特許第6183891号(P6183891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6183891超音波プローブ、超音波診断装置及び遮蔽体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183891
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】超音波プローブ、超音波診断装置及び遮蔽体
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   A61B8/00
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-107959(P2013-107959)
(22)【出願日】2013年5月22日
(65)【公開番号】特開2014-226302(P2014-226302A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(72)【発明者】
【氏名】山内 隆介
(72)【発明者】
【氏名】大塚 昌昭
(72)【発明者】
【氏名】淺井 昭成
【審査官】 宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−328182(JP,A)
【文献】 特開昭54−018178(JP,A)
【文献】 特開2010−119484(JP,A)
【文献】 実開昭54−133684(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波の送受信面のアジマス方向における一部分に、エレベーション方向に延びる超音波の遮蔽体が設けられており、
前記遮蔽体は、超音波の送受信対象である被検体に対する手技の対象となる範囲を示すための目印を被検体の体表面に記す基準となる
ことを特徴とする超音波プローブ。
【請求項2】
前記遮蔽体は、前記エレベーション方向における前記超音波プローブの側面に延びていることを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記遮蔽体は、弾性によって前記側面を挟持するようにして設けられることを特徴とする請求項2に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記遮蔽体は、前記超音波プローブの被係止部に係止することにより設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波プローブ。
【請求項5】
前記遮蔽体は、着脱可能に設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波プローブを備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
超音波プローブにおいて、超音波の送受信面のアジマス方向における一部分に、エレベーション方向に延びるように設けられる超音波の遮蔽体であって、超音波の送受信対象である被検体に対する手技の対象となる範囲を示すための目印を被検体の体表面に記す基準となる、遮蔽体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波の遮蔽体が設けられた超音波プローブ、超音波診断装置及び遮蔽体に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置では、被検体の断面について、リアルタイムの超音波画像を得ることができる。このようなリアルタイム性を有する超音波診断装置を用い、手術で切除する場所を特定したり、穿刺針を用いた生体検査を行なう場所を特定したりしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記超音波診断装置を用いた場所の特定の一例について説明する。先ず、超音波画像によって対象の病変部を検出する。次に、超音波プローブの筐体におけるアジマス(azimuth)方向の中心の位置の体表面にペンなどで印をつけ、切除範囲など、手術や穿刺などの手技の対象となる範囲を特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−172918号公報(第4頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、超音波プローブの筐体におけるアジマス方向の中心位置と、超音波画像における幅方向(前記アジマス方向)における中心位置とは一致していない場合がある。従って、体表面において、被検体に対する手技の対象となる範囲を示すための目印を精度よくつけることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するためになされた一の観点の発明は、超音波の送受信面のアジマス方向における一部分に、エレベーション方向に延びる超音波の遮蔽体が設けられていることを特徴とする超音波プローブである。
【発明の効果】
【0007】
上記観点の発明によれば、前記遮蔽体によって超音波画像に影ができるので、超音波プローブにおいて前記遮蔽体が設けられている位置が、超音波画像においてどの位置に該当するのかを把握することができる。従って、操作者が、前記影及び前記遮蔽体を基準にして、被検体に対する手技の対象となる範囲を示すための目印を体表面につけることにより、精度よく目印をつけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る超音波診断装置の実施形態の概略構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明に係る超音波プローブの拡大正面図である。
図3図2に示す超音波プローブの側面図である。
図4図2に示す超音波プローブの底面図である。
図5】遮蔽体の拡大図である。
図6】遮蔽体の側部を広げた状態を示す図である。
図7】超音波画像が表示された表示部を示す図である。
図8】体表面にペンを用いて点を記すことを説明する図である。
図9】ペンを用いて点が記された体表面を示す図である。
図10】複数の点が記された体表面を示す図である。
図11】輪郭線が記された体表面を示す図である。
図12】遮蔽体の他例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る超音波プローブ、超音波診断装置及び遮蔽体の実施の形態の一例について説明する。図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信ビームフォーマ3、エコーデータ処理部4、表示制御部5、表示部6、操作部7、制御部8、記憶部9を備える。
【0010】
前記超音波プローブ2は、アジマス方向において、アレイ状に配置された複数の超音波振動子(図示省略)を有して構成され、この超音波振動子によって被検体に対して超音波を送信し、そのエコー信号を受信する。
【0011】
前記超音波プローブ2には、図2図4に示すように、超音波の送受信面2aのアジマス方向(図におけるX軸方向)における一部分に、エレベーション方向(図におけるZ軸方向)に延びる超音波の遮蔽体10が着脱可能に設けられている。この遮蔽体10は、本発明における遮蔽体の実施の形態の一例である。
【0012】
前記遮蔽体10は、前記超音波プローブ2のアジマス方向における中央に設けられている。ただし、この超音波プローブ2のアジマス方向における中央とは、前記超音波プローブ2を構成する筐体2bのアジマス方向における中央であり、前記超音波振動子の配列幅の中央とは一致していない。
【0013】
前記遮蔽体10は、長尺状であり略コの字形状に形成されている。前記遮蔽体10は、棒状部11とこの棒状部11の両端に設けられたパッド部12,12とからなる。前記棒状部11は、エレベーション方向における前記送受信面2aの長さとほぼ同じ長さを有する底部11aとこの底部11aの両側に立設された側部11b,11cとからなる。これら側部11b,11cの端部に、弾性体により形成された前記パッド部12,12が設けられている。
【0014】
前記棒状部11は、生体組織とは音響インピーダンスが異なる材質で形成されている。前記棒状部11は、超音波の伝搬を妨げる材質で形成され、本例では金属で形成されている。
【0015】
前記側部11bと前記側部11cは、前記超音波プローブ2に取り付けられていない状態においては、図5に示すように、互いの間隔が先端側に向かって小さくなるように形成されている。前記側部11b,11cは、互いの間隔が広がる方向に力fが加えられると、図6に示すように先端側が広がり、前記力fが解除されると、弾性によって元に戻るようになっている。従って、前記遮蔽体10は、前記側部11b,11cの先端側の間隔を広げて前記超音波プローブ2の筐体2bのエレベーション方向に位置する側面に嵌めると、前記側部11b,11cによる弾性力が作用して、前記パッド部12,12によって前記超音波プローブ2を挟持するようにして取り付けられる。このようにして前記超音波プローブ2に取り付けられる遮蔽体10は、前記底部11aが、前記送受信面2aに密着した状態となる。
【0016】
一方、前記超音波プローブ2に取り付けられた前記遮蔽体10は、操作者が前記力fを加えて前記側部11b,11cを広げることにより、前記超音波プローブ2から取り外すことができる。
【0017】
図1の説明に戻る。前記送受信ビームフォーマ3は、前記超音波プローブ2から所定の走査条件で超音波を送信するための電気信号を、前記制御部8からの制御信号に基づいて前記超音波プローブ2に供給する。また、前記送受信ビームフォーマ3は、前記超音波プローブ2で受信したエコー信号について、A/D変換、整相加算処理等の信号処理を行ない、信号処理後のエコーデータを前記エコーデータ処理部4へ出力する。
【0018】
前記エコーデータ処理部4は、前記送受信ビームフォーマ3から出力されたエコーデータに対し、超音波画像を作成するための処理を行なう。例えば、前記エコーデータ処理部4は、対数圧縮処理、包絡線検波処理等のBモード処理を行ってBモードデータを作成する。
【0019】
前記表示制御部5は、前記エコーデータ処理部4から入力されたデータを、スキャンコンバータ(Scan Converter)によって走査変換して超音波画像データを作成する。例えば、前記表示制御部5は、前記Bモードデータを走査変換してBモード画像データを作成する。
【0020】
また、前記表示制御部5は、前記超音波画像データに基づく超音波画像を前記表示部6に表示させる。
【0021】
前記表示部6は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイなどで構成される。前記操作部7は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。
【0022】
前記制御部8は、特に図示しないがCPU(Central Processing Unit)を有して構成される。この制御部8は、前記記憶部9に記憶された制御プログラムを読み出し、前記超音波診断装置1の各部における機能を実行させる。
【0023】
前記記憶部9は、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)や、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体メモリ(Memory)である。
【0024】
次に、前記遮蔽体10が取り付けられた前記超音波プローブ2による超音波の送受信について説明する。先ず、操作者は前記送受信面2aを被検体の体表面に当接させて超音波の送受信を行ない、前記表示部6に超音波画像を表示させる。操作者は、表示された超音波画像を見ながら、腫瘍等の病変部を探す。
【0025】
操作者は、病変部を見つけると、切除範囲の輪郭を示す輪郭線を体表面にペンで記す。詳しく説明する。前記遮蔽体10が取り付けられた超音波プローブ2によって超音波の送受信を行なうと、図7に示すように、超音波画像UIには、前記遮蔽体10の像10′が写り、前記遮蔽体10による影Sができる。ちなみに、前記超音波画像UIはBモード画像であり、符号Lは病変部を示す。操作者は、前記像10′や前記影Sを利用して、輪郭線を描く。具体的に説明すると、操作者は、先ず図7に示すように、前記影Sが切除箇所に位置するように前記超音波プローブ2を置くと、図8及び図9に示すように、遮蔽体10の近傍の体表面BSに、ペン100(図9では図示省略)を用いて点pを記す。図9は、体表面BSを上から見た図であり、前記点pは、遮蔽体10の側部11bと側部11c(図9では図示省略)の両方の近傍に記される。
【0026】
次に、操作者は、上述とは異なる場所において、上述と同様にして前記影Sが切除箇所に位置するように前記超音波プローブ2を置き、ペン100を用いて点pを記す。これを複数回繰り返すことにより、例えば図10に示すように、体表面BSに複数の点pが記される。
【0027】
次に、操作者は、図11に示すように、前記点pを基準にしてペン100(図11では図示省略)を用いて体表面BSに輪郭線Olを記す。この輪郭線Olは、例えば前記点pを繋ぐようにして描かれてもよいし、滑らかな線になるように前記点pの近傍を通るようにして描かれてもよい。前記輪郭線Olは、本発明において、被検体に対する手技の対象となる範囲を示すための目印の実施の形態の一例である。
【0028】
本例によれば、前記遮蔽体10によって前記超音波画像UIに影Sができるので、前記超音波プローブ2において前記遮蔽体10が設けられている位置が、超音波画像UIにおいてどの位置に該当するのかを把握することができる。従って、操作者が、前記影S及び前記遮蔽体10を基準にして、体表面BSに前記点pを記し、この点pに基づいて前記輪郭線Olを記すことにより、この輪郭線Olの位置精度が良好である。
【0029】
また、従来は、操作者は超音波プローブを注視して、その筐体のアジマス方向における中心位置と超音波画像の中心位置とのずれを考慮しつつ、体表面に目印をつける必要があったが、本例によれば、前記遮蔽体10を基準にすることにより、容易に点pを記すことができる。
【0030】
以上、本発明を前記実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、前記点p及び前記輪郭線Olの設定手法は一例であり、上述の設定手法に限られるものではない。
【0031】
また、前記遮蔽体10の構成は一例に過ぎない。例えば、図12に示すように、前記超音波プローブ2の表面に段部2cが形成されている場合、前記遮蔽体10は、前記段部2cに係止する係止部11dを有していてもよい。この係止部11dは、前記側部11b,11c(図12では側部11bのみ図示)の端部に設けられている。そして、前記係止部11dを前記段部2cに係止させることにより、前記遮蔽体10が前記超音波プローブ2に着脱可能に取り付けられる。前記段部2cは、本発明における被係止部の実施の形態の一例である。
【0032】
また、前記遮蔽体10が設けられる位置は、前記超音波プローブ2のアジマス方向における中央に限られない。前記遮蔽体10は、前記送受信面2aのアジマス方向において、操作者が望む位置に取り付けられればよい。
【符号の説明】
【0033】
1 超音波診断装置
2 超音波プローブ
2a 送受信面
2c 段部(被係止部)
10 遮蔽体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12