特許第6183765号(P6183765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6183765インキ飛散防止カバー及びグラビア印刷装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6183765
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】インキ飛散防止カバー及びグラビア印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 13/00 20060101AFI20170814BHJP
   B41F 9/10 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   B41F13/00 136
   B41F9/10
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-41692(P2017-41692)
(22)【出願日】2017年3月6日
【審査請求日】2017年3月10日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】714011259
【氏名又は名称】下村 恭一
(72)【発明者】
【氏名】下村恭一
【審査官】 村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−171240(JP,A)
【文献】 特開平10−034873(JP,A)
【文献】 特開昭62−124949(JP,A)
【文献】 特開2006−272710(JP,A)
【文献】 特開2011−240571(JP,A)
【文献】 特開2016−203387(JP,A)
【文献】 特開平11−033451(JP,A)
【文献】 特開2013−052642(JP,A)
【文献】 特開平11−207923(JP,A)
【文献】 特開2001−310439(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02602111(EP,A1)
【文献】 特開2009−214038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 1/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラビア印刷版両端のR部と、そこから軸方向に伸びる版側面と一部版面とを覆うインキ飛散防止カバーであって、前記インキ飛散防止カバーの中程に、前記グラビア印刷版の版面側から前記版側面側に向かって切込み部を設け、該切込み部をドクター刃の上に固定し、該切込み部に連なる折り曲げ部をドクター刃の刃先を潜るように設け、前記インキ飛散防止カバーの一部領域を前記ドクター刃の下に配置してなることを特徴とするインキ飛散防止カバー。
【請求項2】
前記切込み部を除く領域と前記ドクター刃を保持するドクターホルダーの間に設けられた固定具により、前記切込み部を除く領域と前記ドクターホルダーとが連結固定されることを特徴とする請求項1のインキ飛散防止カバー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のインキ飛散防止カバーを備えたことを特徴とするグラビア印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
グラビア印刷を行うにあたり、グラビア印刷版とドクター刃が接する両端の前記グラビア印刷版のR部及び前記グラビア印刷版側面よりのインキ飛散及び前記グラビア印刷版側面へのインキ付着を削減するためのインキ飛散防止カバー及びグラビア印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
グラビア印刷を行うにあたり、グラビア印刷版とドクター刃が接する版面部においては、グラビア印刷版に塗布されたインキはドクター刃で掻き落とされ、ドクターまたはグラビア印刷版に沿ってインキパンに戻るが、ドクター刃が接する両端のグラビア印刷版のR部及びグラビア印刷版側面に塗布されたインキは版の回転により飛散し、グラビア印刷機のチャッキングコーン、フレーム内面、床面、印刷製品面に飛散し、グラビア印刷機を汚すだけでなく清掃時間の浪費となる為、グラビア印刷版の両端のインキ飛散を少なくするため厚紙などを使いカバーとすることで、印刷欠点の防止や機械周辺の汚れ防止が図られている。
【0003】
このようにインキ飛散防止カバーを設けることは、グラビア印刷の印刷速度の高速化に伴い必要になったものであり、印刷速度が70m/分程度の場合は、グラビア印刷版の両端部や版面部へのカバーもせずに印刷が行われていた。グラビア印刷の印刷速度の高速化に伴い、製品品質(インキ飛び)の対策として、ドクター刃でインキが掻き落とされた後のグラビア印刷版の両端部にインキ飛散防止カバーが使用され、塗布されたインキが掻き落とされるまでの部分においてもインキ飛散防止カバーを設けインキ飛散、版側面へのインキ付着の対策が取られ、今やグラビア印刷版の両端部のカバーは必要不可欠なものとなっており、グラビア印刷を行う職場でドクター刃の前後に2枚のカバーが様々な形状で使用されている。
【0004】
グラビア印刷版の両端部に設けるインキ飛散防止カバーについては、当初はドクター刃でインキが掻き落とされた後の版側面からインキ飛散するのを防止するだけであったが、更に印刷速度の高速化に伴いインキを塗布しドクターで掻き落とすまでの版側面両端部にもカバーを設け塗布されたインキがドクターに至るまでのインキ飛散を防止するようになった。
【0005】
これは、高速化により、両端R部、版側面インキが多く塗布されるようになり飛散が激しくなっただけでなく、版側面に沿ってのインキの落下が多くなったため、塗布されたインキの落下経路としての役割を持たせ版側面の汚れ防止を行うものである。
【0006】
これらの、カバーを用いても、グラビア印刷機のチャッキングコーン、フレーム内面、床面、印刷製品面に飛散は完全でなく、グラビア印刷職場、機械のインキによる汚れは完全に防止出来ず、清掃に費やする時間は多くなっている。
【0007】
本発明者らは、先にインキの飛散の原因となっているグラビア印刷における、ドクター刃の摩耗、損傷によるドクター筋、筋汚れ、インキ飛びを防止するため、特願2016−33381、特願2017−21342で、グラビア印刷版、ドクター刃等についての発明をしている。
【0008】
これらの、発明によりドクター刃の摩耗、損傷がなくなることによる品質面の向上だけでなく、グラビア印刷版の側面及びR部におけるインキの付着状態を安定化させインキ飛散を少なくすることができた。しかし、先にも述べたグラギア印刷の高速化、印刷インキの低粘度化によるインキ飛散は防止しきれていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特許文献、非特許文献でインキ飛散防止カバーに関する文献は見出せなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
グラビア印刷においてグラビア印刷版の両端部で発生するインキ飛散を防止するドクターの前後の設ける2枚のインキ飛散防止カバーの取り付けを簡易化し、またインキカバーが安定してグラビア版に沿いインキ飛散の効果を高め、機械周辺のインキ汚れを少なくするグラビア印刷版の両端に設けるインキ飛散防止カバー及びグラビア印刷装置を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のインキ飛散防止カバーは、グラビア印刷版両端のR部と、そこから軸方向に伸びる版側面と一部版面とを覆うインキ飛散防止カバーであって、前記インキ飛散防止カバーの中程に、前記グラビア印刷版の版面側から前記版側面側に向かって切込み部を設け、該切込み部をドクター刃の上に固定し、該切込み部に連なる折り曲げ部をドクター刃の刃先を潜るように設け、前記インキ飛散防止カバーの一部領域を前記ドクター刃の下に配置してなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のインキ飛散防止カバーにおいて、前記切込み部を除く領域と前記ドクター刃を保持するドクターホルダーの間に設けられた固定具により、前記切込み部を除く領域と前記ドクターホルダーとが連結固定されることを特徴とする。
【0013】
このように、本発明のインキ飛散防止カバーは、グラビア印刷版とドクター刃が接する両端の前記グラビア印刷版のR部及びグラビア印刷版側面よりのインキ飛散及びグラビア印刷版の版側面へのインキ付着面積を削減するためのインキ飛散防止カバーであり、ドクター刃がグラビア印刷版に接触する部分においてはインキ飛散防止カバーの中程に切込みを入れ、ドクター刃がグラビア印刷版に接触しない部分では、ドクター刃の前方向に設けるカバーとドクター刃の裏面に設けるカバーとが一体化しているシート状のインキ飛散防止カバーであり、該インキ飛散防止カバーをドクター刃、厚刃当て板、もしくはドクターホルダーに両面テープで固定、更にドクターホルダーとインキ飛散防止カバーを引っ掛け固定具で固定、または前記固定の方法を併用固定し使用する。
【0014】
従来使用されているインキ飛散カバーと本発明のインキ飛散カバーとの大きな違いは、ドクター刃の前後に、それぞれ1枚ずつ設けていたインキ飛散カバーを、本発明では1枚にして、版面に安定して添わせるようにしたことである。これにより、グラビア印刷版に塗布されたインキは、グラビア印刷版のR部及び版側面に於けるインキの状態が安定になることでインキ飛散を少なくすることができる。
【0015】
また、従来インキ飛散カバーの取り付けにおいて、ドクター刃と厚刃当て板に挟んだり、ドクター架台にホルダーをセットし粘着テープで貼り付けたりであったり、さまざまであり、安定してインキ飛散防止カバーの取り付けができないこともインキ飛散を多くしていた原因の一つでもある。
【0016】
本発明のインキ飛散防止カバー(1)の一例(ドクター側からみてグラビア印刷版の右のグラビア印刷版端部に付けるインキ飛散防止カバー)を図1で説明する。図1のインキ飛散防止カバーはインキ飛散防止カバーA部(1A)とインキ飛散防止カバーB部(1B)の前後の部分よりなり、中央部に切込み部(2)を有し、図1のインキ飛散防止カバーB部(1B)はグラビア印刷版とドクターの間にセットされる部分となる。インキ飛散防止カバーA部(1A)は、ドクターでインキが掻き落とされた版面の上に乗る部分であり印刷中も状態を目視確認できる。中央に示す横方向の破線は、罫線(3)を示し、折り曲げやすくしている。また、中央部の裏面に耐溶剤性の両面テープ(4)をドクター刃や厚刃当て板と固定できるように貼ってある。インキ飛散防止カバーB部(1B)の左半分はグラビア印刷版に接しない部分であり中央部に固定治具の先端を差し込み固定する四角穴(5)が設けてある。四角穴(5)近傍の罫線(6)は、版面から離れたドクター刃が版面より1mm程度版の芯方向に低くなるためドクター刃に沿うよう罫線を設けている。インキ飛散防散カバー(1)の下部を斜めにカット(7)しているのは、インキ飛散防止カバーに付着したインキが鋭角部(8)よりインキパンの中に落ちるようにしている。縦中央部に示した1点破線はドクター刃(10)の揺動幅(9)を示し白抜き両矢印表示する。
【0017】
図2に、インキ飛散防止カバー(1)をドクター刃(10)にセットしグラビア印刷版(11)に沿わせた図1のイ−イの断面図を、図3に、インキ飛散防止カバー(1)をドクター刃(10)に引っ掛け固定具(16)を使用しセットした図1のロ−ロの断面図を示す。
【0018】
図2は、グラビア印刷版(11)の版面上に沿ったインキ飛散防止カバー(1)を示したもので、インキ飛散防止カバー(1A)の罫線(3)からの一部が折り曲げられ耐溶剤の両面テープ(12)でドクター刃(10)及び厚刃当て板(13)に固定されている。ドクター刃を固定するドクターホルダー(14)及びドクターホルダー架台(15)については説明を省略する。
【0019】
図3は、グラビア印刷版(11)の版面上に乗らないインキ飛散防止カバー(1)のロ−ロの断面図を示したもので、この部分では、インキ飛散防止カバーA部(1A)とインキ飛散防止カバーB部(1B)は切断されることはなく、引っ掛け固定具(16)を用い、片方を四角穴(5)に通し、もう一方をドクターホルダーの上板(14C)に蝶ネジ(17)で固定されている。
【0020】
図4は、引っ掛け固定具(16)の斜視図である。片方の先端は、2本の角(18)にしてインキ飛散防止カバー(1)の四角穴(5)に通し、もう片方の端部をドクターホルダー(14)の上板(14C)に蝶ネジ(17)で固定する。これにより、引っ掛け固定具(16)と先に記した耐溶剤性の両面テープ(4)によりインキ飛散防止カバー(1)は固定できる。白抜き矢印はネジの差し込みを表している。
【0021】
図1から図4で、本発明の飛散カバーの1例を、また引っ掛け固定具の1例を示したが、これらのサイズや形状は、上記述べたように飛散カバーをしっかりと固定できればよく、ドクター刃、厚刃当て板、ドクターホルダーを使い固定すればよい。例えば、引っ掛け固定具を使わず、耐溶剤性の両面テープの面積を広く(幅を広く)してインキ飛散防止カバーを固定してもよい。更に、ガムテープで更に固定の補強をしてもよい。
【0022】
飛散カバーに使用する材質としては、厚み70ミクロンから300ミクロンのポリエステルフィルム、バージンパルプを使用した密度の高い100g/平方メートルから300g/平方メートルの厚紙等がよい。ただグラビア印刷版のR部の状態、インキ飛散の状態を見るには、透明なフィルムがよく、紙粉などの異物の混入の心配もない。
【0023】
グラビア印刷機に使用されるグラビア印刷版は版円周と版幅の違い、ドクターホルダーについては形状の違いである。従って本発明のインキ飛散防止カバーや引っ掛け固定具において、大きさ(長さと幅)や形状などを、それぞれのグラビア印刷機に合わせば、全てのグラビア印刷機に使用することができる。
【0024】
本発明のグラビア印刷装置は、グラビア印刷版とドクター刃が接する両端の前記グラビア印刷版のR部及び前記グラビア印刷版側面よりインキが飛散するのを防ぐインキ飛散防止カバーが、該インキ飛散防止カバーの中ほどに、前記グラビア印刷版の版面側から前記版側面に向かって切込み部を設け、該切込み部をドクター刃の上に固定し、該切込み部に連なる折り曲げ部をドクター刃の刃先を潜るように設け、前記切込み部を除く領域と前記ドクター刃を保持するドクターホルダーの間に設けられた固定具により、前記切込み部を除く領域と前記ドクターホルダーとが連結固定されるインキ飛散防止カバーを備えることを特徴とする。
【0025】
このようにグラビア印刷装置においては、本発明のインキ飛散防止カバーを使用しドクターに2カ所以上で固定することにより、グラビア印刷版に安定した状態で固定することができる。これによりグラビア印刷版に、ドクターの前後に2枚設けるインキ飛散カバーが、1枚で前後一体であることにより安定して添わすことができ、版側面及びR部においてインキが一定の流れを保つためインキ飛散はすくなくなる。
【0026】
本発明の飛散カバーを使用することで、グラビア印刷において次のような改善が図れた。(1)品質面については、ドクター刃の前後に2枚のインキ飛散防止カバーを設け固定が不安定でグラビア印刷版とインキ飛散防止カバーの間からインキの微粒子が被印刷物に飛散しインキ汚れ発生したが、これを無くすことができた。(2)ドクター準備作業面においては、インキ飛散防止カバーは1枚になること、しっかりとした固定が出来ること、固定具を使えば取り付け位置の確認が不要になること、など作業の簡易化、時間短縮、個人差の解消が図れる。(3)環境面については、インキ飛びの激減により、グラビア印刷版のチャッキングコーン、機械フレームへの清掃頻度を大幅に減らすことができた。
【0027】
図5は、グラビア印刷を進行しているときのインキ飛散防止カバーをセットした概念斜視図である。インキ飛散防止カバーはドクターに安定した状態で固定されており、ドクターの揺動においても、ドクターの前後に設けたインキ飛散防止カバーに揺れや傾きは発生しない。
【0028】
このように、作業の平準化及び、3K職場からの一部開放は、グラビア印刷方法の大きな前進であり、本発明のインキ飛散防止カバーの効果は大きい。
【発明の効果】
【0029】
2枚のインキ飛散防止カバーを1枚にすることで、インキの飛散防止が図れ、品質・作業・環境面での改善が出来た。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】インキ飛散防止カバー例の図
図2】インキ飛散防止カバーをドクター刃にセットしグラビア印刷版に沿わせたイ−イの断面図
図3】グラビア印刷版の版面に乗らないインキ飛散防止カバーを示したロ−ロの断面図
図4】引っ掛け固定具の斜視図
図5】インキ飛散防止カバーをセットした概念斜視図
図6】インキ飛散防止カバーの別な図
図7】インキ飛散防止カバーをドクター刃にセットしグラビア印刷版に沿わせたハ−ハの断面図
図8】インキ飛散防止カバーをドクター刃にセットしグラビア印刷版に沿わせたニ−ニの断面図
図9】インキ飛散防止カバーの別な図
図10】インキ飛散防止カバーをドクター刃にセットしグラビア印刷版に沿わせたホ−ホの断面図
図11】インキ飛散防止カバーをドクター刃にセットしグラビア印刷版に沿わせたへ−への断面図
図12】インキ飛散防止カバーをドクター刃にセットしグラビア印刷版に沿わせたト−トの断面図
図13】引っ掛け固定具の別な斜視図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0031】
飛散カバー(1)の材質として、ポリエステルフィルム200ミクロンを使用し、図6の形状のインキ飛散防止カバー(1)を作製した。引っ掛け固定具(16)を装着し易くするために長穴(19)とし、また一部を切断しないことで作成易くしフィルム片の混入を防止した。他の部位は図1と同様であり説明を省略する。
【0032】
図6に示す、ハ−ハの部分及びニ−ニの部分が、グラビア印刷版の装着した場合の状態を、図7及び図8に断面図で示す。
【0033】
図7は、グラビア印刷に使用した時の図6のハ−ハの部分の状態を示す断面図である。引っ掛け固定具(16)の角(18)が長穴(19)に入っている状態を示している。長穴(19)は三方を切断しており長穴(19)の一部が引っ掛け固定具(16)上に沿っている。
【0034】
図8は、グラビア印刷に使用した時の図6のニ−ニの部分の状態を示す断面図である。引っ掛け固定具(16)の角(18)の間においては、罫線(6)折り曲げられた飛散カバー(1)はドクター刃(10)の下を通っている。ニ−ニの部分には、引っ掛け固定具(16)の角(18)が無いため、これらは、破線で示した。
【実施例2】
【0035】
飛散カバー(1)の材質として、密度が高い250g/平方メートルの厚紙を使用し、図9の形状の飛散カバー(1)を作製した。引っ掛け固定具を装着し易くするために長穴(19)とし、また一部を切断しないことで制作し易くし異物の混入を防止した。飛散カバー(1)の材質として厚紙を使用したため罫線を多く入れることで曲がりやすくした。他の部位は図1と同様であり説明を省略する。
【0036】
図9に示す、ホ−ホの部分及びへ−への部分が、グラビア印刷版の装着した場合の状態を、図10及び図11に断面図で示す。
【0037】
図10は、グラビア印刷に使用した時の図9のホ−ホの部分の状態を示す断面図である。引っ掛け固定具(16)の角(18)が長穴(19)に入っている状態を示している。長穴(19)は三方を切断しており長穴(19)の一部が引っ掛け固定具(16)上に沿っている。
【0038】
図11は、グラビア印刷に使用した時の図9のへ−への部分の状態を示す断面図である。引っ掛け固定具(16)の角(18)と角(18)との間においては、罫線で(6)折り曲げられた飛散カバー(1)はドクター刃(10)の下を通っている。
【0039】
図12は、グラビア印刷に使用した時の図9のト−トの部分の状態を示す断面図である。
【0040】
図13に、実施例2で使用した、飛散カバーの引っ掛け固定具の斜視図を示す。
【実施例3】
【0041】
実施例1の飛散カバーを用いてグラビア印刷を行った。版円周720mmのグラビア印刷版に本発明の飛散カバーをセットした状態は、図5のインキ飛散防止カバーをセットした概念斜視図と同様であった。印刷中インキ飛散防止カバーはドクターの揺動においても、幅方向に上下に揺れることもなく版面に沿っていた。被印刷物へのインキ飛びは発生しなかった。機械周辺へのインキ飛散もなく飛散カバーの鋭角部分から落ちインキパンに戻る量が多くなっていた。ただし本グラビア印刷においては特許第6056112号(厚刃当て板一部削除)と特願2017−21342(グラビア版R部を一部版面平滑状態に研磨)の方法を採用しての、グラビア印刷とした。
【符号の説明】
【0042】
1 インキ飛散防止カバー
1A 飛散防止カバーA部
1B 飛散防止カバーB部
2 切込み部
3 罫線
4 両面テープ
5 四角穴
6 罫線(1A・1Bが連結している部分の罫線)
7 斜めカット
8 鋭角部
9 揺動幅
10 ドクター刃
11 グラビア印刷版
12 両面テープ
13 厚刃当て板
14 ドクターホルダー
14Cドクターホルダーの上板
15 ドクターホルダー架台
16 引っ掛け固定具
17 蝶ネジ
18 2本の角
19 長穴
20 長穴の一部
21 ニップ圧胴
【要約】      (修正有)
【課題】グラビア印刷版両端の版側面及びR部からのインキ飛散を防止する。
【解決手段】グラビア印刷版11のR部と両端の版側面部に設けるインキ飛散防止カバー1として、ドクターの前に取り付けるインキ飛散防止カバーとドクターの背面に取り付けるインキ飛散防止カバーとを、1枚のインキ飛散防止カバー1とするとともに、固定するために、両面テープ、粘着テープ、固定治具を使いグラビア印刷版11に安定した固定をすることでインキ飛散を防止する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13