(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.延伸積層体
A−1.全体構成
本発明の延伸積層体は、長尺状の延伸積層体であって、ポリエステル系樹脂基材と該基材上に形成されたポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」という)層とを含む。
図1は、本発明の1つの実施形態による延伸積層体の概略断面図である。延伸積層体10は、ポリエステル系樹脂基材11とPVA系樹脂層12とを含む。図示しないが、ポリエステル系樹脂基材11のPVA系樹脂層12が形成されていない側には、任意の適切な機能層が形成されていてもよい。
【0010】
延伸積層体の幅は、1500mm〜2700mm、好ましくは1800mm〜2300mmである。幅が1500mm以上であると、広幅で光学特性が良好かつ均一性に優れた偏光膜が好適に得られ得る。一方、幅が2700mmを超えると、搬送時の作業性に問題が生じる場合がある。
【0011】
A−2.樹脂基材
上記ポリエステル系樹脂基材の形成材料としては、非晶質の(結晶化していない)ポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましく用いられる。中でも、非晶性の(結晶化しにくい)ポリエチレンテレフタレート系樹脂が特に好ましく用いられる。非晶性のポリエチレンテレフタレート系樹脂の具体例としては、ジカルボン酸としてイソフタル酸をさらに含む共重合体や、グリコールとしてシクロヘキサンジメタノールをさらに含む共重合体が挙げられる。
【0012】
樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは170℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。一方、樹脂基材のガラス転移温度は、好ましくは60℃以上である。なお、ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に準じて求められる値である。
【0013】
延伸積層体における樹脂基材の厚みは、好ましくは10μm〜200μm、より好ましくは20μm〜150μmである。
【0014】
A−3.PVA系樹脂層
上記PVA系樹脂層は、幅方向における軸精度に優れる。PVA系樹脂層の幅方向における配向角のばらつき(配向角の最大値と最小値との差)は、4.0°以下であり、好ましくは3.5°以下、より好ましくは3.0°以下である。延伸積層体におけるPVA系樹脂層の軸精度を高めることにより、軸精度に優れた長尺状の偏光膜を得ることができる。その結果、得られた長尺状の偏光膜を打ち抜いて枚葉の偏光膜を得た場合に各偏光膜の光学特性に差が生じることを防止し得る。
【0015】
上記PVA系樹脂層の正面方向の複屈折(Δn)は、好ましくは5×10
−3<Δn<30×10
−3の関係を満たし、より好ましくは15×10
−3<Δn<25×10
−3の関係を満たす。延伸積層体におけるPVA系樹脂層の正面方向の複屈折が上記関係を満たす場合、光学特性に優れた偏光膜が得られ得る。このような複屈折が得られる程度まで延伸されていながらPVA系樹脂層の幅方向における配向角のばらつきが小さいことは本発明の延伸積層体の特徴の1つである。なお、上記複屈折(Δn)は、式:Δn=nx−nyによって求められる値である。ここで、nxは、面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)における屈折率であり、nyは、面内で遅相軸と直交する方向の屈折率である。
【0016】
上記PVA系樹脂層を形成するPVA系樹脂としては、任意の適切な樹脂が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。PVA系樹脂のケン化度は、通常85モル%〜100モル%であり、好ましくは95.0モル%〜99.95モル%、さらに好ましくは99.0モル%〜99.93モル%である。ケン化度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。このようなケン化度のPVA系樹脂を用いることによって、耐久性に優れた偏光膜が得られ得る。ケン化度が高すぎる場合には、ゲル化してしまうおそれがある。
【0017】
PVA系樹脂の平均重合度は、目的に応じて適切に選択し得る。平均重合度は、通常1000〜10000であり、好ましくは1200〜4500、さらに好ましくは1500〜4300である。なお、平均重合度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。
【0018】
延伸積層体におけるPVA系樹脂層の厚みは、代表的には、得られる偏光膜の厚みが10μm以下となるような厚みである。具体的には、延伸積層体におけるPVA系樹脂層の厚みは、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは3μm〜15μm、さらに好ましくは5μm〜10μmである。本発明によれば、このような薄いPVA系樹脂層(最終的には、偏光膜)において顕著に効果が発揮され得る。
【0019】
A−4.機能層
上記機能層は、好ましくは耐熱性を有する。耐熱性を有することにより、例えば、ポリエステル系樹脂基材のガラス転移温度以上の温度が積層体にかけられた場合であっても、優れた耐ブロッキング性を実現することができる。
【0020】
上記機能層は、例えば、導電性材料およびバインダー樹脂を含む帯電防止層である。このような構成によれば、優れた耐ブロッキング性を実現し、製造効率を向上させることができる。また、帯電防止性に優れ得る。帯電防止層としては、任意の適切な構成が採用され得る。導電性材料の代表例としては、ポリチオフェン系重合体(例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン)が挙げられる。バインダー樹脂としては、例えば、上記樹脂基材との密着性と柔軟性とを兼ね備え、水性溶媒に溶解または分散可能な樹脂が用いられ得る。具体例としては、ポリウレタン系樹脂が挙げられる。帯電防止層の厚みは、好ましくは0.1μm〜10μmである。帯電防止層の表面抵抗値は、好ましくは10×10
13Ω/□未満である。帯電防止層の表面の算術平均粗さRaは、好ましくは10nm〜100nmである。
【0021】
B.延伸積層体の製造方法
A項に記載の延伸積層体は、任意の適切な製造方法によって製造され得る。1つの実施形態においては、延伸積層体は、ポリエステル系樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して長尺状の積層体を作製する積層体作製工程と、該積層体を長手方向に搬送しながら、空中延伸して延伸積層体を作製する延伸工程と、を含む、製造方法によって製造され得る。
【0022】
B−1.積層体作製工程
積層体作製工程においては、ポリエステル系樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成することにより長尺状の積層体を作製する。PVA系樹脂層の形成方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。好ましくは、長尺状のポリエステル系樹脂基材上に、PVA系樹脂を含む塗布液を塗布し、乾燥することにより、PVA系樹脂層を形成する。
【0023】
積層体作製工程で作製される積層体の幅は、例えば2000mm〜3200mm、好ましくは2300mm〜2800mm、より好ましくは2500mm〜2700mmである。このような幅であれば、広幅な延伸積層体が好適に得られ得る。
【0024】
上記ポリエステル系樹脂基材の延伸前の厚みは、好ましくは20μm〜300μm、より好ましくは50μm〜200μmである。20μm未満であると、PVA系樹脂層の形成が困難になるおそれがある。300μmを超えると、延伸に過大な負荷を要するおそれがある。
【0025】
樹脂基材は、予め(PVA系樹脂層を形成する前)、延伸されていてもよい。1つの実施形態においては、長尺状の樹脂基材の横方向に延伸されている。横方向は、好ましくは、後述の積層体の延伸方向に直交する方向である。なお、本明細書において、「直交」とは、実質的に直交する場合も包含する。ここで、「実質的に直交」とは、90°±5.0°である場合を包含し、好ましくは90°±3.0°、さらに好ましくは90°±1.0°である。
【0026】
樹脂基材の延伸温度は、ガラス転移温度(Tg)に対し、好ましくはTg−10℃〜Tg+50℃である。樹脂基材の延伸倍率は、好ましくは1.5倍〜3.0倍である。
【0027】
樹脂基材の延伸方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体的には、固定端延伸でもよいし、自由端延伸でもよい。延伸方式は、乾式でもよいし、湿式でもよい。樹脂基材の延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階で行ってもよい。多段階で行う場合、上述の延伸倍率は、各段階の延伸倍率の積である。
【0028】
PVA系樹脂層を形成する前に、樹脂基材に表面処理(例えば、コロナ処理等)を施してもよいし、樹脂基材上に易接着層を形成してもよい。このような処理を行うことにより、樹脂基材とPVA系樹脂層および/または機能層との密着性を向上させることができる。
【0029】
上記塗布液は、代表的には、上記PVA系樹脂を溶媒に溶解させた溶液である。溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、各種グリコール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、好ましくは、水である。溶液のPVA系樹脂濃度は、溶媒100重量部に対して、好ましくは3重量部〜20重量部である。このような樹脂濃度であれば、樹脂基材に密着した均一な塗布膜を形成することができる。
【0030】
塗布液に、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、界面活性剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコールが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤が挙げられる。これらは、得られるPVA系樹脂層の均一性や染色性、延伸性をより一層向上させる目的で使用され得る。
【0031】
塗布液の塗布方法としては、任意の適切な方法を採用することができる。例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ナイフコート法(コンマコート法等)等が挙げられる。
【0032】
上記塗布液の乾燥温度は、好ましくは50℃以上である。
【0033】
PVA系樹脂層の厚みは、好ましくは3μm〜25μmであり、より好ましくは5μm〜10μmである。
【0034】
機能層を設ける場合、機能層は、代表的には、上記樹脂基材に、機能層形成用組成物(例えば、導電性材料およびバインダー樹脂を含む帯電防止層形成用組成物)を塗布し、乾燥することにより設けられる。
【0035】
機能層形成用組成物の塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、上記塗布液の塗布方法と同様の方法が採用される。乾燥温度としては、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。一方、乾燥温度は、樹脂基材のガラス転移温度(Tg)+30℃以下であることが好ましく、さらに好ましくはTg以下である。
【0036】
B−2.延伸工程
延伸工程においては、上記積層体を長手方向に搬送しながら、空中延伸して延伸積層体を作製する。延伸工程は、上記積層体を自由端延伸する延伸工程(1)および/または上記積層体を固定端延伸する延伸工程(2)を含み得る。延伸工程は、延伸工程(1)および延伸工程(2)のいずれか一方のみを含んでもよい。好ましくは、延伸工程は、延伸工程(1)と延伸工程(2)とを含む。この場合、延伸工程(1)が先に行われてもよく、延伸工程(2)が先に行われてもよい。1つの実施形態においては、延伸工程(1)および延伸工程(2)がこの順に行われる。以下、この実施形態における延伸工程(1)および延伸工程(2)を説明し、次いで、延伸工程全体における特徴的な部分について説明する。
【0037】
B−2−1.延伸工程(1)
延伸工程(1)における延伸は、いわゆる自由端延伸である。積層体をある一方向に延伸すると、当該延伸方向に対して略直交する方向に積層体が収縮し得るが、この収縮を抑制することなく延伸する方法を自由端延伸という。例えば、延伸間距離L
1と延伸直前の積層体の幅Wとが、L
1/W≧0.3の関係を満足するようにロール間の周速差により積層体を延伸することによって自由端延伸とすることができる。
【0038】
延伸工程(1)における延伸は、例えば、離間して2つのロールを配置し、該ロールの回転により積層体を長手方向に搬送させながら、ロール間の周速差により積層体を延伸することによって行われ得る。具体的には、ロール間の周速差により積層体に張力を付与し、長手方向に一軸延伸することによって行われ得る。
図2は、延伸工程(1)の一例を示す概略図であり、(a)は正面から見た図であり、(b)は上から見た図である。図示例では、積層体の搬送方向(MD)に所定の間隔をあけて、ロール対1,1とロール対2,2とが設けられており、それぞれのロール対により積層体10’は挟持されている。ロール1とロール2とは異なる周速で回転しており、下流側のロール2は上流側のロール1よりも周速が大きく設定されている。
【0039】
延伸温度への加熱手段としては、任意の適切な手段が採用され得る。図示例では、ロール1とロール2との間にオーブン9が設けられている。延伸温度は、例えば100℃以下であり、好ましくは95℃以下である。一方、延伸温度は、好ましくは70℃以上である。なお、延伸工程(1)における延伸温度(積層体の温度)は、例えば、温度測定用ステッカーや熱電対を用いて確認することができる。
【0040】
ロール1およびロール2は、延伸間距離L
1と、当該延伸直前の積層体の幅Wとが、L
1/W≧0.3の関係を満足するように設けられており、好ましくは、0.4≦L
1/W≦2.0の関係を満足する。このような関係を満足することで、自由端延伸とすることができる。なお、本明細書において「延伸間距離」とは、ロール間の周速差により張力が付加されている距離をいう。また、上記所定の延伸温度に加熱されている距離でもある。例えば、図示例においては、オーブン9の搬送方向の長さが延伸間距離L
1に相当する。
【0041】
延伸工程(1)の延伸倍率は、好ましくは1.1倍〜2.5倍であり、より好ましくは1.3倍〜2.0倍である。
【0042】
上記のように、所定の温度で自由端延伸することにより、収縮を抑制しながら、PVA系樹脂の配向性を向上させることができる。PVA系樹脂の配向性を向上させることにより、後述の偏光膜の製造方法におけるホウ酸水中延伸後においてもPVA系樹脂の配向性を向上させ得る。具体的には、予め、本工程によりPVA系樹脂の配向性を向上させておくことで、ホウ酸水中延伸の際にPVA系樹脂がホウ酸と架橋し易くなり、ホウ酸が結節点となった状態で延伸されることで、ホウ酸水中延伸後もPVA系樹脂の配向性が高くなるものと推定される。その結果、優れた光学特性を有する偏光膜を作製することができる。
【0043】
B−2−2.延伸工程(2)
延伸工程(2)における延伸は、いわゆる固定端延伸である。積層体をある一方向に延伸すると、当該延伸方向に対して略直交する方向に積層体が収縮し得るが、この収縮を抑制しながら延伸する方法を固定端延伸という。例えば、延伸間距離L
2と延伸直前の積層体の幅W’とが、L
2/W’≦0.12の関係を満足するようにロール間の周速差により積層体を延伸することによって固定端延伸とすることができる。
【0044】
延伸工程(2)における延伸は、例えば、複数のロールを積層体の搬送方向に沿って直列に配置し、該複数のロールの回転により積層体を長手方向に搬送させながら、ロール間の周速差により積層体を延伸することによって行われ得る。
図3は、延伸工程(2)の一例を示す概略図である。図示例では、それぞれが温度制御可能な第1のロール3、第2のロール4および第3のロール5が搬送方向に沿って所定の間隔をあけて設けられている。これらのロールの表面は、例えば、積層体が貼り付くのを防止することを目的として、表面処理(例えば、メッキ処理)が施されている。図示例では、積層体10’は、その一方の面(例えば、PVA系樹脂層12側)が第1のロール3および第3のロール5と接触し、もう一方の面(例えば、樹脂基材11側)が第2のロール4と接触して搬送されている。上流側の第1のロール3および第2のロール4は、それぞれ、所定の温度に加熱されて熱ロールとされており、積層体10’は上側からも下側からも加熱される。図示した実施形態においては、加熱された第1のロール3と第2のロール4とによって積層体を延伸する。具体的には、第1のロール3と第2のロール4とは異なる周速で回転しており、下流側の第2のロール4は上流側の第1のロール3よりも周速が大きく設定されている。
【0045】
延伸工程(2)における延伸は、好ましくは固定端一軸延伸である。固定端一軸延伸することにより、幅残存率の向上に寄与し得る。また、例えば、幅方向端部が幅方向中央部に比べて収縮により厚みが厚くなるなどの不具合を防止して、幅方向において厚みを均一にすることができる。その結果、PVA系樹脂層の配向性が向上し得る。上記図示例では、例えば、第1のロール3および第2のロール4は、その延伸間距離L
2と、当該延伸直前の積層体10’の幅W’とが、L
2/W’≦0.12の関係を満足するように設けられており、好ましくは、L
2/W’≦0.06の関係を満足する。このような関係を満足させることにより、固定端一軸延伸とすることができる。延伸間距離L
2は、第1のロール3から離れて第2のロール4に接するまでの距離をいう。
【0046】
熱ロールの温度は、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上である。一方、熱ロールの温度は、好ましくは160℃以下である。積層体をこのような温度で加熱することにより、PVA系樹脂の結晶性を向上させることができる。また、自由端延伸と組み合わせることにより、PVA系樹脂の結晶性をさらに向上させることができる。結晶性を向上させることにより、後述の水中延伸において、PVA系樹脂層が水に溶解して配向性が低下するのを防止することができる。その結果、優れた光学特性を有する偏光膜を作製することができる。なお、当該延伸では、熱ロールから離間している際にも、積層体は実質的に上記温度に保持され得る。
【0047】
それぞれのロールの温度は、同一であってもよく異なっていてもよい。1つの実施形態においては、ロールの温度はすべて同一である。別の実施形態においては、ロールの温度は、下流側において低温となるよう設定され得る。図示例では第3のロール5は、任意の適切な温度に設定され得、例えば、積層体のガラス転移温度(Tg)以下に設定されて、積層体を冷却する。このように冷却することで、積層体にシワが発生する(例えば、トタン状に波打った状態となる)のを抑制することができる。冷却ロールの温度は、例えば30℃〜50℃である。
【0048】
なお、図示例では、3本のロールを用いているが、用いるロールの総数、熱ロールおよび/または冷却ロールの数、熱ロールおよび/または冷却ロールの配置順序等の各種条件は、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0049】
延伸工程(2)の延伸倍率は、好ましくは1.1倍〜2.0倍であり、より好ましくは1.2倍〜1.8倍である。
【0050】
B−2−3.延伸工程全体
延伸工程における総延伸倍率は、積層体の元長に対して、好ましくは1.8倍〜3.2倍であり、より好ましくは1.9倍〜3.0倍、さらに好ましくは2.0倍〜2.5倍である。なお、延伸工程が延伸工程(1)と延伸工程(2)とを含む場合、上記総延伸倍率は、延伸工程(1)における延伸倍率と延伸工程(2)における延伸倍率との積である。総延伸倍率が当該範囲内であると、光学特性の均一性に優れた偏光膜が好適に得られ得る。
【0051】
上記総延伸倍率から算出される理想収縮による延伸積層体の幅(W
i)と実際に得られた延伸積層体の幅(W
r)とは、好ましくは1≦W
r/W
i≦1.1の関係を満たし、より好ましくは1≦W
r/W
i≦1.08の関係を満たす。このような関係を満足する場合、空中延伸時におけるボーイングの発生が好適に抑制され得る。その結果、配向の均一性に一層優れたPVA系樹脂層(結果として、光学特性の均一性に一層優れた偏光膜)が得られ得る。なお、理想収縮による延伸積層体の幅(W
i)は、以下の式にそれぞれの値を導入して算出される。
【数1】
(式中、Wは延伸工程前の積層体の幅、W
iは理想収縮による延伸積層体の幅、Xは総延伸倍率を表す。)
【0052】
延伸工程(1)および延伸工程(2)における延伸倍率の比[(1)/(2)]は、好ましくは1.2以下、より好ましくは0.85〜1.15、さらに好ましくは0.9〜1.1である。延伸比率が当該範囲内であると、光学特性の均一性に優れた偏光膜が好適に得られ得る。
【0053】
C.使用方法
本発明の延伸積層体は、代表的には、偏光膜の製造に供される。具体的には、本発明の延伸積層体は、そのPVA系樹脂層を偏光膜とするための処理が、適宜施される。偏光膜とするための処理としては、例えば、延伸処理、染色処理、不溶化処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が挙げられる。なお、これらの処理の回数、順序等は、特に限定されない。
【0054】
C−1.水中延伸
好ましい実施形態においては、上記延伸積層体を水中延伸(ホウ酸水中延伸)する。具体的には、上記積層体の延伸方向と平行な方向に水中延伸する。水中延伸によれば、上記樹脂基材やPVA系樹脂層のガラス転移温度(代表的には、80℃程度)よりも低い温度で延伸し得、PVA系樹脂層を、その結晶化を抑えながら、高倍率に延伸することができる。その結果、優れた光学特性(例えば、偏光度)を有する偏光膜を作製することができる。なお、本明細書において「平行な方向」とは、0°±5.0°である場合を包含し、好ましくは0°±3.0°、さらに好ましくは0°±1.0°である。
【0055】
延伸積層体の延伸方法は、任意の適切な方法を採用することができる。具体的には、固定端延伸でもよいし、自由端延伸でもよい。延伸積層体の延伸方向は、実質的には、上記空中延伸の延伸方向(長手方向)である。延伸積層体の延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階で行ってもよい。
【0056】
水中延伸は、好ましくは、ホウ酸水溶液中に延伸積層体を浸漬して行う(ホウ酸水中延伸)。延伸浴としてホウ酸水溶液を用いることで、PVA系樹脂層に、延伸時にかかる張力に耐える剛性と、水に溶解しない耐水性とを付与することができる。具体的には、ホウ酸は、水溶液中でテトラヒドロキシホウ酸アニオンを生成してPVA系樹脂と水素結合により架橋し得る。その結果、PVA系樹脂層に剛性と耐水性とを付与して、良好に延伸することができ、優れた光学特性(例えば、偏光度)を有する偏光膜を作製することができる。
【0057】
上記ホウ酸水溶液は、好ましくは、溶媒である水にホウ酸および/またはホウ酸塩を溶解させることにより得られる。ホウ酸濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜10重量部である。ホウ酸濃度を1重量部以上とすることにより、PVA系樹脂層の溶解を効果的に抑制することができ、より高特性の偏光膜を作製することができる。なお、ホウ酸またはホウ酸塩以外に、ホウ砂等のホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等を溶媒に溶解して得られた水溶液も用いることができる。
【0058】
後述の染色処理により、予め、PVA系樹脂層に二色性物質(代表的には、ヨウ素)が吸着されている場合、好ましくは、上記延伸浴(ホウ酸水溶液)にヨウ化物を配合する。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ヨウ化カリウムである。ヨウ化物の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは0.05重量部〜15重量部、より好ましくは0.5重量部〜8重量部である。
【0059】
水中延伸の延伸温度(延伸浴の液温)は、好ましくは40℃〜85℃、より好ましくは50℃〜85℃である。このような温度であれば、PVA系樹脂層の溶解を抑制しながら高倍率に延伸することができる。具体的には、上述のように、ポリエステル系樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、PVA系樹脂層の形成との関係で、好ましくは60℃以上である。この場合、延伸温度が40℃を下回ると、水によるポリエステル系樹脂基材の可塑化を考慮しても、良好に延伸できないおそれがある。一方、延伸浴の温度が高温になるほど、PVA系樹脂層の溶解性が高くなって、優れた光学特性が得られないおそれがある。延伸積層体の延伸浴への浸漬時間は、好ましくは15秒〜5分である。
【0060】
上記ポリエステル系樹脂基材と水中延伸(ホウ酸水中延伸)とを組み合わせることにより、高倍率に延伸することができ、優れた光学特性(例えば、偏光度)を有する偏光膜を作製することができる。具体的には、最大延伸倍率は、上記積層体の元長に対して(延伸積層体の延伸倍率を含めて)、好ましくは5.0倍以上、より好ましくは5.5倍以上、さらに好ましくは6.0倍以上である。本明細書において「最大延伸倍率」とは、延伸積層体が破断する直前の延伸倍率をいい、別途、延伸積層体が破断する延伸倍率を確認し、その値よりも0.2低い値をいう。なお、上記ポリエステル系樹脂基材を用いた積層体の最大延伸倍率は、水中延伸を経た方が空中延伸のみで延伸するよりも高くなり得る。
【0061】
C−2.その他
上記染色処理は、代表的には、PVA系樹脂層を二色性物質で染色する処理である。好ましくは、PVA系樹脂層に二色性物質を吸着させることにより行う。当該吸着方法としては、例えば、二色性物質を含む染色液にPVA系樹脂層(延伸積層体)を浸漬する方法、PVA系樹脂層に当該染色液を塗工する方法、当該染色液をPVA系樹脂層に噴霧する方法等が挙げられる。好ましくは、二色性物質を含む染色液に延伸積層体を浸漬する方法である。二色性物質が良好に吸着し得るからである。
【0062】
上記二色性物質としては、例えば、ヨウ素、二色性染料が挙げられる。好ましくは、ヨウ素である。二色性物質としてヨウ素を用いる場合、上記染色液は、ヨウ素水溶液である。ヨウ素の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜0.5重量部である。ヨウ素の水に対する溶解度を高めるため、ヨウ素水溶液にヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.02重量部〜20重量部、より好ましくは0.1重量部〜10重量部、さらに好ましくは0.7重量部〜3.5重量部である。染色液の染色時の液温は、PVA系樹脂の溶解を抑制するため、好ましくは20℃〜50℃である。染色液にPVA系樹脂層を浸漬する場合、浸漬時間は、PVA系樹脂層の透過率を確保するため、好ましくは5秒〜5分である。また、染色条件(濃度、液温、浸漬時間)は、最終的に得られる偏光膜の偏光度もしくは単体透過率が所定の範囲となるように、設定することができる。1つの実施形態においては、得られる偏光膜の偏光度が99.98%以上となるように、浸漬時間を設定する。別の実施形態においては、得られる偏光膜の単体透過率が40%〜44%となるように、浸漬時間を設定する。
【0063】
好ましくは、染色処理は上記水中延伸の前に行う。
【0064】
上記不溶化処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬することにより行う。不溶化処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜4重量部である。不溶化浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜50℃である。好ましくは、不溶化処理は、上記水中延伸や上記染色処理の前に行う。
【0065】
上記架橋処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬することにより行う。架橋処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜4重量部である。また、上記染色処理後に架橋処理を行う場合、さらに、ヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜5重量部である。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。架橋浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜50℃である。好ましくは、架橋処理は上記水中延伸の前に行う。好ましい実施形態においては、染色処理、架橋処理および水中延伸をこの順で行う。
【0066】
上記洗浄処理は、代表的には、ヨウ化カリウム水溶液にPVA系樹脂層を浸漬することにより行う。上記乾燥処理における乾燥温度は、好ましくは30℃〜100℃である。
【0067】
図4は、偏光膜の製造方法の一例を示す概略図である。延伸積層体10を、繰り出し部101から繰り出し、ロール111および112によってホウ酸水溶液の浴110中に浸漬した後(不溶化処理)、ロール121および122によって二色性物質(ヨウ素)およびヨウ化カリウムの水溶液の浴120中に浸漬する(染色処理)。次いで、ロール131および132によってホウ酸およびヨウ化カリウムの水溶液の浴130中に浸漬する(架橋処理)。その後、延伸積層体10を、ホウ酸水溶液の浴140中に浸漬しながら、速比の異なるロール141および142で縦方向(長手方向)に張力を付与して延伸する(水中延伸)。水中延伸した延伸積層体10を、ロール151および152によってヨウ化カリウム水溶液の浴150中に浸漬し(洗浄処理)、乾燥処理に供する(図示せず)。その後、延伸積層体10を巻き取り部160にて巻き取る。
【0068】
D.偏光膜
上述のとおり、本発明の延伸積層体に上記各処理を施すことにより上記樹脂基材上に偏光膜が形成される。この偏光膜は、実質的には、二色性物質が吸着配向されたPVA系樹脂膜である。偏光膜の厚みは、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは7μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。一方、偏光膜の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.5μm以上である。偏光膜は、好ましくは、波長380nm〜780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光膜の単体透過率は、好ましくは40.0%以上、より好ましくは41.0%以上、さらに好ましくは42.0%以上である。偏光膜の偏光度は、好ましくは99.980%以上、より好ましくは99.982%以上である。
【0069】
偏光膜の幅は、好ましくは1000mm以上、より好ましくは1100mm〜1500mmである。本発明の延伸積層体を用いて作製された偏光膜は、このように広幅であっても光学特性の均一性に優れ得る。その結果、打ち抜く場所の違いに起因して枚葉型の偏光膜に光学特性の差が生じることが防止され得る。
【0070】
上記偏光膜の使用方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体的には、上記樹脂基材と一体となった状態で使用してもよいし、上記樹脂基材から他の部材に転写して使用してもよい。
【実施例】
【0071】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法は以下の通りである。
(1)厚み
積層体については、接触式卓上型オフライン厚み計測装置(山文電気社製、型式TOF−5R)を用いて幅方向の積層体の厚みを測定した。延伸積層体のPVA系樹脂層については、干渉膜厚計(ocean optics社製、連続厚み測定器)を用いて測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)
JIS K 7121に準じて測定した。
(3)PVA系樹脂層の複屈折(Δn)
自動複屈折計(王子計測機器社製、製品名「KOBRA−WPR」)を用いて波長590nmにおけるPVA系樹脂層の正面位相差を測定した。得られた正面位相差(R
0)をPVA系樹脂層の厚み(d(nm))で除することによって複屈折(Δn)を求めた(Δn=R
0/d)。
(4)PVA系樹脂層の配向角のばらつき
Axometrics社製、AxoScanを用いて、幅方向のPVA系樹脂層の配向角を測定した。測定値の最大値と最小値との差を配向角のばらつきとした。
(5)偏光度
紫外可視分光光度計(日本分光社製、製品名「V7100」)を用いて、薄型偏光膜の単体透過率(Ts)、平行透過率(Tp)および直交透過率(Tc)を測定し、偏光度(P)を次式により求めた。
偏光度(P)(%)={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
なお、上記Ts、TpおよびTcは、JIS Z 8701の2度視野(C光源)により測定し、視感度補正を行ったY値である。
(6)偏光膜の軸ズレ量
Axometrics社製、AxoScanを用いて、幅方向の偏光膜の配向角を測定して、偏光膜の軸ズレ量を求めた。
(7)幅残存率
延伸工程前の積層体の幅に対する延伸積層体の幅の割合を幅残存率(%)として算出した。
【0072】
[実施例1]
(積層体作製工程)
水系ウレタン樹脂(第一工業製薬(株)製、商品名:スーパーフレックス210R、固形分:35%)、オキサゾリン系架橋剤(日本触媒(株)製、商品名:エポクロスWS700、固形分:25%)、導電材(アグファ製、商品名:オルガコンLBS、固形分:1.2%)、濃度1%のアンモニア水および水を、重量比9.03:1.00:18.1:0.060:39.5で混合した混合液を調製した。
得られた混合液を、厚み200μmで長尺状の非晶質ポリエチレンテレフタレート(A−PET)フィルム(Tg:70℃、三菱樹脂社製、商品名:SH046)の一方の面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した。
続いて、A−PETフィルムをその長手方向に搬送しながら、115℃で横方向に2倍に延伸した。
次に、A−PETフィルムのもう一方の面に、ポリビニルアルコール(重合度:4200、ケン化度:99.2モル%)の水溶液を塗布し、60℃で乾燥して、厚み10μmのPVA系樹脂層を形成した。
このようにして、幅2500mmの積層体を得た。
【0073】
(延伸工程)
図2に示すように、温度調節可能なオーブン(搬送方向の長さL
1:1500mm、L
1/W:0.6)の入口と出口のそれぞれに設けられたロール対に得られた積層体を挟持させ、これらのロール間に周速差を持たせて長手方向に1.35倍に延伸した(延伸工程(1))。その際、オーブンの温度・風量を適宜調整し、延伸時の積層体の最高到達温度を88℃とした。なお、延伸時の積層体の温度(最高到達温度)は、積層体の表面にヒートラベル(ミクロン株式会社製、品番:6R−65もしくは6R−99)を貼付しておくことにより確認した。
続いて、
図3に示すように、表面にハードクロムメッキが施され、温度制御可能な3本の鉄ロールに積層体を通過させた(延伸工程(2))。ここで、積層体のPVA系樹脂層面を第1のロールおよび第3のロールに接触させ、もう一方の面(基材側)を第2のロールに接触させた。第1のロールおよび第2のロールの表面温度を120℃とし、第3のロールの表面温度を50℃とした。第1のロールと第2のロールとの間で周速差を持たせて1.48倍に延伸した。また、第1のロールを通過する直前の積層体の幅W’は2150mmであり、第1のロールから積層体が離れて第2のロールに接するまでの距離L
2は100mmであり、L
2/W’は0.047であった。また、第3のロールを通過した後の延伸積層体の幅は1940mmであった。
【0074】
得られた延伸積層体を、液温30℃のホウ酸3重量%水溶液(不溶化浴)に、30秒間浸漬した(不溶化処理)。
続いて、液温30℃の染色浴(水にヨウ素とヨウ化カリウムとを重量比1:7で配合して得られたヨウ素水溶液)に、最終的に得られる偏光膜の単体透過率(Ts)が40〜44%となるように任意の濃度および任意の時間で浸漬した(染色処理)。
続いて、液温30℃のホウ酸3重量%、ヨウ化カリウム3重量%を含む水溶液(架橋浴)に30秒間浸漬した(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃でホウ酸4重量%、ヨウ化カリウム5重量%含む水溶液中で、周速の異なる複数セットのロール間で、縦方向(長手方向)に破断する直前まで一軸延伸した(ホウ酸水中延伸)。
その後、液温30℃のヨウ化カリウム4重量%水溶液(洗浄浴)に浸漬した後、60℃の温風で乾燥した(洗浄・乾燥処理)。
このようにして、厚み4.5μmの偏光膜を得た。
【0075】
[実施例2]
延伸工程(1)における延伸倍率を1.40倍としたことおよび延伸工程(2)における延伸倍率を1.43倍にしたこと以外は、実施例1と同様にして延伸積層体および偏光膜を得た。なお、延伸工程におけるL
1/WおよびL
2/W’はそれぞれ、0.6および0.047であった。また、得られた延伸積層体の幅は、1913mmであった。
【0076】
[実施例3]
延伸工程(1)における延伸倍率を1.45倍としたことおよび延伸工程(2)における延伸倍率を1.38倍にしたこと以外は、実施例1と同様にして延伸積層体および偏光膜を得た。なお、延伸工程におけるL
1/WおよびL
2/W’はそれぞれ、0.6および0.048であった。また、得られた延伸積層体の幅は、1933mmであった。
【0077】
[実施例4]
延伸工程(1)における延伸倍率を1.50倍としたことおよび延伸工程(2)における延伸倍率を1.33倍にしたこと以外は、実施例1と同様にして延伸積層体および偏光膜を得た。なお、延伸工程におけるL
1/WおよびL
2/W’はそれぞれ、0.6および0.049であった。また、得られた延伸積層体の幅は、1910mmであった。
【0078】
[実施例5]
延伸工程(1)における延伸倍率を1.55倍としたことおよび延伸工程(2)における延伸倍率を1.29倍にしたこと以外は、実施例1と同様にして延伸積層体および偏光膜を得た。なお、延伸工程におけるL
1/WおよびL
2/W’はそれぞれ、0.6および0.050であった。また、得られた延伸積層体の幅は、1923mmであった。
【0079】
[実施例6]
延伸工程(1)における延伸倍率を1.70倍としたことおよび延伸工程(2)における延伸倍率を1.41倍にしたこと以外は、実施例1と同様にして延伸積層体および偏光膜を得た。なお、延伸工程におけるL
1/WおよびL
2/W’はそれぞれ、0.6および0.052であった。また、得られた延伸積層体の幅は、1850mmであった。
【0080】
[実施例7]
延伸工程(1)における延伸倍率を1.50倍としたことおよび延伸工程(2)における延伸倍率を1.60倍にしたこと以外は、実施例1と同様にして延伸積層体および偏光膜を得た。なお、延伸工程におけるL
1/WおよびL
2/W’はそれぞれ、0.6および0.049であった。また、得られた延伸積層体の幅は、1853mmであった。
【0081】
[実施例8]
延伸工程(1)における延伸倍率を1.60倍としたことおよび延伸工程(2)における延伸倍率を1.50倍にしたこと以外は、実施例1と同様にして延伸積層体および偏光膜を得た。なお、延伸工程におけるL
1/WおよびL
2/W’はそれぞれ、0.6および0.051であった。また、得られた延伸積層体の幅は、1845mmであった。
【0082】
[実施例9]
延伸工程(1)における延伸倍率を1.62倍としたことおよび延伸工程(2)における延伸倍率を1.36倍にしたこと以外は、実施例1と同様にして延伸積層体および偏光膜を得た。なお、延伸工程におけるL
1/WおよびL
2/W’はそれぞれ、0.6および0.051であった。また、得られた延伸積層体の幅は、1868mmであった。
【0083】
[比較例1]
延伸工程(1)における延伸倍率を1.60倍としたことおよび延伸工程(2)における延伸倍率を1.25倍にしたこと以外は、実施例1と同様にして延伸積層体および偏光膜を得た。なお、延伸工程におけるL
1/WおよびL
2/W’はそれぞれ、0.6および0.051であった。また、得られた延伸積層体の幅は、1903mmであった。
【0084】
[比較例2]
延伸工程(1)における延伸倍率を1.65倍としたことおよび延伸工程(2)における延伸倍率を1.21倍にしたこと以外は、実施例1と同様にして延伸積層体および偏光膜を得た。なお、延伸工程におけるL
1/WおよびL
2/W’はそれぞれ、0.6および0.051であった。また、得られた延伸積層体の幅は、1920mmであった。
【0085】
[比較例3]
延伸工程(1)における延伸倍率を1.70倍としたことおよび延伸工程(2)における延伸倍率を1.18倍にしたこと以外は、実施例1と同様にして延伸積層体および偏光膜を得た。なお、延伸工程におけるL
1/WおよびL
2/W’はそれぞれ、0.6および0.052であった。また、得られた延伸積層体の幅は、1898mmであった。
【0086】
[比較例4]
延伸工程(1)における延伸倍率を1.80倍としたことおよび延伸工程(2)における延伸倍率を1.33倍にしたこと以外は、実施例1と同様にして延伸積層体および偏光膜を得た。なお、延伸工程におけるL
1/WおよびL
2/W’はそれぞれ、0.6および0.054であった。また、得られた延伸積層体の幅は、1855mmであった。
【0087】
各実施例および比較例における延伸条件ならびに得られた延伸積層体の各測定結果を表1に示す。
【表1】
【0088】
[参考例1]
延伸工程(1)および延伸工程(2)において種々の延伸倍率を適用したこと以外は、実施例1と同様にして得た種々の延伸積層体のPVA系樹脂層における配向角のばらつきと該延伸積層体から作製された偏光膜における軸ズレ量との関係を
図5に示す。
図5に示されるとおり、配向角のばらつきが小さく、軸精度に優れたPVA系樹脂層を有する延伸積層体を用いることにより、軸ズレが抑制された偏光膜が得られることがわかる。具体的には、延伸積層体におけるPVA系樹脂層の配向角の幅方向におけるばらつきを4°以下にすることにより、軸ズレ量が0.5°以下の偏光膜が得られる。
【0089】
[参考例2]
実施例で得られた長尺状の偏光膜の種々の場所から所定サイズの偏光膜を打ち抜き、軸ズレ量を測定した。0°〜0.5°の軸ズレ量を有する偏光膜を選択し、当該偏光膜を下側偏光膜とし、軸ズレ量が0°の偏光膜を上側偏光膜として組み合わせた場合の偏光度を測定した。偏光度の測定に際し、得られた偏光膜の表面に接着剤(日本合成社製のゴーセファイマーZ200の3%水溶液)を塗布し、厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フィルム社製、商品名「TD80UL」、厚み80μm)を貼り合わせ、60℃で5分間加熱した後、基材(A−PETフィルム)を剥離した。このように、偏光膜をTACフィルムに転写して、偏光度の測定に供した。偏光膜の軸ズレ量と偏光度との関係を
図6に示す。
【0090】
図6に示されるとおり、偏光膜の軸ズレ量が0.5°以下であれば、99.98%以上の高い偏光度を確保することができることがわかる。
【0091】
表1に示されるとおり、本発明の延伸積層体はPVA系樹脂層の幅方向における配向角のばらつきが4°以下である。参考例の結果を併せて考慮すると、本発明の延伸積層体を用いて得られる偏光膜は軸精度に優れ、高い偏光度(例えば、99.98%以上)を達成することができる。