【実施例】
【0052】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1
実験には以下の材料を用いた。
ポリアクリル酸(PAA、Carbopol(登録商標)940, 934、Lubrizol Advanced Materials Inc.、または、Carbopol 934P NF Polymer、小林香料株式会社)
ポリビニルピロリドン(PVP, polyvinylpyrrolidone K30、和光純薬工業株式会社、またはKollidon 30、Kollidon 90F、BASFジャパン株式会社)
ポリビニルアルコール(PVA, polyvinyl alcohol 2800, partially hydrolysed, 和光純薬工業株式会社、またはポリビニルアルコール(部分けん化物) PE-05JPS、日本酢ビ・ポバール株式会社)
ヒアルロン酸ナトリウム(HA, 微生物由来, ナカライテスク株式会社、または日本薬局方ヒアルロン酸ナトリウム、キユーピー株式会社、または株式会社資生堂)
ポリエチレングリコール400(PEG400、マクロゴール400、日興製薬株式会社)
ポリエチレングリコール4000(PEG4000、マクロゴール4000、日興製薬株式会社)
ポピドンヨード(PVP-I、イソジンうがい薬、Meiji Seika ファルマ株式会社)
キトサン(キトサン10、和光純薬工業株式会社)
水溶性キトサン(水溶性キトサン、京のくすり屋)
【0053】
(a)PAA/PVPフィルムの調製
0.5% PAA(940又は934)の水溶液又はエタノール溶液100μLをポリスチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンの基材上にキャストして75℃で乾燥させ、PAAフィルムを調製した。乾燥後のPAAフィルムの表面に0.77%のPVP(K30)水溶液100μLを滴下し、そのまま75℃で乾燥させた。混合比はPAA:PVP=1:1(繰り返し単位モル比)とした。
【0054】
(b)PAA/PVP/PVAフィルムの調製(1)
0.5% PAA(940または934)水溶液又はエタノール溶液100μLをポリスチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンの基材上にキャストして75℃で乾燥させた。0.77%のPVP(K30)水溶液100μLと3.06% PVA水溶液1〜100μLを混合して調製した溶液を乾燥後のPAAフィルム表面に滴下し、そのまま75℃で乾燥させた。混合比はPAA:PVP:PVA=1:1:0.1-10(繰り返し単位モル比)とした。
【0055】
(c)PAA/PVP/PVAフィルムの調製(2)
0.5% PAA(940又は934)水溶液100μLと3.06% PVA水溶液0.5〜50μLを混合した水溶液をポリスチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンの基材上にキャストして75℃で乾燥させた。乾燥後に得られたPAAフィルムの表面に0.77%のPVP(K30)水溶液100μLと3.06% PVA水溶液0.5〜50μLを混合して調製した溶液を滴下し、そのまま75℃で乾燥させた。混合比はPAA:PVP:PVA=1:1:0.1-10(繰り返し単位モル比)とした。
【0056】
(d)PAA/PVP/HAスポンジの調製(1)
0.05% PAA(934)水溶液1 mLと0.04% HA水溶液1 mLを混合し、得られた溶液に0.077%のPVP(K30)水溶液1 mLを加えて混合して-80℃で凍結した。凍結品を室温下で凍結乾燥することによりスポンジを得た。混合比はPAA:PVP:HA=1:1:0.14(繰り返し単位モル比)とした。
【0057】
(e)PAA/PVP/PVAフィルムの調製(3)
0.5% PAA(934P NF)エタノール溶液1 mLと3.06% PVA水溶液100μLを混合した溶液をポリスチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンの基材上にキャストして75℃で乾燥させた。乾燥後に得られたPAA/PVAフィルムの表面に7.7%のPVP (Kollidon 30または90F)エタノール溶液100μLと3.06% PVA水溶液100〜400μLを混合して調製した溶液を滴下し、そのまま75℃で乾燥させた。混合比はPAA:PVP:PVA=1:1:2-5(繰り返し単位モル比)とした。
【0058】
(f)PAA/PVP/HAスポンジの調製(2)
0.05% PAA(934P NF)水溶液1 mLと0.04% HA水溶液1〜5 mLを混合し、得られた溶液に0.077%のPVP(Kollidon 30または90F)水溶液1 mLを加えて混合して-20〜-80℃で凍結した。凍結品を室温下で凍結乾燥することによりスポンジを得た。混合比はPAA:PVP: HA=1:1:0.14〜0.7 (繰り返し単位モル比)とした。
【0059】
(g)PAA/PVP/PVA/PEGフィルムの調製
0.5% PAA(934P NF)エタノール溶液1 mLと3.06% PVA水溶液100μLを混合した溶液をポリスチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンの基材上にキャストして75℃で乾燥させ、PAA/PVAフィルムを調製した。乾燥後のPAA/PVAフィルムの表面に7.7%のPVP(Kollidon 30または90F)エタノール溶液100μLと3.06% PVA水溶液200μLと3.06% PEG400またはPEG4000エタノール溶液100〜500μLを混合した溶液を滴下し、そのまま75℃で乾燥させた。柔軟な透明フィルムを得た。
【0060】
(h)キトサン含有PAA/PVP/PVAフィルムの調製
0.5% PAA(934P NF)エタノール溶液1 mLと3.06% PVA水溶液100μLを混合した溶液をポリスチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンの基材上にキャストして75℃で乾燥させ、PAA/PVAフィルムを調製した。乾燥後のPAA/PVAフィルムの表面に7.7%のPVP(Kollidon 30または90F)エタノール溶液100μLと3.06% PVA水溶液300μLを混合した溶液を滴下し、そのまま75℃で乾燥させ、完全に乾ききる直前にキトサン10の粉末を表面に振りかけた後、完全に乾燥させた。
【0061】
(i) 水溶性キトサン含有PAA/PVP/PVAフィルムの調製
0.5% PAA(934P NF)エタノール溶液1 mLと3.06% PVA水溶液100μLを混合した溶液をポリスチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンの基材上にキャストして75℃で乾燥させ、PAA/PVAフィルムを調製した。乾燥後のPAA/PVAフィルムの表面に7.7%のPVP(Kollidon 30または90F)エタノール溶液100μL、3.06% PVA水溶液300μL、1%水溶性キトサン水溶液100μLを混合した溶液を滴下し、そのまま75℃で乾燥させ、水溶性キトサン含有PAA/PVP/PVAフィルムを得た。
【0062】
(j) 水溶性キトサン含有PAA/PVP/PVA/PEGフィルムの調製
0.5% PAA(934P NF)エタノール溶液1 mLと3.06% PVA水溶液100μLを混合した溶液をポリスチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンの基材上にキャストして75℃で乾燥させ、PAA/PVAフィルムを調製した。乾燥後のPAA/PVAフィルムの表面に7.7%のPVP(Kollidon 30または90F)エタノール溶液100μL、3.06% PVA水溶液200μL、3.06% PEG400または4000エタノール溶液100μL、1%水溶性キトサン水溶液100μLを混合した溶液を滴下し、そのまま75℃で乾燥させ、柔軟な水溶性キトサン含有PAA/PVP/PVA/PEGフィルムを得た。
【0063】
(k) 水溶性キトサン/PAA/PVP/PVAフィルムの調製(1)
0.5% PAA(934P NF)エタノール溶液1 mLと3.06% PVA水溶液100μLを混合した溶液をポリスチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンの基材上にキャストして75℃で乾燥させ、PAA/PVAフィルムを調製した。乾燥後のPAA/PVAフィルムの表面に7.7%のPVP(Kollidon 30または90F)エタノール溶液100μL、3.06% PVA水溶液300μLを滴下し、そのまま75℃で乾燥させた。乾燥後のPAA/PVP/PVAフィルムの表面に1%キトサン50%エタノール溶液500μLを滴下し、そのまま75℃で乾燥させ、水溶性キトサン/PAA/PVP/PVAフィルムを得た。
【0064】
(l)水溶性キトサン/PAA/PVP/PVAフィルムの調製(2)
0.5% PAA(934P NF)エタノール溶液1 mLと3.06% PVA水溶液100μLを混合した溶液をポリスチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンの基材上にキャストして75℃で乾燥させ、PAA/PVAフィルムを調製した。乾燥後のPAA/PVAフィルムの表面に7.7%のPVP(Kollidon 30または90F)エタノール溶液100μL、3.06% PVA水溶液300μLを滴下し、そのまま75℃で乾燥させた。別途、0.3%水溶性キトサン50%エタノール溶液を同様にキャスト・乾燥させ、キトサンフィルムを得た。両者を少量の水で張り合わせ、水溶性キトサン/PAA/PVP/PVAフィルムを得た。
【0065】
(m)ヨード含有PAA/PVP/PVAフィルムの調製(1)
0.5% PAA(934P NF)エタノール溶液1 mLと3.06% PVA水溶液100μLを混合した溶液をポリスチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンの基材上にキャストして75℃で乾燥させ、PAA/PVAフィルムを調製した。乾燥後のPAA/PVAフィルムの表面に市販のPVP-I水溶液100μL、3.06% PVA水溶液300μLを滴下し、そのまま75℃で乾燥させ、抗菌活性を持つフィルムを得た。
【0066】
(n)ヨード含有PAA/PVP/PVAフィルムの調製(2)
0.5% PAA(934P NF)エタノール溶液1 mLと3.06% PVA水溶液100μLを混合した溶液をポリスチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンの基材上にキャストして75℃で乾燥させ、PAA/PVAフィルムを調製した。乾燥後のPAA/PVAフィルムの表面に市販のPVP-I水溶液10μLと、7.7%のPVP(Kollidon 30または90F)エタノール溶液90μL、3.06% PVA水溶液300μLを滴下し、そのまま75℃で乾燥させ、抗菌活性を持つフィルムを得た。
【0067】
(o)キトサン含有PAA/PVP/HAスポンジの調製
0.05% PAA(934P NF)水溶液1 mLと0.04% HA水溶液1 mLを混合し、得られた溶液に5 mg のキトサン10の粉末を含む0.077%のPVP(Kollidon 30または90F)水溶液1 mLを加えて混合して-20℃で凍結した。凍結品を室温下で凍結乾燥することによりスポンジを得た。混合比はPAA:PVP:HA=1:1: 0.14 (繰り返し単位モル比)とした。
【0068】
(p)水溶性キトサン含有PAA/PVP/HAスポンジの調製
0.05% PAA(934P NF)水溶液1 mLと0.04% HA水溶液1〜3 mL、0.077%のPVP(Kollidon 30または90F)水溶液1 mLを混合し、得られた溶液に0.05% 水溶性キトサン水溶液1 mLを加えて混合して-20℃で凍結した。凍結品を室温下で凍結乾燥することによりスポンジを得た。混合比はPAA:PVP:HA=1:1:0.14〜0.42(繰り返し単位モル比)とした。
【0069】
(q)PAA/PVP/HA/PEG粉末の調製
0.05% PAA(934P NF)水溶液1 mLと0.04% HA水溶液1 mLを混合し、得られた溶液に0.077%のPVP(Kollidon 30または90F)水溶液1 mLと0.0306%〜0.153%のPEG400または4000水溶液1 mlを加えて混合して-80℃で凍結した。凍結品を室温下で凍結乾燥後、攪拌、粉砕してPAA/PVP/ HA/PEG粉末を得た。
【0070】
(r)PAA/PVP粉末の調製
0.05% PAA(934P NF)水溶液と0.077%のPVP(Kollidon 30)水溶液を四流体ノズルを搭載したスプレードライヤー(藤崎電気製)を用いて混合させながら噴霧乾燥し、PAA/PVP粉末を得た。
【0071】
(s)PAA/PVP/HA紙状シートの調製
0.5% PAA(934P NF)エタノール溶液1 mLをポリスチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンの基材上にキャストして75℃で乾燥させた。乾燥後に得られたPAAフィルムの表面に0.4% HA水溶液0〜1 mLと0.77%のPVP(Kollidon 30または90F)水溶液1 mLを混合して調製した溶液を滴下し-20℃で凍結した。凍結品を室温下で凍結乾燥することにより紙状シートを得た。混合比はPAA:PVP:HA=1:1:0〜0.14 (繰り返し単位モル比)とした。
【0072】
(t)ガーゼ接着PAA/PVP/HA紙状シートの調製
0.5% PAA(934P NF)エタノール溶液1 mLをポリスチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレンの基材上にキャストして75℃で乾燥させた。乾燥後に得られたPAAフィルムの表面に0.4% HA水溶液0〜1 mLと0.77%のPVP(Kollidon 30または90F)水溶液1 mLを混合して調製した溶液を滴下し-20℃で凍結した。凍結品の上または下に水で湿らせたガーゼを置き、凍結品とガーゼを接着させた後室温下で凍結乾燥することにより、ガーゼに接着した紙状シートを得た。混合比はPAA:PVP:HA=1:1:0〜0.14 (繰り返し単位モル比)とした。
【0073】
(u)重ね合わせフィルムの調製
上述の各フィルム、または紙状シートを少量の水または水溶性高分子などの水溶液で湿らせながら2〜5枚貼り合わせて、乾燥させ、重層フィルムを得た。また、アルギン酸ナトリウムフィルム、アガロースフィルム、またはガーゼと張り合わせることで、片面のみ接着性のフィルムを得た。
【0074】
(v)ガーゼ接着PAA/PVP/HA圧縮スポンジの調製
0.05% PAA(934P NF)水溶液1 mLと0.04% HA水溶液0〜5 mLを混合し、得られた溶液に0.077%のPVP(Kollidon 30または90F)水溶液1 mLを加えて混合し、得られた混合溶液を、底にガーゼを敷いた容器に入れ、-20〜-80℃で凍結した。凍結品を室温下で凍結乾燥後、軽くプレスすることにより凍結乾燥物から得られた圧縮スポンジがガーゼに接着した状態のPAA/PVP/HA圧縮スポンジを得た。混合比はPAA:PVP: HA=1:1:0〜0.7 (繰り返し単位モル比)とした。
【0075】
例2:癒着モデルマウスにおける癒着防止の評価
雄ddYマウス(6-8週齢)をネンブタール麻酔下で開腹した。盲腸を体外に出し、その表面の一部を熱したスパチュラで焼灼後、本発明のフィルム(PAA:PVP:PVA=1:1:10 繰り返し単位モル比)を火傷部位に貼り、盲腸を腹腔内に戻して閉腹した。術後3日または7日後に麻酔下で開腹して癒着防止効果を評価した。その結果、フィルムを貼っていない未処理のマウスでは盲腸が腸管及び腹壁等に強く癒着していたが、フィルムの貼付処置を施したマウスでは貼付したフィルムが火傷部位表面で血液やリンパ液を吸収してゲル化しながら火傷部位に強く接着しており、火傷部位の臓器や腹壁への癒着が認められなかった。この結果から、本発明のフィルムが高い癒着防止効果を有することが確認できた。
【0076】
例3:マウスにおける止血の評価
雄ddYマウス(6-8週齢)をネンブタール麻酔下で開腹した。肝臓に切開創を加え、本発明のフィルム(PAA:PVP:PVA=1:1:10 繰り返し単位モル比)を切開部位に貼り、一時間観察して止血効果を評価したところ、貼付したフィルムが急速に血液を吸収してゲル化しながら切開創部位に強く接着し、効率よく十分な止血効果が達成される様子が確認できた。
【0077】
例4:マウスにおける止血の評価
雄ddYマウス(6-8週齢)の右下肢大腿部内側の皮膚をネンブタール麻酔下で切開した。下
肢静脈を切断して本発明のフィルム(PAA:PVP:PVA=1:1:10 繰り返し単位モル比)又はスポ
ンジ(PAA:PVP:HA=1:1:1.4 繰り返し単位モル比)を切開部位に貼付して一時間観察し、止
血効果を評価したところ、フィルム又はスポンジが急速に血液を吸収してゲル化しながら
切開創部位に強く接着し、その結果、効率よく十分な止血効果が達成された。
【0078】
例5:フィルムの止血効果の耐圧性評価
二本の円筒形プラスティックチューブの下部をゴム管でつないだ。内部を水または色水で満たした後に、一方のチューブの上部にトリ皮を接着し、トリ皮に21Gの注射針で穴を空けた。本発明のフィルム(PAA:PVP:PVA=1:1:10 繰り返し単位モル比)を穴の上にあて、接着させた後、チューブの位置を縦にずらして静水圧をかけ水の漏れを観察した。フィルムは水分を急速に吸収してトリ皮に強く接着し、静水圧30mmHgまで水の漏れを完全に抑制した。
【0079】
例6:ヘパリン処理したマウスにおける止血の評価
雄ddYマウス(6-8週齢)の右下肢大腿部内側の皮膚をネンブタール麻酔下で切開した。下肢静脈を切断して(a)〜(c)、(e)、(g)〜(n)、および(u)に記載の本発明のフィルム、又は(d)、(f)、(o)、(p)、(s)および(t)に記載の本発明のスポンジ、又は(q)、(r)に記載の本発明の粉末、又は(q)、(r)に記載の本発明の粉末にキトサン10の粉末を混合したものを切開部位にあてて一時間観察し、止血効果を評価したところ、フィルム又はスポンジ又は粉末が急速に血液を吸収してゲル化しながら切開創部位に強く接着し、その結果、効率よく十分な止血効果が達成された。特にキトサンを含有するフィルム、スポンジ、粉末においては、止血効果が大きく向上した。
【0080】
例7:臨床研究における止血の評価(1)
ワーファリンを服用している患者からの採血後、(c)に記載の本発明のフィルムを穿刺部に載せたところ、フィルムがゲル化しながら穿刺部に接着し、速やかな止血が達成された。
【0081】
例8:臨床研究における止血の評価(2)
ワーファリンを服用している患者に抜歯を施した後、抜歯窩に(d)に記載の本発明のス
ポンジに載せたところ、スポンジがゲル化しながら接着し、速やかな止血が達成された。
<付記事項>
[付記1]
ポリアクリル酸及びポリビニルピロリドンを含むハイドロゲルを形成するためのフィルムであって、ポリアクリル酸又はポリビニルピロリドンのいずれか一方の溶液から乾燥状態のフィルム状固形物を調製し、得られた該フィルム状固形物に対して残りの一方の溶液を接触させた後に乾燥して得ることができるフィルム。
[付記2]
ポリアクリル酸の溶液から乾燥状態のフィルム状固形物を調製し、得られた該フィルム状固形物にポリビニルピロリドンの溶液を接触させた後に乾燥して得ることができる付記1に記載のフィルム。
[付記3]
ポリアクリル酸の溶液及び/又はポリビニルピロリドンの溶液がポリビニルアルコールを含む付記1又は2に記載のフィルム。
[付記4]
ポリアクリル酸及びポリビニルピロリドンを含むハイドロゲルを形成するためのフィルムの製造方法であって、ポリアクリル酸又はポリビニルピロリドンのいずれか一方の溶液から乾燥状態のフィルム状固形物を調製する工程、及び得られた該フィルム状固形物に残りの一方の溶液を接触させた後に乾燥する工程を含む方法。
[付記5]
ポリアクリル酸及びポリビニルピロリドンを含むハイドロゲルを形成するためのスポンジであって、水溶性高分子の存在下においてポリアクリル酸及びポリビニルピロリドンを混合した溶液を凍結乾燥して得ることができるスポンジ。
[付記6]
水溶性高分子の存在下においてポリアクリル酸の水溶液にポリビニルピロリドンの水溶液を混合して得られる水溶液を凍結乾燥して得ることができる付記5に記載のスポンジ。
[付記7]
水溶性高分子がヒアルロン酸又はその塩である付記5又は6に記載のスポンジ。
[付記8]
ポリアクリル酸及びポリビニルピロリドンを含むハイドロゲルを形成するためのスポンジの製造方法であって、水溶性高分子の存在下においてポリアクリル酸及びポリビニルピロリドンを混合した溶液を凍結乾燥する工程を含む方法。
[付記9]
水溶性高分子がヒアルロン酸又はその塩である付記8に記載の方法。
[付記10]
ポリアクリル酸及びポリビニルピロリドンを含むハイドロゲルを形成するための紙状シートであって、ポリアクリル酸又はポリビニルピロリドンのいずれか一方の溶液から乾燥状態のフィルム状固形物を調製し、得られた該フィルム状固形物に対して残りの一方と水溶性高分子とを含む溶液を接触させた後に凍結し、該凍結物を凍結乾燥して得ることができる紙状シート。
[付記11]
ポリアクリル酸の溶液から乾燥状態のフィルム状固形物を調製し、得られた該フィルム状固形物にポリビニルピロリドンとヒアルロン酸とを含む溶液を接触させた後に凍結し、該凍結物を凍結乾燥して得ることができる付記10に記載の紙状シート。
[付記12]
ポリアクリル酸及びポリビニルピロリドンを含むハイドロゲルを形成するための紙状シートの製造方法であって、ポリアクリル酸又はポリビニルピロリドンのいずれか一方の溶液から乾燥状態のフィルム状固形物を調製し、得られた該フィルム状固形物に対して残りの一方と水溶性高分子とを含む溶液を接触させた後に凍結し、該凍結物を凍結乾燥する工程を含む方法。
[付記13]
ポリアクリル酸及びポリビニルピロリドンを含むハイドロゲルを形成するための粉末であって、ポリアクリル酸及びポリビニルピロリドンを混合した溶液の液滴を乾燥させることにより得られる粉末。
[付記14]
上記溶液を噴霧乾燥することにより得られる付記13に記載の粉末。
[付記15]
ポリアクリル酸及びポリビニルピロリドンを含むハイドロゲルを形成するための粉末であ
って、水溶性高分子の存在下においてポリアクリル酸及びポリビニルピロリドンを混合し
た溶液を凍結乾燥して得ることができる固体を粉砕することにより得られる粉末。
[付記16]
付記1ないし3のいずれかに記載のフィルム、付記5ないし7のいずれかに記載のスポンジ、又は付記10ないし11のいずれかに記載の紙状シート、又は付記13ないし15のいずれかに記載の粉末を含む医療用処置材。
[付記17]
癒着防止材、止血材、又は創傷被覆材である付記16に記載の医療用処置材。