(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通信ネットワークを介して接続された利用者端末からのポイント付与要求に応じて、予め設定されているポイント付与率に基づいて利用者が支払った購入金額から求めた付与ポイント数を前記利用者のポイントとして付与するとともに前記ポイントのポイント残高を管理するポイント管理システムであって、
予め関連付けられている経済的な指標値と連動して前記ポイント残高を更新し、前記利用者端末からのポイント交換要求に応じて、前記利用者のポイント残高の一部または全部を消費して指定された交換対象と交換するポイント交換処理を行うポイント管理部と、
前記ポイント管理部からの制約判定要求に応じて、前記ポイント交換処理が予め設定されている購入金額と交換対象価額との比を示す制約比率に基づく制約下におけるポイント交換であるか否かを判定し、得られた判定結果を前記ポイント管理部へ返送する制約判定部とを備え、
前記ポイント管理部は、前記ポイント交換処理を行う際、前記制約判定部に対して前記ポイント交換処理に関する制約判定要求を通知し、これに応じて前記制約判定部から返送された判定結果に基づいて、前記ポイント交換処理が前記制約下におけるポイント交換であることが確認された場合にのみ前記ポイント交換処理を実行する
ことを特徴とするポイント管理システム。
通信ネットワークを介して接続された利用者端末からのポイント付与要求に応じて、利用者にポイントを付与するとともに、前記ポイントのポイント残高を管理するポイント管理システムであって、
前記ポイント付与要求に応じて、ポイント換算率が予め関連付けられている経済的な指標値と連動するポイントを、前記利用者が支払った購入金額から予め設定されているポイント付与率に基づいて求めた付与ポイント数だけ、前記利用者の新たなポイントとして付与するポイント付与処理を行うポイント管理部と、
前記ポイント管理部からの制約判定要求に応じて、新たに取得した前記指標値から前記付与ポイント数の対価を示す付与対象価額を計算し、前記付与対象価額に基づいて前記ポイント付与処理が予め設定されている購入金額と付与対象価額との比を示す制約比率に基づく制約下におけるポイント付与であるか否かを判定し、得られた判定結果を前記ポイント管理部へ返送する制約判定部とを備え、
前記ポイント管理部は、前記ポイント付与処理を行う際、前記制約判定部に対して前記ポイント付与処理に関する制約判定要求を通知し、これに応じて前記制約判定部から返送された判定結果に基づいて、前記ポイント付与処理が前記制約下におけるポイント付与であることが確認された場合にのみ前記ポイント付与処理を実行する
ことを特徴とするポイント管理システム。
通信ネットワークを介して接続された利用者端末からのポイント付与要求に応じて、予め設定されているポイント付与率に基づいて利用者が支払った購入金額から求めた付与ポイント数を前記利用者のポイントとして付与するとともに前記ポイントのポイント残高を管理するポイント管理システムで用いられる制約判定装置であって、請求項1〜請求項10のいずれかに記載のポイント管理システムの制約判定部とを備えることを特徴とする制約判定装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるポイント管理システム1について説明する。
図1は、ポイント管理システムの構成を示すブロック図である。
このポイント管理システム1は、主な構成として、ポイント管理部10と制約判定部20とから構成されている。
【0025】
ポイント管理部10は、全体としてサーバなどの情報処理装置からなり、利用者に付与したポイントのポイント残高を管理し、予めポイントと関連付けられている経済的な指標値と連動してポイント残高を更新し、通信ネットワークNWを介して接続された利用者の利用者端末30からのポイント交換要求に応じて、ポイント残高の一部または全部を使用して指定された交換対象と交換するポイント交換を行う機能を有している。
【0026】
制約判定部20は、全体としてサーバなどの情報処理装置からなり、通信ネットワークNWを介してポイント管理部10と接続されて、ポイント管理部10からの制約判定要求に応じて、指定された交換対象へのポイント交換が、予め設定されている制約比率に基づいた制約下におけるポイント交換であるか否かを判定し、得られた判定結果をポイント管理部10へ返送する機能を有している。
【0027】
利用者端末30は、全体としてスマートホン、タブレット、PCなどの情報処理端末からなり、通信ネットワークNWを介してポイント管理部10と接続されて、利用者操作に応じてポイント付与要求やポイント交換要求を送信する機能を有している。
指標情報提供装置40は、通信ネットワークNWに接続されて、株価、投資信託基準価格、為替レート、金利などの経済的な指標値を提供する一般的なサーバ装置である。
【0028】
[発明の原理]
一般に、利用者が物品やサービスを購入する際、利用者を誘引する手段としてその取引に付随して、景品、特典、ポイントなどの景品類が提供される場合がある。景品表示法では、景品類により質の良くないものや価格の高いものを買わされて、利用者が不利益を受けることを避けることを目的として、このような景品類の価額に対する最高額が規定されている。特に、物品やサービスの取引金額に対して一定の付与率で付与されるポイントは、景品表示法の「総付景品」というカテゴリに含まれ、取引金額が1000円以上の場合には、取引金額の2/10(=20%)が景品類すなわちポイント価額の最高額と定められている。この2/10が本発明でいう制約比率の具体的な一例に相当する。
【0029】
通常、このようなポイントのポイント数は、物品やサービスの購入金額に合わせて明示的に付与されることが多い。これは、ジュース1本につき1ポイントを利用者に配布する場合、例えばジュースのボトルに1ポイント分のポイントシールを貼り付けてジュースを販売したり、決済時に支払った購入金額に、制約比率より低いポイント付与率を乗算してポイント数を決定するからである。
【0030】
一方、ポイントによっては、企業業績が反映される株や投資信託などの金融物品の価額や、為替レートあるいは株価指標など、経済的な指標値と連動するものもある。このような指標連動型のポイントでは、利用者から新たなポイント付与要求がなくても、ポイント管理システム1で管理している利用者のポイント残高が上昇して、より高額の景品とポイント交換が可能となる場合がある。
【0031】
したがって、利用者に付与したポイント数については、制約比率に基づく制約下で付与された景品類であっても、実際のポイント交換では、付与したポイント数より多くのポイント数を利用できるため、利用者やポイント管理者が気づかないうちに、制約比率を超えた制約外の景品類を提供したことになる場合もある。
本発明は、このような指標連動型ポイントの管理に特有の課題に着目し、利用者の要求に応じてポイントを景品などの交換対象とを交換するポイント交換処理が、制約比率に基づく制約下におけるポイント交換であるか否かを判定するようにしたものである。
【0032】
また、ポイント交換処理が制約比率に基づく制約下におけるポイント交換であるか否かを判定する制約判定処理で用いる比較方式については、価額で比較する価額比較方式、ポイント数で比較するポイント数比較方式、および比率で比較する比率比較方式の3つの比較方式が考えられる。本実施の形態では、価額で比較する価格比較方式について説明する。なお、本発明の制約判定処理で用いる有価価値とは、価額またはポイント数のことを示しており、これら価額およびポイント数の上位概念に相当する。
【0033】
[ポイント管理部]
次に、
図1を参照して、本実施の形態にかかるポイント管理部10について詳細に説明する。
ポイント管理部10には、主な機能部として、記憶部11、ポイントDB12、ポイント付与部13、ポイント更新部14、およびポイント交換部15が設けられている。このうち、ポイント付与部13、ポイント更新部14、およびポイント交換部15は、CPUとプログラムとが協働してなる演算処理部により実現される。
【0034】
記憶部11は、全体としてハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、ポイント管理に関する各処理で用いる各種の設定データやプログラムを記憶する機能を有している。設定データの主な例としては、ポイント付与率やポイント換算率がある。
ポイント付与率は、ポイント付与時に利用者が支払った購入金額に対してどの程度の割合でポイントを付与するかを示す利率であり、例えば購入金額1円当たりに付与するポイント数で表される。ポイント換算率は、ポイントと貨幣価値との換算利率であり、例えば1ポイント当たりの金額(円)で表される。
【0035】
ポイントDB12は、全体としてハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、利用者ごとに、当該利用者が保有するポイントのポイント残高、これらポイントの付与の元となった購入金額の累計、ポイント残高の更新に用いた指標値、利用者が景品交換時に用いた消費ポイント数や景品価額など、ポイントの付与、更新、交換に関する処理情報や履歴情報を記憶するデータベースである。
【0036】
ポイント付与部13は、利用者端末30からのポイント付与要求に応じて、予め記憶部11に設定されているポイント付与率に基づいて、利用者が購入した物品やサービスの購入金額に対応するポイント数を利用者に付与し、ポイントDB12に登録されているポイント残高へ追加する機能と、購入金額をポイントDB12に登録されている購入金額累計へ追加する機能とを有している。
【0037】
ポイント更新部14は、通信ネットワークNWを介して指標情報提供装置40から、株価、投資信託基準価格、為替レート、金利などの経済的な指標値を定期的に取得する機能と、取得した新たな指標値に基づいて、ポイントDB12に登録されているポイント残高を定期的に更新する機能とを有している。
【0038】
ポイント交換部15は、利用者端末30からのポイント交換要求に応じて、ポイントDB12から取得した利用者のポイント残高に相当する残高価額と、利用者が指定した景品やサービスなどの交換対象に関する交換対象価額とを比較することにより交換可否を判定する機能と、交換可能と判定された場合には、ポイントDB12から取得した利用者の購入金額累計、消費ポイント数、および交換対象価額を含む制約判定要求を制約判定部20へ通知する機能とを有している。
【0039】
また、ポイント交換部15は、制約判定要求に応じて制約判定部20から返送された判定結果に基づいて、要求されたポイント交換処理が制約下におけるポイント交換であることが確認された場合にのみポイント交換処理を実行する機能を有している。
なお、ポイント交換処理については、一般的なポイント管理システムで行われる処理と同等であり、ここでは、交換対象価額分のポイント数を利用者のポイント残高から減算して、消費ポイント数に加算する処理のほか、交換対象を利用者へ提供する手続きが行われる。
【0040】
[制約判定部]
次に、
図1を参照して、本実施の形態にかかる制約判定部20について詳細に説明する。
制約判定部20には、主な機能部として、記憶部21、制約上限計算部22、および比較判定部23が設けられている。このうち、制約上限計算部22および比較判定部23は、CPUとプログラムとが協働してなる演算処理部により実現される。
【0041】
記憶部21は、全体としてハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、制約判定処理で用いる各種の設定データやプログラムを記憶する機能を有している。設定データの主な例としては、ポイント換算率、制約比率、ポイント交換対象に関する交換対象価額がある。
【0042】
ポイント換算率は、ポイントと貨幣価値との換算利率であり、例えば1ポイント当たりの金額(円)で表される。制約比率は、利用者が物品やサービスを購入した際に支払った購入金額と、その購入金額に対して付与可能なポイント数に関する貨幣価値との比率で表される。制約比率については、例えば、景品表示法で規定されている取引金額と景品類上限価額との法定比率を設定してもよい。あるいは、法定比率以下であればポイントサービス提供者や業界で取り決めた独自の比率を制約比率として設定してもよく、サービス期間、交換対象、利用者などの情報に応じて、あるいは入力された指示に応じて、制約比率を変更してもよい。
【0043】
制約上限計算部22は、制約判定要求に含まれている利用者の購入金額累計からなる取引金額と、予め記憶部21に設定されている制約比率とから、ポイント交換処理で交換可能な対価の上限を示す上限価額を計算する機能を有している。
【0044】
比較判定部23は、ポイント管理部10からの制約判定要求に含まれている交換対象の交換対象価額を上限価額と比較し、交換対象価額が上限価額以下であるか否かに基づいてポイント交換処理が制約下におけるポイント交換であるか否かを判定する機能と、得られた判定結果をポイント管理部10へ返送する機能とを有している。
【0045】
[ポイント管理部の動作]
次に、
図2を参照して、本実施の形態にかかるポイント管理部10の動作について説明する。
図2は、第1の実施の形態にかかるポイント管理部のポイント交換処理を示す説明図である。
ポイント管理部10は、通信ネットワークNWを介した利用者端末30からのポイント交換要求に応じて、
図2のポイント交換処理を実行する。以下では、本発明にかかるポイント管理システム1で管理するポイントが株価連動型ポイント(stock point)であり、その数量をspという。
【0046】
まず、ポイント付与率が0.1sp/円であり、利用者がポイント交換要求までに支払った購入金額累計が50000円である場合、利用者に付与される付与ポイント数は5000soとなる。これに対して株価上昇により8000sp分だけ増加した場合には1300spとなり、利用者が2000spをポイント交換で消費した場合、消費ポイント数が2000spでポイント残高は11000spとなる。
【0047】
ここで、ポイント交換部15は、利用者端末30からのポイント交換要求に応じて、ポイントDB12からポイント残高11000spを取得して、予め記憶部11に設定されているポイント換算率1円/spに基づいて、ポイント残高11000spを残高価額11000円に換算し、ポイント交換要求で指定された交換対象の交換対象価額10000円と比較する。
【0048】
ここで、残高価額11000円≧交換対象価額10000円であることから、ポイント交換部15は物理的には交換可能と判定し、このポイント交換処理が制約下のポイント交換であるか否かを確認するため、制約判定要求を制約判定部20へ通知する。この制約判定要求には、制約判定に必要となる利用者固有の情報として、ポイントDB12から取得した購入金額累計50000円および消費ポイント数と、ポイント交換要求で指定された交換対象の交換対象価額10000円とが含まれている。
【0049】
[制約判定部の動作]
次に、
図3を参照して、本実施の形態にかかる制約判定部20の動作について説明する。
図3は、ポイント交換時における制約判定処理(価額比較方式)を示す説明図である。
制約判定部20は、ポイント管理部10からの制約判定要求に応じて、
図3の制約判定処理を実行する。本実施の形態では、価額で比較する価格比較方式について説明する。
【0050】
まず、制約上限計算部22は、制約判定要求に含まれる購入金額累計50000円を取引金額50000円とし、これに対して予め記憶部21に設定されている制約比率20%を乗算することにより上限価額10000円を計算する。
この際、制約判定要求に消費ポイント数が含まれていることから、消費ポイント数2000spに対して予め記憶部21に設定されているポイント換算率1円/spを乗算することにより、消費ポイント価額2000円を計算し、上限価額10000円から差し引くことにより、調整上限価額8000円を計算する。
【0051】
一方、比較判定部23は、制約判定要求から交換対象価額10000円を取得し、制約上限計算部22で得られた調整上限価額8000円と比較する。この場合、調整上限価額8000円<交換対象価額10000円であることから、このポイント交換処理は制約比率20%に基づく制約外のポイント交換であると判定し、その判定結果をポイント管理部10へ返送する。これにより、ポイント管理部10は、利用者に対して指定された交換対象へのポイント交換は不可である旨を通知する。
【0052】
この際、判定結果とともに調整上限価額8000円をポイント管理部10へ返送してもよい。これにより、ポイント管理部10から利用者に対して、交換可能な上限価額が8000円であることを具体的に通知でき、ポイント交換の取りやめ、あるいは他の交換対象への選択変更など、利用者の判断に役立つ情報を通知することができる。
【0053】
また、
図3では、制約判定要求に消費ポイント数が含まれている場合を例として説明したが、制約判定要求に消費ポイント数が含まれていない場合、比較判定部23は、制約上限計算部22で得られた上限価額10000円と交換対象価額10000円とを比較することになる。この場合には、上限価額10000円≧交換対象価額10000円であることから、このポイント交換は制約比率20%に基づく制約下のポイント交換であると判定し、その判定結果をポイント管理部10へ返送する。これにより、ポイント管理部10は、利用者に対して指定された交換対象へのポイント交換は可能である旨を通知し、ポイント交換処理を実行することになる。
【0054】
なお、
図3では、調整上限価額の計算方法として、上限価額から消費ポイント価額を差し引くことにより調整上限価額を計算する場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、消費ポイント価額2000円を制約比率20%で除算することにより消費ポイント価額2000円分の取引金額である消費取引金額10000円を計算して、これを取引金額50000円から差し引くことにより調整取引金額40000円を計算し、これに対して制約比率20%を乗算することにより調整上限価額8000円を求めてもよい。
【0055】
図4は、ポイント交換時における利用者端末での画面表示例である。ここでは、利用者が自己のポイントを株式と交換する場合が示されている。
利用者は、スマートホンなどの利用者端末30を操作して、ポイント交換の内容を示す申請情報を入力する。これに応じて、利用者端末30は、申請情報と予め設定されている利用者IDなどのシステム管理情報とを含むポイント交換要求を、ポイント管理システム1に対して通知する。
図4(a)はポイント交換要求の確認画面であり、ここでは、交換対象がA社株式であり、ポイント交換に用いるポイント数が1600spであることが利用者端末30の画面に表示されている。
【0056】
利用者によるポイント交換要求の送信操作に応じて、利用者端末30はポイント交換要求を通信ネットワークNWを介してポイント管理システム1に送信し、ポイント管理システム1のポイント交換部15がこれを受け付けて、制約判定処理を含むポイント交換を実行する。これにより、
図4(b)に示すポイント交換受付画面が利用者端末30に返送されて画面表示される。
この後、交換完了に応じて、ポイント管理システム1のポイント交換部15から、
図4(c)に示すポイント交換完了画面が通知され、利用者端末30で画面表示される。これにより、利用者はポイント交換が完了したことを確認する。
【0057】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、ポイント交換処理が予め設定されている制約比率に基づく制約下におけるポイント交換であるか否かを判定する制約判定部20を設け、ポイント管理部10が、予めポイントと関連付けられている経済的な指標値と連動してポイント残高を更新し、利用者端末30からのポイント交換要求に応じて、利用者のポイント残高の一部または全部を消費して指定された交換対象と交換するポイント交換処理を行う際、制約判定部20での判定結果に基づいて、ポイント交換処理が制約下におけるポイント交換であることが確認された場合にのみポイント交換処理を実行するようにしたものである。
【0058】
具体的には、制約判定部20に制約上限計算部22と比較判定部23とを設け、制約上限計算部22が、制約判定要求に含まれている利用者の購入金額累計からなる取引金額と制約比率とから、ポイント交換処理で交換可能な対価の上限を示す上限有価価値(上限価額)を計算し、比較判定部23が、制約判定要求に含まれている交換対象の交換対象有価価値(交換対象価額)を上限有価価値と比較し、交換対象有価価値が上限有価価値以下であるか否かに基づいてポイント交換処理が制約下におけるポイント交換であるか否かを判定するようにしたものである。
【0059】
これにより、ポイント交換の際、利用者から要求されたポイント交換処理が、制約比率に基づく制約下におけるポイント交換であるか否かが判定され、制約下におけるポイント交換であることが確認された場合にのみポイント交換処理が実行されることになる。したがって、利用者に経済的な指標値と連動する指標連動型ポイントを付与する場合であって、利用者から新たなポイント付与要求がなくても利用者のポイント残高が上昇して、より高額の景品とポイント交換が可能となる場合であっても、予め設定されている制約下でのポイント交換を実現することが可能となる。
【0060】
また、本実施の形態において、制約上限計算部22が、制約判定要求に利用者がすでにポイント交換に消費した消費有価価値(消費ポイント数)が含まれている場合、消費有価価値を上限有価価値(上限価額)から減算することにより、消費有価価値を考慮した調整上限有価価値(調整上限価額)を計算し、比較判定部23が、判定の際、上限有価価値として調整上限有価価値を用いるようにしてもよい。
これにより、利用者がすでにポイント交換に消費した消費有価価値が上限有価価値から差し引かれるため、消費ポイント数を考慮したより正確な制約判定を実現することができる。
【0061】
また、本実施の形態において、制約上限計算部22が、制約判定要求に利用者がすでにポイント交換に消費した消費有価価値(消費ポイント数)が含まれている場合、消費有価価値に相当する消費取引金額を取引金額から減算して得られた調整取引金額と制約比率とから、消費有価価値を考慮した調整上限有価価値(調整上限価額)を計算し、比較判定部23が、判定の際、上限有価価値として調整上限有価価値を用いるようにしてもよい。
これにより、利用者がすでにポイント交換に消費した消費有価価値に相当する消費取引金額が取引金額から差し引かれるため、消費ポイント数を考慮したより正確な制約判定を実現することができる。
【0062】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態にかかるポイント管理システム1について説明する。
第1の実施の形態では、制約判定処理で用いる比較方式が、価額で比較する価額比較方式である場合を例として説明した。本実施の形態では、制約判定処理で用いる比較方式として、ポイント数で比較するポイント数比較方式と、比率で比較する比率比較方式とについて説明する。なお、ポイント管理システム1の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0063】
まず、
図5を参照して、ポイント数比較方式について説明する。
図5は、ポイント交換時における制約判定処理(ポイント数比較方式)を示す説明図である。
制約上限計算部22は、制約判定要求に含まれる購入金額累計50000円を取引金額50000円とし、これに対して予め記憶部21に設定されている制約比率20%を乗算することにより上限価額10000円を計算する。
【0064】
次に、制約上限計算部22は、得られた上限価額10000円に対して予め記憶部21に設定されているポイント換算率1円/spを乗算することにより、上限ポイント数1000spを計算する。
この際、制約判定要求に消費ポイント数が含まれていることから、消費ポイント数2000spを上限ポイント10000spから差し引くことにより、調整上限ポイント数8000spを計算する。
【0065】
比較判定部23は、制約判定要求から交換対象価額10000円を取得し、これに対してポイント換算率1円/spを乗算することにより、交換対象ポイント数10000spを計算し、制約上限計算部22で得られた調整上限ポイント数8000spと比較する。この場合、調整上限ポイント数8000sp<交換対象ポイント数10000spであることから、このポイント交換は制約比率20%に基づく制約外のポイント交換であると判定し、その判定結果をポイント管理部10へ返送する。これにより、ポイント管理部10は、利用者に対して指定された交換対象へのポイント交換は不可である旨を通知する。
【0066】
この際、判定結果とともに調整上限ポイント数8000spをポイント管理部10へ返送してもよい。これにより、ポイント管理部10から利用者に対して、交換可能な上限ポイント数が8000spであることを具体的に通知でき、ポイント交換の取りやめ、あるいは他の交換対象への選択変更など、利用者の判断に役立つ情報を通知することができる。
【0067】
また、
図5では、制約判定要求に消費ポイント数が含まれている場合を例として説明したが、制約判定要求に消費ポイント数が含まれていない場合、比較判定部23は、制約上限計算部22で得られた上限ポイント数10000spと交換対象ポイント数10000spとを比較することになる。この場合には、上限ポイント10000sp≧交換対象ポイント数10000spであることから、このポイント交換は制約比率20%に基づく制約下のポイント交換であると判定し、その判定結果をポイント管理部10へ返送する。これにより、ポイント管理部10は、利用者に対して指定された交換対象へのポイント交換は可能である旨を通知し、ポイント交換処理を実行することになる。
【0068】
なお、
図5では、調整上限ポイント数の計算方法として、上限ポイント数から消費ポイント数を差し引くことにより調整上限ポイント数を計算する場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、消費ポイント数2000spを制約比率20%で除算することにより消費ポイント数2000sp分の取引ポイント数である消費取引ポイント数10000spを計算し、これを取引金額50000円に相当する取引ポイント数50000spから差し引いた後、制約比率20%を乗算することにより調整上限ポイント数8000spを求めてもよい。
【0069】
次に、
図6を参照して、比率比較方式について説明する。
図6は、ポイント交換時における制約判定処理(比率比較方式)を示す説明図である。
制約上限計算部22は、制約判定要求に消費ポイント数が含まれていることから、消費ポイント数2000spに対して予め記憶部21に設定されているポイント換算率1円/spを乗算することにより、消費ポイント価額2000円を計算し、これに対して予め記憶部21に設定されている制約比率20%を乗算することにより消費取引金額10000円を計算する。次に、制約上限計算部22は、制約判定要求に含まれる購入金額累計50000円を取引金額50000円とし、ここから消費取引金額10000円を差し引くことにより、調整取引金額40000円を計算する。
【0070】
比較判定部23は、制約判定要求から交換対象価額10000円を取得し、制約上限計算部22で得られた調整取引金額40000円で除算することにより、利用者から要求されたポイント交換に関する交換比率25%を計算し、制約比率20%と比較する。
この場合、交換比率25%>制約比率20%であることから、このポイント交換は制約比率20%に基づく制約外のポイント交換であると判定し、その判定結果をポイント管理部10へ返送する。これにより、ポイント管理部10は、利用者に対して指定された交換対象へのポイント交換は不可である旨を通知する。
【0071】
この際、交換対象価額10000円に対して制約比率20%を乗算して得られた調整上限価額8000円を、判定結果とともにポイント管理部10へ返送してもよい。これにより、ポイント管理部10から利用者に対して、交換可能な上限価額が8000円であることを具体的に通知でき、ポイント交換の取りやめ、あるいは他の交換対象への選択変更など、利用者の判断に役立つ情報を通知することができる。
【0072】
また、
図6では、制約判定要求に消費ポイント数が含まれている場合を例として説明したが、制約判定要求に消費ポイント数が含まれていない場合、比較判定部23は、制約上限計算部22で得られた取引金額50000円と交換対象価額10000円とから交換比率20%を計算して、制約比率20%と比較することになる。この場合には、交換比率20%≦制約比率20%であることから、このポイント交換は制約比率20%に基づく制約下のポイント交換であると判定し、その判定結果をポイント管理部10へ返送する。これにより、ポイント管理部10は、利用者に対して指定された交換対象へのポイント交換は可能である旨を通知し、ポイント交換処理を実行することになる。
【0073】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態の一例は、制約判定部20に制約上限計算部22と比較判定部23とを設け、制約上限計算部22が、制約判定要求に含まれている利用者の購入金額累計からなる取引金額と制約比率とから、ポイント交換処理で交換可能な対価の上限を示す上限有価価値(上限ポイント数)を計算し、比較判定部23が、制約判定要求に含まれている交換対象の交換対象有価価値(交換対象ポイント数)を上限有価価値と比較し、交換対象有価価値が上限有価価値以下であるか否かに基づいてポイント交換処理が制約下におけるポイント交換であるか否かを判定するようにしたものである。
【0074】
これにより、上限ポイント数と交換対象ポイント数を比較をした場合でも、第1の実施の形態で説明した上限価額と交換対象価額の比較と同様にして、ポイント管理部10からの制約判定要求に応じた制約判定を実現することができ、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることが可能となる。また、制約判定要求に利用者がすでにポイント交換に消費した消費ポイント数が含まれている場合でも、消費ポイント数を考慮した正確な制約判定を実現することができる。
【0075】
また、本実施の形態の一例において、制約上限計算部22が、制約判定要求に利用者がすでにポイント交換に消費した消費有価価値(消費ポイント数)が含まれている場合、消費有価価値を上限有価価値(上限ポイント数)から減算することにより、消費有価価値を考慮した調整上限有価価値(交換対象ポイント数)を計算し、比較判定部23が、判定の際、上限有価価値として調整上限有価価値を用いるようにしてもよい。
これにより、利用者がすでにポイント交換に消費した消費有価価値が上限有価価値から差し引かれるため、消費ポイント数を考慮したより正確な制約判定を実現することができる。
【0076】
また、本実施の形態の一例において、制約上限計算部22が、制約判定要求に利用者がすでにポイント交換に消費した消費有価価値(消費ポイント数)が含まれている場合、消費有価価値に相当する消費取引金額を取引金額から減算して得られた調整取引金額と制約比率とから、消費有価価値を考慮した調整上限有価価値(交換対象ポイント数)を計算し、比較判定部23が、判定の際、上限有価価値として調整上限有価価値を用いるようにしてもよい。
これにより、利用者がすでにポイント交換に消費した消費有価価値に相当する消費取引金額が取引金額から差し引かれるため、消費ポイント数を考慮したより正確な制約判定を実現することができる。
【0077】
また、本実施の形態の他例は、比較判定部23が、判定の際、上限有価価値(上限ポイント価額または上限ポイント数)と交換対象有価価値(交換対象価額または交換対象ポイント数)の比較に代えて、取引金額と交換対象有価価値との交換比率を制約比率と比較し、交換比率が制約比率以下であるか否かに基づいて制約下におけるポイント交換であるか否かを判定するようにしたものである。
【0078】
これにより、前述した上限価額と交換対象価額の比較と同様にして、ポイント管理部10からの制約判定要求に応じた制約判定を実現することができ、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることが可能となる。また、制約判定要求に利用者がすでにポイント交換に消費した消費ポイント数が含まれている場合でも、消費ポイント数を考慮した正確な制約判定を実現することができる。
【0079】
また、本実施の形態の他例において、制約上限計算部22が、制約判定要求に利用者がすでにポイント交換に消費した消費有価価値(消費ポイント数)が含まれている場合、消費有価価値に相当する消費取引金額を取引金額から減算することにより調整取引金額を計算し、比較判定部23が、判定の際、取引金額として調整取引金額を用いるようにしてもよい。
これにより、利用者がすでにポイント交換に消費した消費有価価値に相当する消費取引金額が取引金額から差し引かれるため、消費ポイント数を考慮したより正確な制約判定を実現することができる。
【0080】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態にかかるポイント管理システム1について説明する。
前述した第1および第2の実施の形態では、利用者に付与するポイントが、利用者による物品やサービスの購入金額に基づくものである場合を例として説明したが、場合によっては、利用者の行為への対価としてポイントが付与される場合がある。
【0081】
例えば、利用者が提供した役務、例えば、物品やサービスに対するアンケート、感想、コメントの提供などの作業への対価としてポイントが付与される場合がある。このようなポイントは、利用者による物品やサービスの購入に対して付与された景品ではないため、景品表示法による制約の対象とはならない。このため、このような制約外ポイントは、制約比率とは関係なく景品交換に用いることができる。
本実施の形態では、このような制約外ポイントに着目し、ポイント交換の際、予め利用者ごとに設定されている優先度に基づいて制約外ポイントの使用可否を判定し、使用可の場合には制約外ポイントを考慮して制約判定を行うようにしたものである。
【0082】
すなわち、本実施の形態において、制約判定部20の制約上限計算部22が、利用者の制約外ポイントが使用可の場合には、予め記憶部21に設定されているポイント換算率に基づいて制約外ポイントを制約ポイント価額に換算し、得られた制約ポイント価額を上限価額に加算することにより、制約ポイント価額を考慮した調整上限価額を計算し、比較判定部23が、制約判定要求に含まれている交換対象の交換対象価額を調整上限価額と比較し、交換対象価額が調整上限価額以下であるか否かに基づいてポイント交換処理が制約下におけるポイント交換であるか否かを判定するようにしたものである。なお、ポイント管理システム1の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0083】
[制約判定部の動作]
次に、
図7を参照して、本実施の形態にかかる制約判定部20の動作について説明する。
図7は、ポイント交換時における制約判定処理(価額比較方式/制約外ポイントあり)を示す説明図である。
制約判定部20は、ポイント管理部10からの制約判定要求に応じて、
図7の制約判定処理を実行する。なお、制約判定要求には、制約外ポイント数が含まれているものとする。この際、ポイント交換時に制約外ポイント数を用いるか否かについては、利用者ごとの設定に基づき決定し、制約外ポイント数を用いない設定である場合には、例えば前述した
図2の制約判定処理が実行されることになる。
【0084】
まず、制約上限計算部22は、制約判定要求に含まれる購入金額累計50000円を取引金額50000円とし、これに対して予め記憶部21に設定されている制約比率20%を乗算することにより上限価額10000円を計算する。
この際、制約判定要求に制約外ポイント数が含まれていることから、制約外ポイント数3000spに対して予め記憶部21に設定されているポイント換算率1円/spを乗算することにより制約外ポイント価額3000円を計算し、これに対して上限価額10000円に加算することにより調整上限価額13000円を計算する。
【0085】
一方、比較判定部23は、制約判定要求から交換対象価額12000円を取得し、制約上限計算部22で得られた調整上限価額13000円と比較する。この場合、調整上限価額13000円≧交換対象価額12000円であることから、このポイント交換処理は制約比率20%に基づく制約内のポイント交換であると判定し、その判定結果をポイント管理部10へ返送する。これにより、ポイント管理部10は、利用者に対して指定された交換対象へのポイント交換が可能である旨を通知する。したがって、元々、交換対象価額12000円に対して上限価額が10000円であったものが、制約外ポイント数3000spを考慮することにより、ポイント交換可能と判定されたことになる。
【0086】
この際、判定結果とともに調整上限価額13000円をポイント管理部10へ返送してもよい。これにより、ポイント管理部10から利用者に対して、交換可能な調整上限価額が13000円であることを具体的に通知でき、ポイント交換の取りやめ、あるいは他の交換対象への選択変更など、利用者の判断に役立つ情報を通知することができる。
また、判定結果が制約下におけるポイント交換であることを示す場合には、制約判定に加味した制約外ポイント数が判定結果とともにポイント管理部10へ返送される。これにより、ポイント管理部10でのポイント交換処理において、返送された制約外ポイント数が優先して用いられることになる。
【0087】
なお、
図7では、調整上限価額の計算方法として、上限価額から制約外ポイント価額を差し引くことにより調整上限価額を計算する場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、制約外ポイント価額3000円を制約比率20%で除算することにより制約外ポイント価額3000円分の取引金額である制約外取引金額15000円を計算して、これを取引金額50000円に加算することにより上限取引金額65000円を計算し、これに対して制約比率20%を乗算することにより調整上限価額13000円を求めてもよい。
【0088】
また、
図7では、消費ポイント数がない場合を例として説明したが、消費ポイント数も制約判定要求に含まれている場合には、消費ポイント数と制約外ポイント数との差分ポイント数をポイント換算率1円/spで変換して得られた差分価額に基づいて、調整上限価額を計算するようにしてもよい。
【0089】
また、
図7では、前述した
図3の価額比較方式に基づき説明したが、前述した
図5のポイント数比較方式や、
図6の比率比較方式にも、同様にして適用できる。すなわち、
図5のポイント数比較方式に適用する場合には、上限ポイント数に制約外ポイント数を加算して、調整上限ポイント数を求めればよい。また、
図6の比率比較方式に適用する場合には、ポイント換算率および制約比率に基づいて制約外ポイント数から求めた制約外取引金額を取引金額に加算して、調整取引金額を求めればよい。
【0090】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、制約上限計算部22が、制約判定要求に制約比率に基づく制約が適用されない、利用者の制約外有価価値(制約外ポイント数)が含まれている場合、制約外有価価値を上限有価価値(上限価額または上限ポイント数)に加算することにより、制約外有価価値を考慮した調整上限有価価値(調整上限価額または調整ポイント数)を計算し、比較判定部23が、判定の際、上限有価価値として調整上限有価価値を用いるようにしたものである。
これにより、制約判定要求に制約比率に基づく制約が適用されない制約外有価価値が、上限有価価値に加算されるため、制約外ポイント数を考慮したより正確な制約判定を実現することができる。
【0091】
また、本実施の形態において、制約上限計算部22が、制約判定要求に制約比率に基づく制約が適用されない、利用者の制約外有価価値(制約外ポイント数)が含まれている場合、制約外有価価値に相当する制約外取引金額を取引金額に加算して得られた調整取引金額と制約比率とから、制約外有価価値を考慮した調整上限有価価値(調整上限価額または調整ポイント数)を計算し、比較判定部23が、判定の際、上限有価価値として調整上限有価価値を用いるようにしてもよい。
これにより、制約判定要求に制約比率に基づく制約が適用されない制約外有価価値に相当する制約外取引金額が取引金額に加算されるため、制約外ポイント数を考慮したより正確な制約判定を実現することができる。
【0092】
また、本実施の形態において、比較判定部23が、判定の際、上限有価価値(上限ポイント価額または上限ポイント数)と交換対象有価価値(交換対象価額または交換対象ポイント数)の比較に代えて、取引金額と交換対象有価価値との交換比率を制約比率と比較し、交換比率が制約比率以下であるか否かに基づいて制約下におけるポイント交換であるか否かを判定し、制約判定要求に制約比率に基づく制約が適用されない、利用者の制約外有価価値(制約外ポイント数)が含まれている場合、制約外有価価値に相当する制約外取引金額を取引金額に加算することにより調整取引金額を計算し、判定の際、取引金額として調整取引金額を用いるようにしてもよい。
【0093】
これにより、前述した上限価額と交換対象価額の比較と同様にして、ポイント管理部10からの制約判定要求に応じた制約判定を実現することができ、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることが可能となる。また、制約判定要求に利用者がすでにポイント交換に消費した消費ポイント数が含まれている場合でも、消費ポイント数を考慮した正確な制約判定を実現することができる。
【0094】
なお、利用者に付与するポイントとして、利用者の行為への対価としてのポイント以外に、利用者の来店回数や特定Webサイトの閲覧回数に応じて付与されるポイントがある。このようなポイントについては、利用者の行為が商品購入に見なされるものとして、景品表示法におけるみなし取引金額が適用される。このため、物品やサービスの購入と同様に、利用者の行為をみなし取引金額分の購入として捉え、ポイント交換処理および制約判定処理を実行すればよい。
【0095】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態にかかるポイント管理システム1について説明する。
第1〜第3の実施の形態では、ポイント交換時における制約判定処理について説明した。本実施の形態では、ポイント付与時における制約判定処理について説明する。
【0096】
指標連動型ポイントを利用者に付与する場合、第1〜第3の実施の形態で説明したように、ポイント換算率を1ポイント当たりの価額で規定する場合のほか、1ポイント当たりの株数で規定する方法がある。この場合、株価が上昇しても付与するポイント数は増減しないが、ポイント数に相当する有価価値が増減する。
【0097】
したがって、例えばポイント配布時に、制約比率以下の割合のポイント数を示すポイントシールを物品に張り付けた時点から、利用者がその物品を購入しポイントシールに基づいてポイント管理システム1でポイント付与要求するまでの間に指標値が上昇した場合、実際のポイント付与時に、制約比率を超えた制約外の景品類を提供したことになる場合もある。
本発明は、このような指標連動型ポイントの管理に特有の課題に着目し、利用者の要求に応じてポイントを付与するポイント付与処理が、制約比率に基づく制約下におけるポイント付与であるか否かを判定するようにしたものである。
【0098】
本実施の形態において、ポイント管理部10のポイント付与部13は、利用者端末30からのポイント付与要求に応じて、ポイント付与要求に含まれる利用者が支払った購入金額および付与ポイント数を含む制約判定要求を制約判定部20へ通知する機能と、この制約判定要求に応じて制約判定部20から返送された判定結果に基づいて、要求されたポイント付与処理が制約下におけるポイント付与であることが確認された場合にのみ、付与ポイント数を利用者に付与してポイントDB12に登録されているポイント残高へ追加する機能とを有している。
【0099】
また、制約判定部20の制約上限計算部22は、制約判定要求に含まれている利用者の購入金額からなる取引金額と、予め記憶部21に設定されている制約比率とから、ポイント付与処理で付与可能な対価の上限を示す上限価額を計算する機能を有している。
【0100】
制約判定部20の比較判定部23は、ポイント管理部10からの制約判定要求に含まれている付与ポイント数に対して、予め記憶部21に設定されているポイント換算率を乗算して付与株数を計算する機能と、得られた付与株数に、指標情報提供装置40から新たに取得した指標値から付与ポイント数の対価を示す付与対象価額を計算する機能と、制約上限計算部22で得られた上限価額と付与対象価額とを比較することにより、ポイント付与処理が予め設定されている制約比率に基づく制約下におけるポイント付与であるか否かを判定し、得られた判定結果をポイント管理部10へ返送する機能とを有している。なお、ポイント管理システム1の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0101】
[ポイント管理部の動作]
次に、
図8を参照して、本実施の形態にかかるポイント管理部10の動作について説明する。
図8は、第4の実施の形態にかかるポイント管理部のポイント付与処理を示す説明図である。
ポイント管理部10は、通信ネットワークNWを介した利用者端末30からのポイント付与要求に応じて、
図8のポイント付与処理を実行する。以下では、本発明にかかるポイント管理システム1で管理するポイントが株価連動型ポイント(stock point)であり、その数量をspという。
【0102】
まず、ポイント付与部13は、利用者端末30からのポイント付与要求に応じて、ポイント付与要求に含まれる購入金額5000円に対して、予め記憶部21に設定されているポイント付与率0.1sp/円を乗算して付与ポイント数500spを計算する。この際、ポイント付与要求に付与ポイント数500spが含まれている場合、上記計算は省くものとする。ここで、ポイント配布時における株価が100円であった場合、ポイント換算率を0.01株/spとすると、付与ポイント数500spの貨幣価値は500円となる。
【0103】
この後、ポイント付与部13は、このポイント付与処理が制約下のポイント付与であるか否かを確認するため、制約判定要求を制約判定部20へ通知する。この制約判定要求には、制約判定に必要となる利用者固有の情報として、購入金額5000円および付与ポイント数500spとが含まれている。
【0104】
[制約判定部の動作]
次に、
図9を参照して、本実施の形態にかかる制約判定部20の動作について説明する。
図9は、ポイント付与時における制約判定処理(価額比較方式)を示す説明図である。
制約判定部20は、ポイント管理部10からの制約判定要求に応じて、
図9の制約判定処理を実行する。なお、制約判定処理で用いる比較方式については、価額で比較する価額比較方式のほか、比率で比較する比率比較方式が考えられる。本実施の形態では、価額で比較する価格比較方式について説明する。
【0105】
まず、制約上限計算部22は、制約判定要求に含まれる購入金額5000円を取引金額5000円とし、これに対して予め記憶部21に設定されている制約比率20%を乗算することにより上限価額1000円を計算する。
一方、比較判定部23は、制約判定要求から付与ポイント数500spを取得し、これに対して予め記憶部21に設定されているポイント換算率0.01株/spを乗算して付与株数5株を計算する。
【0106】
続いて、比較判定部23は、得られた付与株数5株に対して指標情報提供装置40から新たに取得した株価250円を乗算して、付与対象価額1250円を計算し、制約上限計算部22で得られた上限価額1000円と比較する。この場合、上限価額1000円<付与対象価額1250円であることから、このポイント付与処理は制約比率20%に基づく制約外のポイント付与であると判定し、その判定結果をポイント管理部10へ返送する。これにより、ポイント管理部10は、利用者に対して要求されたポイント付与は不可である旨を通知する。
【0107】
この際、判定結果とともに上限価額1000円や付与可能な上限ポイント数400spをポイント管理部10へ返送してもよい。上限ポイント数400spは、上限価額1000円を株価250円で除算するとともにポイント換算率0.01株/spで除算することにより求められる。
【0108】
これにより、ポイント管理部10から利用者に対して、交換可能な上限価額が1000円であること、あるいは交換可能なポイント数が400spポイントであることを具体的に通知でき、ポイント付与要求の取りやめ、あるいは要求ポイント数の削減など、利用者の判断に役立つ情報を通知することができる。この際、利用者の判断を待つことなく、ポイント管理部10により、自動的に上限ポイント数400sp分を付与するようにしてもよい。
【0109】
図10は、ポイント付与時における利用者端末での画面表示例である。ここでは、利用者が商品に添付されていたQRコード(登録商標)に基づきポイント付与を要求する場合が示されている。
利用者は、スマートホンなどの利用者端末30を操作して、商品に添付されていたQRコードを読み込んで、ポイント付与に必要な申請情報を入力する。これに応じて、利用者端末30は、申請情報と予め設定されている利用者IDなどのシステム管理情報とを含むポイント交換要求を、ポイント管理システム1に対して通知する。
図10(a)はポイント付与要求の確認画面であり、ここでは、カメラで撮影したQRコードが画面表示されている。
【0110】
利用者によるポイント付与要求の送信操作に応じて、利用者端末30でポイント付与要求を通信ネットワークNWを介してポイント管理システム1に送信し、ポイント管理システム1のポイント付与部13がこれを受け付けて、制約判定処理を含むポイント付与処理を実行する。これにより、
図10(b)に示すポイント付与完了画面が利用者端末30に返送されて画面表示される。ここでは、XXX社のストックポイントを1sp付与されたことが画面表示されている。
【0111】
この後、利用者が利用者端末30でポイント確認要求操作を行った場合、利用者端末30からポイント確認要求がポイント管理システム1に送信される。これに応じて、ポイント管理システム1のポイント付与部13から、
図10(c)に示すポイント残高確認画面が利用者端末30に返送されて画面表示される。ここでは、XXX社のストックポイントのポイント残高が1600pであることが画面表示されている。
【0112】
[第4の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、ポイント付与処理が予め設定されている制約比率に基づく制約下におけるポイント付与であるか否かを判定する制約判定部20を設け、ポイント管理部10が、利用者に付与した、特定の経済的な指標値と連動するポイントのポイント残高を管理し、通信ネットワークNWを介して接続された利用者端末30からのポイント付与要求に応じて、利用者が支払った購入金額から予め設定されているポイント付与率に基づいて求めた付与ポイント数を利用者の新たなポイントとして付与するポイント付与処理を行う際、制約判定部20での判定結果に基づいて、ポイント付与処理が制約下におけるポイント付与であることが確認された場合にのみポイント付与処理を実行するようにしたものである。
【0113】
具体的には、制約判定部20に制約上限計算部22と比較判定部23とを設け、制約上限計算部22が、制約判定要求に含まれている購入金額からなる取引金額と制約比率とから、ポイント付与処理で付与可能な上限ポイント数の対価を示す上限価額を計算し、比較判定部23が、制約判定要求に含まれている付与ポイント数から計算した付与対象価額を上限価額と比較し、付与対象価額が上限価額以下であるか否かに基づいてポイント付与処理が制約下におけるポイント付与であるか否かを判定するようにしたものである。
【0114】
これにより、ポイント付与の際、利用者から要求されたポイント付与処理が、制約比率に基づく制約下におけるポイント付与であるか否かが判定されることになる。したがって、利用者に経済的な指標値と連動する指標連動型ポイントを付与する場合であり、利用者から新たなポイント付与要求がなくても、利用者のポイント残高の貨幣価値が上昇するような場合であっても、ポイント付与における制約比率を超えた景品類の提供を回避することが可能となる。
【0115】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態にかかるポイント管理システム1について説明する。
第4の実施の形態では、制約判定処理で用いる比較方式が、価額で比較する価額比較方式である場合を例として説明した。本実施の形態では、制約判定処理で用いる比較方式として、比率で比較する比率比較方式とについて説明する。なお、ポイント管理システム1の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0116】
図11は、ポイント付与時における制約判定処理(比率比較方式)を示す説明図である。
まず、制約上限計算部22は、制約判定要求に含まれる購入金額5000円を取引金額5000円として取得する。
一方、比較判定部23は、制約判定要求から付与ポイント数500spを取得し、これに対して予め記憶部21に設定されているポイント換算率0.01株/spを乗算して付与株数5株を計算する。
【0117】
続いて、比較判定部23は、得られた付与株数5株に対して指標情報提供装置40から新たに取得した株価250円を乗算して、付与対象価額1250円を計算し、制約上限計算部22で得られた取引金額5000円で除算することにより、利用者から要求されたポイント付与に関する付与比率25%を計算し、制約比率20%と比較する。
この場合、付与比率25%>制約比率20%であることから、このポイント付与は制約比率20%に基づく制約外のポイント付与であると判定し、その判定結果をポイント管理部10へ返送する。これにより、ポイント管理部10は、利用者に対して要求されたポイント付与は不可である旨を通知する。
【0118】
この際、判定結果とともに付与可能な上限ポイント数400spをポイント管理部10へ返送してもよい。上限ポイント数400spは、取引金額5000円に対して制約比率20%を乗算し、株価250円で除算するとともにポイント換算率0.01株/spで除算することにより求められる。
【0119】
これにより、ポイント管理部10から利用者に対して、交換可能な上限価額が1000円であること、あるいは交換可能なポイント数が400spポイントであることを具体的に通知でき、ポイント付与要求の取りやめ、あるいは要求ポイント数の削減など、利用者の判断に役立つ情報を通知することができる。この際、利用者の判断を待つことなく、ポイント管理部10により、自動的に上限ポイント数400sp分を付与するようにしてもよい。
【0120】
[第5の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、第4の実施の形態において、比較判定部23が、判定の際、上限価額と付与対象価額の比較に代えて、上限価額と付与対象価額との交換比を制約比率と比較し、交換比が制約比率以下であるか否かに基づいて制約下におけるポイント交換であるか否かを判定するようにしたものである。
これにより、ポイント付与時における制約判定処理が、本実施の形態のような比率比較方式であっても、第4の実施の形態で説明した価額比較方式の場合と同様にして、利用者から要求されたポイント付与処理が制約比率に基づく制約下におけるポイント付与であるか否かを判定することができ、第4の実施の形態と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【0121】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【0122】
前述した各実施の形態では、制約判定処理に用いる購入金額累計、消費ポイント数、制約外ポイント数、交換対象価額、購入金額、付与ポイント数など、利用者に関する判定処理情報が、ポイント管理部10から制約判定部20に対して制約判定要求により通知される場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、制約判定要求に指定された利用者IDに基づいて、制約判定部20が、ポイント管理部10、外部装置(図示せず)、自装置内の記憶部21やデータベース(図示せず)から取得するようにしてもよい。
【0123】
前述した各実施の形態において、制約判定部20は、ポイント管理部10と1つの同じ装置で構成してもよいが、ポイント管理部10とは別個の独立した装置で構成してもよい。この場合には、ポイント管理部(ポイント管理装置)10と制約判定部(制約判定装置)20とを、通信ネットワークNWや専用回線からなる通信回線を介して接続して、制約判定要求や判定結果をやり取りすればよい。これにより、1つの制約判定部(制約判定装置)20で、複数のポイント管理部(ポイント管理装置)10からの制約判定要求に対応することができる。したがって、複数のポイント管理システム1で制約判定部(制約判定装置)20を兼用でき、複数のポイント管理システム1を効率よく構築することが可能となる。
【0124】
また、ポイント管理部10および制約判定部20に含まれる各機能部については、
図1に示したような配置例に限定されるものではなく、通信回線や通信ネットワークNWに接続された複数のサーバ装置に任意に分散配置してもよい。例えば、ポイント管理部(装置)10からポイント更新部14やポイント交換部15を独立させて他のサーバ装置に配置してもよく、ポイント管理部(装置)10からポイントDB12を独立させて他のサーバ装置に配置してもよい。
【解決手段】ポイント交換処理が予め設定されている制約比率に基づく制約下におけるポイント交換であるか否かを判定する制約判定部20を設け、ポイント管理部10が、予めポイントと関連付けられている経済的な指標値と連動してポイント残高を更新し、利用者端末30からのポイント交換要求に応じて、利用者のポイント残高の一部または全部を消費して指定された交換対象と交換するポイント交換処理を行う際、制約判定部20での判定結果に基づいて、ポイント交換処理が制約下におけるポイント交換であることが確認された場合にのみポイント交換処理を実行する。