【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも底部部分と頂部開口部とを含むベーストレイを備える使い捨て式グリルを提供する。
この使い捨て式グリルは、さらに、荷重支持構造を含む焼き網手段を備え、この焼き網手段は、頂部開口部の少なくとも一部分を覆うようになっており、及び、ベーストレイの底部部分と、焼き網手段の荷重支持構造とが、可燃性の材料で形成されている。
【0007】
ベーストレイと焼き網手段の両方を可燃性材料で形成することが、使い捨て式グリルがこれによってその使用中に又は少なくともその使用の連続中に燃焼し、これによって少量の材料だけを後に残し、したがって、自然に対するその使い捨て式グリルの悪影響を低減させ、且つ、使用済みのグリルが使用後にゴミ箱や屑入れやゴミ缶やゴミ捨て場又は類似の施設に搬送されなければならないことを不要にするので、有利である。
【0008】
さらに、ベーストレイと焼き網手段とを可燃性材料で形成することは、これによってベーストレイと焼き網手段とが、グリルに対して必要とされる十分な熱を効率的に発生させることを少なくとも促進し、したがって、木炭のようなベーストレイ内の別個の燃焼性熱源の必要性が不要にされるか、又は、少なくとも低減させられることが可能なので、有利である。
【0009】
本文脈における術語「焼き網手段」が、グリル焼きされる食品を支持すると同時に使い捨て式グリルの熱源の上方に配置するのに適している任意の種類のグリッド、網、グリル、格子、スクリーン、又は、他の任意の種類の焼き網として解釈されなければならないということが強調されるべきである。
焼き網手段は、幾つかの互いに連結された個別的な部分として、単一の部分として、幾つかの単一の部分として、又は、これらの任意の組合せとして、形成されることが可能である。
【0010】
さらに、本文脈における術語「可燃性材料」が、使い捨て式グリルの使用中の熱の発生を促進するように、及び/又は、可燃性材料がそのグリルの通常の使用中に発火するように、及び、そのグリルが実質的に「自己破壊的」であることを確実なものにするように、比較的容易に点火されることが可能であり、且つ、比較的迅速に燃焼することとが可能である材料として解釈されなければならないということが強調されるべきである。
【0011】
本発明の一態様では、上記可燃性材料の自己発火温度は100℃から650℃の間であり、好ましくは200℃から550℃の間であり、最も好ましくは250℃から500℃の間である。
【0012】
ベーストレイと焼き網手段とが過剰に低い温度で自己発火する場合には、ベーストレイと焼き網手段が過剰に迅速に発火し、したがって過剰に急速に燃焼し、即ち、調理時間(人間の食品をグリル焼きするためにグリルが使用されることが可能である温度をそのグリルが有する時間)が過剰に短い。
ベーストレイと焼き網手段の自己発火温度が過剰に高い場合には、ベーストレイと焼き網手段は発火しないか、又は、点火と燃焼のために長時間を要するので、グリル焼きプロセス中の熱発生に対するその貢献が著しく減少させられる。
したがって、この温度範囲は、機能と効率との間の有利な関係を実現する。
【0013】
本文脈における術語「自己発火温度」(発火点とも呼称される)が、火炎又は火花のような外部の点火源なしに通常の大気内で物質が自発的に発火する最も低い温度として解釈されなければならないということが強調されるべきである。
この温度は、燃焼のために必要とされる活性化エネルギーを供給するために必要とされる。
即ち、この自己発火温度は、燃焼可能な物質が加熱時に空気中で発火して燃焼し続ける最も低い温度である。
【0014】
本発明の一態様では、上記ベーストレイは、さらに、上記底部部分から上方に突き出る1つ又は複数の壁を含む。
ベーストレイに壁を備えることが、この壁が、ベーストレイ内に入れられている木炭又は同様の燃焼性熱源が落下しないことを確実なものにし、及び、この壁が、燃えさし又はその類似物がグリルの外部に落下して周囲物に損傷を与えることがないことを確実なものにし、及び、この壁が、可燃性材料で作られている場合にグリル焼きプロセス中に必要な熱を発生させることを補助することが可能であるので、有利である。
【0015】
本発明の一態様では、上記底部部分と上記ベーストレイの上記1つ又は複数の壁は、上記可燃性材料で一体構造の形に形成されている。
底部部分と壁とを1つの単一部分として形成することは、このことが単一の製造プロセスでベーストレイ全体が作られることを可能にし、これによって生産の時間とコストを減少させるので有利である。
さらに、底部部分と壁とを一体構造に形成することが、底部部分及び/又は壁が燃焼している場合にさえ、グリル焼きされるべき食品の荷重を崩壊なしに支持することが可能な、強固で安定したベーストレイ形状を確実なものにする。
【0016】
本発明の一態様では、上記焼き網手段の上記荷重支持構造は、上記可燃性材料で一体構造の形に形成されている。
焼き網手段を1つの単一部分として形成することは、このことが、焼き網手段全体が単一の製造プロセスで作られることが可能であることを可能にし、これによって生産のための時間とコストを減少させるので、有利である。
【0017】
本発明の一態様では、上記焼き網手段の頂部表面は、実質的に油脂不浸透性である表面被覆を備える。
実質的に油脂不浸透性の表面被覆を焼き網手段の頂部表面に備えることは、焼き網がグリル焼きプロセス中に油脂を吸収することが可能にされる場合には、焼き網手段がより容易に発火し、このためにグリル焼き製品の品質を低下させることになり、及び/又は、焼き網手段の構造的完全性を低下させることになるので、有利である。
油脂不浸透性の表面被覆は、さらに、クリーニングがより容易であり、且つ、より清潔である焼き網手段の頂部表面を生じさせるだろう。
【0018】
本発明の一態様では、上記焼き網手段の底部表面が、実質的に耐火性である表面被覆を備える。
実質的に耐火性である表面被覆を焼き網手段の底面に備えることは、焼き網手段がグリル焼きプロセス中に発火しないこと、又は、使い捨て式グリルがその役目を果たし終わった後まで、焼き網手段の燃焼を少なくとも後回しにすることを、こうした被覆が確実なものにするので、有利である。
【0019】
本発明の一態様では、上記ベーストレイの上記底部部分の外側表面の少なくとも一部分が、実質的に耐火性の表面被覆を備える。
実質的に耐火性である表面被覆をベーストレイの外側底部表面に備えることは、こうした表面被覆が、グリルの燃焼材料がその周囲物に直接的に接触しないことを確実なものにし、及び、燃えさしがグリルの外に落ちる危険性が減少させられることを確実なものにするので、有利である。
【0020】
本発明の一態様では、上記耐火性表面被覆が、1つ又は複数の天然材料で全体的に作られている。
天然材料で耐火性表面被覆を全体的に形成することは、この被覆が環境に対する悪影響をもたらさないので、有利である。
【0021】
本文脈における術語「天然材料」は、植物、動物、又は、土壌に由来する任意の製品又は物理的物質として理解されなければならないということが強調されるべきである。
鉱物、又は、(更なる改質を伴わずに)鉱物から抽出されることが可能な金属も、このカテゴリーに属するものと見なされる。
天然材料は、フリント、花崗岩、御影石、砂岩、宝石、ガラス、粘土、磁器、及び、土壌のような材料を含む。
【0022】
本発明の一態様では、上記可燃性材料は実質的にカーボンニュートラル(carbon neutral)である。
実質的に二酸化炭素(CO2)ニュートラルである材料から使い捨て式グリルの主要要素を形成することは、このグリルの燃焼が環境に対して悪影響を与えることがないので、このグリルが環境親和性であるという点で有利である。
術語「カーボンニュートラルである」が、大気中への(二酸化炭素の放出の形で測定された)炭素の量を増大も減少もさせない燃料を形容するために使用される術語である。
【0023】
本発明の一態様では、上記1つ又は複数の壁手段は、上記ベーストレイの周縁部において上記焼き網手段を支持するための焼き網支持手段を含む。
これによって、本発明の有利な実施態様が得られる。
【0024】
本発明の一態様では、上記ベーストレイは、上記ベーストレイの中間区域において上記焼き網手段を支持するための、上記底部部分から突き出る1つ又は複数の支持柱を備える。
焼き網は、通常は、金属が比較的に頑丈であり且つ耐熱性であるので、金属によって形成されている。
したがって、木材のような可燃性材料で焼き網を形成する時には、初期的な強度は、金属製の焼き網と同等ではないだろうし、及び、可燃性の焼き網の構造的完全性がさらに熱及び/又はその燃焼によって損なわれる可能性があるので、より多くの支持点を導入することによって焼き網手段の支点間距離を減少させること、又は、ベーストレイの中間区域に支持点の少なくとも幾つかを形成することによって支持点の間の支点間距離が減少させられることを少なくとも確実なものにすることが有利である。
【0025】
本発明の一態様では、上記使い捨て式グリルは、上記ベーストレイの上記底部部分の外側表面とその下に位置する地面との間の間隙を生じさせるように構成されている間隔開け手段を備える。
グリル焼きプロセス中にグリルを下に位置する地面から持ち上げることが可能な間隔開け手段を備えることは、この間隔開け手段が、グリルが周囲物を破損する危険性を減少させ、及び、グリルが周囲物に火を付ける危険性を低下させるので、有利である。
【0026】
本発明の一態様では、上記ベーストレイ及び/又は上記焼き網手段は、成形によって形成されている。
ベーストレイ及び焼き網を成形によって形成することは、これによって、複雑な形状を有するグリルの諸要素を比較的に安価な形で提供することが可能なので、有利である。
【0027】
本発明の一態様では、上記成形は圧縮成形である。
グリルの諸要素を形成するために圧縮成形を使用することは、この製造プロセスが、実質的に付加的な材料(例えば、バインダ、接着剤等)を加えることなしに、これらの要素が様々な自然有機可燃性材料によって形成されることを可能にし、これによって、使い捨て式グリルの製造をより容易に且つより低コストにし、及び、このグリルを環境親和性にするので、有利である。
【0028】
本発明の一態様では、上記可燃性材料は、木材、竹、トウモロコシ穂軸、ヤシ殻、麦わら、種子、穀粒、トウモロコシ、サトウキビ、チカラシバ、ナットシェル、葉、植物、木炭、紙、及び、ボール紙から成るグループから選択される。
これによって、本発明の有利な実施態様が得られる。
【0029】
本発明の一態様では、上記可燃性材料は有機物である。
有機材料から可燃性材料を作ることは、これによってグリルの環境親和性がより高くなるので、有利である。
【0030】
本発明の一態様では、上記ベーストレイは、上記使い捨て式グリルの通常の使用時に上記焼き網上に置かれる食品をグリル焼きするために配置されている燃焼性の熱源を含み、及び、上記燃焼性の熱源は上記可燃性材料で作られている。
使い捨て式グリルを形成する可燃性材料と同一の可燃性材料から燃焼性熱源を形成することは、このことがコストを低減させ且つ製造プロセスを単純化するので、有利である。
【0031】
本発明の一態様では、上記ベーストレイは、上記ベーストレイと共に一体的に形成されている燃焼性熱源を含む。
ベーストレイと共に一体的に燃焼性熱源を形成することは、このことが製造プロセスを単純化し、且つ、より堅固で単純なグリルを提供するので、有利である。
【0032】
本発明の一態様では、上記ベーストレイと上記焼き網手段は、互いに別個で且つ個別的な部分として形成されている。
ベーストレイと焼き網手段を互いに別個な部分として形成することは、これによってベーストレイと焼き網手段とが、個別的に適合した方法によって別個に製造されることが可能であり、及び、その後にだけ、使い捨て式グリルの部分を形成するようにアセンブリされることが可能なので、有利である。
【0033】
以下では、本発明を、添付図面を参照しながら説明する。