特許第6183840号(P6183840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183840
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】給湯システムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20060101AFI20170814BHJP
   F24H 4/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   F24H1/18 302N
   F24H4/02 N
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-188216(P2013-188216)
(22)【出願日】2013年9月11日
(65)【公開番号】特開2015-55389(P2015-55389A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 正広
(72)【発明者】
【氏名】前野 政司
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−327728(JP,A)
【文献】 特開2002−147846(JP,A)
【文献】 特開2010−203667(JP,A)
【文献】 特開2007−271119(JP,A)
【文献】 特開2009−287838(JP,A)
【文献】 特開2009−250465(JP,A)
【文献】 特開2009−97819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/18
F24H 4/02
F24H 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温水を加熱して高温水を製造する熱源機と、
その熱源機に低温水配管および高温水配管を介して接続され、当該熱源機で製造された高温水をその上部側から温度成層を形成して順次貯湯する少なくとも1以上の貯湯タンクと、を備え、
前記貯湯タンク内に設定温度の温水を貯湯完了後、その温度を維持可能に構成されている給湯システムにおいて、
前記貯湯タンクの上下方向に沿って複数個の温度センサを設け、その最下位に設けられている温度センサを設定温度の温水が100%貯湯されたことを検知する第1温度センサとなし、該第1温度センサの検出値に基づいて沸き上げ運転時および沸き増し運転時に前記熱源機の運転停止を制御するとともに、
前記沸き増し運転時、前記第1温度センサによる検出値が設定温度に到達した際、その上方に設けられている第2温度センサの検出値(ΔT´)と、該第2温度センサが沸き上げ運転時に検出した検出値(ΔT)との温度差(ΔT−ΔT´)により前記第1温度センサの設定温度を補正し、その補正値を目標温度として前記熱源機の運転停止を制御する制御部を備えていることを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
前記補正値は、下記(1)式により算出されることを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
設定温度+(ΔT−ΔT´)/α(ただし、αは、任意の係数)・・・(1)
【請求項3】
前記補正値を算出する前記(1)式において、係数αが2とされていることを特徴とする請求項2に記載の給湯システム。
【請求項4】
低温水を加熱して高温水を製造する熱源機と、
その熱源機に低温水配管および高温水配管を介して接続され、当該熱源機で製造された高温水をその上部側から温度成層を形成して順次貯湯する少なくとも1以上の貯湯タンクと、を備え、
前記貯湯タンク内に設定温度の温水を貯湯完了後、その温度を維持可能に構成されている給湯システムの制御方法において、
前記貯湯タンクの上下方向に沿って複数個の温度センサを設け、その最下位に設けられている温度センサを設定温度の温水が100%貯湯されたことを検知する第1温度センサとなし、該第1温度センサの検出値に基づいて沸き上げ運転時および沸き増し運転時に前記熱源機の運転停止を制御するとともに、
前記沸き増し運転時、前記第1温度センサによる検出値が設定温度に到達した際、その上方に設けられている第2温度センサの検出値(ΔT´)と、該第2温度センサが沸き上げ運転時に検出した検出値(ΔT)との温度差(ΔT−ΔT´)により前記第1温度センサの設定温度を補正し、その補正値を目標温度として前記熱源機の運転停止を制御することを特徴とする給湯システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源機と、その熱源機により製造された高温水をその上部側から温度成層を形成して順次貯湯する少なくとも1以上の貯湯タンクとを備えている給湯システムおよびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記の如く、熱源機に対して低温水配管および高温水配管を介して接続され、該熱源機で製造された高温水をその上部側から温度成層を形成して順次貯湯する少なくとも1以上の貯湯タンクを備えた給湯システムにおいては、貯湯タンクの上下方向に複数個の温度センサを設け、その最下位に設けられている温度センサを設定温度の温水が100%貯湯されたことを検知する第1温度センサとし、この第1温度センサの検出値に基づいて、沸き上げ運転時および沸き増し運転時に設定温度の温水が100%貯湯されていると判断することにより、熱源機の運転を制御するようにしている。
【0003】
例えば、特許文献1には、貯湯タンクの上下方向に複数個の温度センサを設置し、各々の温度センサの検出値が設定温度以下の場合に、熱源機を起動するとともに、各々の温度センサの検出値が設定温度を超えている場合に、熱源機を停止するようにしている温水供給システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−349965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の如く、熱源機で製造した高温水を貯湯タンクの上部側から温度成層を形成するように順次貯湯するタイプの給湯システムでは、一般に、貯湯タンクの最下位位置に設けられている温度センサの検出値が設定温度以上になったとき、100%貯湯完了と判定するようにしている。かかるタイプの給湯システムにおいて、欧州規格では、100%貯湯完了後の放置状態で、保温運転(沸き増し運転)により48時間設定温度をキープしなければならないことが規定されている。
【0006】
通常、100%貯湯が完了した後、そのまま放置すると、自然放熱や熱移動により高温部と低温部との間の温度差が、高温部側で低下し、低温部側で上昇することにより小さくなり、温度成層幅が拡大する。この状態で保温のための沸き増し運転を行い、100%貯湯完了を検知する温度センサにより沸き増し運転の完了を判定するようにすると、貯湯タンク上部の温水温度が沸き上げ初期の温度よりも低くなり、次第に貯熱量が低下してしまう結果、出湯時において、初期に設定した高温の温水を出湯することができなくなる。
【0007】
一方、高温水の温度低下を避けるために、いたずらに沸き増し運転を行うと、低温部の温度上昇による影響もあって、熱源機の効率が低下し、そのCOP(成績係数)が低下してしまう等の課題があった。つまり、ここでの高温水の温度維持と、熱源機のCOP維持とは、互いに相反する関係を有することになる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、保温運転下にあっても一定の貯熱量を確保し、初期の設定温度に近いより高温の温水を出湯することができる給湯システムおよびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明の給湯システムおよびその制御方法は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる給湯システムは、低温水を加熱して高温水を製造する熱源機と、その熱源機に低温水配管および高温水配管を介して接続され、当該熱源機で製造された高温水をその上部側から温度成層を形成して順次貯湯する少なくとも1以上の貯湯タンクと、を備え、前記貯湯タンク内に設定温度の温水を貯湯完了後、その温度を維持可能に構成されている給湯システムにおいて、前記貯湯タンクの上下方向に沿って複数個の温度センサを設け、その最下位に設けられている温度センサを設定温度の温水が100%貯湯されたことを検知する第1温度センサとなし、該第1温度センサの検出値に基づいて沸き上げ運転時および沸き増し運転時に前記熱源機の運転停止を制御するとともに、前記沸き増し運転時、前記第1温度センサによる検出値が設定温度に到達した際、その上方に設けられている第2温度センサの検出値(ΔT´)と、該第2温度センサが沸き上げ運転時に検出した検出値(ΔT)との温度差(ΔT−ΔT´)により前記第1温度センサの設定温度を補正し、その補正値を目標温度として前記熱源機の運転停止を制御する制御部を備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、貯湯タンクの上下方向に沿って複数個の温度センサを設け、その最下位に設けられている温度センサを、設定温度の温水が100%貯湯されたことを検知する第1温度センサとなし、該第1温度センサの検出値に基づいて沸き上げ運転時および沸き増し運転時に熱源機の運転停止を制御するとともに、沸き増し運転時、第1温度センサによる検出値が設定温度に到達した際、その上方に設けられている第2温度センサの検出値(ΔT´)と、該第2温度センサが沸き上げ運転時に検出した検出値(ΔT)との温度差(ΔT−ΔT´)により第1温度センサの設定温度を補正し、その補正値を目標温度として熱源機の運転停止を制御する制御部を備えているため、沸き上げ運転時および沸き増し運転時、第1温度センサの検出値に基づいて熱源機の運転停止を制御し、100%貯湯およびその後の温度維持(保温)を行うが、100%貯湯完了後の放置状態では、自然放熱や熱移動により高温部と低温部との温度差が小さくなって温度成層幅が大きくなることから、この状態下で保温のための沸き増し運転を行い、100%貯湯を検知する第1温度センサの検出値によって沸き増しの完了を判定した場合、貯湯タンク上部の温水温度が沸き上げ初期の温度よりも低くなり、次第に貯熱量が低下してしまう。そこで、沸き増し運転時、第1温度センサが設定温度に到達した際、その上方に設けられた第2温度センサの検出値(ΔT´)と、その第2温度センサが沸き上げ運転時に検出した検出値(ΔT)との温度差(ΔT−ΔT´)により第1温度センサの設定温度を補正し、その補正値を目標温度として熱源機を運転停止することにより、貯湯タンク上部での温水温度の低下幅を縮小することができる。これによって、100%貯湯完了後の放置時における貯熱量の低下を抑制し、出湯時において、設定温度に近いより高温の温水を出湯することができるようになる。
【0011】
さらに、本発明の給湯システムは、上記の給湯システムにおいて、前記補正値は、下記(1)式により算出されることを特徴とする。
設定温度+(ΔT−ΔT´)/α(ただし、αは、任意の係数)・・・(1)
【0012】
本発明によれば、補正値が、「設定温度+(ΔT−ΔT´)/α(ただは、αは、任意の係数)」により算出されるため、沸き増し運転時、貯湯タンク上部の温水温度を、沸き上げ運転時に検出した初期の検出値(ΔT)と沸き増し運転時に検出した検出値(ΔT´)との間の温度に沸き増しすることができる。これによって、保温時における貯湯タンク上部の温水温度の低下幅を極力縮小し、より高温の温水を出湯することができるとともに、沸き増しし過ぎによる熱源機のCOP(成績係数)低下を抑制することができる。
【0013】
さらに、本発明の給湯システムは、上記の給湯システムにおいて、前記補正値を算出する前記(1)式において、係数αが2とされていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、補正値を算出する(1)式において、係数αが2とされているため、沸き増し運転時に、貯湯タンク上部の温水温度を、沸き上げ運転時に検出した初期の検出値(ΔT)と沸き増し運転時に検出した検出値(ΔT´)との間のちょうど中間の温度に制御し、維持することができる。従って、互いに相反する関係にある温水温度の維持と熱源機のCOP維持との関係を双方のバランスを取って、各々の低下を程々に抑えた制御を行うことができる。
【0015】
さらに、本発明にかかる給湯システムの制御方法は、低温水を加熱して高温水を製造する熱源機と、その熱源機に低温水配管および高温水配管を介して接続され、当該熱源機で製造された高温水をその上部側から温度成層を形成して順次貯湯する少なくとも1以上の貯湯タンクと、を備え、前記貯湯タンク内に設定温度の温水を貯湯完了後、その温度を維持可能に構成されている給湯システムの制御方法において、前記貯湯タンクの上下方向に沿って複数個の温度センサを設け、その最下位に設けられている温度センサを設定温度の温水が100%貯湯されたことを検知する第1温度センサとなし、該第1温度センサの検出値に基づいて沸き上げ運転時および沸き増し運転時に前記熱源機の運転停止を制御するとともに、前記沸き増し運転時、前記第1温度センサによる検出値が設定温度に到達した際、その上方に設けられている第2温度センサの検出値(ΔT´)と、該第2温度センサが沸き上げ運転時に検出した検出値(ΔT)との温度差(ΔT−ΔT´)により前記第1温度センサの設定温度を補正し、その補正値を目標温度として前記熱源機の運転停止を制御することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、沸き上げ運転時および沸き増し運転時、第1温度センサの検出値に基づいて熱源機の運転停止を制御し、100%貯湯およびその後の温度維持(保温)を行うが、100%貯湯完了後の放置状態では、自然放熱や熱移動により高温部と低温部との温度差が小さくなって温度成層幅が大きくなることから、この状態下で保温のための沸き増し運転を行い、100%貯湯を検知する第1温度センサの検出値によって沸き増しの完了を判定した場合、貯湯タンク上部の温水温度が沸き上げ初期の温度よりも低くなり、次第に貯熱量が低下してしまう。そこで、沸き増し運転時、第1温度センサが設定温度に到達した際、その上方に設けられた第2温度センサの検出値(ΔT´)と、その第2温度センサが沸き上げ運転時に検出した検出値(ΔT)との温度差(ΔT−ΔT´)により第1温度センサの設定温度を補正し、その補正値を目標温度として熱源機を運転停止することにより、貯湯タンク上部での温水温度の低下幅を縮小することができる。従って、100%貯湯完了後の放置時における貯熱量の低下を抑制し、出湯時において、設定温度に近いより高温の温水を出湯することができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の給湯システムおよびその制御方法によると、保温状態下、保温のための沸き増し運転を行い、100%貯湯を検知する第1温度センサの検出値によって沸き増しの完了を判定した場合、貯湯タンク上部の温水温度が沸き上げ初期の温度よりも低くなり、次第に貯熱量が低下してしまうが、この沸き増し運転時、第1温度センサが設定温度に到達した際、その上方に設けられた第2温度センサの検出値(ΔT´)と、その第2温度センサが沸き上げ運転時に検出した検出値(ΔT)との温度差(ΔT−ΔT´)により第1温度センサの設定温度を補正し、その補正値を目標温度として熱源機を運転停止することにより、貯湯タンク上部での温水温度の低下幅を縮小することができるため、100%貯湯完了後の放置時における貯熱量の低下を抑制し、出湯時において、設定温度に近いより高温の温水を出湯することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る給湯システムのシステム構成図である。
図2】上記給湯システムによる沸き上げ運転時および沸き増し運転時の貯湯タンク内の温水温度の変動状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の一実施形態について、図1および図2を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る給湯システムのシステム構成図が示されている。
本実施形態の給湯システム1において、熱源機2としてCO2冷媒を使用した超臨界サイクルのヒートポンプを用いたものが例示されている。熱源機2は、本実施形態のヒートポンプに限定されるものではなく、ボイラ、燃料電池等、他の構成機器としてもよいことはもちろんである。
【0020】
ヒートポンプ式熱源機(熱源機)2は、冷媒を圧縮する圧縮機3と、ガスクーラとして機能し、冷媒と水とを熱交換させる水/冷媒熱交換器(ガスクーラ)4と、冷媒を減圧する電子膨張弁等からなる減圧手段5と、ファン6により通風される外気との熱交換により冷媒を蒸発させる蒸発器7とが順次冷媒配管8を介して接続された閉サイクルの冷媒循環回路9を備えている。ここでのヒートポンプ式熱源機2は、作動媒体としてCO2冷媒を充填した超臨界サイクルのヒートポンプとされているが、それ自体は、公知のものであってよい。
【0021】
また、水/冷媒熱交換器(ガスクーラ)4は、その冷媒流路4A側を流れる高温高圧の冷媒ガスと、水流路4B側を流れる水とを熱交換させて高温水を生成するものであり、冷媒流路4A側を流通する冷媒ガスと、水流路4B側を流通する水とが対向流により熱交換される構成とされている。
【0022】
一方、給湯ユニット10は、ヒートポンプ式熱源機2により製造された温水を貯える所要容量の貯湯タンク11と、この貯湯タンク11を介してヒートポンプ式熱源機2の水/冷媒熱交換器4の水流路4B側に水を循環とする水回路12とを備えている。この貯湯タンク11は、その底部から低温水を抜いて熱源機2に供給し、ヒートポンプ式熱源機2により製造された高温水をタンク上部から順次供給することにより、温度成層を形成するように貯湯する構成とされているものである。
【0023】
なお、貯湯タンク11は、比較的小型の小容量の複数のタンクを接続管により互いに直列に接続した構成としてもよく、この場合、熱源機2からの高温水配管が接続される貯湯タンクを最上流のタンクとし、その貯湯タンクの上部に負荷側への出湯配管を接続するとともに、該貯湯タンクの底部と下流側の貯湯タンクの上部を接続管で接続して順次複数の貯湯タンクを直列に接続し、最下流の貯湯タンクの底部に熱源機2への低温水配管と給水配管とを接続した構成とされる。かかる貯湯タンク11は、公知のものであってよい。
【0024】
また、水回路12は、貯湯タンク11の底部からの低温水を水/冷媒熱交換器4の水流路4Bに供給する低温水配管13と、低温水配管13中に設けられた水ポンプ14と、水/冷媒熱交換器4で生成された高温水を貯湯タンク11の上部に供給する高温水配管15と、貯湯タンク11に水を供給するための給水配管16と、貯湯タンク11に貯湯されている高温水を負荷側に出湯する出湯配管17と、給水配管16と出湯配管17との間に設けられたバスパス配管18と、バイパス配管18からの水と貯湯タンク11からの高温水とを混合して所定温度の温水となし、負荷側に供給する感温式ミキシング弁19と、水回路12内に混入した空気を外部に排出するエアベント20等から構成されている。
【0025】
また、貯湯タンク11には、その上下方向に沿って複数個の温度センサ21A,21Bおよび21Nが設けられている。この複数個の温度センサ21A,21Bおよび21Nのうち、温度センサ21Aは、100%貯湯位置に設けられた第1温度センサ、温度センサ21Bは、例えば60%貯湯位置に設けられた第2温度センサ、温度センサ21Nは、例えば20%貯湯位置に設けられた第3温度センサとされており、各温度センサ21A,21Bおよび21Nの検出値は制御部22に入力されるようになっている。なお、この温度センサは、3個である必要はなく、2個以上N個の温度センサを適宜の間隔で設けた構成とすることができる。
【0026】
制御部22は、給湯システム1の運転時、低温水配管13および高温水配管15に設置されている温度センサ23,24の検出値に基づいて、ヒートポンプ式熱源機2の圧縮機3および水ポンプ14の回転数を制御して温水製造能力を制御し、設定温度の高温水を製造するとともに、温度センサ21A,21Bおよび21Nの検出値に基づいて、給湯システム1の運転時、ヒートポンプ式熱源機2および水ポンプ14の運転停止を制御し、いわゆる沸き上げ運転および沸き増し運転を行うものである。
【0027】
かかる給湯システム1は、一般に安価な深夜電力を利用し、夜間に沸き上げ運転を行うことにより、貯湯タンク11内に設定温度の高温水を100%貯湯位置まで貯湯し、その高温水を消費期間中に出湯配管17を介して負荷側に出湯することにより消費するように使用されるが、沸き上げ運転完了後に放置されることにより、自然放熱や熱移動により貯湯タンク11内の高温水の温度が低下したり、あるいは高温水の消費により不足状態となったりした場合、必要に応じて沸き増し運転を行うようにしている。
【0028】
欧州規格(EN16147)においては、100%貯湯完了後の放置時、保温運転(沸き増し運転)を行うことにより、48時間設定温度をキープしなければならないことが規定されている。この規定は、制御部22を介して100%貯湯位置に設けた第1温度センサ21Aの検出値に基づいて、設定温度でヒートポンプ式熱源機2および水ポンプ14を運転し、設定温度でその運転を停止することにより、第1温度センサ21Aの設置位置で設定温度をキープできるため、容易に満たすことができる。
【0029】
しかし、自然放熱や熱移動等によって高温部と低温部との温度差が、高温部側で温度が低下し、低温部側で温度が上昇することにより小さくなるとともに、温度成層幅が拡大する状況下で、上記の如く保温運転(沸き増し運転)を行い、第1温度センサ21Aの検出値のみにより沸き増し完了を判定するようにした場合、図2に示されるように、貯湯タンク11の上部において、沸き上げ完了後の初期に、実線Aで示す如く設定温度であった温水温度が、破線Bで示すように次第に温度低下し、貯熱量が低下してしまう結果、出湯時において設定温度の高温水を出湯できなくなる。
【0030】
そこで、本実施形態においては、制御部22に対して補正手段25を設け、上記の保温運転(沸き増し運転)時、100%貯湯位置に設けられている第1温度センサ21Aの設定温度を補正し、その補正値を新たな目標温度としてヒートポンプ式熱源機2および水ポンプ14の運転停止を制御するようにしている。補正手段25は、第1温度センサ21Aよりも上方に設けられている適宜の温度センサ(本実施形態の場合、温度センサ21Bまたは21Nのいずれかとなるが、更に多数の温度センサが設けられたものであれば、そのいずれかであればよい。ここでは、第2温度センサ21Bを用いた場合の例について説明する。)の検出値を用いて第1温度センサ21Aの設定温度を補正するものである。
【0031】
具体的には、図2に示されるように、第1温度センサ21Aの上方に設けられている第2温度センサ21Bが沸き上げ運転時に検出した検出値(ΔT)と、保温運転(沸き増し運転)時に第1温度センサ21Aによる検出値が設定温度に到達した際、その上方に設けられている第2温度センサ21Bの検出値(ΔT´)との温度差(ΔT−ΔT´)に基づいて、第1温度センサ21Aの設定温度を補正し、その補正値を新たな目標温度として制御部22によりヒートポンプ式熱源機2および水ポンプ14の運転停止を制御する構成とされている。
【0032】
補正値は、以下の(1)式によって算出されるようになっている。
補正値=設定温度+(ΔT−ΔT´)/α ただし、αは、任意の係数・・・(1)
なお、上記(1)式において、係数αを2とすることが望ましい。これは、貯湯タンク11上部の温水温度を、図2中に示す2点鎖線Cの如く、沸き上げ運転時に検出した初期の検出値(ΔT)と、沸き増し運転時に検出した検出値(ΔT´)との間の中間温度に制御し、維持することによって、互いに相反する関係にある貯湯タンク11上部の温水温度を設定温度に近い温度に維持することと、沸き増し運転によるヒートポンプ式熱源機2のCOP(成績係数)を高COPに維持することとのバランスを取って、各々の低下を程々に抑制した制御を行うためである。
【0033】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記の給湯システム1およびその制御方法において、ヒートポンプ式熱源機2および水ポンプ14を運転し、水/冷媒熱交換器(ガスクーラ)4の冷媒流路4A側に高温高圧の冷媒ガスを流通させるとともに、水流路4B側に貯湯タンク11からの低温水を流通させて互いに熱交換させ、高温高圧の冷媒ガスで低温水を加熱することにより、高温水を生成することができる。この高温水を貯湯タンク11の上部に供給し、温度成層を形成して順次貯湯することにより、所要量の高温水を貯湯することができる。
【0034】
高温水の貯湯量は、貯湯タンク11の上下方向に沿って設けられている複数個の温度センサ21N,21B,21Aが、順次設定温度(例えば、90℃)の温度を検知したことを以って、当該温度センサの設置位置まで設定温度(90℃)の温水が貯湯された判断することができ、100%貯湯位置に設けられている第1温度センサ21Aが設定温度を検知することにより、沸き上げ完了と判断し、ヒートポンプ式熱源機2および水ポンプ14の運転を停止するようにしている。
【0035】
沸き上げ完了後は、保温状態となり、自然放熱やタンク上部から下部への熱移動により温水温度が設定温度まで低下すると、保温運転(沸き増し運転)が行われる。この際、制御部22は、補正手段25により上記(1)式(設定温度+(ΔT−ΔT´)/α)に基づいて、第1温度センサ21Aの設定温度を補正し、その補正値を新たな目標温度としてヒートポンプ式熱源機2および水ポンプ14の運転停止を制御するようにしている。これによって、第1温度センサ21Aの検出値(設定温度)のみで沸き増し完了を判断していた場合に対し、貯湯タンク11上部での温水温度の低下を破線Bの状態から2点鎖線Cの状態に改善することができる。
【0036】
斯くして、本実施形態によると、100%貯湯完了後における保温のための沸き増し運転時、第1温度センサ21Aが設定温度に到達した際、その上方に設けられた第2温度センサ21Bの検出値(ΔT´)と、その第2温度センサ21Bが沸き上げ運転時に検出した検出値(ΔT)との温度差(ΔT−ΔT´)により第1温度センサ21Aの設定温度を補正し、その補正値を目標温度としてヒートポンプ式熱源機2および水ポンプ14の運転を制御するようにしている。
【0037】
これによって、図2の示すように、貯湯タンク11上部の温水温度の低下幅を、「ΔT−ΔT´」からその間の温度まで縮小することができる結果、100%貯湯完了後の放置時における貯熱量の低下を抑制し、出湯時において、設定温度に近いより高温の温水を出湯することができるようになる。
【0038】
つまり、上記補正値を補正手段25により上記(1)式(設定温度+(ΔT−ΔT´)/α(ただは、αは、任意の係数))で求めるようにしているため、沸き増し運転時、貯湯タンク11上部の温水温度を、沸き上げ運転時に検出した初期の検出値(ΔT)と沸き増し運転時に検出した検出値(ΔT´)との間の温度まで沸き増しすることができる。このため、保温時における貯湯タンク11上部の温水温度の低下幅を極力縮小し、より高温の温水を出湯することができるとともに、沸き増しし過ぎによるヒートポンプ式熱源機2のCOP(成績係数)低下を抑制することができる。
【0039】
また、上記補正値を算出する(1)式において、係数αを2としている。このため、沸き増し運転時に、貯湯タンク11上部の温水温度を、沸き上げ運転時に検出した初期の検出値(ΔT)と沸き増し運転時に検出した検出値(ΔT´)との間のちょうど中間の温度に制御し、維持することができる。これによって、互いに相反する関係にある温水温度の維持とヒートポンプ式熱源機2のCOP維持との関係を双方のバランスを取って、各々の低下を程々に抑えた制御を行うことができる。
【0040】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態において、ヒートポンプ式熱源機2を2段圧縮方式のヒートポンプ機とし、高能力化を図るとともに、給湯ユニット10を即時給湯方式のユニットとしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 給湯システム
2 ヒートポンプ式熱源機(熱源機)
5 水/冷媒熱交換器(ガスクーラ)
10 給湯ユニット
11 貯湯タンク
12 水回路
13 低温水配管
14 水ポンプ
15 高温水配管
21A 温度センサ(第1温度センサ)
21B 温度センサ(第2温度センサ)
21N 温度センサ
22 制御部
25 補正手段
図1
図2