特許第6183812号(P6183812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183812
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ボトルキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 53/00 20060101AFI20170814BHJP
   B65D 47/14 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   B65D53/00
   B65D47/14
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-177658(P2014-177658)
(22)【出願日】2014年9月2日
(65)【公開番号】特開2016-50030(P2016-50030A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2015年6月23日
【審判番号】不服2016-1572(P2016-1572/J1)
【審判請求日】2016年2月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514222709
【氏名又は名称】プラテック有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(72)【発明者】
【氏名】天野 明彦
【合議体】
【審判長】 長屋 陽二郎
【審判官】 二階堂 恭弘
【審判官】 山口 直
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−30679(JP,A)
【文献】 特開2013−56703(JP,A)
【文献】 特開2010−89842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 53/00
B65D 47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォータサーバ用の液体容器の口部に装着され、中心部には前記ウォータサーバの給水軸が挿入される孔部が、その周囲には前記液体容器の口部の上端部が嵌め込まれる凹嵌部がそれぞれ設けられるボトルキャップであって、
前記凹嵌部が前記口部の上端部の外周面を被覆する外側筒状部と、前記上端部の端面を被覆する上面部と、前記上面部の内側に突出する縦壁部とを有し、
前記外側筒状部の内側には前記凹嵌部の下方位置に前記口部の上端部の外周面に設けられた係止溝と係合する係止突起が設けられ、前記上面部の内側には前記口部の上端部の端面に圧接する突起が設けられ、前記縦壁部には前記口部の上端部の内周面に圧接する外側面が設けられると共に前記孔部の中心から前記外側面までの半径が前記液体容器の口部の中心から上端部の内周面までの半径より僅かに大きく、
前記液体容器の口部の上端部に装着した時に、前記口部の上端部の外周面に設けられた前記係止溝に外側筒状部の係止突起を係合させると共に、前記上面部の突起を前記口部の上端部の端面に圧接させ、前記縦壁部の外側面を前記口部の上端部の内周面に圧接させて液体容器の口部の水密性を確保するボトルキャップ。
【請求項2】
前記凹嵌部の外側面の形状が、液体容器における口部の上端部の内周面の形状に対応している請求項1に記載のボトルキャップ。
【請求項3】
前記突起は三角形の断面形状を有している請求項1に記載のボトルキャップ。
【請求項4】
前記孔部が、ボトルキャップと一体に成形された蓋体によって被覆される請求項1に記載のボトルキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォータサーバに設置される液体容器のボトルキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、天然水やRO水など飲料水の入った液体容器を設置し、温水や冷水を簡単に取り出すことのできるウォータサーバが知られている。ウォータサーバに設置される液体容器にはウォータサーバの給水軸が挿入される円筒状の口部が設けられ、この口部にボトルキャップが装着されている。ボトルキャップは、液体容器を倉庫や部屋の隅などで横置きに積んで保管する場合や搬送する際、さらにはウォータサーバに液体容器を設置した後などで、液体容器の口部に装着したボトルキャップから液体が漏れ出すのを確実に防ぐ必要がある。
【0003】
従来、この種のボトルキャップとしては、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献1に記載されたボトルキャップは、液体容器の円筒状の口部の外周面に当接する外側部材と、口部の内周面に当接する内側部材とを別体で形成し、口部の外周面と内周面を前記外側部材と内側部材とで挟圧して水密性を確保するものである。また、特許文献2に記載されたボトルキャップは、液体容器の円筒状の口部の上端部を塞ぐ上蓋部と、口部の外周面を覆う外筒と、外筒の下部内周面に設けた凸部と、この凸部に設けた切り欠きと、を具備し、前記口部の上端部が、前記上蓋部と外筒と下部内周面の凸部とにより形成される部分に液蜜に嵌合されるものである。
【0004】
ところで、前記液体容器は一般に樹脂の射出成形によって作られることが多いが、円筒状の口部の上端部は厚みを有しているために、樹脂の成形収縮によって上端部の内周側にへこみや窪みなどのヒケが発生し易い。また、液体容器の中には種類によって、容器内の液体を使い終わった後に再利用するものがあるが、何度も流通する間には口部の上端部にキズが付いてしまうことがある。そのため、上記特許文献1,2に開示されたボトルキャップのように、円筒状の口部の外周面と内周面をボトルキャップの外側部材と内側部材とで挟圧するだけのもの、又は口部の上端部をボトルキャップの上蓋部と外筒と下部内周面の凸部とにより形成される部分に嵌合させるだけのものでは、口部の上端部に発生したヒケやキズなどに対して、水密性が十分に得られないといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2013-56703号公報
【特許文献2】特開平2010-89842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、液体容器の口部の上端部に発生したヒケやキズなどに対しても水密性が十分に得られるようにして、液体容器の口部に装着したボトルキャップから液体が漏れ出すのを確実に防ぐことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るボトルキャップは、 ウォータサーバ用の液体容器の口部に装着され、中心部には前記ウォータサーバの給水軸が挿入される孔部が、その周囲には前記液体容器の口部の上端部が嵌め込まれる凹嵌部がそれぞれ設けられるボトルキャップであって、前記凹嵌部が前記口部の上端部の外周面を被覆する外側筒状部と、前記上端部の端面を被覆する上面部と、前記上面部の内側に突出する縦壁部とを有し、前記外側筒状部の内側には前記凹嵌部の下方位置に前記口部の上端部の外周面に設けられた係止溝と係合する係止突起が設けられ、前記上面部の内側には前記口部の上端部の端面に圧接する突起が設けられ、前記縦壁部には前記口部の上端部の内周面に圧接する外側面が設けられると共に前記孔部の中心から前記外側面までの半径が前記液体容器の口部の中心から上端部の内周面までの半径より僅かに大きく、前記液体容器の口部の上端部に装着した時に、前記口部の上端部の外周面に設けられた前記係止溝に外側筒状部の係止突起を係合させると共に、前記上面部の突起を前記口部の上端部の端面に圧接させ、前記縦壁部の外側面を前記口部の上端部の内周面に圧接させて液体容器の口部の水密性を確保する。
【0008】
また、本発明の一実施形態では、前記凹嵌部の外側面の形状が、液体容器における口部の上端部の内周面の形状に対応している。
【0009】
また、本発明の一実施形態では、前記突起は三角形の断面形状を有している。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るボトルキャップによれば、ボトルキャップに液体容器の口部の上端部が嵌め込まれる凹嵌部を設け、この凹嵌部に前記口部の上端部の内周面に圧接する側面と、前記上端部の端面に圧接する突起とを設け、嵌合時には上端部の端面によって押圧変形した突起の先端部分で上端部の端面を面圧接するようにしたので、ボトルキャップを液体容器に装着した時に、液体容器の口部の上端部にヒケやキズなどが生じていたとしても水密性が十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るボトルキャップの断面図である。
図2】前記ボトルキャップの平面図である。
図3】前記ボトルキャップの底面図である。
図4】前記ボトルキャップが装着される液体容器の口部を示す正面図である。
図5】前記ボトルキャップを液体容器の口部に装着する前の拡大断面図である。
図6】前記ボトルキャップを液体容器の口部に装着した後の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面に基づいて本発明の第1実施形態に係るボトルキャップを詳細に説明する。この実施形態に係るボトルキャップ10は、図1乃至図4に示されるように、液体容器1の円筒状の口部2の上端部3に対応した円筒形状をしており、中心部にはウォータサーバの給水軸(図示せず)が挿入される円孔部11が内側筒状部12によって円筒状に形成されている。また、円孔部11の周囲には前記液体容器1の口部2の上端部3が嵌め込まれる凹嵌部13が設けられている。この凹嵌部13は、前記口部2の上端部3の外周面4を被覆する外側筒状部14と、上端部3の端面5を被覆する上面部15と、上面部15の内側に突出する縦壁部16とでU字形状の凹溝を形成している。前記外側筒状部14は、内側筒状部12より長く形成されており、前記凹嵌部13の下方位置に係止突起17が設けられている。この係止突起17は、液体容器1の口部2の上端部3の下端に設けられた係止溝6に係合してボトルキャップ10が口部2から外れないようにするものである。
【0013】
前記ボトルキャップ10の上面部15は、前記液体容器1の円筒状の口部2に対応した円形状に形成されており、その中心部に前記円孔部11が開口している。また、前記上面部15の内側に突出する縦壁部16は、前記内側筒状部12と外側筒状部14とのほぼ中間位置に設けられ、円孔部11の外周に沿ってリング状に形成されている。この縦壁部16は、ほぼ垂直な外側面16aと傾斜する内側面16bとで断面略台形状に形成されており、この縦壁部16の外側面16aが、ボトルキャップ10を液体容器1の口部2の上端部3に装着した時に、前記上端部3の内周面7に圧接することで、内周面7との間の水密性を確保する。水密性を担保するために、前記円孔部11の中心から縦壁部16の外側面16aまでの半径は、前記液体容器1の口部2の中心から上端部3の内周面7までの半径と少なくとも同一であり、又は僅かに大きくてもよい。なお、この実施形態では前記縦壁部16がほぼ垂直な外側面16aを有しているが、この形状は前記口部2の上端部3の内周面7の形状に対応させたものであるので、前記内周面7の形状に合わせて圧接するのに最適な形状に変更することができる。
【0014】
また、前記上面部15の内側には、前記凹嵌部13内に突出する断面略三角形状の小さな突起18が設けられる。この突起18は、図3に示されるように、前記縦壁部16の外周に沿ってリング状に設けられ、液体容器1の口部2の上端部3の端面5に圧接することで、端面5との間の水密性を確保する。そのため、この突起18の出っ張りは、前記縦壁部16に比べてかなり小さいものであり、前記上端部3の端面5に圧接した時に、先端部が押圧変形して平面状に潰れ易いように、先端の頂角が60度前後に形成されている。なお、この突起20の形状や突出高さ、頂角の大きさ、突出位置、突起の本数などは設計的事項の範囲である。また、外側筒状部14と上面部15との角部19の形状は曲面になっているが、必ずしも前記液体容器1の口部2の上端部3の曲面形状に対応させる必要はない。本発明では、ボトルキャップ10を液体容器1の口部2に装着した時の水密性は、前記のように、主に縦壁部16の外周面16aと断面三角形状の突起17とで確保できるからである。
【0015】
前記内側筒状部12は、ウォータサーバの給水軸が挿入される円孔部11を形成しており、液体容器1をウォータサーバに設置するまでの間、円孔部11を閉塞するための栓20が装着される。円孔部11の内周面は、栓20が係止する係止段部22を境にして内径の大きい上側内周面21aと、やや内径が小さい下側内周面21bとからなる。また、下側内周面21bの下端には外向きのテーパ23が設けられている。また、上側内周面21aの上端には、ボトルキャップ10と一体に成形された蓋体25を閉じるための係合段部24が設けられている。
【0016】
前記栓20は、図1に示されるように、全体が円筒状に形成されており、直径が前記円孔部11の内径に対応している。栓20の上端には前記円孔部11の係止段部22に係合する張出段部26が外周面に沿って形成され、また、張出段部26の下方には断面形状が半円状の張出部27が外周面に沿って形成されている。さらに、栓20の下端には内側筒状部12の直径より大きい径の底部28が設けられている。この栓20は内側筒状部12の下側から嵌め込まれ、常時は底部28が内側筒状部12の下端に当接した状態で前記円孔部11を閉塞する。この時、栓20の張出部27が円孔部11の下側内周面21bに圧接した状態で保持される。ウォータサーバに液体容器1を設置する際、給水軸が円孔部11に挿入されると、栓20が給水軸の先端で押されて下方にスライドし、張出段部26が円孔部11内の係止段部22に一旦係止されたのち、さらに給水軸に押されることで、内側筒状部12の下端から脱落し、円孔部11を介して給水軸が液体容器1の内部と連通して給水軸への供給が可能となる。
【0017】
一方、前記蓋体25は、前記内側筒状部12の上側から円孔部11を閉塞するもので、図1乃至図3に示されるように、ボトルキャップ10とは樹脂ヒンジ部29によって連結されている。この蓋体25は、前記円孔部11の内径より少し大きめの直径からなる円形のキャップ部30を備えており、このキャップ部30の下面には内側筒状部12の前記係合段部24に嵌り合う円形のフランジ31が設けられている。円孔部11を閉塞する場合には、蓋体25を樹脂ヒンジ部29で折曲げ、係合段部24にキャップ部30のフランジ31を嵌め込むことで円孔部11の上端が閉塞され、蓋体25の上面とボトルキャップ10の上面部15とが面一となる。なお、ボトルキャップ10の上面部15にはその外側面に補強リブ32が設けられている。この補強リブ32は、上面部15の外周に沿って長く設けられているため、前記蓋体25に上から外圧が掛かったとしても上面部15がへこんだりゆがんだりするのを防止することができる。
【0018】
図5には前記液体容器1の口部2に上記の構成からなるボトルキャップ10を装着する前の状態が、図6にはボトルキャップ10を装着した後の状態がそれぞれ示されている。ボトルキャップ10は、液体容器1の中に高温に熱した液体、例えば熱水が詰められた状態で液体容器1に装着される。ボトルキャップ10の装着は、ベルトコンベア上を流れる液体容器1の口部2にボトルキャップ10を被せる工程と、被せたボトルキャップ10を上から押圧して液体容器1の口部2を密封する工程とからなる。図5に示されるように、前者のボトルキャップ10を被せた段階では、液体容器1の口部2の上端部3にボトルキャップ10が載った状態にあり、この段階では口部2の上端部3は凹嵌部13に嵌り込まない。また、円孔部11(図1参照)の中心から縦壁部16の外側面16aまでの半径が、前記液体容器1の口部2の中心から上端部3の内周面7までの半径より僅かに大きい場合には、図5に示されるように、縦壁部16と口部の上端部3とが僅かな寸法lだけオーバラップする。
【0019】
ボトルキャップ10で液体容器1の口部2を密封する後者の工程では、図6に示されるように、ボトルキャップ10を上から押圧して凹嵌部13に液体容器1の口部2の上端部3を嵌め込む。上記凹嵌部13には口部2の上端部3が縦壁部16と僅かにオーバラップした状態で押し込まれるので、かなりきつい状態で凹嵌部13に嵌合されることになり、縦壁部16の外側面16aが上端部3の内周面7に圧接するのと同時に、上面部15の内側に突出形成された突起18の先端部分が押圧変形を受けて平面状に潰れて、上端部3の端面5を面で圧接する。また、前記凹嵌部13に口部2の上端部3が嵌合されるのと同時に、外側筒状部14の内側に突出形成した係止突起17が前記上端部3の下端に設けた係止溝6に係合することで、外から加わる力に対してボトルキャップ10が口部2の上端部3から外れないようにしている。
【0020】
上記の工程を経ることによって、液体容器1の口部2にボトルキャップ10が装着されるが、液体容器1内の熱水が冷めるのと同時に液体容器1自体も冷えて収縮するため、口部2の先端部3も収縮してその内周面7と縦壁部16の外側面16aとがさらに圧接することになる。その結果、前記口部2の内周面7での水密性がより一層確実なものとなり、液体容器1の成形時に上端部3の内周面7にへこみや窪みなどのヒケがあったとしても、縦壁部16の外側面16aがへこみや窪みなどを埋めるようにして圧接することで、水密性が図られる。また、上端部3の端面5には先端部分が押圧変形によって潰れた突起18が面圧接しているので、端面5に多少のキズが付いていたとしても、キズの部分をカバーすることができ、水密性を確保することができる。
【0021】
以上、本発明の好ましい実施例が述べられてきたが、本発明は、これら実施例に限定されず、種々の変形および変更がこれら実施例になされ得ることを認識されるべきである。
【符号の説明】
【0022】
1 液体容器
2 口部
3 上端部
4 外周面
5 端面
6 係止溝
7 内周面
10 ボトルキャップ
11 円孔部
12 内側筒状部
13 凹嵌部
14 外側筒状部
15 上面部
16 縦壁部
16a 外側面
16b 内側面
17 係止突起
18 突起
19 角部
20 栓
21a 上側内周面
21b 下側内周面
22 係止段部
23 テーパ
24 係合段部
25 蓋体
26 張出段部
27 張出部
28 底部
29 樹脂ヒンジ部
30 キャップ部
31 フランジ
32 補強リブ


図1
図2
図3
図4
図5
図6