出させることで、筆記が可能になるのである。
【0005】
これらの多色筆記具は、ハウジングの限られたスペース内に数個のペン芯(50)と、ペン芯(50)の露出時に弾性力が要求されるスプリングを装着し、本体の上部ハウジングには、多色インクが充填されたペン芯(50)と接続されている各ノブ(60)が設けられている。
【0006】
ノブ(60)は、上部ハウジング(20)の案内孔(21)の案内で移動詰まりや解除復帰状態間でスライドされ、選択されたペン芯(50)の移動時に先端に位置するペン先(penpoint)が筆記具外部に露出されている状態となる。
【0007】
たとえば、ユーザーが青色のペン芯を使用したい場合を見てみる。この場合、ユーザーは青色ペン芯(50)に接続された青色ノブ(60)の操作部を下方にスライド移動させる。そうすると、リターンスプリング(70)が圧縮され、選択されたノブ(60)とペン芯(50)がハウジング内部で進む移動をすることになる。
【0008】
ノブ(60)は、上部ハウジング(20)に長さ方向にペン芯(50)の方向と数に応じてえぐられた案内孔(21)の案内で、スライド移動することになる。この時、ノブ(60)は、案内孔(21)の内部に若干移動するようになって、最も上部に形成される通常の詰まり突起(61)が案内孔(21)の約中間内側に形成された係止顎(22)にかかってペン芯(50)のペン先(penpoint)が外部に突出して青色のボールペンの筆記が可能な状態になるのである。
【0009】
他の色のペン芯を使用しようとする場合にも、前記と同じように動作されてなる。たとえば、この状態で赤のペン芯(50)を使用したいときは、上部ハウジング(20)の外部に露出されている対応する色のノブ(60)を押すと、内部に向かって突出していた二つの詰まり解除部(62)(63)の中下端部の詰まり解除部(63)が赤ノブ(60)の上部側係止解除部(62)と接触され、押される。
【0010】
したがって、青のノブ(60)は、係止顎(22)に掛けられていた通常の詰まり突起(61)が離脱され、圧縮されていたリターンスプリング(70)の弾力で元の位置に復帰され、ユーザーが赤のノブ(60)の移動を続けることにより、通常の詰まり突起(61)が案内孔(21)の約中間内側に形成された係止顎(22)に掛けられ赤ボールペン芯(50)のペン芯外部に突出して赤ペンの筆記が可能な状態になるのである。
【0011】
このような方法で青、赤、黒などの2色〜5色のペン芯を一つのペンハウジングに収容した状態でお好みのカラーのペン芯をそれぞれ選択して多色筆記具で利用できるものである。
【0012】
これらの多色筆記具は、携帯中または保管中は、外部に露出されていたペン芯をハウジング内部に収容させるために、既に突出しているペン芯以外の残りのカラーの中、いずれかのノブ(60)を係止顎(22)で、通常の詰まり突起(61)が離脱することができる程度の長さ分だけ移動させた後、再び復帰されるように操作すると、すべてのペン芯(50)らとノブ(60)は、使用前の状態に復帰される。
【0013】
しかし、従来の多色筆記具は、いずれかのペン芯(50)がハウジングの外部に露出させた状態で、例として衣類のポケットなどにクリップを利用して、思わず身に着けると、ペン芯(50)が毀損したり、ペン芯(50)の先端部分が衣類に長時間接触した場合、インクによって衣類が破損したり、多色筆記具の着用者にとって困難にする場合がよく発生するなどの問題点があったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国特許登録第10−1269801号公報
【特許文献2】特開2005−111876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、簡単な構成を追加して、衣類着用時に自動的にすべてのペン芯がハウジング内部に戻されるようにした多色筆記具を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、衣類着用時に露出されたペン芯が毀損したり、衣類が筆記具のインクによって汚されることを未然に防止し、製品の信頼性が向上されるようにした多色筆記具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的を達成するために、本発明は、中空円筒状であり、先端部にペン芯出入り穴(11)が貫通される下部ハウジング(10)と; 前記下部ハウジング(10)の上部に接続されており、案内孔(21)の内側に係止顎(22)がそれぞれ形成される上部ハウジング(20)と; 前記上部ハウジング(20)にヒンジ軸(31)を中心に
回動可能に設置されているクリップ部材(30)と; 前記クリップ部材(30)と上部ハウジング(20)の間に設置されている弾力性のあるコイルスプリング(40)と; 前記上部ハウジング(20)と下部ハウジング(10)の内部に収容され、少なくとも2つ以上の異なる色のインクが満たされているペン芯(50)と; 前記案内孔(21)の案内でスライド移動可能に設置されており、係止顎(22)にかかっている通常の詰まり突起(61)と二つの係止解除部(62)(63)を備えて、その端部がペン芯(50)にそれぞれ入れ組み立てられるノブ(60)と; 前記ペン芯(50)とノブ(60)の間に設置されている弾力性のあるリターンスプリング(70)と; 前記クリップ部材(30)にヒンジ軸(31)の一側に各ノブ(60)に向かって一体に成形されており、前記クリップ部材(30)の下端部が回動されることにより、それぞれのノブ(60)及びペン芯(50)を復帰させるリターン部材(80)と; を含む多色筆記具において、前記リターン部材(80)とノブ(60)の間には、上部ハウジング(20)の上部内側にリターン部材(80)が回動されたときノブ(60)を同時に移動させる補助部材(90)をさらに設置するが、この補助部材(90)は、リターン部材(80)が挟まれた状態で動作するように柱(91)の間に案内溝(92)がえぐられて、柱(91)には、上部ハウジング(20)の内側で上下垂直動作を案内するようにガイド溝(93)がえぐられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、衣類着用時、自動的にすべてのペン芯がハウジング内部に戻されるので、ペン芯が外部に露出されない。したがって、ペン芯が毀損したり、衣類が筆記具のインクによって汚されることを未然に防止することができる。また、本発明は、部品の数と組立工程が従来と同じであるため、コストの上昇がなく、製品の利便性、商品性を大幅に向上させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明のノブが組み立てられた状態で、クリップ部材が分解された状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の要部の構成を分解して示す断面図である。
【
図4】本発明のノブとペン芯が移動されていない保管状態を示す要部組立状態断面図である。
【
図5】筆記のために1つのノブとペン芯が前進移動された状態を示す要部の組立状態断面図である。
【
図6】本発明の筆記具を衣類に着用するために、クリップ部材が回動されて、他のノブを加圧する状態を示す要部の組立状態断面図である。
【
図8】クリップ部材に設置されたリターン部材とノブの取り付け位置を示した部分断面拡大図である。
【
図9】前進移動されている1つのノブを元の位置に復帰させるために、他のノブの係止解除部が接触する状態を示す正面図である。
【
図12】本発明の好適な実施例において、リターン部材と補助部材とが組み立てられる状態を示す分解斜視図である。
【
図13】本発明の好適な実施例において、組み立てた状態の一部拡大断面図である。
【
図14】本発明の好適な実施例において、クリップ部材と補助部材とノブとのインストール状態を示した部分断面拡大図である。
【
図16】本発明の好適な実施例において、要部の構成を分解して示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施例を添付された図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
本発明の自動リターン機能を有する多色筆記具は、説明の便宜上、黒、赤、そして青の3色のペン芯(50)を持っている場合を例示的に見てみることにする。
【0022】
本発明の自動リターン機能を有する多色筆記具は、図のように、例として、黒、赤、青の3色のペン芯(50)が上部ハウジング(20)と下部ハウジング(10)の内部に収容された状態で必要な色のペン芯(50)をノブ(60)の操作によって出没するようにすることを基準にして説明する。
【0023】
ノブ(60)のプッシュ操作では、選択した色のペン先(penpoint)が外部に露出されて筆記が可能になり、露出されていれていない他の色のノブ(60)を操作することにより、色を交換したり、ペン芯(50)の両方を内部に収容することができるように操作することになる。
【0024】
下部ハウジング(10)は、中空円筒状であり、先端部にペン芯出入り穴(11)が貫通しており、ペン芯(50)のペン先が内部から外部への出入りできるようにする。
【0025】
この下部ハウジング(10)の上部には、上部ハウジング(20)が、主にネジ方式で接続されており、内部の収容空間にペン芯(50)とリターンスプリング(70)、分周器(100)などを収容することができるようになる。
【0026】
上部ハウジング(20)の周囲には、案内孔(21)がペン芯(50)の設置数を勘案して長さ方向にえぐられており、この案内孔(21)には、中間内側に係止顎(22)がそれぞれ形成されて、後述するノブ(60)が前進移動された状態で掛けられ、ペン先が露出された状態になり、筆記を可能にする。
【0027】
また、上部ハウジング(20)には、締結溝(25)が設けられてクリップ部材(30)のヒンジ軸(31)が締結溝(25)に組み立てられる。したがって、クリップ部材(30)は、ヒンジ軸(31)を中心に
回動可能に設置され、弾力性を維持するために設置されているコイルスプリング(40)の離脱を防止するために支持軸(32)が一体に成形されている。
【0028】
これらのクリップ部材(30)は、多色筆記具を衣類のポケットに着用する場合、弾力的に身に着けた状態で衣類から離脱することを防止する役割を遂行するようになる。
【0029】
ペン芯(50)は、少なくとも2つ以上の異なる色のインクが満たされて先端のペン先(penpoint)を介して筆記が可能になる。
【0030】
前記ノブ(60)は、ペン芯(50)に長さ方向に接続された状態で案内穴(21)の案内でスライド移動可能に設置され、その色のペン芯(50)を選択して、筆記が行われるようにする動作体である。
【0031】
このノブ(60)は、合成樹脂材でそれぞれ同一の構造で製作され、案内穴(21)の係止顎(22)にかかって、上端部は、通常の詰まり突起(61)が形成され、長さ方向に互いに離れた位置に二つの係止解除部(62)(63)がそれぞれの側面に向かって突出している。
【0032】
ユーザーが例として、青色のペン芯(50)を使用したいときは、上部ハウジング(20)の外部に露出されている対応する色のノブ(60)を押すと、案内穴(21)の案内で移動され、上端部の詰まり突起(61)が係止顎(22)に掛けられリターンスプリング(70)の弾力によっても上昇されず、筆記が可能な状態を維持することになる。(
図5参照)
【0033】
この状態で赤のペン芯(50)を使用し、その色のノブ(60)を押すときは、案内穴(21)に沿って移動され、2つの係止解除部(62)(63)のうち、青色ノブ(60)の上部側係止解除部(62)を赤のノブ(60)の下部側係止解除部(63)が接触され、ノブ(60)の進行方向と略直角方向に押す力が作用される。(
図9参照)
【0034】
このように、青のノブ(60)は、係止顎(22)に掛けられていた詰まり突起(61)が離脱され、圧縮されていたリターンスプリング(70)の弾力で元の位置に復帰されるものである。
【0035】
続いて、ユーザーが赤のノブ(60)を続け、より移動させることにより、その詰まり突起(61)が案内孔(21)の中間内側に形成された係止顎(22)に掛けられ、赤ペン芯(50)のペン先が外部に突出して赤色ボールペンの筆記が可能な状態になるのである。
【0036】
このような方法で青、赤、黒などの多色ペン芯を1つのペンハウジングに収容した状態にでき、お好みの色のペン芯をそれぞれ選択して多色筆記具で利用できるものである。
【0037】
また、既に突出しているペン芯(50)以外の残りの色の中で、いずれかのノブ(60)を係止顎(22)で、詰まり突起(61)が離脱することができる程度の長さ分だけ移動させた後、再び復帰されるように操作すると、すべてのペン芯(50)らとノブ(60)は、使用前の状態に復帰することになる。
【0038】
前記分周器(100)は、上部ハウジング(20)の内部でペン芯(50)が分離された状態で移動されるように案内する。
【0039】
そして、下部ハウジング(10)の外部には、中空円筒状のゴムパッド(110)を組み立てて、ユーザーが筆記時に接触感を良くすることになる。
【0040】
上部ハウジング(20)の頂上には、キャップ(120)が強固に組み立てられて外観を美麗に仕上げて、異物の内部投入などを防止することになるので、このような構造は、従来と同様である。
【0041】
本発明の最も重要な構成上の特徴は、クリップ部材(30)を用いて衣類に筆記具を着けている時、自動的にすべてのペン芯(50)をハウジング内部に収容されるようにすることで、ペン先(penpoint)と衣類の損傷を防止することにある。
【0042】
すなわち、本発明は、前記クリップ部材(30)にヒンジ軸(31)の一側に各ノブ(60)がインストールされている中心部に向かってリターン部材(80)が一体に成形されて、クリップ部材(30)の下端部が回動されると、リターン部材(80)が回動され、それぞれのノブ(60)及びペン芯(50)が初期状態に戻されるようにすることである。
【0043】
クリップ部材(30)は、通常、ユーザーが衣類のポケットなどに着用する過程で、下段部を人為的に行われるようにすると、ヒンジ軸(31)を中心にリターン部材(80)は、ノブ(60)の頂部に位置された接触面(65)を押す方向に回動される。(
図6参照)
【0044】
この時、下部に押されていなかったいずれかのノブ(60)を、または2つ以上のノブ(60)をリターン部材(80)が押されるようになっている結果として、案内穴(21)に沿って下方に移動されて、すでに下降していたノブ(60)の上部側係止解除部(62)が新たに押されるノブ(60)の下部側係止解除部(63)と接触され、ノブ(60)の垂直進行方向と略直角方向に押す力が作用される。(
図9参照)
【0045】
下降されていたノブ(60)は、案内孔(21)の係止顎(22)で、詰まり突起(61)が離脱され、リターンスプリング(70)の弾力でペン芯(50)とともに、ノブ(60)が使用前の状態に復帰されてペン先が下部ハウジング(10)のペン芯出入り穴(11)の内部に収容される。
【0046】
したがって、クリップ部材(30)が動くようになると、自動的にすべてのノブ(60)とペン芯(50)とが最初の使用前の状態に復帰することになるので、ペン先が毀損したり、このペン先が衣類に長時間接触され、インクによって汚染されることを未然に防止することができる。
【0047】
ここで、前記リターン部材(80)の先端部は、各ノブ(60)の詰まり突起(61)と上部側係止解除部(62)との間に形成される接触面(65)に位置することになる。(
図8および
図10を参照)
【0048】
一方、前記リターン部材(80)とノブ(60)との間には、上部ハウジング(20)の上部内側にリターン部材(80)が回動されたとき、ノブ(60)を同時に移動させる補助部材(90)が設けられている。(
図12乃至
図16を参照)
【0049】
前記補助部材(90)は、リターン部材(80)が挟まれた状態で動作するように柱(91)の間に案内溝(92)がえぐられて、この柱(91)の両側外面には、上部ハウジング(20)の内側に形成されたガイド突起に挟まれて上下垂直動作を案内するようにガイド溝(93)がえぐられることになる。
【0050】
したがって、クリップ部材(30)が衣類のポケットに着用する過程で下部を人為的に大きく開いた瞬間、リターン部材(80)が、前記補助部材(90)を介して、各ノブ(60)の接触面(65)を押す方向に回動される。(
図13参照)
【0051】
前記補助部材(90)の下端部の直径は、各ノブ(60)の詰まり突起(61)と上部側係止解除部(62)との間に形成される接触面(65)に接触することができるように設計されている。(
図14参照)
【0052】
したがって、クリップ部材(30)が動くようになると、自動的にリターン部材(80)が補助部材(90)を介してすべてのノブ(60)とペン芯(50)とを初期使用前の状態に復帰させるので、ペン先が毀損したり、このペン先が衣類に長時間接触され、インクによって汚染されることを未然に防止することができるものである。
【0053】
これらのクリップ部材(30)の動作は、いずれかのペン芯(50)が下降されてペン先がペン芯出入り穴(11)を介して外部に露出していない状態でも、前記のようにリターン部材(80)を回動させて、すべてのノブ(60)を加圧させることになるが、すべて復帰されている状態を維持することになる。
【0054】
リターン部材(80)は、強度を補強するために、上部面の両側にリブを一体に長さ方向に沿って突出形成するのが良い。
【0055】
ここで、前記キャップ(120)は、補助部材(90)がリターンスプリング(70)の弾力性により復帰され上部ハウジング(20)の外部に離脱することを防止して、内部に安定的に収容された状態を維持させる役割をする。
【0056】
図面では、便宜上例として、3つのペン芯(50)とノブ(60)が作動される構造の多色筆記具を例示しているが、2色〜5色も可能にされることを明らかにしておく。
【0057】
このような本発明の 自動リターン装置によれば、その構造が比較的簡単でコストが割安だけでなく、故障の心配が少なくなり、これにより、製品の寿命をさらに延長することができ、信頼性を向上させることができるものである。
【0058】
以上で説明した本発明は、前述した実施例と図面とによって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であることは、本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者にとって明らかであろう。
【符号の説明】
【0059】
10 下部ハウジング
11 ペン芯出入り穴
20 上部ハウジング
21 案内穴
22 係止顎
30 クリップ部材
31 ヒンジ軸
40 コイルスプリング
50 ペン芯
60 ノブ
61 詰まり突起
62,63 係止解除部
65 接触面
70 リターンスプリング
80 リターン部材
90 補助部材
91 柱
92 案内溝
【要約】 (修正有)
【課題】自動リターン機能を有する多色筆記具を提供する。
【解決手段】上部ハウジング20と;この上部ハウジングにヒンジ軸31を中心に回動可能に設置されるクリップ部材30と;少なくとも2つ以上の異なる色のインクが満たされているペン芯と二つの係止解除部を備え、その端部がペン芯に組み立てられるノブ60と;ペン芯とノブの間に設置されるリターンスプリングと;クリップ部材の下端部が回動されることにより、それぞれのノブとペン芯を復帰させるリターン部材80を含む多色筆記具において、リターン部材とノブの間に、上部ハウジングの上部内側にリターン部材が回動されたときノブを同時に移動させる補助部材90をさらに設置する、補助部材は、リターン部材が挟まれた状態で動作するように柱91の間に案内溝がえぐられて、柱には、上部ハウジングの内側で上下垂直動作を案内するようにガイド溝がえぐられる。
【選択図】
図13