(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに平行に配された駆動ロール及び自由回転ロールにより形成されるニップ間に、液状又は半固体状の化粧料を供給して、該化粧料のタック値を測定する化粧料の物性の測定装置であって、
前記駆動ロール及び前記自由回転ロールそれぞれの周面に、回転軸方向に垂直な溝が全周に亘って形成されており、
前記ニップ間は、前記溝によって、供給された前記化粧料の物性を測定する物性測定領域と、前記駆動ロールに前記自由回転ロールが接することで該自由回転ロールを駆動させる駆動力伝達領域とに区分けされている化粧料の物性の測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の化粧料の物性の測定装置を、その好ましい実施形態に基づき、
図1〜
図3を参照しながら説明する。
本実施形態の化粧料の物性の測定装置10(以下、「測定装置10」ともいう。)は、
図1(a)に示すように、互いに平行に配された駆動ロール1及び自由回転ロール2により形成されるニップ間3に、液状又は半固体状の化粧料5を供給して、化粧料5のタック値を測定する測定装置である。測定装置10は、駆動ロール1及び自由回転ロール2を有していると共に、駆動ロール1及び自由回転ロール2以外に、第3のロールとして、駆動ロール1上に化粧料5を均等に薄く広げる膜厚制御ロール4を有している。
【0012】
本実施形態の測定装置10においては、
図2,
図3に示すように、駆動ロール1及び自由回転ロール2は、回転軸方向(X方向)の長さが互いに略同じ長さである。駆動ロール1、自由回転ロール2及び膜厚制御ロール4は、
図1(a)に示すように、それぞれの軸部がヒンジ又はアーム等を介して測定装置10の枠体(不図示)に回転可能に取り付けられている。また、駆動ロール1と自由回転ロール2とはその回転軸が互いに平行に配されており、駆動ロール1と膜厚制御ロール4とはやはりその回転軸が互いに平行に配されている。
【0013】
駆動ロール1は、金属製のロールであり、軸部にモータ(不図示)が取り付けられて、所定の速度で回転駆動されるようになっている。また、駆動ロール1は、ロールを一定の温度に保持するための、温度調整装置(不図示)を有している。駆動ロール1の大きさは、直径D1(
図3参照)が50mm〜120mm程度であることが好ましく、回転軸方向(X方向)の長さL1(
図3参照)が50mm〜250mm程度であることが好ましい。
【0014】
自由回転ロール2は、ゴム等の弾性部材からなるロールであり、測定装置10においては、
図1,
図2に示すように、駆動ロール1の上方に駆動ロール1に接触するように配されている。このように配されていることで、自由回転ロール2は、駆動ロール1と接触することによる摩擦力の作用によって、駆動ロール1の回転に従って回転する。自由回転ロール2には、その軸部の両端に回動アーム22が取り付けられている。回動アーム22における自由回転ロール2とは反対側の下端部には、分銅が配置されている。回動アーム22には、回動アーム22の回転軸22a(駆動ロールと共軸)周りの角度変化を検知するセンサ(不図示)が取り付けられている。該センサ(不図示)が検出する回動アーム22の角度は、液の分裂による抗力として自由回転ロール2に生じる力が回動アーム22を介して回転軸22aに加えるトルクと、回転軸22aに対して反対側にある分銅が持ち上げられることにより同じ回転軸22aに生ぜしめるトルクとの釣り合いの位置における回動アーム22の傾斜角度に該当する。即ちこの角度が大きければ液の分裂により自由回転ロール2に掛かる力が大きいことを示すものである。該センサ(不図示)はこの角度を検知して制御装置(不図示)に出力する。制御装置(不図示)は、該センサの検知結果に基づいて自由回転ロール2の回転軸2aと駆動ロール1の回転軸1aとを含む平面に垂直な方向に加わる力(べたつきによる引っ張り力)、即ち測定対象である化粧料のタック値(相対値)を算出できるようになっている。自由回転ロール2の大きさは、直径D2(
図3参照)が50mm〜120mm程度であることが好ましく、回転軸方向(X方向)の長さL2(
図3参照)が駆動ロール1と同程度であることが好ましい。なお、
図1(b)では、動きを理解しやすいように回動アーム22の振れを大きく描いたが、実際の測定では振れはこれほど大きくはない。
また、自由回転ロール2に掛かる力は、上記のように分銅を持ち上げる角度を計測する方法の他に、ロードセルを用いて自由回転ロールの回転軸に対して垂直な方向の力を検出する方法を用いてもよい。
【0015】
弾性部材からなる自由回転ロール2としては、駆動ロール1上に均等に薄く広げられた化粧料5の厚みを後述する物性測定領域MTにて吸収できる程度の硬度であることが好ましく、具体的には、ゴム硬度(以下、単に「硬度」という)が40°以上80°以下のゴム製のロールであることが好ましく、硬度が40°以上70°以下のゴム製のロールであることが更に好ましい。また、後述する一対の溝21,21の間の領域(物性測定領域MTとなる領域)と、各溝21よりも外方の領域(駆動力伝達領域DTとなる領域)とで、硬度を変更してもよい。例えば、一対の溝21,21の間の領域(物性測定領域MTとなる領域)の硬度を、各溝21よりも外方の領域(駆動力伝達領域DTとなる領域)の硬度よりも低くすることによって、駆動力伝達領域DTにおける駆動ロール1と自由回転ロール2とが接触して摩擦力が発生し易く、自由回転ロール2が駆動ロール1と共に確実に連れ回るようになる。
一方、一対の溝21,21の間の領域(物性測定領域MTとなる領域)と、各溝21よりも外方の領域(駆動力伝達領域DTとなる領域)とを同じ材料として、単に溝を削るのみの構成とすれば、装置の組み立てなどが容易になる。
【0016】
駆動ロール1及び自由回転ロール2に関して、更に詳述すると、
図2,
図3に示すように、駆動ロール1及び自由回転ロール2それぞれの周面に、回転軸方向(X方向)を含む平面に対して垂直となる方向に延在する(回転軸方向(X方向)に垂直な)溝11,21が、全周に亘って形成されている。駆動ロール1及び自由回転ロール2に関して、更に詳述すると、
図2に示すように、駆動ロール1の溝11は、測定装置10においては、駆動ロール1に、一対ずつ形成されている。具体的には、駆動ロール1の回転軸方向(X方向)の両端部に、一対の溝11,11が全周に亘って一定幅で形成されている。
【0017】
駆動ロール1の回転軸方向(X方向)の長さL1に対する溝11の幅W1(
図3参照)の割合(W1/L1)は、例えば膜厚制御ロール4を用いて駆動ロール1上に化粧料5を均等に薄く広げた際に、後述する物性測定領域MTを越えて駆動力伝達領域DT内に広がり難くする観点から、0.005以上0.15以下であることが好ましく、0.01以上0.1以下であることが更に好ましい。具体的には、溝11の幅W1は、1mm以上19mm以下であることが好ましく、2mm以上13mm以下であることが更に好ましい。更に、同様な観点から、駆動ロール1の直径D1に対する溝11の深さd1(
図3参照)の割合(d1/D1)は、0.01以上であることが好ましく、0.02以上であることが更に好ましい。具体的には、溝11の深さd1は、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることが更に好ましい。
【0018】
また、自由回転ロール2の回転軸方向(X方向)の両端部に、一対の溝21,21が全周に亘って一定幅で形成されている。自由回転ロール2の一対の溝21,21は、測定装置10においては、
図2に示すように、駆動ロール1の一対の溝11,11に対応する位置、即ち、一対の溝11,11が駆動ロール1の回転軸方向(X方向)に形成された位置に対応するように、駆動ロール1に平行に配された自由回転ロール2に形成されている。
【0019】
測定装置10においては、
図3に示すように、自由回転ロール2の溝21の幅W2は、駆動ロール1の溝11の幅W1と同じ幅に形成されているが、駆動ロール1の溝11の幅W1と異なる幅に形成されていてもよい。具体的には、溝21の幅W2は、1mm以上19mm以下であることが好ましく、2mm以上13mm以下であることが更に好ましい。自由回転ロール2の溝21の幅W2を駆動ロール1の溝11の幅W1と異なったものとする場合は、自由回転ロール2の溝21の幅W2を駆動ロール1の溝11の幅W1より狭め、溝11の縁が自由回転ロール2の表面に接するようにすることが好ましい。また、測定装置10においては、
図2に示すように、自由回転ロール2の溝21の深さd2は、駆動ロール1の溝11の深さd1と同じ深さに形成されているが、駆動ロール1の溝11の深さd1と異なる深さに形成されていてもよい。
【0020】
以上のように形成され、互いに平行に配された駆動ロール1と自由回転ロール2との間のニップ間3は、溝11,21によって、
図3に示すように、供給された化粧料5の物性を測定する物性測定領域MTと、駆動ロール1に自由回転ロール2が接することで自由回転ロール2を駆動させる駆動力伝達領域DTとに区分けされている。以下、測定装置10に関して具体的に説明すると、上述したように、駆動ロール1及び自由回転ロール2は、
図2に示すように、回転軸方向(X方向)の長さL1,L2が互いに略同じ長さに形成されている。ここで、「略同じ長さ」とは、駆動ロール1の回転軸方向(X方向)の長さL1が、自由回転ロール2の回転軸方向(X方向)の長さL2の97%以上、100%以下であることを意味する。
【0021】
また、測定装置10においては、
図3に示すように、駆動ロール1の一対の溝11,11と自由回転ロール2の一対の溝21,21とが、互いに対応する位置に、互いに同じ幅W1,W2で、駆動ロール1の回転軸方向(X方向)の両端部又は自由回転ロール2の回転軸方向(X方向)の両端部に、好ましくはロール端からロール全長の15%以内、更に好ましくは10%以内において形成されている。その為、測定装置10においては、ニップ間3の物性測定領域MTは、駆動ロール1に形成された一対の溝11,11の間に形成されており、更に自由回転ロール2に形成された一対の溝21,21の間に形成されていて、好ましくは駆動ロール1の長さL1の全長の50%よりも長い(幅広の)領域、さらに好ましくは60%よりも長い領域にあたる。詳述すると、ニップ間3の物性測定領域MTは、駆動ロール1に形成された一対の溝11,11における内端どうしの間に形成されており、更に自由回転ロール2に形成された一対の溝21,21における内端どうしの間に形成されている。
【0022】
また、測定装置10においては、
図3に示すように、ニップ間3の駆動力伝達領域DTは、駆動ロール1に形成された一対の溝11,11よりも回転軸方向(X方向)外方に形成され、更に自由回転ロール2に形成された一対の溝21,21よりも回転軸方向(X方向)外方に形成されている。詳述すると、ニップ間3の駆動力伝達領域DTは、駆動ロール1に形成された各溝11における外端よりも回転軸方向(X方向)外方に形成され、更に自由回転ロール2に形成された各溝21における外端よりも回転軸方向(X方向)外方に形成されている。
【0023】
測定装置10の有する膜厚制御ロール4は、
図1(a)に示すように、駆動ロール1の前方に駆動ロール1に接触するように配されている。膜厚制御ロール4は、駆動ロール1に形成された一対の溝11,11の間を往復移動することにより、駆動ロール1上に化粧料5を均等に薄く広げることができるようにすることもできる。ただし、膜厚制御ロール4に往復運動の機構を用いる場合には、その駆動ロール1との接触面が駆動ロール1の両端にある駆動力伝達領域DTに接触しないよう、ロール幅、往復運動幅を設定する必要がある。膜厚制御ロール4は、駆動ロール1と接触することによる摩擦力の作用によって、駆動ロール1と共に連れ回る。
【0024】
膜厚制御ロール4の直径は、駆動ロール1の直径D1よりも小さいことが好ましく、具体的には、35mm〜80mm程度であることが好ましい。膜厚制御ロール4の回転軸方向(X方向)の長さは、往復運動の機構を用いない場合には駆動ロール1の回転軸方向(X方向)の長さL1(
図3参照)と略同じであることが好ましい。一方、往復運動の機構を用いる場合には、駆動ロール1の長さにその往復運動幅(片側への振れ幅)を加えた長さとなることが好ましい。膜厚制御ロール4の回転軸方向(X方向)の長さが、駆動ロール1の長さL1と略同じである場合には、駆動ロール1の一対の溝11,11に対応する位置に、膜厚制御ロール4の周面に一対の溝が形成されていることが好ましい。膜厚制御ロール4としては、硬度が40°以上80°以下のゴム製のロールであることが好ましい。
膜厚制御ロール4に往復運動を用いる場合には、駆動ロール1の物性測定領域MTに接する膜厚制御ロール4の一対の溝の間の領域の長さ、及び両側の溝の幅は、その往復運動により、この領域が駆動ロール1の駆動力伝達領域DTに接することなく、また駆動ロール1の物性測定領域MTと膜厚制御ロール4の駆動力伝達領域DTが接することがないように溝の幅、位置と往復運動の幅とを設定する必要がある。
【0025】
ニップ間3に供給される測定される化粧料5としては、液状又は半固体状の化粧料が広く挙げられるが、本発明の装置は、粒子が実質的に入っておらず、ニップ間3に滑りを生じさせ易い化粧料の測定にも好ましく用いることが出来る。
但し、ここでいう粒子とは、具体的には有機顔料、無機顔料、光輝性顔料等のことであり、このうち、有機顔料としては、アゾ系、ポリアゾ系、顔料等が挙げられる。無機顔料としては、アセチルカーボン、グラファイトのような炭素粉末、合成シリカ、酸化鉄、酸化チタン、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化銅、酸化亜鉛、或いはマイカ等粘土鉱物等が挙げられる。光輝性顔料としては、パール顔料等が挙げられる。化粧料としては、液状ファンデーション、UVケア剤、クリーム、美容液、制汗用塗布液等の肌用化粧料、ネイルエナメル等の爪用化粧料、毛髪用化粧料等が挙げられる。
【0026】
ニップ間3に供給される供給される化粧料5の供給量は、駆動ロール1上に均等に薄く広げられた化粧料5の厚みが、1μm以上30μm以下となることが好ましく、1.5μm以上20μm以下であることが更に好ましい。
【0027】
次に、本実施形態の測定装置10を用いたタック値の測定方法について説明すると共に、測定装置10の作用効果について説明する。
先ず、
図1(a)に示すように、化粧料を供給する前の状態、即ち測定状態前において、駆動ロール1、自由回転ロール2及び膜厚制御ロール4を所定の初期の回転速度で回転させながら所定の温度に維持する。具体的には、軸部に取り付けられたモータ(不図示)により、駆動ロール1を回転駆動させ、駆動ロール1を回転させる。その際、駆動ロール1と接触している自由回転ロール2及び膜厚制御ロール4は、駆動ロール1との摩擦力の作用によって、駆動ロール1と共に連れ回る。尚、駆動ロール1、自由回転ロール2及び膜厚制御ロール4は、その回転軸が互いに平行に配されており、各ロール1,2,4を回転させたとしても、化粧料を供給する前の状態においては、平衡状態が保たれている。
【0028】
次いで、ピペット(不図示)等を用いて、駆動ロール1と膜厚制御ロール4との間に、タック値を測定したい化粧料を所定量供給する。すると膜厚制御ロール4によって、供給された化粧料5が駆動ロール1の周面上に均等に薄く広げられる。その際、駆動ロール1の周面には溝11が全周に亘って形成されており、更に自由回転ロール2の周面にも溝21が全周に亘って形成されているので、駆動ロール1の周面上に広げられた化粧料5が、駆動ロール1の溝11及び自由回転ロール2の溝21を越えては広がり難い。本実施形態の測定装置10においては、
図2に示すように、更に自由回転ロール2の回転軸方向(X方向)の両端部に一対の溝21,21が全周に亘って形成されているので、駆動ロール1の周面上に広げられた化粧料5が、駆動ロール1の両端部の溝11,11及び自由回転ロール2の両端部の溝21,21を越えて回転軸方向(X方向)外方にまで更に広がり難くなっている。このように、本実施形態の測定装置10においては、駆動ロール1の周面上に広げられた化粧料5が、駆動ロール1の一対の溝11,11における内端どうしの間に亘って、且つ駆動ロール1の全周に亘って、均等に薄く広げられ易い。
【0029】
従って、測定装置10においては、
図3に示すように、互いに平行に配された駆動ロール1と自由回転ロール2との間のニップ間3が、溝11,21によって、供給された化粧料5の物性を測定する物性測定領域MTと、駆動ロール1に自由回転ロール2が接することで自由回転ロール2を駆動させる駆動力伝達領域DTとに区分けされている。このように、ニップ間3が、物性測定領域MT及び駆動力伝達領域DTに区分けされると、駆動力伝達領域DTにおけるニップ間3で駆動ロール1に自由回転ロール2が接触して、例えば粒子が入っておらず滑り易い化粧料を供給したとしても、自由回転ロール2が駆動ロール1との摩擦力の作用により駆動ロール1と共に確実に連れ回ることができる。特に、本実施形態の測定装置10においては、互いに平行に配された駆動ロール1と自由回転ロール2との間のニップ間3は、一対の溝11,11の内端及び一対の溝21,21の内端どうしの間が物性測定領域MTとなっており、駆動ロール1の各溝11の外端を越えた回転軸方向(X方向)外方部分及び自由回転ロール2の各溝21の外端を越えた回転軸方向(X方向)外方部分が、駆動力伝達領域DTとなっている。その為、本実施形態の測定装置10においては、駆動ロール1の各溝11の外端よりも外方部分の駆動ロール1表面に、自由回転ロール2の各溝21の外端よりも外方部分の自由回転ロール2表面が接触して、粒子が入っていない化粧料を供給したとしても、自由回転ロール2と駆動ロール1との摩擦力が、左右対称にバランス良く働き、自由回転ロール2が駆動ロール1と共にスムーズに確実に連れ回ることができる。
【0030】
次いで、駆動ロール1、自由回転ロール2及び膜厚制御ロール4を所定の測定用の回転速度で回転させる。すると、
図1(b)に示すように、駆動ロール1と自由回転ロール2との間のニップ間3における物性測定領域MTを通過する化粧料5には、駆動ロール1及び自由回転ロール2の回転出口で、化粧料5の分裂に要する力が生じるようになる。この分裂に要する力が加わった自由回転ロール2が、回動アーム22を介して、分銅の重量による中心軸22a周りのトルクとの平衡状態の位置にある角度をセンサ(不表示)で検知する。センサ(不表示)で計測された回動アーム22の角度は、制御装置(不図示)に出力され、制御装置(不図示)にてタック値が算出される。このように、本実施形態の測定装置10においては、駆動ロール1及び自由回転ロール2に単に溝11,21を設けることによって、粒子の有無に関わらず供給された化粧料のタック値を測定できる。また、駆動ロール1及び自由回転ロール2に単に溝11,21を設けるだけなので、他の制御装置や駆動装置を設ける必要がなく、装置が複雑になることもない。
このような測定装置10による化粧料のタック値の測定結果と、専門パネラーによる化粧料の実使用におけるべたつき感の感応評価結果との間には、特許文献1,2に記載のとおり高い相関があるので、べたつき感を客観的に評価できる。
【0031】
本発明の化粧料の物性の測定装置は、上述の実施形態の測定装置10に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、上述の測定装置10においては、
図3に示すように、駆動ロール1の回転軸方向(X方向)の長さと自由回転ロール2の回転軸方向(X方向)の長さが、略同じであるが、異なっていてもよい。
また、駆動ロール1及び自由回転ロール2それぞれには、溝11,21が一対ずつ形成されているが、1個ずつ形成されていてもよい。尚、溝11,21を1個ずつ形成する場合、駆動ロール1の溝11と、自由回転ロール2の溝21とは、回転軸方向(X方向)において、互いに対応する位置に形成されていることが好ましい。溝11,21を1個ずつ形成する場合、駆動ロール1と自由回転ロール2との間のニップ間3においては、溝11,21を境界に、回転軸方向(X方向)の一方が物性測定領域MTとなり、他方が駆動力伝達領域DTとなる。
【0032】
また、上述の測定装置10においては、
図2に示すように、自由回転ロール2の一対の溝21,21が、駆動ロール1の一対の溝11,11に対応する位置に形成されているが、対応する位置に形成されていなくてもよい。自由回転ロール2の一対の溝21,21が、駆動ロール1の一対の溝11,11に対応する位置に形成されていない場合、ニップ間3における物性測定領域MT及び駆動力伝達領域DTは、駆動ロール1の一対の溝11,11を基準に判断する。
【0033】
また、上述の測定装置10においては、
図1(a)に示すように、駆動ロール1及び自由回転ロール2以外に、第3のロールとして、膜厚制御ロール4を有しているが、これは必須ではなく、即ち膜厚制御ロール4を有していなくてもよい。また、膜厚制御ロール4の替わりに、ブレードやフィルム等を有していてもよい。