(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183769
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】多機能シート状本体の製造方法及びその製造方法により製造される多機能シート状本体並びに多機能シート状本体への機能剤刷り込み装置。
(51)【国際特許分類】
A47G 27/02 20060101AFI20170814BHJP
D05C 17/02 20060101ALI20170814BHJP
D06M 15/00 20060101ALI20170814BHJP
D06M 15/70 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
A47G27/02 B
D05C17/02
A47G27/02 101A
A47G27/02 102
D06M15/00
D06M15/70
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-221937(P2016-221937)
(22)【出願日】2016年10月26日
(65)【公開番号】特開2017-99869(P2017-99869A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2016年12月27日
(31)【優先権主張番号】特願2015-226072(P2015-226072)
(32)【優先日】2015年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592222857
【氏名又は名称】吉田房織物株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 房喜
【審査官】
村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−38516(JP,A)
【文献】
特開平9−41260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 27/02
D05C 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維糸(7)が圧挿通可能な挿通部(4)を有するシート状本体(1)の少なくとも一面側(2)からバインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を刷り込むことで上記挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に機能剤(6)を保持させ、その後前記繊維糸(7)を該シート状本体(1)の他面側(3)から一面側(2)へと圧挿通させることで前記挿通部(4)及びシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)に保持された夫々の機能剤(6)を該一面側(2)から突出する繊維糸(7)の長手方向の全周面に強制的に擦り付けて強制固着することを特徴とする多機能シート状本体の製造方法。
【請求項2】
繊維糸(7)が圧挿通可能な挿通部(4)を有するシート状本体(1)に所定の引張力を付して一方向から他方向へと該シート状本体(1)を移送させることで、上記挿通部(4)を移送方向へと拡げつつ該シート状本体(1)の一面側(2)及び/又は他面側(3)からバインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を該挿通部(4)に入り込ませることで該挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に該機能剤(6)を保持させ、その後前記繊維糸(7)を該シート状本体(1)の他面側(3)から一面側(2)へと圧挿通させることで前記挿通部(4)及びシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)に保持された夫々の機能剤(6)を該一面側(2)から突出する繊維糸(7)の長手方向の全周面に強制的に擦り付けて強制固着することを特徴とする多機能シート状本体の製造方法。
【請求項3】
タフティングによりシート状本体(1)の一面側(2)にループ状パイル(7a)を形成する前の該シート状本体(1)の少なくとも一面側(2)からバインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を刷り込むことで前記パイル(7a)を形成すべくタフト用繊維糸(7)が圧挿通されるシート状本体(1)の挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に機能剤(6)を保持させ、その後前記繊維糸(7)を該シート状本体(1)の他面側(3)から一面側(2)へと圧挿通させることで前記挿通部(4)及びシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)に保持された夫々の機能剤(6)を該一面側(2)から突出する繊維糸(7)の長手方向の全周面に強制的に擦り付けて強制固着することを特徴とする多機能シート状本体の製造方法。
【請求項4】
タフティングによりシート状本体(1)の一面側(2)にループ状パイル(7a)を形成する前の該シート状本体(1)に所定の引張力を付して一方向から他方向へと該シート状本体(1)を移送させることで、前記ループ状パイル(7a)を形成するタフト用繊維糸(7)が圧挿通されるシート状本体(1)の挿通部(4)を移送方向へと拡げつつ該シート状本体(1)の一面側(2)及び/又は他面側(3)からバインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を該挿通部(4)に入り込ませると共に該挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に該機能剤(6)を保持させ、その後前記繊維糸(7)を該シート状本体(1)の他面側(3)から一面側(2)へと圧挿通させることで前記挿通部(4)及びシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)に保持された夫々の機能剤(6)を該一面側(2)から突出する繊維糸(7)の長手方向の全周面に強制的に擦り付けて強制固着することを特徴とする多機能シート状本体の製造方法。
【請求項5】
前記挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)が、シート状本体(1)の一面側(2)に所定の距離で密着摺動(矢印D)する回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に刷り込まれると共に、該シート状本体(1)の挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が、回転ローラー(9)の周面部(9a)と密着するシート状本体(1)の密着圧(矢印E)を介して調整可能であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の多機能シート状本体の製造方法。
【請求項6】
前記挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(4)の夫々に保持される機能剤(6)が、シート状本体(1)の一面側(2)に所定の距離で密着摺動(矢印D)する回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に刷り込まれると共に、該シート状本体(1)の挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が、回転ローラー(9)の周面部(9a)と密着するシート状本体(1)の密着摺動距離(矢印F)を介して調整可能であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の多機能シート状本体の製造方法。
【請求項7】
前記挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(4)の夫々に保持される機能剤(6)が、シート状本体(1)の一面側(2)に所定の距離で密着摺動(矢印D)する回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に刷り込まれると共に、該シート状本体(1)の挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が、シート状本体(1)と密着する回転ローラー(9)の回転速度により調整可能であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の多機能シート状本体の製造方法。
【請求項8】
前記シート状本体(1)が所定の引張力を付して一方向から他方向へと移送されると共に該シート状本体(1)の移送速度と、該シート状本体(1)の一面側(2)に所定の距離で密着摺動(矢印D)する回転ローラー(9)の回転速度とが異なることを特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の多機能シート状本体の製造方法。
【請求項9】
前記バインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)の粘度が、10〜15,000mPa・sであることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の多機能シート状本体の製造方法。
【請求項10】
前記請求項1乃至9の何れかに記載の多機能シート状本体の製造方法により製造された多機能シート状本体(1)の他面側(3)には、繊維糸(7)を目止めすると共に該シート状本体(1)と共に可撓自在な目止め層が設けられてなることを特徴とする多機能シート状本体。
【請求項11】
前記目止め層には、防虫剤等の機能剤が含有されてなることを特徴とする請求項10記載の多機能シート状本体。
【請求項12】
バインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を貯留し、且つ該貯留された機能剤(6)を周面部(9a)に付着させて回転すると共に、一方向から他方向へと移動するシート状本体(1)の一面側(2)に前記機能剤(6)が付着した周面部(9a)を所定の距離で密着摺動(矢印D)することで前記シート状本体(1)の一面側(2)から前記機能剤(6)を刷り込む回転ローラー(9)を備えてなり、しかも該回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に繊維糸(7)を圧挿通可能とする挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が回転ローラー(9)の周面部(9a)と密着するシート状本体(1)の密着圧(矢印E)を介して調整可能な構成にしてなることを特徴とする多機能シート状本体への機能剤刷り込み装置。
【請求項13】
バインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を貯留し、且つ該貯留された機能剤(6)を周面部(9a)に付着させて回転すると共に、一方向から他方向へと移動するシート状本体(1)の一面側(2)に前記機能剤(6)が付着した周面部(9a)を所定の距離で密着摺動(矢印D)することで前記シート状本体(1)の一面側(2)から前記機能剤(6)を刷り込む回転ローラー(9)を備えてなり、しかも該回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に繊維糸(7)を圧挿通可能とする挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が、回転ローラー(9)の周面部(9a)と密着するシート状本体(1)の密着摺動距離(矢印F)を介して調整可能な構成にしてなることを特徴とする多機能シート状本体への機能剤刷り込み装置。
【請求項14】
バインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を貯留し、且つ該貯留された機能剤(6)を周面部(9a)に付着させて回転すると共に、一方向から他方向へと移動するシート状本体(1)の一面側(2)に前記機能剤(6)が付着した周面部(9a)を所定の距離で密着摺動(矢印D)することで前記シート状本体(1)の一面側(2)から前記機能剤(6)を刷り込む回転ローラー(9)を備えてなり、しかも該回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に繊維糸(7)を圧挿通可能とする挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が、シート状本体(1)と密着する回転ローラー(9)の回転速度により調整可能であることを特徴とする多機能シート状本体への機能剤刷り込み装置。
【請求項15】
前記シート状本体(1)がシート状本体巻き取りローラーを介して所定の引張力が付されて一方向から他方向へと移送されると共に該シート状本体(1)の移送速度と、該シート状本体(1)の一面側(2)に所定の距離で密着摺動(矢印D)する回転ローラー(9)の回転速度とが異なる構成にしてなることを特徴とする請求項12乃至14の何れかに記載の多機能シート状本体への機能剤刷り込み装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防ダニ、抗菌機能等を有するに限らず、主としてゴキブリや床じらみ等の昆虫、寄生昆虫類等を寄せつけない多機能シート状本体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、防ダニ、抗菌機能等を有する布体(多機能シート状本体)としては、特開平7−327807号公報や特開2002−348770号所載のものが存在する。
【0003】
上記前者公報所載の技術は、カーペット基布(布体)の表面側にタフティングによりパイルを形成させてタフトカーペットを製作した後、係る基布の裏面側より泡浸透加工を介して防ダニ剤及び抗菌剤を樹脂バインダーと共に該基布に付与することで、発泡加工液をパイルが形成された基布の表面側へ浸透させるものであり、上記後者公報所載の技術は、タフテットカーペット用基布(不織布)を抗菌剤を含む液中に浸積し、その後絞りと乾燥の後、160〜200℃の範囲で乾熱あるいは湿熱での加熱処理を行うことで抗菌剤を基布に付着するものである。
【0004】
即ち、上記前者及び後者の技術は、共にタフトカーペット用基布に直接防ダニ剤や抗菌剤を付与することから、タフトカーペット用基布にパイルを形成した後にパイル表面(先端側)に防ダニ剤や抗菌剤を付与した場合に比べ基布側へと移動するダニや菌の繁殖を基布側でも阻止することが出来るというものである。
【特許文献】特開平 7−327807号公報
【特許文献】特開2002−348770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記前者公報所載のものは、防ダニ剤及び抗菌剤が含有された発泡加工液を基布の裏面側から表面側へと浸透させるものであるために、その大半が基布内に止まることとなり、よってパイルの表面(先端側)にまで発泡加工液を十分に浸透させることが難しいばかりか、仮にパイルに発泡加工液が浸透した場合であっても所定の繊維長を有するパイルのどのあたりまで発泡加工液が浸透しているかの判断も容易ではなく、結局、別工程によりパイル表面(先端側)に防ダニ剤や抗菌剤を付与しなければならなず、よって製造工程が煩雑になるばかりか製造コストも高騰してしまうという問題が生じていた。
【0006】
更に、上記後者公報所載のものは、基布(不織布)を抗菌剤を含む液中に浸積し、その後絞りと乾燥の後、160〜200℃の範囲で乾熱あるいは湿熱での加熱処理を行うことで抗菌剤を基布に付着するもので、係る一連の工程の後タフティングによりパイルを形成するのであるが、抗菌剤を基布に固着させるための温度管理(160℃未満の加熱処理では、抗菌剤が基布繊維に付着または吸尽しない。)が煩雑であるばかりか基布に抗菌剤が温度管理に伴う好条件下で固着した後のタフティングでは抗菌剤を十分にパイル全体(パイルの先端側まで)に付与させることが出来ないばかりか、例えパイルに抗菌剤が付与した場合であっても所定の繊維長を有するパイルのどのあたりまで付与しているかの判断もつかず、よって、この場合であっても別工程によりパイル表面(先端側)に抗菌剤等を付与しなければならず、結局、製造工程が煩雑になると共に製造コストも高騰してしまうという前者同様の問題が生じていた。
【0007】
更に、近年、日常生活を営む上で絨毯、カーペットに接する機会が多いことから、上記ダニ類や雑菌のみならず部屋に濳むゴキブリ等の害虫が問題視されているばかりか、海外からの渡航者のみならず国際物流を介して侵入する外来生物、例えばホテル等の宿泊施設や公共施設等でトコジラミの被害が増加しており、よって上記防ダニ剤及び抗菌剤をパイル全体(先端側から基布側まで)や基布に直接、且つ十分に固着するのみならず、製造工程を含む製造コストをも低減するという上記前者及び後者の問題を解決する以外に昆虫、寄生昆虫類等をも寄せつけない多機能シート状本体の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は,上記問題を全て解決すべく以下の手段を講じたものであり、係る請求項1記載の多機能シート状本体の製造方法は、繊維糸(7)が圧挿通可能な挿通部(4)を有するシート状本体(1)の少なくとも一面側(2)からバインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を刷り込むことで上記挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に機能剤(6)を保持させ、その後前記繊維糸(7)を該シート状本体(1)の他面側(3)から一面側(2)へと圧挿通させることで前記挿通部(4)及びシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)に保持された夫々の機能剤(6)を該一面側(2)から突出する繊維糸(7)の長手方向の全周面に強制的に擦り付けて強制固着することにある。
【0009】
更に、請求項2記載の多機能シート状本体の製造方法は、繊維糸(7)が圧挿通可能な挿通部(4)を有するシート状本体(1)に所定の引張力を付して一方向から他方向へと該シート状本体(1)を移送させることで、上記挿通部(4)を移送方向へと拡げつつ該シート状本体(1)の一面側(2)及び/又は他面側(3)からバインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を該挿通部(4)に入り込ませることで該挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に該機能剤(6)を保持させ、その後前記繊維糸(7)を該シート状本体(1)の他面側(3)から一面側(2)へと圧挿通させることで前記挿通部(4)及びシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)に保持された夫々の機能剤(6)を該一面側(2)から突出する繊維糸(7)の長手方向の全周面に強制的に擦り付けて強制固着することにある。
【0010】
更に、請求項3記載の多機能シート状本体の製造方法は、タフティングによりシート状本体(1)の一面側(2)にループ状パイル(7a)を形成する前の該シート状本体(1)の少なくとも一面側(2)からバインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を刷り込むことで前記パイル(7a)を形成すべくタフト用繊維糸(7)が圧挿通されるシート状本体(1)の挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に機能剤(6)を保持させ、その後前記繊維糸(7)を該シート状本体(1)の他面側(3)から一面側(2)へと圧挿通させることで前記挿通部(4)及びシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)に保持された夫々の機能剤(6)を該一面側(2)から突出する繊維糸(7)の長手方向の全周面に強制的に擦り付けて強制固着することにある。
【0011】
又、請求項4記載の多機能シート状本体の製造方法は、タフティングによりシート状本体(1)の一面側(2)にループ状パイル(7a)を形成する前の該シート状本体(1)に所定の引張力を付して一方向から他方向へと該シート状本体(1)を移送させることで、前記ループ状パイル(7a)を形成するタフト用繊維糸(7)が圧挿通されるシート状本体(1)の挿通部(4)を移送方向へと拡げつつ該シート状本体(1)の一面側(2)及び/又は他面側(3)からバインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を該挿通部(4)に入り込ませると共に該挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に該機能剤(6)を保持させ、その後前記繊維糸(7)を該シート状本体(1)の他面側(3)から一面側(2)へと圧挿通させることで前記挿通部(4)及びシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)に保持された夫々の機能剤(6)を該一面側(2)から突出する繊維糸(7)の長手方向の全周面に強制的に擦り付けて強制固着することにある。
【0012】
更に、請求項5記載の多機能シート状本体の製造方法は、挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)が、シート状本体(1)の一面側(2)に所定の距離で密着摺動(矢印D)する回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に刷り込まれると共に、該シート状本体(1)の挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が、回転ローラー(9)の周面部(9a)と密着するシート状本体(1)の密着圧(矢印E)を介して調整可能なことにある。
【0013】
更に、請求項6記載の多機能シート状本体の製造方法は、挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(4)の夫々に保持される機能剤(6)が、シート状本体(1)の一面側(2)に所定の距離で密着摺動(矢印D)する回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に刷り込まれると共に、該シート状本体(1)の挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が、回転ローラー(9)の周面部(9a)と密着するシート状本体(1)の密着摺動距離(矢印F)を介して調整可能なことにある。
【0014】
更に、請求項7記載の多機能シート状本体の製造方法は、挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(4)の夫々に保持される機能剤(6)が、シート状本体(1)の一面側(2)に所定の距離で密着摺動(矢印D)する回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に刷り込まれると共に、該シート状本体(1)の挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が、シート状本体(1)と密着する回転ローラー(9)の回転速度により調整可能なことにある。
【0015】
又、請求項8記載の多機能シート状本体の製造方法は、シート状本体(1)が所定の引張力を付して一方向から他方向へと移送されると共に該シート状本体(1)の移送速度と、該シート状本体(1)の一面側(2)に所定の距離で密着摺動(矢印D)する回転ローラー(9)の回転速度とが異なることにある。
【0016】
更に、請求項9記載の多機能シート状本体の製造方法は、バインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)の粘度が、10〜15,000mPa・sの範囲内に設定されたことにある。
【0017】
更に、請求項10記載の多機能シート状本体(1)は、前記請求項1乃至9の何れかの製造方法によって製造された多機能シート状本体(1)の他面側(3)に、繊維糸(7)を目止めすると共に該シート状本体(1)と共に可撓自在な目止め層が設けられたことにある。
【0018】
又、請求項11記載の多機能シート状本体(1)は、目止め層に、防虫剤等の機能剤が含有されたことにある。
【0019】
更に、請求項12記載の多機能シート状本体への機能剤刷り込み装置が、バインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を貯留し、且つ該貯留された機能剤(6)を周面部(9a)に付着させて回転すると共に、一方向から他方向へと移動するシート状本体(1)の一面側(2)に前記機能剤(6)が付着した周面部(9a)を所定の距離で密着摺動(矢印D)することで前記シート状本体(1)の一面側(2)から前記機能剤(6)を刷り込む回転ローラー(9)を備えてなり、しかも該回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に繊維糸(7)を圧挿通可能とする挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が回転ローラー(9)の周面部(9a)と密着するシート状本体(1)の密着圧(矢印E)を介して調整可能な構成にある。
【0020】
更に、請求項13記載の多機能シート状本体への機能剤刷り込み装置が、バインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を貯留し、且つ該貯留された機能剤(6)を周面部(9a)に付着させて回転すると共に、一方向から他方向へと移動するシート状本体(1)の一面側(2)に前記機能剤(6)が付着した周面部(9a)を所定の距離で密着摺動(矢印D)することで前記シート状本体(1)の一面側(2)から前記機能剤(6)を刷り込む回転ローラー(9)を備えてなり、しかも該回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に繊維糸(7)を圧挿通可能とする挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が、回転ローラー(9)の周面部(9a)と密着するシート状本体(1)の密着摺動距離(矢印F)を介して調整可能な構成にある。
【0021】
更に、請求項14記載の多機能シート状本体への機能剤刷り込み装置が、バインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を貯留し、且つ該貯留された機能剤(6)を周面部(9a)に付着させて回転すると共に、一方向から他方向へと移動するシート状本体(1)の一面側(2)に前記機能剤(6)が付着した周面部(9a)を所定の距離で密着摺動(矢印D)することで前記シート状本体(1)の一面側(2)から前記機能剤(6)を刷り込む回転ローラー(9)を備えてなり、しかも該回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に繊維糸(7)を圧挿通可能とする挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が、シート状本体(1)と密着する回転ローラー(9)の回転速度により調整可能な構成にある。
【0022】
又、請求項15記載の多機能シート状本体への機能剤刷り込み装置が、シート状本体(1)がシート状本体巻き取りローラーを介して所定の引張力が付されて一方向から他方向へと移送されると共に該シート状本体(1)の移送速度と、該シート状本体(1)の一面側(2)に所定の距離で密着摺動(矢印D)する回転ローラー(9)の回転速度とが異なる構成にある。
【発明の効果】
【0023】
本発明における多機能シート状本体の製造方法によれば、繊維糸(7)が圧挿通可能な挿通部(4)を有するシート状本体(1)の少なくとも一面側(2)からバインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を刷り込むことで上記挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に機能剤(6)を保持させ、その後前記繊維糸(7)を該シート状本体(1)の他面側(3)から一面側(2)へと圧挿通させることで前記挿通部(4)及びシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)に保持された夫々の機能剤(6)を該一面側(2)から突出する繊維糸(7)の長手方向の全周面に強制的に擦り付けて強制固着することから、繊維糸(7)が圧挿通可能な挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持された防虫剤等の機能剤(6)を、該挿通部(4)及び該挿通部(4)を介してシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)を押し拡げる様に摺動状態で圧挿通される繊維糸(7)自らが直接的且つ強制的に擦り付けつつ該繊維糸(7)全体に十分な量の機能剤(6)をバインダーを介して繊維糸(7)の長手方向の全周面に強固に固着させることが可能となり、よってシート状本体(1)の一面側(2)から突出する繊維糸(7)の該一面側(2)の根元から先端に至るまでの繊維糸(7)の長手方向の全周面の全体に容易且つ確実に十分な量の機能剤(6)を強制固着させることで、従来の様に十分な機能剤が繊維糸(7)の長手方向の全周面に付着していないという問題のみならず、特に該繊維糸(7)の表面(先端側)に後加工による機能剤(防ダニ剤、抗菌剤等)の付与も必要なく、よって製造工程を簡略化しつつシート状本体(1)の製造コストも抑えることが出来る共に繊維糸(7)の表面(先端側)のみならず該繊維糸(7)の深部やシート状本体(1)内へのゴキブリ、トコジラミ等の昆虫、寄生昆虫類等をも寄せつけない多機能シート状本体(1)を安価に市場に提供することが出来るという格別な効果を奏する。
【0024】
更に、本発明における多機能シート状本体の製造方法は、繊維糸(7)が圧挿通可能な挿通部(4)を有するシート状本体(1)に所定の引張力を付して一方向から他方向へと該シート状本体(1)を移送させることで、上記挿通部(4)を移送方向へと拡げつつ該シート状本体(1)の一面側(2)及び/又は他面側(3)からバインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を該挿通部(4)に入り込ませることで該挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に該機能剤(6)を保持させ、その後前記繊維糸(7)を該シート状本体(1)の他面側(3)から一面側(2)へと圧挿通させることで前記挿通部(4)及びシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)に保持された夫々の機能剤(6)を該一面側(2)から突出する繊維糸(7)の長手方向の全周面に強制的に擦り付けて強制固着することから、必要十分な量の機能剤(6)をシート状本体(1)の移送方向へとオーバル状(卵形、長円形、楕円形等)に拡げられた挿通部(4)に入り込ませて保持させることが出来、よって、繊維糸(7)が圧挿通可能な挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持された防虫剤等の機能剤(6)を、該挿通部(4)及び該挿通部(4)を介してシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)を押し拡げる様に摺動状態で圧挿通される繊維糸(7)自らが直接的且つ強制的に擦り付けつつ該繊維糸(7)全体に十分な量の機能剤(6)をバインダーを介して繊維糸(7)の長手方向の全周面に強固に固着させることが可能となり、従ってシート状本体(1)の一面側(2)から突出する繊維糸(7)の該一面側(2)の根元から先端に至るまでの繊維糸(7)の長手方向の全周面の全体に容易且つ確実に必要十分な量の機能剤(6)を強制固着させることで、従来の様に十分な機能剤が繊維糸(7)の長手方向の全周面に付着していないという問題のみならず、特に該繊維糸(7)の表面(先端側)に後加工による機能剤(防ダニ剤、抗菌剤等)の付与も必要なく、よって製造工程を簡略化しつつシート状本体(1)の製造コストも抑えることが出来る共に繊維糸(7)の表面(先端側)のみならず該繊維糸(7)の深部やシート状本体(1)内へのゴキブリ、トコジラミ等の昆虫、寄生昆虫類等をも寄せつけない多機能シート状本体(1)を安価に市場に提供することが出来るという格別な効果を奏する。
【0025】
更に、本発明における多機能シート状本体の製造方法によれば、タフティングによりシート状本体(1)の一面側(2)にループ状パイル(7a)を形成する前の該シート状本体(1)の少なくとも一面側(2)からバインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を刷り込むことで前記パイル(7a)を形成すべくタフト用繊維糸(7)が圧挿通されるシート状本体(1)の挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に機能剤(6)を保持させ、その後前記繊維糸(7)を該シート状本体(1)の他面側(3)から一面側(2)へと圧挿通させることで前記挿通部(4)及びシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)に保持された夫々の機能剤(6)を該一面側(2)から突出する繊維糸(7)の長手方向の全周面に強制的に擦り付けて強制固着することから、タフト用繊維糸(7)が圧挿通可能な挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持された防虫剤等の機能剤(6)を、該挿通部(4)及び該挿通部(4)を介してシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)を押し拡げる様に摺動状態で圧挿通されるタフト用繊維糸(7)自らが直接的且つ強制的に擦り付けつつ該タフト用繊維糸(7)全体に十分な量の機能剤(6)をバインダーを介して繊維糸(7)の長手方向の全周面に強固に固着させることが可能となり、従ってシート状本体(1)の一面側(2)から突出すると共にループ状パイル(7a)を形成するタフト用繊維糸(7)の該一面側(2)の根元から先端に至るまでのタフト用繊維糸(7)の長手方向の全体に容易且つ確実に十分な量の機能剤(6)を強制固着させることが可能となり、よって従来の様にループ状パイル(7a)を形成するタフト用繊維糸(7)に十分な量の機能剤(6)が該繊維糸(7)の長手方向の全周面に付着していないという問題のみならず、特にループ状パイル(7a)を形成するタフト用繊維糸(7)の表面(先端側)に後加工による機能剤(防ダニ剤、抗菌剤等)の付与も必要なく、従って製造工程を簡略化しつつシート状本体(1)の製造コストも抑えることが出来る共にループ状パイル(7a)を形成するタフト用繊維糸(7)の表面(先端側)のみならず該タフト用繊維糸(7)の深部やシート状本体(1)内へのゴキブリ、トコジラミ等の昆虫、寄生昆虫類等をも寄せつけない多機能シート状本体(1)を安価に市場に提供することが出来るという格別な効果を奏する。
【0026】
又、本発明における多機能シート状本体の製造方法によれば、タフティングによりシート状本体(1)の一面側(2)にループ状パイル(7a)を形成する前の該シート状本体(1)に所定の引張力を付して一方向から他方向へと該シート状本体(1)を移送させることで、前記ループ状パイル(7a)を形成するタフト用繊維糸(7)が圧挿通されるシート状本体(1)の挿通部(4)を移送方向へと拡げつつ該シート状本体(1)の一面側(2)及び/又は他面側(3)からバインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を該挿通部(4)に入り込ませると共に該挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に該機能剤(6)を保持させ、その後前記繊維糸(7)を該シート状本体(1)の他面側(3)から一面側(2)へと圧挿通させることで前記挿通部(4)及びシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)に保持された夫々の機能剤(6)を該一面側(2)から突出する繊維糸(7)の長手方向の全周面に強制的に擦り付けて強制固着することから、必要十分な量の機能剤(6)をシート状本体(1)の移送方向へとオーバル状(卵形、長円形、楕円形等)に拡げられた挿通部(4)に入り込ませて保持させることが出来、よって、タフト用繊維糸(7)が圧挿通可能な挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持された防虫剤等の機能剤(6)を、該挿通部(4)及び該挿通部(4)を介してシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)を押し拡げる様に摺動状態で圧挿通されるタフト用繊維糸(7)自らが直接的且つ強制的に擦り付けつつ該タフト用繊維糸(7)全体に十分な量の機能剤(6)をバインダーを介して繊維糸(7)の長手方向の全周面に強固に固着させることが可能となり、従ってシート状本体(1)の一面側(2)から突出すると共にループ状パイル(7a)を形成するタフト用繊維糸(7)の該一面側(2)の根元から先端に至るまでのタフト用繊維糸(7)の長手方向の全体に容易且つ確実に十分な量の機能剤(6)を強制固着させることが可能となり、よって従来の様にループ状パイル(7a)を形成するタフト用繊維糸(7)に十分な量の機能剤(6)が該繊維糸(7)の長手方向の全周面に付着していないという問題のみならず、特にループ状パイル(7a)を形成するタフト用繊維糸(7)の表面(先端側)に後加工による機能剤(防ダニ剤、抗菌剤等)の付与も必要なく、従って製造工程を簡略化しつつシート状本体(1)の製造コストも抑えることが出来る共にループ状パイル(7a)を形成するタフト用繊維糸(7)の表面(先端側)のみならず該タフト用繊維糸(7)の深部やシート状本体(1)内へのゴキブリ、トコジラミ等の昆虫、寄生昆虫類等をも寄せつけない多機能シート状本体(1)を安価に市場に提供することが出来るという格別な効果を奏する。
【0027】
更に、本発明における多機能シート状本体の製造方法によれば、繊維糸(7)が圧挿通されるシート状本体(1)の挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)が、シート状本体(1)の一面側(2)に所定の距離で密着摺動(矢印D)する回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に刷り込まれると共に、該シート状本体(1)の挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が、回転ローラー(9)の周面部(9a)と密着するシート状本体(1)の密着圧(矢印E)を介して調整可能なことから、シート状本体(1)の厚み等に限らず、該シート状本体(1)を構成するシート状本体形成素材(1a)の材質、織方、更にシート状本体形成素材(1a)間に形成される挿通部(4)の大きさやシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の形状等に合わせて最適な量の機能剤(6)を簡単、且つ確実に選択してシート状本体(1)に刷り込むことが出来るという効果を奏する。
【0028】
更に、本発明における多機能シート状本体の製造方法によれば、繊維糸(7)が圧挿通されるシート状本体(1)の挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(4)の夫々に保持される機能剤(6)が、シート状本体(1)の一面側(2)に所定の距離で密着摺動(矢印D)する回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に刷り込まれると共に、該シート状本体(1)の挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が、回転ローラー(9)の周面部(9a)と密着するシート状本体(1)の密着摺動距離(矢印F)を介して調整可能なことから、シート状本体(1)の厚み等に限らず、該シート状本体(1)を構成するシート状本体形成素材(1a)の材質、織方、更にシート状本体形成素材(1a)間に形成される挿通部(4)の大きさやシート状本体形成素材(1a)の周面部(4)の形状等各種条件に合わせて最適な量の機能剤(6)を簡単、且つ確実に選択してシート状本体(1)に刷り込むことが出来るという効果を奏する。
【0029】
更に、本発明における多機能シート状本体の製造方法によれば、繊維糸(7)が圧挿通されるシート状本体(1)の挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(4)の夫々に保持される機能剤(6)が、シート状本体(1)の一面側(2)に所定の距離で密着摺動(矢印D)する回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に刷り込まれると共に、該シート状本体(1)の挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が、シート状本体(1)と密着する回転ローラー(9)の回転速度により調整可能なことから、シート状本体(1)の厚み等に限らず、該シート状本体(1)を構成するシート状本体形成素材(1a)の材質、織方、更にシート状本体形成素材(1a)間に形成される挿通部(4)の大きさやシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の形状等各種条件に合わせて最適な量の機能剤(6)を簡単、且つ確実に選択してシート状本体(1)に刷り込むことが出来るという効果を奏する。
【0030】
又、本発明における多機能シート状本体の製造方法によれば、多機能シート状本体(1)が所定の引張力を付して一方向から他方向へと移送されると共に該シート状本体(1)の移送速度と、該シート状本体(1)の一面側(2)に所定の距離で密着摺動(矢印D)する回転ローラー(9)の回転速度とが異なる場合には、シート状本体(1)の厚み等に限らず、該シート状本体(1)を構成するシート状本体形成素材(1a)の材質、織方、更にシート状本体形成素材(1a)間に形成される挿通部(4)の大きさやシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の形状等各種条件に合わせてシート状本体(1)に保持される機能剤(6)の保持量、即ちシート状本体(1)への機能剤(6)の含浸効率を瞬時、且つ簡単に自由自在に変更することが出来るという効果を奏する。
【0031】
更に、本発明における多機能シート状本体の製造方法によれば、バインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)の粘度が、10〜15,000mPa・sの範囲内に設定されたことで、加工を施す多機能シート状本体(1)の種類に対応して各種の機能剤(6)を入れ替えての交換作業のみならず掃除、洗浄時等におけるロス等の時間を大幅に短縮して生産効率を上げることが出来るという効果を奏する。
【0032】
更に、本発明における多機能シート状本体の製造方法により製造される多機能シート状本体(1)において、該多機能シート状本体(1)の他面側(3)に、繊維糸(7)を目止めすると共に該シート状本体(1)と共に可撓自在な目止め層が設けられた場合には、該シート状本体(1)をカーペットに使用するに限定することなく、壁材等の各種建築材や乗物系のシート材等広範囲に適用させることが出来るという効果を奏する。
【0033】
又、本発明における多機能シート状本体の製造方法により製造される多機能シート状本体(1)において、目止め層に、防虫剤等の機能剤が含有された場合には、該シート状本体(1)をカーペットに使用するに限定することなく、壁材等の各種建築材や乗物系のシート材等広範囲に適用させることが出来るのみならず機能材の効能をより広範囲に渡って影響させることが出来るという効果を奏する。
【0034】
更に、本発明における多機能シート状本体の製造方法に用いられる多機能シート状本体への機能剤刷り込み装置(8)が、バインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を貯留し、且つ該貯留された機能剤(6)を周面部(9a)に付着させて回転すると共に、一方向から他方向へと移動するシート状本体(1)の一面側(2)に前記機能剤(6)が付着した周面部(9a)を所定の距離で密着摺動(矢印D)することで前記シート状本体(1)の一面側(2)から前記機能剤(6)を刷り込む回転ローラー(9)を備えてなり、しかも該回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に繊維糸(7)を圧挿通可能とする挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が回転ローラー(9)の周面部(9a)と密着するシート状本体(1)の密着圧(矢印E)を介して調整可能な構成にしてなることから、シート状本体(1)の厚み等に限らず、該シート状本体(1)を構成するシート状本体形成素材(1a)の材質、織方、更にシート状本体形成素材(1a)間に形成される挿通部(4)の大きさやシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の形状等各種条件に合わせて最適な量の機能剤(6)を簡単、且つ確実に選択してシート状本体(1)に刷り込むことが出来るという効果を奏する。
【0035】
更に、本発明における多機能シート状本体の製造方法に用いられる多機能シート状本体への機能剤刷り込み装置(8)が、バインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を貯留し、且つ該貯留された機能剤(6)を周面部(9a)に付着させて回転すると共に、一方向から他方向へと移動するシート状本体(1)の一面側(2)に前記機能剤(6)が付着した周面部(9a)を所定の距離で密着摺動(矢印D)することで前記シート状本体(1)の一面側(2)から前記機能剤(6)を刷り込む回転ローラー(9)を備えてなり、しかも該回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に繊維糸(7)を圧挿通可能とする挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が、回転ローラー(9)の周面部(9a)と密着するシート状本体(1)の密着摺動距離(矢印F)を介して調整可能な構成にしてなることから、シート状本体(1)の厚み等に限らず、該シート状本体(1)を構成するシート状本体形成素材(1a)の材質、織方、更にシート状本体形成素材(1a)間に形成される挿通部(4)の大きさやシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の形状等各種条件に合わせて最適な量の機能剤(6)を簡単、且つ確実に選択してシート状本体(1)に刷り込むことが出来るという効果を奏する。
【0036】
更に、本発明における多機能シート状本体の製造方法に用いられる多機能シート状本体への機能剤刷り込み装置(8)が、バインダーを有する防虫剤等の機能剤(6)を貯留し、且つ該貯留された機能剤(6)を周面部(9a)に付着させて回転すると共に、一方向から他方向へと移動するシート状本体(1)の一面側(2)に前記機能剤(6)が付着した周面部(9a)を所定の距離で密着摺動(矢印D)することで前記シート状本体(1)の一面側(2)から前記機能剤(6)を刷り込む回転ローラー(9)を備えてなり、しかも該回転ローラー(9)の周面部(9a)を介して該シート状本体(1)に繊維糸(7)を圧挿通可能とする挿通部(4)及び該挿通部(4)が形成されるシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の夫々に保持される機能剤(6)の保持量が、シート状本体(1)と密着する回転ローラー(9)の回転速度により調整可能な構成にしてなることから、シート状本体(1)の厚み等に限らず、該シート状本体(1)を構成するシート状本体形成素材(1a)の材質、織方、更にシート状本体形成素材(1a)間に形成される挿通部(4)の大きさやシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の形状等各種条件に合わせて最適な量の機能剤(6)を簡単、且つ確実に選択してシート状本体(1)に刷り込むことが出来るという効果を奏する。
【0037】
更に、本発明における多機能シート状本体の製造方法に用いられる多機能シート状本体への機能剤刷り込み装置(8)において、シート状本体(1)がシート状本体巻き取りローラーを介して所定の引張力が付されて一方向から他方向へと移送されると共に該シート状本体(1)の移送速度と、該シート状本体(1)の一面側(2)に所定の距離で密着摺動(矢印D)する回転ローラー(9)の回転速度とが異なる場合には、シート状本体(1)の厚み等に限らず、該シート状本体(1)を構成するシート状本体形成素材(1a)の材質、織方、更にシート状本体形成素材(1a)間に形成される挿通部(4)の大きさやシート状本体形成素材(1a)の周面部(5)の形状等各種条件に合わせてシート状本体(1)に保持される機能剤(6)の保持量、即ちシート状本体(1)への機能剤(6)の含浸効率を瞬時、且つ簡単に自由自在に変更することが出来るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明おける多機能シート状本体の製造方法の一実施形態における多機能シート状本体を示し、同図(イ)、(ロ)は要部拡大一部断面説明図。
【
図2】本発明おける多機能シート状本体の製造方法の他の実施形態における多機能シート状本体を示し、同図(イ)、(ロ)は要部拡大一部断面説明図。
【
図3】本発明おける多機能シート状本体の製造方法に用いられる多機能シート状本体への機能剤刷り込み装置を示し、同図(イ)は構造説明図、同図(ロ)、(ハ)は一部拡大構造説明図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の多機能シート状本体の製造方法及びその製造方法により製造される多機能シート状本体並びに多機能シート状本体への機能剤刷り込み装置の一実施形態を図面に従って説明するが、かかる一実施形態はタフティングによりタフト用繊維糸を防虫剤等の機能剤を保持した多機能シート状本体へ圧挿通する、所謂多機能シート状本体をタフティングカーペットの第1基布(ファーストバッキング)として用いる場合について説明する。
【0040】
先ず、
図1(イ)及び
図3(イ)において、1は多機能シート状本体を示し、かかるシート状本体1は、例えば、ジュート、プリポロピレン、綿、ビニロン、ポリエステル不織布等の各種シート状本体形成素材1aを平織等所定の構造及び厚さで形成したものであり、該シート状本体1の一面側2には、バインダーを有する防虫剤等の機能剤6を貯留し、且つ該貯留された機能剤6を周面部9aに付着(矢印C)させて回転(矢印B)すると共に、一方向から他方向へと移動(矢印A)するシート状本体1の一面側2に前記機能剤6が付着した周面部9aを所定の距離で密着摺動(矢印D)することで前記シート状本体1の一面側2から前記機能剤6を刷り込む回転ローラー9を備えた多機能シート状本体1への機能剤刷り込み装置8が設けられている。
【0041】
よって、タフティングによりシート状本体1の一面側2にループ状パイル7aを形成する前の該シート状本体1の少なくとも一面側2からバインダーを有する防虫剤等の機能剤6を刷り込むことで、後述すべく前記パイル7aを形成するタフト用繊維糸7が圧挿通されるシート状本体1の挿通部4及び該挿通部4が形成されるシート状本体形成素材1aの周面部5の夫々に機能剤6をタフティングの前段階において十分に保持させることが出来る。
【0042】
その後、
図1(ロ)に示す様に、前記タフト用繊維糸7がタフティング機(図示せず)のニードル(針の太さは2mm〜8mmが好ましい)10に設けられた繊維糸案内孔10aを介してシート状本体1の所定個所へと案内(矢印G)された状態(図面は前段階で既にシート状本体1の所定個所の挿通部4へタフト用繊維糸7が圧挿通された状態を示す。)で該ニードル10がタフト用繊維糸7と共にシート状本体1の他面側3から一面側2へと圧挿通(矢印H)することで前記挿通部4及びシート状本体形成素材1aの周面部5に保持された夫々の機能剤6を該タフト用繊維糸7に強制的に擦り付けて強制固着することから、タフト用繊維糸7が圧挿通可能な挿通部4及び該挿通部4が形成されるシート状本体形成素材1aの周面部5の夫々に保持された防虫剤等の機能剤6を、該挿通部4及び該挿通部4を介してシート状本体形成素材1aの周面部5を強制的に押し拡げる様に摺動状態で圧挿通されるタフト用繊維糸7自らが直接的且つ強制的に擦り付けつつ該タフト用繊維糸7の長手方向の全周面全体に十分な量の機能剤6をバインダーを介して強固に固着することが可能となる。
【0043】
従って、シート状本体1の一面側2から突出すると共にループ状パイル7aを形成するタフト用繊維糸7の該一面側2の根元から先端に至るまでのタフト用繊維糸7の長手方向の全周面全体に全体に容易且つ確実に十分な量の機能剤6を強制固着させることが可能となり、よって従来の様にループ状パイル7aを形成するタフト用繊維糸7に十分な量の機能剤6が該繊維糸7の長手方向の全周面に付着していないという問題のみならず、特にループ状パイル7aを形成するタフト用繊維糸7の表面(先端側)に後加工による機能剤(防ダニ剤、抗菌剤等)の付与も必要なく、従って製造工程を簡略化しつつシート状本体1の製造コストも抑えることが出来る共にループ状パイル7aを形成するタフト用繊維糸7の表面(先端側)のみならず該タフト用繊維糸7の深部やシート状本体1内へのゴキブリ、トコジラミ等の昆虫、寄生昆虫類等をも寄せつけない多機能シート状本体1を安価に市場に提供することが出来るという格別な利点を有するだけでなく、従来から使用しているタフティング機や該タフティング機のニードル(針)に何ら改造を一切施すことなく通常通りに使用することが出来、よって生産工程上及び設備費の節約にも貢献するという利点がある。
【0044】
更に、
図3(ロ)に示す様に、機能剤刷り込み装置8において、回転ローラー9の周面部9aを介して該シート状本体1に繊維糸7を圧挿通可能とする挿通部4及び該挿通部4が形成されるシート状本体形成素材1aの周面部5の夫々に保持される機能剤6の保持量を、回転ローラー9の周面部9aと密着するシート状本体1の密着圧(矢印E)を介して調整可能な構成(具体的構造は省略)とした場合には、シート状本体1の厚み等に限らず、該シート状本体1を構成するシート状本体形成素材1aの材質、織方、更にシート状本体形成素材1a間に形成される挿通部4の大きさやシート状本体形成素材1aの周面部5の形状等各種条件に合わせて最適な量の機能剤6を簡単、且つ確実に選択してシート状本体1に刷り込むことが出来るという格別な利点を有する。
【0045】
更に、
図3(ハ)に示す様に、機能剤刷り込み装置8において、シート状本体1の一面側2から機能剤6を刷り込む回転ローラー9を備え、しかも該回転ローラー9の周面部9aを介して該シート状本体1に繊維糸7を圧挿通可能とする挿通部4及び該挿通部4が形成されるシート状本体形成素材1aの周面部5の夫々に保持される機能剤6の保持量を、回転ローラー9の周面部9aと密着するシート状本体1の密着摺動距離(矢印F)を介して調整可能な構成(具体的構造は省略)としてもよく、この場合であっても、シート状本体1の厚み等に限らず、該シート状本体1を構成するシート状本体形成素材1aの材質、織方、更にシート状本体形成素材1a間に形成される挿通部4の大きさやシート状本体形成素材1aの周面部5の形状等各種条件に合わせて最適な量の機能剤6を簡単、且つ確実に選択してシート状本体1に刷り込むことが出来るという格別な利点を奏する。
【0046】
更に、本発明における多機能シート状本体の製造方法に用いられる多機能シート状本体への機能剤刷り込み装置8が、バインダーを有する防虫剤等の機能剤6を貯留し、且つ該貯留された機能剤6を周面部9aに付着させて回転すると共に、一方向から他方向へと移動するシート状本体1の一面側2に前記機能剤6が付着した周面部9aを所定の距離で密着摺動(矢印D)することで前記シート状本体1の一面側2から前記機能剤6を刷り込む回転ローラー9を備えてなり、しかも該回転ローラー9の周面部9aを介して該シート状本体1に繊維糸7を圧挿通可能とする挿通部4及び該挿通部4が形成されるシート状本体形成素材1aの周面部5の夫々に保持される機能剤6の保持量が、シート状本体1と密着する回転ローラー9の回転速度により調整可能な構成(図示せず)を有していてもよく、この場合であっても、シート状本体1の厚み等に限らず、該シート状本体1を構成するシート状本体形成素材1aの材質、織方、更にシート状本体形成素材1a間に形成される挿通部4の大きさやシート状本体形成素材1aの周面部5の形状等各種条件に合わせて最適な量の機能剤6を簡単、且つ確実に選択してシート状本体1に刷り込むことが出来るという格別な利点を有する。
【0047】
本発明における多機能シート状本体の製造方法及び該製造方法より製造される多機能シート状本体の一実施形態に、タフティングによりシート状本体1の一面側2にループ状パイル7aを形成する前の該シート状本体1の少なくとも一面側2からバインダーを有する防虫剤等の機能剤6を刷り込むことで前記パイル7aを形成すべくタフト用繊維糸7が圧挿通されるシート状本体1の挿通部4及び該挿通部4が形成されるシート状本体形成素材1aの周面部5の夫々に機能剤6を保持させ、その後前記繊維糸7を該シート状本体1の他面側3から一面側2へと圧挿通させることで前記挿通部4及びシート状本体形成素材1aの周面部5に保持された夫々の機能剤6を該繊維糸7に強制的に擦り付けて強制固着する構成を用いて説明したが、
図2(イ)に示す様に、シート状本体1の一面側2からバインダーを有する防虫剤等の機能剤6を該シート状本体1刷り込む際に、該機能剤6がシート状本体1の他面側3から若干溢れ出るぐらいの量で前記挿通部4及びシート状本体形成素材1aの周面部5に保持させてもよく、更に、同図(ロ)に示す様に、シート状本体1の一面側2からバインダーを有する防虫剤等の機能剤6を該シート状本体1刷り込む際に、該機能剤6がシート状本体1の他面側3全面を覆うぐらいの量で前記挿通部4及びシート状本体形成素材1aの周面部5に保持させてもよく、要は、タフト用繊維糸7及び/又はシート状本体形成素材1aの材質、織方、更にシート状本体形成素材1a間に形成される挿通部4の大きさやシート状本体形成素材1aの周面部5の形状等各種条件により設定することで、一面側2から突出すると共にループ状パイル7aを形成するタフト用繊維糸7の該一面側2の根元から先端に至るまでのタフト用繊維糸7全体に容易且つ確実に十分な量の機能剤6を強制固着させることが可能となり、よって従来の様にループ状パイル7aを形成するタフト用繊維糸7の表面(先端側)に後加工による機能剤(防ダニ剤、抗菌剤等)の付与も必要なく製造工程を簡略化しつつシート状本体1の製造コストも抑えることが出来る共にループ状パイル7aを形成するタフト用繊維糸7の表面(先端側)のみならず該タフト用繊維糸7の深部やシート状本体1内へのゴキブリ、トコジラミ等の昆虫、寄生昆虫類等をも寄せつけない多機能シート状本体1を安価に市場に提供することが出来るという格別な利点を奏する。
【0048】
更に、本発明の多機能シート状本体の製造方法及び該製造方法により製造される多機能シート状本体の一実施形態は、タフティングカーペットの第1基布(ファーストバッキング)として説明したが、かかるシート状本体1の他面側3にジュート織布、合成の織物、不織布、合成ゴム、天然ゴム等の第2基布(セカンダリーバッキング)をラテックス等の接着層を介して接着してもよいのは言うまでもなく、その際に、シート状本体1の他面側3に繊維糸7を目止めすると共に該シート状本体1と共に可撓自在な目止め層(図示せず)を前記ラテックス等の接着層で形成してもよく、更に目止め層(図示せず)を接着層とした場合に、該目止め層(接着層)に防虫剤等の機能剤を含有することで機能材の効能をより広範囲に渡って影響させることが出来るタフティングカーペットを安価に市場に供給することが出来るという格別な利点を奏する。
【0049】
更に、本発明の多機能シート状本体の製造方法及び該製造方法により製造される多機能シート状本体の一実施形態は、タフティングカーペットの第1基布(ファーストバッキング)として説明したが、必ずしもタフティングカーペットの第1基布に限定されるものではなく、要は、繊維糸7が圧挿通可能な挿通部4を有するシート状本体1の少なくとも一面側2からバインダーを有する防虫剤等の機能剤6を刷り込むことで上記挿通部4及び該挿通部4が形成されるシート状本体形成素材1aの周面部5の夫々に機能剤6を保持させ、その後前記繊維糸7を該シート状本体1の他面側3から一面側2へと圧挿通させることで前記挿通部4及びシート状本体形成素材1aの周面部5に保持された夫々の機能剤6を該繊維糸7に強制的に擦り付けて強制固着することが出来るものであれば、使用用途、分野等は一切限定されない。
【0050】
よって、上記状態において、繊維糸7が圧挿通可能な挿通部4及び該挿通部4が形成されるシート状本体形成素材1aの周面部5の夫々に保持された防虫剤等の機能剤6を、該挿通部4及び該挿通部4を介してシート状本体形成素材1aの周面部5を押し拡げる様に摺動状態で圧挿通される繊維糸7自らが直接的且つ強制的に擦り付けつつ該繊維糸7全体に十分な量の機能剤6をバインダーを介して強固に固着されることが可能となり、よってシート状本体1の一面側2から突出する繊維糸7の該一面側2の根元から先端に至るまでの繊維糸7の長手方向の全周全体に容易且つ確実に十分な量の機能剤6を強制固着することが可能となり、よって従来の様に繊維糸7の表面(先端側)に後加工による機能剤(防ダニ剤、抗菌剤等)の付与も必要なく製造工程を簡略化しつつシート状本体1の製造コストも抑えることが出来る共に繊維糸7の表面(先端側)のみならず該繊維糸7の深部やシート状本体1内へのゴキブリ、トコジラミ等の昆虫、寄生昆虫類等をも寄せつけない多機能シート状本体1を安価に市場に提供することが出来る格別な利点を奏するだけでなく、該シート状本体1の他面側3に繊維糸7を目止めすると共に該シート状本体1と共に可撓自在な目止め層(図示せず)が設けられた場合には、該シート状本体1をカーペットに使用するに限定することなく、壁材等の各種建築材や乗物系のシート材等広範囲に適用させることが出来るという利点を奏するのみならず、該シート状本体1の目止め層に、防虫剤等の機能剤を含有することで機能材の効能をより広範囲に渡って影響させることが出来るという利点を奏する。
【0051】
尚、上記実施形態において、タフティングによりシート状本体1の一面側2にループ状パイル7aを形成する前の該シート状本体1に所定の引張力を付して一方向から他方向へと該シート状本体1を移送させることで、前記ループ状パイル7aを形成するタフト用繊維糸7が圧挿通されるシート状本体1の挿通部4を移送方向へと拡げつつ該シート状本体1の一面側2及び/又は他面側3からバインダーを有する防虫剤等の機能剤6を各種装置等の手段(図示せず)を介して含浸又は塗布等によって該挿通部4に入り込ませると共に該挿通部4及び該挿通部4が形成されるシート状本体形成素材1aの周面部5の夫々に該機能剤6を保持させ、その後前記繊維糸7を該シート状本体1の他面側3から一面側2へと圧挿通させることで前記挿通部4及びシート状本体形成素材1aの周面部5に保持された夫々の機能剤6を該一面側2から突出する繊維糸7の長手方向の全周面に強制的に擦り付けて強制固着した場合には、必要十分な量の機能剤6をシート状本体1の移送方向へとオーバル状(卵形、長円形、楕円形等)に拡げられた(図示せず)挿通部4に入り込ませて保持させることが出来、よって、タフト用繊維糸7が圧挿通可能な挿通部4及び該挿通部4が形成されるシート状本体形成素材1aの周面部5の夫々に保持された防虫剤等の機能剤6を、該挿通部4及び該挿通部4を介してシート状本体形成素材1aの周面部5を押し拡げる様に摺動状態で圧挿通されるタフト用繊維糸7自らが直接的且つ強制的に擦り付けつつ該タフト用繊維糸7全体に十分な量の機能剤6をバインダーを介して繊維糸7の長手方向の全周面に強固に固着させることが可能となり、従ってシート状本体1の一面側2から突出すると共にループ状パイル7aを形成するタフト用繊維糸7の該一面側2の根元から先端に至るまでのタフト用繊維糸7の長手方向の全体に容易且つ確実に十分な量の機能剤6を強制固着させることが可能となり、よって従来の様にループ状パイル7aを形成するタフト用繊維糸7に十分な量の機能剤6が該繊維糸7の長手方向の全周面に付着していないという問題のみならず、特にループ状パイル7aを形成するタフト用繊維糸7の表面(先端側)に後加工による機能剤(防ダニ剤、抗菌剤等)の付与も必要なく、従って製造工程を簡略化しつつシート状本体1の製造コストも抑えることが出来る共にループ状パイル7aを形成するタフト用繊維糸7の表面(先端側)のみならず該タフト用繊維糸7の深部やシート状本体1内へのゴキブリ、トコジラミ等の昆虫、寄生昆虫類等をも寄せつけない多機能シート状本体1を安価に市場に提供することが出来るという利点を奏する。
【0052】
更に、上記実施形態において、多機能シート状本体1が所定の引張力を付して一方向から他方向へと移送されると共に該シート状本体1の移送速度(例えば、シート状本体1の巻き取り速度1〜50m/分:ローラー直径10〜40cm、回転数1〜40回)と、該シート状本体1の一面側2に所定の距離で密着摺動(矢印D)する回転ローラー9の回転速度(例えば、回転速度1〜30m/分:ローラー直径5〜30cm、回転数1〜30回)とが異なる場合には、シート状本体1の厚み等に限らず、該シート状本体1を構成するシート状本体形成素材1aの材質、織方、更にシート状本体形成素材1a間に形成される挿通部4の大きさやシート状本体形成素材1aの周面部5の形状等各種条件に合わせてシート状本体1に保持される機能剤6の保持量、即ちシート状本体1への機能剤6の含浸効率を瞬時、且つ簡単に自由自在に変更することが出来るという利点を奏する。
【0053】
更に、上記実施形態において、バインダーを有する防虫剤等の機能剤6の粘度が、10〜15,000mPa・sの範囲内に設定された場合には、加工を施す多機能シート状本体1の種類に対応して各種の機能剤6を入れ替えての交換作業のみならず掃除、洗浄時等におけるロス等の時間を大幅に短縮して生産効率を上げることが出来るという利点を奏する。
【0054】
本発明は、上記実施形態において、多機能シート状本体をタフティングカーペットの第1基布(ファーストバッキング)として説明したが、必ずしもタフティングカーペットの第1基布に限定されないのは言うまでもなく、要は、繊維糸7が圧挿通可能な挿通部4を有するシート状本体1の少なくとも一面側2からバインダーを有する防虫剤等の機能剤6を刷り込むことで上記挿通部4及び該挿通部4が形成されるシート状本体形成素材1aの周面部5の夫々に機能剤6を保持させ、その後前記繊維糸7を該シート状本体1の他面側3から一面側2へと圧挿通させることで前記挿通部4及びシート状本体形成素材1aの周面部5に保持された夫々の機能剤6を該一面側2から突出する繊維糸7の長手方向の全周面に強制的に擦り付けて強制固着することから、繊維糸7が圧挿通可能な挿通部4及び該挿通部4が形成されるシート状本体形成素材1aの周面部5の夫々に保持された防虫剤等の機能剤6を、該挿通部4及び該挿通部4を介してシート状本体形成素材1aの周面部5を押し拡げる様に摺動状態で圧挿通される繊維糸7自らが直接的且つ強制的に擦り付けつつ該繊維糸7全体に十分な量の機能剤6をバインダーを介して繊維糸7の長手方向の全周面に強固に固着させることが可能となり、よってシート状本体1の一面側2から突出する繊維糸7の該一面側2の根元から先端に至るまでの繊維糸7の長手方向の全周面の全体に容易且つ確実に十分な量の機能剤6を強制固着させることで、従来の様に十分な機能剤が繊維糸7の長手方向の全周面に付着していないという問題のみならず、特に該繊維糸7の表面(先端側)に後加工による機能剤(防ダニ剤、抗菌剤等)の付与も必要なく、よって製造工程を簡略化しつつシート状本体1の製造コストも抑えることが出来る共に繊維糸7の表面(先端側)のみならず該繊維糸7の深部やシート状本体1内へのゴキブリ、トコジラミ等の昆虫、寄生昆虫類等をも寄せつけない多機能シート状本体1を安価に市場に提供することが出来るという利点を奏する。
【0055】
更に、繊維糸7が圧挿通可能な挿通部4を有するシート状本体1に所定の引張力を付して一方向から他方向へと該シート状本体1を移送させることで、上記挿通部4を移送方向へと拡げつつ該シート状本体1の一面側2及び/又は他面側3からバインダーを有する防虫剤等の機能剤6を該挿通部4に入り込ませることで該挿通部4及び該挿通部4が形成されるシート状本体形成素材1aの周面部5の夫々に該機能剤6を保持させ、その後前記繊維糸7を該シート状本体1の他面側3から一面側2へと圧挿通させることで前記挿通部4及びシート状本体形成素材1aの周面部5に保持された夫々の機能剤6を該一面側2から突出する繊維糸7の長手方向の全周面に強制的に擦り付けて強制固着することから、必要十分な量の機能剤6をシート状本体1の移送方向へとオーバル状(卵形、長円形、楕円形等)に拡げられた挿通部4に入り込ませて保持させることが出来、よって、繊維糸7が圧挿通可能な挿通部4及び該挿通部4が形成されるシート状本体形成素材1aの周面部5の夫々に保持された防虫剤等の機能剤6を、該挿通部4及び該挿通部4を介してシート状本体形成素材1aの周面部5を押し拡げる様に摺動状態で圧挿通される繊維糸7自らが直接的且つ強制的に擦り付けつつ該繊維糸7全体に十分な量の機能剤6をバインダーを介して繊維糸7の長手方向の全周面に強固に固着させることが可能となり、従ってシート状本体1の一面側2から突出する繊維糸7の該一面側2の根元から先端に至るまでの繊維糸7の長手方向の全周面の全体に容易且つ確実に必要十分な量の機能剤6を強制固着させることで、従来の様に十分な機能剤が繊維糸7の長手方向の全周面に付着していないという問題のみならず、特に該繊維糸7の表面(先端側)に後加工による機能剤(防ダニ剤、抗菌剤等)の付与も必要なく、よって、製造工程を簡略化しつつシート状本体1の製造コストも抑えることが出来る共に繊維糸7の表面(先端側)のみならず該繊維糸7の深部やシート状本体1内へのゴキブリ、トコジラミ等の昆虫、寄生昆虫類等をも寄せつけない多機能シート状本体1を安価に市場に提供することが出来るという格別な利点を奏する。
【0056】
而して、本発明の実施形態において、多機能シート状本体をタフティングカーペットの第1基布(ファーストバッキング)として用いる場合について説明したが、かかる第1基布の種類もポリプロピレン、ポリエステル等決して限定されるものではなく、更に織の構成も平織、綾織、ネット状又は不織布等一切限定されないのは言うまでもなく、又挿通部に圧挿通可能な繊維糸もナイロン、ポリエステル等各種繊維等限定されないが、多機能シート状本体も決してタフティングカーペットの第1基布に限定されないのは言うまでもない。
【0057】
更に、本発明の実施形態において、機能剤は防虫剤を用いたが、かかる機能剤に防カビ剤、防汚剤、撥水剤、撥油剤、消臭剤、抗菌剤、防炎剤等の各種機能剤を単独使用若しくは混合使用してもよく、該機能剤及びバインダーの具体的な特性、種類のみならず、繊維糸又はシート状本体形成素材の具体的な材質、特性及び機能剤刷り込み装置の具体的な構造、構成、形状等の各種諸条件も本発明の意図する範囲内で任意に設計変更自在であり、一切限定されるものでないのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明における多機能シート状体の製造方法により得られる多機能シート状体は、防ダニ、抗菌機能等を有するに限らず、主としてゴキブリやトコジラミ等の昆虫、寄生昆虫類等を寄せつけないことから、ホテル等の宿泊施設、公共施設等のカーペット、住宅等の建物内の敷物の使用に最適であるばかりか、壁材等の建築材、乗物のシート等極めて広範囲に適用可能である。
【0059】
1 多機能シート状本体
2 一面側
3 他面側
4 挿通部
5 周面部
6 機能剤
7 繊維糸
8 機能剤刷り込み装置
9 回転ローラー
9a 周面部