特許第6183930号(P6183930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6183930
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】電気設備用筐体
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20170814BHJP
   F24F 11/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
   F24F11/02 102C
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-550528(P2015-550528)
(86)(22)【出願日】2013年11月29日
(86)【国際出願番号】JP2013082281
(87)【国際公開番号】WO2015079586
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2016年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸広
(72)【発明者】
【氏名】伊丹 卓夫
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−014685(JP,A)
【文献】 特開2005−130606(JP,A)
【文献】 特開2013−125864(JP,A)
【文献】 特開昭61−256162(JP,A)
【文献】 特開2013−122358(JP,A)
【文献】 特開平05−141707(JP,A)
【文献】 特開2005−150433(JP,A)
【文献】 特開2013−027188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
F24F 11/02,1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の変換を行う電力変換装置を収納する第1収納室と、
前記第1収納室内に設けられた室内機と、前記第1収納室の外側に設けられた室外機と、を含み、前記第1収納室内の温度を調節する空調機と、
前記室外機を収納する第2収納室と、
前記第2収納室内の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサに検出された前記温度が下限値以下の時に、前記第2収納室内を加熱するヒータと、
を備えた電気設備用筐体。
【請求項2】
前記空調機は、2台設けられ、
2台の前記空調機のそれぞれの前記室外機は、前記第2収納室内に並べて設けられる請求項1記載の電気設備用筐体。
【請求項3】
2台の前記室外機の並ぶ方向において、2台の前記室外機の中心間の距離は、1000mm以上である請求項2記載の電気設備用筐体。
【請求項4】
前記ヒータは、前記温度が前記下限値よりも高い所定値以上の状態が一定時間継続された時に、前記加熱を停止する請求項1記載の電気設備用筐体。
【請求項5】
前記第2収納室は、前記温度センサに検出された前記温度が上限値以上の時に、前記第2収納室内の換気を行う換気扇を含む請求項1記載の電気設備用筐体。
【請求項6】
前記換気扇は、前記室外機の吹き出し方向において、前記室外機よりも前方に配置される請求項5記載の電気設備用筐体。
【請求項7】
前記第2収納室は、前記第2収納室内に外気を導入するための吸気口と、前記換気扇の動作時に前記吸気口を開放し前記換気扇の停止時に前記吸気口を閉塞するシャッタと、をさらに含む請求項5記載の電気設備用筐体。
【請求項8】
前記吸気口及び前記シャッタは、前記室外機の吹き出し方向において、前記室外機よりも後方に配置される請求項7記載の電気設備用筐体。
【請求項9】
前記第2収納室は、前記第1収納室と離間している請求項1記載の電気設備用筐体。
【請求項10】
前記室外機を収納する第3収納室と、
前記第3収納室内の温度を検出する温度センサと、
前記第3収納室の前記温度センサに検出された前記温度が下限値以下の時に、前記第3収納室内を加熱するヒータと、
をさらに備え、
前記空調機は、2台設けられ、
前記第2収納室は、2台の前記空調機の一方の前記室外機を収納し、
前記第3収納室は、2台の前記空調機の他方の前記室外機を収納する請求項1記載の電気設備用筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気設備用筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気設備の1つとして、電力の変換を行う電力変換装置がある。電力変換装置は、例えば、太陽光発電システムなどに用いられる。太陽光発電システムにおいて、電力変換装置は、太陽電池パネルから入力される直流電力を交流電力に変換して電力系統に出力する。こうした電力変換装置は、例えば、パワーコンディショナと呼ばれる。
【0003】
電力変換装置では、ファンなどを用いて内部の機器を冷却し、電力変換時の機器の発熱を抑制することが行われている。このため、屋外に設置される電力変換装置において、電力変換装置が外気に曝されると、空気中に含まれる塵埃、塩分または腐食性ガスなどが装置内に侵入し、電力変換装置の耐久性が低下してしまう。
【0004】
そこで、電力変換装置を密閉された筐体内に収納し、空調機を用いて筐体内の温度を制御することが行われている。これにより、電力変換装置が外気に曝されることを抑制し、電力変換装置の耐久性の低下を抑制することができる。また、空調機を用いて温度制御を行う場合には、筐体を無用に大きくする必要がなく、電力変換装置の設置面積の増加を抑えることもできる。
【0005】
しかしながら、空調機を用いて温度制御を行う筐体では、外気温が所定値以下になった時に、室外機の保護のために、空調機の動作を停止させる必要がある。空調機の動作を停止させた場合には、機器の温度が上昇してしまうため、電力変換装置の動作も停止させなければならない。
【0006】
このため、寒冷地などの外気温の低い環境では、電力変換装置を動作させることができない。例えば、太陽光発電システムにおいては、太陽電池パネルから十分な電力が供給されているにも関わらず、外気温が低いために電力変換装置を動作させることができないという状態が生じてしまう。例えば、発電効率の低下を招いてしまう。
【0007】
従って、電力変換装置を収容する電気設備用筐体では、電力変換装置の耐久性の低下を抑制しつつ、外気温の低い環境でも電力変換装置を動作可能にすることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−86087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施形態は、電力変換装置の耐久性の低下を抑制しつつ、外気温の低い環境でも電力変換装置を動作させることができる電気設備用筐体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態によれば、第1収納室と、空調機と、第2収納室と、温度センサと、ヒータと、を備えた電気設備用筐体が提供される。前記第1収納室は、電力の変換を行う電力変換装置を収納する。前記空調機は、前記第1収納室内に設けられた室内機と、前記第1収納室の外側に設けられた室外機と、を含み、前記第1収納室内の温度を調節する。前記第2収納室は、前記室外機を収納する。前記温度センサは、前記第2収納室内の温度を検知する。前記ヒータは、前記温度センサに検知された前記温度が下限値以下の時に、前記第2収納室内を加熱する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、電力変換装置の耐久性の低下を抑制しつつ、外気温の低い環境でも電力変換装置を動作させることができる電気設備用筐体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る電気設備用筐体を模式的に表す配置図である。
図2図2(a)〜図2(c)は、実施形態に係る電気設備用筐体を模式的に表す外観図である。
図3】実施形態に係る電気設備用筐体の電源系統を模式的に表す機能ブロック図である。
図4】制御盤の一部を模式的に表す回路図である。
図5】第2収納室の一部を模式的に表す機能ブロック図である。
図6】制御ユニットの動作の一例を模式的に表すグラフ図である。
図7】実施形態に係る別の電気設備用筐体を模式的に表す配置図である。
図8】実施形態に係る別の電気設備用筐体を模式的に表す配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0014】
図1は、実施形態に係る電気設備用筐体を模式的に表す配置図である。
図2(a)〜図2(c)は、実施形態に係る電気設備用筐体を模式的に表す外観図である。
図1及び図2(a)〜図2(c)に表したように、電気設備用筐体10(以下、筐体10と称す)は、第1収納室11と、第2収納室12と、空調機14、15と、温度センサ16と、ヒータ18と、を備える。
【0015】
第1収納室11は、電力の変換を行う電力変換装置20を収納する。電力変換装置20は、例えば、太陽光発電システムに用いられるパワーコンディショナである。電力変換装置20は、例えば、太陽電池パネルから入力される直流電力を交流電力に変換して電力系統に出力する。筐体10は、電力変換装置20を収納する、いわゆるエンクロージャである。
【0016】
電力変換装置20は、太陽光発電用に限らない。電力変換装置20は、例えば、ガスタービンエンジンや蓄電池(NAS電池)などから入力される直流電力を交流電力に変換する装置でもよい。電力変換装置20は、例えば、風力発電や地熱発電などの発電機から入力される交流電力を系統に対応した別の交流電力に変換する装置などでもよい。以下では、太陽光発電システムの場合を例に、説明を行う。
【0017】
第1収納室11は、内部の空間への外気の侵入を抑制する。第1収納室11は、電力変換装置20が外気に曝されることを抑制する。第1収納室11は、例えば、IP54の規格に準拠する防水防塵性を有する。第1収納室11は、空気中に含まれる塵埃、塩分または腐食性ガスなどから電力変換装置20を保護する。
【0018】
この例では、2台の電力変換装置20が、第1収納室11内に設けられている。第1収納室11内に設けられる電力変換装置20の数は、2台に限ることなく、1台でもよいし、3台以上でもよい。電力変換装置20の台数は、太陽電池パネルの発電量と電力変換装置20の容量とに応じて決定すればよい。
【0019】
第2収納室12は、第1収納室11と並べて設けられる。この例では、第2収納室12が、第1収納室11の横に並べられる。第2収納室12は、第1収納室11に対して縦に並べてもよい。すなわち、第2収納室12は、第1収納室11の上に設けてもよい。第2収納室12の内部空間は、第1収納室11の内部空間と隔離されている。この例では、第2収納室12が、第1収納室11と離間している。第2収納室12は、第1収納室11と一体に形成してもよい。すなわち、第1収納室11及び第2収納室12は、1つの部屋を間仕切りなどで仕切って形成してもよい。
【0020】
なお、図1は、第1収納室11及び第2収納室12内に設けられた各部の配置を模式的に表している。図2(a)は、筐体10の正面図である。図2(b)は、第2収納室12の第1収納室11と反対側を向く側面を模式的に表す側面図である。図2(c)は、第2収納室12の第1収納室11と対向する側面を模式的に表す側面図である。
【0021】
この例において、第1収納室11及び第2収納室12は、略直方体状の箱形状である。第1収納室11の一辺の長さL1は、例えば、5.4mである。第1収納室11の別の一辺の長さL2は、例えば、2.3mである。第1収納室11の高さH1は、例えば、2.9mである。第2収納室12の一辺の長さL3は、例えば、1.8mである。第2収納室12の別の一辺の長さL4は、例えば、2.7mである。第2収納室12の高さH2は、例えば、2.9mである。第1収納室11及び第2収納室12には、例えば、アルミニウムなどの金属材料が用いられる。第1収納室11及び第2収納室12の形状及び材質は、任意でよい。また、第1収納室11及び第2収納室12において、外壁と内壁との間には、断熱材が設けられる。これにより、第1収納室11及び第2収納室12は、内部の空間を断熱する。
【0022】
第1収納室11の正面には、扉11dが設けられている。第1収納室11の内部空間は、扉11dによって開放または閉塞することができる。扉11dを開くことで、第1収納室11内に入ることができる。第2収納室12の第1収納室11と反対側を向く側面には、扉12dが設けられている。第1収納室11と同様に、第2収納室12の内部空間は、扉12dによって開放または閉塞することができる。例えば、第1収納室11及び第2収納室12への機器の入搬出は、扉11d、扉12dを介して行われる。
【0023】
空調機14は、室内機21と、室外機22と、を含む。室内機21は、第1収納室11内に設けられる。室外機22は、第1収納室11の外側に設けられる。空調機15は、室内機23と、室外機24と、を含む。室内機23は、第1収納室11内に設けられる。室外機24は、第1収納室11の外側に設けられる。空調機14、15は、第1収納室11内の温度を調節する。
【0024】
室内機21は、直方体状の第1収納室11の長手方向の一端に設けられる。室内機23は、第1収納室11の長手方向の他端に設けられる。すなわち、室内機23は、第1収納室11の内部空間において室内機21の反対側に設けられる。室内機23の吹き出し方向は、室内機21の吹き出し方向と反対である。室内機21、23は、互いに第1収納室11の中心に向けて風を吹き出す。2台の電力変換装置20は、室内機21、23の間に配置される。これにより、室内機21、23によって効率良く第1収納室11内の温度を調節することができる。室内機21、23は、例えば、第1収納室11の天井面に取り付けてもよい。
【0025】
空調機14、15は、第1収納室11内に冷却風を送り込む。空調機14、15は、第1収納室11内を冷却し、電力変換装置20の温度上昇を抑制する。空調機14、15は、換言すれば、冷房機である。空調機14、15は、例えば、第1収納室11内の温度を30℃以下にする。空調機14、15は、例えば、第1収納室11内の温度が30℃(第1温度)よりも高くなった時に動作を開始し、第1収納室11内の温度が25℃(第2温度)まで低下した時に動作を停止する。第1温度は、30℃に限ることなく、任意の温度でよい。第2温度は、第1温度よりも低い任意の温度でよい。例えば、第1収納室11内の温度が低い場合に、室内機21、23から温風を出力し、第1収納室11内を加熱してもよい。
【0026】
この例では、2台の空調機14、15が筐体10に設けられている。空調機の台数は、2台に限ることなく、1台でもよいし、3台以上でもよい。空調機の台数は、例えば、電力変換装置20の発熱量や空調機の冷却能力などに応じて決定すればよい。
【0027】
室内機21と室外機22とは、配管14pを介して接続されている。配管14p内には、例えば、室内機21と室外機22との間で冷媒を循環させるための2本の配管が設けられている。室外機22は、圧縮機22cを含む。空調機14は、例えば、リモートコンデシングユニット型である。室外機22は、例えば、熱交換器(凝縮器)、ファンなどをさらに含む。室内機21は、例えば、熱交換器(蒸発器)、ファン、膨張弁などを含む。
【0028】
室内機23と室外機24とは、配管15pを介して接続されている。室外機24は、圧縮機24cを含む。空調機15の構成は、空調機14と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。空調機は、例えば、1台の室外機に複数台の室内機が接続されるマルチ式でもよい。
【0029】
室外機22、24は、第2収納室12内に設けられる。第2収納室12は、室外機22、24を収納する。この例では、2台の空調機14、15のそれぞれの室外機22、24が、第2収納室12内に並べて設けられる。
【0030】
このように、筐体10では、電力変換装置20と室内機21、23とが、第1収納室11内に設けられ、室外機22、24が、第2収納室12内に設けられる。第1収納室11の形状は、電力変換装置20と室内機21、23とを収納可能な任意の形状でよい。第2収納室12の形状は、室外機22、24を収納可能な任意の形状でよい。
【0031】
2台の室外機22、24は、実質的に同じ方向を向けて第2収納室12内に配置される。室外機24の前面24aの向く方向は、室外機22の前面22aの向く方向と実質的に同じである。前面22a、24aとは、室外機22、24の吹き出し口の設けられた面である。すなわち、この例において、矢線BD2で表す室外機24の吹き出し方向は、矢線BD1で表す室外機22の吹き出し方向と実質的に同じである。以下では、室外機22の吹き出し方向を吹き出し方向BD1と称し、室外機24の吹き出し方向を吹き出し方向BD2と称す。
【0032】
吹き出し方向BD2における室外機24の前面24aの位置は、吹き出し方向BD1における室外機22の前面22aの位置と実質的に同じである。すなわち、前面24aは、前面22aと実質的に同一平面上に位置する。
【0033】
温度センサ16は、第2収納室12内に設けられる。温度センサ16は、第2収納室12内の温度を検知する。温度センサ16は、温度を検知可能な任意のセンサでよい。
【0034】
ヒータ18は、第2収納室12内に設けられる。ヒータ18は、温度センサ16に検知された温度が下限値以下の時に、第2収納室12内を加熱する。ヒータ18は、例えば、温度センサ16に検知された温度が−15℃以下の時に、第2収納室12内を加熱する。
【0035】
例えば、汎用の空調機では、冷房運転の下限温度が、−15℃となっている。これは、室外機の装置保護のためである。例えば、汎用の空調機において外気温が−15℃以下になると、空調機を循環する冷媒が気化せずに液状のまま圧縮機に入り込んでしまう、いわゆる液バック現象が発生する。こうした液バック現象は、圧縮機の故障の要因となる。
【0036】
液バック現象は、冷媒のガス化を阻害する要因を排除すれば抑制することができる。しかしながら、屋外設置の場合、個々の環境因子が大きいため、どのような対応が最も効果的であるか、事前の判断が難しい。また、低温対策を施した専用の空調機を用いるようにすると、例えば、電気設備用筐体の製造コストの増加を招いてしまう。さらに、外気の導入は、塩害や腐食性ガスの影響などにより、電力変換装置の耐久性を低下させる要因になる。
【0037】
このため、寒冷地などにおいて外気温が−15℃以下になった場合には、電気設備用筐体内に設置した電力変換装置を動作させることが難しかった。こうした外気温にともなう電力変換装置の動作停止は、発電効率を低下させる要因になる。従って、電力変換装置を収容する電気設備用筐体では、電力変換装置の耐久性の低下を抑制しつつ、外気温の低い環境でも電力変換装置を動作可能にすることが望まれている。
【0038】
これに対して、本実施形態に係る筐体10では、室外機22、24を第2収納室12内に収納し、温度センサ16に検知された温度が下限値以下の時に、ヒータ18で第2収納室12内を加熱する。これにより、筐体10では、例えば、室外機22、24の周囲温度が−15℃以下になることを抑制することができる。例えば、室外機22、24における液バック現象の発生を抑制することができる。従って、本実施形態に係る筐体10では、電力変換装置20の耐久性の低下を抑制しつつ、外気温の低い環境でも電力変換装置20を動作させることができる。
【0039】
また、寒冷地では、相対的に降雪量が多い。このため、室外機が外部に露出した筐体では、例えば、床を上げて高い位置に室外機を取り付けたり、室外機に防雪ダクトを取り付けるなどといった降雪に対しての対策が必要となる。これに対して、本実施形態に係る筐体10では、第2収納室12内に室外機22、24を収納するので、こうした降雪に対する対策も不要となる。例えば、吹き出し口が雪で塞がれるなどといった室外機22、24への降雪の影響をより適切に抑制することができる。
【0040】
室外機22の前面22aから第2収納室12の対向する壁面までの距離D1は、例えば、1180mmである。距離D1が短いと、例えば、室外機22から排出された熱風を室外機22が再び吸い込み、空調機14の冷却効率が低下してしまう。このため、距離D1は、1000mm以上にする。これにより、排出された熱風の吸い込みを抑制することができる。室外機24の前面24aから第2収納室12の対向する壁面までの距離は、距離D1と実質的に同じである。室外機24の前面24aから第2収納室12の対向する壁面までの距離は、1000mm以上である。
【0041】
室外機22の側面と第2収納室12の壁面との間の距離D2は、例えば、260mmである。室外機24の側面と第2収納室12の壁面との間の距離D3は、例えば、260mmである。距離D3は、距離D2と実質的に同じである。距離D2、D3は、200mm以上にする。これにより、室外機22、24から排出された熱風の側方からの回り込みを抑制することができる。
【0042】
室外機22、24の並ぶ方向において、室外機22、24の中心間の距離D4は、例えば、1196mmである。室外機22と室外機24との間の距離D5は、例えば、300mmである。距離D4を1000mm以上にする。または、距離D5を300mm以上にする。これにより、例えば、室外機22、24の一方から排出された熱風を室外機22、24の他方が再び吸い込んでしまうことを抑制することができる。
【0043】
第2収納室12は、換気扇30をさらに含む。換気扇30は、温度センサ16に検知された温度が上限値以上の時に、第2収納室12内の換気を行う。換気扇30は、第2収納室12内の空気を第2収納室12の外部に排出する。換気扇30は、例えば、有圧換気扇である。
【0044】
換気扇30は、例えば、温度センサ16に検知された第2収納室12内の温度が25℃以上の時に、第2収納室12内の換気を行う。これにより、例えば、第2収納室12内の温度が室外機22、24の上限温度に達してしまうことを抑制することができる。例えば、空調機14、15の冷却効率の低下を抑制することができる。
【0045】
この例では、第2収納室12の正面に設けられた2つの換気扇30及び第2収納室12の背面に設けられた2つの換気扇30の計4つの換気扇30が設けられている。正面に設けられた2つの換気扇30は、上下方向に並べて設けられる。同様に、背面に設けられた2つの換気扇30は、上下方向に並べて設けられる。下側に設けられた換気扇30の中心の高さH3は、例えば、1215mm(1000mm以上)である。上側に設けられた換気扇30の中心の高さH4は、例えば、2241mm(2000mm以上)である。
【0046】
各換気扇30は、室外機22、24の吹き出し方向BD1、BD2において、室外機22、24よりも前方に配置される。これにより、例えば、換気扇30の動作時に、室外機22、24の排気を適切に換気扇30から外部に排出することができる。例えば、室外機22、24において、排出された熱風の吸い込みをより適切に抑制することができる。吹き出し方向BD1、BD2における室外機22、24の前面22a、24aと各換気扇30の中心との間の距離DFは、例えば、760mmである。
【0047】
換気扇30の数は、4つに限ることなく、3つ以下でもよいし、5つ以上でもよい。換気扇30の数は、室外機22、24の発熱量や換気扇30の排気風量などに応じて決定すればよい。また、換気扇30の配置は、上記に限ることなく、第2収納室12内の換気を適切に行うことができる任意の位置でよい。
【0048】
換気扇30の開口部分には、有圧シャッタ31と、フード32と、が設けられている。有圧シャッタ31及びフード32は、複数の換気扇30のそれぞれに設けられる。有圧シャッタ31は、換気扇30の動作時に換気扇30の風圧で開き、換気扇30の停止時に閉じて換気扇30の開口部分を閉塞する。有圧シャッタ31は、例えば、換気扇30の停止時に、換気扇30の開口部分から第2収納室12内に外気が入り込むことを抑制する。
【0049】
フード32は、第2収納室12の外面に取り付けられる。フード32は、略L字状に屈曲した管である。フード32は、開口を下方に向け、換気扇30の開口部分への風雨などの侵入を抑制する。
【0050】
第2収納室12は、吸気口34とシャッタ35とをさらに含む。吸気口34は、第2収納室12内に外気を導入するための開口である。シャッタ35は、換気扇30の動作時に吸気口34を開放し、換気扇30の停止時に吸気口34を閉塞する。これにより、第2収納室12内の換気をより適切に行うことができるとともに、換気扇30の停止時に、吸気口34から第2収納室12内に外気が入り込むことを抑制することができる。
【0051】
シャッタ35は、例えば、モータやアクチュエータなどの動力源を含む電動シャッタであり、電力の供給に応じて吸気口34を開放する開き状態と、吸気口34を閉塞する閉じ状態と、に遷移する。
【0052】
この例では、第2収納室12の正面に1つずつ、背面に1つずつ、第1収納室11と対向する側面に2つずつの、計4つの吸気口34及びシャッタ35が設けられている。
【0053】
吸気口34及びシャッタ35は、室外機22、24の吹き出し方向BD1、BD2において、室外機22、24よりも後方に配置される。より詳しくは、吸気口34及びシャッタ35は、吹き出し方向BD1、BD2において、室外機22の前面22a及び室外機24の前面24aよりも後方に配置される。
【0054】
このように、室外機22、24は、吹き出し方向BD1、BD2において、換気扇30と吸気口34との間に配置される。これにより、例えば、換気扇30の動作時に、室外機22、24の排気をより適切に換気扇30から外部に排出することができる。例えば、室外機22、24において、排出された熱風の吸い込みをより適切に抑制することができる。吸気口34の中心の高さ方向の位置は、例えば、下側に設けられた換気扇30の中心の高さH3と実質的に同じである。
【0055】
吸気口34及びシャッタ35の数は、4つに限ることなく、3つ以下でもよいし5つ以上でもよい。吸気口34及びシャッタ35の数は、例えば、換気扇30の排気風量などに応じて決定すればよい。また、吸気口34及びシャッタ35の位置は、上記に限ることなく、第2収納室12内の換気を適切に行うことができる任意の位置でよい。
【0056】
吸気口34には、フード36が設けられている。フード36は、複数の吸気口34のそれぞれに設けられる。フード36の構成及び機能は、換気扇30の開口部分に設けられたフード32と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
【0057】
第1収納室11内には、無停電電源装置40、分電盤41、変圧器盤42、制御盤43、接地端子盤44、温度センサ45、及び、ヒータ46が、さらに設けられている。
【0058】
無停電電源装置40は、バッテリ40bを含み、例えば、系統側からの電力供給が断たれた時に、電力変換装置20などに一定時間電力を供給する。
【0059】
分電盤41は、複数のブレーカを含む。外部から供給された電力は、分電盤41に設けられた各ブレーカを介して筐体10内の各部に供給される。分電盤41は、外部から供給される電力を筐体10内の各部に配分するとともに、各ブレーカにより、筐体10内の各部を過電流などから保護する。
【0060】
変圧器盤42は、交流電力の変換を行う変圧器を含む。変圧器盤42には、例えば、複数の変圧器が設けられる。制御盤43は、例えば、筐体10内の各部の制御や外部の機器との通信などを行う。接地端子盤44は、例えば、筐体10の外装金属板と電気的に接続されている。接地端子盤44は、フレームアースに用いられる。
【0061】
温度センサ45は、第1収納室11内の温度を検知する。温度センサ45は、例えば、バイメタルを含み、第1収納室11内の温度によって接点のオン・オフを切り替える温度スイッチである。
【0062】
ヒータ46は、温度センサ45に検知された温度が所定値以下の時に、第1収納室11内を加熱する。
【0063】
図3は、実施形態に係る電気設備用筐体の電源系統を模式的に表す機能ブロック図である。
図3に表したように、電力変換装置20は、太陽電池パネル2と電力系統4とに接続される。電力変換装置20は、例えば、コネクタなどにより、太陽電池パネル2及び電力系統4のそれぞれに対して着脱可能に接続される。
【0064】
電力系統4は、例えば、電力を需要家の受電設備に供給するための送電線である。電力系統4の供給する電力は、交流である。電力系統4は、例えば、商用電源の送電線である。電力系統4の電力は、例えば、三相210V(実効値)の交流電力である。電力系統4の電力は、単相100V(実効値)の交流電力でもよい。以下では、三相210Vを例に説明を行う。電力系統4の交流電力の周波数は、例えば、50Hzまたは60Hzである。電力系統4は、例えば、自家発電システム内の送電線などでもよい。
【0065】
電力変換装置20は、例えば、スイッチング素子20sを含み、スイッチング素子20sのオン・オフによって、直流電圧を交流電圧に変換する。電力変換装置20は、スイッチング素子20sのオン・オフにより、太陽電池パネル2から供給される直流電力を交流電力に変換して電力系統4に出力する。電力変換装置20のスイッチング素子20sには、例えば、自己消弧型の素子が用いられる。より具体的には、例えば、GTO(Gate Turn-Off thyristor)、MOS−FET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などが用いられる。
【0066】
電力変換装置20は、例えば、変圧器5を介して電力系統4に電気的に接続される。変圧器5は、例えば、電力変換装置20から出力された交流電力を電力系統4に対応した交流電力に変換する。変圧器5は、例えば、電力変換装置20と電力系統4とを電気的に絶縁する。
【0067】
変圧器盤42は、例えば、変圧器50、51を含む。変圧器50は、分電盤41に設けられたブレーカを介して、電力変換装置20の出力側に接続される。変圧器50には、電力系統4の電力が供給される。変圧器50は、例えば、三相210Vの交流電力を単相210Vの交流電力に変換する。
【0068】
変圧器50の出力は、分電盤41に設けられたブレーカを介して、室外機22、室外機24、電力変換装置20、ヒータ46、ヒータ18、通信機器52、及び、変圧器51に接続される。
【0069】
室外機22、24、ヒータ18、46は、変圧器50からの電力供給によって動作する。また、変圧器50の出力は、室外機22、24を介して室内機21、23に供給される。これにより、室内機21、23が動作する。
【0070】
電力変換装置20は、例えば、変圧器50から供給される電力により、内部に設けられたファンを駆動する。通信機器52は、変圧器50からの電力供給によって駆動され、外部の機器との通信を行う。通信機器52は、例えば、太陽電池パネル2の電圧、電流、発電量、及び、電力変換装置20の機器状態などを計測監視し、取得データを外部の機器に送信する。
【0071】
変圧器51は、例えば、単相210Vの交流電力を単相100Vの交流電力に変換する。変圧器51の出力は、分電盤41に設けられたブレーカを介して、無停電電源装置40、照明53、コンセント54、換気扇30、及び、シャッタ35に接続される。なお、図3では図示を簡略化しているが、変圧器51は、4つの換気扇30及び4つのシャッタ35のそれぞれと接続される。
【0072】
無停電電源装置40は、例えば、変圧器51から供給される単相100Vの交流電力を直流電力に変換して内蔵のバッテリ40bを充電するとともに、充電された直流電力を単相100Vの交流電力に変換して出力する。これにより、無停電電源装置40は、電力系統4からの電力供給が断たれた場合にも、無停電電源装置40に接続された機器を所定の時間だけ駆動する。また、無停電電源装置40は、例えば、電力系統4の瞬時電圧低下の影響を抑制する。
【0073】
照明53は、スイッチ55を介して変圧器51の出力側に接続される。スイッチ55は、照明53への電力の供給及び電力供給の停止を切り替える。照明53及びスイッチ55は、第1収納室11内に設けられる。照明53は、例えば、第1収納室11内を照らす室内灯である。照明53は、例えば、第1収納室11の外側を照らす外灯でもよい。
【0074】
コンセント54は、プラグを挿し込むための挿し込み口を有し、挿し込まれた機器に電力を供給する。換気扇30及びシャッタ35は、変圧器51からの電力供給によって動作する。
【0075】
無停電電源装置40の出力は、電力変換装置20と制御盤43とに接続されている。電力変換装置20は、例えば、無停電電源装置40から供給される電力によって、電力変換の制御を行う。これにより、電力系統4からの電力供給の停止や瞬時電圧低下などによって、電力変換装置20の動作が急に停止してしまうことを抑制することができる。
【0076】
制御盤43は、AC−DCコンバータ56と、入出力インタフェース57と、メディアコンバータ58と、を含む。AC−DCコンバータ56は、無停電電源装置40に接続されている。AC−DCコンバータ56は、無停電電源装置40から供給される交流電力を直流電力に変換して入出力インタフェース57及びメディアコンバータ58に供給する。
【0077】
入出力インタフェース57は、無停電電源装置40、室内機21、23、ドアスイッチ60、温度センサ61、及び、メディアコンバータ58と接続されている。ドアスイッチ60は、第1収納室11の扉11dの開閉を検知する。温度センサ61は、第1収納室11内の温度が高温か否かを検知する。温度センサ61は、例えば、第1収納室11内の温度が30℃以上か否かを検知する。温度センサ61は、例えば、第1収納室11内の温度が所定値以上になった時に接点のオン・オフを切り替える温度スイッチである。空調機14、15は、例えば、温度センサ61の検知に応じて、動作を開始する。空調機14、15は、動作を開始した後は、例えば、室内機21、23の吸い込み温度を内部に設けられた温度センサで計測して第1収納室11内の温度を検知する。
【0078】
無停電電源装置40は、無停電電源装置40の故障を表す故障検知信号、及び、無停電電源装置40のバッテリ電圧が所定値以下に低下したことを表すバッテリ電圧低下信号を、入出力インタフェース57に入力する。ドアスイッチ60は、扉11dの開放を表す扉開放信号を、入出力インタフェース57に入力する。室内機21、23は、空調機14、15の故障を表す空調故障信号を、入出力インタフェース57に入力する。入出力インタフェース57は、入力されたこれらの信号をメディアコンバータ58に出力する。
【0079】
メディアコンバータ58は、各電力変換装置20及び入出力インタフェース57と接続されている。電力変換装置20は、電力変換装置20の機器状態を表す各種の信号を、メディアコンバータ58に入力する。また、メディアコンバータ58は、外部の機器と通信を行うための伝送経路と接続されている。伝送経路は、例えば、インターネットなどのネットワークの一部を構成する経路である。メディアコンバータ58は、各電力変換装置20及び入出力インタフェース57から入力された各種の信号を伝送経路に応じた形式の信号に変換して伝送経路に出力する。メディアコンバータ58は、例えば、メタルケーブルを介して入力される電気信号を光信号に変換して伝送経路に出力する。
【0080】
これにより、筐体10や電力変換装置20の状態をネットワークを介して外部の機器でモニタリングすることができる。また、入出力インタフェース57及びメディアコンバータ58に無停電電源装置40から電力を供給する。これにより、例えば、電力系統4からの電力供給が断たれて電力変換装置20の動作が停止したことを外部のモニタに通知することができる。
【0081】
図4は、制御盤の一部を模式的に表す回路図である。
図4に表したように、制御盤43は、リレーMC、X1、X2、X3、及び、タイマTMを含む。温度センサ45、リレーMC、X1、X2、X3、及び、タイマTMは、ヒータ46の電力供給経路上に設けられる。すなわち、温度センサ45、リレーMC、X1、X2、X3、及び、タイマTMは、ヒータ46と変圧器50との間に設けられる。
【0082】
この例において、温度センサ45は、温度スイッチである。温度センサ45は、第1収納室11内の温度が所定値以下になった時に、接点をオフからオンに切り替える。温度センサ45は、例えば、0℃以下になった時に、接点を切り替える。
【0083】
第1収納室11内の温度が0℃以下になって温度センサ45がオンになると、リレーX1及びリレーMCのa接点がオンになり、ヒータ46に電力が供給される。また、この時、リレーX1のb接点がオフになるため、タイマTMは作動しない。これにより、第1収納室11内が、ヒータ46によって加熱される。
【0084】
ヒータ46の加熱によって第1収納室11内の温度が0℃よりも高くなると、リレーX1のa接点がオフになる。この時、リレーMCのa接点及びリレーX3のb接点の経路によって、リレーMCが自己保持され、ヒータ46への電力供給が継続される。同時に、リレーX1及びリレーX3のb接点によって、タイマTMが作動する。タイマTMは、限時動作接点である。タイマTMは、電力が供給された時点から所定時間の経過後に接点をオフからオンに切り替える。タイマTMは、例えば、電力供給から10分後に接点をオンに切り替える。
【0085】
タイマTMの接点がオンになると、リレーX2のa接点がオンになるとともに、リレーX3のb接点がオフになる。これにより、リレーMCのa接点がオフになり、ヒータ46への電力供給が停止される。
【0086】
このように、この例では、第1収納室11内の温度が0℃以下になることによって、第1収納室11内の加熱が開始され、第1収納室11内の温度が0℃よりも高くなった時点から10分後に第1収納室11内の加熱が停止される。これにより、0℃付近の室温において、ヒータ46がオン・オフを繰り返してしまうことを抑制することができる。
【0087】
前述のように、空調機14、15は、第1収納室11内の温度を30℃以下に調節する。すなわち、第1収納室11内の温度は、空調機14、15及びヒータ46により、0℃よりも高く30℃以下に制御される。これにより、例えば、無停電電源装置40のバッテリ40bの経年劣化を抑制することができる。
【0088】
なお、温度センサ45の検知温度は、0℃に限ることなく、例えば、バッテリ40bの温度耐性などに応じて適宜決定すればよい。タイマTMの遅延時間は、10分に限ることなく、任意の時間でよい。ヒータ46のオン・オフ制御は、上記のようなリレー回路に限ることなく、例えば、マイコンなどを用いて制御してもよい。
【0089】
図5は、第2収納室の一部を模式的に表す機能ブロック図である。
図5に表したように、第2収納室12は、制御ユニット70と、スイッチ71、72とをさらに含む。スイッチ71は、ヒータ18と変圧器50との間に設けられる。スイッチ71は、ヒータ18への電力の供給と電力供給の停止とを切り替える。スイッチ72は、換気扇30と変圧器51との間に設けられる。スイッチ72は、換気扇30への電力の供給と電力供給の停止とを切り替える。なお、ヒータ18、換気扇30及びシャッタ35への電力供給は、変圧器50、51からに限ることなく、例えば、無停電電源装置40などから供給してもよい。
【0090】
制御ユニット70は、温度センサ16、シャッタ35、スイッチ71、72と接続されている。温度センサ16は、第2収納室12内の温度の検知結果を制御ユニット70に入力する。制御ユニット70は、シャッタ35に制御信号を送信する。シャッタ35は、制御ユニット70からの制御信号に応じて吸気口34を開閉する。このように、制御ユニット70は、シャッタ35の開閉を制御する。制御ユニット70は、スイッチ71及びスイッチ72のそれぞれの制御端子に接続され、スイッチ71及びスイッチ72のオン・オフを切り替える。すなわち、制御ユニット70は、ヒータ18及び換気扇30への電力供給及び電力供給の停止を制御する。このように、制御ユニット70は、ヒータ18、換気扇30及びシャッタ35の動作を制御する。制御ユニット70は、第1収納室11に設けてもよい。制御ユニット70は、例えば、制御盤43に設けてもよい。制御ユニット70は、例えば、室内機21、23または室外機22、24に内蔵させてもよい。
【0091】
なお、図5では、図示を簡略化しているが、4つの換気扇30及び4つのシャッタ35のそれぞれは、上記と同様の構成である。制御ユニット70は、4つの換気扇30及び4つのシャッタ35のそれぞれの動作を個別に制御する。
【0092】
図6は、制御ユニットの動作の一例を模式的に表すグラフ図である。
図6は、ヒータ18、室外機22、24、換気扇30及びシャッタ35の動作と、第2収納室12内の温度とを模式的に表している。
図6に表したように、制御ユニット70は、温度センサ16に検知された第2収納室12内の温度が−15℃以下になった時に、スイッチ71をオフからオンに切り替えてヒータ18に電力を供給し、ヒータ18を駆動する。このように、ヒータ18は、例えば、温度センサ16に検知された温度が−15℃以下の時に、第2収納室12内を加熱する。ヒータ18の駆動を開始する温度は、−15℃に限らない。ヒータ18の駆動を開始する温度は、室外機22、24の温度耐性などに応じて適宜決定すればよい。
【0093】
制御ユニット70は、ヒータ18を駆動した後、温度センサ16に検知された温度が−10℃以上になった時点から一定時間の計時を開始する。制御ユニット70の計時する時間は、例えば、1分である。計時する時間は、1分に限らず、任意の時間でよい。
【0094】
制御ユニット70は、−10℃以上の状態が1分間継続された時に、スイッチ71をオンからオフに切り替えてヒータ18への電力の供給を停止し、ヒータ18を停止させる。また、制御ユニット70は、1分間経過する前に温度が再び−10℃よりも低くなった場合には、計時を停止し、ヒータ18の駆動状態を継続する。
【0095】
このように、ヒータ18は、−15℃以下の時に加熱を開始し、−10℃以上の状態が1分間継続された時に加熱を停止する。これにより、第2収納室12内を適切に加熱することができる。また、ヒータ18がオン・オフを繰り返してしまうことを抑制することができる。計時を開始する温度は、−10℃に限ることなく、ヒータ18の駆動を開始する温度よりも高い任意の値でよい。この例では、−15℃よりも高い温度であればよい。
【0096】
制御ユニット70は、温度センサ16に検知された第2収納室12内の温度が25℃以上になった時に、4つの換気扇30のうちの下段に配置された2つの換気扇30のスイッチ72をオフからオンに切り替えて、下段の2つの換気扇30に電力を供給し、2つの換気扇30を駆動する。このように、下段の2つの換気扇30は、温度センサ16に検出された温度が25℃以上の時に、第2収納室12内の換気を行う。
【0097】
また、制御ユニット70は、2つの換気扇30の駆動開始とともに、4つのシャッタ35のうちの正面及び背面に配置された2つのシャッタ35に制御信号を送信し、2つのシャッタ35を駆動して2つの吸気口34を開放する。これにより、第2収納室12内に外気が導入されて第2収納室12内が換気され、第2収納室12内が冷却される。
【0098】
制御ユニット70は、下段の2つの換気扇30の駆動を開始し、2つの吸気口34を開放した後、温度センサ16に検知された温度が20℃以下になった時点から1分間の計時を開始する。ヒータ18の場合と同様に、計時する時間は、任意の時間でよい。
【0099】
制御ユニット70は、20℃以下の状態が1分間継続された時に、スイッチ72をオンからオフに切り替えて2つの換気扇30への電力の供給を停止し、2つの換気扇30を停止させる。また、制御ユニット70は、2つのシャッタ35に制御信号を送信し、開放された2つの吸気口34を閉塞する。制御ユニット70は、1分間経過する前に温度が再び20℃よりも高くなった場合には、計時を停止し、2つの換気扇30の駆動状態及び2つの吸気口34の開放状態を継続する。
【0100】
制御ユニット70は、下段の2つの換気扇30の駆動を開始し、2つの吸気口34を開放した後、温度センサ16に検知された温度が30℃以上になった場合には、上段に配置された残り2つの換気扇30のスイッチ72をオフからオンに切り替えて、上段の2つの換気扇30に電力を供給し、2つの換気扇30を駆動する。これとともに、制御ユニット70は、第1収納室11と対向する側面に配置された残り2つのシャッタ35に制御信号を送信し、残り2つの吸気口34を開放する。
【0101】
制御ユニット70は、4つの換気扇30の駆動及び4つの吸気口34の開放を行った後、温度センサ16に検知された温度が20℃以下になった時には、2つの場合と同様の処理で各換気扇30の停止及び各吸気口34の閉塞を行う。
【0102】
また、制御ユニット70は、2つ又は4つの換気扇30を駆動している状態で室外機22、24の圧縮機22c、24cが停止した場合、すなわち空調機14、15の動作が停止した場合には、各換気扇30の動作を停止させ、各吸気口34を閉塞する。
【0103】
このように、筐体10は、室外機22、24を第2収納室12内に収納し、第2収納室12内の温度を制御する。これにより、外気温の低い環境でも電力変換装置20を動作させることができる。
【0104】
この例では、制御ユニット70を用いてヒータ18、換気扇30及びシャッタ35の動作を制御しているが、これに限ることなく、例えば、リレー回路などを用いて制御を行ってもよい。上記の例では、1つの温度センサ16の検知結果を基に、ヒータ18、換気扇30及びシャッタ35の動作を制御している。リレー回路で各部の動作を制御する場合には、ヒータ18の動作を制御するための温度センサと、換気扇30の動作を制御するための温度センサと、シャッタ35の動作を制御するための温度センサとを設けてもよい。すなわち、検知する温度に応じた複数の温度センサを設けてもよい。
【0105】
図7は、実施形態に係る別の電気設備用筐体を模式的に表す配置図である。
図7に表したように、電気設備用筐体100では、第2収納室12が、第1収納室11と一体である。電気設備用筐体100では、例えば、1つの部屋を仕切ることにより、第1収納室11と第2収納室12とが形成される。このように、第2収納室12は、第1収納室11と一体でもよい。但し、上記のように、第2収納室12を第1収納室11と離間させることにより、例えば、室外機22、24の低温対策が必要ない場合に、第1収納室11のみを用いることができる。すなわち、低温対策が必要な筐体と低温対策の必要のない筐体とで第1収納室11を共用することができる。これにより、例えば、電気設備用筐体の製造コストを抑制することができる。
【0106】
図8は、実施形態に係る別の電気設備用筐体を模式的に表す配置図である。
図8に表したように、電気設備用筐体110は、第3収納室13をさらに含む。電気設備用筐体110では、第2収納室12が、空調機14の室外機22を収納し、第3収納室13が、空調機15の室外機24を収納する。この例では、第2収納室12及び第3収納室13が第1収納室11と離間している。第2収納室12及び第3収納室13は、第1収納室11と一体でもよい。
【0107】
電気設備用筐体110は、温度センサ76と、ヒータ78と、を含む。温度センサ76は、第3収納室13内の温度を検出する。ヒータ78は、温度センサ76に検出された温度が下限値以下の時に、第3収納室13内を加熱する。第3収納室13の機能及び構成は、第2収納室12と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
【0108】
第2収納室12は、第1収納室11の長手方向の一端側に配置される。第3収納室13は、第1収納室11の長手方向の他端側に配置される。換言すれば、第3収納室13は、第1収納室11を挟んで第2収納室12と反対側に配置される。このように、第2収納室12は、室内機21に近接して配置される。第3収納室13は、室内機23に近接して配置される。これにより、例えば、室内機21と室外機22との接続、及び、室内機23と室外機24との接続を容易にすることできる。
【0109】
このように、複数台の空調機を設置する場合には、室外機の数に応じた数の収納室を用意してもよい。但し、上記のように、第2収納室12内に複数台の室外機を並べて配置することにより、例えば、電気設備用筐体の製造コストを抑えることができる。また、排出された熱風の吸い込みを考慮すると、室外機の前面から収納室の壁面までの距離は、収納室内に1台の室外機を設ける場合でも、あまり短くすることができない。このため、複数台の室外機毎に収納室を設ける場合には、例えば、電気設備用筐体が大型化してしまう。電気設備用筐体10で表したように、第2収納室12内に複数台の室外機を並べて配置する。これにより、例えば、電気設備用筐体の大型化を抑制することができる。
【0110】
実施形態によれば、電力変換装置の耐久性の低下を抑制しつつ、外気温の低い環境でも電力変換装置を動作させることができる電気設備用筐体が提供される。
【0111】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、電気設備用筐体に含まれる、第1収納室、第2収納室、空調機、室内機、室外機、温度センサ、ヒータ、換気扇、吸気口、及び、シャッタなどの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0112】
その他、本発明の実施の形態として上述した電気設備用筐体を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての電気設備用筐体も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0113】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8