特許第6183798号(P6183798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6183798移動式トンネル防音扉装置及び移動式トンネル防音扉装置の移動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183798
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】移動式トンネル防音扉装置及び移動式トンネル防音扉装置の移動方法
(51)【国際特許分類】
   E21F 17/00 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   E21F17/00
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-48302(P2013-48302)
(22)【出願日】2013年3月11日
(65)【公開番号】特開2014-173362(P2014-173362A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149930
【氏名又は名称】株式会社谷沢製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】516074285
【氏名又は名称】株式会社山谷鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】小野 亮
(72)【発明者】
【氏名】岡田 忠明
(72)【発明者】
【氏名】新沼 里志
【審査官】 苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−111820(JP,A)
【文献】 特開2009−052319(JP,A)
【文献】 特開平10−131642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21F 1/00〜 17/18
E21D 11/00〜 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの坑口又は坑内を閉塞する移動式トンネル防音扉装置であって、
車両が出入りする観音開きの主扉と、
前記主扉の両側に配置される側部防音パネルと、
前記主扉の上側に配置される上部防音パネルと、
前記主扉、前記側部防音パネル、及び前記上部防音パネルを支える台座とを備え、
前記主扉を、一対の支柱の間に配置し、
前記側部防音パネルを、前記支柱の外側に配置し、
前記側部防音パネルを、前記主扉側の直線状の内側辺と、前記台座側の直線状の底辺と、前記トンネルの内面側の円弧状の外側辺とで囲まれるパネル板で構成し、
前記側部防音パネルを、前記外側辺が前記トンネルの内面から離間するように、前記支柱を軸として前記主扉に対して折り畳み可能に設けたことを特徴とする移動式トンネル防音扉装置。
【請求項2】
前記主扉を、切羽方向に開く内開きとし、前記側部防音パネルを外開きとしたことを特徴とする請求項1に記載の移動式トンネル防音扉装置。
【請求項3】
前記側部防音パネルに人員用扉を設け、前記人員用扉を内開きとしたことを特徴とする請求項2に記載の移動式トンネル防音扉装置。
【請求項4】
前記人員用扉に、余圧抜き用の回転窓を設けたことを特徴とする請求項3に記載の移動式トンネル防音扉装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の移動式トンネル防音扉装置の移動方法であって、前記主扉を開き、前記側部防音パネルを折り畳んだ状態で、前記移動式トンネル防音扉装置を重機で牽引することを特徴とする移動式トンネル防音扉装置の移動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの坑口又は坑内を閉塞する移動式トンネル防音扉装置及び移動式トンネル防音扉装置の移動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工事の進行に伴う現場の移動に際しても、容易に移動することができる移動式トンネル防音扉装置が提案されている(特許文献1)。
この移動式トンネル防音扉装置は、装置本体の下部に、装置本体を立設状態に支持する前後方向のそりを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−52319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば移動式トンネル防音扉装置の移動は容易となる。
しかし、移動式トンネル防音扉装置の移動は重機によって牽引するが、移動式トンネル防音扉装置とトンネルとの間の隙間が限られているため、牽引作業時には、作業員が牽引を誘導する。
この牽引作業では、重機の運転者から作業員が見えにくいという問題がある。
【0005】
本発明は、移動作業に携わる作業員を目視により認識でき、災害防止にもつながる移動式トンネル防音扉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の移動式トンネル防音扉装置は、トンネルの坑口又は坑内を閉塞する移動式トンネル防音扉装置であって、車両が出入りする観音開きの主扉と、前記主扉の両側に配置される側部防音パネルと、前記主扉の上側に配置される上部防音パネルと、前記主扉、前記側部防音パネル、及び前記上部防音パネルを支える台座とを備え、前記主扉を、一対の支柱の間に配置し、前記側部防音パネルを、前記支柱の外側に配置し、前記側部防音パネルを、前記主扉側の直線状の内側辺と、前記台座側の直線状の底辺と、前記トンネルの内面側の円弧状の外側辺とで囲まれるパネル板で構成し、前記側部防音パネルを、前記外側辺が前記トンネルの内面から離間するように、前記支柱を軸として前記主扉に対して折り畳み可能に設けたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の移動式トンネル防音扉装置において、前記主扉を、切羽方向に開く内開きとし、前記側部防音パネルを外開きとしたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の移動式トンネル防音扉装置において、前記側部防音パネルに人員用扉を設け、前記人員用扉を内開きとしたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の移動式トンネル防音扉装置において、前記人員用扉に、余圧抜き用の回転窓を設けたことを特徴とする。
請求項5記載の本発明の移動式トンネル防音扉装置の移動方法は、請求項1に記載の移動式トンネル防音扉装置において、請求項1から請求項4のいずれかに記載の移動式トンネル防音扉装置の移動方法であって、前記主扉を開き、前記側部防音パネルを折り畳んだ状態で、前記移動式トンネル防音扉装置を重機で牽引することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、側部防音パネルを折り畳んで、移動式トンネル防音扉装置を移動できるため、トンネル内壁に接触することを防止できるだけでなく、移動作業に携わる作業員を目視により認識できるため、災害防止にもつながる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例による移動式トンネル防音扉装置をトンネルの外から見た正面図
図2】同移動式トンネル防音扉装置の上面図
図3】同移動式トンネル防音扉装置の左側面図
図4】同移動式トンネル防音扉装置の右側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による移動式トンネル防音扉装置は、主扉を、一対の支柱の間に配置し、側部防音パネルを、支柱の外側に配置し、側部防音パネルを、主扉側の直線状の内側辺と、台座側の直線状の底辺と、トンネルの内面側の円弧状の外側辺とで囲まれるパネル板で構成し、側部防音パネルを、外側辺がトンネルの内面から離間するように、支柱を軸として主扉に対して折り畳み可能に設けたものである。本実施の形態によれば、側部防音パネルを折り畳んで、移動式トンネル防音扉装置を移動できるため、トンネル内壁に接触することを防止できるだけでなく、重機を操作するオペレータが、移動作業に携わる作業員を目視により認識できるため、災害防止にもつながる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による移動式トンネル防音扉装置において、主扉を、切羽方向に開く内開きとし、側部防音パネルを外開きとしたものである。本実施の形態によれば、トンネル発破時に発生する圧力は主扉に加わるが、主扉を内開きとしていることで、主扉の閉塞部材の負担を軽減でき、また本実施の形態による移動式トンネル防音扉装置の移動時には、主扉を内開き、側部防音パネルを外開きとすることで安定性を確保することができる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による移動式トンネル防音扉装置において、側部防音パネルに人員用扉を設け、人員用扉を内開きとしたものである。本実施の形態によれば、本実施の形態による移動式トンネル防音扉装置の移動時に、側部防音パネルに人員用扉による開口を形成できるため、重機を操作するオペレータが、移動作業に携わる作業員を目視により認識できやすく、災害防止につながる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による移動式トンネル防音扉装置において、人員用扉に、余圧抜き用の回転窓を設けたものである。本実施の形態によれば、発破による圧力を受けた直後においても、人員用扉をスムーズに開くことができる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態による移動式トンネル防音扉装置の移動方法は、第1から第4の実施の形態による移動式トンネル防音扉装置を、主扉を開き、側部防音パネルを折り畳んだ状態で、重機で牽引するものである。本実施の形態によれば、側部防音パネルを折り畳んで、本実施の形態による移動式トンネル防音扉装置を移動できるため、トンネル内壁に接触することを防止できるだけでなく、重機を操作するオペレータが、移動作業に携わる作業員を目視により認識できるため、災害防止にもつながる。
【実施例】
【0014】
以下本発明の実施例について図面とともに詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例による移動式トンネル防音扉装置をトンネルの外から見た正面図、図2は同移動式トンネル防音扉装置の上面図、図3は同移動式トンネル防音扉装置の左側面図、図4は同移動式トンネル防音扉装置の右側面図である。
【0015】
移動式トンネル防音扉装置10は、車両が出入りする観音開きの主扉11a、11bと、主扉11a、11bの両側に配置される側部防音パネル12a、12bと、主扉11a、11bの上側に配置される上部防音パネル13と、主扉11a、11b、側部防音パネル12a、12b、及び上部防音パネル13を支える台座14a、14bとを備え、トンネル30の坑口又は坑内を閉塞する。
【0016】
主扉11a、11bは、長方形状の2枚のパネル板で構成される。
側部防音パネル12a、12bは、主扉11a、11b側の直線状の内側辺と、台座14a、14b側の直線状の底辺と、トンネル30内面側の円弧状の外側辺とで囲まれるパネル板で構成される。
上部防音パネル13は、主扉11a、11b側の直線状の内側辺と、トンネル30内面側の円弧状の外側辺とで囲まれるパネル板で構成される。
主扉11a、11bは、一対の支柱15a、15bの間に配置され、側部防音パネル12a、12bは、支柱15a、15bの外側に配置される。
台座14a、14bは、支柱15a、15bの下部に配置される。
【0017】
主扉11aは、蝶番16aで支柱15aに取り付けられ、主扉11bは、蝶番16bで支柱15bに取り付けられ、切羽方向に開く内開きとしている。
側部防音パネル12aは、蝶番17aで支柱15aに取り付けられ、側部防音パネル12bは、蝶番17bで支柱15bに取り付けられ、切羽方向とは逆の外開きとしている。側部防音パネル12a、12bは、主扉11a、11bに対して折り畳むことができる。
主扉11a、11bは、例えばかんぬき部材のような閉塞部材18によって閉塞状態を維持される。閉塞部材18は、切羽側に設けている。
トンネル発破時に発生する圧力は主扉11a、11bの切羽側の面に加わるが、主扉11a、11bを内開きとしていることで、主扉11a、11bの閉塞部材18の負担を軽減できる。
【0018】
側部防音パネル12aには蝶番20を介して人員用扉19を設け、人員用扉19を内開きとしている。
人員用扉19は、支柱15aと反対側に蝶番20を有している。
人員用扉19には、余圧抜き用の回転窓21を設けている。回転窓21を回転して開放することで切羽側の圧力を逃がすことができ、発破による圧力を受けた直後においても、人員用扉19をスムーズに開くことができる。
側部防音パネル12a、12bの外側辺と、上部防音パネル13の外側辺とには、調整用ゴム22a又は断面追従用ガイド板22bと調整用ゴム22aとが設けられる。
【0019】
図3では、トンネル30の内周面がコンクリート31で覆われた状態を示している。図3に示す状態では、側部防音パネル12a、12bの外側辺と、上部防音パネル13の外側辺とには、調整用ゴム22aが設けられる。この調整用ゴム22aによって、移動式トンネル防音扉装置10とトンネル30との隙間が閉塞される。
【0020】
図4では、トンネル30の内周面が支保工32で覆われた状態を示している。図4に示す状態では、側部防音パネル12a、12bの外側辺と、上部防音パネル13の外側辺とには、断面追従用ガイド板22bと調整用ゴム22aが設けられる。断面追従用ガイド板22bと調整用ゴム22aとによって、移動式トンネル防音扉装置10とトンネル30との隙間が閉塞される。
なお、台座14a、14bの上部には、外方構造体24と内方構造体23とを有している。また、台座14a、14bの下部には、複数のコロ26を有している。
また、上部防音パネル13には、風管接続用開口27や遮音ダンパー28を設けている。
【0021】
本実施例による移動式トンネル防音扉装置10は、重機によって牽引され、トンネル30の坑口又は坑内に設置され、トンネル30の坑口又は坑内から撤去される。
移動式トンネル防音扉装置10の設置時又は撤去時には、側部防音パネル12a、12bを折り畳んで移動する。側部防音パネル12a、12bを折り畳むことで、側部防音パネル12a、12bがトンネル30内壁に接触することを防止できるだけでなく、重機を操作するオペレータが、移動作業に携わる作業員を目視により認識できるため、災害防止にもつながる。
特に、移動式トンネル防音扉装置10の設置時又は撤去時には、主扉11a、11bを内開き、側部防音パネル12a、12bを外開きとすることで、重量バランスをとり、移動時の安定性を確保することができる。
また、移動式トンネル防音扉装置10の設置時又は撤去時に、人員用扉19によって側部防音パネル12aに開口を形成できるため、重機を操作するオペレータが、移動作業に携わる作業員を目視により認識できやすく、災害防止につながる。
【0022】
以上のように、移動式トンネル防音扉装置10は、主扉11a、11bを開き、側部防音パネル12a、12bを折り畳んだ状態で、重機で牽引することで、トンネル30内壁に接触することを防止できるだけでなく、重機を操作するオペレータが、移動作業に携わる作業員を目視により認識できるため、災害防止にもつながる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の移動式トンネル防音扉装置は、移動作業における安全性が極めて高い。
【符号の説明】
【0024】
10 移動式トンネル防音扉装置
11a、11b 主扉
12a、12b 側部防音パネル
13 上部防音パネル
14a、14b 台座
18 閉塞部材
19 人員用扉
21 回転窓
30 トンネル
図1
図2
図3
図4