【実施例】
【0297】
以下、本発明を実施例等により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等により限定されるものではない。
【0298】
〔参考例1〕(ペリオスチン及び部分ペリオスチンの調製)
抗体のエピトープの特定等のため、次のペリオスチン及び部分ペリオスチン(ペリオスチンの部分よりなるもの)を調製した。
【0299】
(1)ペリオスチンの調製
ペリオスチン(ヌクレオチド配列:核酸データベースGenBankのAccession NumberD13666のヌクレオチド配列、アミノ酸配列:核酸データベースGenBankのAccession NumberBAA02837のアミノ酸配列)にV5/Hisタグを付加させたリコンビナントペリオスチンタンパク質を昆虫細胞であるS2細胞において発現させた上で精製した。
【0300】
具体的には、S2細胞の形質転換体は次のように調製した。
pMT/Bip/V5−HisAプラスミド(Invitrogen社、米国カリフォルニア州Carlsbad)にペリオスチンの上記部分をコードするcDNAを挿入して、これをpMT/Bip/periostin−V5−HisAとした。
【0301】
次に、S2細胞にこのpMT/Bip/periostin−V5−HisA及びハイグロマイシン耐性遺伝子を発現するプラスミドであるpAcHygro(Invitrogen社、米国カリフォルニア州Carlsbad)を公知の方法で共導入し、形質転換した。
【0302】
次に、ハイグロマイシンにより形質転換体を選択し、安定形質転換体を得た。
そして、S2細胞の形質転換体では、カルボキシ末端にV5/Hisタグの結合したペリオスチンを発現させた。
【0303】
そして、このC末端に6個のヒスチジンが結合したS2リコンビナントペリオスチンタンパク質の精製は次のように行った。
まず、ペリオスチン遺伝子安定形質転換体S2細胞の培地に硫酸銅を加えることにより、S2リコンビナントペリオスチンタンパク質の発現を誘導した。
これにより、S2リコンビナントペリオスチンタンパク質は培養上清中に発現分泌された。
【0304】
次に、この培養上清をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)〔137mMの塩化ナトリウム、2.68mMの塩化カリウム、1.47mMのリン酸二水素カリウム、及び8.04mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する水溶液(pH7.4)〕に透析した後、ニッケルレジン(Ni−NTA Agarose、Qiagen社、ドイツ国Hilden)と混合して、S2リコンビナントペリオスチンタンパク質をレジンに結合させた。
次に、レジンを洗浄して夾雑物を取り除き、イミダゾール含有緩衝液にてS2リコンビナントペリオスチンタンパク質を溶出することにより、ペリオスチンを取得した。
なお、作成したプラスミドのDNAの配列を確認し、組み込まれた配列が目的通りのものであることを確認した。
【0305】
(2)ペリオスチンのR1領域及びR2領域よりなる部分ペリオスチンの調製
公知の文献(I.Takayamaら,J.Biochem.,146巻,5号,713〜723頁,2009年発行等)の記載に従い、C末端に6個のヒスチジン残基が結合した、ペリオスチンのR1領域及びR2領域よりなる部分ペリオスチンを、調製し、取得した。(以下、これを「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」という)
なお、作成したプラスミドのDNAの配列を確認し、組み込まれた配列が目的通りのものであることを確認した。
【0306】
(3)ペリオスチンのR2領域よりなる部分ペリオスチンの調製
公知の文献(I.Takayamaら,J.Biochem.,146巻,5号,713〜723頁,2009年発行等)の記載に従い、C末端に6個のヒスチジン残基が結合した、ペリオスチンのR2領域よりなる部分ペリオスチンを、調製し、取得した。(以下、これを「部分ペリオスチン(R2領域)」という)
なお、作成したプラスミドのDNAの配列を確認し、組み込まれた配列が目的通りのものであることを確認した。
【0307】
(4)ペリオスチンのR1領域、R2領域及びR3領域よりなる部分ペリオスチンの調製
公知の文献(I.Takayamaら,J.Biochem.,146巻,5号,713〜723頁,2009年発行等)の記載に従い、C末端に6個のヒスチジン残基が結合した、ペリオスチンのR1領域、R2領域及びR3領域よりなる部分ペリオスチンを、調製し、取得した。(以下、これを「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」という)
なお、作成したプラスミドのDNAの配列を確認し、組み込まれた配列が目的通りのものであることを確認した。
【0308】
(5)ペリオスチンのR4領域よりなる部分ペリオスチンの調製
公知の文献(I.Takayamaら,J.Biochem.,146巻,5号,713〜723頁,2009年発行等)の記載に従い、C末端に6個のヒスチジン残基が結合した、ペリオスチンのR4領域よりなる部分ペリオスチンを、調製し、取得した。(以下、これを「部分ペリオスチン(R4領域)」という)
なお、作成したプラスミドのDNAの配列を確認し、組み込まれた配列が目的通りのものであることを確認した。
【0309】
(6)ペリオスチンのEMI領域よりなる部分ペリオスチンの調製
公知の文献(I.Takayamaら,J.Biochem.,146巻,5号,713〜723頁,2009年発行等)の記載に従い、C末端に6個のヒスチジン残基が結合した、ペリオスチンのEMI領域よりなる部分ペリオスチンを、調製し、取得した。(以下、これを「部分ペリオスチン(EMI領域)」という)
なお、作成したプラスミドのDNAの配列を確認し、組み込まれた配列が目的通りのものであることを確認した。
【0310】
(7)ペリオスチンのC末端領域よりなる部分ペリオスチンの調製
公知の文献(I.Takayamaら,J.Biochem.,146巻,5号,713〜723頁,2009年発行等)の記載に従い、C末端に6個のヒスチジン残基が結合した、ペリオスチンのC末端領域よりなる部分ペリオスチンを、調製し、取得した。(以下、これを「部分ペリオスチン(C末端領域)」という)
なお、作成したプラスミドのDNAの配列を確認し、組み込まれた配列が目的通りのものであることを確認した。
【0311】
なお、前記のペリオスチン、部分ペリオスチン(R1・R2領域)、部分ペリオスチン(R2領域)、部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)、部分ペリオスチン(R4領域)、部分ペリオスチン(EMI領域)、及び部分ペリオスチン(C末端領域)を
図1に模式的に示した。
【0312】
〔参考例2〕(調製したペリオスチン及び部分ペリオスチンの確認)
I.ペリオスチン、部分ペリオスチン(R1・R2領域)、部分ペリオスチン(R2領域)、部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)、及び部分ペリオスチン(C末端領域)の確認
【0313】
前記参考例1で調製したペリオスチン、部分ペリオスチン(R1・R2領域)、部分ペリオスチン(R2領域)、部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)、及び部分ペリオスチン(C末端領域)を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で確認した。
【0314】
1.試薬
次の(1)〜(11)の試薬をそれぞれ調製した。
【0315】
(1)アクリルアミド溶液
アクリルアミド29.2g及びN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.8gを純水に添加、混合した後100mLとして、アクリルアミド溶液〔30%アクリルアミド保存液〕を調製した。
【0316】
(2)SDS−1.5Mトリス溶液
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕18.2g及びドデシル硫酸ナトリウム〔SDS〕0.4gを純水に添加、混合し、塩酸でpH8.8に調整した後100mLとして、SDS−1.5Mトリス溶液〔0.4%SDS−1.5Mトリス塩酸緩衝液〕を調製した。
【0317】
(3)SDS−0.5Mトリス溶液
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕6.1g及びドデシル硫酸ナトリウム〔SDS〕0.4gを純水に添加、混合し、塩酸でpH6.8に調整した後100mLとして、SDS−0.5Mトリス溶液〔0.4%SDS−0.5Mトリス塩酸緩衝液〕を調製した。
【0318】
(4)過硫酸アンモニウム溶液
過硫酸アンモニウム100mgを純水に添加、混合した後1mLとして、過硫酸アンモニウム溶液〔10%過硫酸アンモニウム水溶液〕を調製した。
【0319】
(5)TEMED溶液
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(ナカライテスク社、日本国京都府)を使用した。
【0320】
(6)泳動槽用緩衝液
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕1.5g、ドデシル硫酸ナトリウム〔SDS〕0.5g、及びグリシン7.2gを純水に添加、混合した後500mLとして、泳動槽用緩衝液〔0.1%SDS−192mMグリシン−25mMトリス緩衝液〕を調製した。
【0321】
(7)SYPRO Ruby固定液
メタノール10mL、及び酢酸7mLを、純水83mLと混合して、SYPRO Ruby固定液を調製した。
【0322】
(8)SYPRO Ruby染色液
SYPRO Ruby染色液は、Molecular Probes社(Eugene、オレゴン州、米国)のSYPRO Ruby protein gel stainを使用した。
【0323】
(9)SYPRO Ruby脱色液
メタノール10mL、及び酢酸7mLを、純水83mLと混合して、SYPRO Ruby脱色液を調製した。
【0324】
(10)試料処理液
ドデシル硫酸ナトリウム〔SDS〕0.4g、2−メルカプトエタノール1.2mL、1Mのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕−塩酸緩衝液(pH6.8)の1mL、及びグリセリン2mLを純水に添加、混合した後10mLとして、試料処理液〔4%SDS−12%2−メルカプトエタノール−20%グリセリン−100mMトリス緩衝液〕を調製した。
【0325】
2.試料
前記参考例1の(1)〜(4)及び(7)で調製した、次のペリオスチン及び部分ペリオスチンをそれぞれ試料とした。また、次の分子量マーカーも試料とした。
【0326】
(a)ペリオスチン
(b)部分ペリオスチン(R1・R2領域)
(c)部分ペリオスチン(R2領域)
(d)部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)
(e)部分ペリオスチン(C末端領域)
(f)分子量マーカー〔Precision Plus Protein All Blue Standardsマーカー;マーカー分子量 10KDa、15KDa、20KDa、25KDa、37KDa、50KDa、75KDa、100KDa、150KDa及び250KDa;BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国〕
【0327】
3.電気泳動
前記1で調製した試薬を使用し、前記2の試料のそれぞれについて、次の操作によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法での電気泳動を行った。
【0328】
(1)前記1の(1)、(2)、(4)、(5)で調製した試薬及び純水を用いて、アクリルアミド濃度が13.5%の分離ゲル溶液を調製した。
この分離ゲル溶液を、組み立てたガラスプレートに注入した後、純水を上に重層し、そしてゲル化反応を30分間行わせた。
【0329】
(2)前記1の(1)、(3)、(4)、(5)で調製した試薬及び純水を用いて、アクリルアミド濃度が1.3%の濃縮ゲル溶液を調製した。
前記(1)のガラスプレートより純水を捨て、ここにこの濃縮ゲル溶液を少量注入し洗浄した後、濃縮ゲル溶液を注入した。そして、ここにサンプルコウムを挿入し、そしてゲル化反応を30分間行わせた。
【0330】
(3) 前記2の(a)〜(e)の試料のそれぞれについて、前記1の(10)の試料処理液と1:1の量比で混合し、100℃で10分間処理した。
【0331】
(4) 下部泳動槽に前記1の(6)の泳動槽用緩衝液を入れた。次に、前記(2)のゲルよりサンプルコウムを抜き洗浄した後、泳動槽にセットした。そして次に、上部泳動槽に前記1の(6)の泳動槽用緩衝液を入れた。
【0332】
(5) 前記(3)の処理を行った各試料の20μL及び前記2の(f)の分子量マーカーの試料5μLのそれぞれについて、前記(4)のゲルのコウム穴に注入した。
なお、このゲルに注入した前記(3)の処理を行った試料及び前記2の(f)の分子量マーカーの試料であるが、レーン(a)に前記の「ペリオスチン」を、その右側のレーン(b)に前記の「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」を、その右側のレーン(c)に前記の「部分ペリオスチン(R2領域)」を、その右側のレーン(d)に前記の「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」を、その右側のレーン(e)に前記の「部分ペリオスチン(C末端領域)」を、そしてレーン(a)の左側のレーンに前記の「分子量マーカー」を注入した。
【0333】
(6) 次に、30mAの電流で60分間泳動を行った。
【0334】
(7) 前記(6)の泳動を終了した後、ゲルをガラスプレートより出し、前記1の(7)のSYPRO Ruby固定液に浸漬し、30分間ゆっくり振とうして固定を行った。
【0335】
(8) 前記(7)で固定を行ったゲルを、前記1の(8)のSYPRO Ruby染色液に浸漬し、3時間ゆっくり振とうして染色を行った。
【0336】
(9) 前記(8)で染色を行ったゲルを、前記1の(9)のSYPRO Ruby脱色液に浸漬し、30分間ゆっくり振とうして、脱色を行った。
【0337】
(10) 前記(9)で脱色したゲルを撮影した。
【0338】
4.結果
前記3の(10)で撮影したゲルを
図2に示した。
【0339】
このゲルの電気泳動像において、前記参考例1の(1)〜(4)及び(7)で調製した、「ペリオスチン」(「(a)」と表記したレーン)、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」(「(b)」と表記したレーン)、「部分ペリオスチン(R2領域)」(「(c)」と表記したレーン)、「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」(「(d)」と表記したレーン)及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」(「(e)」と表記したレーン)のそれぞれが、相当する分子量の位置にバンドを存在させていることが分かる。(矢印で示したバンド。)
すなわち、「ペリオスチン」、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」をそれぞれ調製できていることが確認できた。
【0340】
II.部分ペリオスチン(R4領域)、及び部分ペリオスチン(EMI領域)の確認
前記参考例1で調製した部分ペリオスチン(R4領域)、及び部分ペリオスチン(EMI領域)を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法及びウエスタンブロッティング法で確認した。
【0341】
〔1〕SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
1.試薬
次の(1)〜(4)の試薬をそれぞれ調製した。
【0342】
(1)SDS−ポリアクリルアミドゲル
Funakoshi Easy−Gel(III) プリキャスト・ゲル(15%)(フナコシ社、日本国東京都)を使用した。
【0343】
(2)泳動槽用緩衝液
前記Iの1の(6)の記載の通りに調製を行い、泳動槽用緩衝液〔0.1%SDS−192mMグリシン−25mMトリス緩衝液〕を調製した。
【0344】
(3)試料処理液
前記Iの1の(10)の記載の通りに調製を行い、試料処理液〔4%SDS−12%2−メルカプトエタノール−20%グリセリン−100mMトリス緩衝液〕を調製した。
【0345】
2.試料
前記参考例1の(1)、(5)及び(6)で調製した、次のペリオスチン及び部分ペリオスチンをそれぞれ試料とした。
【0346】
また、公知の文献(I.Takayamaら,J.Biochem.,146巻,5号,713〜723頁,2009年発行等)の記載に従い、ペリオスチンのC末端領域のエクソン17、エクソン18及びエクソン21を欠くペリオスチンであって、そのC末端に6個のヒスチジン残基が結合したペリオスチン(部分ペリオスチン)を、調製し(以下、これを「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」という)、これも試料とした。〔なお、作成したプラスミドのDNAの配列を確認し、組み込まれた配列が目的通りのものであることを確認した。〕
【0347】
更に、次の分子量マーカーも試料とした。
【0348】
(a)部分ペリオスチン(EMI領域)
(b)部分ペリオスチン(R4領域)
(c)ペリオスチン
(d)部分ペリオスチン(Δ17・18・21)
(e)分子量マーカー〔Precision Plus Protein All Blue Standardsマーカー;マーカー分子量 10KDa、15KDa、20KDa、25KDa、37KDa、50KDa、75KDa、100KDa、150KDa及び250KDa;BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国〕
【0349】
3.電気泳動
前記1で調製した試薬を使用し、前記2の試料のそれぞれについて、次の操作によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法での電気泳動を行って、ペリオスチン及び部分ペリオスチン等の各々をその分子量に従って位置させたゲルを取得した。
【0350】
(1) 前記2の(a)〜(d)の試料のそれぞれについて、前記1の(3)の試料処理液と1:1の量比で混合した後、100℃で10分間、煮沸処理を行った。
【0351】
(2) 下部泳動槽に前記1の(2)の泳動槽用緩衝液を入れた。次に、前記1の(1)のSDS−ポリアクリルアミドゲルを泳動槽にセットした。そして次に、上部泳動槽に前記1の(2)の泳動槽用緩衝液を入れた。
【0352】
(3) 前記(1)の処理を行った各試料の20μL及び前記2の(e)の分子量マーカーの試料の5μLそれぞれについて、前記(2)のゲルのコウム穴に注入した。
なお、このゲルに注入した前記(1)の処理を行った試料及び前記2の(e)の分子量マーカーの試料であるが、レーン(a)に前記の「部分ペリオスチン(EMI領域)」を、その右側のレーン(b)に前記の「部分ペリオスチン(R4領域)」を、その右側のレーン(c)に前記の「ペリオスチン」を、その右側のレーン(d)に前記の「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」を、そしてレーン(a)の左側のレーン(e)に前記の「分子量マーカー」を注入した。
【0353】
(4) 次に、30mAの電流で60分間泳動を行った。
【0354】
(5) 前記(4)の泳動を終了した後、ゲルをガラスプレートより取り出した。
【0355】
〔2〕ウエスタンブロッティング法
1.ウエスタンブロッティング
(1) 前記〔1〕の3で取得したゲルの転写を、トランスブロットSDセル(BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国)を用いて、その使用説明書に従い、セミドライ方式で行った。
まず、前記〔1〕の3で取得したゲルを転写用装置上に置いた。
【0356】
次に、このゲルの上に、9cm×9cmのポリビニルジフルオライド膜(BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国)を重ね、48mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕、39mMグリシン、0.0375%(W/V)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及び20%(V/V)メタノールよりなる転写用緩衝液を用いて、電流200mAで2時間転写を行い、前記のペリオスチン又は部分ペリオスチンを前記ゲルより前記ポリビニルジフルオライド膜に転写した。
【0357】
(2) ペリオスチン又は部分ペリオスチンの転写を行った前記ポリビニルジフルオライド膜をブロッキング液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕の20mLに25℃で2時間浸漬して、ブロッキングを行った。
【0358】
(3) 次に、これを洗浄液〔0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水〕の20mL中で10分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
【0359】
(4) 前記のペリオスチン又は部分ペリオスチンのヒスチジン−タグに対するラット由来の抗体を20mLのリン酸緩衝生理食塩水に100μg溶解し、この溶液に前記(3)の操作を行ったポリビニルジフルオライド膜を室温で18時間浸漬して反応させた。
【0360】
(5) 前記(4)の操作を行ったポリビニルジフルオライド膜を、20mLの洗浄液中で10分間振とう洗浄を行った。これを3回行った。
【0361】
(6) 次に、パーオキシダーゼ標識抗ラットIgG抗体(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)を、PBSで2000倍希釈をして、20mLの溶液を調製し、これに前記(5)のポリビニルジフルオライド膜を室温で1時間浸漬して反応させた。
【0362】
(7) このポリビニルジフルオライド膜を、20mLの洗浄液中で10分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
【0363】
(8) ECL Western Blotting Detection Reagents(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)の2mLに、前記(7)のそれぞれのポリビニルジフルオライド膜を室温で1分間浸漬して発光させた。
【0364】
(9) 前記(8)で発光させたポリビニルジフルオライド膜を撮影した。
【0365】
2.結果
前記1の(9)で撮影したポリビニルジフルオライド膜を
図3に示した。
【0366】
このポリビニルジフルオライド膜のウエスタンブロッティング像において、前記参考例1の(1)、(5)及び(6)で調製した、「ペリオスチン」(「(c)」と表記したレーン)、「部分ペリオスチン(EMI領域)」(「(a)」と表記したレーン)及び「部分ペリオスチン(R4領域)」(「(b)」と表記したレーン)、並びに前記〔1〕の2の「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」(「(d)」と表記したレーン)のそれぞれが、相当する分子量の位置にバンドを存在させていることが分かる。(矢印で示したバンド。)
すなわち、「ペリオスチン」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」、「部分ペリオスチン(R4領域)」及び「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」をそれぞれ調製できていることが確認できた。
【0367】
〔実施例1〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製−1回目)
以下の手順により、抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製を行った。(1回目)
【0368】
(1) 前記参考例1の(1)で調製したペリオスチン溶液1容量に対して、化学合成アジュバントとしてのTiter Max Gold(フナコシ社、日本国東京都)を1容量の割合で混合した。
【0369】
(2) 次に、雌ラットの足蹠に免疫原として、10〜50μgの前記のペリオスチン溶液とTiter Max Goldとの混合物を皮下注射し、10日〜2週間後、再度ラットの足蹠に免疫原として、10〜50μgの前記のペリオスチン溶液とTiter Max Goldとの混合物を皮下注射した。
なお、ここで、ラットは、Wistarラット〔雌、6〜8週齢〕(日本チャールズリバー社、日本国神奈川県横浜市)を用いた。
【0370】
(3) 最終免疫より3〜4日後に、免疫したラットの膝窩、鼠径、腸骨リンパ節内の細胞と、ミエローマ細胞(Sp2/O細胞)を1対1から10対1の割合で混合し、一般的な方法でポリエチレングリコール(PEG1500、Roche社、スイス国)を加えて細胞融合させ、生育したハイブリドーマコロニーを選別した。
【0371】
具体的には、細胞融合は次のように行った。
混合した前記リンパ節細胞とミエローマ細胞(Sp2/O細胞)を遠心して上清を除き、室温でポリエチレングリコール(PEG1500、Roche社、スイス国)1mLに1分間かけて懸濁した後、37℃で1分間撹拌した。
血清不含培地1mLを1分間かけて加え、その後、血清不含培地10mLを1分間かけて加えた。
細胞を数回洗浄した後、ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン含有培地に懸濁して96穴マイクロタイタープレートに分注して、37℃において5%CO
2存在下で培養した。
【0372】
生育したモノクローナル抗体産生細胞株(融合細胞株)の選別の方法としては、細胞融合から7〜14日後、免疫原に使用した前記のペリオスチンを固相化し、融合細胞培養上清を一次抗体としたELISA法の系にて行った。
【0373】
このELISA法は具体的には、次のように行った。
1μg/mLの前記のペリオスチンを96穴マイクロタイタープレートに分注し、数時間固相化させた。
この固相化溶液を洗浄した後、融合細胞培養上清を各ウェルに加え、1時間室温にて静置した。
【0374】
融合細胞培養上清を洗浄して、二次抗体としてペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ラットIgG抗体(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)を加え1時間室温に静置した。
【0375】
この二次抗体を洗浄後、ABTSペルオキシダーゼ基質(KPL社、メリーランド州Gaithersburg、米国)を加えて発色させ、405nmの吸光度を測定した。
【0376】
生育した融合細胞株の中から一つのクローンを確立し、SS16A株と命名した。
【0377】
(4) この選別したモノクローナル抗体産生細胞株からIgGを次のように精製した。
このモノクローナル抗体産生細胞株を、GIT培地(日本製薬社、日本国東京都)を用いてCO
2インキュベータ内37℃で培養した。
【0378】
培養後、上清中のIgGをプロテインGカラム(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)に結合させた。
結合させたIgGを、50mMクエン酸水溶液(pH2.6)で溶出した。
【0379】
溶出液4容量に対して、1Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液〔Tris緩衝液〕1容量を添加し、精製IgGとして、ラット抗ペリオスチンモノクローナル抗体を前記のモノクローナル抗体産生細胞株より取得した。
【0380】
すなわち、SS16A株のモノクローナル抗体産生細胞株からラット抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」という)を得ることができた。
【0381】
〔実施例2〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製−2回目)
前記実施例1とは別の時に、前記実施例1の(1)〜(4)の記載の通りに操作を行い、再度、抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製を行った。(2回目)
【0382】
その結果、生育した融合細胞株の中から一つのクローンを確立し、SS17B株と命名した。
【0383】
そして、SS17B株のモノクローナル抗体産生細胞株からラット抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」という)を得ることができた。
【0384】
〔実施例3〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製−3回目)
前記実施例1及び実施例2とは別の時に、前記実施例1の(1)〜(4)の記載の通りに操作を行い、三たび、抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製を行った。(3回目)
【0385】
その結果、生育した融合細胞株の中から一つのクローンを確立し、SS18A株と命名した。
【0386】
そして、SS18A株のモノクローナル抗体産生細胞株からラット抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」という)を得ることができた。
【0387】
〔実施例4〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製−4回目)
前記実施例1、実施例2及び実施例3とは別の時に、以下の手順により、抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製を行った。(4回目)
【0388】
(1) 前記参考例1の(1)で調製したペリオスチン溶液1容量に対して、化学合成アジュバントとしてのTiter Max Gold(フナコシ社、日本国東京都)を1容量の割合で混合した。
【0389】
(2) 次に、マウスの腹腔内に免疫原として、10〜50μgの前記のペリオスチン溶液とTiter Max Goldとの混合物を注射し、10日〜2週間後、再度マウスの腹腔内に免疫原として、10〜50μgの前記のペリオスチン溶液とTiter Max Goldとの混合物を注射した。
なお、ここで、マウスは、Riosらの文献(H.Riosら,Molecular and Cellular Biology,25巻,24号,11131〜11144頁,2005年発行)の記載に従って得たペリオスチンノックアウトマウス(BALB/c)を用いた。
【0390】
(3) 最終免疫より3〜4日後に、免疫したマウスの脾臓の細胞と、ミエローマ細胞(Sp2/O細胞)を1対1から10対1の割合で混合し、一般的な方法でポリエチレングリコール(PEG1500、Roche社、スイス国)を加えて細胞融合させ、生育したハイブリドーマコロニーを選別した。
【0391】
具体的には、細胞融合は次のように行った。
混合した前記リンパ節細胞とミエローマ細胞(Sp2/O細胞)を遠心して上清を除き、室温でポリエチレングリコール(PEG1500、Roche社、スイス国)1mLに1分間かけて懸濁した後、37℃で1分間撹拌した。
血清不含培地1mLを1分間かけて加え、その後、血清不含培地10mLを1分間かけて加えた。
【0392】
細胞を数回洗浄した後、ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン含有培地に懸濁して96穴マイクロタイタープレートに分注して、37℃において5%CO
2存在下で培養した。
【0393】
生育したモノクローナル抗体産生細胞株(融合細胞株)の選別の方法としては、細胞融合から7〜14日後、免疫原に使用した前記のペリオスチンを固相化し、融合細胞培養上清を一次抗体としたELISA法の系にて行った。
【0394】
このELISA法は具体的には、次のように行った。
1μg/mLの前記のペリオスチンを96穴マイクロタイタープレートに分注し、数時間固相化させた。
【0395】
この固相化溶液を洗浄した後、融合細胞培養上清を各ウェルに加え、1時間室温にて静置した。
【0396】
融合細胞培養上清を洗浄して、二次抗体としてペルオキシダーゼ標識ヒツジ抗マウスIgG抗体(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)を加え1時間室温に静置した。
【0397】
この二次抗体を洗浄後、ABTSペルオキシダーゼ基質(KPL社、メリーランド州Gaithersburg、米国)を加えて発色させ、405nmの吸光度を測定した。
【0398】
生育した融合細胞株の中から4つのクローンを確立し、それぞれSS19A株、SS19B株、SS19C株、そしてSS19D株と命名した。
【0399】
(4) この選別したモノクローナル抗体産生細胞株からIgGを次のように精製した。
このモノクローナル抗体産生細胞株を、GIT培地(日本製薬社、日本国東京都)を用いてCO
2インキュベータ内37℃で培養した。
培養後、上清中のIgGをプロテインGカラム(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)に結合させた。
結合させたIgGを、50mMクエン酸水溶液(pH2.6)で溶出した。
【0400】
溶出液4容量に対して、1Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕緩衝液1容量を添加し、精製IgGとして、マウス抗ペリオスチンモノクローナル抗体を前記のモノクローナル抗体産生細胞株より取得した。
【0401】
そして、SS19A株のモノクローナル抗体産生細胞株からマウス抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」という)を、SS19B株のモノクローナル抗体産生細胞株からマウス抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」という)を、SS19C株のモノクローナル抗体産生細胞株からマウス抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」という)を、更にSS19D株のモノクローナル抗体産生細胞株からマウス抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」という)をそれぞれ得ることができた。
【0402】
これらの抗体の代表例として、抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)の重鎖可変領域のアミノ酸配列を配列番号16で表し、このアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの塩基配列を配列番号15で表す。また、当該抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、配列番号18で表し、このアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの塩基配列を配列番号17で表す。
すなわち、本発明の抗体には、抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号16で表されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号18で表されるアミノ酸配列を含む、モノクローナル抗体が含まれる。
【0403】
〔実施例5〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製−5回目)
前記実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4とは別の時に、前記実施例4の(1)〜(4)の記載の通りに操作を行い、抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製を行った。(5回目)
【0404】
その結果、生育した融合細胞株の中から一つのクローンを確立し、SS20A株と命名した。
【0405】
そして、SS20A株のモノクローナル抗体産生細胞株からマウス抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」という)を得ることができた。
【0406】
〔実施例6〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製−6回目)
前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4及び実施例5とは別の時に、前記実施例1の(1)〜(4)の記載の通りに操作を行い、抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製を行った。(6回目)
【0407】
その結果、生育した融合細胞株の中から一つのクローンを確立し、SS21A株と命名した。
【0408】
そして、SS21A株のモノクローナル抗体産生細胞株からラット抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」という)を得ることができた。
【0409】
〔実施例7〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の認識部位の確認)
前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6において取得した抗ペリオスチンモノクローナル抗体のそれぞれについて、ペリオスチンのどの領域を認識しているかの確認を行った。
【0410】
1.測定
(1) 前記参考例1の(1)〜(7)で調製したペリオスチン又は部分ペリオスチン〔下記の(a)〜(g)〕のそれぞれをリン酸緩衝生理食塩水により5μg/mLの濃度となるように調製したもの、又は対照としてのリン酸緩衝生理食塩水を、各々96穴マイクロタイタープレート(Thermo Fisher Scientific Inc社、イリノイ州、米国)のウェルに50μL注入し、5℃で18時間静置し、前記のペリオスチン又は部分ペリオスチンを前記マイクロタイタープレートのウェルに固相化した。
【0411】
(a) 「ペリオスチン」
(b) 「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」
(c) 「部分ペリオスチン(R2領域)」
(d) 「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」
(e) 「部分ペリオスチン(R4領域)」
(f) 「部分ペリオスチン(EMI領域)」
(g) 「部分ペリオスチン(C末端領域)」
【0412】
(2) 次に、前記(1)のマイクロタイタープレートの各ウェルを洗浄液〔0.05%のTween20を含有するトリス緩衝液(TBS)〕で3回洗浄した。
【0413】
(3) 次に、前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6で取得した抗ペリオスチンモノクローナル抗体〔下記の(i)〜(ix)〕のそれぞれを、前記(2)で洗浄を行ったマイクロタイタープレートのウェルに50μL注入し、25℃で1時間静置し、前記マイクロタイタープレートのウェルに固相化されたペリオスチン又は部分ペリオスチンのそれぞれと、前記の各抗ペリオスチンモノクローナル抗体とをそれぞれ反応させた。
【0414】
(i) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」
(ii) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」
(iii) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」
(iv) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」
(v) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」
(vi) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」
(vii) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」
(viii) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」
(ix) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」
【0415】
(4) 次に、前記(3)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液で3回洗浄した。
【0416】
(5) 次に、前記(4)で洗浄を行ったマイクロタイタープレートの各ウェルに、リン酸緩衝生理食塩水によって2000倍希釈したPOD標識抗ラットIgG抗体(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)又はPOD標識抗マウスIgG抗体(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)を50μL注入し、25℃で1時間静置し、反応を行わせた。
【0417】
なお、このPOD標識抗IgG抗体をマイクロタイタープレートのウェルに注入することであるが、このPOD標識抗IgG抗体が「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」、又は「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」である場合には、前記のマイクロタイタープレートのウェルには前記POD標識抗ラットIgG抗体を注入した。
また、このPOD標識抗IgG抗体が「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」、又は「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」である場合には、前記のマイクロタイタープレートのウェルには前記POD標識抗マウスIgG抗体を注入した。
【0418】
(6) 次に、前記(5)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液で3回洗浄した。
【0419】
(7) 次に、Peroxidase Substrate Solution A(KPL社、米国)とPeroxidase Substrate Solution B(KPL社、米国)とを1:1で混合して調製した発色基質液の50μLを、前記(6)で洗浄を行ったマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて10分間静置し、反応を行わせ、発色させた。
【0420】
(8) 次に、前記(7)のマイクロタイタープレートの各ウェルについて、分光光度計を用いて405nmにおける吸光度を測定した。
【0421】
この吸光度の測定結果より、前記の各々の抗ペリオスチンモノクローナル抗体において、マイクロタイタープレートに固相化したそれぞれのペリオスチン又は部分ペリオスチン毎に、得られた吸光度の測定値と対照のウェル(ペリオスチン又は部分ペリオスチンに代えてリン酸緩衝生理食塩水を注入したウェル)の吸光度の測定値との吸光度差が0.2以上の場合に、前記の抗ペリオスチンモノクローナル抗体がマイクロタイタープレートのウェルに固相化されたペリオスチン又は部分ペリオスチンに結合していると判断した。
【0422】
すなわち、前記の吸光度差が0.2以上の場合に、前記の抗ペリオスチンモノクローナル抗体がマイクロタイタープレートのウェルに固相化されたペリオスチン又は部分ペリオスチンのいずれかの領域を認識していると判断した。
【0423】
2.結果
(1) 前記1における測定の結果を
図4に示した。
【0424】
この図において、前記の抗ペリオスチンモノクローナル抗体と、前記のペリオスチン又は部分ペリオスチンとを反応させて測定した結果、前記の吸光度差が0.2以上の場合、すなわち、前記の抗ペリオスチンモノクローナル抗体が前記のペリオスチン又は部分ペリオスチンに結合していると判断できた場合の組合せについては、「○」を示した。
【0425】
また、この測定結果に基づき、前記の各抗ペリオスチンモノクローナル抗体が、ペリオスチンのどの領域を認識しているかを判断した結果をこの図の右端の欄に示した。
【0426】
(2) この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」及び「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R4領域)」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」は、ペリオスチンのR3領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
【0427】
(3) また、この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」及び「部分ペリオスチン(R4領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」は、ペリオスチンのR4領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
【0428】
(4) そして、この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」及び「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R4領域)」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」は、ペリオスチンのR1領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
【0429】
(5) 更に、この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」及び「部分ペリオスチン(R4領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」は、ペリオスチンのR4領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
【0430】
(6) また、この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」、「部分ペリオスチン(R4領域)」及び「部分ペリオスチン(EMI領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」は、ペリオスチンのC末端領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
【0431】
(7) そして、この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」及び「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R4領域)」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」は、ペリオスチンのR2領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
【0432】
(8) 更に、この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」及び「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R4領域)」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」は、ペリオスチンのR3領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
【0433】
(9) また、この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」及び「部分ペリオスチン(EMI領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」、「部分ペリオスチン(R4領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」は、ペリオスチンのEMI領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
【0434】
(10) そして、この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」、「部分ペリオスチン(R4領域)」及び「部分ペリオスチン(EMI領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」は、ペリオスチンのC末端領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
【0435】
〔実施例8〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の反応性の確認)
前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6において取得した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の各々について、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物それぞれとの反応性を確認した。
【0436】
〔1〕SS19B株由来以外の抗ペリオスチンモノクローナル抗体
「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」及び「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」の各々について、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物それぞれとの反応性を以下の通り確かめた。
【0437】
1.免疫沈降処理
(1) 前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6において取得した下の(a)〜(h)の抗ペリオスチンモノクローナル抗体の5μgを、1種類ずつ個別に1.5mL容量のチューブに入れた。
【0438】
(a) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」
(b) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」
(c) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」
(d) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」
(e) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」
(f) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」
(g) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」
(h) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」
【0439】
(2) 次に、前記(1)のチューブのそれぞれに、20μLのProtein G Sepharose(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)及び1mLのリン酸緩衝生理食塩水を加えた。
【0440】
この後、このチューブを、5℃で1時間回転させ、前記の各抗ペリオスチンモノクローナル抗体を前記のProtein G Sepharoseに結合させた。
【0441】
(3) 次に、前記(2)のチューブについて遠心分離操作を行った。
上清を除いた後、このチューブの中の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体が結合したProtein G Sepharose」の20μLに、1mLのブロッキング液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕を加えた。
【0442】
この後、このチューブを、5℃で2時間回転させ、抗ペリオスチンモノクローナル抗体が結合していないProtein G Sepharoseの表面をブロッキングした。
【0443】
(4) 次に、前記(3)のチューブについて遠心分離操作を行った。
上清を除いた後、このチューブの中の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体が結合したProtein G Sepharose」の20μLに、前記のブロッキング液により100ng/mLとなるように希釈した前記参考例2のIIの〔1〕の2の「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」の1mLを加えた。
なお、この「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」は、別途確認した結果、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物をそれぞれ含むことが分かっている。(以下、この「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」を、「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」ということがある。)
【0444】
この後、このチューブを、5℃で18時間回転させ、「Protein G Sepharoseに結合した抗ペリオスチンモノクローナル抗体」に、前記の「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のそれぞれを接触させた。
ここで、このProtein G Sepharoseに結合した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」は、この抗体(当該抗体)が認識するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物のいずれか一つ以上と結合する。
【0445】
(5) 次に、前記(4)のチューブについて遠心分離操作を行った。
上清を除いた後、リン酸緩衝生理食塩水によりチューブの中のProtein G Sepharoseを洗浄することにより、Protein G Sepharoseに結合している「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」に結合しなかった遊離のペリオスチンの一量体、多量体及び分解物(すなわち、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」が認識せず結合しなかったペリオスチンの一量体、多量体又は分解物)を全て除去した。
【0446】
以上の操作により、「Protein G Sepharoseに結合した前記抗ペリオスチンモノクローナル抗体と、この抗体(当該抗体)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物との結合物」、すなわち『「Protein G Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」−「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』をそれぞれ調製した。
【0447】
2.SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
(1)試薬
次の(a)〜(c)の試薬をそれぞれ調製した。
【0448】
(a)SDS−ポリアクリルアミドゲル
Funakoshi Easy−Gel(III) プリキャスト・ゲル(10%)(フナコシ社、日本国東京都)を使用した。
【0449】
(b)泳動槽用緩衝液
前記参考例2のIの1の(6)の記載の通りに調製を行い、泳動槽用緩衝液〔0.1%SDS−192mMグリシン−25mMトリス緩衝液〕を調製した。
【0450】
(c)試料処理液
ドデシル硫酸ナトリウム〔SDS〕0.1g
、1Mのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕−塩酸緩衝液(pH6.8)の0.5mL、及びグリセリン2mLを純水に添加、混合した後10mLとして、試料処理液〔1%SD
S−20%グリセリン−50mMトリス緩衝液〕を調製した。
【0451】
(2)試料
前記1の(5)の処理を行った後の各々のチューブの中の、『「Protein G Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」−「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』を、それぞれ試料とした。
【0452】
また、分子量マーカー〔Precision Plus Protein All Blue Standardsマーカー;マーカー分子量 10KDa、15KDa、20KDa、25KDa、37KDa、50KDa、75KDa、100KDa、150KDa及び250KDa;BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国〕も試料とした。
【0453】
(3)電気泳動
前記(1)で調製した試薬を使用し、前記(2)の試料のそれぞれについて、次の操作によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法での電気泳動を行った。
【0454】
(a) 前記(2)の各々のチューブの中の『「Protein G Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」−「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』の試料のそれぞれについて、この各試料の20μLに前記(1)の(c)の試料処理液の13μLを加え、混合した後、100℃で5分間、煮沸処理を行った。
【0455】
なお、前記の各々の試料中の『「Protein G Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」−「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』は、ここで試料処理液と混合されることにより、「Protein G Sepharose」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」、そして「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」にそれぞれ解離する。
すなわち、この添加された試料処理液との混合により、「Protein G Sepharose」と、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」と、「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」は、それぞれ遊離状態のものとなった。
【0456】
(b) 下部泳動槽に前記(1)の(b)の泳動槽用緩衝液を入れた。次に、前記(1)の(a)のSDS−ポリアクリルアミドゲルを泳動槽にセットした。そして次に、上部泳動槽に前記(1)の(b)の泳動槽用緩衝液を入れた。
【0457】
(c) 前記(a)の処理を行った試料それぞれについて、遠心分離処理を行った後、その上清10μLを前記(b)のゲルのコウム穴に注入した。(遠心分離処理後、その上清を取得することにより、「Protein G Sepharose」が除去される。そして、この上清中には、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」が含まれる。)
また、前記(2)の分子量マーカーの試料の5μLを前記(b)のゲルのコウム穴に注入した。
【0458】
なお、このゲルに注入した前記の上清及び分子量マーカーであるが、向かって左側のレーンより、次の(i)〜(ix)の分子量マーカー、及び各々の『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』を順に注入した。
【0459】
(i) 分子量マーカー
(ii) 『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』
(iii) 『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』
(iv) 『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』
(v) 『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』
(vi) 『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』
(vii) 『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』
(viii) 『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』
(ix) 『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』
【0460】
また、このゲルの右端のレーンを、試料を注入しない陰性対照のレーンとした。
【0461】
(d) 次に、20mAの電流で90分間泳動を行った。
【0462】
(e) 前記(d)の泳動を終了した後、ゲルをガラスプレートより取り出した。
【0463】
以上の操作により、前記の各々の抗ペリオスチンモノクローナル抗体毎に、この抗体(当該抗体)が認識し結合したペリオスチンの一量体、多量体又は分解物を、その分子量に従ってゲル中に位置させ、このゲルを取得した。
【0464】
3.ウエスタンブロッティング法
(1) 前記2の(3)の(e)で取得したゲルの転写を、トランスブロットSDセル(BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国)を用いて、その使用説明書に従い、セミドライ方式で行った。
まず、前記2の(3)の(e)で取得したゲルを転写用装置上に置いた。
【0465】
次に、このゲルの上に、9cm×9cmのポリビニルジフルオライド膜(BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国)を重ね、48mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕、39mMグリシン、0.0375%(W/V)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及び20%(V/V)メタノールよりなる転写用緩衝液を用いて、電流200mAで2時間転写を行い、その分子量に従ってゲル中に位置している前記の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」等のタンパク質を前記ゲルより前記ポリビニルジフルオライド膜に転写した。
【0466】
(2) この各々の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」等のタンパク質の転写を行ったポリビニルジフルオライド膜を、ブロッキング液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕の20mLに25℃で2時間浸漬して、ブロッキングを行った。
【0467】
(3) 次に、このポリビニルジフルオライド膜を洗浄液(0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水)の20mL中で10分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
【0468】
(4) 実施例2で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」について、Sulfo−NHS−LC−Biotin(Thermo Fisher Scientific Inc社、イリノイ州、米国;商品コード番号:21335)を用いてビオチン標識処理を行い、ビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を得た。(この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」は、後述するように、ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものである。)
【0469】
また、実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」について、Sulfo−NHS−LC−Biotin(Thermo Fisher Scientific Inc社、イリノイ州、米国;商品コード番号:21335)を用いてビオチン標識処理を行い、ビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を得た。(この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」は、後述するように、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物を認識し結合することができるものである。)
【0470】
標識抗体希釈液(アジ化ナトリウム含有)〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕によりそれぞれ5μg/mLとなるように、前記のビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」とビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を希釈し、これらのビオチン標識抗体の混合液を調製した。
【0471】
このビオチン標識抗体の混合液に前記(3)の洗浄処理を行ったポリビニルジフルオライド膜を室温で一晩浸漬して反応させた。
【0472】
これにより、ポリビニルジフルオライド膜に転写された、前記の各々の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」と、前記のビオチン標識「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」及びビオチン標識「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」とを反応させた。
【0473】
(5) 前記(4)の操作を行ったポリビニルジフルオライド膜を、20mLの前記洗浄液中で5分間振とう洗浄を行った。これを3回行った。
【0474】
(6) 次に、パーオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Stereospecific Detection Technologies社、ドイツ国)を、標識抗体希釈液〔0.5%のカゼイン、及び100mMの塩化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕により15000倍に希釈し調製したPOD標識ストレプトアビジン溶液に、前記(5)のポリビニルジフルオライド膜を室温で90分間浸漬して反応させた。
【0475】
(7) 前記(6)の操作を行ったポリビニルジフルオライド膜を、20mLの前記洗浄液中で5分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
【0476】
(8) 0.025%の3,3’−ジアミノベンジジン四塩酸塩及び0.01%過酸化水素を含むリン酸緩衝生理食塩水の20mLに、前記(7)のポリビニルジフルオライド膜を室温で15分間浸漬して発色させた。
【0477】
これにより、このポリビニルジフルオライド膜において、前記の各々の抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合したペリオスチンの一量体、多量体又は分解物の分子量に応じた位置に、発色を生じさせた。
【0478】
(9) 前記(8)で発色させたポリビニルジフルオライド膜を撮影した。
【0479】
このポリビニルジフルオライド膜上の発色の有無及びその発色した位置(分子量)より、前記の各々の抗ペリオスチンモノクローナル抗体について、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のそれぞれとの反応性を確認した。
【0480】
4.結果
(1) 前記3の(9)で撮影したポリビニルジフルオライド膜を
図5に示した。
【0481】
この図において、左側のレーンより順に、分子量マーカーのレーン(「MM」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「16A」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「17B」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「18A」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「19A」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「19C」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「19D」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「20A」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「21A」と表記)、及び陰性対照のレーン(「(−)」と表記)を表す。
【0482】
また、この図において、150KDaと250KDaの分子量マーカーの間に位置する太いバンドはその分子量よりペリオスチンの多量体(その分子量からペリオスチンの三量体と推測される)を表し、75KDaの分子量マーカーの近辺から高分子量側にかけて見られる太いバンドはその分子量よりペリオスチンの一量体を表し、そして37KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの分解物を表す。
【0483】
(2) そして、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を示す位置のいずれにおいても発色が認められるので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」はペリオスチンの多量体、一量体及び分解物のいずれをも認識し結合することが確かめられた。
【0484】
(3) また、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの多量体及び一量体を示す位置においては発色が認められるが、ペリオスチンの分解物を示す位置においては発色が認められないので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」はペリオスチンの多量体及び一量体を認識し結合するが、ペリオスチンの分解物は認識せず、結合しないことが確かめられた。
【0485】
(4) また、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を示す位置のいずれにおいても発色が認められるので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」はペリオスチンの多量体、一量体及び分解物のいずれをも認識し結合することが確かめられた。
【0486】
(5) また、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの多量体及び一量体を示す位置においては発色が認められるが、ペリオスチンの分解物を示す位置においては発色が認められないので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」はペリオスチンの多量体及び一量体を認識し結合するが、ペリオスチンの分解物は認識せず、結合しないことが確かめられた。
【0487】
(6) また、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を示す位置のいずれにおいても発色が認められるので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」はペリオスチンの多量体、一量体及び分解物のいずれをも認識し結合することが確かめられた。
【0488】
(7) また、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの一量体及び分解物を示す位置においては発色が認められるが、ペリオスチンの多量体を示す位置においては発色が認められないので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」はペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合するが、ペリオスチンの多量体は認識せず、結合しないことが確かめられた。
【0489】
(8) また、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を示す位置のいずれにおいても発色が認められるので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」はペリオスチンの多量体、一量体及び分解物のいずれをも認識し結合することが確かめられた。
【0490】
(9) また、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの多量体及び一量体を示す位置においては発色が認められるが、ペリオスチンの分解物を示す位置においては発色が認められないので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」はペリオスチンの多量体及び一量体を認識し結合するが、ペリオスチンの分解物は認識せず、結合しないことが確かめられた。
【0491】
(10) そして、この図の右端のレーンの陰性対照においては、何も発色が認められないことより、非特異的な結合及び発色が生じていないことが確かめられた。
【0492】
〔2〕SS19B株由来の抗ペリオスチンモノクローナル抗体
「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」について、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物それぞれとの反応性を以下の通り確かめた。
【0493】
1.SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
(1)試薬
次の(a)〜(c)の試薬をそれぞれ調製した。
【0494】
(a)SDS−ポリアクリルアミドゲル
Funakoshi Easy−Gel(III) プリキャスト・ゲル(10%)(フナコシ社、日本国東京都)を使用した。
【0495】
(b)泳動槽用緩衝液
前記参考例2のIの1の(6)の記載の通りに調製を行い、泳動槽用緩衝液〔0.1%SDS−192mMグリシン−25mMトリス緩衝液〕を調製した。
【0496】
(c)試料処理液
前記〔1〕の2の(1)の(c)の記載の通りに調製を行い、試料処理液〔1%SD
S−20%グリセリン−50mMトリス緩衝液〕を調製した。
【0497】
(2)試料
前記参考例2のIIの〔1〕の2の「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」、すなわち「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」の50ngを標準試料として用いた。
前記の通り、この「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」(「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」)は、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物をそれぞれ含むことが分かっている。
【0498】
また、分子量マーカー〔Precision Plus Protein All Blue Standardsマーカー;マーカー分子量 10KDa、15KDa、20KDa、25KDa、37KDa、50KDa、75KDa、100KDa、150KDa及び250KDa;BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国〕も試料として用いた。
【0499】
(3)電気泳動
前記(1)で調製した試薬を使用し、前記(2)の試料のそれぞれについて、次の操作によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法での電気泳動を行った。
【0500】
(a) 前記(2)の「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」の試料について、この試料の20μLに前記(1)の(c)の試料処理液の13μLを加え、混合した後、100℃で5分間、煮沸処理を行った。
【0501】
(b) 下部泳動槽に前記(1)の(b)の泳動槽用緩衝液を入れた。次に、前記(1)の(a)のSDS−ポリアクリルアミドゲルを泳動槽にセットした。そして次に、上部泳動槽に前記(1)の(b)の泳動槽用緩衝液を入れた。
【0502】
(c) 前記(a)の処理を行った試料について、遠心分離処理を行った後、その上清10μLを前記(b)のゲルのコウム穴に注入した。
また、前記(2)の分子量マーカーの試料の5μLを前記(b)のゲルのコウム穴に注入した。
なお、このゲルに注入した前記の上清及び分子量マーカーであるが、向かって左側のレーンより、次の(i)〜(ii)の分子量マーカー、及び『「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物」を含む上清』を順に注入した。
【0503】
(i) 分子量マーカー
(ii) 『「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物」を含む上清』
【0504】
(d) 次に、20mAの電流で90分間泳動を行った。
【0505】
(e) 前記(d)の泳動を終了した後、ゲルをガラスプレートより取り出した。
【0506】
以上の操作により、ペリオスチンの一量体、多量体又は分解物を、その分子量に従ってゲル中に位置させ、このゲルを取得した。
【0507】
2.ウエスタンブロッティング法
(1) 実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」をSulfo−NHS−LC−Biotin(Thermo Fisher Scientific Inc社、イリノイ州、米国;商品コード番号:21335)を用いてビオチン標識処理を行い、得られたビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」を前記の標識抗体希釈液(アジ化ナトリウム含有)により5μg/mLとなるように希釈し、ビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」の溶解液を調製した。
【0508】
(2) 前記〔1〕の3の(4)におけるビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」とビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」との混合液に代えて、前記(1)のビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」の溶解液を使用すること以外は、前記〔1〕の3の(1)〜(9)の記載の通りに操作を行った。
【0509】
これにより、その分子量に従ってゲル中に位置しているペリオスチンの一量体、多量体及び分解物を、前記1の(3)で取得したゲルよりこのポリビニルジフルオライド膜に転写し、そして、この転写したペリオスチンの一量体、多量体及び分解物に前記のビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」を接触させ、反応させ、これらの間の結合の有無を確かめた。
【0510】
そして、このウエスタンブロッティング法により、発色させたポリビニルジフルオライド膜を取得した。
【0511】
このポリビニルジフルオライド膜上の発色の有無及びその発色した位置(分子量)より、前記の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」のペリオスチンの一量体、多量体及び分解物それぞれとの反応性を確認した。
【0512】
3.結果
(1) 前記2で得たポリビニルジフルオライド膜を
図6に示した。
【0513】
この図において、左側のレーンより順に、分子量マーカーのレーン(「MM」と表記)、そして次に「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「19B」と表記)を表す。
【0514】
また、この図において、150KDaの分子量マーカーのより高分子側の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの多量体を表し、75KDaの分子量マーカーのより高分子側の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの一量体を表す。
【0515】
(2) そして、この図では、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」を反応させたペリオスチン(一量体、多量体及び分解物)のレーンにおいては、ペリオスチンの多量体及び一量体を示す位置においてはそれぞれ発色が認められる。
しかし、前記のペリオスチンの一量体を表すバンドよりも低分子量側には発色(バンド)は認められない。すなわち、ペリオスチンの分解物を示す位置においては発色は認められない。
よって、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」はペリオスチンの多量体及び一量体を認識し結合するが、ペリオスチンの分解物は認識せず、結合しないことが確かめられた。
【0516】
〔3〕まとめ
前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6において取得した各々の抗ペリオスチンモノクローナル抗体について、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物それぞれとの反応性をまとめたものを
図7に示す。
【0517】
この図で、前記の各抗ペリオスチンモノクローナル抗体において、ペリオスチンの一量体、多量体又は分解物の内、認識し結合するものについては、「○」で示した。
【0518】
この図より、各抗ペリオスチンモノクローナル抗体はいずれも、ペリオスチンの一量体を認識し、結合することができることが分かる。
【0519】
また、この図より、次の抗ペリオスチンモノクローナル抗体は、ペリオスチンの分解物を認識できず、結合することができないことが分かる。
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」
【0520】
そして、この図より、次の抗ペリオスチンモノクローナル抗体は、ペリオスチンの分解物を認識し、結合することができることが分かる。
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」
【0521】
更に、この図より、次の抗ペリオスチンモノクローナル抗体は、ペリオスチンの分解物を認識し、結合することができ、かつ、ペリオスチンの多量体を認識できず、結合することができないことが分かる。
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」
【0522】
なお、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS19D株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受託番号:NITE P−1068」として2011年2月22日付けにて寄託されている。〔なお、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS19D株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年2月7日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年2月9日](受託番号:NITE BP−1068)〕
【0523】
また、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS16A株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1281」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS16A株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1281)
【0524】
そして、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS18A株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1282」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS18A株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1282)
【0525】
また、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS19C株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1283」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS19C株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1283)
【0526】
そして、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS20A株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1284」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS20A株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1284)
【0527】
〔実施例9〕(ヒト血清中のペリオスチンの確認)
ヒト血清中のペリオスチンを、免疫沈降、電気泳動及びウエスタンブロッティングの処理を行うことによって確認した。
【0528】
〔1〕健常者の血清
健常者の血清のペリオスチンについて、以下の通り確かめた。
【0529】
1.免疫沈降処理
(1) 1.5mL容量のチューブに、ベッド容量で100μLのNHS−activated Sepharose(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)を入れ、遠心分離操作を行い上清を除去した。
【0530】
(2) 前記(1)のチューブに1mMの塩酸を加え、NHS−activated Sepharoseを懸濁し、直後に遠心分離操作を行い上清を除去した。
【0531】
(3) 0.1M炭酸ナトリウム−0.5M塩化ナトリウム溶液(pH8.3)を溶媒とする前記実施例4において取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)の85μg(タンパク質量として)を、前記(2)のチューブに入れた。
【0532】
この後、このチューブを、攪拌しながら25℃で1時間保温し、前記の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を前記のNHS−activated Sepharoseに結合させた。
【0533】
(4) 次に、前記(3)のチューブについて遠心分離操作を行った。
上清を除いた後、このチューブの中の前記「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」が結合したNHS−activated Sepharoseに、1mLのブロッキング液〔0.5M 2−アミノエタノール−0.5M塩化ナトリウム(pH8.3)〕を加えた。
【0534】
この後、これらのチューブを、25℃で1時間放置し、前記の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」が結合していないNHS−activated Sepharoseの表面をブロッキングした。
【0535】
(5) 次に、前記(4)のチューブについて遠心分離操作を行った。
上清を除いた後、このチューブに1mLの20%エタノールを入れて、4℃に18時間保存した。
【0536】
(6) その後、新しい1.5mL容量のチューブを用意し、ベッド容量で10μLの前記(5)の『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」(8.5μg)が結合したNHS−activated Sepharose』を個別にそれぞれのチューブに加えた。
【0537】
(7)これらのチューブに、一人の健常者の血清の25μL、50μL又は100μLを個別を加えた。
【0538】
この後、これらのチューブを、5℃で18時間回転させ、『NHS−activated Sepharoseに結合した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」』に、前記の健常者の血清に含まれていたペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)を接触させた。
【0539】
(8) 次に、前記(7)のチューブ(健常者の血清量が25μL、50μL又は100μLのものの各々)について遠心分離操作を行った。
上清を除いた後、洗浄液〔10mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン[Tris]−150mM塩化ナトリウム−0.05%Tween20(pH8.0)〕によりチューブ中のNHS−activated Sepharoseを3回洗浄し、『NHS−activated Sepharoseに結合した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」』に結合しなかった遊離のペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)を全て除去した。
【0540】
以上の操作により、『「NHS−activated Sepharoseに結合した前記抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」と「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」との結合物』、すなわち『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』を調製した。
【0541】
2.SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
(1)試薬
次の(a)〜(h)の試薬をそれぞれ調製した。
【0542】
(a)アクリルアミド溶液
前記参考例2のIの1の(1)の記載の通りに調製を行い、アクリルアミド溶液〔30%アクリルアミド保存液〕を調製した。
【0543】
(b)SDS−1.5Mトリス溶液
前記参考例2のIの1の(2)の記載の通りに調製を行い、SDS−1.5Mトリス溶液〔0.4%SDS−1.5Mトリス塩酸緩衝液〕を調製した。
【0544】
(c)SDS−0.5Mトリス溶液
前記参考例2のIの1の(3)の記載の通りに調製を行い、SDS−0.5Mトリス溶液〔0.4%SDS−0.5Mトリス塩酸緩衝液〕を調製した。
【0545】
(d)過硫酸アンモニウム溶液
前記参考例2のIの1の(4)の記載の通りに調製を行い、過硫酸アンモニウム溶液〔10%過硫酸アンモニウム水溶液〕を調製した。
【0546】
(e)TEMED溶液
前記参考例2のIの1の(5)の記載の通り、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(ナカライテスク社、日本国京都府)を使用した。
【0547】
(f)泳動槽用緩衝液
前記参考例2のIの1の(6)の記載の通りに調製を行い、泳動槽用緩衝液〔0.1%SDS−192mMグリシン−25mMトリス緩衝液〕を調製した。
【0548】
(g)試料処理液(還元剤含有)
ドデシル硫酸ナトリウム〔SDS〕0.4g、2−メルカプトエタノール(還元剤)1.2mL、1Mのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕−塩酸緩衝液(pH6.8)の1mL、及びグリセリン2mLを純水に添加、混合した後10mLとして、試料処理液(還元剤含有)〔4%SDS−12%2−メルカプトエタノール−20%グリセリン−100mMトリス緩衝液〕を調製した。
【0549】
(h)試料処理液(還元剤不含有)
ドデシル硫酸ナトリウム〔SDS〕0.4g、1Mのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕−塩酸緩衝液(pH6.8)の1mL、及びグリセリン2mLを純水に添加、混合した後10mLとして、試料処理液(還元剤不含有)〔1%SDS−20%グリセリン−100mMトリス緩衝液〕を調製した。
【0550】
(2)試料
前記1の(8)の処理を行った後のそれぞれのチューブ(健常者の血清量が25μL、50μL又は100μLのものの各々)の中の『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』を次の通りそれぞれ試料とした。
【0551】
また、前記参考例2のIIの〔1〕の2の「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」、すなわち「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」の800ngを次の通り標準試料として用いた。
前記の通り、この「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」(「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」)は、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物をそれぞれ含むことが分かっている。
【0552】
更に、分子量マーカー〔Precision Plus Protein All Blue Standardsマーカー;マーカー分子量 10KDa、15KDa、20KDa、25KDa、37KDa、50KDa、75KDa、100KDa、150KDa及び250KDa;BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国〕も次の通り試料とした。
【0553】
(a) 『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』 (健常者の血清量:100μL)
(b) 『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』 (健常者の血清量:50μL)
(c) 『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』 (健常者の血清量:25μL)
(d) 標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)
(e) 分子量マーカー〔マーカー分子量 10KDa、15KDa、20KDa、25KDa、37KDa、50KDa、75KDa、100KDa、150KDa及び250KDa〕
【0554】
(3)電気泳動
前記(1)で調製した試薬を使用し、前記(2)の試料のそれぞれについて、次の操作によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法での電気泳動を行った。
【0555】
(a) 前記(1)の(a)、(b)、(d)及び(e)で調製した試薬及び純水を用いて、アクリルアミド濃度が7.5%の分離ゲル溶液を調製した。
この分離ゲル溶液を、組み立てたガラスプレートに注入した後、純水を上に重層し、そしてゲル化反応を30分間行わせた。
【0556】
(b) 前記(1)の(a)、(c)、(d)及び(e)で調製した試薬及び純水を用いて、アクリルアミド濃度が1.3%の濃縮ゲル溶液を調製した。
前記(a)のガラスプレートより純水を捨て、ここにこの濃縮ゲル溶液を少量注入し洗浄した後、濃縮ゲル溶液を注入した。そして、ここにサンプルコウムを挿入し、そしてゲル化反応を30分間行わせた。
【0557】
(c) 前記(2)の(a)〜(d)の試料のそれぞれについて、この各試料の10μLに前記(1)の(g)の試料処理液(還元剤含有)の20μLを加え、混合した後、還元剤存在下で100℃で10分間、煮沸処理を行った。
【0558】
なお、前記(2)の(a)〜(c)の各々の試料中の『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』は、ここで試料処理液(還元剤含有)と混合されることにより、「NHS−activated Sepharose」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」、そして「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」にそれぞれ解離する。
すなわち、この添加された試料処理液との混合により、「NHS−activated Sepharose」と、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」と、「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」は、それぞれ遊離状態のものとなった。
【0559】
(d) 下部泳動槽に前記(1)の(f)の泳動槽用緩衝液を入れた。次に、前記(b)のゲルよりサンプルコウムを抜き洗浄した後、泳動槽にセットした。そして次に、上部泳動槽に前記(1)の(f)の泳動槽用緩衝液を入れた。
【0560】
(e) 前記(c)の処理を行った試料それぞれについて、遠心分離処理を行った後、その上清20μLを前記(d)のゲルのコウム穴に注入した。
また、前記(2)の(e)の分子量マーカーの試料の5μLを前記(d)のゲルのコウム穴に注入した。
なお、このゲルに注入した前記の上清及び分子量マーカーであるが、向かって左側のレーンより、次の(i)〜(v)の各「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の上清、標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)の上清、及び分子量マーカーを順に注入した。
【0561】
(i) 「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」(健常者の血清量:100μL)の上清
(ii) 「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」(健常者の血清量:50μL)の上清
(iii) 「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」(健常者の血清量:25μL)の上清
(iv) 標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)の上清
(v) 分子量マーカー
【0562】
(f) 次に、30mAの電流で60分間泳動を行った。
【0563】
(g) 前記(f)の泳動を終了した後、ゲルをガラスプレートより取り出した。
【0564】
以上の操作により、前記(c)において還元剤を存在させた場合について、前記の試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)をその分子量に従って位置させ、このゲルを取得した。
【0565】
(h) また、前記(c)において、試料処理液(還元剤含有)に代えて前記(1)の(h)の試料処理液(還元剤不含有)を用いて還元剤非存在下で処理を行うこと、そして、前記(e)において分子量マーカーの試料をゲルのコウム穴に注入することは行わず前記の上清のみをゲルのコウム穴に注入したこと以外は、前記(a)〜(g)の記載の通りに操作を行い、前記(c)において還元剤を存在させない場合について、前記の試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)をその分子量に従って位置させ、このゲルを取得した。
【0566】
3.ウエスタンブロッティング法
(1) 前記2の(3)の(g)及び(h)でそれぞれ取得したゲルについて、その転写をMini Protean II Cellキット(BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国)を用いて、その使用説明書に従い、ウェット方式で行った。
まず、前記2の(3)の(g)及び(h)でそれぞれで取得したゲルを転写用装置上に置いた。
【0567】
次に、これらのゲルの上に、6cm×9cmのポリビニルジフルオライド膜(Millipore社、マサチューセッツ州、米国)をそれぞれ重ね、25mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕、39mMグリシン、0.0375%(W/V)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及び20%(V/V)メタノールよりなる転写用緩衝液を用いて、電流65mAで2時間転写を行い、試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)等のゲル上のタンパク質を前記のゲルより前記ポリビニルジフルオライド膜に転写した。
【0568】
(2) 試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)等のこのゲル上のタンパク質の転写を行ったポリビニルジフルオライド膜のそれぞれを、4%スキムミルク及び0.05%Tween20を含むトリス緩衝生理食塩水〔10mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン[Tris]−150mM塩化ナトリウム(pH8.0)〕の50mLに室温で1時間浸漬して、ブロッキングを行った。
【0569】
(3) 次に、これを洗浄液(0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水)の20mL中で10分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
【0570】
(4) 4%スキムミルク及び0.05%Tween20を含むトリス緩衝生理食塩水〔10mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン[Tris]−150mM塩化ナトリウム(pH8.0)〕により1μg/mLとなるように、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)を希釈し、この抗体の溶解液を調製した。
【0571】
この抗体の溶解液に前記(3)の洗浄処理を行ったそれぞれのポリビニルジフルオライド膜を4℃で一晩浸漬して反応させた。
【0572】
これにより、ポリビニルジフルオライド膜に転写された、前記の試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)と、前記の抗体溶液中の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」とを反応させた。
【0573】
(5) 前記(4)の操作を行ったそれぞれのポリビニルジフルオライド膜を、50mLの前記洗浄液中で10分間振とう洗浄を行った。これを3回行った。
【0574】
(6) 次に、パーオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体溶液を、TrueBlot ULTRA(eBioscience社、San Diego、カリフォルニア州、米国)を、4%スキムミルクを含むトリス緩衝生理食塩水〔10mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン[Tris]−150mM塩化ナトリウム(pH8.0)〕により3000倍に希釈することにより調製した。
そして、このパーオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体溶液に、前記(4)のそれぞれのポリビニルジフルオライド膜を室温で45分間浸漬して反応させた。
【0575】
(7) これらのポリビニルジフルオライド膜を、50mLの前記洗浄液中で5分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
【0576】
(8) ECL Western Blotting Detection Reagents(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)の2mLに、前記(7)のそれぞれのポリビニルジフルオライド膜を室温で1分間浸漬して発光させた。
【0577】
これにより、前記のペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)の分子量に応じた位置に、発光を生じさせた。
【0578】
(9) 前記(8)で発光させたそれぞれのポリビニルジフルオライド膜を撮影した。
【0579】
これらのポリビニルジフルオライド膜上の発光の有無及びその発光した位置(分子量)より、前記の試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)の存在を確認した。
【0580】
4.結果
(1) 前記3の(9)で得たそれぞれのポリビニルジフルオライド膜の写真を
図8に示した。
【0581】
この図において、左側のパターンは前記の電気泳動処理時に試料処理液(還元剤含有)を用いて還元剤を存在させた場合のポリビニルジフルオライド膜を示し、右側のパターンは前記の電気泳動処理時に試料処理液(還元剤不含有)を用いて還元剤を存在させない場合のポリビニルジフルオライド膜を示す。
【0582】
なお、この左側のパターンにおいて、左側のレーンより順に、前記1の(7)においてチューブに加えた健常者の血清の量が100μLの場合のレーン(「100μL」と表記)、前記1の(7)においてチューブに加えた健常者の血清の量が50μLの場合のレーン(「50μL」と表記)、前記1の(7)においてチューブに加えた健常者の血清の量が25μLの場合のレーン(「25μL」と表記)、前記2の(2)の(d)の標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)を試料とした場合のレーン(「標準試料」と表記)、及び前記2の(2)の(e)の分子量マーカーを試料とした場合のレーン(「MM」と表記)を表す。
【0583】
そして、この左側のパターンにおいて、150KDaの分子量マーカーの近辺から高分子量側にかけて見られる太いバンドはその分子量よりペリオスチンの多量体(その分子量からペリオスチン二量体と推測される)を表し、75KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの一量体を表し、そして37KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの分解物を表す。
【0584】
また、この右側のパターンにおいて、左側のレーンより順に、前記1の(7)においてチューブに加えた健常者の血清の量が100μLの場合のレーン(「100μL」と表記)、前記1の(7)においてチューブに加えた健常者の血清の量が50μLの場合のレーン(「50μL」と表記)、前記1の(7)においてチューブに加えた健常者の血清の量が25μLの場合のレーン(「25μL」と表記)、及び前記2の(2)の(d)の標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)を試料とした場合のレーン(「標準試料」と表記)を表す。
【0585】
そして、この右側のパターンにおいて、250KDaの分子量マーカーの近辺から高分子量側にかけて見られる太いバンドはその分子量よりペリオスチンの多量体(その分子量からペリオスチンの三量体と推測される)を表し、75KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの一量体を表し、そして37KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの分解物を表す。
【0586】
(2) この図の左側のパターンより、健常者の血清について、電気泳動処理時に試料処理液(還元剤含有)を用いて還元剤を存在させた場合には、いずれの血清量においても、ペリオスチンの多量体の位置及び分解物の位置の両方において発光は見られず、ペリオスチンの一量体の位置においてのみ発光が見られることが分かる。
【0587】
(3) また、この図の右側のパターンより、健常者の血清について、電気泳動処理時に試料処理液(還元剤不含有)を用いて還元剤を存在させない場合には、いずれの血清量においても、ペリオスチンの一量体の位置及び分解物の位置の両方において発光は見られず、ペリオスチンの多量体の位置においてのみ発光が見られることが分かる。
【0588】
〔2〕肺線維症罹患者の血清
肺線維症罹患者の血清のペリオスチンについて、以下の通り確かめた。
【0589】
1.免疫沈降処理
前記〔1〕の1の(7)における「一人の健常者の血清の25μL、50μL又は100μLを個別にそれぞれのチューブに加えた」ことを、「三人の肺線維症罹患者それぞれの血清及び一人の健常者の血清の1mLを個々にそれぞれのチューブ(1.5mL容量)に加えた」ことに代えること以外は、前記〔1〕の1の(1)〜(8)の記載の通りに操作を行い、これらの肺線維症罹患者又は健常者の血清に含まれているペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)に関し、『「NHS−activated Sepharoseに結合した前記抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」と「試料(肺線維症罹患者又は健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」との結合物』、すなわち『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(肺線維症罹患者又は健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』をそれぞれ調製した。
【0590】
2.SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
(1)試薬
前記〔1〕の2の(1)における(a)〜(h)の記載の通りに各試薬をそれぞれ調製した。
【0591】
(2)試料
前記1において調製した『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(肺線維症罹患者又は健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』を次の通りそれぞれ試料とした。
【0592】
また、前記参考例2のIIの〔1〕の2の「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」、すなわち「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」の800ngを次の通り標準試料として用いた。
前記の通り、この「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」(「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」)は、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物をそれぞれ含むことが分かっている。
【0593】
更に、分子量マーカー〔Precision Plus Protein All Blue Standardsマーカー;マーカー分子量 10KDa、15KDa、20KDa、25KDa、37KDa、50KDa、75KDa、100KDa、150KDa及び250KDa;BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国〕も次の通り試料とした。
【0594】
(a) 『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』
(b) 『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(一人目の肺線維症罹患者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』
(c) 『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(二人目の肺線維症罹患者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』
(d) 『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(三人目の肺線維症罹患者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』
(e) 標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)
(f) 分子量マーカー〔マーカー分子量 10KDa、15KDa、20KDa、25KDa、37KDa、50KDa、75KDa、100KDa、150KDa及び250KDa〕
【0595】
(3)電気泳動
前記(1)で調製した試薬を使用し、前記(2)の試料のそれぞれについて、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法での電気泳動を行った。
【0596】
なお、この電気泳動は、次の(a)及び(b)の事項以外は前記〔1〕の2の(3)の(a)〜(g)の記載の通りに操作を行い、試料処理液(還元剤含有)を用いて還元剤を存在させた場合について、試料(肺線維症罹患者又は健常者の血清)に含まれていたペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)をその分子量に従って位置させ、このゲルを取得した。
【0597】
(a) 前記〔1〕の2の(3)の(a)における「アクリルアミド濃度が7.5%の分離ゲル溶液を調製」に代えて、「アクリルアミド濃度が9%の分離ゲル溶液を調製」としたこと。
(b) 前記〔1〕の2の(3)の(e)において(i)〜(iii)の各「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の上清、(iv)の標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)の上清、並びに(v)の分子量マーカーの順に、向かって左側のレーンよりゲルのコウム穴に注入したことに代えて、分子量マーカー、「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の上清、「試料(一人目の肺線維症罹患者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の上清、「試料(二人目の肺線維症罹患者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の上清、「試料(三人目の肺線維症罹患者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の上清、並びに標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)の上清の順に、向かって左側のレーンよりゲルのコウム穴に注入したこと。
【0598】
3.ウエスタンブロッティング法
前記〔1〕の3の(1)〜(9)の記載の通りに操作を行い、前記2でSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により電気泳動を行い取得したゲルについて、ポリビニルジフルオライド膜に転写を行い、ペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)の分子量に応じた位置に発光を生じさせ、このポリビニルジフルオライド膜上の発光の有無及びその発光した位置(分子量)より、前記の肺線維症罹患者及び健常者の血清に含まれるペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)の存在を確認した。
【0599】
4.結果
(1) 前記3で得たポリビニルジフルオライド膜を
図9に示した。
【0600】
この図において、左側のレーンより順に、前記1における試料として、分子量マーカーを試料とした場合のレーン(「MM」と表記)、健常者の血清を試料とした場合のレーン(「健常者」と表記)、一人目の肺線維症罹患者の血清を試料とした場合のレーン(「肺線維症罹患者 1」と表記)、二人目の肺線維症罹患者の血清を試料とした場合のレーン(「肺線維症罹患者 2」と表記)、三人目の肺線維症罹患者の血清を試料とした場合のレーン(「肺線維症罹患者 3」と表記)、並びに標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)を試料とした場合のレーン(「標準試料」と表記)を表す。
【0601】
そして、この図において、150KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの多量体(その分子量からペリオスチンの二量体と推測される)を表し、75KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの一量体を表し、そして37KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの分解物を表す。
【0602】
なお、この図において肺線維症罹患者の試料における各バンドの下に示した数値は、健常者の試料の対応するバンドの発光強度を1.0とした場合の肺線維症罹患者の試料の各バンドの発光強度の相対値(相対比率)を表す。
【0603】
(2) この図より、健常者の血清試料について、電気泳動処理時に試料処理液(還元剤含有)を用いて還元剤を存在させた場合、ペリオスチンの一量体の位置において発光が見られること、ペリオスチンの分解物の位置において僅かな発光が見られること、及びペリオスチンの多量体の位置においては発光が見られないことが分かる。
【0604】
(3) また、この図より、肺線維症罹患者の血清試料について、電気泳動処理時に試料処理液(還元剤含有)を用いて還元剤を存在させた場合、三人の肺線維症罹患者の血清試料のいずれにおいても、ペリオスチンの一量体及び分解物の位置において発光が見られること、及びペリオスチンの多量体の位置においては発光が見られないことが分かる。
【0605】
(4) そして、この図に示した健常者の試料におけるバンドの発光強度を1.0とした場合の三人の肺線維症罹患者の試料の対応する各バンドの発光強度の相対値(相対比率)であるが、一量体の位置のバンドにおいては1.0〜1.5であり、肺線維症罹患者の血清試料におけるペリオスチンの一量体の量は健常者と同様であるか、又は僅かに多い範囲に留まるものであることが分かる。
【0606】
また、三人の肺線維症罹患者の血清試料における前記の相対値(相対比率)は、分解物の位置のバンドにおいては2.1〜4.0であり、肺線維症罹患者の血清試料におけるペリオスチンの分解物の量は健常者の血清試料の2倍以上であり、肺線維症罹患者は健常者に比べてペリオスチンの分解物の量が顕著に多いことが分かる。
【0607】
これらのことより、試料処理液(還元剤含有)を用いて還元剤存在下で電気泳動を行なった場合、前記の一連の処理により得られた各バンドのパターンにおいて、ペリオスチンの一量体及び多量体については健常者と肺線維症罹患者はほぼ同じあるが、ペリオスチンの分解物については健常者と肺線維症罹患者との間には顕著な差異があり、健常者に比較して肺線維症罹患者ではペリオスチンの分解物の量が明らかに多いことが確かめられた。
【0608】
すなわち、以上の結果より、ペリオスチンの一量体及び/又は多量体を測定しても、肺線維症罹患者を健常者と分けて判別することはできないが、ペリオスチンの分解物を測定することにより、肺線維症罹患者を、健常者とは分けて判別することができることが確かめられた。
【0609】
〔実施例10〕(ヒト血清中のペリオスチンの測定−1)
ヒト血清中のペリオスチンの測定を行い、本発明の抗体、測定方法、測定試薬、正確性の改善方法及び肺線維症又は間質性肺炎の検査方法の効果を確かめた。
【0610】
〔1〕従来技術による測定
従来の技術により、ヒト血清中のペリオスチンの測定を以下の通り行なった。
1.試料
次の(1)〜(3)のヒト血清をそれぞれ試料とした。
【0611】
(1)肺線維症罹患者(計37例)の血清
(2)間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計40例)の血清
(3)健常者(計66例)の血清
【0612】
2.測定
各試料に含まれるペリオスチンの濃度を、抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)により、以下の通り測定し、求めた。
【0613】
(1) 前記実施例3で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」(ペリオスチンのR1領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)〔137mMの塩化ナトリウム、2.68mMの塩化カリウム、1.47mMのリン酸二水素カリウム、及び8.04mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する水溶液(pH7.4)〕により2μg/mLとなるように希釈し、これを96穴マイクロタイタープレート(Thermo Fisher Scientific Inc社、イリノイ州、米国)の各ウェルに100μLずつ注入した後、25℃で18時間静置し、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」をこのマイクロタイタープレートの各ウェルに固相化した。
【0614】
(2) 次に、前記(1)のマイクロタイタープレートの各ウェル中の液を除いた後、ブロッキング液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕を各ウェルに250μL注入し、4℃で18時間静置した。
【0615】
(3) 次に、前記(2)のマイクロタイタープレートの各ウェルを洗浄液−2〔0.05%のTween20を含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)〕で3回洗浄した。
【0616】
(4) 次に、前記1の(1)〜(3)の各試料それぞれについて、試料希釈液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕で200倍に希釈した後、その100μLを前記(3)のマイクロタイタープレートのウェルに注入し、25℃にて18時間静置し、反応を行わせた。
これにより、試料に含まれるペリオスチンを、前記のウェルに固相化した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に結合させた。
【0617】
(5) 次に、前記(4)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液−2で5回洗浄した。
【0618】
(6) 前記実施例2で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」(ペリオスチンのR4領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの分解物を認識し結合することはできない抗体)にパーオキシダーゼ(POD)を結合させ標識したPOD標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、前記(4)の試料希釈液で50ng/mLとなるように希釈し、その100μLを前記(5)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて90分間静置し、反応を行わせた。
【0619】
これにより、前記の固相化した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に結合しているペリオスチンに、PODを標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を結合させた。
【0620】
(7) 次に、前記(6)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液−2で5回洗浄した。
【0621】
(8) 次に、PODの基質液〔0.8mMの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMBZ)、2.5mMの過酸化水素、及び30mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する20mMのクエン酸緩衝液〕の100μLを前記(7)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて10分間静置し、反応を行わせ、発色させた。
【0622】
(9) その後、前記(8)のマイクロタイタープレートの各ウェルに0.7Nの硫酸を注入し、この反応を停止させた。
【0623】
(10) 次に、分光光度計を用いて、前記(9)のマイクロタイタープレートの各ウェルについて、450nmにおける吸光度の測定を行った。
【0624】
(11) 前記参考例1の(1)で調製したペリオスチンを前記(4)の試料希釈液で希釈して、ペリオスチンの希釈系列を作成し、これらを標準試料とした。
【0625】
次に、これらの標準試料のそれぞれについて、前記(1)〜(10)の記載の通りに測定を行い、前記の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)における「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)を作成した。
【0626】
(12) 前記(10)において測定したマイクロタイタープレートの各ウェルの吸光度を、前記(11)で作成した「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)に当てはめ、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0627】
〔2〕本発明による測定−A
本発明により、ヒト血清中のペリオスチンの測定を以下の通り行なった。
1.試料
前記〔1〕の1の(1)〜(3)のヒト血清をそれぞれ試料とした。
【0628】
2.測定
前記〔1〕の2の(6)におけるPOD標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」(ペリオスチンのR2領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とする以外は、前記〔1〕の2の(1)〜(12)の記載の通りに測定を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0629】
〔3〕本発明による測定−B
本発明により、ヒト血清中のペリオスチンの測定を以下の通り行なった。
1.試料
前記〔1〕の1の(1)〜(3)のヒト血清をそれぞれ試料とした。
【0630】
2.測定
各試料に含まれるペリオスチンの濃度を、抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)により、以下の通り測定し、求めた。
【0631】
(1) 前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)〔137mMの塩化ナトリウム、2.68mMの塩化カリウム、1.47mMのリン酸二水素カリウム、及び8.04mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する水溶液(pH7.4)〕により2μg/mLとなるように希釈し、これを96穴マイクロタイタープレート(Thermo Fisher Scientific Inc社、イリノイ州、米国)の各ウェルに100μLずつ注入した後、25℃で18時間静置し、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」をこのマイクロタイタープレートの各ウェルに固相化した。
【0632】
(2) 次に、前記(1)のマイクロタイタープレートの各ウェル中の液を除いた後、ブロッキング液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕を各ウェルに250μL注入し、4℃で18時間静置した。
【0633】
(3) 次に、前記(2)のマイクロタイタープレートの各ウェルを洗浄液−2〔0.05%のTween20を含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)〕で3回洗浄した。
【0634】
(4) 次に、前記1の各試料それぞれについて、試料希釈液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕で200倍に希釈した後、その100μLを前記(3)のマイクロタイタープレートのウェルに注入し、25℃にて18時間静置し、反応を行わせた。
これにより、試料に含まれるペリオスチンを、前記のウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体に結合させた。
【0635】
(5) 次に、前記(4)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液−2で5回洗浄した。
【0636】
(6) 前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)にビオチンを結合させ標識したビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、前記(4)の試料希釈液で50ng/mLとなるように希釈し、その100μLを前記(5)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて90分間静置し、反応を行わせた。
【0637】
これにより、前記の固相化した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」に結合しているペリオスチンに、ビオチンを標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を結合させた。
【0638】
(7) 次に、前記(6)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液−2で5回洗浄した。
【0639】
(8) 次に、パーオキシダーゼ(POD)を標識したストレプトアビジン(Stereospecific Detection Technologies社、ドイツ国)を、希釈液〔0.5%のカゼイン、及び100mMの塩化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕で15,000倍希釈した後、その100μLを前記(7)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて60分間静置し、反応を行わせた。
【0640】
(9) 次に、PODの基質液〔0.8mMの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMBZ)、2.5mMの過酸化水素、及び30mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する20mMのクエン酸緩衝液(pH3.9)〕の100μLを前記(8)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて10分間静置し、反応を行わせ、発色させた。
【0641】
(10) その後、前記(9)のマイクロタイタープレートの各ウェルに0.7Nの硫酸を注入し、この反応を停止させた。
【0642】
(11) 次に、分光光度計を用いて、前記(10)のマイクロタイタープレートの各ウェルについて、450nmにおける吸光度の測定を行った。
【0643】
(12) 前記参考例1の(1)で調製したペリオスチンを前記(4)の試料希釈液で希釈して、ペリオスチンの希釈系列を作成し、これらを標準試料とした。
【0644】
次に、これらの標準試料のそれぞれについて、前記(1)〜(11)の記載の通りに測定を行い、前記の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)における「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)を作成した。
【0645】
(13) 前記(11)において測定したマイクロタイタープレートの各ウェルの吸光度を、前記(12)で作成した「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)に当てはめ、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0646】
〔4〕結果
(1) 前記の〔1〕における「従来技術による測定」の測定結果、〔2〕における「本発明による測定−A」の測定結果、及び〔3〕における「本発明による測定−B」の測定結果を、それぞれ
図10に示した。
【0647】
(2) この図において、横軸は測定を行なった試料の区別を表し、縦軸は試料中のペリオスチン濃度の測定値(ng/mL)を表す。
【0648】
そして、この図においてプロットされた各々の「○」は、それぞれの試料に含まれていたペリオスチンの濃度の測定値を表す。
【0649】
なお、これらの測定における感度及び特異度の算出において、カットオフ値は、「従来技術による測定」においては82ng/mL、「本発明による測定−A」においては136ng/mL、「本発明による測定−B」においては14ng/mLに設定した。
【0650】
また、この図において、横軸に平行して引かれた線は、カットオフ値を表す。
【0651】
(3) 前記〔1〕における「従来技術による測定」において、肺線維症罹患者(計37例)の血清試料についての測定の感度を算出したところ62.2%であった。そして、間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計40例)の血清試料についての測定の感度を算出したところ45.0%であった。更に、測定の特異度を算出したところ95.5%であった。
【0652】
(4) また、前記〔2〕における「本発明による測定−A」において、肺線維症罹患者(計37例)の血清試料についての測定の感度を算出したところ70.3%であった。そして、間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計40例)の血清試料についての測定の感度を算出したところ62.5%であった。更に、測定の特異度を算出したところ95.5%であった。
【0653】
(5) また、前記〔3〕における「本発明による測定−B」において、肺線維症罹患者(計37例)の血清試料についての測定の感度を算出したところ78.4%であった。そして、間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計40例)の血清試料についての測定の感度を算出したところ72.5%であった。更に、測定の特異度を算出したところ98.5%であった。
【0654】
(6) 以上のことより、ペリオスチンのR1領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、そしてペリオスチンのR4領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を標識抗体として用いた、前記〔1〕における「従来技術による測定」での測定結果に対して、ペリオスチンのR1領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、そしてペリオスチンのR2領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を標識抗体として用いた、前記〔2〕における「本発明による測定−A」での測定結果では、肺線維症罹患者(計37例)の血清試料についての測定の感度は8.1ポイント向上し、また間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計40例)の血清試料についての測定の感度は17.5ポイント向上していることが分かる。
【0655】
すなわち、これらのことより、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する、本発明によるペリオスチンの測定においては、測定の感度を向上させることができ、そして測定の正確性を改善することができるものであることが確かめられた。
【0656】
また、これらのことより、ペリオスチンの分解物に結合する抗体を使用する、本発明によるペリオスチンの測定においては、測定の感度を向上させることができ、そして測定の正確性を改善することができるものであることが確かめられた。
【0657】
また、これらのことより、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、その測定の感度又は特異度等を向上させ、測定の正確性を改善し、正確なペリオスチンの測定値を得ることができるものであって、肺線維症又は間質性肺炎の罹患者と、健常者や他の疾患の罹患者との鑑別を向上させ、診断を誤らせることを防ぐことができるものであることが確かめられた。
【0658】
(7) また、ペリオスチンのR1領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、そしてペリオスチンのR4領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を標識抗体として用いた、前記〔1〕における「従来技術による測定」での測定結果に対して、ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を固相化抗体として用い、そしてペリオスチンのR3領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を標識抗体として用いた、前記〔3〕における「本発明による測定−B」での測定結果では、肺線維症罹患者(計37例)の血清試料についての測定の感度は16.2ポイント向上し、間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計40例)の血清試料についての測定の感度は27.5ポイント向上し、また測定の特異度は3.0ポイント向上していることが分かる。
【0659】
すなわち、これらのことより、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合し、かつペリオスチンの多量体に結合しない抗体を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する、本発明によるペリオスチンの測定においては、測定の感度を大幅に向上させることができ、また測定の特異度を向上させることができ、そして測定の正確性を改善することができるものであることが確かめられた。
【0660】
また、これらのことより、ペリオスチンの分解物に結合でき、かつペリオスチンの多量体には結合しない抗体を使用する、本発明によるペリオスチンの測定においては、測定の感度を大幅に向上させることができ、また測定の特異度を向上させることができ、そして測定の正確性を改善することができるものであることが確かめられた。
【0661】
また、これらのことより、ペリオスチンの分解物に結合でき、かつペリオスチンの多量体には結合しない抗体を使用する、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、その測定の感度又は特異度等を大幅に向上させ、測定の正確性を改善し、正確なペリオスチンの測定値を得ることができるものであって、肺線維症又は間質性肺炎の罹患者と、健常者や他の疾患の罹患者との鑑別を更に向上させ、診断を誤らせることを防ぐことができるものであることが確かめられた。
【0662】
〔実施例11〕(ヒト血清中のペリオスチンの測定結果のROC解析)
ヒト血清中のペリオスチンの測定を行い、その測定結果のROC曲線(受信者動作特性曲線;Receiver Operating Characteristic Curve)を作成し、解析を行なった。
【0663】
1.試料
次の(1)及び(2)のヒト血清をそれぞれ試料とした。
【0664】
(1)陽性試料(計77例)
肺線維症罹患者(計37例)の血清、及び間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計40例)の血清を、陽性試料として用いた。
【0665】
(2)陰性試料(計66例)
健常者(計66例)の血清を、陰性試料として用いた。
【0666】
2.測定
各試料に含まれるペリオスチンの濃度を、抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)により、以下の通り測定し、求めた。
【0667】
(1)従来技術による測定−a
(a) 前記実施例3で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」(ペリオスチンのR1領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)〔137mMの塩化ナトリウム、2.68mMの塩化カリウム、1.47mMのリン酸二水素カリウム、及び8.04mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する水溶液(pH7.4)〕により2μg/mLとなるように希釈し、これを96穴マイクロタイタープレート(Thermo Fisher Scientific Inc社、イリノイ州、米国)の各ウェルに100μLずつ注入した後、25℃で18時間静置し、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」をこのマイクロタイタープレートの各ウェルに固相化した。
【0668】
(b) 次に、前記(a)のマイクロタイタープレートの各ウェルの中の液を除いた後、ブロッキング液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕を各ウェルに250μL注入し、4℃で18時間静置した。
【0669】
(c) 次に、前記(b)のマイクロタイタープレートの各ウェルを洗浄液−2〔0.05%のTween20を含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)〕で3回洗浄した。
【0670】
(d) 次に、前記1の(1)及び(2)の各試料それぞれについて、試料希釈液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕で200倍に希釈した後、その100μLを前記(c)のマイクロタイタープレートのウェルに注入し、25℃にて18時間静置し、反応を行わせた。
これにより、試料に含まれるペリオスチンを、前記のウェルに固相化した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に結合させた。
【0671】
(e) 次に、前記(d)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液−2で5回洗浄した。
【0672】
(f) 前記実施例2で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」(ペリオスチンのR4領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの分解物を認識し結合することはできない抗体)にビオチンを結合させ標識したビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、前記(d)の試料希釈液で50ng/mLとなるように希釈し、その100μLを前記(e)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて90分間静置し、反応を行わせた。
【0673】
これにより、前記の固相化した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に結合しているペリオスチンに、ビオチンを標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を結合させた。
【0674】
(g) 次に、前記(f)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液−2で5回洗浄した。
【0675】
(h) 次に、パーオキシダーゼ(POD)を標識したストレプトアビジン(Stereospecific Detection Technologies社、ドイツ国)を、希釈液〔0.5%のカゼイン、及び100mMの塩化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕で15,000倍希釈した後、その100μLを前記(g)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて60分間静置し、反応を行わせた。
【0676】
(i) 次に、PODの基質液〔0.8mMの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMBZ)、2.5mMの過酸化水素、及び30mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する20mMのクエン酸緩衝液(pH3.9)〕の100μLを前記(h)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて10分間静置し、反応を行わせ、発色させた。
【0677】
(j) その後、前記(i)のマイクロタイタープレートの各ウェルに0.7Nの硫酸を注入し、この反応を停止させた。
【0678】
(k) 次に、分光光度計を用いて、前記(j)のマイクロタイタープレートの各ウェルについて、450nmにおける吸光度の測定を行った。
【0679】
(l) 前記参考例1の(1)で調製したペリオスチンを前記(d)の試料希釈液で希釈して、ペリオスチンの希釈系列を作成し、これらを標準試料とした。
【0680】
次に、これらの標準試料のそれぞれについて、前記(a)〜(k)の記載の通りに測定を行い、前記の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)における「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)を作成した。
【0681】
(m) 前記(k)において測定したマイクロタイタープレートの各ウェルの吸光度を、前記(l)で作成した「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)に当てはめ、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0682】
(n) ROC曲線の作成
前記1の(1)の陽性試料及び前記1の(2)の陰性試料それぞれについての前記(m)におけるペリオスチン濃度の測定値より、ROC曲線を作成した。
【0683】
なお、このROC曲線の作成において、分布の仮定はノンパラメトリックとし、信頼水準は95%に設定した。
【0684】
また、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの多量体及び一量体を測定することができるものである。
【0685】
(2)本発明による測定−a
前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」(ペリオスチンのR2領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること以外は、前記(1)の(a)〜(n)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求め、そしてROC曲線を作成した。
【0686】
なお、このROC曲線の作成において、分布の仮定はノンパラメトリックとし、信頼水準は95%に設定した。
【0687】
また、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を測定することができるものである。
【0688】
(3)本発明による測定−b
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(n)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求め、そしてROC曲線を作成した。
【0689】
なお、このROC曲線の作成において、分布の仮定はノンパラメトリックとし、信頼水準は95%に設定した。
【0690】
また、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができるものである。
【0691】
(4)従来技術による測定−b
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすること以外は、前記(1)の(a)〜(n)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求め、そしてROC曲線を作成した。
【0692】
なお、このROC曲線の作成において、分布の仮定はノンパラメトリックとし、信頼水準は95%に設定した。
【0693】
また、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの一量体のみを測定することができるものである。
【0694】
(5)本発明による測定−c
ペリオスチンの分解物のみを測定することができる測定系のROC曲線を計算により求め、作成した。
【0695】
具体的には、前記(3)の「本発明による測定−b」における測定結果より、前記(4)の「従来技術による測定−b」における測定結果を差引いて、ROC曲線を作成した。〔すなわち、前記(3)の測定結果(ペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができるもの)より、前記(4)の測定結果(ペリオスチンの一量体のみを測定することができるもの)を差し引いて、ペリオスチンの分解物のみを測定することができる測定系のROC曲線を作成した。〕
【0696】
3.結果
(1) 前記の通り、肺線維症罹患者及び間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者の血清からなる陽性試料、及び健常者の血清からなる陰性試料それぞれに含まれるペリオスチンの濃度の測定結果等より作成したROC曲線の全てを
図11に示した。
【0697】
なお、この図の各ROC曲線の横軸はこの測定における「1−特異度」の値を表し、縦軸はこの測定における「感度」を表す。
【0698】
また、この図の各ROC曲線に「AUC」として記載した値であるが、このAUCの値はROC曲線下の面積(Area Under the Curve)を表し、このAUCの値が大きい程、その測定の感度、特異度は高いものであり、すなわち測定の正確性が高いものであり、測定において好ましいものである。
【0699】
以下、これらの各ROC曲線について記載する。
【0700】
(2) 前記2の(1)の「従来技術による測定−a」におけるROC曲線、すなわち固相化抗体としてペリオスチンのR1領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を使用し、標識抗体としてペリオスチンのR4領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を使用し、ペリオスチンのR1領域及びR4領域を検出するものであって、そしてペリオスチンの多量体及び一量体を測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.850であった。
【0701】
(3) また、前記2の(2)の「本発明による測定−a」におけるROC曲線、すなわち固相化抗体としてペリオスチンのR1領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を使用し、標識抗体としてペリオスチンのR2領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を使用し、ペリオスチンのR1領域及びR2領域を検出するものであって、そしてペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.856であった。
【0702】
(4) また、前記2の(3)の「本発明による測定−b」におけるROC曲線、すなわち固相化抗体としてペリオスチンのEMI領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を使用し、標識抗体としてペリオスチンのR3領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を使用し、ペリオスチンのEMI領域及びR3領域を検出するものであって、そしてペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.972であった。
【0703】
(5) また、前記2の(4)の「従来技術による測定−b」におけるROC曲線、すなわち固相化抗体としてペリオスチンのR3領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を使用し、標識抗体としてペリオスチンのR4領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を使用し、ペリオスチンのR3領域及びR4領域を検出するものであって、そしてペリオスチンの一量体のみを測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.681であった。
【0704】
(6) また、前記2の(5)の「本発明による測定−c」におけるROC曲線、すなわち前記2の(3)の「本発明による測定−b」における測定結果より、前記2の(4)の「従来技術による測定−b」における測定結果を差引いて作成した、ペリオスチンの分解物のみを測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.998であった。
【0705】
(7) 以上のことより、「ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域又はR3領域」以外の領域を検出し、すなわちペリオスチンのR4領域及び/又はC末端領域を検出し、ペリオスチンの分解物を測定することができない前記2の(4)の「従来技術による測定−b」のROC曲線(AUC=0.681)及び前記2の(1)の「従来技術による測定−a」のROC曲線(AUC=0.850)に比較して、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出するものである、すなわちペリオスチンの分解物に結合する抗体を使用する(つまり、ペリオスチンの分解物を測定することができる)ものである前記2の(2)の「本発明による測定−a」のROC曲線(AUC=0.856)、前記2の(3)の「本発明による測定−b」のROC曲線(AUC=0.972)、及び前記2の(5)の「本発明による測定−c」のROC曲線(AUC=0.998)はいずれもAUCの値が増加しており、測定の感度、特異度、つまり測定の正確性が改善していることが分かる。
【0706】
特に、ペリオスチンの分解物に結合し、かつペリオスチンの多量体に結合しない抗体を使用する(つまり、ペリオスチンの分解物を測定することができるものの、ペリオスチンの多量体は測定することができない)前記2の(3)の「本発明による測定−b」のROC曲線(AUC=0.972)、及び前記2の(5)の「本発明による測定−c」のROC曲線(AUC=0.998)においては、いずれもAUCの値の増加が顕著であり、測定の感度、特異度、つまり測定の正確性が大幅に改善していることが分かる。
【0707】
すなわち、これらのことより、本発明のペリオスチンの測定方法、ペリオスチンの測定試薬、及びペリオスチン測定の正確性の改善方法は、測定の感度、又は特異度等を向上させ、測定の正確性を改善することができることが確かめられた。
【0708】
また、これらのことより、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、その測定の感度又は特異度等を向上させ、測定の正確性を改善し、正確なペリオスチンの測定値を得ることができるものであって、肺線維症又は間質性肺炎の罹患者と、健常者や他の疾患の罹患者との鑑別を向上させ、診断を誤らせることを防ぐことができるものであることが確かめられた。
【0709】
〔実施例12〕(ヒト血清中のペリオスチンの測定−2)
ヒト血清中のペリオスチンの測定を行い、本発明の抗体、測定方法、測定試薬、及び正確性の改善方法の効果を確かめた。
【0710】
1.試料
次の(1)及び(2)のヒト血清をそれぞれ試料とした。
【0711】
(1)陽性試料(計26例)
肺線維症罹患者(計16例)の血清、及び間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計10例)の血清を、陽性試料として用いた。
【0712】
(2)陰性試料(計54例)
健常者(計54例)の血清を、陰性試料として用いた。
【0713】
2.測定
各試料に含まれるペリオスチンの濃度を、抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)により、以下の通り測定し、求めた。
【0714】
(1)従来技術による測定−1
(a) 前記実施例3で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」(ペリオスチンのR1領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)〔137mMの塩化ナトリウム、2.68mMの塩化カリウム、1.47mMのリン酸二水素カリウム、及び8.04mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する水溶液(pH7.4)〕により2μg/mLとなるように希釈し、これを96穴マイクロタイタープレート(Thermo Fisher Scientific Inc社、イリノイ州、米国)の各ウェルに100μLずつ注入した後、25℃で18時間静置し、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」をこのマイクロタイタープレートの各ウェルに固相化した。
【0715】
(b) 次に、前記(a)のマイクロタイタープレートの各ウェル中の液を除いた後、ブロッキング液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕を各ウェルに250μL注入し、4℃で18時間静置した。
【0716】
(c) 次に、前記(b)のマイクロタイタープレートの各ウェルを洗浄液−2〔0.05%のTween20を含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)〕で3回洗浄した。
【0717】
(d) 次に、前記1の(1)及び(2)の各試料それぞれについて、試料希釈液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕で200倍に希釈した後、その100μLを前記(c)のマイクロタイタープレートのウェルに注入し、25℃にて18時間静置し、反応を行わせた。
これにより、試料に含まれるペリオスチンを、前記のウェルに固相化した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に結合させた。
【0718】
(e) 次に、前記(d)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液−2で5回洗浄した。
【0719】
(f) 前記実施例2で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」(ペリオスチンのR4領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの分解物を認識し結合することはできない抗体)にビオチンを結合させ標識したビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、前記(d)の試料希釈液で50ng/mLとなるように希釈し、その100μLを前記(e)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて90分間静置し、反応を行わせた。
【0720】
これにより、前記の固相化した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に結合しているペリオスチンに、ビオチンを標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を結合させた。
【0721】
(g) 次に、前記(f)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液−2で5回洗浄した。
【0722】
(h) 次に、パーオキシダーゼ(POD)を標識したストレプトアビジン(Stereospecific Detection Technologies社、ドイツ国)を、希釈液〔0.5%のカゼイン、及び100mMの塩化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕で15,000倍希釈した後、その100μLを前記(g)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて60分間静置し、反応を行わせた。
【0723】
(i) 次に、PODの基質液〔0.8mMの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMBZ)、2.5mMの過酸化水素、及び30mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する20mMのクエン酸緩衝液(pH3.9)〕の100μLを前記(h)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて10分間静置し、反応を行わせ、発色させた。
【0724】
(j) その後、前記(i)のマイクロタイタープレートの各ウェルに0.7Nの硫酸を注入し、この反応を停止させた。
【0725】
(k) 次に、分光光度計を用いて、前記(j)のマイクロタイタープレートの各ウェルについて、450nmにおける吸光度の測定を行った。
【0726】
(l) 前記参考例1の(1)で調製したペリオスチンを前記(d)の試料希釈液で希釈して、ペリオスチンの希釈系列を作成し、これらを標準試料とした。
【0727】
次に、これらの標準試料のそれぞれについて、前記(a)〜(k)の記載の通りに測定を行い、前記の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)における「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)を作成した。
【0728】
(m) 前記(k)において測定したマイクロタイタープレートの各ウェルの吸光度を、前記(l)で作成した「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)に当てはめ、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0729】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの多量体及び一量体を測定することができるものである。
【0730】
(2)本発明による測定−1
前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」(ペリオスチンのR2領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0731】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を測定することができるものである。
【0732】
(3)本発明による測定−2
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0733】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができるものである。
【0734】
(4)従来技術による測定−2
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすること以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0735】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの一量体のみを測定することができるものである。
【0736】
(5)従来技術による測定−3
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」(ペリオスチンのR4領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの分解物を認識し結合することはできない抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0737】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの一量体のみを測定することができるものである。
【0738】
(6)従来技術による測定−4
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例6で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」(ペリオスチンのC末端領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの分解物を認識し結合することはできない抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0739】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの一量体のみを測定することができるものである。
【0740】
(7)本発明による測定−3
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0741】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができるものである。
【0742】
(8)本発明による測定−4
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例1で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例3で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」(ペリオスチンのR1領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0743】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を測定することができるものである。
【0744】
(9)従来技術による測定−5
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」(ペリオスチンのC末端領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの分解物を認識し結合することはできない抗体)とすること以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0745】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの多量体及び一量体を測定することができるものである。
【0746】
(10)本発明による測定−5
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」(ペリオスチンのR2領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0747】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができるものである。
【0748】
(11)本発明による測定−6
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」(ペリオスチンのR2領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0749】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を測定することができるものである。
【0750】
(12)従来技術による測定−6
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例6で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」(ペリオスチンのC末端領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの分解物を認識し結合することはできない抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0751】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの多量体及び一量体を測定することができるものである。
【0752】
(13)従来技術による測定−7
前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例6で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」(ペリオスチンのC末端領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの分解物を認識し結合することはできない抗体)とすること以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0753】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの多量体及び一量体を測定することができるものである。
【0754】
(14) 前記の(1)〜(13)の各々におけるペリオスチンの測定において、用いた固相化抗体、及び標識抗体がそれぞれペリオスチンのどの領域を認識し、結合するか(すなわち、ペリオスチンのどの領域を検出するか)を、更にこれらの各々の測定においてペリオスチンのどの領域が認識されているかを、
図12に模式的に表した。
【0755】
この模式図において、ペリオスチンのEMI領域を「EMI」と表記し、R1領域を「R1」と表記し、R2領域を「R2」と表記し、R3領域を「R3」と表記し、R4領域を「R4」と表記し、そしてC末端領域を「C-ter」と表記した。
【0756】
また、この模式図において、下側の「Y」のマークが結合している領域は、その測定に用いた固相化抗体が認識し、結合する(すなわち、検出する)ペリオスチンの領域を示し、そして上側の「Y」のマークが結合している領域は、その測定に用いた標識抗体が認識し、結合する(すなわち、検出する)ペリオスチンの領域を示す。
【0757】
また、この模式図において、太線で囲った領域は、固相化抗体及び標識抗体のそれぞれが認識し、結合した(すなわち、検出した)領域及びこれらの領域に挟まれる領域を示す。
【0758】
3.結果
(1) 前記2の(1)〜(3)における測定結果を
図13に、前記2の(4)〜(6)における測定結果を
図14に、前記2の(7)〜(9)における測定結果を
図15に、前記2の(10)〜(12)における測定結果を
図16に、そして前記2の(13)における測定結果を
図17に示した。
【0759】
これらの図において、横軸は測定を行なった試料の区別を表し、縦軸は試料中のペリオスチン濃度の測定値(ng/mL)を表す。
【0760】
そして、この図においてプロットされた各々の「○」は、それぞれの試料に含まれていたペリオスチンの濃度の値を表す。
【0761】
また、この図の下方に、それぞれの試料に含まれていたペリオスチンの濃度の測定値の平均値(ng/mL)を示した。
【0762】
なお、これらの測定における感度及び特異度の算出において、カットオフ値は特異度が98%を上回りかつ感度が一番高くなる濃度に設定した。
【0763】
また、この図において、横軸に平行して引かれた線は、それぞれの試料に含まれていたペリオスチンの濃度の測定値の平均値(ng/mL)のレベルを表す。
【0764】
(2) また、前記2の(1)〜(13)の各々の測定における、使用した固相化抗体及び標識抗体、前記固相化抗体により検出されるペリオスチンの領域、前記標識抗体により検出されるペリオスチンの領域、当該測定により測定することができるペリオスチンが一量体、多量体又は分解物のいずれであるか、測定の感度、測定の特異度、陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)、並びに「作成したROC曲線のAUCの値」を、
図18に示した。
【0765】
(3) この
図13、
図14、
図15、
図16、
図17及び
図18より、以下のことが分かる。
【0766】
「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体」以外の抗体を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域のいずれも検出しない場合、つまり、ペリオスチンの分解物を測定することができない場合〔前記2の(1)、(4)、(5)、(6)、(9)、(12)、及び(13)の測定の場合〕には、「測定の感度」は7.7%〜61.5%(平均値:35.7%)であり、「測定の特異度」は98.1%であり、「陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率」(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)は1.3倍〜2.1倍(平均値:1.7倍)であり、「ROC曲線のAUCの値」は0.493〜0.902(平均値:0.738)であった。
【0767】
これに対して、「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体」を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する場合、つまり、ペリオスチンの分解物を測定することができる場合〔前記2の(2)、(3)、(7)、(8)、(10)、及び(11)の測定の場合〕には、「測定の感度」は73.1%〜96.2%(平均値:80.8%)であり、「測定の特異度」は98.1%であり、「陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率」(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)は1.8倍〜7.7倍(平均値:4.8倍)であり、「ROC曲線のAUCの値」は0.912〜0.994(平均値:0.943)であった。
【0768】
すなわち、この「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域又はR3領域のいずれかに結合する抗体」を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する場合には、「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体」以外の抗体を使用する場合に比べて、「測定の感度」、「陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率」(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)及び「ROC曲線のAUCの値」のいずれもが増加、向上しており、測定の正確性が改善されていることが分かる。
【0769】
更に、「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合し、かつペリオスチンの多量体に結合しない抗体」を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出し、ペリオスチンの分解物を測定することができ、かつペリオスチンの多量体を測定しないものである場合〔前記2の(3)、(7)、及び(10)の測定の場合〕には、「測定の感度」は73.1%〜96.2%(平均値:83.4%)であり、「測定の特異度」は98.1%であり、「陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率」(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)は5.8倍〜7.7倍(平均値:7.1倍)であり、「ROC曲線のAUCの値」は0.914〜0.994(平均値:0.950)であった。
【0770】
すなわち、この「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合し、かつペリオスチンの多量体に結合しない抗体」を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出し、ペリオスチンの分解物を測定することができ、かつペリオスチンの多量体を測定しないものである場合には、前記の「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体」を使用する場合に比べて、「測定の感度」、「陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率」(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)及び「ROC曲線のAUCの値」のいずれもが更に増加、向上しており、測定の正確性が更に改善されていることが分かる。
【0771】
以上のことより、本発明のペリオスチンの測定方法、ペリオスチンの測定試薬、及びペリオスチン測定の正確性の改善方法は、試料に含まれるペリオスチンの測定において、測定の感度等を向上させ、測定の正確性を改善することができるものであることが確かめられた。
【0772】
また、以上のことより、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、その測定の感度又は特異度等を向上させ、測定の正確性を改善し、正確なペリオスチンの測定値を得ることができるものであって、肺線維症又は間質性肺炎の罹患者と、健常者や他の疾患の罹患者との鑑別を向上させ、診断を誤らせることを防ぐことができるものであることが確かめられた。
【0773】
〔実施例13〕(試料中のペリオスチンの測定)
ペリオスチン濃度が分かっている試料についてペリオスチンの測定を行い、標準曲線(検量線)を作成した。
【0774】
1.試料
前記参考例2のIIの〔1〕の2の「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」(すなわち、「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」であって、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物をそれぞれ含むことが分かっている。)を、試料希釈液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕で希釈して、次の(2)〜(6)のペリオスチン濃度が分かっている標準試料をそれぞれ調製し、試料とした。
また、ペリオスチンを含有しない試料希釈液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕を、次の(1)のペリオスチン濃度が0ng/mLの試料(標準試料)とした。
【0775】
(1)標準試料−1 (ペリオスチン濃度:0ng/mL)
(2)標準試料−2 (ペリオスチン濃度:0.125ng/mL)
(3)標準試料−3 (ペリオスチン濃度:0.25ng/mL)
(4)標準試料−4 (ペリオスチン濃度:0.5ng/mL)
(5)標準試料−5 (ペリオスチン濃度:1.0ng/mL)
(6)標準試料−6 (ペリオスチン濃度:2.0ng/mL)
【0776】
2.測定
各試料に含まれるペリオスチンの濃度を、抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)により測定し、求めた。
【0777】
なお、この測定は、次の(a)及び(b)の事項以外は前記実施例12の2の(1)〜(13)の記載の通りに操作を行い、下の「(1)従来技術による測定−1」〜「(13)従来技術による測定−7」のそれぞれの測定における「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線、すなわち検量線を作成した。
【0778】
(a) 前記実施例12の2の(1)の(d)における試料として、前記実施例12の1の(1)及び(2)の試料に代えて、前記1の(1)〜(6)の標準試料をそれぞれ用いること
(b) 前記実施例12の2の(1)の(l)及び(m)における操作に代えて、前記実施例12の2の(1)の(k)において測定した各標準試料の吸光度より「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)を作成したこと
【0779】
(1)従来技術による測定−1
(2)本発明による測定−1
(3)本発明による測定−2
(4)従来技術による測定−2
(5)従来技術による測定−3
(6)従来技術による測定−4
(7)本発明による測定−3
(8)本発明による測定−4
(9)従来技術による測定−5
(10)本発明による測定−5
(11)本発明による測定−6
(12)従来技術による測定−6
(13)従来技術による測定−7
【0780】
3.結果
(1) 前記2における測定結果を
図19、
図20、
図21、
図22、
図23、
図24及び
図25に分けて示した。
【0781】
これらの図において、横軸は試料中のペリオスチン濃度(ng/mL)を表し、縦軸は測定により得た各試料の450nmにおける吸光度(ΔOD)を表す。
【0782】
(2) これらの
図19、
図20、
図21、
図22、
図23、
図24及び
図25より、本実施例において作成した各々の標準曲線(検量線)はいずれも、試料中のペリオスチン濃度の増加に伴って、得られる吸光度が増加しており、定量性を有することが分かる。
【0783】
このことより、本発明のペリオスチンの測定方法、及びペリオスチンの測定試薬は、試料中のペリオスチンを正確に測定することができるものであることが確かめられた。
【0784】
〔実施例14〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製−7回目)
前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6とは別の時に、前記実施例1の(1)〜(4)の記載の通りに操作を行い、抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製を行った。(7回目)
【0785】
その結果、生育した融合細胞株の中から一つのクローンを確立し、SS25A株と命名した。
【0786】
そして、SS25A株のモノクローナル抗体産生細胞株からラット抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」という)を得ることができた。
【0787】
〔実施例15〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製−8回目)
前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6及び実施例14とは別の時に、前記実施例1の(1)〜(4)の記載の通りに操作を行い、抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製を行った。(8回目)
【0788】
その結果、生育した融合細胞株の中から一つのクローンを確立し、SS27A株と命名した。
【0789】
そして、SS27A株のモノクローナル抗体産生細胞株からラット抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」という)を得ることができた。
【0790】
〔実施例16〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の認識部位の確認)
前記実施例14及び実施例15において取得した抗ペリオスチンモノクローナル抗体のそれぞれについて、前記実施例7の1の(1)〜(8)の記載の通りに操作を行い、これらの抗ペリオスチンモノクローナル抗体がペリオスチンのどの領域を認識しているかの確認を行った。
【0791】
この測定の結果より、前記実施例14において取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」及び「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R4領域)」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが確かめられた。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」は、ペリオスチンのR2領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
【0792】
また、この測定の結果より、前記実施例15において取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」及び「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R4領域)」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが確かめられた。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」は、ペリオスチンのR1領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
【0793】
〔実施例17〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の反応性の確認)
前記実施例14及び実施例15において取得した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の各々について、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物それぞれとの反応性を確認した。
【0794】
1.測定
(1) 前記実施例14において取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」、及び前記実施例15において取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」のそれぞれについて、前記実施例8の〔1〕の1〜3の記載の通りに、免疫沈降処理、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、及びウエスタンブロッティング法の各々の操作を行った。
【0795】
なお、前記実施例3において取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」、前記実施例4において取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」、及び前記実施例4において取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」についても、対照として、前記の各操作を行った。
【0796】
また、前記のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、及びウエスタンブロッティング法の操作において、陰性対照のレーンは設けなかった。
【0797】
(2) これらの操作により、ポリビニルジフルオライド膜に、前記の各々の抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合したペリオスチンの一量体、多量体又は分解物の分子量に応じた位置に、発色を生じさせた。
そして、この発色させたポリビニルジフルオライド膜を撮影した。
このポリビニルジフルオライド膜上の発色の有無及びその発色した位置(分子量)より、前記の各々の抗ペリオスチンモノクローナル抗体について、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のそれぞれとの反応性を確認した。
【0798】
2.結果
(1) 前記1の(2)において撮影したポリビニルジフルオライド膜を
図26に示した。
【0799】
この図において、左側のレーンより順に、分子量マーカーのレーン(「MM」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「18A」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「19A」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「19D」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「25A」と表記)、及び「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「27A」と表記)を表す。
【0800】
また、この図において、150KDaと250KDaの分子量マーカーの間に位置する太いバンドはその分子量よりペリオスチンの多量体(その分子量からペリオスチンの三量体と推測される)を表し、75KDaの分子量マーカーの近辺から高分子量側にかけて見られる太いバンドはその分子量よりペリオスチンの一量体を表し、そして37KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの分解物を表す。
【0801】
(2) そして、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの一量体及び分解物を示す位置においては発色が認められるが、ペリオスチンの多量体を示す位置においては発色が認められないので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」はペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合するが、ペリオスチンの多量体は認識せず、結合しないことが確かめられた。
【0802】
また、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの一量体及び分解物を示す位置においては発色が認められるが、ペリオスチンの多量体を示す位置においては発色が認められないので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」はペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合するが、ペリオスチンの多量体は認識せず、結合しないことが確かめられた。
【0803】
すなわち、この結果より、次の抗ペリオスチンモノクローナル抗体は、ペリオスチンの分解物を認識し、結合することができ、かつ、ペリオスチンの多量体を認識できず、結合することができないことが分かる。
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」
【0804】
なお、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS25A株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1285」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS25A株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1285)
【0805】
また、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS27A株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1286」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS27A株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1286)
【0806】
(3) なお、この結果において、対照とした「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」は、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を示す位置のいずれにおいても発色が認められ、このことよりペリオスチンの多量体、一量体及び分解物のいずれをも認識し結合することが確かめられた。
【0807】
また、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」は、ペリオスチンの多量体及び一量体を示す位置においては発色が認められるが、ペリオスチンの分解物を示す位置においては発色が認められないので、このことよりペリオスチンの多量体及び一量体を認識し結合するが、ペリオスチンの分解物は認識せず、結合しないことが確かめられた。
【0808】
そして、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」は、ペリオスチンの一量体及び分解物を示す位置においては発色が認められるが、ペリオスチンの多量体を示す位置においては発色が認められないので、このことよりペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合するが、ペリオスチンの多量体は認識せず、結合しないことが確かめられた。
【0809】
これらの「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」、及び「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」の結果は、前記実施例8における結果と同一であり、この実施例17における操作及び結果が正確なものであることが、このことからも確かめられた。
【0810】
〔実施例18〕(ヒト血清中のペリオスチンの測定及び測定結果のROC解析)
ヒト血清中のペリオスチンの測定を行い、本発明の効果を確かめ、そして、測定結果のROC曲線(受信者動作特性曲線;Receiver Operating Characteristic Curve)を作成し、解析を行なった。
【0811】
〔1〕ROC解析
1.試料
次の(1)及び(2)のヒト血清をそれぞれ試料とした。
【0812】
(1)陽性試料(計39例)
肺線維症罹患者(計20例)の血清、及び間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計19例)の血清を、陽性試料として用いた。
【0813】
(2)陰性試料(計64例)
健常者(計64例)の血清を、陰性試料として用いた。
【0814】
2.測定
各試料に含まれるペリオスチンの濃度を、抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)により、以下の通り測定し、求めた。
【0815】
<1>従来技術による測定
前記実施例11の2の(1)の(a)〜(n)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求め、そしてROC曲線を作成した。
【0816】
なお、このROC曲線の作成において、分布の仮定はノンパラメトリックとし、信頼水準は95%に設定した。
【0817】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの多量体及び一量体を測定することができるものである。
【0818】
<2>本発明による測定−(i)
前記実施例11の2の(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすることの二つのこと以外は、前記実施例11の2の(1)の(a)〜(n)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求め、そしてROC曲線を作成した。
【0819】
なお、このROC曲線の作成において、分布の仮定はノンパラメトリックとし、信頼水準は95%に設定した。
【0820】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び
図7より分かるように、ペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができるものである。
【0821】
<3>本発明による測定−(ii)
前記実施例11の2の(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例14で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」(ペリオスチンのR2領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすることの二つのこと以外は、前記実施例11の2の(1)の(a)〜(n)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求め、そしてROC曲線を作成した。
【0822】
なお、このROC曲線の作成において、分布の仮定はノンパラメトリックとし、信頼水準は95%に設定した。
【0823】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び前記の実施例16における検討結果より分かるように、ペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができるものである。
【0824】
<4>本発明による測定−(iii)
前記実施例11の2の(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例15で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」(ペリオスチンのR1領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすることの二つのこと以外は、前記実施例11の2の(1)の(a)〜(n)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求め、そしてROC曲線を作成した。
【0825】
なお、このROC曲線の作成において、分布の仮定はノンパラメトリックとし、信頼水準は95%に設定した。
【0826】
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び前記の実施例16における検討結果より分かるように、ペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができるものである。
【0827】
3.結果
(1) 前記の通り、肺線維症罹患者及び間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者の血清からなる陽性試料、及び健常者の血清からなる陰性試料それぞれに含まれるペリオスチンの濃度の測定結果等より作成したROC曲線の全てを
図27に示した。
【0828】
なお、この図の各ROC曲線の横軸はこの測定における「1−特異度」の値を表し、縦軸はこの測定における「感度」を表す。
【0829】
また、この図の各ROC曲線に「AUC」として記載した値であるが、このAUCの値はROC曲線下の面積(Area Under the Curve)を表し、このAUCの値が大きい程、その測定の感度、特異度は高いものであり、すなわち測定の正確性が高いものであり、測定において好ましいものである。
【0830】
以下、これらの各ROC曲線について記載する。
【0831】
(2) 前記2の<1>の「従来技術による測定」におけるROC曲線、すなわち固相化抗体としてペリオスチンのR1領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を使用し、標識抗体としてペリオスチンのR4領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を使用し、ペリオスチンのR1領域及びR4領域を検出するものであって、そしてペリオスチンの多量体及び一量体を測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.872であった。
【0832】
(3) また、前記2の<2>の「本発明による測定−(i)」におけるROC曲線、すなわち固相化抗体としてペリオスチンのEMI領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を使用し、標識抗体としてペリオスチンのR3領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を使用し、ペリオスチンのEMI領域及びR3領域を検出するものであって、そしてペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.984であった。
【0833】
(4) また、前記2の<3>の「本発明による測定−(ii)」におけるROC曲線、すなわち固相化抗体としてペリオスチンのR2領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」を使用し、標識抗体としてペリオスチンのEMI領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を使用し、ペリオスチンのR2領域及びEMI領域を検出するものであって、そしてペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.957であった。
【0834】
(5) また、前記2の<4>の「本発明による測定−(iii)」におけるROC曲線、すなわち固相化抗体としてペリオスチンのR1領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」を使用し、標識抗体としてペリオスチンのEMI領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を使用し、ペリオスチンのR1領域及びEMI領域を検出するものであって、そしてペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.993であった。
【0835】
(6) 以上のことより、「ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域又はR3領域」以外の領域を検出し、すなわちペリオスチンのR4領域及び/又はC末端領域を検出し、ペリオスチンの分解物を測定することができない前記2の<1>の「従来技術による測定」のROC曲線(AUC=0.872)に比較して、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出するものであり、すなわちペリオスチンの分解物に結合するものであって、かつペリオスチンの多量体に結合しない抗体を使用する(つまり、ペリオスチンの分解物を測定することができるものの、ペリオスチンの多量体は測定することができない)前記2の<2>の「本発明による測定−(i)」のROC曲線(AUC=0.984)、前記2の<3>の「本発明による測定−(ii)」のROC曲線(AUC=0.957)、及び前記2の<4>の「本発明による測定−(iii)」のROC曲線(AUC=0.993)においては、いずれもAUCの値の増加が顕著であり、測定の感度、特異度、つまり測定の正確性が大幅に改善していることが分かる。
【0836】
すなわち、これらのことより、本発明のペリオスチンの測定方法、ペリオスチンの測定試薬、及びペリオスチン測定の正確性の改善方法は、測定の感度、又は特異度等を向上させ、測定の正確性を改善することができることが確かめられた。
【0837】
また、これらのことより、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、その測定の感度又は特異度等を向上させ、測定の正確性を改善し、正確なペリオスチンの測定値を得ることができるものであって、肺線維症又は間質性肺炎の罹患者と、健常者や他の疾患の罹患者との鑑別を向上させ、診断を誤らせることを防ぐことができるものであることが確かめられた。
【0838】
〔2〕本発明の効果(測定の感度等)の確認
1.試料
次の(1)及び(2)のヒト血清をそれぞれ試料とした。
【0839】
(1)陽性試料(計39例)
前記〔1〕の1の(1)と同じ肺線維症罹患者(計20例)の血清、及び間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計19例)の血清を、陽性試料として用いた。
【0840】
(2)陰性試料(計64例)
前記〔1〕の1の(2)と同じ健常者(計64例)の血清を、陰性試料として用いた。
【0841】
2.測定
<1>従来技術による測定
前記〔1〕の2の<1>の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0842】
<2>本発明による測定−(i)
前記〔1〕の2の<2>の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0843】
<3>本発明による測定−(ii)
前記〔1〕の2の<3>の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0844】
<4>本発明による測定−(iii)
前記〔1〕の2の<4>の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
【0845】
3.結果
(1) 前記2の<1>〜<4>の各々の測定における、使用した固相化抗体及び標識抗体、前記固相化抗体により検出されるペリオスチンの領域、前記標識抗体により検出されるペリオスチンの領域、当該測定により測定することができるペリオスチンが一量体、多量体又は分解物のいずれであるか、測定の感度、測定の特異度、陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)、並びに「作成したROC曲線のAUCの値」を、
図28に示した。
【0846】
(2) この
図28より、以下のことが分かる。
【0847】
「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体」以外の抗体を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域のいずれも検出しない場合、つまり、ペリオスチンの分解物を測定することができない場合〔前記2の<1>の測定の場合〕には、「測定の感度」は43.6%であり、「測定の特異度」は98.4%であり、「陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率」(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)は2.8倍であり、「ROC曲線のAUCの値」は0.872であった。
【0848】
これに対して、「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合し、かつペリオスチンの多量体に結合しない抗体」を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出し、ペリオスチンの分解物を測定することができ、かつペリオスチンの多量体を測定しないものである場合〔前記2の<2>、<3>、及び<4>の測定の場合〕には、「測定の感度」は71.8%〜92.3%(平均値:81.2%)であり、「測定の特異度」は98.4%であり、「陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率」(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)は3.6倍〜16.1倍(平均値:8.6倍)であり、「ROC曲線のAUCの値」は0.957〜0.993(平均値:0.978)であった。
【0849】
すなわち、この「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合し、かつペリオスチンの多量体に結合しない抗体」を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出し、ペリオスチンの分解物を測定することができ、かつペリオスチンの多量体を測定しないものである場合には、「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体」以外の抗体を使用する場合に比べて、「測定の感度」、「陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率」(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)及び「ROC曲線のAUCの値」のいずれもが大幅に増加、向上しており、測定の正確性が改善されていることが分かる。
【0850】
本発明のペリオスチンの測定方法、ペリオスチンの測定試薬、及びペリオスチン測定の正確性の改善方法は、試料に含まれるペリオスチンの測定において、測定の感度等を向上させ、測定の正確性を改善することができるものであることが、以上のことからも確かめられた。
【0851】
また、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、その測定の感度又は特異度等を向上させ、測定の正確性を改善し、正確なペリオスチンの測定値を得ることができるものであって、肺線維症又は間質性肺炎の罹患者と、健常者や他の疾患の罹患者との鑑別を向上させ、診断を誤らせることを防ぐことができるものであることが、以上のことからも確かめられた。