特許第6183882号(P6183882)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183882
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】印刷機
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   B41F33/00 238
   B41F33/00 280
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-277798(P2012-277798)
(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公開番号】特開2014-121803(P2014-121803A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】714000460
【氏名又は名称】リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉本 博
(72)【発明者】
【氏名】谷本 裕子
【審査官】 藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−240529(JP,A)
【文献】 米国特許第06178254(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 33/00 − 33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙された枚葉紙を印刷可能な印刷部と、該印刷部により印刷された印刷物に配置されている複数のカラーパッチにより構成されるカラーバーの色調を測定可能な色調測定装置と、該印刷部及び該色調測定装置とを制御可能な制御部とを備え、該制御部はカラーパッチの並びが記述されたカラーバーの基準ファイルを参照して該色調測定装置の測定結果を抽出する印刷機において、
該制御部は該色調測定装置が測定した印刷物のカラーパッチの全測定パッチ数を算出し、以下の式(1)によりカラーバーのセンターを求め、更に求めたカラーバーのセンターと該基準ファイルのセンターパッチを対応させ、測定したカラーパッチの左右端について、該基準ファイルを参照してその色を設定し、以って該基準ファイルに記述されたカラーパッチの並びに対応する印刷物のカラーパッチの配置を自動認識可能であることを特徴とする印刷機。

全測定パッチ数/2+α (1)

(ただし、カラーバーの特定位置に設けられるキャリブレーション用パッチが紙白濃度であり、前記の全測定パッチ数/2の式によって暫定的に求められたカラーバーのセンターの隣から所定数のパッチに着色がされており、所定数のパッチの濃度測定値について、印刷ユニットに設定されていない色に対応する濃度値が低いという3つの条件を満たさない場合、−4から+4までの範囲でαを1単位で変更すること)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色調測定装置を備えた印刷機に関するものである。なお、本発明において、色調とは色差や濃度のことを示しており、印刷機で印刷された印刷物の品質を評価するための指標となるものである。
【背景技術】
【0002】
色調測定装置が供えられた印刷機が知られており、印刷機にて印刷された印刷物の品質評価が可能となっている。印刷物を測定装置のテーブルに載置し、印刷物の用紙幅にわたって印刷されているカラーバー上を測定装置の測定部が走査することにより、印刷物の色調を測定する。そしてこの測定結果により、制御部が印刷機のインキ量調節装置を制御して印刷物の品質を一定に保つことができるようになっている。
【0003】
カラーバーは複数のカラーパッチ(K,C,M,Y,グレー等)により構成されている。測定装置について、例えば、濃度を測定する測定装置の場合、色の三原色であるC,M,Yに対応するC用フィルタ、M用フィルタ、Y用フィルタが設けられており、各フィルタは各色の濃度を測定する。また、色差を測定する測定装置の場合、例えば各色のLab値を測定する。特許文献1には、このような色調測定装置を備えた印刷機の開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−293847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来の色調測定装置では、同一の画像(JOB)を印刷する場合においても、印刷する印刷物の用紙幅が異なる度に、測定装置を制御する制御部にカラーバーの左右端のカラーパッチの色(K,C,M,Y等)を入力する必要があった。なぜなら、同一の画像でも、用紙幅が異なればカラーパッチの数が異なるからである。
【0006】
制御部はこの入力された左右端のカラーパッチの色と用紙サイズの情報を基に、カラーパッチの並びが記述されたファイル(以下、「基準ファイル」という)を参照し、各カラーパッチの色に対応した測定装置の測定結果を抽出する。そして前述の通り、インキ量調節装置にフィードバックするのである。よってオペレータにとっては、用紙サイズが変わるたびにこの左右端カラーパッチの色の入力が煩雑であり、改善の余地があった。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、色調測定作業を確実で迅速かつ容易に行える印刷機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するため、給紙された枚葉紙を印刷可能な印刷部と、該印刷部により印刷された印刷物に配置されている複数のカラーパッチにより構成されるカラーバーの色調を測定可能な色調測定装置と、該印刷部及び該色調測定装置とを制御可能な制御部とを備え、該制御部はカラーパッチの並びが記述されたカラーバーの基準ファイルを参照して該色調測定装置の測定結果を抽出する印刷機において、該制御部は該色調測定装置が測定した印刷物のカラーパッチの全測定パッチ数を算出し、以下の式(1)によりカラーバーのセンターを求め、更に求めたカラーバーのセンターと該基準ファイルのセンターパッチを対応させ、測定したカラーパッチの左右端について、該基準ファイルを参照してその色を設定し、以って該基準ファイルに記述されたカラーパッチの並びに対応する印刷物のカラーパッチの配置を自動認識可能であることを特徴とする。

全測定パッチ数/2+α (1)

(ただし、カラーバーの特定位置に設けられるキャリブレーション用パッチが紙白濃度であり、前記の全測定パッチ数/2の式によって暫定的に求められたカラーバーのセンターの隣から所定数のパッチに着色がされており、所定数のパッチの濃度測定値について、印刷ユニットに設定されていない色に対応する濃度値が低いという3つの条件を満たさない場合、−4から+4までの範囲でαを1単位で変更すること)
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る印刷機によれば、色調測定作業を確実で迅速かつ容易に行うことのできる印刷機を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る印刷機の一実施形態の概略構成を示す図である。
図2】色調測定装置の概略斜視図である。
図3】色調測定装置の要部概略平面図である。
図4】制御部を示す概略ブロック図である。
図5】印刷物におけるカラーバーを拡大して示す図である。
図6】カラーバーの基準ファイルと色調測定装置による測定結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、図1において、実質的に同様の構成、作用を有する部品には同じ参照符号を付してある。
【0012】
図1に示す印刷機は、給紙部20、印刷部30及び排紙部40を備えている。給紙部20は、フィーダーボード5を介して枚葉紙Pを印刷部30に供給することができる。印刷部30は、給紙部20から供給される枚葉紙Pを印刷することができ、複数の印刷ユニット(ここでは4台の印刷ユニット30a〜30d)を備えている。また、排紙部40は、印刷部30にて印刷された印刷物Qを排紙することができる。この印刷機では、給紙部20から枚葉紙Pが印刷部30に供給され、当該供給された枚葉紙Pが印刷部30における各印刷ユニット30a〜30dにて印刷された後、当該印刷された印刷物Qが排紙部40にて排紙される。
【0013】
給紙部20は複数の枚葉紙Pを収容することができるものであり、上端の枚葉紙Pから1枚ずつ引き出し、フィーダーボード5を介して枚葉紙Pを印刷部30に向けて矢印Z方向に搬送することができるものである。これにより、枚葉紙Pを印刷部30に供給することができる。
【0014】
印刷部30の各印刷ユニット30a〜30dは、それぞれ版胴1、ゴム胴2及び圧胴3を主要構成要素の一組として構成されるものである。印刷ユニット30aにおける4aは給紙胴であり、印刷ユニット30b〜30dにおける4はいずれも渡し胴である。
【0015】
各印刷ユニット30a〜30dにおいて、版胴1には印刷用の版(図示を省略)が配設される。この版には図示しない、インキ供給部であるインキローラ群及び給水装置からインキ及び水が供給され、版に従ってインキがゴム胴2に転写される。そしてゴム胴2に転写されたインキがゴム胴2及び圧胴3間で図示しないグリッパに挟持されつつ搬送されてくる枚葉紙Pにさらに転写される。これにより、給紙部20から供給される枚葉紙Pに対してそれぞれに設けられた版に対応して印刷を行うことができる。
【0016】
排紙部40は、搬送部41及び収容部42を備えている。この排紙部40では、印刷ユニット30dの圧胴3にて搬送されてくる印刷物Qは、先端部が搬送部41の保持部(図示省略)に保持され、搬送部41の図中略下側面に沿って搬送されて収容部42に送られる。収容部42は、搬送部41にて搬送されてきた印刷物Qを収容することができる。
【0017】
図2に色調測定装置50の概略斜視図を示し、図3に色調測定装置50の要部概略平面図を示す。この色調測定装置50は、ここではカラー印刷濃度を測定する濃度測定装置であり、図2に示すように、テーブル51、スキャナー52fを含む測定部52を備えている。この色調測定装置50は、テーブル51上に印刷面を上にして載置された印刷物Qのカラーバー100を測定部52のスキャナー52fにより走査して該カラーバー100の印刷品質(ここでは濃度)を評価し、これにより印刷物Qに印刷されたカラー印刷画像の印刷品質を評価するものである。なお、テーブル51の側方には、後述する印刷機の制御部80への指示入力が可能なタッチモニタTも併設されている。
【0018】
図3に示すように、テーブル51は、平坦な面を有し、該平坦面に印刷物Qを所定の位置に配置することができる。測定部52は、図3中矢印X方向に沿って配設されるX軸ガイド52a、この矢印X方向と直交乃至略直交する、図3中矢印Y方向に沿って配設される一対のY軸ガイド52b,52b、矢印Y方向に沿って可動し、前述のX軸ガイド52aが固定された一対のブラケット52c、52c、及びX軸ガイド52a上を矢印X方向に移動する既述のスキャナー52fを備えている。よってスキャナー52fは図3中矢印X方向及びY方向に往復動自在となっている。
【0019】
図4は本発明に係る制御部80の構成を示す概略ブロック図である。制御部80は演算処理等を行うマイクロプロセッサ81(シーケンサでもよい)、データ及び所定のプログラム(演算式あるいはテーブル等)を記憶するROM82、機械回転数等に関する種々の情報を記憶可能なRAM83、マイクロプロセッサ81と制御部80外部に設けられた装置との間における各種信号のやりとりを仲介するインターフェイス84等を用いて構成されている。制御部80には、前述の印刷ユニット30a〜30d、色調測定装置50、タッチモニタTが接続されている。
【0020】
本発明におけるカラーパッチの配置の自動認識動作について、図5、6を用いて説明する。図5は印刷物Qにおけるカラーバー100を拡大して示す図であり、図6はカラーパッチの並びが記述されたカラーバー100の基準ファイルと色調測定装置50によるカラーバー100の測定結果を示す表である。なお、図6における「インキキーNo.」とは、前述のインキローラ群にインキを供給する、枚葉紙Pの幅方向に複数設けられたインキキーのナンバーのことである。
【0021】
図2、3に示す色調測定装置50で測定されたカラーバー100の測定結果が制御部80に送られると、制御部80は測定したカラーバー100を構成するカラーパッチ数を算出する。具体的には、測定した濃度値の変化により、別々のカラーパッチであると認識して数える。そして以下の式1により、カラーバーのセンター(カラーパッチの並び方向における中心)を求める。
【0022】
全測定パッチ数/2+α …式1
αは本実施例においては、−4から+4までの範囲を1単位で変更していくが、次の3条件を満たすものである。一つ目の条件は基準ファイルのCal用パッチ(キャリブレーション用パッチ)が紙白濃度(最大濃度≦0.1)であることである。図6においてはパッチNo.102(左端から102番目のカラーパッチ)がこれに該当し、ここにはインキが塗布されず、白色となっている。なお、パッチNo.102は、全ての紙サイズにおいて、必ず印刷される基準パッチである。
【0023】
二つ目の条件は、数えられたパッチ数により暫定的に求められたセンターパッチの隣から所定数のパッチ(本実施例では、図5におけるカラーパッチ115〜119)に着色がされていること(測定濃度の最大値≧0.3)、すなわち、カラーパッチがきちんと存在していることである。
【0024】
三つ目の条件は、前記の所定数のパッチ(カラーパッチ115〜119)の濃度測定値について、印刷ユニット30a〜30dに設定されていない色に対応する濃度値が低いこと(最大値≦0.1)である。
【0025】
こうして求められたαを基に、基準ファイルのセンターパッチ(パッチNo.120)と対応するパッチをカラーバーのセンターとして設定する。そして測定したパッチの左右端について、基準ファイルを参照し、これに対応する色を左右端として設定し、各カラーパッチの色に応じた濃度を抽出して印刷部30のインキ量調節装置を制御する。センターパッチが求まらない場合、制御部80は「センターが見つかりません」とタッチモニタTに表示させる。なお、基準ファイルは制御部80のROM82に格納しておいてもよいし、基準ファイルが格納された外部記憶媒体を制御部80に接続してもよい。
【0026】
このように、制御部80は色調測定装置50の測定結果からカラーパッチの配置を自動認識するので、オペレータは用紙サイズが異なる度に左右端のカラーパッチ色を入力する必要がなく、迅速かつ容易で、かつ確実な色調測定作業が実現でき、もって印刷作業時間の短縮にもつながるのである。
【0027】
尚、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。色調測定装置50の測定部52の走査は自動走査であったが、手動による走査であってもよい。
【0028】
また、前述の実施形態では、枚葉オフセット印刷機であったが、これに限定されず、色調測定装置を有するものであれば、液体トナー式印刷機やインキジェット式印刷機やグラビア印刷機やフレキソ印刷機のようなものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係る印刷機は、色調測定装置を有する印刷機において極めて有用である。
【符号の説明】
【0030】
30…印刷部、50…色調測定装置、51…テーブル、52…測定部、52f…スキャナー、80…制御部、100…カラーバー、101〜122…カラーパッチ、Q…印刷物、T…タッチモニタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6