特許第6183883号(P6183883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6183883航空機を整備し運用するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183883
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】航空機を整備し運用するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B64F 5/40 20170101AFI20170814BHJP
   G06F 17/30 20060101ALI20170814BHJP
   G06F 3/0484 20130101ALI20170814BHJP
   G08B 29/12 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   B64F5/40
   G06F17/30 170B
   G06F17/30 320Z
   G06F3/0484 120
   G08B29/12
【請求項の数】25
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-16277(P2013-16277)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2013-159336(P2013-159336A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2016年1月25日
(31)【優先権主張番号】13/367,873
(32)【優先日】2012年2月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506388923
【氏名又は名称】ジーイー・アビエイション・システムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ノーマン・レオナルド・オーブンス
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0214130(US,A1)
【文献】 特表2010−523387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 5/40
G06F 3/0484
G06F 17/30
G08B 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の航空機システムを有し、前記航空機システムの少なくともいくつかは、前記航空機システムのうちの1つ以上の航空機システムの対応するステータスを示す1つまたは複数の視認表示を出力す航空機システムであって、
前記航空機システムのうちの1つ以上の航空機システムの対応するステータスを示す前記視認表示に従って指標付けされた指示的情報のデータベースと、
ディスプレイ、および前記視認表示の画像を生成する撮像システムを有するハンドヘルド装置と、
前記画像を処理し、
符号化されたコードを含む前記画像からの前記対応するステータスを示す前記視認表示を識別し、
前記航空機システムのうちの1つ以上の航空機システムの対応するステータスを示す前記識別した視認表示に対して対応する情報を前記データベースから取り出し、
前記取り出した情報を前記ハンドヘルド装置の前記ディスプレイ上に表示する
ための実行可能命令セットを有するコンピュータプログラムと、
を備える、航空機システム。
【請求項2】
前記ハンドヘルド装置の他に、前記データベースが記憶されたコンピュータをさらに備える、請求項1に記載の航空機システム。
【請求項3】
前記コンピュータは前記ハンドヘルド装置から離れており、通信ネットワークを通して
前記ハンドヘルド装置と通信する、請求項2に記載の航空機システム。
【請求項4】
前記コンピュータプログラムのすべてまたは一部は、前記ハンドヘルド装置、前記コンピュータ、または第2のコンピュータ上に配置することができる、請求項3に記載の航空機システム。
【請求項5】
前記情報が整備情報を含む、請求項1に記載の航空機システム。
【請求項6】
前記整備情報が、前記ハンドヘルド装置の前記ディスプレイ上に表示される診断ツリーを含む、請求項5に記載の航空機システム。
【請求項7】
前記整備情報が、前記ハンドヘルド装置の前記ディスプレイ上に表示される修理案内書を含む、請求項5に記載の航空機システム。
【請求項8】
前記ハンドヘルド装置と前記航空機とがデータ通信する、請求項1に記載の航空機システム。
【請求項9】
前記ハンドヘルド装置がデータ通信を確立するために、前記航空機の無線通信システムと通信する無線通信システムを備える、請求項8に記載の航空機システム。
【請求項10】
前記航空機システムのうちの1つ以上の航空機システムの対応するステータスを示す前記視認表示が、前記航空機システムの1つのディスプレイ上に表示される表示を含む、請求項1記載の航空システム。
【請求項11】
複数の航空機システムを有し、前記航空機システムの少なくともいくつかは、前記航空機システムのうちの1つ以上の航空機システムの対応する健全性状態を示す1つまたは複数の視認表示を出力する、航空機の整備を実現する方法であって、
ハンドヘルド装置を用いて、前記航空機システムのうちの1つ以上の航空機システムの対応する健全性状態を示す前記視認表示を撮像するステップであって、前記視認表示は、符号化されたコードを含む、ステップと、、
前記航空機システムのうちの1つ以上の航空機システムの対応する健全性状態を示す撮像した視認表示との一致について、前記視認表示によって指標付けされた整備情報のデータベースに問い合わせるステップと、
前記一致した視認表示に対する問合せられた前記整備情報を前記ハンドヘルド装置の前記ディスプレイ上に表示するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記撮像するステップが、前記航空機システムのうちの1つ以上の航空機システムの対応する健全性状態を示す前記視認表示を有する前記航空機システムのユーザインターフェースの画像を捕捉するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記航空機システムのうちの1つ以上の航空機システムの対応する健全性状態を示す前記視認表示が、前記ユーザインターフェースのディスプレイ上に表示される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記航空機システムのうちの1つ以上の航空機システムの対応する健全性状態を示す前記視認表示が、前記ユーザインターフェース上の発光体である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記画像内の、前記航空機システムのうちの1つ以上の航空機システムの対応する健全性状態を示す前記視認表示を識別するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記突き合わせるステップが、前記航空機システムのうちの1つ以上の航空機システムの対応する健全性状態を示す前記識別した視認表示を前記視認表示の指標と突き合わせる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記画像からの前記視認表示に対応する前記航空機システムを識別するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記画像が、前記航空機のフライトデッキの少なくとも一部である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記画像内のすべての、前記航空機システムのうちの1つ以上の航空機システムの対応する健全性状態を示す視認表示を識別するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ハンドヘルド装置から離れており、前記データベースがそれに配置されたコンピュータに、前記航空機システムのうちの1つ以上の航空機システムの対応する健全性状態を示す前記撮像した視認表示を送信するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記整備情報が、前記ハンドヘルド装置の前記ディスプレイ上の診断ツリーを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記整備情報が整備案内書を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
前記整備案内書が交換案内書を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
複数の航空機システムを有し、前記航空機システムの少なくともいくつかは前記航空機の1つ以上のシステムのステータスを示す1つまたは複数の視認表示に対応する情報を出力す方法であって、
ハンドヘルド装置を用いて、前記航空機の1つ以上のシステムのステータスを示す前記視認表示を撮像するステップと、
前記撮像した視認表示との一致について、前記航空機の1つ以上のシステムのステータスを示す視認表示によって指標付けされデータベースに問い合わせるステップであって、前記視認表示が符号化されたコードを含む、ステップと、
前記一致した視認表示に対する問合せられた情報を前記ハンドヘルド装置の前記ディスプレイ上に表示するステップと、
を含む、方法。
【請求項25】
前記視認表示が、バーコードまたはQRコードを含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機を整備し運用するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の航空機コックピットは、広範な航空機、飛行、航行、および航空機の運用および制御において用いられる他の情報を運航乗務員に表示することができる様々な計器および飛行表示装置を有するフライトデッキを含む。このような計器および飛行表示装置はまた、多様な航空機システム内の故障または潜在的な故障を診断するために整備員によって用いることができる。利用可能な情報の量はシステムの運用および整備の訓練を単調にし、時間がかかり、かつ費用がかかるものになる。しばしば情報は見落とされ、または誤って解釈される場合がある。さらにデータを収集し解釈するのに必要な人的な手間を最小にする、およびこれらの作業を達成するための航空機機器の設置を最小にすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7739007号明細書
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、複数の航空機システムを有し、航空機システムの少なくともいくつかは対応するステータスを示す1つまたは複数の視認表示を出力する、航空機の運用および整備の少なくとも1つのための航空機システムは、視認表示に従って指標付けされた情報のデータベースと、ディスプレイ、および視認表示の画像を生成する撮像システムを有するハンドヘルド装置と、画像を処理し、画像から視認表示を識別し、識別した視認表示に対して対応する情報をデータベースから取り出し、取り出した情報をハンドヘルド装置のディスプレイ上に表示するための実行可能命令セットを有するコンピュータプログラムとを含む。
【0005】
他の実施形態では、複数の航空機システムを有し、航空機システムの少なくともいくつかは対応する健全性状態を示す1つまたは複数の視認表示を出力する、航空機の整備を実現する方法は、ハンドヘルド装置を用いて視認表示を撮像するステップと、撮像した視認表示との一致について、視認表示によって指標付けされた整備情報のデータベースに問い合わせるステップと、一致した視認表示に対する整備情報をハンドヘルド装置のディスプレイ上に表示するステップとを含む。
【0006】
さらに他の実施形態では、複数の航空機システムを有し、航空機システムの少なくともいくつかは航空機のシステムのステータスを示す1つまたは複数の視認表示を出力する、航空機を運用する方法は、ハンドヘルド装置を用いて視認表示を撮像するステップと、撮像した視認表示との一致について、視認表示によって指標付けされた運用情報のデータベースに問い合わせるステップと、一致した視認表示に対する情報をハンドヘルド装置のディスプレイ上に表示するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態による、航空機を運用し整備するために用いることができる航空機システムの概略図である。
図2】本発明の実施形態と共に用いることができる航空機の概略図である。
図3図2の航空機のフライトデッキを、より良く示すコックピットの一部分の斜視図である。
図4図1の航空機システムのフライトデッキおよびハンドヘルド装置の一部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は本発明の一実施形態による、航空機12を運用および/または整備するための航空機システム10を概略的に示す。情報のデータベース14、ハンドヘルド装置16、およびコンピュータプログラム18は、航空機システム10を形成することができる。航空機システム10は、航空機12の運用および/または整備のために用いることができる。
【0009】
データベース14は、視認表示に従って指標付けされた多様な情報を含むことができる。このようなデータベースは、コンピュータ20上に記憶することができ、コンピュータ検索可能なデータベースとすることができることが企図される。データベース14は、複数の組のデータを有する単一のデータベース、一緒にリンクされた複数の個別のデータベース、さらには簡単なデータの表を含む、任意の適当なデータベースとすることができることが理解されよう。データベースのタイプに関わらずデータベース14は、コンピュータ20上の記憶媒体上に用意することができる。別法としてデータベース14は、データベースサーバなどのコンピュータ可読媒体上に用意することができる。データベース14は、航空機の整備に関連する情報および/または航空機12の運用に関連する情報を含み得ることが企図される。別法としてデータベースのすべてまたは一部は、ハンドヘルド装置16上または航空機12上に配置できることが企図される。
【0010】
非限定的な例としてデータベース14は、情報の中でも、整備情報および/または運用情報を含むことができる。整備情報は、診断ツリー、修理または整備案内書、交換案内書、修理指示書、部品明細などを含むことができる。運用情報は、操縦士運用訓練補助または訓練案内書などの訓練情報、運用ツリー、参照情報などを含むことができる。
【0011】
コンピュータ20は、ハンドヘルド装置16および航空機12から離れたものとすることができることが企図される。たとえばコンピュータ20は、航空会社中央整備部門または航空会社制御部門に配置することができる。コンピュータ20は、無線通信ネットワークを含むことができる通信ネットワーク22を通して、ハンドヘルド装置16および/または航空機12と通信することができる。コンピュータ20は、通信システム22を通して他のシステムおよび装置と無線で接続することができる任意の適当な無線通信リンク24を含むことができ、非限定的にパケット無線、衛星アップリンク、ワイヤレスフィデリティ(WiFi)、WiMax、AeroMACS、ブルートゥース、ZigBee、3G無線信号、符号分割多元接続(CDMA)無線信号、移動通信グローバルシステム(GSM(登録商標))、4G無線信号、ロングタームエボリューション(LTE)信号、イーサネット(登録商標)、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。また無線通信の特定のタイプまたはモードは本発明に決定的に重要ではなく、後に開発された無線ネットワークも当然ながら本発明の範囲内として企図されることが理解されよう。コンピュータ20は、無線通信リンク24に直接結合することができ、または補助通信リンク26を通して無線通信リンク24に間接的に結合することができ、補助通信リンク26はコンピュータ20を通信システム22に結合するためのインターネット接続を含むことができる。
【0012】
通信システム22を通して他のシステムおよび装置と無線で接続することができるように、ハンドヘルド装置16はまた、非限定的に前述した有線および無線通信システムを含み得る任意の適当な無線通信リンク28を含むことができる。また無線通信の特定のタイプまたはモードは本発明に決定的に重要ではなく、後に開発された無線ネットワークも当然ながら本発明の範囲内として企図されることが理解されよう。
【0013】
またディスプレイ30、および画像を生成するための撮像システム32をハンドヘルド装置16に含むことができる。ディスプレイ30はタッチスクリーン34とすることができ、それによりユーザはタッチスクリーン34を通してディスプレイ30と対話できることが企図される。ハンドヘルド装置16はタッチスクリーン34を有する電話機として示されているが、ハンドヘルド装置は、スキャナ、PDA、タブレットPC、または他の適当な装置でよいことが理解されよう。ハンドヘルド装置16内にはまた、ディスプレイ30とのユーザ対話を可能にするために、キーボードまたはカーソル制御部を設けることができる。撮像システム32は、画像を捕捉することができる任意の適当な撮像システムとすることができる。例示の撮像システムは、CCDカメラ、CMOSカメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラを含むカメラ、または画像を捕捉することができる任意の他のタイプのデバイスを含むことができる。
【0014】
ハンドヘルド装置16内にはコントローラ36を含むことができ、コントローラ36は、ディスプレイ30、撮像システム32、タッチスクリーン34を含むハンドヘルド装置16の構成要素、および無線通信リンク28に動作可能に結合することができる。コントローラ36は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を実現するための任意の適当なプログラムおよびオペレーティングシステムを作動させることができる、任意の適当なメモリおよび処理装置を含むことができる。
【0015】
コンピュータプログラム18のすべてまたは一部は、ハンドヘルド装置16上に配置できることが企図される。コンピュータプログラム18は、コントローラ36内に配置できる、またはコントローラ36によってアクセスできることが企図される。コンピュータプログラム18は、撮像システム32によって捕捉された画像を処理し、画像から視認表示を識別し、識別した視認表示に対してデータベース14から対応する情報を取り出し、情報をハンドヘルド装置16のディスプレイ30上に表示するための実行可能命令セットを有することができる。このようにして撮像システム32からの画像信号は、コンピュータプログラム18によって受け取り、処理することができる。すなわちコンピュータプログラム18は画像の特徴を判定し、何の画像であるかを判定するためのパターン認識技術を用いて画像を解析することができる。
【0016】
別法としてコンピュータプログラム18のすべてまたは一部は、コンピュータ20上に、または第2のコンピュータ38上に配置できることが企図される。第2のコンピュータ38は、コンピュータ20と同じ場所にあってもよく、別の場所にあってもよい。図示のように第2のコンピュータ38は、航空機12上に配置してもよいことが企図されている。したがってハンドヘルド装置16と航空機12とはデータ通信することが企図される。たとえばハンドヘルド装置16の無線通信リンク28は、データ通信を確立するように航空機12の無線通信リンク40と通信することができる。別法として本発明の範囲を変更せずにハンドヘルド装置16は、有線リンクを通して航空機12に通信可能に結合できることが企図される。
【0017】
動作時はハンドヘルド装置16は、視認表示の画像を生成することができ、このような視認表示は、航空機12のフライトデッキ46の一部分に表示される視認表示を含むことができる。したがってこれは航空機12に関する追加の情報を理解するのに役立つことができる。図2は、航空機12の正しい運用を可能にする複数の航空機システム42と、複数の航空機システム42がそれを通して互いに通信し航空機12の乗務員に情報をもたらすことができるデータネットワーク44とを有するものとして、航空機12を概略的に示す。たとえば航空機システム42は、航空機12の対応する健全性状態または運用状態を示す視認表示を含む様々な情報を、航空機12のコックピット48内にあるフライトデッキ46に出力することができる。
【0018】
図3は、航空機12のコックピット48の一部分を示し、様々な計器50および飛行表示装置52を有する例示のフライトデッキ46が示される。コックピット48の左側の座席54には第1のユーザ(たとえば操縦士)が座ることができ、コックピット48の右側の座席56には別のユーザ(たとえば副操縦士)が座ることができ、フライトデッキ46は、操縦士および副操縦士の正面に配置することができ、航空機12の運用を補助するための情報を運航乗務員に供給することができる。飛行表示装置52は、主飛行表示装置または多機能表示装置を含むことができ、広範な、航空機、飛行、航行、および航空機12の運用および制御のために用いられるその他の情報を表示することができる。さらにフライトデッキ46の様々な計器50および飛行表示装置52は、航空機システム42のうちの1つまたは複数の、対応する健全性状態を示す1つまたは複数の視認表示をもたらすことができる。
【0019】
計器50および飛行表示装置52は、より少ないまたはより多い計器またはディスプレイを有するものを含む任意の形で配置することができる。さらに飛行表示装置52は、同一平面にある必要はなく、同じサイズである必要もない。飛行表示装置30には、タッチスクリーンディスプレイまたはタッチスクリーン面(図示せず)を含むことができ、航空機12のシステムと対話するために、操縦士および副操縦士を含む1人または複数の運航乗務員によって用いることができる。このようなタッチスクリーン面は、液晶ディスプレイ(LCD)の面を含む任意の適当な形をとることができ、運航乗務員からの入力を検出するために様々な物理的または電気的属性を用いることができる。飛行表示装置30は動的とすることができ、コックピット48には1つまたは複数のカーソル制御装置(図示せず)、および/または1つまたは複数の多機能キーボード58を含むことができ、航空機12のシステムと対話するために1人または複数の運航乗務員によって用いることができることが企図される。このようにしてフライトデッキ46は、航空機システム42および航空機12に対するユーザインターフェースと見なすことができる。
【0020】
コンピュータ38、または追加のコンピュータまたはコントローラは、航空機システム42、飛行表示装置52、タッチスクリーン面、カーソル制御装置、キーボード58などを含む航空機12の構成要素に動作可能に結合することができる。コンピュータ38はまた、航空機12の他のコントローラ(図示せず)に接続することができる。コンピュータ38は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を実現するための任意の適当なプログラムおよびオペレーティングシステムを作動させることができる、メモリおよび処理装置を含むことができる。コンピュータ38は、任意の数の航空機システム42、またはデータの収集および記憶の管理を受け持つソフトウェアプログラムから、入力を受け取ることができる。
【0021】
航空機12の運用時は複数の航空機要素システムは、運用データおよび/または複数の航空機システム42の健全性データの少なくともいくつかに関する、ステータスメッセージまたは出力を送出することができ、このような出力は航空機システム42に関する情報を示す1つまたは複数の視認表示を含むことができる。このような視認表示はフライトデッキ46上に表示することができる。視認表示は、様々な計器50の表示値および位置、フライトデッキ46上の1つまたは複数の発光体または表示器60の起動化、および飛行表示装置52上に示される情報を含む多様なものとすることができる。さらに飛行表示装置52は、航空機システム42の視認表示として、QRコード(登録商標)などの1つまたは複数の動的走査可能バーコード62を発生することができる。このような走査可能バーコード62は、走査可能バーコード62内に可変量のデータを含み得るように動的なものとすることができる。視認表示はまた、フライトデッキ46のその部分を識別するように、ディスプレイ52のトリムベゼル上または計器50の近くの、バーコードまたはQRコード(登録商標)とすることができる。
【0022】
航空機システム10の技術的効果は、システム診断ツール、訓練補助、および/または自動化された参照情報源として用いることができることである。航空機システム10の動作時にはハンドヘルド装置16は、フライトデッキ46の諸部分を視覚的に走査または撮像するように動作させることができる。より具体的には図4に示されるように、ハンドヘルド装置16はユーザ70によって、航空機システム42に関係する様々な視認表示を有するフライトデッキ46の画像を捕捉するように動作させることができる。たとえば、計器50上のいくつかの計器表示、および起動している表示器60を捕捉した画像が示される。
【0023】
コンピュータプログラム18は、画像を処理し、捕捉した画像からフライトデッキ46上の視認表示を識別するためのソフトウェアを含むことができる。たとえば計器50および表示器60を含む、フライトデッキ46のシステム構成要素をその形状、物理的マーキング、および表示された出力から識別するためにパターン認識を用いることができる。ハンドヘルド装置16上で作動するコンピュータプログラム18は、画像から視認表示に対応する航空機システムを識別できることが企図される。コンピュータプログラム18は、走査可能バーコード、または動的バーコードを通じて送信されたコード化されたデータに基づいて、システム構成要素を識別することができる。別法としてコンピュータプログラム18は、構成要素をその形状から認識することができる。コンピュータプログラム18は、実際のシステム値およびメッセージ、表示、およびモード状態を含む、画像内の視認表示を判定することができる。コンピュータプログラム18は、画像内のすべての視認表示を識別できることが企図される。コンピュータプログラム18はまた、物理的部品情報、英数字認識、および/またはフライトデッキ46上にあるATAバーコードを判定することができる。
【0024】
次いでコンピュータプログラム18は、識別した視認表示に対してデータベース14から対応する情報を取り出し、対応する情報をハンドヘルド装置16のディスプレイ30上に表示することができる。これは撮像した視認表示との一致について、視認表示によって指標付けすることができるデータベース14に問い合わせることによって行われる。識別された表示は、視認表示の指標と突き合わせることができ、一致した視認表示に対する対応する情報を取り出すことができる。コンピュータプログラム18はコンピュータ20上で作動させることができ、その場合はハンドヘルド装置16は、コンピュータ20上での遠隔処理のためにコンピュータ20に画像を送出するだけでよいことに留意されたい。次いでコンピュータ20は、データベース14から適切な情報を取り出すことができる。処理がどこで行われるかに関わらず、データベース14から取り出された情報は、次いで72として概略的に示されるようにディスプレイ30上に表示することができる。このようにしてハンドヘルド装置16およびコンピュータプログラム18は、フライトデッキ46上の視認表示に基づく航空機システム状態の解釈装置として動作することができる。
【0025】
上述の航空機システム10は航空機を整備するために用いることができる。航空機システムの少なくともいくつかが対応する健全性状態を示す視認表示を出力する、航空機12の整備を実現する方法では、視認表示はハンドヘルド装置16を用いて撮像される。データベース14は整備情報を含むことができ、撮像した視認表示との一致について問い合わせることができ、一致した視認表示に対するこのような整備情報は、ハンドヘルド装置16のディスプレイ上に表示することができる。航空機システム10は、試験を行う、または運用上の解釈違いを診断する、またはシステム故障を正確に識別するために使用できることが企図される。ハンドヘルド装置16は、航空機12上に設置されたシステムを記録し、診断するための構成ツールとして用いることができる。ハンドヘルド装置16は、コンピュータ20、コンピュータ38、または他のコンピュータまたは他の装置と通信できることが企図される。航空機システム10は、概略レポートを生成して航空機12上に記憶する、離れた場所に送出する、印刷する、または通信システム22を通じたそれへの経路が利用可能なときは電子メールを送ることができる。
【0026】
航空機システムは、ハンドヘルド装置16が航空機の特定の部品またはシステムが航空機上にあるかどうかを判定し、次いでアップグレード/更新が利用可能かどうかを判定し、それについて操作者または整備作業者に知らせることができることを含む、多様な機能のために用いることができる。ハンドヘルド装置16は、航空機12と対話することができ、航空機システム42と対話して様々なシステムデータをユーザに通信することができる。ハンドヘルド装置16は、さらには、航空機システム42によって報告された電子的部品番号を問い合わせることができることが企図される。このような部品番号は、航空機システム42のソフトウェアおよび/またはハードウェアに埋め込むことができる。
【0027】
また航空機システム10は、様々な航空機システム10に対する案内書として働くことができることが企図される。すなわちユーザはハンドヘルド装置16を用いて、構成要素、パネル、表示されたデータ、それらに形成された記号を認識することができる。このような動作の間では、ハンドヘルド装置16は視認表示を撮像するために用いることができ、視認表示によって指標付けされた運用情報のデータベースに撮像した視認表示との一致について問い合わせることができ、一致した視認表示に対する情報はハンドヘルド装置のディスプレイ上に表示することができる。技術的効果は、航空機システム10は、航空機システム42のすべての側面に関するテキストおよびメディアへの即時アクセスをもたらすことができることである。非限定的な例として運用情報のデータベースは、航空機の訓練補助および参照情報の少なくとも1つを含むことができる。
【0028】
航空機システム10のハンドヘルド装置16は、ユーザへの案内書として働くことができ、シナリオに沿ってステップバイステップでユーザを導くことができる。より具体的にはユーザはフライトデッキ46の一部分を撮像することができ、ハンドヘルド装置16は判定された視認表示に関して利用可能な情報に基づいて指示を与えることができる。このようにしてユーザは航空機12の諸部分を走査し、指示に従い、供給された情報に基づいて航空機12の諸部分を動作させるための様々な処置を行うことができる。航空機システム10は、それ自体のシステムディスプレイおよび制御インターフェースの視覚的走査に基づいて航空機システム42の状態を認識し解釈することができ、これはモード表示の状態、押しボタンまたは表示器点灯/消滅状態、乗務員警報メッセージ、および他のシステムメッセージを解釈できることを含む。一例としてデータベース14から問い合わせた情報は、システムの状態に基づいて操作者がとることができる処置のリストを提供することができる。ハンドヘルド装置16のディスプレイ30は、ユーザに次に何をすべきかについてを通知することができ、ユーザが航空機システム42を理解し動作させる能力を改善することができる。
【0029】
ハンドヘルド装置16は、通信ネットワーク22を通じて航空会社中央整備部門または航空会社制御部門と通信することができる。たとえばハンドヘルド装置16は、航空機12のタイプについてのデータ、航空機体番号、および航空機12上に設置されたデータを含むことができ、このデータは航空機操作者のための中央データ管理部門からのハンドヘルド装置16へのプッシュを通じてハンドヘルド装置16上に自動的に更新することができる。別法としてこの情報は、機体番号などの画像を撮ることなどにより、ハンドヘルド装置16によって捕捉することもできる。さらにハンドヘルド装置16およびコンピュータプログラム18によって集められた情報は、通信ネットワーク22を通じて地上に転送することができる。たとえば走査可能バーコードは撮像システム32によって捕捉することができ、乗務員電子飛行ログレポート、または整備レポートに添付することができる、レポートを作成するために用いることができる広範な情報を含むことができる。
【0030】
上述の実施形態は、様々な航空機システムの何が潜在的に不具合であるかについて、航空機からのより詳細な通信を有するための手段を提供することを含む多様な利点をもたらす。さらに物体認識は、ユーザがキーボード上で費やさなければならない時間を短縮し、詳細な記述および注文製の航空機制御部などの高価な機器または小さなキーパッドなどの制約された機器を通しての一連の処置の代わりに、機械によって提示されたデータの受け入れのための労力を軽減する。上述の実施形態は、システムの診断または運用のためのステップを通して操作者を導くリアルタイムのツールを提供する。ハンドヘルド装置16がシステム構成要素を認識し、それらの使い方、それらのライフサイクル履歴、および何らかの故障についてのデータを自動的にもたらす能力は、航空機の操作者または整備作業者を訓練するのに必要な時間を短縮することができる。航空機システムはデータを集めることができ、結果としてデータのより正確な捕捉により、誤った故障の報告が低減され、問題の早期対策がもたらされる。航空機システム10によって解釈される情報は正確に解釈され、受け取られるデータの完全性を保証する。航空機システム10はまた、データを受け取り記録するための時間を短縮し、ヒューマンエラーを最小にすることができる。上述の実施形態のハンドヘルド装置は、ユーザが理解しやすい柔軟性のあるインターフェースをもたらし、このような装置は広く入手可能なので、このようなシステムを実現するコストは最小にすることができる。
【0031】
この文書による説明は、最良の形態を含み本発明を開示するため、およびまた当業者が任意の装置またはシステムを製造し使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含み、本発明を実施することを可能にするために、実施例を用いている。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い付く他の実施例を含み得る。このような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文言とわずかな差異しか有しない等価な構造要素を含む場合は、特許請求の範囲に包含されるものとする。
【符号の説明】
【0032】
10 航空機システム
12 航空機
14 データベース
16 ハンドヘルド装置
18 コンピュータプログラム
20 コンピュータ
22 通信ネットワーク
24 無線通信リンク
26 補助通信リンク
28 無線通信リンク
30 ディスプレイ
32 撮像システム
34 タッチスクリーン
36 コントローラ
38 第2のコンピュータ
40 無線通信リンク
42 航空機システム
44 データネットワーク
46 フライトデッキ
48 コックピット
50 計器
52 飛行表示装置
54 座席
56 座席
58 キーボード
60 表示器
62 動的走査可能バーコード
70 ユーザ
72 表示された情報
図1
図2
図3
図4