特許第6183869号(P6183869)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アイビルドの特許一覧

特許6183869マンホールの更新方法及びマンホールの新設方法
<>
  • 特許6183869-マンホールの更新方法及びマンホールの新設方法 図000002
  • 特許6183869-マンホールの更新方法及びマンホールの新設方法 図000003
  • 特許6183869-マンホールの更新方法及びマンホールの新設方法 図000004
  • 特許6183869-マンホールの更新方法及びマンホールの新設方法 図000005
  • 特許6183869-マンホールの更新方法及びマンホールの新設方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183869
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】マンホールの更新方法及びマンホールの新設方法
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/02 20060101AFI20170814BHJP
   E02D 29/12 20060101ALI20170814BHJP
   E03F 7/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   E03F5/02
   E02D29/12 Z
   E03F7/00
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-66362(P2016-66362)
(22)【出願日】2016年3月29日
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3198669号
【原出願日】2015年4月9日
(65)【公開番号】特開2016-199993(P2016-199993A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2016年12月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516000099
【氏名又は名称】株式会社アイビルド
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】柿添 厚之介
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−131513(JP,A)
【文献】 特開平11−021931(JP,A)
【文献】 特開2002−364010(JP,A)
【文献】 特開2002−004312(JP,A)
【文献】 特開平09−254259(JP,A)
【文献】 特開平09−071958(JP,A)
【文献】 特開2006−002481(JP,A)
【文献】 特開2012−154077(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3151620(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/00−5/16、7/00
E02D 29/12−29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップを撤去した地中の既設直壁の内側にステップを内面に取付けた樹脂製の筒体を嵌装し、既設直壁の上端より低い位置の外周地盤に砂利を敷いた支持基礎を設け、既設直壁上に上から順にマンホール蓋と蓋支持リングと斜壁ブロックを配置するとともに、斜壁ブロックの下部外周に設けた下方突部を前記支持基礎の上面に接地させてマンホール蓋・蓋支持リング及び斜壁ブロックからの垂直荷重を前記支持基礎で支持し、しかも斜壁ブロックの下部の下面と既設直壁上端及び前記筒体の上端との間で圧縮されて挟まれた状態に水膨張性ゴムを間装して水密状に保持した、マンホールの更新方法
【請求項2】
ステップを撤去した地中の既設直壁の内側にステップを内面に取付けた樹脂製の筒体を筒体上端が既設直壁の上端より高く突出するように嵌装し、前記筒体の上端より低い位置の外周地盤に砂利を敷いた支持基礎を設け、既設直壁上に上から順にマンホール蓋と蓋支持リングと底盤ブロックを配置するとともに、前記底盤ブロックの外周に設けた下方突部を前記支持基礎の上面に接地させてマンホール蓋・蓋支持リング及び底盤ブロックからの垂直荷重を前記支持基礎で支持し、筒体上端と底盤ブロック下面との間に水膨張性ゴムを間装させ、しかも筒体外壁と既設直壁の上端面と支持基礎と底盤ブロックの下面と下方突部の内側壁面とで囲まれる空間に土を充填させて水密性を保持した、マンホールの更新方法
【請求項3】
既設直壁の内壁と嵌装した筒体の外壁との間の間隙にセメント系裏込材を圧入して、両者を間隙なく接合して強度と水密性を高めた、請求項1又は2記載のマンホールの更新方法
【請求項4】
ステップを取付けていない新設の地中の直壁の内側に内面にステップを取付けた樹脂製の筒体を嵌装し、前記直壁の上端より低い位置の外周地盤に砂利を敷いた支持基礎を設け、前記直壁上に上から順にマンホール蓋と蓋支持リングと斜壁ブロックを配置するとともに、斜壁ブロックの下部外周に設けた下方突部を前記支持基礎の上面に接地させてマンホール蓋・蓋支持リング及び斜壁ブロックからの垂直荷重を前記支持基礎で支持し、しかも斜壁ブロックの下部の下面と前記直壁上端及び前記筒体の上端との間で圧縮されて挟まれた状態に水膨張性ゴムを間装して水密状に保持した、マンホールの新設方法
【請求項5】
ステップを取付けていない新設の地中の直壁の内側にステップを内面に取付けた樹脂製の筒体を筒体上端が前記直壁の上端より高く突出するように嵌装し、前記筒体の上端より低い位置の外周地盤に砂利を敷いた支持基礎を設け、前記直壁上に上から順にマンホール蓋と蓋支持リングと底盤ブロックを配置するとともに、前記底盤ブロックの外周に設けた下方突部を前記支持基礎の上面に接地させてマンホール蓋・蓋支持リング及び底盤ブロックからの垂直荷重を前記支持基礎で支持し、筒体上端と底盤ブロック下面との間に水膨張性ゴムを間装させ、しかも筒体外壁と前記直壁の上端面と支持基礎と底盤ブロックの下面と下方突部の内側壁とで囲まれる空間に土を充填させて水密性を保持した、マンホールの新設方法
【請求項6】
直壁の内壁と嵌装した筒体の外壁との間の間隙にセメント系裏込材を圧入して、両者を間隙なく接合して強度と水密性を高めた、請求項4又は5記載のマンホールの新設方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長年使用されてきたマンホールが自動車等の繰り返し垂直荷重・振動荷重・地震・土圧・水圧等によって生じてくるコンクリート製直壁の躯体強度低下・亀裂の発生及び水洩れの発生等の劣化状態を、既設のコンクリート製直壁の躯体をそのまま残して修復して機能を回復できて、マンホールの長寿命化を可能とするマンホールの更新方法及び新設のマンホールとしても適用できる耐久性があるマンホールの新設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水道等の暗渠に設けられるマンホールの構造は、円筒状のコンクリート直壁の上にマンホール蓋支持リングとマンホール蓋とを設けた構造である。
このマンホールは長年使用していると、自動車のタイヤからの繰り返し垂直荷重・車の走行に伴う大きな振動荷重・地震・土圧・水圧・水の凍結等によって、その直壁に亀裂が発生して、強度が大きく低下したり水洩れを生起するようになり、マンホールの寿命を短縮していた。
マンホールに水洩れがあれば、雨水・地下水等がマンホール内に流入し、下水道の水量が増えて処理負担を増大させるので、マンホールの水洩れは少なくすることが要請されている。
【0003】
このマンホールの劣化に対して、マンホールの既設のコンクリート構造を撤去して、新しいマンホールを再構築するには作業日数とコストが嵩んでいた。
【0004】
又、引用文献1,2にはマンホールの更新工法として、マンホールの既設置の躯体の直壁の内側のステップを撤去し、複合強化樹脂製の筒体を直壁の内側に嵌装して直壁の洩水を防止するとともに、直壁の強度補強を図る更新工事が開示されている。
しかし、この更新工事では上方のマンホール蓋・斜壁ブロック・蓋支持リング等の部材の自重及び車等からの外部荷重・振動はこの直壁と筒体に荷重されることとなり、筒体の肉厚は薄いのでやはり外部荷重は旧直壁に作用することとなり、既設直壁に大部分の荷重がかかり、マンホールの寿命を長く延長することが難しいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−324060号公報
【特許文献2】特開2005−105713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これらの従来の更新工法の問題点を解消し、既設の直壁に大きな荷重をかけないでこれ以上の劣化が進行させず、水洩れもなくマンホールの強度を高められて、長寿命に延長できるマンホールの更新方法を提供することにある。及び、同じ構造を用いれば新設のマンホール構造の強度及び耐久性を大きく改善できるマンホールの新設方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
(1)ステップを撤去した地中の既設直壁の内側にステップを内面に取付けた樹脂製の筒体を嵌装し、既設直壁の上端より低い位置の外周地盤に砂利を敷いた支持基礎を設け、既設直壁上に上から順にマンホール蓋と蓋支持リングと斜壁ブロックを配置するとともに、斜壁ブロックの下部外周に設けた下方突部を前記支持基礎の上面に接地させてマンホール蓋・蓋支持リング及び斜壁ブロックからの垂直荷重を前記支持基礎で支持し、しかも斜壁ブロックの下部の下面と既設直壁上端及び前記筒体の上端との間で圧縮されて挟まれた状態に水膨張性ゴムを間装して水密状に保持した、マンホールの更新方法
(2)ステップを撤去した地中の既設直壁の内側にステップを内面に取付けた樹脂製の筒体を筒体上端が既設直壁の上端より高く突出するように嵌装し、前記筒体の上端より低い位置の外周地盤に砂利を敷いた支持基礎を設け、既設直壁上に上から順にマンホール蓋と蓋支持リングと底盤ブロックを配置するとともに、前記底盤ブロックの外周に設けた下方突部を前記支持基礎の上面に接地させてマンホール蓋・蓋支持リング及び底盤ブロックからの垂直荷重を前記支持基礎で支持し、筒体上端と底盤ブロック下面との間に水膨張性ゴムを間装させ、しかも筒体外壁と既設直壁の上端面と支持基礎と底盤ブロックの下面と下方突部の内側壁面とで囲まれる空間に土を充填させて水密性を保持した、マンホールの更新方法
(3)既設直壁の内壁と嵌装した筒体の外壁との間の間隙にセメント系裏込材を圧入して、両者を間隙なく接合して強度と水密性を高めた、前記(1)又は(2)記載のマンホールの更新方法
(4)ステップを取付けていない新設の地中の直壁の内側に内面にステップを取付けた樹脂製の筒体を嵌装し、前記直壁の上端より低い位置の外周地盤に砂利を敷いた支持基礎を設け、前記直壁上に上から順にマンホール蓋と蓋支持リングと斜壁ブロックを配置するとともに、斜壁ブロックの下部外周に設けた下方突部を前記支持基礎の上面に接地させてマンホール蓋・蓋支持リング及び斜壁ブロックからの垂直荷重を前記支持基礎で支持し、しかも斜壁ブロックの下部の下面と前記直壁上端及び前記筒体の上端との間で圧縮されて挟まれた状態に水膨張性ゴムを間装して水密状に保持した、マンホールの新設方法
(5)ステップを取付けていない新設の地中の直壁の内側にステップを内面に取付けた樹脂製の筒体を筒体上端が前記直壁の上端より高く突出するように嵌装し、前記筒体の上端より低い位置の外周地盤に砂利を敷いた支持基礎を設け、前記直壁上に上から順にマンホール蓋と蓋支持リングと底盤ブロックを配置するとともに、前記底盤ブロックの外周に設けた下方突部を前記支持基礎の上面に接地させてマンホール蓋・蓋支持リング及び底盤ブロックからの垂直荷重を前記支持基礎で支持し、筒体上端と底盤ブロック下面との間に水膨張性ゴムを間装させ、しかも筒体外壁と前記直壁の上端面と支持基礎と底盤ブロックの下面と下方突部の内側壁とで囲まれる空間に土を充填させて水密性を保持した、マンホールの新設方法
(6)直壁の内壁と嵌装した筒体の外壁との間の間隙にセメント系裏込材を圧入して、両者を間隙なく接合して強度と水密性を高めた、前記()又は()記載のマンホールの新設方法
にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、マンホール蓋・蓋支持リング・斜壁ブロックにかかる上からの荷重・振動は、既設直壁又は新設の直壁とその内側の樹脂製筒体の上端部にほとんど作用せず、コンクリート製斜壁ブロックの下部外周部に設けた砂利の基礎部を介して地盤に直接荷重することとなり、既設の直壁又は新設の直壁及び筒体には大きな荷重は負荷されない。
これによって、直壁のこれ以上の劣化の進行を停止又は遅らせる。
又、直壁とその内側の筒体と斜壁ブロックの下部壁面との間には水膨張性ゴムを介在させることによって水洩れを防止でき、又直壁の亀裂等からの水の進入はその内側の筒体によって遮断される。
よって、本発明によれば水洩れがなくなり、又既設直壁の劣化の進行を停止又は遅らせて、マンホールの寿命を長く延長できるようにできた。
【0009】
更に、直壁の内壁と嵌装した筒体の外壁との間の空隙にセメント系裏込材を圧入して両者との間を間隙なく接合すれば、更に強度及び水密性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明に係るマンホールの構造を示す説明図である。
図2図2は実施例1のマンホールの更新構造を示す縦断面図である。
図3図3は実施例1の斜壁ブロックの平面図である。
図4図4は実施例2の構造を示す縦断面図である。
図5図5は実施例2の底盤ブロックの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の筒体の素材としては、ガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂からなるFRP層とレジンモルタル層とを積層させた16mm厚み程の強化プラスチック複合管RCPを使用するのがよい。
【0012】
又、本発明で使用する水膨張性材料としては、水膨張性ゴムを使用するのが弾性と耐久性を備えるので好ましい。
又、本発明に使用する斜壁ブロック,蓋支持リング,新設の直壁は工場で品質よく製造されたコンクリートブロックがマンホール現場まで運送されて設置されるものである。
【0013】
本発明は、新設のマンホールの構築する場合でも更新構造と同じ構造にでき、新設のマンホールの構造として使用でき、新設のマンホール構造として直壁への荷重・振動を大巾に軽減して、マンホールの劣化の速度を遅くでき、よってマンホール寿命を長くできる。
この場合の作業手順として、まず下水道の暗渠上に新設のステップのない直壁を構築し、内側にステップを取付けた筒体を嵌装し、必要に応じて直壁と筒体との間にセメント系裏込材を流し込んで接合し、その後直壁の外周に土・裏込材を埋め戻して地盤を構築するとともに直壁の外周に構築された地盤の一部に砂利等の支持基礎を設け、これに上方の斜壁ブロック又は底盤ブロックの下部外周に設けた下方突部を載置し、又水膨張性ゴムを間装すれば既設のマンホールの更新構造と同じようになり、新設でも長寿命化できる作用効果の構造となる。
【実施例】
【0014】
以下、土被りが厚いマンホールに使用した実施例1と、土被りが浅いマンホールに使用した実施例2について図面に基づいて説明する。
【0015】
(実施例1)
図1〜3に示す実施例1は、土被りが1.8mのマンホールの更新した構造の例である。既設直壁は200mm厚みであり、又筒体として16mmRCP管を使用した。
図中、G1は実施例1のマンホールの更新構造、1は200mm厚みの既設のコンクリート製の既設直壁、2は更新の為のコンクリート製斜壁ブロック、2aは斜壁ブロック2の下部外周に設けた下方突部、2bは斜壁ブロック2の上方開口、3はガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂からなる内・外面のFRP層と不飽和ポリエステル樹脂と硅砂からなる樹脂モルタル層により構成された強化プラスチック複合管であるエスロンRCP(登録商標)を使用した16mm厚みの筒体、3aは同筒体3の内側に取付けたステップ、4は斜壁ブロック2の上方開口2bの開口縁上に設置される蓋支持リング、5はマンホール蓋、6は下水道の暗渠、7はマンホール蓋5周辺路表層を形成する円形履工板、8は地盤、9は舗装路盤、10は既設直壁1の外周の地盤の環状穴部に砂利を150mm厚みに充填した環状の支持基礎である。11は筒体3の外面と既設直壁1の内壁との間に流し込んだセメント系裏込材であり、12は斜壁ブロック2の下面と既設直壁1の上端及び筒体3の上端の隙間に間装されたハイドロタイト(登録商標)を使った水膨張性ゴムである。
【0016】
実施例1の更新構造の構築作業手順を示す。
(a)まず、既設マンホールの外周地盤・道路の舗装路盤9を掘削し、既設の蓋支持リング・既設の斜壁ブロックを撤去し、又既設直壁1の上部外周も掘削する。
(b)既設直壁1の内側にあるステップ・内副管等を撤去し、その内壁を清掃し、その脆弱部を撤去し、又鉄筋の防錆処理を行う。
(c)筒体3の流入出管の位置割り出しを行って、管接続できるように現場で筒体3を加工整形する。
(d)筒体3の内側にステップ3aを取付けて既設直壁1内に嵌装する。
(e)既設直壁1の底部及び筒体3の開口部に裏込材が漏れないように粘土モルタルでシールする。
(f)上記シール部が硬化したらセメント系裏込材を既設直壁1と筒体3との間に流し込んで、既設直壁1と筒体3との間の間隙及び既設直壁の亀裂に裏込材11を注入して硬化して両者の接合・ステップ3aの固定及び水洩れの修復をする。
(g)既設直壁1の上部外周の地盤8に150mm深さの環状穴部を掘削し、これに砂利を充填して環状の支持基礎10を設ける。
(h)水膨張性ゴム12を既設直壁1の上端1aと筒体3の上端に仮固定して、次に本発明の図2図1に示す新しい斜壁ブロック2を既設直壁1の上方から載置する。そのとき、斜壁ブロック2の下部外周の下方突部2aが支持基礎10上に荷重するように設置する。このとき、水膨張性ゴム12には斜壁ブロック2の下面と既設直壁1の上端・筒体3の上端との間で軽く圧縮されて水膨張性ゴム12は挟まれて固定される。尚、この水膨張性ゴムは雨水等と接触して膨張して、隙間の発生をなくして水密状にシールする。
(i)この斜壁ブロック2の上方に蓋支持リング4,マンホール蓋5を取付ける。
(j)既設直壁1の外周に必要な裏込材及び土を埋め戻し、又上方の欠落した舗装路盤9を修復し、円形履工板7を設置して作業完了する。
上記の作業手順は必要に応じて順番を変えること、及び平行作業を行うこともできる。
【0017】
この実施例1では、地中にある既設直壁1は残して使用するものであるので、その撤去作業が不要となる。又、既設直壁1の亀裂にはセメント系裏込材が筒体3との間から注入されることで、これが既設直壁1の亀裂の空隙を閉鎖するとともに、既設直壁1と筒体3を連結して強度を高める。又筒体3が内側にあることで既設直壁の側面からの水洩れ・水の流入はほとんどなくなる。
【0018】
又、斜壁ブロック2の下面と既設直壁1の上端面及び筒体3の上端との空隙も、水膨張性ゴム12によって水密状となることで、水洩れ・水流入はほぼ阻止できる。
更に、既設直壁1の亀裂に裏込材が進入することで直壁自体の強度も回復する。
【0019】
そして、実施例1の更新構造G1ではマンホール蓋5等の上部部材を介して作用する通行する車両の垂直荷重及び振動は、斜壁ブロック2の下方突部2aを介して砂利の支持基礎10及びそれから地盤8に働くことになるので、既設直壁1及び筒体3に作用する荷重・振動は大巾に低減する。又、作用しても荷重・振動は水膨張性ゴム12によって緩衝されて、負荷される。
この理由により、本実施例1の更新構造G1では既設直壁1に作用する荷重・振動は大巾に低減し、更新後の既設直壁1の劣化は停止するか遅くなって、マンホールの寿命を大巾に長くできる。
【0020】
図4,5に示す実施例2は、土被りが1.2m程である浅いマンホールの例の更新構造G2であり、この浅い土被りでは実施例1の斜壁ブロック2は使用されず、円盤状の底盤ブロック20が使用され、同底盤ブロック20の上方開口20bの開口縁に蓋支持リング24が設置されている。この底盤ブロック20の外周の下方突部20aが砂利の支持基礎21上に載置され、上方のマンホール蓋25,蓋支持リング24に負荷される荷重・振動を砂利の支持基礎21を介して地盤8で支持するので、既設直壁26及び筒体27に直接負荷されないようにして、既設直壁26のこれ以上の劣化の進行を停止している。
この実施例2では、既設直壁26の上端は低い位置にあるので、実施例1の筒体3の同じ素材の筒体27を上方に延ばして底盤ブロック20の下面まで上方にもってきて、この間に水膨張性ゴム28を間装することで水洩れ・水の流入を阻止し、又荷重・振動が下方の筒体27に伝わるのを低減している。
【0021】
更に、本実施例でもその既設直壁26と筒体27との間にはセメント系裏込材29を流入し、これらを接合し、又既設直壁26の亀裂空隙を閉鎖して、水洩れの修復と強度を補強している。
【0022】
又、上方に長く延びた筒体27と底盤ブロック20の下面・側面及び既設直壁26の上端面及び支持基礎21との間の空間は、土又は路床材30で埋めて充填している。これらによって、水密性を確保している。
上記実施例1,2は既設のマンホールの更新構造であるが、新設のマンホールの構造として同じ構造にすることで、強度補強と長寿命化を可能にできる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、主に道路のマンホールの更新方法・マンホールの新設方法であるが、地中下方が液体タンク、大型浄水槽となったマンホールでも使用可能である。
【符号の説明】
【0024】
G1 実施例1の更新構造
G2 実施例2の更新構造
1 既設直壁
1a 直壁の上端
2 斜壁ブロック
2a 下方突部
2b 上方開口
3 筒体
3a ステップ
4 蓋支持リング
5 マンホール蓋
6 下水道の暗渠
7 円形履工板
8 地盤
9 舗装路盤
10 支持基礎
11 裏込材
12 水膨張性ゴム
20 底盤ブロック
20a 下方突部
20b 上方開口
21 支持基礎
24 蓋支持リング
25 マンホール蓋
26 既設直壁
26a 下方突起
27 筒体
28 水膨張性ゴム
29 裏込材
30 路床材
図1
図2
図3
図4
図5